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課題

指の動作を高精度、高サンプリングレート計測し得る指の動作計測システムを提供する。

解決手段

指の動作計測システム1は、指に取り付けられた複数の光源11と、光源11を撮像する高速度カメラ12と、高速度カメラ12からの出力信号を処理して指の3次元位置を算出する信号処理装置13とを備えている。光源11は、指を挟持して光源11を固定する固定部材111と、固定部材111から指の甲側に向かって延びるピン部材112と、ピン部材112の端部に取り付けられ、球状のガラスカバーで覆われたLED113とを備え、各指に取り付けられた複数の光源11を一組として各組毎に順次点灯される。高速度カメラ12は、各組毎に順次点灯された光源11を順次撮像し、信号処理装置13は、高速度カメラ12の出力信号から、各指毎の画像データを算出し、各指毎の3次元位置を算出する。

概要

背景

従来、人間の指の動作を観察する手法として、以下に述べるような手法が提案されており、その一部は商品化されている。

即ち、第1の手法として、人間の指の動作を目視連続写真又はビデオカメラ等で観察し、基本的な動作パターンを抽出する手法が提案されている(例えば、(1)岡田徳次:指の運動手作業分析バイオメカニズム3,東京大出版会,東京,(1975)133頁や、(2)小俣透:多指ハンドによる軸回転プリミティブ物体操作,日本ロボット学会誌,Vol.14,No.6(1996)853頁)。

また、第2の手法として、グローブを装着し、該グローブに敷設された光ファイバ光量変化歪みゲージの信号等から指の関節角を検出する手法(例えば、(1)岩田洋夫:バーチャルリアリティーへの応用,計測と制御,第36巻,第9号(1997)639頁や、(2)http://www.virtex.com)が提案されている。

さらに、第3の手法として、指の甲側に先端が発光する短いピンを取り付け、その光点(マーカ)を2台のCCDカメラで追跡して座標を得る手法(伊佐治真,高野政晴,佐々木健:人間の指による操り動作計測システムの開発,精密工学会誌,Vol.64,No.8(1998)1127頁)が提案されている。斯かる第3の手法は、指の重なりによるマーカの隠れ(オクルージョン)を防止するべく、ピンを用いて指から離れた位置にマーカを設置することに特徴を有するものである。

一方、指のような狭い計測範囲ではなく、人体全体の動作を観察・解析する装置として、所謂モーションキャプチャシステムが市販されており、病院リハビリ施設スポーツ研究機関放送映像スタジオ等に一般的に導入され始めている。斯かる装置の計測手法としては、以下に述べる第4の手法及び第5の手法が挙げられる。

即ち、第4の手法として、多数の反射マーカを人体に貼り付け、斯かるマーカの動きを多方向から高速度CCDカメラで撮影する手法が知られている(例えば、(1)持丸正明:身体の運動計測技術の動向,計測と制御,第36巻,第9号(1997)609頁,(2)福井一夫:モーションキャプチャ映像情報メディア学会誌,Vol.51,No.8(1997)1120頁,(3)小川弘晃:モーションキャプチャ最新動向,NIKKEI COMPUTERGRAPHICS,3(1999)60頁や(4)A.Macleod,J.R.W.Morris and M.Lyster:High Accurate Video Coordinate Generation for Automatic 3D Trajectory Calculation,SPIEVol.1356 Image-Based Motion Measurement,(1990)12頁)。斯かる第4の手法は、マーカを撮影した画素データをサンプリングタイム毎にメモリに記憶しておき、マーカの対応付け及び3次元位置の計算は測定終了後にオフラインで行うため、リアルタイムの計測は困難であるが、計測のサンプリングレートは高速度CCDカメラのサンプリングレートと一致するという特徴を有するものである。

また、第5の手法として、多数のLEDを人体に貼り付け、これらを1個ずつ順次点灯させてPSDカメラで撮影する手法が知られている(Technical Product Description OPTOTRAK,Northen Digital Inc,Ontario,(1991)第1頁)。斯かる第5の手法は、画像上の光点と実際のマーカとの対応付けが不要になるため、確実な光点識別を行うことができるという特徴を有するものである。

概要

指の動作を高精度、高サンプリングレートで計測し得る指の動作計測システムを提供する。

指の動作計測システム1は、指に取り付けられた複数の光源11と、光源11を撮像する高速度カメラ12と、高速度カメラ12からの出力信号を処理して指の3次元位置を算出する信号処理装置13とを備えている。光源11は、指を挟持して光源11を固定する固定部材111と、固定部材111から指の甲側に向かって延びるピン部材112と、ピン部材112の端部に取り付けられ、球状のガラスカバーで覆われたLED113とを備え、各指に取り付けられた複数の光源11を一組として各組毎に順次点灯される。高速度カメラ12は、各組毎に順次点灯された光源11を順次撮像し、信号処理装置13は、高速度カメラ12の出力信号から、各指毎の画像データを算出し、各指毎の3次元位置を算出する。

目的

本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたもので、指の動作を高精度、高サンプリングレートで計測し得る指の動作計測システムを提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

各指に取り付けられた複数の光源と、該光源を撮像する高速度カメラと、該高速度カメラからの出力信号を処理して指の3次元位置を算出する信号処理装置とを備えた計測ステムであって、前記光源は、指を挟持して該光源を固定する固定部材と、該固定部材から指の甲側に向かって延びるピン部材と、該ピン部材の端部に取り付けられ、球状の拡散ガラスカバーで覆われたLEDとを備え、各指に取り付けられた複数の光源を一組として各組毎に順次点灯され、前記高速度カメラは、前記各組毎に順次点灯された光源を順次撮像し、前記信号処理装置は、前記高速度カメラの出力信号から、各指毎の画像データを算出し、各指毎の3次元位置を算出することを特徴とする指の動作計測システム。

請求項2

前記3次元位置算出の際の校正用治具を更に備え、該校正用治具は、第1部材と該第1部材の略中央から延びる第2部材とにより略T字状に形成されたロッドと、前記第1部材の両端部に取り付けられた反射マーカとを備えることを特徴とする請求項1に記載の指の動作計測システム。

請求項3

無指向性を有するように球状の拡散ガラスカバーで覆われたLEDから形成されていることを特徴とする光源。

請求項4

力覚触覚阻害しないように復元力によって指を挟持するように形成された板バネと、該板バネから指の甲側に向かって延びるピン部材と、該ピン部材の端部に取り付けられた光源とを備えることを特徴とする固定具付き光源。

請求項5

指に取り付けられた複数の光源と、該光源を撮像する高速度カメラとを備え、該高速度カメラは、各指に取り付けられた複数の光源を一組として各組毎に順次点灯された光源を順次撮像することを特徴とする撮像システム。

請求項6

各指に取り付けられた複数の光源を一組として各組毎に順次点灯された光源を順次撮像して得られた画像データを基にして、各指に対応する画像データ毎に分割した後、各指毎に対応する画像データを接続することを特徴とする信号処理装置。

技術分野

0001

本発明は、指の動作計測ステムに関し、特に、指の動作を高精度、高サンプリングレートで計測するべく、市販の光学式モーションキャプチャ装置の利点を生かしつつ、該装置に改良を施して実現し得る指の動作計測システムに関する。

背景技術

0002

従来、人間の指の動作を観察する手法として、以下に述べるような手法が提案されており、その一部は商品化されている。

0003

即ち、第1の手法として、人間の指の動作を目視連続写真又はビデオカメラ等で観察し、基本的な動作パターンを抽出する手法が提案されている(例えば、(1)岡田徳次:指の運動手作業分析バイオメカニズム3,東京大出版会,東京,(1975)133頁や、(2)小俣透:多指ハンドによる軸回転プリミティブ物体操作,日本ロボット学会誌,Vol.14,No.6(1996)853頁)。

0004

また、第2の手法として、グローブを装着し、該グローブに敷設された光ファイバ光量変化歪みゲージの信号等から指の関節角を検出する手法(例えば、(1)岩田洋夫:バーチャルリアリティーへの応用,計測と制御,第36巻,第9号(1997)639頁や、(2)http://www.virtex.com)が提案されている。

0005

さらに、第3の手法として、指の甲側に先端が発光する短いピンを取り付け、その光点(マーカ)を2台のCCDカメラで追跡して座標を得る手法(伊佐治真,高野政晴,佐々木健:人間の指による操り動作計測システムの開発,精密工学会誌,Vol.64,No.8(1998)1127頁)が提案されている。斯かる第3の手法は、指の重なりによるマーカの隠れ(オクルージョン)を防止するべく、ピンを用いて指から離れた位置にマーカを設置することに特徴を有するものである。

0006

一方、指のような狭い計測範囲ではなく、人体全体の動作を観察・解析する装置として、所謂モーションキャプチャシステムが市販されており、病院リハビリ施設スポーツ研究機関放送映像スタジオ等に一般的に導入され始めている。斯かる装置の計測手法としては、以下に述べる第4の手法及び第5の手法が挙げられる。

0007

即ち、第4の手法として、多数の反射マーカを人体に貼り付け、斯かるマーカの動きを多方向から高速度CCDカメラで撮影する手法が知られている(例えば、(1)持丸正明:身体の運動計測技術の動向,計測と制御,第36巻,第9号(1997)609頁,(2)福井一夫:モーションキャプチャ映像情報メディア学会誌,Vol.51,No.8(1997)1120頁,(3)小川弘晃:モーションキャプチャ最新動向,NIKKEI COMPUTERGRAPHICS,3(1999)60頁や(4)A.Macleod,J.R.W.Morris and M.Lyster:High Accurate Video Coordinate Generation for Automatic 3D Trajectory Calculation,SPIEVol.1356 Image-Based Motion Measurement,(1990)12頁)。斯かる第4の手法は、マーカを撮影した画素データをサンプリングタイム毎にメモリに記憶しておき、マーカの対応付け及び3次元位置の計算は測定終了後にオフラインで行うため、リアルタイムの計測は困難であるが、計測のサンプリングレートは高速度CCDカメラのサンプリングレートと一致するという特徴を有するものである。

0008

また、第5の手法として、多数のLEDを人体に貼り付け、これらを1個ずつ順次点灯させてPSDカメラで撮影する手法が知られている(Technical Product Description OPTOTRAK,Northen Digital Inc,Ontario,(1991)第1頁)。斯かる第5の手法は、画像上の光点と実際のマーカとの対応付けが不要になるため、確実な光点識別を行うことができるという特徴を有するものである。

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、上記従来の第1〜第5の手法には、それぞれ以下のような問題点がある。即ち、第1の手法では、観察方向から隠れた指の観察ができず、また定性的なデータしか得られないという欠点を有する。

0010

また、第2の手法は、グローブを装着しなければならないため、被験者拘束感を与え、自然な動きを阻害すると共に、力覚触覚が阻害されるという欠点を有する。また、操る物体の位置・姿勢を同時に計測することができない等の問題もある。特に、人間の手による作業の50%以上が力感覚を必要とするとの報告もあり、力覚・触覚が阻害されるのは重大な欠点であると言える。

0011

また、第3の手法は、汎用のCCDカメラを使用するため、画像のサンプリングレートが30Hzに制限される上、画像処理ボード上のフレームメモリに保存された白黒256階調のデータを逐次処理しては廃棄していく手法のため、光点追跡に関する画像処理を行っている間は次の画像が取り込めないという欠点を有する。従って、全光点の3次元位置計測のサンプリングレートは1Hz程度となり、遅い操り動作しか観察できないことが最大の問題点である。また、カメラ台数が2台であることと、光点として先端を円錐状に削った光ファイバを使用するため光量、指向性限界により撮影可能範囲(撮影可能な手の姿勢)が制限されるという問題点も有する。以上の問題点を考慮すれば、第3の手法を突き進めて実用的な性能レベルにするためには、3台以上の高速度カメラ及び高速な画像処理ボード等を使用したシステムをユーザが独自に開発する必要があり、そのための開発時間コスト等が多大になると考えられる。

0012

さらに、第4の手法は、高速なサンプリングレートで指の計測を行い得る可能性があるものの、人間の全身運動歩行解析を主要な用途としているため、指の計測のように撮影範囲が狭い場合にはオクルージョンが頻繁に生じてしまい、マーカの入れ替わりや飛びといった誤認識が生じてしまうという問題がある。このため、斯かる第4の手法を指の計測に利用したという報告はなされていない。

0013

最後に、第5の手法は、画像上の光点と実際のマーカとの対応付けが不要になるという利点を有するものの、3台のPSDカメラの相対位置が直線上に固定されている上、使用するLEDの指向性が正面に対して±60°に制限されているため、姿勢が複雑に変化する指の計測においては、PSDカメラがLEDの光点を検出できない場合が頻繁に生じてしまうという問題がある。

0014

本発明は、斯かる従来技術の問題点を解決するべくなされたもので、指の動作を高精度、高サンプリングレートで計測し得る指の動作計測システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0015

斯かる課題を解決するべく、本発明は、指に取り付けられた複数の光源と、該光源を撮像する高速度カメラと、該高速度カメラからの出力信号を処理して指の3次元位置を算出する信号処理装置とを備えた計測システムであって、前記光源は、指を挟持して該光源を固定する固定部材と、該固定部材から指の甲側に向かって延びるピン部材と、該ピン部材の端部に取り付けられ、球状のガラスカバーで覆われたLEDとを備え、各指に取り付けられた複数の光源を一組として各組毎に順次点灯され、前記高速度カメラは、前記各組毎に順次点灯された光源を順次撮像し、前記信号処理装置は、前記高速度カメラの出力信号から、各指毎の画像データを算出し、各指毎の3次元位置を算出することを特徴とする指の動作計測システムを提供するものである。

0016

斯かる発明によれば、指を固定部材で狭持することにより光源が固定されるため、従来のようにグローブを装着する必要が無く、指の自然な動きを阻害することが無いと共に、力覚・触覚も阻害されないという利点を有する。また、固定部材から指の甲側に向かって延びるピン部材の端部にLEDが取り付けられているため、指の重なりによるオクルージョンを防止することが可能である。また、LEDが球状の拡散ガラスカバーで覆われているので、略無指向性の光源となり、指の姿勢が複雑に変化してもカメラで撮像することが可能になり、計測可能範囲が拡大される。さらに、各指に取り付けられた複数の光源を一組として各組毎に順次点灯され、該各組毎に順次点灯された光源を高速度カメラで順次撮像する構成であるため、全光源を一度に撮像する場合に比べてオクルージョンを防止し得ると共に、各光源を1つずつ点灯する場合に比べて高サンプリングレートでの計測が可能となる。なお、本明細書において「高速度カメラ」の語句は、30Hzより高いサンプリング周波数を有するカメラを意味するものとして使用する。

0017

好ましくは、前記3次元位置算出の際の校正用治具を更に備え、該校正用治具は、第1部材と該第1部材の略中央から延びる第2部材とにより略T字状に形成されたロッドと、前記第1部材の両端部に取り付けられた反射マーカとを備えるように構成される。

0018

斯かる発明によれば、第2部材を把持して回転運動させながら、ロッド全体を並進移動させることが可能であり、より高精度な校正が可能である。

0019

また、本発明は、略無指向性を有するように球状の拡散ガラスカバーで覆われたLEDから形成されていることを特徴とする光源を提供する。

0020

本発明に係る光源は、略無指向性の光源とするべく、LEDが球状のガラスカバーで覆われている。従って、斯かる光源を指の動作計測用に使用すれば、指の姿勢が複雑に変化してもカメラで撮像することが可能になり、計測可能範囲が拡大されるという利点を有する。

0021

また、本発明は、力覚・触覚を阻害しないように復元力によって指を挟持するように形成された板バネと、該板バネから指の甲側に向かって延びるピン部材と、該ピン部材の端部に取り付けられた光源とを備えることを特徴とする固定具付き光源を提供する。

0022

本発明に係る固定具付き光源によれば、板バネの復元力によって指を挟持することにより光源が固定されることになる。従って、斯かる光源を指の動作計測用に使用すれば、指の自然な動きを阻害することが無いと共に、力覚・触覚も阻害されないという利点を有する。また、ピン部材の端部に光源が取りつけられているため、指の重なりによるオクルージョンを防止することが可能である。

0023

また、本発明は、指に取り付けられた複数の光源と、該光源を撮像する高速度カメラとを備え、該高速度カメラは、各指に取り付けられた複数の光源を一組として各組毎に順次点灯された光源を順次撮像することを特徴とする撮像システムを提供する。

0024

本発明に係る撮像システムを指の動作計測用に使用すれば、全光源を一度に撮像する場合に比べてオクルージョンを防止し得ると共に、各光源を1つずつ点灯する場合に比べて高サンプリングレートでの計測が可能となる。

0025

また、本発明は、各指に取り付けられた複数の光源を一組として各組毎に順次点灯された光源を順次撮像して得られた画像データを基にして、各指に対応する画像データ毎に分割した後、各指毎に対応する画像データを接続することを特徴とする信号処理装置を提供する。

0026

本発明に係る信号処理装置によれば、各指毎の画像データが接続された状態で提供される。従って、斯かる各指毎の画像データを市販の光学式モーションキャプチャ装置に容易に適用することができ、各指毎の3次元位置の変動を計測することが可能である。

発明を実施するための最良の形態

0027

以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施形態について説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る指の動作計測システムの概略構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る計測システム1は、各指(本実施形態では、小指を除く4本の指)に取り付けられた複数(各指に4個ずつ計16個)の光源11と、光源11を撮像するサンプリング周波数200Hzの高速度CCDカメラ12と、高速度CCDカメラ12からの出力信号を処理して指の3次元位置を算出する信号処理装置13とを備えている。

0028

光源11は、図2に示すように、板バネから形成され、該板バネの復元力で指を挟持して光源11を固定するための固定部材111と、固定部材111から指の甲側に向かって延びるピン部材112と、ピン部材112の端部に取り付けられ、球状の拡散ガラスカバーで覆われたLEDマーカ113とを備えている。このように、本実施形態に係る光源11は、指の重なりによるオクルージョンを防止するため、ピン部材112を介して指から離れた位置(30〜65mm)にLEDマーカが設置されており、さらにピン部材112によるオクルージョンを防ぐため、ピン部材112の径はφ1mmと極力細く設定している。また、配線は柔軟で細いものを採用し、被験者への影響が少なくなるように留意している。固定部材111は、板バネの復元力で指を挟持して固定するため、ある程度の拘束感は免れないものの、指の表面が覆われないので、指の触覚、力覚は損なわれないという利点を有する。

0029

図3に、LEDマーカ113の外観を示す。LEDマーカ113は、LEDを光点として使用し、そのガラスカバーを球状に加工して略無指向性としている。前記加工は、やすりを使用して手作業で概形を作成した後、前面部は砥粒を入れた半球状の型(表面粗さRa=60μm〜200μm)に押し付けながら回転させて仕上げ、後面部は端子ピンを有するため実体顕微鏡下で紙やすりによる手作業で仕上げを行っている。さらに、光の拡散性を高めるべく、ガラスカバー表面に白色塗料を塗布している。

0030

図4に、LEDマーカ113の指向性を評価した際の測定条件を示す。図4に示すように、LEDマーカ113を5°毎に回転させ、これを高速度CCDカメラ12で2値化レベルを一定にして撮影し、撮影可能な角度範囲より指向性を評価した。また、本実施形態に係るLEDマーカ113との比較のため、同条件で加工前のLED、光ファイバによるマーカの指向性も算出し、相対的な評価を行った。評価結果を表1に示す。

0031

本実施形態に係る高速度CCDカメラ12及び信号処理装置13は、市販の光学式モーションキャプチャ装置を利用し、これに改良を施して構成されている。すなわち、本実施形態では、光学式モーションキャプチャ装置として代表的なOxford Metrics社製Vicon370システムの高速度CCDカメラ、マーカ対応付け機能、3次元位置計算機能等はそのまま利用し、マーカの飛びや隠れが生じやすい人間の指の動作を計測するために、そのハードウェア及びソフトウェアを追加改良している。

0032

ここで、前述した第5の手法のように、LEDマーカ113を1個ずつ順次点灯させ、画像上の光点と実際のマーカとの対応付けを不要にして確実な光点識別を行う方式(完全順次点灯方式)をVicon370システム(画像処理による光点識別方式)にそのまま適用すると、各LEDマーカ113のサンプリング周波数は、カメラのサンプリング周波数200HzをLEDマーカ数16で除した12.5Hzとなり、高速度CCDカメラ12を使用する有利性が損なわれることになる。このため、本実施形態では、各指に取り付けられた4個のLEDマーカ113を一組とし、各組毎(指毎)に順次点灯させてタイムシェアリングを行う方式としている。これにより、高速度CCDカメラ12の1フレームには、各指の4個のLEDマーカ113のみが撮像されることになり、全マーカ(16個)を1フレームで撮像する場合に比べて、マーカ113同士の重なり(隠れ)に起因するマーカ113の入れ替わりや飛びが格段に防止される。各マーカ113のサンプリング周波数は、200Hzをマーカ113を取り付けた指の本数4で除した50Hzに低下するものの、人間の日常的な指の動作を観察する上ではこれで十分である。なお、上記LEDマーカ113を各組毎に順次点灯させるにあたり、図1に示すように、信号処理装置13を構成するVicon370システムのデータステーション131から出力されている各高速度CCDカメラ12への同期信号を利用し、これを各指のLED駆動回路に順次分配する回路132を設けている。

0033

図1に示すように、信号処理装置13を構成するVicon370システムでは、マーカの画素情報データ(TVDファイル)133を専用ソフトウェア134で処理してマーカの3次元位置座標データ(C3Dファイル)135を作成している。本実施形態では、前記TVDファイルを1コマ(フレーム)毎に分割した後、4コマおきに接続して各指毎の4個のTVDファイルを再構築する(図5参照)ソフトウェア136を開発し、これを使用している。再構築した4個のTVDファイルを改めて前記専用ソフトウェア134で処理することにより、各指毎の4個のC3Dファイル135を得ることができる。このようにして、市販のモーションキャプチャ装置(Vicon370システム)が有するマーカ対応付け機能、3次元位置計算機能をそのまま有効利用している。

0034

なお、市販のモーションキャプチャ装置(Vicon370システム)では、計測前に予め図6に示すように反射マーカ21が配置された付属キャリブレーションユニット2を測定空間中央付近に設置し、これによりワールド座標系を定義している。斯かるキャリブレーションユニット2を撮影した後に、図6に示すような2個の反射マーカ31を既知の一定距離(500mm)を隔てて固定したマーカロッド3を把持して測定空間内で万遍なく振り回し、このときの反射マーカ31の動きを撮影する。以上の操作により、2個の反射マーカ31間の距離が既知の値に算出されるよう、カメラパラメータ(カメラの画面内に撮像された反射マーカの画像位置から、反射マーカの3次元空間内における座標を計算する座標変換式における係数)を校正している。Vicon370システムに付属のこれらキャリブレーションツール2、3は、人体全体の動作を計測対象としているため、反射マーカ21、31の直径及びロッド3のマーカ31間距離は、共に大きな値に設定されている。このため、指の計測のように、500mm立方程度の小さな測定空間を対象とした場合、カメラパラメータの推定誤差が大きくなるおそれがある。

0035

そこで、本実施形態では、指の計測のような小さな測定空間でも精度良く校正可能とするべく、図7に示すように、直径5mmの小さな反射マーカ41、51を作成し、これを用いて、キャリブレーションユニット4及びマーカロッド5を構成している。ここで、反射マーカ41、51は、市販のガラスビーズに、住友3M(株)製の「Scotchlite高輝度反射シートwhite」を細かく短冊状(両先端が細く中央部が膨らんだ形状)に切り刻んで貼付し形成している。また、マーカロッド5は、第1部材52と該第1部材52の略中央から延びる第2部材53とにより略T字状に形成されたロッドと、第1部材52の両端部に取り付けられた反射マーカ51とを備えている。したがって、第2部材53を把持して回転運動させながら、マーカロッド5全体を並進移動させることが可能であり、より高精度な校正が可能である。

0036

以下、実施例を示すことにより、本発明の特徴とするところをより一層明らかにする。

0037

(実施例1)前述した本発明に係る指の動作計測システム1の静的位置及び角度の計測精度を検証した。図8にカメラの配置条件を示す。まず、ノギス校正基準として2個のLEDマーカを一定距離間隔に設置し、本システム1で前記2個のマーカの位置を測定し、その距離を算出した。また、3個のLEDマーカを半径50mmの円の中心に1個、円周上に2個設置し、それらのマーカが形成する扇形中心角度分度器を校正基準として一定角度に設置した後、本システム1で前記3個のマーカの位置を測定することにより、前記中心角度を算出した。ここで、測定は、各設定距離設定角度毎に250×250×150mmの空間内で場所を変えながら50回繰り返した。距離及び角度の測定結果をそれぞれ表2及び表3に示す。

0038

(実施例2)図9に示すように、第2リンク及び第3リンクの長さL2、L3が既知であり、第3関節の角度θ3の変化をエンコーダ分解能0.025°)によって検出し得る擬似指リンクモデルを作成した。なお、マーカとリンクとの相対位置関係キャリブレーションを行なうため、第3リンクの先端にマーカP33を設置した。斯かる擬似指リンクモデルにおいて、第2リンクを固定した状態で第3リンクを回転させ、マーカP31、P32、P33の描く軌跡を計測すれば、リンク長L3をキャリブレーションすることができる。このようにして、4種類の長さのL3を推定した結果を表4に示す。

0039

また、図9に示す擬似指モデルの第3リンクを糸で引っ張って回転させ、その際のマーカP31、P32、P2の位置を本システム1で測定し、既知であるマーカとリンクとの相対位置関係を用いてT、J3、J2の位置を求め、TJ3とJ3J2の成す角度から関節角度θ3を算出した。斯かる関節角度θ3の変化を、エンコーダによって得られた角度変化と比較した結果を図10に示す。図10に示すように、両者は回転速度が比較的早い場合(約48rpm)は0.1°、遅い場合(約7.6rpm)は0.3°程度の精度で一致しており、本発明に係る計測システム1が高い動的関節角計測精度を有していることが確認された。なお、前述した従来の第2の手法に係るグローブ式計測装置角度分解能は、公称で0.5°であり、外部からの計測によりこれと同等以上の動的精度が得られることは、オクルージョンの防止と共に、本発明に係る計測システム1の重要な特徴の一つである。

0040

(実施例3)本発明に係る計測システム1を用いて実際に人間のの操り動作を計測した。箸の操り動作には複雑な指の協調が要求され、高度な制御能力が無ければ達成できない。従って、このような動作を速いサンプリングレートで定量的に解析できれば、ロボットハンド機構や制御の研究に将来的に寄与し得る可能性がある。また、4本の指が使用され、2つの対象物(箸)が同時に動くので、オクルージョンが生じやすく、箸の操り動作を定量的に計測した例は見当たらない。従って、箸の操り動作の計測は、本発明に係る計測システム1の計測能力を検証する格好のテストベンチになると考えられる。また、前述した実施例2では、本発明に係るシステム1の多指に関する計測制度、指の姿勢変化への対応可能性、オクルージョンの防止能力等については検証できなかったので、これらを総合的に検討することも本実施例の目的の一つである。

0041

本実施例におけるカメラ配置条件は、図8で示すものと同様にした。また、箸は長さ223mm、直径4mmのものを使用した。さらに、各箸の両端に1個ずつ合計4個のLEDマーカを取り付け、箸の位置・姿勢(但し、軸周りの回転は除く)も同時に計測可能とした。斯かる構成の箸を使用し、手首は動かさないようにして箸の開閉動作を連続して行ない、その際の各指と箸の運動を本計測システム1により計測した。また、各指を円筒(直径は指の実測値を用いる)と仮定し、計測された指の先端位置、関節位置、箸の位置・姿勢に基づいてこれらの運動をCG表示するソフトウェアをPCワークステーション上で作成した。図11に、CG表示画面と、汎用のビデオカメラ(サンプリング周波数30Hz)の生画像時間軸を合わせて比較した結果の一例を示す。図11に示すように、定性的ではあるが、本計測システム1がオクルージョンに妨げられることなく、また指の複雑な姿勢変化に影響されることなしに、多指及び対象物の運動を確実に計測できていることが分かった。

0042

また、図12(a)〜(d)に、本計測システム1で得られた各指の第2、第3関節角θ2、θ3(図1参照)の時間推移の一例を示す。図12に示すように、(1)4本の指は周期的な協調運動を行なっていること、(2)人差し指のθ2、θ3、中指のθ2、親指のθ3の動きが他の指の関節に比べて大きく、これらの関節が箸の操りに重要な役割を果たしていること、(3)薬指のθ2の動きは小さいものの、静止せずにわずかに動いていること等の知見がこの被験者に関して得られた。これらの知見は、目視等の観察でも得られるが、関節角度の定量的なデータが各指について共通の時間軸で得られるのが本計測システム1の特徴であり、将来多数の被験者について数値データを採取して統計処理等を行えば、複雑な操り動作における普遍的なコツのようなものが得られる可能性もあると言える。

発明の効果

0043

以上に説明したように、本発明に係る指の計測動作システムによれば、指を固定部材で狭持することにより光源が固定されるため、従来のようにグローブを装着する必要が無く、指の自然な動きを阻害することが無いと共に、力覚・触覚も阻害されないという利点を有する。また、固定部材から指の甲側に向かって延びるピン部材の端部にLEDが取り付けられているため、指の重なりによるオクルージョンを防止することが可能である。また、LEDが球状の拡散ガラスカバーで覆われているので、略無指向性の光源となり、指の姿勢が複雑に変化してもカメラで撮像することが可能になり、計測可能範囲が拡大される。さらに、各指に取り付けられた複数の光源を一組として各組毎に順次点灯され、該各組毎に順次点灯された光源を高速度カメラで順次撮像する構成であるため、全光源を一度に撮像する場合に比べてオクルージョンを防止し得ると共に、各光源を1つずつ点灯する場合に比べて高サンプリングレートでの計測が可能となる。

0044

このように、本発明に係る計測システムによれば、指の動作を高精度、高サンプリングレートで計測し得るため、さらに、以下のような効果を奏することが期待できる。

0045

即ち、第1に、人間と同程度の器用さ、柔軟性を有するロボットハンドの機構設計制御系設計指針導出し得ることが期待される。今後ロボットは、工場内のみでなく、家庭内や病院内等の人間と共存する環境で、人間の行う作業を代行することを期待されている。このため、人間の手と同様に多様な環境に対する汎用性を有し、器用で柔軟な作業を行える多指ロボットハンドの研究が機構、制御の観点から数多く行われてきている。このうち、制御に関する研究分野では、運動学・力学解析を理論的に行いそれから制御則を導く手法と、人間の指の動作を観察してそれから制御則を抽出する手法に大別される。前者の場合、理論モデル妥当性を人間の指の運動と比較して検証することが今後必要である。一方、後者の場合、人間の手の動作を目視、連続写真、ビデオカメラ等で観察して基本的な動作パターンを抽出することが一般的に行われてきたが、観察方向から隠れた指の観察ができず、また定性的なデータしか得られないことが問題となっている。このような背景から、人間の指の定量的な動作計測が現在重要な課題となっている。本発明は、斯かる課題を解決するものであり、ロボットハンドの分野の研究において強力なツールとなることが期待される。

0046

また、第2に、医学リハビリテーションの分野において、手指運動疾患重篤度や治癒状況を正確に且つ容易に把握し得ることが期待される。医学、リハビリテーションの分野において、大腿部膝部等に比較的大きなマーカを付与し、モーションキャプチャ装置でそれを撮影することにより、人間の歩行解析を行うことは一般に行われている。しかしながら、医学やリハビリテーションの分野で手指の定量的な運動解析を行った報告例は見当たらない。これは、手指の計測をモーションキャプチャ装置で行う場合、計測範囲が狭くマーカの集中が生じ易いため、マーカの入れ替わりや飛びが生じ易く、正確なデータを得ることが困難なためである。本発明によれば、人間の手指の定量的な動作解析が可能となり、手指の運動疾患に対する医学、リハビリテーションの分野における臨床治療及び基礎研究のレベルが大幅に増進することが期待される。

0047

さらに、第3に、科学的トレーニングに基づく人間のスポーツ技能演奏技能の向上を図り得ることが期待できる。最近のスポーツトレーニング法として、モーションキャプチャ装置を用いて人体動作コンピュータに取り込み、関節に発生するトルク床反力等を理論的に解析し、どのようにフォームを改善すれば更に良い記録が得られるかを科学的に検討する方法が広く採り入れられている。しかしながら、おおよそ手指を全く使用しないスポーツ種目は無いにもかかわらず、手指の正確な動作計測が困難なため、その解析対象は、腕、脚、胴体に制限されているのが実状である。本発明は、この現状を打破し、手指も含めた総合的な運動解析に基づく科学的スポーツトレーニング法の確立に貢献することが期待される。また、芸術の分野においても、バイオリンピアノ等の楽器演奏において、本発明により人間の手指の動作が観察・解析できるようになれば、科学的な演奏技術向上のためのトレーニング法の実現が将来的に期待できる。

0048

最後に、第4として、コンピュータグラフィクス(CG)の分野において、人物動作データのコンピュータへの入力が容易となることが期待される。コンピュータゲームにおけるCG画像製作SF映画における特殊画像の製作等において、最近では、モーションキャプチャ装置で人間の実際の動作を計測し、その動作データをコンピュータに取り込んで種々の加工を施すことにより、あたかも実際の人間がそこに居るかのような感覚を視聴者想起させるようなリアルな画像を作成することが常識となりつつある。しかしながら、手指の動作の計測が行えないため、その部分に関しては従来通りCG製作者のイマジネーションに頼って作画されているのが現状である。本発明によれば、リアルな手指の部分のCG製作が容易となり、結果としてゲームや映画等のアミューズメント分野の技術レベルの向上が将来的に期待できる。

図面の簡単な説明

0049

図1図1は、本発明の一実施形態に係る指の動作計測システムの概略構成図である。
図2図2は、図1に示す動作計測システムの光源を示す概略構成図である。
図3図3は、図1に示す動作計測システムのLEDマーカの外観を示す。
図4図4は、図3に示すLEDマーカの指向性を評価した際の測定条件を示す。
図5図5は、図1に示す動作計測システムにおけるTVDファイルの再構築の概念を示す概念図である。
図6図6は、従来のキャリブレーションツールを示す。
図7図7は、図1に示す動作計測システムのキャリブレーションツールを示す。
図8図8は、実施例におけるカメラの配置条件を示す。
図9図9は、実施例2に使用した擬似指リンクモデルの概略構成図である。
図10図10は、実施例2の実験結果の一例を示す。
図11図11は、実施例3の実験結果の一例を示す。
図12図12は、実施例3の実験結果の他の例を示す。

--

0050

1 指の動作計測システム
11光源
12高速度CCDカメラ
13信号処理装置
111固定部材
112ピン部材
113 LEDマーカ

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