図面 (/)

技術 水性インキ用カーボンブラック顔料とそれを用いた水性インキ

出願人 東海カーボン株式会社
発明者 新井啓哲
出願日 2000年8月3日 (20年4ヶ月経過) 出願番号 2000-235503
公開日 2002年2月12日 (18年10ヶ月経過) 公開番号 2002-047434
状態 特許登録済
技術分野 顔料、カーボンブラック、木材ステイン インキ、鉛筆の芯、クレヨン
主要キーワード 通過重量 沈殿残渣 残塩濃度 水分散性能 特性範囲 総和量 水分散性カーボンブラック アグリゲート径
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2002年2月12日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (0)

図面はありません

課題

水分散性能に優れ、水性インキ用として好適なカーボンブラック顔料および該カーボンブラックを用いた水性インキを提供する。

解決手段

本発明の水性インキ用カーボンブラック顔料はN2SA 150m2/g以上、DBP 100cm3/100g 以上、Tint 125以上のカーボンブラックを20〜80wt%、N2SA150m2/g未満、DBP 100cm3/100g 未満、Tint 125以上のカーボンブラックを80〜20wt%、の割合で混合したカーボンブラックであって、酸化処理してX線光電子分光法により測定した全炭素原子と全酸素原子との原子比酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)を 0.1以上、水素含有表面官能基量を3.0μeq/m2 以上に化学修飾されたことを特徴とする。また水性インキは混合したカーボンブラックを水中に分散させ酸化処理して、X線光電子分光法により測定した全炭素原子と全酸素原子との原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)を 0.1以上、水素含有表面官能基量を3.0 μeq/m2 以上に化学修飾し、濾別後、アルカリ水溶液に分散し、次いで分散液中に残存する塩を分離精製したものである。

概要

背景

カーボンブラック疎水性で水に対する濡れ性が低いために水中に高濃度で安定に分散させることが極めて困難である。これはカーボンブラック表面に存在する水分子との親和性が高い官能基が極めて少ないことに起因する。そこで、水分散性を向上させるためにカーボンブラックを酸化改質して表面に親水性の官能基を形成する方法が古くから知られている。

例えば、特開昭48−18186号公報にはカーボンブラックを次亜ハロゲン酸塩水溶液酸化処理し、ついで反応系より酸化カーボンブラックを分離捕集するにあたり有機溶剤洗浄することを特徴とする酸化カーボンブラックの製造方法が、また、特開昭57−159856号公報にはカーボンブラックを低温酸化プラズマ処理することを特徴とする水分散性改質カーボンブラックの製造方法が開示されている。

水分散性に優れたカーボンブラックは水性顔料インキとして有用されており、筆記具をはじめ、特に近年ではインキジェットプリンター用の記録液などとしても注目されている。易水分散性カーボンブラックを用いた水性インキとして、例えば、特開平8−3498号公報には水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキにおいて、該カーボンブラックが1.5mmol/g以上の表面活性水素含有量を有する水性顔料インキ、及び、水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキの製造方法において、(a)酸性カーボンブラックを得る工程と、(b) 前記酸性カーボンブラックを水中で次亜ハロゲン酸塩で更に酸化する工程とを、包含する水性顔料インキの製造方法が提案されている。また、特開平8−319444号公報には吸収量100cm3/100g以下のカーボンブラックを水性媒体中に微分散する工程;及び次亜ハロゲン酸塩を用いて該カーボンブラックを酸化する工程;を包含する水性顔料インキの製造方法が開示されている。

上記の特開平8−3498号公報及び特開平8−319444号公報ではカーボンブラックを酸化して、表面に親水性の官能基である活性水素を多く含有させることにより水分散性が良好で、長期間の分散安定性に優れた水性顔料インキを得るものである。しかしながら、カーボンブラックが水中に分散して安定な分散状態を維持するためにはカーボンブラック粒子表面と水分子との接触界面に存在する親水性の官能基量が大きく機能し、単にカーボンブラック単位重量当たりに存在する官能基量を規制するのみでは分散性良否を的確に判断することは困難である。

そこで、本発明者は分散性能の良否を的確に判断する新たな指標としてカーボンブラック単位表面積当たりに存在する親水性の水素含有官能基量に着目して研究を進め、表面に存在する水素含有官能基のうちカルボキシル基ヒドロキシル基総和量が、単位表面積当たり3μeq/m2以上である易水分散性カーボンブラック、及びその製造方法(特開平11−148027号公報)を開発し、また、窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g以上、DBP吸油量が70ml/100g 以下のカーボンブラックを酸化処理したカーボンブラックであって、アグリゲートストークスモード径Dst(nm)とアグロメレート平均粒径Dupa50%(nm)との比Dupa50%/Dstの値が1.5〜2.0の特性を備える易水分散性カーボンブラック(特開平11−148026号公報)を開発提案した。

本発明者は、更に水への分散性能に優れ、水性インキ用黒色顔料として好適な易水分散性カーボンブラックの開発について引き続き研究を行っており、窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g以上、DBP吸油量が80ml/100g 以下のカーボンブラックであって、(1) カーボンブラックのアグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)との比Dupa50%/Dstの値が1.1〜1.5、(2) アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)の値が40〜140(nm)、(3) アグロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)の値が250(nm)以下、であり、かつ表面に存在する水素含有官能基のうちカルボキシル基とヒドロキシル基の総和量が単位表面積当たり3μeq/m2以上の特性を備える易水分散性カーボンブラック(特開平11−256066号公報)を提案した。

概要

水分散性能に優れ、水性インキ用として好適なカーボンブラック顔料および該カーボンブラックを用いた水性インキを提供する。

本発明の水性インキ用カーボンブラック顔料はN2SA 150m2/g以上、DBP 100cm3/100g 以上、Tint 125以上のカーボンブラックを20〜80wt%、N2SA150m2/g未満、DBP 100cm3/100g 未満、Tint 125以上のカーボンブラックを80〜20wt%、の割合で混合したカーボンブラックであって、酸化処理してX線光電子分光法により測定した全炭素原子と全酸素原子との原子比酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)を 0.1以上、水素含有表面官能基量を3.0μeq/m2 以上に化学修飾されたことを特徴とする。また水性インキは混合したカーボンブラックを水中に分散させ酸化処理して、X線光電子分光法により測定した全炭素原子と全酸素原子との原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)を 0.1以上、水素含有表面官能基量を3.0 μeq/m2 以上に化学修飾し、濾別後、アルカリ水溶液に分散し、次いで分散液中に残存する塩を分離精製したものである。

目的

本発明は、引き続く研究開発の結果、完成に至ったもので、その目的は、水中における分散性に優れ、水性インキ用の黒色顔料として好適であり、例えばインキジェット用インキ顔料として用いた場合、普通紙、専用紙、OHPシートアート紙などに印字する際の紙定着濃度、印字濃度吐出安定性、耐光性、保存安定性および分散安定性などに優れた水性インキ用カーボンブラック顔料とこのカーボンブラック顔料を用いた水性インキを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

窒素吸着比表面積(N2SA)150m2/g以上、DBP吸収量100cm3/100g以上、比着色力(Tint)120%以上のカーボンブラックを20〜80wt%、窒素吸着比表面積(N2SA)150m2/g未満、DBP吸収量100cm3/100g未満、比着色力(Tint)120%以上のカーボンブラックを80〜20wt%、の割合で混合したカーボンブラックであって、酸化処理してX線光電子分光法により測定した全炭素原子と全酸素原子との原子比酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)を0.1以上に、カルボキシル基ヒドロキシル基の和である水素含有表面官能基量を3.0μeq/m2 以上に、化学修飾されたことを特徴とする水性インキ用カーボンブラック顔料

請求項2

水中に分散した状態におけるカーボンブラックのアグロメレート平均粒径Dupa50%が50〜110nm、アグロメレートの最大粒径Dupa99%が250nm以下の粒子性状を有する、請求項1記載の水性インキ用カーボンブラック顔料。

請求項3

窒素吸着比表面積(N2SA)150m2/g以上、DBP吸収量100cm3/100g以上、比着色力(Tint)120%以上のカーボンブラックを20〜80wt%、窒素吸着比表面積(N2SA)150m2/g未満、DBP吸収量100cm3/100g未満、比着色力(Tint)120%以上のカーボンブラックを80〜20wt%、の割合で混合したカーボンブラックを水中に分散させ酸化処理して、X線光電子分光法により測定した全炭素原子と全酸素原子との原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)を0.1以上に、カルボキシル基とヒドロキシル基の和である水素含有表面官能基量を3.0μeq/m2 以上に、化学修飾し、濾別後、アルカリ水溶液に分散し、次いで分散液中に残存する塩を分離精製したことを特徴とする水性インキ

技術分野

0001

本発明は、水中への分散性能に優れ、水性黒色インキ用として好適な水性インキ用カーボンブラック顔料、および該カーボンブラック顔料を用いた水性インキに関する。

背景技術

0002

カーボンブラック疎水性で水に対する濡れ性が低いために水中に高濃度で安定に分散させることが極めて困難である。これはカーボンブラック表面に存在する水分子との親和性が高い官能基が極めて少ないことに起因する。そこで、水分散性を向上させるためにカーボンブラックを酸化改質して表面に親水性の官能基を形成する方法が古くから知られている。

0003

例えば、特開昭48−18186号公報にはカーボンブラックを次亜ハロゲン酸塩水溶液酸化処理し、ついで反応系より酸化カーボンブラックを分離捕集するにあたり有機溶剤洗浄することを特徴とする酸化カーボンブラックの製造方法が、また、特開昭57−159856号公報にはカーボンブラックを低温酸化プラズマ処理することを特徴とする水分散性改質カーボンブラックの製造方法が開示されている。

0004

水分散性に優れたカーボンブラックは水性顔料インキとして有用されており、筆記具をはじめ、特に近年ではインキジェットプリンター用の記録液などとしても注目されている。易水分散性カーボンブラックを用いた水性インキとして、例えば、特開平8−3498号公報には水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキにおいて、該カーボンブラックが1.5mmol/g以上の表面活性水素含有量を有する水性顔料インキ、及び、水とカーボンブラックとを含有する水性顔料インキの製造方法において、(a)酸性カーボンブラックを得る工程と、(b) 前記酸性カーボンブラックを水中で次亜ハロゲン酸塩で更に酸化する工程とを、包含する水性顔料インキの製造方法が提案されている。また、特開平8−319444号公報には吸収量100cm3/100g以下のカーボンブラックを水性媒体中に微分散する工程;及び次亜ハロゲン酸塩を用いて該カーボンブラックを酸化する工程;を包含する水性顔料インキの製造方法が開示されている。

0005

上記の特開平8−3498号公報及び特開平8−319444号公報ではカーボンブラックを酸化して、表面に親水性の官能基である活性水素を多く含有させることにより水分散性が良好で、長期間の分散安定性に優れた水性顔料インキを得るものである。しかしながら、カーボンブラックが水中に分散して安定な分散状態を維持するためにはカーボンブラック粒子表面と水分子との接触界面に存在する親水性の官能基量が大きく機能し、単にカーボンブラック単位重量当たりに存在する官能基量を規制するのみでは分散性良否を的確に判断することは困難である。

0006

そこで、本発明者は分散性能の良否を的確に判断する新たな指標としてカーボンブラック単位表面積当たりに存在する親水性の水素含有官能基量に着目して研究を進め、表面に存在する水素含有官能基のうちカルボキシル基ヒドロキシル基総和量が、単位表面積当たり3μeq/m2以上である易水分散性カーボンブラック、及びその製造方法(特開平11−148027号公報)を開発し、また、窒素吸着比表面積(N2SA)が80m2/g以上、DBP吸油量が70ml/100g 以下のカーボンブラックを酸化処理したカーボンブラックであって、アグリゲートストークスモード径Dst(nm)とアグロメレート平均粒径Dupa50%(nm)との比Dupa50%/Dstの値が1.5〜2.0の特性を備える易水分散性カーボンブラック(特開平11−148026号公報)を開発提案した。

0007

本発明者は、更に水への分散性能に優れ、水性インキ用黒色顔料として好適な易水分散性カーボンブラックの開発について引き続き研究を行っており、窒素吸着比表面積(N2SA)が50m2/g以上、DBP吸油量が80ml/100g 以下のカーボンブラックであって、(1) カーボンブラックのアグリゲートのストークスモード径Dst(nm)とアグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)との比Dupa50%/Dstの値が1.1〜1.5、(2) アグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)の値が40〜140(nm)、(3) アグロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)の値が250(nm)以下、であり、かつ表面に存在する水素含有官能基のうちカルボキシル基とヒドロキシル基の総和量が単位表面積当たり3μeq/m2以上の特性を備える易水分散性カーボンブラック(特開平11−256066号公報)を提案した。

発明が解決しようとする課題

0008

本発明は、引き続く研究開発の結果、完成に至ったもので、その目的は、水中における分散性に優れ、水性インキ用の黒色顔料として好適であり、例えばインキジェット用インキ顔料として用いた場合、普通紙、専用紙、OHPシートアート紙などに印字する際の紙定着濃度、印字濃度吐出安定性、耐光性、保存安定性および分散安定性などに優れた水性インキ用カーボンブラック顔料とこのカーボンブラック顔料を用いた水性インキを提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

上記目的を達成するための本発明の水性インキ用カーボンブラック顔料は、窒素吸着比表面積(N2SA)150m2/g以上、DBP吸収量100cm3/100g以上、比着色力(Tint)120%以上のカーボンブラックを20〜80wt%、窒素吸着比表面積(N2SA)150m2/g未満、DBP吸収量100cm3/100g未満、比着色力(Tint)120%以上のカーボンブラックを80〜20wt%、の割合で混合したカーボンブラックであって、酸化処理してX線光電子分光法により測定した全炭素原子と全酸素原子との原子比酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)を0.1以上に、カルボキシル基とヒドロキシル基の和である水素含有表面官能基量を3.0μeq/m2 以上に、化学修飾されたことを構成上の特徴とする。

0010

更に、本発明の水性インキ用カーボンブラック顔料は、上記の特性を備えたカーボンブラックであって、水中に分散した状態におけるカーボンブラックのアグロメレートの平均粒径Dupa50%が50〜110nm、アグロメレートの最大粒径Dupa99%が250nm以下の粒子性状を有していることを特徴とする。

0011

また、本発明の水性インキは、窒素吸着比表面積(N2SA)150m2/g以上、DBP吸収量100cm3/100g以上、比着色力(Tint)120%以上のカーボンブラックを20〜80wt%、窒素吸着比表面積(N2SA)150m2/g未満、DBP吸収量100cm3/100g未満、比着色力(Tint)120%以上のカーボンブラックを80〜20wt%、の割合で混合したカーボンブラックを水中に分散させ酸化処理して、X線光電子分光法により測定した全炭素原子と全酸素原子との原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)を0.1以上に、カルボキシル基とヒドロキシル基の和である水素含有表面官能基量を3.0μeq/m2 以上に、化学修飾し、濾別アルカリ水溶液に分散し、次いで分散液中に残存する塩を分離精製したことを構成上の特徴とする。

発明を実施するための最良の形態

0012

カーボンブラック特性のうち、窒素吸着比表面積(N2SA)はカーボンブラックを水中に分散させた場合にカーボンブラック粒子表面と水分子とが接触する界面の面積関与する特性であり、この値が大きい程、接触界面の面積が大きくなるので水分散性能は向上する。しかしながら、水性インキとした場合には紙定着濃度が低くなり、印字濃度が薄くなる。一方、窒素吸着比表面積(N2SA)が小さくなると水分子との接触界面も小さくなるので水分散性が低下し、水性インキの濾過性や吐出安定性などが低下する。

0013

また、DBP吸収量は水中に分散した状態におけるカーボンブラック粒子凝集体の大きさに関連する特性であり、DBP吸収量が大きくなると水分散液中において凝集体が絡み合う確率が高くなり、カーボンブラックが沈降し易くなるので、水性インキとした場合に沈殿残渣率が増大して、濾過性や吐出安定性が低下することとなる。しかし、DBP吸収量が小さくなると紙定着濃度が低下するため、印字濃度が低くなる。

0014

比着色力(Tint)はカーボンブラックの粒子径比表面積)、ストラクチャー(DBP吸収量)、更にアグリゲート径などに関連した特性であり、この値が小さくなり、120を下回るようになると粒度分布ブロード化するため、水性インキを作製した場合、濾過性や吐出安定性が低下し、また沈殿残渣率も増大することとなる。

0015

このようにカーボンブラックの特性は、水への分散性能、更に水性インキの紙定着濃度、印字濃度、濾過性、吐出安定性などに大きく影響するため、本発明のカーボンブラック顔料は、これらの特性の異なるカーボンブラックを混合して使用に供される。すなわち、窒素吸着比表面積(N2SA)が150m2/g以上、DBP吸収量が100cm3/100g以上、比着色力(Tint)が120%以上のカーボンブラックを20〜80wt%、窒素吸着比表面積(N2SA)が150m2/g未満、DBP吸収量が100cm3/100g未満、比着色力(Tint)が120%以上のカーボンブラックを80〜20wt%、の割合で混合したカーボンブラックが適用される。

0016

本発明の水性インキ用カーボンブラック顔料は、これらの特性範囲のカーボンブラックを所定の重量比で混合したカーボンブラックを対象として、酸化処理によりその表面に存在する官能基量として、X線光電子分光法により測定した全炭素原子と全酸素原子との原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)の値が0.1以上に、およびカルボキシル基とヒドロキシル基の和である水素含有表面官能基量が3.0μeq/m2 以上に化学修飾された点に特徴がある。

0017

XPSやESCAなどのX線光電子分光法により測定される全炭素原子と全酸素原子との原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)が0.1未満であると、水などの極性溶媒に対する自己分散性が低下し、水性インキとした場合に保存安定性が悪化することとなる。なお、この結合エネルギー強度比の調整は、酸化処理によりカーボンブラック粒子表面を化学的に酸化させて、化学修飾することにより親水性官能基を形成することにより行われる。

0018

そして、親水性の官能基としてカルボキシル基とヒドロキシル基の和である水素含有表面官能基量が3.0μeq/m2 以上に化学修飾されたものであることが必要となる。カーボンブラックの水中への分散性能はカーボンブラックと水分子との接触界面に存在する親水性の官能基量が大きな役割を果たすので、化学修飾されて形成した親水性官能基量として、活性水素を含むカルボキシル基およびヒドロキシル基を対象として、その和である水素含有表面官能基量を3.0μeq/m2以上に設定する。この値が3.0μeq/m2 を下回ると親水性の官能基量が少ないために、優れた分散性能を付与することができない。なお、カルボキシル基量およびヒドロキシル基量は、本発明者が先に提案した特開平11-148027 号公報に記載した方法により測定された値が用いられる。

0019

酸化処理は、例えば亜塩素酸塩塩素酸塩過硫酸塩、過硼酸塩過炭酸塩などのアルカリ金属塩アンモニウム塩などの酸化剤水溶液中にカーボンブラックを添加して酸化することにより行われ、酸化剤水溶液の濃度、カーボンブラックの添加量反応温度、反応時間などを適宜に制御して、全炭素原子と全酸素原子との原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)が0.1以上に、またカルボキシル基とヒドロキシル基の和である水素含有表面官能基量が3.0μeq/m2 以上となるように処理される。

0020

更に、本発明の水性インキ用カーボンブラック顔料は、上記の特性に加えて、水中に分散させた状態におけるアグロメレートの平均粒径Dupa50%の値が50〜110nm、アグロメレートの最大粒径Dupa99%の値が250nm以下の粒子性状を有することを特徴としている。

0021

水中におけるカーボンブラック粒子の凝集形態の大きさを示すアグロメレートの平均粒径Dupa50%の値が50nm未満であると、水性インキとした場合に紙繊維の隙間をカーボンブラックが通過する頻度が増大して紙定着濃度が低下し、印字濃度(黒色度)が低下する。一方、アグロメレートの平均粒径Dupa50%の値が110nmを越えると黒色度は向上するが、水性インキ中のカーボンブラック顔料の分散安定性が低下して、濾過性が悪化し、沈降性が増大することになる。また、アグロメレートの最大粒径Dupa99%の値が250nmを越えると、水性インキ中において大きな凝集体のカーボンブラック顔料が存在することになり沈降性、吐出安定性および濾過性の低下が著しくなるためである。

0022

なお、アグロメレートの平均粒径Dupa50%および最大粒径Dupa99%は、下記の方法によって測定される。カーボンブラックを水に分散して0.1〜0.5kg/m3 の分散液を調製し、ヘテロダインレーザドップラー方式粒度分布測定装置マイクロトラック社製、UPA mode1 9340)を用いて分散液にレーザー光照射して、散乱光周波数変調度合いから分散液中のアグロメレートの粒径を測定する。分散液中のカーボンブラックはブラウン運動しており、ドップラー効果によって分散しているカーボンブラック凝集体の大きさにより散乱光の周波数変調する。したがって、凝集体の大きさによるブラウン運動の激しさが異なることから、水中に分散している状態における凝集体の大きさ、すなわちアグロメレートの粒径を測定することができる。このようにして測定したアグロメレート粒径からその累積度数分布曲線を作成し、50%累積度数の値をアグロメレートの平均粒径Dupa50%(nm)、99%累積度数の値をアグロメレートの最大粒径Dupa99%(nm)とする。

0023

本発明の水性インキは、これらの特性を備えた本発明の水性インキ用カーボンブラック顔料を水中に所定の濃度に分散させたものである。すなわち、上記の窒素吸着比表面積(N2SA)、DBP吸収量、および比着色力(Tint)を備えたカーボンブラックを所定の重量比で混合し、混合カーボンブラックを亜塩素酸塩、塩素酸塩、過硫酸塩、過硼酸塩、過炭酸塩などのアルカリ金属塩やアンモニウム塩などの酸化剤水溶液中に添加し、攪拌しながら酸化剤水溶液の濃度、カーボンブラックの添加量、反応温度、反応時間などを適宜に制御して酸化処理することにより全炭素原子と全酸素原子との原子比(酸素結合エネルギーの強度/炭素結合エネルギーの強度)が0.1以上に、またカルボキシル基とヒドロキシル基の和である水素含有表面官能基量が3.0μeq/m2 以上となるように化学修飾する。

0024

酸化処理したのち、速やかに濾別してカーボンブラックを分離し、次いで分離したカーボンブラックを水酸化ナトリウム水酸化カリウムアンモニアなどのアルカリ水溶液に分散させ、pHを調節して安定分散させる。すなわち、酸化処理によりカーボンブラック粒子表面が化学修飾され、カーボンブラック粒子表面に形成された親水性官能基の末端水素の全てあるいはその一部をアルカリ金属アミノ基などに置換することにより、水分散性の向上が図られる。次いで、酸化反応により生成した残塩分離除去して精製することにより本発明の水性インキが得られる。

0025

残塩の除去は、水分散液のpHを6〜11に調節し、電気透析あるいは分離膜逆浸透膜限外濾過膜、ルーズ R.Oなど)により残塩を分離精製する。この場合、カーボンブラック分散液中の残塩濃度は、例えばカーボンブラック含有濃度を20wt%として導電度が5mS/cm 未満となるように分離精製することが好ましい。なお、水性インキの分散安定性を維持するためにはカーボンブラック顔料の分散濃度を60wt%以下に調整することが望ましい。

0026

以下、本発明の実施例を比較例と対比して具体的に説明する。

0027

カーボンブラック試料;特性の異なるカーボンブラックとして、表1に示した4種類のカーボンブラックA、B、C、Dを用いた。

0028

実施例1
表1のカーボンブラックA、Bを用いて、両者を異なる割合で混合してカーボンブラック試料を調製した。このカーボンブラック試料100g を濃度0.75mol/dm3の過硫酸ナトリウム水溶液3000cm3 に添加し、反応温度60℃、反応時間10時間、攪拌速度5 s-1の条件で酸化処理した。次いで、濾別した酸化カーボンブラックを純水中に分散させて、水酸化ナトリウム水溶液中和し、限外濾過膜(旭化成AHP-1010、分画分子量50000)により精製処理して残存する塩を分離して、カーボンブラック水分散液を作製した。なお、精製後の分散液の導電度は0.6mS/cm (カーボンブラック含有濃度22wt%)であった。

0029

実施例2
表1のカーボンブラックC、Dを用いて、両者を異なる割合で混合してカーボンブラック試料を調製し、このカーボンブラック試料を用いた他は、全て実施例1と同一の方法によりカーボンブラック水分散液を作製した。

0030

比較例1〜4
表1に示したカーボンブラックA、B、C、Dをカーボンブラック試料として単独で用いた他は、全て実施例1と同一の方法によりカーボンブラック水分散液を作製した。

0031

比較例5
表1のカーボンブラックA、Bを用いて、両者を異なる割合で混合してカーボンブラック試料を調製し、このカーボンブラック試料を用いた他は、全て実施例1と同一の方法によりカーボンブラック水分散液を作製した。

0032

比較例6
表1のカーボンブラックC、Dを用いて、両者を異なる割合で混合してカーボンブラック試料を調製し、このカーボンブラック試料を用いた他は、全て実施例1と同一の方法によりカーボンブラック水分散液を作製した。

0033

これらのカーボンブラック水分散液を濃縮して、カーボンブラック含有濃度を20wt%に調整した。このようにして作製した水性インキについて、下記の方法により分散性能及びインキ性能などを評価した。得られた結果を、表2〜表5に示した。

0034

保存安定性;サンプルを密閉容器に詰め、70℃の保温器中にて1週間から4週間の粘度変化を測定した。なお粘度は回転振動粘度計〔山一電機(株)製、VM-100A-L 〕により測定した。

0035

粒子径測定;サンプル及び保存安定性の試験を行ったサンプルの粒子径をヘテロダインレーザドップラー方式粒度分布測定装置〔マイクロトラック社製、UPA model 9340〕を用いて測定した。この測定装置は、懸濁液中においてブラウン運動している粒子にレ−ザ光を当てると、ドップラー効果により散乱光の周波数が変調する。その周波数の変調度合いからブラウン運動の激しさ、すなわち粒子径を測定するものである。

0036

印字濃度;水性インキのカーボンブラック含有濃度を4wt%に希釈し、コピー紙としてXEROX 4024紙を使用し、これに#6バーコータにより印字して、マクベス濃度計〔コルモーゲン社製 RD-927 〕を用いて光学濃度を測定した。

0037

濾過性;水性インキ200g を90φのNO.2濾紙および膜孔径3μm 、0.8μm 、0.65μm 、0.45μm のフィルターを用いて2.66 KPaの減圧下で濾過試験を行い、濾過通過重量(g) を測定した。

0038

沈殿残渣率;水性インキを20000Gの重力加速度で30分間遠心分離処理を行った後の沈殿残渣量(M1)と、遠心分離処理前のカーボンブラックの重量(M0)との重量比(M1/M0) を沈殿残渣率とした。この値が低いほど分散安定性は良好である。

0039

0040

0041

0042

0043

表1〜表5の結果から、窒素吸着比表面積(N2SA)150m2/g以上、DBP吸収量100cm3/100g以上、比着色力(Tint)120%以上のカーボンブラックを20〜80wt%、窒素吸着比表面積(N2SA)150m2/g未満、DBP吸収量100cm3/100g未満、比着色力(Tint)120%以上のカーボンブラックを80〜20wt%、の割合で混合したカーボンブラックを用い、酸化処理して全炭素原子と全酸素原子との原子比を0.1以上に化学修飾したカーボンブラック顔料を水中に分散させて作製した実施例1(Run No.1 〜5)および実施例2(Run No.6 〜10) の水性インキは初期粘度が低いのでインキ化設計が容易であり、またオリフィスからの吐出安定性の簡易指標である濾過性も良好で、更に印字濃度(OD値)も1.30以上あって充分な黒色度を示すことが認められる。

0044

これに対して、単一のカーボンブラック試料を用いて作製した比較例1〜4(Run No.11〜14) の水性インキは、比較例1、3は初期粘度が高く、濾過性も膜径0.65μm のフィルターを全量通過することができず、吐出安定性が不良であり、また比較例2、4は初期粘度、濾過性、沈殿残渣率などは良好であるが、黒色度(OD値)が極めて低い。そして、2種類のカーボンブラックの配合割合が本発明の範囲外である比較例5(Run No.15〜16) および比較例6(Run No.17〜18) の水性インキでは、配合比の高いカーボンブラック特性の影響を大きく受けるため、初期粘度、濾過性、沈殿残渣率などが良好であれば黒色度が低下し、逆に黒色度が高い場合には初期粘度、濾過性、沈殿残渣率などが不良となることが認められる。

発明の効果

0045

以上のとおり、本発明の水性インキ用カーボンブラック顔料によれば、インキ特性として相反する紙定着濃度と濾過性および沈殿残渣率などの関係を両立することができ、また初期粘度も低位にあり、更に長期に亘って安定した水分散性能を示すカーボンブラック顔料が提供される。したがって、この水性インキ用カーボンブラック顔料を用いて作製した水性インキは紙定着濃度、黒色度などが高位にあるとともに優れた吐出安定性、耐光性、保存安定性などを備え、例えばインキジェット用インキなどとして極めて有用である。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ