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技術 溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 平澤淳一郎宮崎淳村木峰男佐藤進
出願日 2001年6月18日 (20年2ヶ月経過) 出願番号 2001-182786
公開日 2002年3月22日 (19年5ヶ月経過) 公開番号 2002-080943
状態 特許登録済
技術分野
  • -
主要キーワード 側面溶接 複合添加効果 りん化物 高温疲労特性 高温疲労 高温疲労試験 円筒カップ 疲労割れ
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図面 (6)

課題

溶接部耐二次加工脆性および高温疲労特性の両特性を兼ね備えたフェライト系ステンレス鋼を提供する。

解決手段

フェライト系ステンレス鋼において、Co,VおよびBをそれぞれ

Co:0.01〜0.3 mass%、

V:0.01〜0.3 mass%および

B:0.0002〜0.0050mass%

の範囲で複合含有させる。

概要

背景

複雑な曲げ加工拡管縮径加工を施された溶接管を、例えば自動車エキゾーストマニホールドに使用した場合、二次加工を受けて脆化した溶接部割れが生じたり、あるいは溶接部が高温での強度不足のため使用中に疲労割れを起こすという問題があった。このように、母材よりも溶接部で割れが生じ易い理由は、溶接時の入熱による溶接部の結晶粒の粗大化によって、 溶接部の靱性および強度が低下することが主な原因である。

上記の問題を解決するものとして、特開平11−172369号公報には、溶接部の高温疲労特性に優れたCr含有フェライト鋼として、Al2O3介在物を低減した成分系が提案されている。しかしながら、この鋼種の、溶接部割れのもう一つの原因である二次加工脆化に対する性能は十分とはいえず、高温疲労特性は良好であっても、二次加工脆化によって割れを起こす場合があった。また、Al2O3 介在物を低減するには、製鋼工程でSiやMnを脱酸剤としなければならず、脱酸剤として広く使われているAlを使用することができないという、製造上の制約もあった。

また、特開平7−126812号公報には、りん化物のサイズおよび量を制御することによって、耐二次加工脆性を改善したフェライト系ステンレス鋼が提案されている。しかしながら、Pを添加すると溶接部の靱性劣化が避けられない。これは、溶接時の入熱により、 溶接部の結晶粒界にPが偏析したためと考えられる。また、溶接部の高温疲労特性は、りん化物の制御によっては向上せず、従って高温疲労割れを防止することはできなかった。

上述したように、溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性を改善することについては、これまで種々の提案がなされているが、両特性を兼ね備えたフェライト系ステンレス鋼については現在までのところ見出されておらず、その開発が望まれていた。

概要

溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性の両特性を兼ね備えたフェライト系ステンレス鋼を提供する。

フェライト系ステンレス鋼において、Co,VおよびBをそれぞれ

Co:0.01〜0.3 mass%、

V:0.01〜0.3 mass%および

B:0.0002〜0.0050mass%

の範囲で複合含有させる。

目的

本発明は、上記の要望に有利に応えるもので、鋼成分の適正化を図ることによって、溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性の両者を併せて改善したフェライト系ステンレス鋼を提案することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

質量百分率で、C:0.02%以下、Si:0.2 〜1.0 %、Mn:1.5 %以下、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Cr:11.0〜20.0%、Ni:1.0 %以下、Mo:1.0 〜2.0 %、Al:1.0 %以下、Nb:0.2 〜0.8 %、N:0.02%以下、Co:0.01〜0.3 %、V:0.01〜0.3 %およびB:0.0002〜0.0050%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物組成になることを特徴とする、溶接部耐二次加工脆性および高温疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼

請求項2

請求項1において、Co, VおよびB量が、次式0.1 ≦〔Co〕+ 0.5×〔V〕+ 100×〔B〕≦ 0.5ここで、〔M〕はM元素含有量(質量百分率)の範囲を満足することを特徴とする、フェライト系ステンレス鋼。

請求項3

請求項1または2において、質量百分率で、さらにTi:0.5 %以下、Zr:0.5 %以下およびTa:0.5 %以下のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、フェライト系ステンレス鋼。

請求項4

請求項1〜3のいずれかにおいて、質量百分率で、さらにCu:2.0 %以下を含有する組成になることを特徴とする、フェライト系ステンレス鋼。

請求項5

請求項1〜4のいずれかにおいて、質量百分率で、さらにW:1.0 %以下およびMg:0.1 %以下のうちから選んだ1種または2種を含有する組成になることを特徴とする、フェライト系ステンレス鋼。

請求項6

請求項1〜5のいずれかにおいて、質量百分率で、さらにCa:0.005 %以下を含有する組成になることを特徴とする、フェライト系ステンレス鋼。

技術分野

0001

本発明は、溶接管あるいは溶接した鋼板成形加工して使用する用途に供して好適な、溶接部耐二次加工脆性および高温疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼に関するものである。

0002

ここで二次加工とは、 例えば溶接管を曲げ加工一次加工)したのち、 さらにそれを拡管する(二次加工)場合のように、2回以上の成形加工を特定箇所に施すことをいう。フェライト系ステンレス鋼は、このような二次加工を施した際に、脆化割れを生じる場合が良く見受けられる。また、高温疲労とは、600 ℃以上の高温での繰り返し曲げによって材料が疲労破壊する現象である。溶接部で二次加工と高温疲労を受ける例として、例えば自動車排ガス系部品がある。その中でも加工が厳しく、かつエンジンからの排ガスで 600℃以上の高温に加熱された状態で激しい振動を受けるエキゾーストマニホールド図1参照)はその最たるものであり、本発明は例えばこのような部材に用いて好適なものである。

背景技術

0003

複雑な曲げ加工や拡管、縮径加工を施された溶接管を、例えば自動車のエキゾースト・マニホールドに使用した場合、二次加工を受けて脆化した溶接部で割れが生じたり、あるいは溶接部が高温での強度不足のため使用中に疲労割れを起こすという問題があった。このように、母材よりも溶接部で割れが生じ易い理由は、溶接時の入熱による溶接部の結晶粒の粗大化によって、 溶接部の靱性および強度が低下することが主な原因である。

0004

上記の問題を解決するものとして、特開平11−172369号公報には、溶接部の高温疲労特性に優れたCr含有フェライト鋼として、Al2O3介在物を低減した成分系が提案されている。しかしながら、この鋼種の、溶接部割れのもう一つの原因である二次加工脆化に対する性能は十分とはいえず、高温疲労特性は良好であっても、二次加工脆化によって割れを起こす場合があった。また、Al2O3 介在物を低減するには、製鋼工程でSiやMnを脱酸剤としなければならず、脱酸剤として広く使われているAlを使用することができないという、製造上の制約もあった。

0005

また、特開平7−126812号公報には、りん化物のサイズおよび量を制御することによって、耐二次加工脆性を改善したフェライト系ステンレス鋼が提案されている。しかしながら、Pを添加すると溶接部の靱性劣化が避けられない。これは、溶接時の入熱により、 溶接部の結晶粒界にPが偏析したためと考えられる。また、溶接部の高温疲労特性は、りん化物の制御によっては向上せず、従って高温疲労割れを防止することはできなかった。

0006

上述したように、溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性を改善することについては、これまで種々の提案がなされているが、両特性を兼ね備えたフェライト系ステンレス鋼については現在までのところ見出されておらず、その開発が望まれていた。

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、上記の要望に有利に応えるもので、鋼成分の適正化を図ることによって、溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性の両者を併せて改善したフェライト系ステンレス鋼を提案することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

さて、発明者らは、 上記の目的を達成すべく、フェライト系ステンレス鋼の溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性に及ぼす各種添加元素の影響について綿密な検討を行った。その結果、 微量のCo,VおよびBを複合添加することによって、溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性が同時に顕著に向上することが新たに見出された。

0009

図2に、溶接部の二次加工脆性遷移温度に及ぼす、 Co,VおよびBの影響について調べた結果を整理して示す。同図に示したとおり、Co,VおよびBの3元素を複合添加した場合には、いずれか2元素しか添加しなかった場合と比較して、脆性遷移温度が低下しており、より低温で使用しても脆化割れが起こらないことを示している。特に、これらの元素の含有量が、次式
0.1 ≦〔Co〕+ 0.5×〔V〕+ 100×〔B〕≦ 0.5
ここで、〔M〕はM元素の含有量(質量百分率)の範囲を満足する場合には、一層低い脆性遷移温度が得られている。

0010

同様に、溶接部の高温疲労特性とCo,VおよびBとの関係についても調査したところ、これに対してもCo,V,Bの複合添加は効果があることが判明した。図3に、溶接部の高温疲労特性(107疲労限:107 回曲げを繰り返しても疲労割れが生じない最高曲げ応力)に及ぼす、 Co,VおよびBの影響について調べた結果を整理して示す。同図に示したとおり、Co,VおよびBの3元素を複合添加した場合には、いずれか2元素しか添加しなかった場合と比較して、107 疲労限が向上し、より高い繰り返し曲げ応力に耐えられることを示している。特に、これらの元素の含有量が、次式0.1 ≦〔Co〕+ 0.5×〔V〕+ 100×〔B〕≦ 0.5の範囲を満足する場合には、より高い 107疲労限を得ることができた。本発明は、上記の知見に立脚するものである。

0011

すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量百分率で、C:0.02%以下、Si:0.2 〜1.0 %、Mn:1.5 %以下、P:0.04%以下、S:0.01%以下、Cr:11.0〜20.0%、Ni:1.0 %以下、Mo:1.0 〜2.0 %、Al:1.0 %以下、Nb:0.2 〜0.8 %、N:0.02%以下、Co:0.01〜0.3 %、V:0.01〜0.3 %およびB:0.0002〜0.0050%を含有し、残部はFeおよび不可避的不純物組成になることを特徴とする、溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性に優れたフェライト系ステンレス鋼。

0012

2.上記1において、Co, VおよびB量が、次式
0.1 ≦〔Co〕+ 0.5×〔V〕+ 100×〔B〕≦ 0.5
ここで、〔M〕はM元素の含有量(質量百分率)の範囲を満足することを特徴とする、フェライト系ステンレス鋼。

0013

3.上記1または2において、質量百分率で、さらに
Ti:0.5 %以下、
Zr:0.5 %以下および
Ta:0.5 %以下
のうちから選んだ1種または2種以上を含有する組成になることを特徴とする、フェライト系ステンレス鋼。

0014

4.上記1〜3のいずれかにおいて、質量百分率で、さらに
Cu:2.0 %以下
を含有する組成になることを特徴とする、フェライト系ステンレス鋼。

0015

5.上記1〜4のいずれかにおいて、質量百分率で、さらに
W:1.0 %以下および
Mg:0.1 %以下
のうちから選んだ1種または2種を含有する組成になることを特徴とする、フェライト系ステンレス鋼。

0016

6.上記1〜5のいずれかにおいて、質量百分率で、さらに
Ca:0.005 %以下
を含有する組成になることを特徴とする、フェライト系ステンレス鋼。

発明を実施するための最良の形態

0017

以下、 本発明のフェライト系ステンレス鋼(以下、単に本発明鋼という) について具体的に説明する。まず、本発明鋼の成分組成を上記の範囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量百分率(mass%)を意味する。
C:0.02%以下
本発明鋼において、Cは、適量であれば粒界強化し、溶接部の耐二次加工脆性を向上させる作用があるが、含有量が増大し炭化物となって粒界に析出するようになると耐二次加工脆性に悪影響を及ぼす。特に含有量が0.02%を超えると、その悪影響が顕著となるので、C量は0.02%以下に限定した。特に、耐二次加工脆性の向上の観点から好適な含有量は 0.003%<C≦0.01%の範囲である。

0018

Si:0.2 〜1.0 %
Siは、高強度化に有効に寄与し、それによって高温疲労特性を向上させる有用元素である。この効果を得るためには、少なくとも 0.2%の含有が必要であるが、 1.0%を超えると鋼を脆化させ溶接部の耐二次加工脆性を劣化させるので、Si量は 0.2〜1.0 の範囲に限定した。溶接部の耐二次加工脆性の向上の観点からは0.6%以下とすることが望ましい。

0019

Mn:1.5 %以下
Mnは、耐酸化性の改善に有効であることから、高温で使用する材料に含有させると有効な元素である。 しかしながら、過剰に含有されると鋼の靱性だけでなく、溶接部の耐二次加工脆性を劣化させることから 1.5%以下に限定した。溶接部の耐二次加工脆性の向上の観点からは 0.5%以下とすることが望ましい。また、耐酸化性を改善させる観点からは、その含有量は 0.1%以上とすることが好ましい。

0020

P:0.04%以下
Pは、粒界に偏析し易く、 後述するBの粒界強化の効果を低減させる。 従ってできる限り低い方が溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性の面で有効である。しかしながら、あまりに低くすることは製鋼のコストの上昇を招くため0.04%を上限とした。

0021

S:0.01%以下
S量が低い方が、ステンレス鋼の特徴である耐食性は向上するが、製鋼時の脱S処理にかかる経済的制約から、 S量は0.01%以下とした。

0022

Cr:11.0〜20.0%
Crは、高温強度、耐酸化性および耐食性の向上に有効な元素であり、十分な高温強度、 耐酸化性および耐食性を得るためには少なくとも11.0%の含有が必要である。一方、Crは、鋼の靱性を劣化させ、 特に20.0%を超えて含有させると靱性の劣化が著しく、溶接部の耐二次加工脆性をも劣化させるので、Cr量は11.0〜20.0%の範囲に限定した。特に、溶接部の高温疲労特性向上の観点からは14.0%以上、一方溶接部の耐二次加工脆性向上の観点からは16.0%以下とすることが好適である。

0023

Ni:1.0 %以下
Niは、ステンレス鋼の特徴である耐食性を向上させるので 1.0%以下の範囲で含有させる。というのは、1.0 %を超えて含有させると鋼が硬質化し、溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性に悪影響を及ぼすからである。 なお、耐食性向上の観点からは、Ni含有量は 0.1%以上とすることが好ましい。

0024

Mo:1.0 〜2.0 %
Moは、高温強度および耐食性の向上に有効な元素であり、十分な高温強度および耐食性を得るためには少なくとも 1.0%の含有が必要である。一方 2.0%を超えて含有されると靱性が劣化し、 また溶接部の耐二次加工脆性も劣化するので、Mo量は 1.0〜2.0 %の範囲に限定した。なお、溶接部の高温疲労特性向上の観点からは 1.5%以上含有させることが好ましい。

0025

Al:1.0 %以下
Alは、製鋼上、脱酸剤として必要な元素であるが、過度の添加は介在物の生成により耐二次加工脆性の劣化を招くので、1.0 %以下に限定した。耐二次加工脆性向上の観点からは 0.1%以下とすることが好ましい。

0026

Nb:0.2 〜0.8 %
Nbは、高温強度の向上に有効な元素であり、十分な高温強度を得るためには少なくとも 0.2%の含有が必要である。一方 0.8%を超えて含有されると靱性が劣化し、また溶接部の耐二次加工脆性も劣化するので、Nbは 0.2〜0.8 %の範囲に限定した。特に、溶接部の高温疲労特性向上の観点からは 0.4%超え、一方耐二次加工脆性向上の観点からは 0.6%以下とすることが好ましい。

0027

N:0.02%以下
Nは、適当量であれば粒界を強化し耐二次加工脆性を向上させる働きがあるが、窒化物となって粒界に析出すると耐二次加工脆性に悪影響を及ぼすようになる。特に0.02%を超えるとその悪影響が顕著となるので、N量は0.02%以下に限定した。溶接部の耐二次加工脆性の向上の観点からは0.01%以下とすることが望ましい。

0028

Co:0.01〜0.3 %、 V:0.01〜0.3 %、B:0.0002〜0.0050%
Co,VおよびBは、複合添加することによって、溶接部の耐二次加工脆性のみならず、高温疲労特性を顕著に向上させる。 その効果は、 Co,Vについてはそれぞれ0.01%以上、 Bについては0.0002%以上で発揮される。 特に優れた効果を得るためには、Co:0.02%以上、V:0.05%以上、 B:0.0005%以上で含有させることが好ましい。 一方、Coが 0.3%超え、 Vが 0.3%超え、 Bが0.0050%を超えて含有させても、 その効果は飽和に達し、コストの上昇を招くだけであるので、Co,V, Bはそれぞれ上記の範囲で含有させるものとした。

0029

Co,V,Bの複合添加が、耐二次加工脆性および高温疲労特性の改善に有効に寄与する機構については、まだ明確に解明されたわけではないが、次のとおりと考えられる。Coは、溶接時の入熱によって粗大化した粒の粒内の靱性を高め、そこでの割れを防止しているものと推定される。またBは、入熱時に粒界に偏析して粒界を強化し、粒界割れを防止しているものと推定される。さらにVは、入熱時に炭化物を作ることによって、粒界の移動を抑制し結晶粒の粗大化を抑えるのと同時に、Cを固定し、Bが炭化物となって析出し、Bの粒界強化の効果が消失することを防止しているものと考えられる。

0030

本発明は、これらが関与し合って著しい効果を生むもので、Co,V,Bのどれか一つでも欠けるとその効果は得られない。このように、 Co,V,Bの複合添加効果は、溶接部の耐二次加工脆性において顕著にその効果が見られるもので、溶接を含まない加工部の耐二次加工脆性としては見られなかったものである。 また、溶接部の高温疲労特性に対するCo, V,Bの複合添加効果についても、 上記の粒内、粒界の強化が寄与しているものと考えられる。

0031

0.1 ≦〔Co〕+ 0.5×〔V〕+ 100×〔B〕≦ 0.5
さらに、前掲図2,3に示したとおり、Co,V,Bが上記の範囲を満足する範囲で複合添加すると、耐二次加工脆性および高温疲労特性の一層の向上を図ることができるので、これらの元素は、上記の範囲を満足する範囲で含有させることがより好適である。

0032

以上、本発明鋼の必須成分について説明したが、本発明では、その他にも以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Ti:0.5 %以下、 Zr:0.5 %以下、Ta:0.5 %以下
Ti,ZrおよびTaはそれぞれ、溶接時の入熱の際に炭化物として析出し、その析出強化効果によって高温疲労特性の向上に寄与する有用元素である。しかしながら、いずれも、含有量が 0.5%を超えると効果が飽和するだけでなく、鋼板の表面性状が著しく劣化するので、それぞれ 0.5%以下で含有させるものとした。なお、高温疲労特性向上の観点からは、Ti,Zr,Taはそれぞれ0.05%以上含有させることが好ましい。

0033

Cu:2.0 %以下
Cuは、耐食性および鋼の靱性を向上させる有用元素である。しかしながら、含有量が 2.0%を超えると鋼の加工性が劣化するため、2.0 %を上限として含有させるものとした。 なお、耐食性および靱性を向上させる観点からは、0.1 %以上含有させることが好ましい。

0034

W:1.0 %以下、Mg:0.1 %以下
WおよびMgはいずれも、高温疲労特性の向上に有効な元素である。しかしながら、 W, Mgがそれぞれ 1.0%, 0.1%を超えて含有されると靱性が劣化し、 また溶接部の耐二次加工脆性も劣化するので、それぞれ上記の範囲で含有させるものとした。なお、W, Mgを含有させる場合には、それぞれ0.05%以上、0.001 %以上とすることが好ましい。

0035

Ca :0.005 %以下
Caは、スラブ鋳造時においてTi系介在物によるノズル詰まりを防止する効果があり、必要に応じて添加する。しかしながら、含有量が 0.005%を超えると効果が飽和するばかりでなく、 Caを含む介在物が孔食の起点となり、耐食性を劣化させるので、Caは 0.005%以下で含有させるものとした。なお、Caを含有させる場合には、0.0005%以上とすることが好ましい。

0036

本発明鋼において、残部はFeおよび不可避的不純物からなる。ここに、Feおよび不可避的不純物からなるとは、Fe以外に、混入成分として、例えばアルカリ金属アルカリ土類金属希土類元素遷移金属などが不可避的に微量含有される場合もあることを意味する。なお、これらの元素が微量含有されたとしても、本発明の効果は何ら妨げられるものではない。

0037

次に、本発明鋼の製造方法について説明する。本発明鋼を製造する方法は、 特に限定されず、フェライト系ステンレス鋼の製造に一般的に採用されている製造法をそのまま適用することができる。 例えば、製鋼は、上記した好適成分組成範囲の溶鋼を、転炉あるいは電気炉等で溶製し、VOD(Vacuum Oxygen Decarburization)によって2次精錬を行う方法が好適である。溶製した溶鋼は、公知の鋳造方法に従って鋼素材とすることができるが、生産性および品質の観点から連続鋳造法を適用するのが好ましい。連続鋳造して得られた鋼素材は、 1000〜1250℃に加熱され、熱間圧延により所望の板厚熱延板とされる。 この熱延板は、 必要に応じて好ましくは 900〜1100℃の温度で連続焼鈍を施したのち、酸洗冷間圧延を施して冷延板とされる。 冷延板は、 好ましくは 900〜1100℃の連続焼鈍後、 酸洗を施して、冷延焼鈍板とされ、製品となる。

0038

また、 用途によっては、熱延焼鈍後、酸洗等により脱スケールを行ったものを製品として使用に供することも可能である。なお、溶接方法は、 TIG、MIG、MAG等のアーク溶接電縫管の製造で使用される高周波抵抗溶接高周波誘導溶接およびレーザー溶接など、 通常の溶接方法が全て適用可能である。

0039

表1,2,3に示す成分組成になる50kg鋼塊を、真空溶解炉で溶製し、 通常の熱間圧延により厚さ:4mmの熱延板としたのち、1000℃,60秒の焼鈍を施した。ついで、酸洗により表面のスケールを除去した後、冷間圧延により厚さ:1.5 mmの冷延板とした。 ついで1000℃, 60秒の仕上げ焼鈍後、酸洗で脱スケールして、厚さ:1.5 mmの冷延焼鈍酸洗板とし、供試材とした。これらの供試材に突き合わせTIG溶接を行ったのち、二次加工脆化試験および高温疲労試験に供した。TIG溶接は、電流:240 A、電圧:12V、溶接速度:10 mm/s 、シールドガス:100%Arの条件で行った。

0040

図4に、耐二次加工脆性の評価方法を示す。 すなわち、溶接ビードが円の中心を通るように打ち抜いた49.5mmφの円板を、 33.0mmφの円筒ポンチ深絞り加工(絞り比:1.5)し、 ついでその円筒カップ側面溶接部が上を向くように置き、その真上800mm の高さから重さ3kgのを落として衝突させ、溶接部の割れの有無を観察した。 この落重試験を、 円筒カップの温度を−60〜+50℃の範囲(10℃刻み)で変化させて行い、 割れが生じなくなる温度(二次加工脆化遷移温度)を調べた。

0041

また、高温疲労試験は、図5に示すTIG溶接ビードを中心とした試験片を用い、 JIS Z 2275に準拠して 800℃での繰り返し曲げ(両振り)試験により、 107疲労限(107 回曲げを繰り返しても疲労割れしない最高曲げ応力)を測定した。ここで、曲げ応力σは、試験片に曲げ変形を加えた時に、最大応力を生じる断面(図5におけるTIG溶接ビード部の断面)についての曲げモーメントM(Nm)を測定し、その値を断面係数で除した値である。上記の試験結果を表4,5に示す。

0042

0043

0044

0045

0046

0047

表4,5から明らかなように、No.1〜36の本発明鋼はいずれも、溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性の両者とも優れている。これに対し、 No.37〜56の比較鋼はいずれも、耐二次加工脆性または高温疲労特性の何れかが本発明鋼に比べて劣っている。

発明の効果

0048

かくして、本発明によれば、溶接部の耐二次加工脆性および高温疲労特性の両者を兼ね備えたフェライト系ステンレス鋼を安定して得ることができ、その結果、溶接管あるいは溶接した鋼板を成形加工して使用する場合に、使用中における割れの発生を効果的に防止することができる。従って、本発明鋼は、例えば複雑な曲げ加工を施した溶接管が高温で使用される自動車排ガス系部品、特にエキゾースト・マニホールド等の用途に供して好適であるが、本発明鋼は、溶接後、加工なしあるいは一次加工のみの段階で使用しても、溶接部は良好な靱性および高温疲労特性を示すので、そのような用途にも有利に適用することができる。

図面の簡単な説明

0049

図1エキゾ−スト・マニホールドを例示した図である。
図2溶接部の二次加工脆性遷移温度に及ぼす、 Co,VおよびBの影響を示したグラフである。
図3溶接部の高温疲労特性に及ぼす、 Co,VおよびBの影響を示したグラフである。
図4耐二次加工脆性の評価試験方法を示した図である。
図5高温疲労試験片の形状とその曲げ方向を示した図である。

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