図面 (/)

技術 塑性加工用熱間工具鋼

出願人 大同特殊鋼株式会社
発明者 藤井利光松田幸紀
出願日 2000年9月14日 (20年3ヶ月経過) 出願番号 2000-279254
公開日 2002年3月27日 (18年9ヶ月経過) 公開番号 2002-088443
状態 未査定
技術分野
  • -
主要キーワード 焼きなまし材 製品金型 彫り加工 製品納期 Ti相 熱間鍛造金型 鉄鋼メーカー 熱間工具
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2002年3月27日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

塑性加工用熱間工具、代表的には熱間鍛造用金型を製造する材料であって、焼なまし状態でも、焼入れ焼戻し状態でも被削性が高く、耐ヒートチェック性および靭性の低下は従来品に比べて僅かであり、従って、従来品より切削に要する時間の短縮と費用の低減ができ、金型寿命の低下が少ないものを提供すること。

解決手段

重量%で、C:0.25〜0.55%,Si:0.10〜0.70%,Mn:0.10〜2.0%,S:0.030%超過〜0.060%以下,Cr:3.0〜6.0%,Mo:0.3〜5.0%,V:0.01〜2.0%,Al:0.005〜0.050%およびZr:0.005〜0.050%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる合金組成熱間工具鋼。これらの成分に加えて、Ca:0.005%以下を含有することが好ましい。

概要

背景

上記した熱間の塑性加工に使用する工具類を製造するには、多くの場合、SKD61に代表されるJIS鋼種やその改良鋼が用いられている。これらの鋼は、一般に、焼なまし状態で供給され、荒加工ののち所定の硬さに焼入れ焼戻しをし、金型仕上げられている。金型の試作をする場合や、製品ロットが小さい場合は、SKD61の快削グレードを使用して、HRC40前後の焼入れ焼戻し状態で供給される、いわゆる「プリハードン鋼」を直接荒加工−仕上げ加工して金型を製作することもある。最近では、製品納期を短縮するため、焼なまし状態で供給されたJIS鋼などの材料を、金型メーカー自身が焼入れ焼戻しして荒加工−仕上げ加工を連続して行なう、「直彫り加工」も普及しつつある。

上記の最も一般的な金型製造手順は、金型コストの低減という見地からも、納期の短縮や無人加工の拡大が求められるようになってきた現在、時代遅れなものと感じられる。プリハードン鋼の利用は、金型製作に要する時間が少なくて済むという利点はあるが、金型寿命が短く、ロット数の少ない用途にしか適用できないという問題がある。これは、従来のプリハード熱間工具鋼としては、SKD61の合金組成を基本として、それに被削性改善のためSを約0.1%添加したものが主に使われていることに起因する。合金組成から当然のことであるが、この鋼の中にはMnSが多量に生成しており、耐ヒートチェック性靭性、とくに鍛造圧延の方向に直角な、いわゆるT方向の靭性が低い。直彫り加工は、金型製作の所要時間は確かに短縮できるが、これも切削加工焼入れ焼戻し後に行なうものであるから、高硬度域切削であるなどの理由から、どうしても切削工具寿命が短く、工具費用が増加するという悩みがある。

このようなわけで、焼なまし状態はもちろん、焼入れ焼戻しの状態でも被削性が改善されており、かつ耐ヒートチェック性や靭性が高い、熱間塑性加工用の熱間工具鋼の実現が望まれていた。

この要望応えることを意図して研究した発明者らは、SKD61への添加元素の作用、および添加量の影響を調べ、つぎの事実を知った。すなわち、Sの添加量を0.030〜0.060%という、比較的低い範囲でコントロールすることにより、十分な被削性の改善が図れること、Sに対してZrを複合添加することにより、硫化物微細化と球状化が実現し、それにより、同じS量でも耐ヒートチェック性やT方向の靭性の低下が抑制されることである。さらに、Caをも添加することにより、硫化物のいっそうの微細化が行なわれ、特性の維持に有効であることもわかった。

概要

塑性加工用熱間工具、代表的には熱間鍛造用の金型を製造する材料であって、焼なまし状態でも、焼入れ焼戻し状態でも被削性が高く、耐ヒートチェック性および靭性の低下は従来品に比べて僅かであり、従って、従来品より切削に要する時間の短縮と費用の低減ができ、金型寿命の低下が少ないものを提供すること。

重量%で、C:0.25〜0.55%,Si:0.10〜0.70%,Mn:0.10〜2.0%,S:0.030%超過〜0.060%以下,Cr:3.0〜6.0%,Mo:0.3〜5.0%,V:0.01〜2.0%,Al:0.005〜0.050%およびZr:0.005〜0.050%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる合金組成の熱間工具鋼。これらの成分に加えて、Ca:0.005%以下を含有することが好ましい。

目的

従って本発明の目的は、このような新知見総合して、焼なまし状態でも、焼入れ焼戻し状態でも被削性が高く、しかも被削性と引き換えに生じる耐ヒートチェック性および靭性の低下は僅かであり、従って、従来品より切削に要する時間の大幅な短縮と費用の低減ができ、金型寿命の低下がわずかである塑性加工用の熱間工具鋼を提供することにある。また、すでにプリハードン鋼が使用されている成分系については、既存のプリハードン鋼に近い被削性を有し、それよりは製品金型の寿命が長い、塑性加工用の熱間工具鋼を提供するることにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

重量で、C:0.25〜0.55%,Si:0.10〜0.70%,Mn:0.10〜2.0%,S:0.030%超過〜0.060%以上,Cr:3.0〜6.0%,Mo:0.3〜5.0%,V:0.01〜2.0%,Al:0.005〜00.50%およびZr:0.005〜0.050%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる合金組成を有する塑性加工用熱間工具鋼

請求項2

請求項1に規定した合金成分に加えて、Ca:0.005%以下を含有する塑性加工用熱間工具鋼。

請求項3

請求項1または2に規定した合金成分に加えて、Ni:2.0%以下およびB:0.010%以下の1種または2種を含有する塑性加工用熱間工具鋼。

請求項4

請求項1または2に規定した合金成分に加えて、Co:5.0%以下およびCu:1.0%以下の1種または2種を含有する塑性加工用熱間工具鋼。

請求項5

請求項1または2のいずれかに規定した合金成分に加えて、Ti,NbおよびTaの1種または2種以上を、Ti%+(48/93)Nb%+(48/181)Ta%≦0.05%の範囲で含有する塑性加工用熱間工具鋼。

請求項6

請求項1または2のいずれかに規定した合金成分に加えて、W:0.6〜10.0%を、Mo+0.5W:0.3〜5.0%となるように含有する塑性加工用熱間工具鋼。

技術分野

0001

本発明は、熱間で行なう塑性加工のための工具、すなわち熱間鍛造金型熱間プレス型、熱間押出しダイスなどの材料として使用する熱間工具鋼に関する。本発明により、被削性金型寿命とのバランスがとれた熱間工具鋼が提供される。

背景技術

0002

上記した熱間の塑性加工に使用する工具類を製造するには、多くの場合、SKD61に代表されるJIS鋼種やその改良鋼が用いられている。これらの鋼は、一般に、焼なまし状態で供給され、荒加工ののち所定の硬さに焼入れ焼戻しをし、金型仕上げられている。金型の試作をする場合や、製品ロットが小さい場合は、SKD61の快削グレードを使用して、HRC40前後の焼入れ焼戻し状態で供給される、いわゆる「プリハードン鋼」を直接荒加工−仕上げ加工して金型を製作することもある。最近では、製品納期を短縮するため、焼なまし状態で供給されたJIS鋼などの材料を、金型メーカー自身が焼入れ焼戻しして荒加工−仕上げ加工を連続して行なう、「直彫り加工」も普及しつつある。

0003

上記の最も一般的な金型製造手順は、金型コストの低減という見地からも、納期の短縮や無人加工の拡大が求められるようになってきた現在、時代遅れなものと感じられる。プリハードン鋼の利用は、金型製作に要する時間が少なくて済むという利点はあるが、金型寿命が短く、ロット数の少ない用途にしか適用できないという問題がある。これは、従来のプリハードン熱間工具鋼としては、SKD61の合金組成を基本として、それに被削性改善のためSを約0.1%添加したものが主に使われていることに起因する。合金組成から当然のことであるが、この鋼の中にはMnSが多量に生成しており、耐ヒートチェック性靭性、とくに鍛造圧延の方向に直角な、いわゆるT方向の靭性が低い。直彫り加工は、金型製作の所要時間は確かに短縮できるが、これも切削加工焼入れ焼戻し後に行なうものであるから、高硬度域切削であるなどの理由から、どうしても切削工具寿命が短く、工具の費用が増加するという悩みがある。

0004

このようなわけで、焼なまし状態はもちろん、焼入れ焼戻しの状態でも被削性が改善されており、かつ耐ヒートチェック性や靭性が高い、熱間塑性加工用の熱間工具鋼の実現が望まれていた。

0005

この要望応えることを意図して研究した発明者らは、SKD61への添加元素の作用、および添加量の影響を調べ、つぎの事実を知った。すなわち、Sの添加量を0.030〜0.060%という、比較的低い範囲でコントロールすることにより、十分な被削性の改善が図れること、Sに対してZrを複合添加することにより、硫化物微細化と球状化が実現し、それにより、同じS量でも耐ヒートチェック性やT方向の靭性の低下が抑制されることである。さらに、Caをも添加することにより、硫化物のいっそうの微細化が行なわれ、特性の維持に有効であることもわかった。

発明が解決しようとする課題

0006

従って本発明の目的は、このような新知見総合して、焼なまし状態でも、焼入れ焼戻し状態でも被削性が高く、しかも被削性と引き換えに生じる耐ヒートチェック性および靭性の低下は僅かであり、従って、従来品より切削に要する時間の大幅な短縮と費用の低減ができ、金型寿命の低下がわずかである塑性加工用の熱間工具鋼を提供することにある。また、すでにプリハードン鋼が使用されている成分系については、既存のプリハードン鋼に近い被削性を有し、それよりは製品金型の寿命が長い、塑性加工用の熱間工具鋼を提供するることにある。

課題を解決するための手段

0007

上記の目的を達成する本発明の塑性加工用熱間工具鋼は、重量%で、C:0.25〜0.55%,Si:0.10〜0.70%,Mn:0.10〜2.0%,S:0.030%超過〜0.060%以下,Cr:3.0〜6.0%,Mo:0.3〜5.0%,V:0.01〜2.0%,Al:0.005〜00.50%およびZr:0.005〜0.050%を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなる合金組成を有する。

0008

本発明の塑性加工用熱間工具鋼は、上に規定した基本的な合金成分に加えて、下記のグループに属する任意添加元素の一つまたは二つ以上を含有することができる。
I)Ca:0.005%以下
II)Ni:2.0%以下およびB:0.010%以下の1種または2種
III)Co:5.0%以下、およびCu:1.0%以下の1種または2種
IV)Ti,NbおよびTaの1種または2種以上を、つぎの式を満たす範囲でTi%+(48/93)Nb%+(48/181)Ta%≦0.05%
V)W:0.6〜10.0%、ただし、Mo+0.5W:0.3〜5.0%となるように。

0009

以下に、基本的な合金組成を構成する成分の作用および組成範囲の限定理由を述べる。

0010

C:0.25〜0.55%
Cは硬さと耐摩耗性とを得るために必須の成分であって、熱間工具鋼に要求される十分な値を確保するには、0.25%以上の存在が必要である。過大な添加は、熱間強度を低下させるため、0.55%を上限とする。

0011

Si:0.10〜0.70%
Siは脱酸剤として必要であり、あまり少量であると被削性も悪くなるから、少なくとも0.10%は添加する。一方、Si量の増加は耐ヒートチェック性と靭性を低下させるから、0.70%までの添加に止める。

0012

Mn:0.10〜2.0%
Mnも脱酸剤として必要であるばかりか、焼入れ性および硬さの確保のために必要である。この効果を得るために、0.10%は必要な最低量である。一方、過度に添加すると加工性の低下を招く。この意味で、2.0%が上限である。

0013

S:0.030超過〜0.060%
MnとともにMnSを形成し、切削時の応力集中源となって被削性を高める働きをする。十分な被削性を得るためには、0.030%を超える添加が必要である。しかし、Sが多量に存在すると、耐ヒートチェック性とT方向の靭性とが著しく損なわれる元素であるから、上限として0.060%を設けた。

0014

Cr:3.0〜6.0%
Crは炭化物を形成して、マトリクス強化するとともに耐摩耗性を向上させること、および焼入れ性を確保する上でも重要な成分である。この効果は、3.0%以上の添加で得られる。あまり多量に添加すると、焼戻し軟化抵抗や熱間強度が低下するから、そのおそれのない限界である6.0%を上限に設定した。

0015

Mo:0.3〜5.0%
Moも炭化物を形成して、マトリクスを強化するとともに耐摩耗性を向上させること、および焼入れ性を確保する上でも重要な成分であることは、Crと同じである。この効果を得るには、0.3%以上の添加を要し、一方、多量のMoは靭性を低下させるから、5.0%を上限とした。

0016

V:0.01〜2.0%
Vもまた炭化物を形成して、マトリクスの強化と耐摩耗性の向上に役立つ。これに加えて、生成する炭化物が微細なために結晶粒の微細化をもたらし、靭性を高める作用もある。こうした効果は、0.01%以上の添加で認められる。過大な添加は、むしろ靭性をそこなうので、2.0%以内の添加量を選ぶ。

0017

Al:0.005〜0.050%
Alもまた、脱酸元素として必要である。加えて、微細な窒化物を形成して、結晶粒の微細化、ひいては靭性の向上に役立つ点は、Vと同様である。このような効果が認められるのは、0.005%という低い添加量からである。しかし、ある程度以上は添加量を増しても効果は飽和するので、その点を捉えて、0.050%を上限と定めた。

0018

Zr:0.005〜0.050%
前述したように、ZrをSと複合添加すると、硫化物系介在物が球状化し、それによって、Sの添加が引き起こす耐ヒートチェック性やT方向の靭性の低下が効果的に抑制される。この効果は少なくとも0.005%という少量の添加から見られるが、添加量の増大に伴って効果が飽和し、0.050%を超える添加は意義が乏しくなるので、これを上限とした。

0019

本発明の塑性加工用熱間工具鋼の好ましい態様で添加する、Caの働きと組成範囲の限定理由は、つぎのとおりである。

0020

Ca:0.005%以下
Caは微細な酸化物を形成し、これが硫化物の核となる。これが、S+Zrの複合添加の作用であるところの硫化物系介在物の微細化を助長するため、耐ヒートチェック性および靭性の低下を抑制するという効果が、いっそう高められる。従って、このような特性をさらに向上させたい場合は、添加することが推奨される。Ca添加の効果は少量で認められ、かつ、量を増しても飽和するから、上限として定めた0.005%までの範囲で、適切な添加量を選択するとよい。

0021

本発明の塑性加工用熱間工具鋼の変更態様で利用する、各種の任意添加元素の働きと組成範囲の限定理由は、つぎのとおりである。

0022

Ni:2.0%以下およびB:0.010%以下の1種または2種
これらの元素は、ともに焼入れ性の向上に役立つ。Niは、マトリクスの強化にも役立つ。ただし、あまり多量になると、Niは加工性を低下させ、Bは熱間加工性や靭性を損なうので、それぞれの上限として上記した、Niは2.0%、Bは0.010%までの範囲で、適量を選択すべきである。

0023

Co:5.0%以下およびCu:1.0%以下の1種または2種
これらの元素は、マトリクスの強化に有効である。過大な添加は、Coの場合は加工性を低下させ、Cuの場合は靭性を低下させるので、それぞれ上記した限度、すなわちCo:5.0%、Cu:1.0%以内の添加量を選ぶ。

0024

Ti,NbおよびTaの1種または2種以上を、下記の式を満たす範囲で
Ti%+(48/93)Nb%+(48/181)Ta%≦0.05%
これらの元素はいずれも微細な炭化物を形成し、結晶粒の微細化を通じて靭性の向上に寄与する。大量に添加しても効果が飽和するから、「Ti相当量」として上式で表される値が0.05%を超えない限度で添加する。

0025

W:0.6〜10.0%、ただし、Mo+0.5W:0.3〜5.0%
Wには、Moと同様に炭化物を形成してマトリクスを強化するとともに耐摩耗性を向上させ、かつ、焼入れ性を高めるという作用がある.従って、Moの一部をWで置き換えることができる。全部置き換えることも可能であるが、重量にして、WはMoの約2倍の量が必要になるから、得策でない。いずれにせよ、十分な強度および耐摩耗性の向上効果を確保するには、Mo+0.5Wが0.3%以上となるように添加しなければならない。過度の添加は靭性にとって有害であるから、5.0%までの添加に止める。

0026

SKD61系鋼(実施例1)、5%Cr−3%Mo系鋼(実施例2)およびSKD8系鋼(実施例3)を対象に、下記する共通の操作を行なった。

0027

まず、各表に記載の合金組成の鋼を真空誘導炉で溶製し、150kgインゴット鋳造した。各鋼のインゴットを1200℃に加熱して鍛造し、厚さ60mm、幅65mmの角棒とした。870℃に加熱して焼なましし、荒加工により、
シャルピー試験片(鍛造方向に直角な方向であるT方向から採取)、
ヒートチェック試験片、および
被削性試験片(焼入れ焼戻し材用および焼なまし材用)
を製造した。上記の試験片のうち、、およびのうちで焼入れ焼戻し材用の3種類については、表1に掲げる条件で焼入れ焼戻しし、それぞれ記載の硬さに調整した。

0028

表1 (焼入れ焼戻し条件と硬さ)
実施例 焼入れ焼戻し条件 硬さ(HRC)
1 1030℃×30分間−油冷→590〜650℃×1時間−空冷、2回 40〜48
2 1030℃×30分間−油冷→ 635℃×1時間−空冷、2回 45
3 1140℃×30分間−油冷→ 620℃×1時間−空冷、2回 48

0029

粗加工して得た試験片を精加工して、つぎの寸法の試験片とした。
シャルピー試験片(T方向):JIS3号
ヒートチェック試験片:径15mm×厚さ5mm
被削性試験片(焼入れ焼戻し材用および焼なまし材用):55mm×60mm×200mm
これらの試験片を用いた試験を、それぞれつぎのとおり行なった。
(シャルピー試験)常温における靭性を評価。
(ヒートチェック試験)高周波加熱および水冷を繰り返すことにより、室温と700℃の高温との間を往復する加熱・冷却を1200回繰り返し、試験片の外周部に生じるクラックの平均深さで評価。
(被削性試験) 焼なまし材、焼入れ焼戻し材とも、超硬エンドミルで切削を行ない、逃げ面摩耗幅が0.3mmとなるまでの切削長を測定。切削条件は次のとおり。
工 具:超硬エンドミル、1刃切削幅:1mm 切削深さ:3mm
切削速度:100m/min.送り:0.05mm/刃切削油:乾式

0030

[実施例1]SKD61系
合金組成は、表2(発明鋼)および表3(従来鋼および比較鋼)に記載のとおりである。従来鋼1はSDK61と、また従来鋼2は市販のプリハードン鋼と、同じ組成の材料である。したがって、従来鋼2については、焼きなまし材の被削性は評価してない。なお、従来鋼2は市販品と同様な硬さとなるよう、HRC40に硬さを調節した。発明鋼7および従来鋼1については、硬さを変化させて特性を評価した。

0031

表2 発明鋼(重量%)
No. C Si Mn S Cr Mo V Al Zr Ca その他
1 0.39 0.56 0.44 0.032 5.29 1.20 0.85 0.017 0.030 - -
2 0.37 0.55 0.45 0.040 5.30 1.19 0.84 0.016 0.031 - -
3 0.39 0.55 0.44 0.058 5.29 1.20 0.85 0.015 0.029 - -
4 0.37 0.56 0.64 0.040 5.33 1.20 0.85 0.016 0.008 - -
5 0.38 0.55 0.65 0.039 5.30 1.21 0.85 0.015 0.23 - -
6 0.37 0.54 0.65 0.040 5.27 1.21 0.85 0.017 0.46 - -
7 0.38 0.54 0.64 0.039 5.28 1.20 0.85 0.017 0.030 0.0037 -
8 0.40 0.55 0.65 0.040 5.31 1.21 0.84 0.013 0.029 - Ni:1.1
9 0.39 0.54 0.64 0.032 5.30 1.18 0.86 0.016 0.031 - B:0.005
10 0.38 0.54 0.65 0.041 5.39 1.19 0.85 0.015 0.030 - Cu:0.25
11 0.38 0.55 0.65 0.039 5.30 1.20 0.84 0.016 0.032 - Ti:0.03
12 0.37 0.55 0.64 0.041 5.30 1.22 0.85 0.015 0.031 - Nb:0.09
13 0.38 0.56 0.65 0.041 5.31 1.20 0.85 0.018 0.033 - Ta:0.18
14 0.38 0.55 0.65 0.040 5.31 - 0.85 0.015 0.030 - W:2.41
15 0.39 0.55 0.67 0.038 5.30 0.59 0.85 0.007 0.028 0.0007 Ni:0.4
B:0.004 Co:0.5
Cu:0.15 Ti:0.02
Nb:0.02 Ta:0.03
W:1.23

0032

表3 従来鋼および比較鋼(重量%)
No. C Si Mn S Cr Mo V Al Zr その他
従来鋼1 0.38 0.91 0.46 0.001 5.29 1.20 0.83 0.014 - -
2 0.38 0.92 0.45 0.13 4.95 1.05 0.48 0.013 - -
比較鋼1 0.38 0.55 0.43 0.020 5.30 1.21 0.85 0.013 0.028 -
2 0.38 0.56 0.45 0.065 5.28 1.19 0.84 0.018 0.033 -
3 0.37 0.54 0.45 0.041 5.31 1.19 0.84 0.017 -
4 0.38 0.53 0.64 0.041 5.30 1.20 0.85 0.016 0.65 -

0033

試験結果は、表4(発明鋼)および表5(従来鋼および比較鋼)に示すとおりである。

0034

表4 発明鋼
No.焼なまし材焼入れ焼戻し材
被削性硬 さシャルピー値ヒートチェ被削性
(mm) (HRC) (T:J/cm2) ック性(μm) (mm)
1 7900 45 31 25 5600
2 8200 45 29 26 6100
3 8800 45 27 32 6600
4 8200 45 27 32 6200
5 8200 45 32 24 6100
6 8000 45 31 28 6100
7a 8300 40 36 27 6700
7b 8300 45 32 25 6000
7c 8300 48 30 24 5000
8 7900 45 30 28 6100
9 8400 45 32 26 6300
10 8300 45 29 27 6000
11 8500 45 30 25 5800
12 8200 45 31 26 5900
13 8100 45 31 25 6200
14 7900 45 31 26 6000
15 8000 45 30 27 5800

0035

表5 従来鋼および比較鋼
No.焼なまし材焼入れ焼戻し材
被削性硬 さシャルピー値耐ヒートチェ被削性
(mm) (HRC) (T:J/cm2) ック性(μm) (mm)
従来鋼1a 2600 40 39 24 1300
1b 2600 45 35 22 1200
1c 2600 48 30 21 1100
2 測定してない 40 10 78 7000
比較鋼1 6500 45 34 21 4400
2 9200 45 23 38 6800
3 8400 45 25 35 5900
4 8100 45 25 37 6000

0036

表4および表5の試験結果に見られるように、本発明において目標とした性能レベルが、同一硬さにおいて、それぞれつぎのように達成することができた。焼なまし材の被削性:従来鋼1b(SKD61)の焼なまし材の被削性(2600mm)より300%以上高いことが確認された。
靭 性:従来鋼1bにくらべ、シャルピー衝撃値(35J/cm2)の低下が25%以内であることが確認された。
耐ヒートチェック性:従来鋼1bにくらべ、耐ヒートチェック性(22μm)の低下が50%以内であることが確認された。
焼入れ焼戻し材の被削性:従来鋼1bの焼入れ焼戻し材の被削性(1200mm)より400%以上高く、かつ、従来鋼2(SKD61系プリハードン鋼)の被削性(7000mm)の75%以上の被削性を確保できることが確認された。

0037

[実施例2] 5%Cr−3%Mo系鋼
合金組成は、表6(発明鋼および比較鋼)に記載のとおり。

0038

表6 発明鋼および比較鋼(重量%)
No. C Si Mn S Cr Mo V Al Zr Ca
発明鋼1 0.32 0.17 0.74 0.039 5.50 3.00 0.85 0.014 0.031 -
2 0.33 0.16 0.75 0.040 5.50 3.01 0.85 0.014 0.030 0.0013
比較鋼 0.33 0.17 0.75 0.001 5.51 2.99 0.85 0.013 - -

0039

試験結果は、表7(発明鋼および比較鋼)に示すとおりである。

0040

表7 発明鋼および比較鋼
No.焼なまし材焼入れ焼戻し材
被削性硬 さシャルピー値耐ヒートチェ被削性
(mm) (HRC) (T:J/cm2) ック性(μm) (mm)
発明鋼1 4700 45 36 14 3300
2 4600 45 37 15 3300
比較鋼 1500 45 40 10 800

0041

本発明を5%Cr−3%Mo鋼に適用した場合も、焼なまし材はむろん焼入れ焼戻し材においても、靭性や耐ヒートチェック性を損なうことなく、良好な被削性が得られることが確認できた。

0042

[実施例3]SKD8系鋼
合金組成は、表8(発明鋼および比較鋼)に記載のとおり。

0043

表8 発明鋼および比較鋼(重量%)
No. C Si Mn S Cr Mo V Al Zr その他
発明鋼1 0.41 0.30 0.39 0.041 4.19 0.36 2.05 0.015 0.027 W:4.24
Co:4.26
2 0.40 0.30 0.41 0.040 4.21 0.35 2.06 0.015 0.032 Ca:0.0011
W:4.25 Co:4.25
比較鋼 0.40 0.29 0.39 0.001 4.19 0.37 2.05 0.015 - W:4.22
Co:4.26

0044

試験結果は、表9(発明鋼および比較鋼)に示すとおりである。

0045

表9 発明鋼および比較鋼
No.焼なまし材焼入れ焼戻し材
被削性硬 さシャルピー値耐ヒートチェ被削性
(mm) (HRC) (T:J/cm2) ック性(μm) (mm)
発明鋼1 5200 48 22 40 3900
2 5100 48 23 39 3800
比較鋼 1900 48 25 35 900
本発明は、SKD8系鋼を対象にした場合にも、5%Cr−3%Mo鋼に適用した場合と同様な効果が得られることが確認できた。

発明の効果

0046

本発明の塑性加工用熱間工具鋼は、ベースとした在来工具鋼にくらべ、焼入れ焼戻し状態での特性が若干低くなるが、焼なまし材はもちろん、焼入れ焼戻し材においても被削性がすぐれている。SKD61系鋼の場合、既存のプリハードン鋼に近い被削性を示すが、その他の特性は、プリハードン鋼にくらべて、はるかに高い。

0047

通常の工程すなわち、焼なまし→粗加工→焼入れ焼戻し→精加工の手順で金型を製造する場合にくらべて、金型寿命が若干短くなることがあるが、上記の特性を利用して、金型納期の短縮や、コストの低減という要望にこたえることができる。

0048

高い被削性をもつ本発明の工具鋼は、鉄鋼メーカーで焼入れ焼戻しをして、プリハードン鋼として出荷することができる。SKD61系鋼の場合、従来のプリハードン鋼にくらべて被削性は少し劣るが、金型寿命に関してはすぐれているから、比較的ロット数の多い場合に、有利に使用できる。この場合、硬さは、従来のプリハードン鋼と同様に、被削性が良好なHRC38〜43程度に調節することが推奨される。

0049

本発明の熱間工具鋼を直彫り加工による金型の製作に使用したとき、金型寿命が若干短くなることがあるが、焼入れ焼戻し材の被削性がよいため、加工時間や加工費が大幅に削減できる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

該当するデータがありません

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

この 技術と関連性が強い技術

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い法人

該当するデータがありません

この 技術と関連性が強い人物

該当するデータがありません

この 技術と関連する社会課題

該当するデータがありません

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ