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※この項目の情報は公開日時点(2002年3月27日)のものです。
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課題
解決手段
概要
背景
近年、塩素及びフッ素を含む化合物は種々のフッ素含有製品の合成中間体や原料として脚光を浴びており、例えば、界面活性剤、農薬、医薬品などの原料として広く用いられている。従来、含フッ素エーテルの製造方法としては、エーテル化合物をフッ素化する方法とフッ素原子を含む化合物を種々の方法で反応させてエーテル化合物にする方法とに大別できる。前者には、エーテル化合物のフッ素ガスによるフッ素化(A.Sekiya et al., Chem.Lett., 1990, 609;あるいはR.J.Lagow et al., J.Org.Chem.,53, 78, (1988))、エーテル化合物の金属フッ化物等を用いる間接フッ素化(M.Brandwood et al., J.Fluorine Chem.,5, 521 (1975))、エーテル化合物の電解フッ素化(T,Abe et al., J.Fluroine Chem., 15, 353 (1980))等がある。後者には、含フッ素オレフィンへのアルコールの付加反応(R.D.Chambers et al., Adv.Fluorine Chem., 4, 50 (1965))、アルコールとハロゲン化アルキルとの反応(J.A.Young et al., J.Am.Chem.Soc., 72, 1860 (1950))、含フッ素アルコールとスルホン酸エステルとの反応(英国特許明細書 第814493号)、酸フルオリドとスルホン酸エステルとの反応(独国特許明細書 第1294949号)等の多様な反応が知られている。しかしながら1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンはこれまでいずれの方法でも製造されていない。
概要
フッ素を含むエーテル化合物である1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンと、それを容易に入手可能な原料を用いて高収率で経済的に製造する方法を提供する。
1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエタンを、無水フッ化水素酸及び/又は金属フッ化物と反応させることを特徴とする1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンの製造方法。
目的
本発明は、新規な塩素及びフッ素を含むエーテル化合物である1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンと、それを容易に入手可能な原料を用いて高収率で経済的に製造する方法を提供することをその課題とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
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技術分野
0001
本発明は、新規な合成中間体である1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタン及びその製造方法に関するものである。さらに詳しく言えば、本発明は、界面活性剤、農薬、医薬品などのフッ素含有製品の合成中間体などとして有用な新規な1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンと、それを容易に入手可能な原料を用いて高収率で経済的に製造する方法に関するものである。
背景技術
0002
近年、塩素及びフッ素を含む化合物は種々のフッ素含有製品の合成中間体や原料として脚光を浴びており、例えば、界面活性剤、農薬、医薬品などの原料として広く用いられている。従来、含フッ素エーテルの製造方法としては、エーテル化合物をフッ素化する方法とフッ素原子を含む化合物を種々の方法で反応させてエーテル化合物にする方法とに大別できる。前者には、エーテル化合物のフッ素ガスによるフッ素化(A.Sekiya et al., Chem.Lett., 1990, 609;あるいはR.J.Lagow et al., J.Org.Chem.,53, 78, (1988))、エーテル化合物の金属フッ化物等を用いる間接フッ素化(M.Brandwood et al., J.Fluorine Chem.,5, 521 (1975))、エーテル化合物の電解フッ素化(T,Abe et al., J.Fluroine Chem., 15, 353 (1980))等がある。後者には、含フッ素オレフィンへのアルコールの付加反応(R.D.Chambers et al., Adv.Fluorine Chem., 4, 50 (1965))、アルコールとハロゲン化アルキルとの反応(J.A.Young et al., J.Am.Chem.Soc., 72, 1860 (1950))、含フッ素アルコールとスルホン酸エステルとの反応(英国特許明細書 第814493号)、酸フルオリドとスルホン酸エステルとの反応(独国特許明細書 第1294949号)等の多様な反応が知られている。しかしながら1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンはこれまでいずれの方法でも製造されていない。
発明が解決しようとする課題
0003
本発明は、新規な塩素及びフッ素を含むエーテル化合物である1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンと、それを容易に入手可能な原料を用いて高収率で経済的に製造する方法を提供することをその課題とする。
課題を解決するための手段
0004
本発明者は前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、新規な1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンを見いだし、また、この化合物が1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエタンを無水フッ化水素酸および金属フッ化物の少なくともどちらかと反応させることにより製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。即ち、本発明によれば、1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンが提供される。また、本発明によれば、1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエタンを、無水フッ化水素酸及び/又は金属フッ化物と反応させることを特徴とする1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンの製造方法が提供される。
発明を実施するための最良の形態
0005
本発明によれば、1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエタンを無水フッ化水素酸および金属フッ化物の少なくともどちらかと反応させることにより、新規な含フッ素エーテルである1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンが製造できる。本発明で用いる1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエタンは、1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエテンの塩素化反応により容易に合成される。例えば、1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエテンに等モルの塩素を加え、室温下で数分攪拌することにより収率99%とほぼ定量的に合成することができる。またこの反応は光照射しながら反応を行ってもよい。
0006
本発明の反応を無水フッ化水素酸を用いて反応を行う場合の1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエタンと無水フッ化水素酸との割合は、反応条件により一概に決定されないが、通常、1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエタン1モル当り、無水フッ化水素酸0.1〜20モル、好ましくは1〜10モルの割合である。この反応はフッ化水素酸に触媒を添加することにより、より効率的に反応を進行させることができる。このような触媒としては、ニッケル、マンガン、アンチモン、亜鉛、鉄、クロム、コバルトの金属フッ化物が挙げられる。また、このような金属の塩化物は無水フッ化水素酸により容易にフッ素化されるので、同様に用いることができる。このような金属フッ化物や塩化物は2種類以上を組み合わせても問題ない。この触媒の使用量は特に限定されるものではないが、無水フッ化水素酸1モル当り、0.0001〜100モル、好ましくは0.1〜10モルの割合である。特に、このような触媒を多孔性金属フッ化物に担持させて反応を行うことにより、分解物の生成を減少させ、より効率的に反応を進行させることができる。多孔性金属フッ化物としては、多孔性フッ化アルミニウム、多孔性フッ化クロムなどがあげられる。その比表面積は5m2/g以上、好ましくは30m2/g以上、さらに好ましくは50m2/g以上である。その使用量は特に制限されるものではないが、原料の1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエタン1mmolに対して0.1〜100g、好ましくは1〜10gの範囲である。
0007
金属フッ化物を用いて反応を行う場合の1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエタンと金属フッ化物との割合は、反応条件により一概に決定されないが、通常1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエタン1モル当り、金属フッ化物、1から100モル、好ましくは2から5モルの割合である。この反応に用いる金属フッ化物としては、2フッ化ニッケル、2フッ化マンガン、3フッ化アンチモン、5フッ化アンチモン、2フッ化亜鉛、2フッ化鉄、3フッ化クロム、3フッ化コバルト、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化ルビジウム、フッ化セシウムが挙げられ、2種類以上を組み合わせても問題ない。
0008
本発明の反応における反応温度は、通常室温から400℃、好ましくは100℃から300℃である。その反応時間は、反応条件などにより一概に決定できないが、数時間から数十時間あれば、反応はほぼ完結する。本発明の反応において溶媒は必要ないが、反応条件下でフッ化水素酸や金属フッ化物と反応しない溶媒を用いてもよい。
0009
本発明の反応はバッチ式に限らず、フロー式でも行うことができる。本発明の1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンの製造例を実施例を挙げて説明する。もちろん、本発明は以下の例によって限定されるものではない。
0010
実施例1
ステンレススチール製反応管に3フッ化コバルトを担持した多孔性フッ化アルミニウム(比表面積75m2/g)3gを入れ、真空ラインを用いて1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエタン1mmolと無水フッ化水素酸6.0mmolを加えた。反応器を200℃に加熱して1時間反応を行った。未反応の無水フッ化水素酸はフッ化ナトリウムにより除去した。反応により得られた粗組成生物を1H−NMR、19F−NMRおよびGC−MSにより測定した結果、GC面積比で85%の1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンを得た。生成物の1H−NMR、19F−NMRおよびMSデータを以下に示す。なお、1H−NMRおよび19F−NMRスペクトルの測定には、溶媒に重クロロホルムを用い、内部標準物質としてそれぞれテトラメチルシランとクロロトリフルオロメタンを用いた。
0011
(1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタン)
1H−NMR(CDCl3)、3.73(3H、s)
19F−NMR(CFCl3)、−73.11(2F、m)、?93.07(2F、m)GC−MS、m/e165(M−H)、147(M−F)、131(CH3OCF2CF2)、81(CH3OCF2)、15(CH3)
0012
実施例2
多孔性フッ化アルミニウムを3フッ化コバルトと3フッ化クロムを担持したものに替えた以外は実施例1と同様に反応を行った。反応により得られた粗組成生物を1H−NMR、19F−NMRおよびGC−MSにより測定した結果、GC面積比で14%の1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンを得た。
0013
実施例3
多孔性フッ化アルミニウムを3フッ化クロムを担持したものに替えた以外は実施例1と同様に反応を行った。反応により得られた粗組成生物を1H−NMR、19F−NMRおよびGC−MSにより結果、GC面積比で46%の1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンを得た。
0014
実施例4
ステンレススチール製反応管に3フッ化アンチモン2.7gを入れ、真空ラインを用いて1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエタン5.7gを加えた。反応器を200℃に加熱して5時間反応を行った。反応により得られた5.2gの粗組成生物を1H−NMR、19F−NMRおよびGC−MSにより測定した結果、GC面積比で94%の1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンを得た。
発明の効果
0015
本発明によれば、容易に入手可能な1,2−ジクロロ−1,1,2−トリフロロ−2−メトキシエタンを無水フッ化水素酸及び金属フッ化物の少なくともどちらかと反応させることにより、新規な含フッ素エーテルである1−クロロ−1,1,2,2−テトラフロロ−2−メトキシエタンが製造できる。このものは界面活性剤、農薬、医薬品などのフッ素含有製品の合成中間体などとして有用である。
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