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課題
解決手段
概要
背景
概要
教育を担う者は、教育の対象となる者との間で対話しつつ、互いに学び合う機会を得ることができるとともに、教育の対象となる者は、各自が有する能力を有効に発揮しつつ、自発的に学び、その楽しさを知る機会を得ることができる教育システムを提供する。
多目的板20及び蓋板19はそれぞれがボード本体11の分割体11a,11bと対応して長さ方向の中央で一対の分割片に分割され、この分割部で接離可能に構成され、多目的板20及び蓋板19の表面で木工、粘土細工等の工作、絵を描いたり、飾ったりする等の各種作業を目的及び場所を選ばず良好に行うことができる。
目的
この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、教育を担う者は、教育の対象となる者との間で対話しつつ、互いに学び合う機会を得ることができるとともに、教育の対象となる者は、各自が有する能力を有効に発揮しつつ、自発的に学び、その楽しさを知る機会を得ることができる教育システムを提供することにある。
効果
実績
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この技術が所属する分野
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請求項1
教育を担う者がその教育の対象となる者に対し、いつどこでも教育の場を設けることができる運搬可能な教育用の道具を備え、その道具が教育対象となる各分野に対応するとともに、前記道具によって教育を担う者がその教育の対象となる者のそれぞれ有する能力を発揮することができるように、対話により教育を行うことを特徴とする教育システム。
請求項2
請求項3
前記道具は、前面に覗き窓を有する装置本体と、覗き窓から視認できるように移動するスクリーンと、スクリーンの後方に設けられ、スクリーンの前面からの押圧力を支持する支持板と、スクリーンの前面に設けられる透明な被覆膜を備えた移動スクリーン装置である請求項1又は請求項2に記載の教育システム。
請求項4
前記道具は、ボード本体と、ボード本体内に設けられて上面に開口する収容部と、同収容部内に折り畳み可能に収容される多目的板と、多目的板が収容部内に収容された状態で収容部を閉塞するようにボード本体に開閉可能に取着された蓋部とを備え、ボード本体を複数の分割体に分割し、各分割体を回動可能に連結して収容部に対して反対側へ折り畳み可能に構成し、ボード本体の各分割体に対応して多目的板及び蓋部を分割片に分割し、それらの分割片には互いに対応する形状をなす係合部をそれぞれ設け、折り畳まれた状態のボード本体を開いたとき、各係合部の係合関係により多目的板及び蓋部の表面が平坦面となるように構成したものである請求項1又は請求項2に記載の教育システム。
技術分野
0001
この発明は、例えば親兄弟、教師等といった教育を担う者が教育用の道具を使用して、幼児、子供等といった教育の対象となる者に対し、それぞれが有する個性、特技等といった能力をより有効に発揮することができるように対話しながら教育を行う教育システムに関するものである。
背景技術
0002
従来の教育システムによれば、上記のような教育を担う者である大人は、文部省の監修、又はそれに準じて用意された教材、テキスト等を使用し、定められたカリキュラムに従って、教育の対象となる者である子供を教育している。
発明が解決しようとする課題
0003
ところが、上記従来の教育システムにおいて、使用する教材、テキスト、定められたカリキュラム等は、教育期間、対象年齢等を大人側の感覚に則して考慮し、用意されたものであり、子供達一人一人に合わせられたものではない。そして、このような教育システムでは子供が大人から受け身の体制で一方的に教育されるのみであり、子供達一人一人が有する個性、特技等を発揮したり、伸ばしたりする場がほとんど設けられていない。その結果、子供達は、教育が進むにつれて社会的影響の少ない幼い頃の感覚より生ずる突然的又は勃発的な発想ができなくなり、大人達は、自らが想定した常識の枠内に囚われたままで、子供達とともに学ぶことで様々なことに気付く機会が少なくなっているという問題があった。
0004
上記の他に従来の教育システムでは定められたカリキュラムに従って、次々と新たな教育内容を覚えていかなければならず、例えば最初に算数が嫌いになった子供は受け身で教育されるまま、テストのために公式を暗記する等というように、機械的に定められたカリキュラムのみをこなしていかなければならない。この場合、子供達は苦手な教科を克服しようにも、そのような教材も、時間も用意されておらず、自発的に学び、その学ぶことの楽しさを知る機会がほとんど無いという問題もあった。
0005
この発明は、このような従来技術に存在する問題点に着目してなされたものである。その目的とするところは、教育を担う者は、教育の対象となる者との間で対話しつつ、互いに学び合う機会を得ることができるとともに、教育の対象となる者は、各自が有する能力を有効に発揮しつつ、自発的に学び、その楽しさを知る機会を得ることができる教育システムを提供することにある。
課題を解決するための手段
0006
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の教育システムの発明は、教育を担う者がその教育の対象となる者に対し、いつどこでも教育の場を設けることができる運搬可能な教育用の道具を備え、その道具が教育対象となる各分野に対応するとともに、前記道具によって教育を担う者がその教育の対象となる者のそれぞれ有する能力を発揮することができるように、対話により教育を行うことを特徴とするものである。
0007
請求項2に記載の教育システムの発明は、請求項1に記載の発明において、前記教育の対象となる者は、幼児又は小学校低学年の児童であるものである。請求項3に記載の教育システムの発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記道具は、前面に覗き窓を有する装置本体と、覗き窓から視認できるように移動するスクリーンと、スクリーンの後方に設けられ、スクリーンの前面からの押圧力を支持する支持板と、スクリーンの前面に設けられる透明な被覆膜を備えた移動スクリーン装置であるものである。
0008
請求項4に記載の教育システムの発明は、請求項1又は請求項2のいずれかに記載の発明において、前記道具は、ボード本体と、ボード本体内に設けられて上面に開口する収容部と、同収容部内に折り畳み可能に収容される多目的板と、多目的板が収容部内に収容された状態で収容部を閉塞するようにボード本体に開閉可能に取着された蓋部とを備え、ボード本体を複数の分割体に分割し、各分割体を回動可能に連結して収容部に対して反対側へ折り畳み可能に構成し、ボード本体の各分割体に対応して多目的板及び蓋部を分割片に分割し、それらの分割片には互いに対応する形状をなす係合部をそれぞれ設け、折り畳まれた状態のボード本体を開いたとき、各係合部の係合関係により多目的板及び蓋部の表面が平坦面となるように構成したものであるものである。
発明を実施するための最良の形態
0009
以下、この発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。実施形態の教育システムは、教育用の道具として多目的ボード、作業台50及び移動スクリーン装置の3つを備えている。まず、多目的ボードの構成について以下に説明する。
0010
図1、図2及び図4に示すように、多目的ボードを構成するボード本体11は上面に開口部12を有する長四角箱状をなし、開口部12からその内部が収容部13となっている。ボード本体11は長さ方向の中央で一対の分割体11a,11bに分割され、両分割体11a,11bが回動可能に連結されることで、収容部13に対して反対側へ折り畳むことができる。各分割体11a,11bの底面両側部には四角板状をなす脚部15がそれぞれ回動可能に連結されており、両脚部15は分割体11a,11bの底面の図示しない凹部にそれぞれ収容可能に構成されている。そして、開いた状態の両脚部15上に支持されたボード本体11はテーブルとして使用することができる。
0011
ボード本体11の収容部13の開口部12の周縁において、一方の長辺側には蓋部としての蓋板19が開閉可能に連結されており、開口部12を閉塞することができるようになっている。収容部13内における他方の長辺側には2つ折りして折り畳み可能な多目的板20が回動可能に連結されており、この多目的板20は、ボード本体11に対し所定角度だけ傾斜した斜面状を保持した状態で蓋板19により裏面側から支持されるようになっている。
0012
図1及び図3(a),(b)に示すように、多目的板20及び蓋板19はそれぞれがボード本体11の分割体11a,11bと対応して長さ方向の中央で一対の分割片19a,20aに分割され、この分割部で接離可能に構成されている。ボード本体11を2つ折りして折り畳む際、各分割体11a,11bの収容部13内には多目的板20の分割片20aがそれぞれ折り畳まれた状態で収容され、各分割体11a,11bのそれぞれの開口部12が蓋板19の分割片19aで閉塞される。多目的板20と蓋板19の各分割部において、一方の分割片19a,20aの側面中央には係合突条23が突設され、他方の分割片19a,20aの側面中央には係合凹条24が凹設されている。これら係合突条23と係合凹条24とは、ボード本体11及び多目的板20を開いた状態で互いに係合され、この係合関係により多目的板20及び蓋板19は分割部で位置ずれすることなく、その表面が面一となるように構成されている。そして、その表面が面一となっている多目的板20及び蓋板19の表面で木工、粘土細工等の工作、絵を描いたり、飾ったりする等の各種作業を目的及び場所を選ばず良好に行うことができる。
0013
次に、作業台50の構成について説明する。図5及び図6に示すように、ボード本体11上には作業台50を構成する長四角板状をなす作業板51が載置できるようになっている。作業板51の上面において、長辺側の一側縁には第1小物収納部53が、長辺側の他側縁には第2小物収納部54及び万力部55がそれぞれ回動可能に連結されている。第1小物収納部53及び第2小物収納部54は長四角箱状に形成され、それぞれの内部には金槌、ネジ、釘、鋸、ドライバー、錐、鉛筆、カッター等といった日用大工に必要な様々な工具を収容することができる。また、万力部55はワークを挟持可能に構成されており、この万力部55に挟持した状態で前記の工具によりワークを加工することができる。そして、第1小物収納部53、第2小物収納部54及び万力部55を作業板51の内方へそれぞれ回動させ、作業板51の上面に載せることにより、作業台50を折り畳むことができる。
0014
また、作業板51の上面には一対の収容凹条64が互いに平行に延びるように凹設され、各収容凹条64内には突条体65がそれぞれ収容されている。これら突条体65は断面T字状をなしており、断面逆T字状の状態で収容凹条64内に収容されれば、突条体65の一部が作業板51の上面から突出され、ワークのストッパーとして機能する。また、断面T字状の状態で収容凹条64内に収容されれば突条体65の表面と作業板51の上面とが面一となる。そして、作業板51の上面で粘土細工等の工作を行ったり、万力部55あるいは突条体65等を使用して日用大工を行ったりする等、大人と子供とが楽しく対話しながら各種作業を行うことができる。
0015
次いで、移動スクリーン装置の構成について説明する。図7及び図8に示すように、移動スクリーン装置を構成する装置本体71は後面に開口を有する長四角箱状に形成され、その前壁には覗き窓72が透設されている。装置本体71内の両側部には一対の収容部74が形成されている。装置本体71の前壁側から見て右側の収容部74には略円筒状をなす送出ローラ81a及び操作部91からなる回転支持部材が、左側の収容部74には略円筒状をなす巻取ローラ81b及び操作部91からなる回転支持部材がそれぞれ収容されている。そして、装置本体71の外部から各操作部91の支持軸93を送出ローラ81a及び巻取ローラ81b内にそれぞれ挿通することにより、送出ローラ81a及び巻取ローラ81bが回転可能に支持されている。
0016
送出ローラ81a及び巻取ローラ81bの間には帯状をなすスクリーン73が架設され、その前面が覗き窓72から視認できるようになっている。このスクリーン73は、例えばその前面に物語の一情景を描写する絵が描かれたり、数式が記されたり、又は無地とされたり等、教育内容に合わせて複数枚が用意されている。この実施形態では無地のスクリーン73が使用されている。スクリーン73はその基端が送出ローラ81aの外周面上に固着されるとともに、基端部から中間部に渡る箇所は巻回されて一方の収容部74内に保持されている。スクリーン73の先端には挿入片75が取着されるとともに、この挿入片75が巻取ローラ81bに設けられたスリット82a内に挿入されることにより、スクリーン73の先端部と巻取ローラ81bとが連結されている。そして、巻取ローラ81bを回転させることにより、スクリーン73は送出ローラ81aから引き出されるとともに、巻取ローラ81bに巻き取られて長手方向に移動するように構成されている。
0017
スクリーン73は紙製の基材76の表面を合成樹脂製の透明な被覆膜76aで被覆することにより形成されており、この被覆膜76aの前面にシールを貼り付けたり、文字、絵等をマーカーペンで書き入れたり等することができるように構成されている。装置本体71内において、覗き窓72と対応する位置には透明なアクリル製の支持板77が取着されており、シールを貼り付けたり、文字、絵等をマーカーペンで書き入れたり等するとき、スクリーン73を後面側から支持している。装置本体71の前壁外面において、その両側部には一対の開閉扉78が水平方向に回動可能に連結されている。また、装置本体71の後面において、底壁端縁には四角板状をなす蓋板79の一端縁が回動可能に連結されている。そして、装置本体71を使用しない場合には一対の開閉扉78及び蓋板79が覗き窓72及び装置本体71の後面の開口を閉塞するようになっている。
0018
上記の多目的ボード、作業台50及び移動スクリーン装置から教育システムの教育用の道具が構成されている。これら多目的ボード、作業台50及び移動スクリーン装置はそれぞれの幅が全て同じ長さに設定されており、不使用時にはそれぞれを折り畳み、積み重ねることにより一体的に保管しておくことができる。さらに、多目的ボード、作業台50及び移動スクリーン装置はそれぞれ折り畳むことによりサイズがコンパクトになるため、容易に運搬可能であり、いつどこでも教育の場を設けることができる。
0019
次いで、上記の道具を使用しての教育方法を以下に示す。さて、多目的ボード、作業台50及び移動スクリーン装置からなる教育用の道具は、主に教育を担う者によって折り畳まれた状態で教育の場まで運搬される。運搬された後、教育を担う者は、教育の場に教育の対象となる者を集めるとともに、例えば多目的ボード上に移動スクリーン装置及び作業台50の少なくとも一方を載せたり、あるいはそれぞれをそのまま机の上に載せたり等して教育対象となる各分野に対応した道具がその場で組み立てられる。
0020
このとき、各道具の組み立ては、教育を担う者のみが行ってもよいし、教育を担う者と教育の対象となる者が一緒になって行ってもよい。そして、教育を担う者は教育の対象となる者に対し、多目的ボード、作業台50及び移動スクリーン装置の少なくとも1つを使用して対話により教育を行う。ここで、教育を担う者とは教師のほか父母、兄弟、学生及び年長者から選ばれる少なくとも1人を、教育の対象となる者とは幼児又は小学校低学年の児童を示すものである。
0021
教育システムの一具体例として算数の教育方法について以下に示す。なお、この算数の教育方法を説明するにあたり、小学校のクラス内において、教師が算数の苦手な子供を複数人集め、図7及び図8に示す移動スクリーン装置を使用して補習授業を行うことを前提にして説明するものとする。また、集める子供の人数は良好なコミュニケーションを図りつつ、教師が子供達全員の意見を把握することができるように5〜10人程度が好ましい。これより人数が少なくて小さな規模のものでは大人と子供、及び子供同士のコミュニケーションによる対話が成立しづらく、人数が多くて大きな規模のものでは大人が子供の精神的、感情的反応を確実に読み取ることができなくなる。
0022
さて、教師は教卓上に移動スクリーン装置を載せ、無地のスクリーン73上にマーカーペンで木を描き、その木の上にリンゴの形をしたシールを6枚貼り着けた後、子供達に木にリンゴが6つ生っていることを説明する。この後、教師はお猿さんの形をしたシールを取り出し、お猿さんシールをスクリーン73の縁に貼り、「お猿さんがリンゴを2つ食べてしまいました。」と、説明しながら、お猿さんシールを2つのリンゴシール上に貼り直し、「残りのリンゴはいくつでしょう」と子供達に質問する。すると、子供達は頭の中で数字を使うことなく、スクリーン73上で実際に見えるリンゴシールの数を指折り数え、リンゴが4つ残っていることを教師に教える。そして、教師は子供達の答えを確認する。
0023
このとき、ある子供の答えが間違っていたとき、教師は何故間違っているかを説明するのではなく、何故そのように答えたかを質問する。その一例を挙げる。ある子供はリンゴが6つ残っていると答えたとき、教師は正解が4つであることを教えるのではなく、何故6つと答えたかを質問する。その答えとして、子供が「お猿さんに隠れていてもスクリーン73上のリンゴは6つだから」と答えたとき、教師は「確かにそれは正しいが、でも2つのリンゴはお猿さんのお腹の中に入っている。」等の説明をして、その答えを否定するのではなく、肯定した上でもう一度数え直させ、答えを間違えた子供が正しい答えを導き出せるように誘導する。この際、教師はこの子供がスクリーン73上のリンゴシールの数を正確に数えることを学び、以後その経験を基にこの子供の感性を尊重しつつ、その能力を発揮することができる場を作る等することによって新たな教育方法を学ぶ。
0024
それから、リンゴシールの数を変えたり、巻取ローラ81bを回して覗き窓72内に新たにスクリーン73の無地の部分を表示させたり等しながら、上記作業を繰り返し、教師は子供に社会生活を営む上で最低限必要な基本として指折り数えて計算することを学ばせる。そして、この基本を子供が覚えた後、教師は次の基本である数字を使って計算することを学ばせる。
0025
数字を使って計算することを学ばせるとき、まず教師は送出ローラ81aを使ってスクリーン73を巻き戻し、先のリンゴシールが6つと、お猿さんシールとが貼着された場面を覗き窓72内に表示させる。次いでマーカーペンでリンゴシールの横に数字の6を書き、再度説明を繰り返してお猿さんシールでリンゴシールを2つ隠した後、お猿さんシールの上に数字の2を、その横に数字の4を書く。すると、子供はスクリーン73上のリンゴシールと数字の両方を同時に見ることで数字を理解する。その後、教師はリンゴが減少することを示す記号として、マイナス(−)を6と2の間に書き、計算式を教える。そして、スクリーン73を移動させたり、巻き戻したりしながら実際に数字を書いて上記計算を繰り返し、計算式を学ばせる。
0026
また、子供が計算、数字、計算式をある程度理解したならば、教師はシール、マーカーペンを子供に渡し、問題を作らせ、子供達同士で解答させる。すると、子供達は計算式を自ら考えるのみならず、教師がリンゴとお猿さんを使用したように、その計算式に至るまでの背景、ストーリーをも創り出す。そして、教師がその子供達の輪の中に入り、一緒に解答したり等することにより、子供同士のコミュニケーションを含みつつ、教師と子供との間のコミュニケーションに基づく教育がなされる。
0027
従って、上記教育方法において、子供は教師と機械的な会話を交わしながら教育を受けるのではなく、シール等のような遊びの要素を取り入れ、暖かみのある対話を続けることにより、算数の基本である計算、数字、計算式を楽しみながら学ぶことができる。さらには、子供達は子供同士又は教師とのコミュニケーションで試行錯誤を繰り返すことにより、教師ばかりではなく、相手の子供をも手本として、自らが持つ創造力を高めつつ、道徳観、社会的繋がり等といった社会生活を営む上で最低限必要なことを自発的に学ぶことができる。
0028
また、教師は子供の精神的、感情的反応を読み取ることにより、子供達がいやがることは無理にやらせず、興味を持ったことを中心に教育することができるため、子供達一人一人の能力に合わせて学ばせることができる。加えて、子供達は子供同士又は教師とのコミュニケーションを常に保つことで人間性が養われることにより、自然と協調性を学ぶことができる。
0029
さらには、子供達は教師とともに移動スクリーン装置のみならず、多目的ボード及び作業台50を併用しながら学ぶとき、その社会的影響の少ない幼い頃の感覚より生ずるひらめきにより、大人により作られた常識に囚われず、常に新たな使用方法を生み出していくため、より豊かな創造性が養うことができる。そして、多目的ボード、作業台50及び移動スクリーン装置は運搬可能であるとともに、教室、子供部屋等といった屋内のみならず、公園、野原等といった野外でも使用することができるため、教師は、子供達からの求めに応じて場所を選ぶことなく、いつ、どこでも教育を行うことができる。
0030
上記には移動スクリーン装置を使用した算数の教育方法が教育システムの一例として説明されている。しかし、この教育システムは決まった形に納まるものではなく、多目的ボード、作業台50及び移動スクリーン装置のうち少なくとも1つを用い、その都度教育を担う者と、教育の対象となる者とがコミュニケーションに基づく対話の中から新たな使用方法を生み出していくものである。そこで、上述した算数の教育方法以外で主な例を以下に挙げる。
0031
・ 多目的ボードを使用し、多目的板20を展開して、スケッチブック等を支持させ、平仮名、片仮名、漢字等といった文字を教える。
・移動スクリーン装置を使用し、無地のスクリーン73上に色々なパターンの背景画を貼り付け、子供達の感覚で背景画を基にしたストーリーを作らせて、それぞれに役を与え、演じさせることにより、創造性を高める。
0032
・ まず、炉端を囲むように作業台50を中心に教師及び子供が輪になってこれを囲む。その後、この作業台50を使用し、教師がまず手本となって工具の使い方を教え、子供がやりたがるようになったら、教師の監督及び助言の基で簡単な工作を行い、子供達に扱いづらい工具を使用しているという認識を体験を通じて学ばせるとともに、工作の楽しさを教える。
0033
・ 床の上でテーブル状に組み立てた多目的ボード上に移動スクリーン装置を載せ、子供達の目線の高さに合わせるとともに、無地のスクリーン73上にある児童に好きな絵を描かせたり、シールを貼らせる。その後、その児童が皆にスクリーン73上に描いたものの内容を説明するとともに、他の児童に続きの絵を描かせたり等することにより、子供達同士のコミュニケーションを図りつつ、子供達の発想力を向上させ、その子供達の発想力を教師達も学ぶ。
0034
・ 例えば、学校以外で少人数の子供達を集め、多目的ボード、作業台50及び移動スクリーン装置のうち少なくともいずれか1つを使用し、参加者全員が教師、あるいは生徒となって、教科、科目等に囚われることなく、様々なことを自由に学ぶことが可能な小規模の塾を開いてもよい。
0035
さらに、前記実施形態より把握できる技術的思想について以下に記載する。
・ 前記教育は、教育対象となる各分野において、社会生活を営む上で最低限必要な基本を学ぶものである請求項1から請求項4のいずれかに記載の教育システム。このように構成した場合、最低限必要な基本を教育の対象となる者は自然に学ぶことができる。
0036
・ 前記教育は、遊びの要素を取り入れながらも学ぶものである請求項1から請求項4のいずれかに記載の教育システム。このように構成した場合、学ぶことが嫌いな教育の対象となる者でも楽しく学ぶことができる。
0037
・ 前記教育の対象となる者は、自ら考えて教育対象となる各分野における作品を創り出す請求項1から請求項4のいずれかに記載の教育システム。このように構成した場合、それぞれが有している創造力を高めながら、教育の対象となる者が自発的に学ぶことができる。
0038
・ 前記教育は、学校教育を補うものである請求項1から請求項4のいずれかに記載の教育システム。このように構成した場合、学校教育から外れることなく、教育の対象となる者それぞれが有している能力を伸ばすことができる。
0039
・ 前記教育は、教育の対象となる者同士のコミュニケーションを含み、教育を担う者と、教育の対象となる者との間のコミュニケーションに基づくものである請求項1から請求項4のいずれかに記載の教育システム。このように構成した場合、互いに意見を交換し合いながら、考えを出し合うことにより、より発展的な思想を生み出すことができる。
0040
・ 前記教育を担う者は、教師のほか父母、兄弟、学生及び年長者から選ばれる少なくとも1人である請求項1から請求項4のいずれかに記載の教育システム。このように構成した場合、教師のほか父母、兄弟、学生及び年長者の持つ多くの知識と経験をアドバイスとすることにより、より前進的な教育と学習を行うことができる。
発明の効果
0041
以上詳述したように、この発明によれば、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明によれば、教育を担う者は、教育の対象となる者との間で対話を中心とした両方向での教育を場所を選ぶことなしに行うことができるとともに、教育の対象となる者は、各自が有する能力を発揮しつつ、自発的に学ぶことができる。
0042
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加えて、幼少の頃の感性を犠牲にすることなく学ぶことができる。請求項3に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、スクリーン上に貼り付けられたシール、マーカーペン等で描かれた数字、文字、絵等を残しておくことができ、これらをもとに想像を膨らませたり、物語を創作したり、見直しをしたり等することにより子供の創造性を高めながら学習を行うことができる。
0043
請求項4に記載の発明によれば、請求項1又は請求項2に記載の発明の効果に加えて、作業時に使用される多目的板及び蓋部の表面を平坦面とすることができ、教育対象となる各分野に対応して様々な用途で使用することができる。
図面の簡単な説明
0044
図1多目的板を広げて使用する状態の多目的ボードを示す斜視図。
図2テーブルとして使用する状態の多目的ボードを示す斜視図。
図3(a)は折り畳まれた状態の多目的ボードを示す斜視図、(b)は係合突条及び係合凹条が係合した状態を示す断面図。
図4折り畳まれた多目的板を広げる状態を示す斜視図。
図5多目的ボード上に載せた作業台を折り畳んだ状態を示す斜視図。
図6多目的ボード上に作業台を載せる状態を示す分解斜視図。
図7移動スクリーン装置を前面から見た状態を示す部分破断斜視図。
図8巻取ローラにスクリーンを連結する状態を示す分解斜視図。
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0045
11…ボード本体、11a,11b…分割体、13,74…収容部、19a,20a…分割片、20…多目的板、71…装置本体、72…窓、73…スクリーン、76a…被覆膜、77…支持板。