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技術 水電解装置−固体高分子形燃料電池系発電システム

出願人 関西電力株式会社
発明者 小川賢
出願日 2000年8月11日 (18年5ヶ月経過) 出願番号 2000-243862
公開日 2002年2月22日 (16年10ヶ月経過) 公開番号 2002-056880
状態 拒絶査定
技術分野 非金属・化合物の電解製造;そのための装置 燃料電池(本体) 燃料電池(システム)
主要キーワード タービン式発電機 起動停止時間 エネルギー低減効果 揚水式発電所 新エネルギー産業技術総合開発機構 設備効率 kWh程度 電解用水
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図面 (6)

課題

電気エネルギーの有効利用を図り、ひいては電力系統負荷平準化を実現できるシステムを提供する。

解決手段

少なくとも水電解装置及び固体高分子形燃料電池を有する発電システムであって、水電解装置による水の電気分解により水素ガス酸素ガスを製造し、製造された水素ガス及び酸素ガスをそれぞれ貯蔵し、電力が必要なときに上記水素ガス及び酸素ガスを取り出し、これらのガスを固体高分子形燃料電池に導入するにあたり、当該電池燃料極に水素ガスを供給し、当該電池の空気極に酸素ガスを供給することによって、上記電池により発電を行うことを特徴とする水電解装置−固体高分子形燃料電池系発電システム。

概要

背景

概要

電気エネルギーの有効利用を図り、ひいては電力系統負荷平準化を実現できるシステムを提供する。

少なくとも水電解装置及び固体高分子形燃料電池を有する発電システムであって、水電解装置による水の電気分解により水素ガス酸素ガスを製造し、製造された水素ガス及び酸素ガスをそれぞれ貯蔵し、電力が必要なときに上記水素ガス及び酸素ガスを取り出し、これらのガスを固体高分子形燃料電池に導入するにあたり、当該電池燃料極に水素ガスを供給し、当該電池の空気極に酸素ガスを供給することによって、上記電池により発電を行うことを特徴とする水電解装置−固体高分子形燃料電池系発電システム。

目的

従って、本発明の主な目的は、電気エネルギーの有効利用を図り、ひいては電力系統の負荷平準化を実現できるシステムを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
4件

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請求項1

少なくとも水電解装置及び固体高分子形燃料電池を有する発電ステムであって、水電解装置による水の電気分解により水素ガス酸素ガスを製造し、製造された水素ガス及び酸素ガスをそれぞれ貯蔵し、電力が必要なときに上記水素ガス及び酸素ガスを取り出し、これらのガスを固体高分子形燃料電池に導入するにあたり、当該電池燃料極に水素ガスを供給し、当該電池の空気極に酸素ガスを供給することによって、上記燃料電池により発電を行うことを特徴とする水電解装置−固体高分子形燃料電池系発電システム。

請求項2

水電解装置が、固体高分子形水電解装置である請求項1記載のシステム。

請求項3

固体高分子形燃料電池が、動作圧力1〜7気圧の範囲で変圧運転される請求項1又は2に記載のシステム。

請求項4

水素ガス及び酸素ガスを貯蔵するための水素タンク及び酸素タンクをそれぞれ有し、少なくともいずれか一方のタンクから取り出されるガスのガス圧を制御できるように発電機が設置されている請求項1〜3のいずれかに記載のシステム。

請求項5

固体高分子形燃料電池で発生する水蒸気の圧力を電気エネルギー転換できるようにタービン式発電機が設置されている請求項1〜4のいずれかに記載のシステム。

請求項6

固体高分子形燃料電池において水素酸素の反応により生成する水を回収し、回収した水の一部又は全部を水電解装置による水電解に用いる請求項1〜5のいずれかに記載のシステム。

請求項7

固体高分子形燃料電池で発生する熱の一部又は全部を用いることにより電解用水を加熱する請求項6記載のシステム。

請求項8

水電解装置による水の電気分解を深夜電力を用いて行い、固体高分子形燃料電池により発電された電力を昼間電力として供給する請求項1〜7のいずれかに記載のシステム。

技術分野

以上の結果より、昼間排熱+夜間電気ヒーター併用の場合の方が6千円/日程度のコス削減効果が得られる。これを年間に換算すると、設備効率80%として175万円程度経費削減効果がある。

0001

本発明は、水電解装置固体高分子形燃料電池とを組み合わせた新規発電ステムに関する。

0002

近年、昼間の電力需要は大幅に伸びているのに対し、深夜電力需要の伸びは少なく、昼夜の電力需要の格差は拡大する一方である。このため、図1に示すように、上記格差を是正し、電力系統負荷平準化を図る必要がある。

0003

かかる格差を是正する方策として、電気温水器氷蓄熱による冷暖房の普及を促進して深夜電力需要を増加させる等の試みがなされているものの、単機での消費電力は小さく、電力系統の負荷平準を実現するまでに至っていない。電力負荷平準化を実現するための手段として大型のものでは揚水式発電所があるが、国内での発電所用地の確保はますます困難になっており、将来性という点で問題がある。

0004

一方、深夜の発電量、特に全発電量に占める割合が高い原子力発電の発電量を抑えることも考えられる。しかし、原子力発電はその負荷調整幅が狭く、夜間といえども発電負荷下げることは事実上不可能である。

0005

これとは別に、電気エネルギーを有効利用するための技術が種々検討されている。例えば、水の電解分解により水素ガスを発生させ、気体状態又は液化水素として輸送し、電力消費地で使用する方法が提案されている。具体的には、新エネルギー産業技術総合開発機構(NEDO)で実施されている We-net計画がある。その概略系統フロー図2に示す。この計画は、カナダ水力発電電力を利用して水の電気分解を行い、発生した水素ガスを液化水素として日本に輸送し、エネルギー源として使用するものである。その他にも、砂漠地帯に設置した太陽電池エネルギーにより水を電解して水素ガスを製造する計画が考えられている。いずれの計画も、基本的には水素エネルギー社会を想定した壮大な計画と言える。しかし、これらの計画では、水の電気分解で水素とともに発生する酸素の有効利用については特に考慮されていない。

0006

また、水素エネルギーの利用方法の一つとして燃料電池を使用することも考えられている。ところが、消費地に設置した燃料電池システムでは、水素ガスの利用は可能であっても、酸素ガスを利用するものではないので発電効率の向上は望めず、エネルギーの有効利用の面ではなお不十分と言える。

0007

現在、NaS電池レドックスフロー形電池の開発も進められているが、発電容量は1MW程度までが限界であり、大容量化は今後の研究開発を待たなければならない。

発明が解決しようとする課題

0008

さらに、都市ガス燃料とするリン酸形燃料電池をDSS運用することにより電力のピークカットをすることも考えられるが、改質装置を含めたシステムでは起動・停止に3時間〜4時間以上も必要とし、実用的なシステムとは言えない。

0009

以上のように、電気エネルギーを有効に利用できるシステムは未だ開発途上にあるというのが現状である。

課題を解決するための手段

0010

従って、本発明の主な目的は、電気エネルギーの有効利用を図り、ひいては電力系統の負荷平準化を実現できるシステムを提供することにある。

0011

本発明者は、従来技術の問題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定のシステムが上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。

発明を実施するための最良の形態

0012

すなわち、本発明は、少なくとも水電解装置及び固体高分子形燃料電池を有する発電システムであって、水電解装置による水の電気分解により水素ガスと酸素ガスを製造し、製造された水素ガス及び酸素ガスをそれぞれ貯蔵し、電力が必要なときに上記水素ガス及び酸素ガスを取り出し、これらのガスを固体高分子形燃料電池に導入するにあたり、当該電池燃料極に水素ガスを供給し、当該電池の空気極に酸素ガスを供給することによって、上記燃料電池により発電を行うことを特徴とする水電解装置−固体高分子形燃料電池系発電システムに係るものである。

0013

本発明の水電解装置−固体高分子形燃料電池系発電システムは、少なくとも水電解装置及び固体高分子形燃料電池を有する発電システムであって、水電解装置による水の電気分解により水素ガスと酸素ガスを製造し、製造された水素ガス及び酸素ガスをそれぞれ貯蔵し、電力が必要なときに上記水素ガス及び酸素ガスを取り出し、これらのガスを固体高分子形燃料電池に導入するにあたり、当該電池の燃料極に水素ガスを供給し、当該電池の空気極に酸素ガスを供給することによって、上記燃料電池により発電を行うことを特徴とする。

0014

水の電気分解
水の電気分解は、水電解装置により行う。水電解装置の形式等は特に限定されない。例えば、固体高分子形水電解装置ソーダ法水電解装置等の公知の装置を用いることができる。

0015

特に、固体高分子形水電解装置は、水素ガス及び酸素ガスを加圧状態で発生させて貯蔵することが可能であることから、固体高分子形燃料電池へのガス供給時に空気ブロワー等の装置が不要となる点で好ましい。また、加圧動作による水電解反応エネルギーの増加もわずかであり、効率的なエネルギー貯蔵が可能である。小型又は中規模容量機では固体高分子膜を使用した水電解装置はすでに実用化されており、これらも本発明システムの水電解装置として使用できる。

0016

水素ガス及び酸素ガスの貯蔵
水の電気分解で発生した水素ガス及び酸素ガスは、いったん貯蔵される。貯蔵されるガスは、水の電気分解で発生した水素ガス及び酸素ガスの一部であっても良いし、あるいは全部であっても良いが、通常は発生したガスの全部を貯蔵すれば良い。これらのガスは、例えばそれぞれ水素タンク及び酸素タンクに貯蔵することができる。タンクの構造、大きさ等は、公知のものを適宜採用することができる。また、各タンクは、システム中に1基又は2基以上設けても良い。

0017

貯蔵された水素ガス及び酸素ガスは、電力が必要なときに取り出し、これらガスを固体高分子形燃料電池に導入する。例えば、夜間に深夜電力を利用して水の電気分解により水素ガスと酸素ガスを製造し、これらをそれぞれ水素タンク及び酸素タンクに貯蔵し、昼間の電力需要の多いときに水素ガスと酸素ガスを取り出して固体高分子形燃料電池に供給して発電すれば良い。発電により得られた電力は、昼間電力として供給すれば良い。

0018

本発明のシステムにおいて、水素タンクと酸素タンクのガス貯蔵圧は特に限定されない。高圧ガス取締法上10気圧以下であれば規制されないが、水電解装置の性能面から10気圧以上、特に10〜20気圧程度とすることも可能である。加圧貯蔵されたガスを取り出す場合、水素タンク及び酸素タンクの少なくともいずれか一方のタンクから取り出されるガスのガス圧を制御できるようにタービン式発電機を設置することもできる。例えば、ガス管等のガス払出系統マイクロタービン発電機等を設置すれば、そのガス圧の制御(減圧)と同時に、ガスの圧力エネルギーの有効利用を図ることもできる。発電機としては、タービンを有するものであれば良く、例えばマイクロタービン発電機、膨張タービン発電機等のような公知のタービン式発電機を使用することができる。

0019

固体高分子形燃料電池による発電
固体高分子形燃料電池(PEFC)自体は、公知のものを使用することができ、その形式、構造等も特に限定されない。また、固体高分子形燃料電池は、システム中に1基又は2基以上設けても良い。

0020

燃料電池の形式としてはアルカリ形、リン酸形、固体高分子形、溶融炭酸塩形固体電解質形等の燃料電池がある。本発明システムを昼夜の電力需要の格差解消のために利用する場合、昼間の約8〜10時間の発電では短い起動停止時間毎日起動停止運用(DSS運用)が必要となる。このような用途にはアルカリ形、リン酸形、固体高分子形等の燃料電池に適応性がある。この中でも、純水素ガス純酸素ガスを直接使用して高電圧としても腐食のおそれがなく、しかも低温動作のために起動停止が早く、他の型式よりも建設コストが安くできる等の点において、本発明では固体高分子形燃料電池を用いる。一般に、固体高分子形燃料電池の電池寿命については、DSS運用で8時間/1日で15年間使用した場合では、
8時間/1日×365日×10年間×0.8(設備利用率)=35,040時
間となる。これは、現在の固体高分子形燃料電池のセル寿命の開発目標4万時間に相当するものであり、実用に十分耐え得る。

0021

固体高分子形燃料電池の動作圧力として、常圧型、加圧型等のいずれも採用でき、用いる燃料電池の形式、システムの運転条件等に応じて適宜採択すれば良い。設備コスト信頼性等の点から言えば常圧型で十分であるが、ガスタンクの圧力を利用する場合には10気圧以下(特に1〜7気圧)での加圧変圧型システムとすることが好ましい。加圧変圧型により、全負荷領域で高い発電効率を達成することが可能である。

0022

固体高分子形燃料電池で生成する水の利用
本発明システムでは、必要に応じて、固体高分子形燃料電池において水素と酸素の反応により生成する水を回収し、回収した水(回収水)の一部又は全部を水電解装置による水の電気分解に用いることもできる。すなわち、本発明システムでは、回収水を上記水電解装置に循環することにより、回収水の有効利用を図ることができる。

0023

本発明システムでは、水電解用の水をすべて外部の市水工業用水から供給することも可能である。但し、この場合には大きな純水製造装置を必要とする分だけ、水処理コスト等が高くなる。一方、本発明システムにおいては、燃料電池における水素ガスと酸素ガスとの反応により純水に近い良質の水が生成されるので、この水を水電解用としても好適に利用することができる。このように、回収水の一部又は全部を水電解用として利用すれば、水電解用の水供給低コスト化、ひいては発電効率をより高めることが可能になる。

0024

具体的には、固体高分子形燃料電池の発電時に水素ガスと酸素ガスとの反応により燃料極及び空気極では水蒸気が発生する。この水蒸気は排空気及び排燃料ガス中に含まれるが、水蒸気は冷却器等により冷却され、凝縮水ドレン水)として回収することができる。このドレン水はシステム外から供給する市水や工業用水よりもはるかに純度が高いため、そのまま電解用水として使用できるが、必要な処理を施してから使用しても良い。

0025

また、燃料電池で生成される水は、理論的には水電解に必要な水と同量の水が生成されるので、回収水の全部で必要な電解用水をまかなうことも可能であるが、蒸発等により若干の水ロスが生じる場合もある。従って、このような場合は、必要に応じて、不足する水をシステム外から適宜供給すれば良い。

0026

得られた回収水は、通常は専用のタンク(純水タンク)に蓄えられる。必要に応じて、回収水の一部又は全部を水電解装置に供給することも可能である。純水タンクは、必要により1基又は2基以上設けても良い。また、純水タンクには、必要に応じてボトミングヒーター等の加熱装置を設けても良い。

0027

固体高分子形燃料電池で発生する熱の利用
本発明システムでは、固体高分子形燃料電池で発生する熱の一部又は全部を用いて回収水を加熱(保温も含む。以下同じ)することもできる。本発明システムでは、水循環系統、特に純水タンクに固体高分子形燃料電池の排熱を利用して加熱・保温し、水電解時の効率を向上させることができ、これにより余熱の有効利用が可能となる。

0028

表1には、本発明システムにおける排熱発生箇所利用熱条件及び熱利用先の一例を示す。

0029

0030

電池冷却水では約60℃の温水電池スタックでは約40〜60℃の温水がそれぞれ得られる。これらの温水(熱)は、水タンクの加熱保温、外部からの補給水昇温又は予備加熱、燃料電池で使用される水素ガスや酸素ガスの予備加熱用(ガスタンクの保温用)等に使用される。

0031

このように、これら温水の熱エネルギーで水タンクの加熱等を行うことにより、その熱利用を実現することができる。これらの熱エネルギーは、単独で又は2以上を組み合わせて利用することができる。また、必要に応じて、ボイラー電気ヒータ等により外部から熱エネルギーを供給することもできる。

発明の効果

0032

回収水(電解用水)を加熱する場合の温度は、設備の種類、システムの運転条件等に応じて適宜設定すれば良い。図3には、固体高分子形水電解装置における電解温度電解電圧との関係を示す。図3に示すように、より高い温度(通常80〜100℃程度)で水を加熱する場合の方が電解効率面で優れている。このため、本発明システムにおいても、電解用水を予め80℃以上に加熱することにより、電解効率をより向上させることが可能となる。一方、上記温水はせいぜい60℃である。このため、電解用水を80℃以上に加熱する場合は、例えば60℃までの加熱には上記温水の熱エネルギーを利用し、60℃以上の加熱はヒーター等の加熱装置を利用すれば良い。

0033

本発明は、固体高分子形燃料電池と水電解装置を組み合わせたシステムとして、水の電気分解により水素ガスと酸素ガスを製造し、水素ガス及び酸素ガスを水素タンク及び酸素タンクにそれぞれ貯蔵し、電力が必要なときに、水素ガス及び酸素ガスを固体高分子形燃料電池に導入して発電し、電力を供給するシステムである。

0034

例えば、電力需要の少ない深夜電力を利用して水電解装置により水の電気分解を行い、発生した水素ガスと酸素ガスを貯蔵しておき、電力需要の多い昼間にこれらのガスを用いて固体高分子形燃料電池により発電することによって、深夜電力のような余剰電力の有効利用を図るものである。本発明システムでは、電力系統の負荷平準化に寄与することができる。

0035

すなわち、本発明システムは、電力設備、特に発電設備の負荷平準化の役割を担うものであり、従来において揚水式発電所が行っている役割と同様の役割を果たすものである。

0036

また、本発明システムでは、燃料電池の還元剤及び酸化剤として水素ガス及び酸素ガスを使用するために改質系統が不要となる。従って、起動時間が3時間を超えるような都市ガス燃料の燃料電池と異なり、本発明システムではDSS運用が比較的容易に実現できる。

0037

さらに、本発明システムでは、水の電気分解では生成する水素ガスと酸素ガスとも燃料電池の反応ガスとして使用できるので、資源の有効利用、発電効率の向上等にも貢献できる。

0038

本発明システムは、都市ガス利用等の改質が必要なシステムとは異なり、水素ガスを直接利用するために改質器等の改質ガス系統のないシステム構成となる。また、燃料電池のカソードにおいて主として酸素ガスを使用するので、空気を使用する場合と比較して空気ブロワーの容量が大幅に少なくなり、補機動力がかなり減少する。

0039

図4に常圧型固体高分子形燃料電池における電流密度平均セル電圧特性(I−V特性)を示す。実線は純水素ガスと空気を使用した場合のI−V特性を示す。本発明のシステムにおいて水素ガス(純水素ガス)と酸素ガス(純酸素ガス)を使用できるので、空気極の電位が向上し、図4破線で示すような予想線となる。全負荷範囲でセル電圧は100mV程度向上する。固体高分子形燃料電池ではセル電圧が0.8Vを超えても腐食等のおそれがなく、高電位にできるため、高効率での発電が可能となる。運転電圧の設定は、電流密度とセル数(コスト)との関係で決まるが、定置式燃料電池では効率を重視し、運転電位をできるだけ高電位にすることが好ましい。

0040

水電解装置と固体高分子形燃料電池を組み合わせた発電システムの水電解装置には高効率の固体高分子形水電解装置を採用することが好ましい。この固体高分子形水電解装置は加圧状態でも水電解効率は基本的に変化しない。このため、ガス圧縮機等を使用しなくても、上記水電解装置で発生した水素ガス及び酸素ガスを加圧状態でそのまま貯蔵することができる。この加圧には、一般的に5MWシステムで数百KWのかなり大きな圧縮動力を必要とするのに対し、固体高分子形水電解装置ではそのような動力を補う必要がない点において、補機動力の省略化によるエネルギー低減効果は大きい。

0041

また、加圧貯蔵されている水素ガス及び酸素ガスを固体高分子形燃料電池の動作圧力まで減圧する場合、ガス圧を利用できるマイクロガスタービン発電機等をシステム内に設置すれば、減圧装置として機能するだけでなく、その圧力エネルギーも有効に利用することができる。

0042

以下に実施例を示し、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明の範囲は、実施例に限定されるものではない。

0043

実施例1
図5に本発明システムの概要を示す。このシステムは主要設備として、送受電設備(1)、固体高分子形水電解装置(2)、水素タンク(3)、酸素タンク(4)、固体高分子形燃料電池(5)、純水タンク(6)等から構成される。

0044

例えば、夜間は送受電設備(1)を通じて深夜電力を受電し、固体高分子形水電解装置(2)における水の電気分解に必要な電力として使用する。送受電設備には、電力系統の交流電力を水電解装置が必要な直流電力に変換する直交変換装置、所定の電圧に制御するための変圧器等が含まれる。

0045

また、水の電気分解に必要な水は純水タンク(6)から供給される。この水の性状は純水が必要なために補給純水タンクには純水を貯蔵する必要がある。全ての電解用水を外部の市水又は工業用水から供給することは大かがり水処理装置を必要とし、水処理コストも高くなるのに対し、燃料電池での生成水不純物が少なく、そのまま水電解に利用できることから、水電解において燃料電池の生成水を再利用するシステムが好ましい。すなわち、固体高分子形燃料電池において水素と酸素の反応により生成する水蒸気(生成水)をドレン水として回収し、この回収水の一部又は全部を水電解装置による水の電気分解に用いることができる。このようなシステムも本発明に包含される。

0046

固体高分子形水電解装置(2)で製造された水素ガス及び酸素ガスは、それぞれ水素タンク(3)及び酸素タンク(4)に貯蔵される。貯蔵するためのガス加圧は、固体高分子形水電解装置(2)の電解時の圧力をタンクの圧力よりも高く設定することにより可能となる。ガスタンク寸法は発電容量、ガスタンクの圧力等により適宜設定すれば良い。

0047

このように、昼間の固体高分子形燃料電池の発電に必要な量の水素ガス及び酸素ガスをそれぞれ水素タンク(3)及び酸素タンク(4)に貯蔵すれば良い。

0048

昼間には、固体高分子形燃料電池(5)で発電を行うが、水素ガスは水素タンク(3)から、酸素ガスは酸素タンク(4)からそれぞれ供給される。ガスタンクではガスは加圧貯蔵されているために固体高分子形燃料電池(5)の動作圧力(通常は常圧)まで下げる必要がある。この場合、水素ガス払出系統と酸素ガス払出系統にそれぞれ小型マイクタービン発電機(7)(8)を設置することにより、動作圧力を減圧でき、同時に圧力エネルギーを電気エネルギーとして回収することができる。

0049

固体高分子形燃料電池(5)の発生電力は、送受電設備(1)に送り交流に変換され、所定の電圧に昇圧して送電する。小型マイクロタービン発電機(7)(8)で発生した電力は、所内動力用(本発明システム用)として使用しても良いし、あるいは送電系統に送電しても良い。

0050

発電時に生じる水はスタックから排出されるが、オフガス冷却器(9)を通じて冷却されてドレン水として回収され、純水タンク(6)に貯蔵される。貯蔵された水は、水電解装置に循環させて電解用水として利用することができる。

0051

電池冷却水はガス予熱器(13)を通り、水素ガス及び酸素ガスを加熱し、熱交換機(10)で冷却される。

0052

水電解装置の電解用水は純水タンク(6)で保温されているが、水分解の際に電気ヒーター加熱器(11)により所定の温度まで昇温する。電気ヒーターの電力は低コストの深夜電力を利用することが望ましい。

0053

また、図6に本発明システムで使用する各設備の立体配置図を示す。図6では、外部からの電力が変電所を経て水電解装置に送電される。水電解装置には、燃料電池に連結された純水タンクから水が供給される。固体高分子形燃料電池は6基が配置されており、各燃料電池の生成した水が純水タンクで蓄えられる構成になっている。燃料電池には、水素ガス及び酸素ガスがそれぞれ水素タンク及び酸素タンクから供給される。冷却塔は、システムで利用できない低温の排熱や季節により過剰となる熱を放出するために設置されている。

0054

参考例1
本発明システムの効率改善効果を固体高分子形燃料電池を使用した場合で概算した。

0055

固体高分子形燃料電池の発電効率は定格負荷で純水素と純酸素を使用するために常圧型でもセル電圧は0.8Vと高くなり、発電効率は約65%となる。4気圧の加圧変圧型で0.9Vと発電効率は約73%となる。

0056

また、固体高分子形水電解装置の電解効率は約97%と高く、これを組み合わせた固体高分子形水電解装置−固体高分子形燃料電池の燃料電池スタック送電端効率は常圧型で約61.0%、加圧変圧型で約68.8%となる。

0057

常圧型 : 0.97(水電解装置)× 0.65(PEFC)× 0.97(INV)=61.0%
加圧変圧型: 0.97(水電解装置)× 0.73(PEFC)× 0.97(INV)=68.8%
このシステムでは所内動力も低減する効果が期待される。水電解装置で製造した水素ガスと酸素ガスをコンプレッサーで昇圧する場合、10気圧で450KW(水素ガス圧縮機約300KW、酸素ガス圧縮機約150KW)の大きな所内動力を必要とする。これに対し、本発明システムでは、水電解装置を加圧動作することによるこの動力は不要となる。

0058

また、本発明システムではタービン発電機を使用した場合には、それによる出力の増加が得られる。水素ガスと酸素ガスの減圧用マイクロタービン発電機の出力は水素ガスで約25KW程度,酸素ガスで約12KW程度の発電容量となる。これらの駆動エネルギーは本発明システム内で自給できるものであり、外部から追加して投入する必要はない。

0059

このため、システム総合の発電効率としては
常圧型 : 61.0%×5037/5000=61.5%
加圧変圧型: 68.8%×5037/5000=69.3%
と高い効率が期待できる。深夜電力の発電単価は6円/kWhとすると、昼間の発電単価は常圧型9.8円/kWh、加圧変圧型8.6円/kWh程度となる。

0060

水電解装置−固体高分子形燃料電池発電のシステムにあって、水電解装置の水の電気分解に必要とする水の水質は純水である。この純水を市水や工業用水から製造すると大型の水処理設備(大規模なイオン交換膜)により水処理をする必要があるが、水処理設備の建設費ランニングコストに多大な費用を必要とする。一般に、イオン交換膜による純水の製造には1トン当たり2000円程度かかるとされている。

0061

5MWの固体高分子形燃料電池システムを1日8時間運転するのに必要な水素量は28800Nm3であり、これを製造するに必要な水量は23200kg/日であり、その水コストは50千円/日である。

0062

このように、固体高分子形燃料電池の水を回収して水電解に使用することにより水処理の経費削減が可能となる。また、水の循環サイクルが可能なために、外部からの水補給は極力少なくて済み、水資源の少ない砂漠、山中等にも本発明システムは設置可能となる。

図面の簡単な説明

0063

また、水電解用の水の加熱に関し、必要な純水を例えば15℃から80℃に昇温するために必要なエネルギーは (80-15)×23,200kg=1,508,000kcalにより1,508,000kcalとなる。15℃から約50℃までの昇温に排熱を利用する場合、約50℃から80℃までは電気ヒーターで加熱することとなり、そこで必要な電力の熱量は696,000kcalとなる。排熱を利用する場合とそうでない場合の違いを、昼間電力24円/kwh、深夜電力6円/kwh、電気ヒーターの効率を95%として計算すると
昼間排熱+夜間電気ヒーター併用 810kwh 4857円
夜間電気ヒーターのみ 1,754kwh 10523円

0064

図1本発明による電力系統の負荷平準化効果を説明する図である。
図2We-net計画の概略系統フロー図である。
図3固体高分子形水電解装置における電解温度と電解電圧との関係を示す図である。
図4本発明による固体高分子形燃料電池のI−V特性の変化を示す図である。
図5本発明の水電解装置−固体高分子形燃料電池の発電システム例を示す系統図である。
図6本発明システムで使用する各設備の立体配置例の概要図である。

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  • 東京瓦斯株式会社の「 燃料電池システム」が 公開されました。( 2018/12/06)

    【課題】上水を用いずに、開放型の冷媒タンクの水量を確保可能な燃料電池システムを提供すること。【解決手段】燃料電池システム10は、燃料電池セル81、燃料電池セル81の排気と冷媒W2との間で熱交換を行う排... 詳細

  • 東京瓦斯株式会社の「 燃料電池システム」が 公開されました。( 2018/12/06)

    【課題】ラジエータを無くしてシステムのシンプル化、及びコンパクト化を可能とする燃料電池システムを提供する。【解決手段】燃料電池システム10は、燃料ガスと改質水とを供給して発電を行う燃料電池セル81、燃... 詳細

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