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図面 (6)

課題

IgE関与する皮膚症状等の治療に用いることができる新規IgE産生抑制剤を提供する

解決手段

γ−リノレン酸ジホモ−γ−リノレン酸及びこれらの誘導体から選ばれる一種または二種以上を、IgE産生抑制剤の有効成分とする。

概要

背景

γ−リノレン酸は、代表的な不飽和脂肪酸の一つであり、6、9、12位にシス二重結合を持つ炭素数18の直鎖トリエン脂肪酸である。γ−リノレン酸は、月見草種子油に8〜10%含まれ、健康食品などに利用されている。また、γ−リノレン酸は、種々の医薬成分として用いられている。例えば、γ−リノレン酸を有効成分として含むアレルギー性鼻炎又はアレルギー性喘息治療薬(特開昭61−87621号)、γ−リノレン酸又はジホモ−γ−リノレン酸等を含む人工透析患者の皮膚そう痒症治療組成物及び副甲状腺機能亢進症治療組成物(特開平7−233062号)、γ−リノレン酸又はジホモ−γ−リノレン酸を含み、アトピー性湿疹リウマチ様関節炎冠状動脈疾患喘息糖尿病前立腺疾患等の治療や予防に有効な強化果物ジュース(特開平8−205832号)、γ−リノレン酸又はジホモ−γ−リノレン酸を含む、脱毛処理後の皮膚トリートメント外用剤(特開平10−218731号)等が知られている。

しかし、上記のようなγ−リノレン酸を含む薬剤は、抗炎症作用に基づくと説明されており、γ−リノレン酸のIgEイムノグロブリンE)産生を抑制する作用については知られていない。

概要

IgEが関与する皮膚症状等の治療に用いることができる新規IgE産生抑制剤を提供する

γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸及びこれらの誘導体から選ばれる一種または二種以上を、IgE産生抑制剤の有効成分とする。

目的

本発明は、IgE産生に起因する疾患の治療、特には皮膚症状等の治療に用いることができる新規なIgE産生抑制剤を提供することを課題とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
10件

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請求項1

γ−リノレン酸ジホモ−γ−リノレン酸及びこれらの誘導体から選ばれる一種または二種以上を有効成分として含有するIgE産生抑制剤

請求項2

前記有効成分の量として0.3mg/kg/日以上で投与されることを特徴とする請求項1記載のIgE産生抑制剤。

技術分野

0001

本発明は、IgE産生抑制剤に関し、好適にはIgE産生に起因する疾患の治療、特には皮膚症状の治療に用いることができる薬剤に関する。

背景技術

0002

γ−リノレン酸は、代表的な不飽和脂肪酸の一つであり、6、9、12位にシス二重結合を持つ炭素数18の直鎖トリエン脂肪酸である。γ−リノレン酸は、月見草種子油に8〜10%含まれ、健康食品などに利用されている。また、γ−リノレン酸は、種々の医薬成分として用いられている。例えば、γ−リノレン酸を有効成分として含むアレルギー性鼻炎又はアレルギー性喘息治療薬(特開昭61−87621号)、γ−リノレン酸又はジホモ−γ−リノレン酸等を含む人工透析患者の皮膚そう痒症治療組成物及び副甲状腺機能亢進症治療組成物(特開平7−233062号)、γ−リノレン酸又はジホモ−γ−リノレン酸を含み、アトピー性湿疹リウマチ様関節炎冠状動脈疾患喘息糖尿病前立腺疾患等の治療や予防に有効な強化果物ジュース(特開平8−205832号)、γ−リノレン酸又はジホモ−γ−リノレン酸を含む、脱毛処理後の皮膚トリートメント外用剤(特開平10−218731号)等が知られている。

0003

しかし、上記のようなγ−リノレン酸を含む薬剤は、抗炎症作用に基づくと説明されており、γ−リノレン酸のIgEイムノグロブリンE)産生を抑制する作用については知られていない。

発明が解決しようとする課題

0004

本発明は、IgE産生に起因する疾患の治療、特には皮膚症状等の治療に用いることができる新規なIgE産生抑制剤を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0005

本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、γ−リノレン酸がIgE産生抑制作用を有することを見い出し、本発明を完成した。

0006

すなわち本発明は、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸及びこれらの誘導体から選ばれる一種または二種以上を有効成分として含有するIgE産生抑制剤である。また本発明は、前記の有効成分の量として0.3mg/kg/日以上で投与されることを特徴とするIgE産生抑制剤である。

発明を実施するための最良の形態

0007

以下、本発明を詳細に説明する。本発明のIgE産生抑制剤は、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸及びこれらの誘導体から選ばれる一種または二種以上(以下、「γ−リノレン酸等」ともいう)を有効成分として含有する。

0008

γ−リノレン酸等は、天然供給源が限られており、通常、モルティエレラ(Mortierella)属、ムコール(Mucor)属、リゾプス(Rhizopus)属等の糸状菌類、あるいは月見草、ボレージ等の植物、さらにはスピルリナ等の藻類等に含まれる油脂から得られるが、これらからの抽出物をそのまま用いてもよく、精製したものを用いてもよい。また、抽出することなく、糸状菌、スピルリナ等をそのまま用いてもよい。また、γ−リノレン酸は、化学合成によって得ることもでき、市販されているものを使用してもよい。さらに、γ−リノレン酸又はその誘導体を含有する微生物又は植物等の抽出物、粗精製物も、薬学的に許容できる限り、使用することができる。

0009

また、γ−リノレン酸等の誘導体としては、これらと各種アルコール類との反応により得られるエステル、例えばエチルエステルグリセロールエステルリン脂質等、あるいは無機有機塩基とを等モル比で作用して得られる塩、例えば、ナトリウム塩カリウム塩等が挙げられる。

0010

尚、γ−リノレン酸等は必須脂肪酸であり、食用に用いられており、安全性には特に問題はないと考えられる。本発明のIgE産生抑制剤は、有効成分であるγ−リノレン酸等以外に、通常の医薬又は健康食品等に用いられる成分を配合することができる。

0011

本発明のIgE産生抑制剤の剤型は特に限定されないが、γ−リノレン酸、ジホモ−γ−リノレン酸およびそれらの誘導体から選ばれる1種又は2種以上の混合物、あるいは上記糸状菌類や植物等の油脂から得られる抽出物、あるいはそのままの菌体等を、一般に製剤上許容される無害の1種、或は数種のベヒクル坦体賦形剤統合剤、防腐剤、安定剤、香味剤等と共に混和して、錠剤顆粒剤カプセル剤水剤等の内服剤坐剤剤;軟膏剤クリームローション等の外用剤;無菌溶液剤、懸濁液剤等の注射剤とすることができる。これらは、従来公知の技術を用いて製造することができる。

0012

例えば、上記γ−リノレン酸等と、コーンスターチゼラチン等の結合剤微晶性セルロース等の賦形剤、馬鈴薯デンプンアルギン酸ナトリウム等の膨化剤、乳糖ショ糖等の甘味剤等を配剤して散剤、錠剤、丸剤、顆粒剤とすることができる。また、カプセル剤は常法に従い、γ−リノレン酸等と他の油脂類との混合物を軟質ゼラチンカプセル硬質ゼラチンカプセル等に充填して調製される。さらに、常法によりシクロデキストリンとγ−リノレン酸等とのシクロデキストリン包接物とすることもできる。外用剤とする場合には、基剤としてワセリンパラフィン、油脂類、ラノリン等が使用される。

0013

また、上記γ−リノレン酸等には、α−リノレン酸、エイコサペンタエン酸ドコサヘキサエン酸などのω3系の不飽和脂肪酸、ミリストオレイン酸などのω5系の不飽和脂肪酸、パルミトオレイン酸などのω7系の不飽和脂肪酸、オレイン酸、エルシン酸などのω9系の不飽和脂肪酸、ラウリン酸ミリスチン酸などの飽和脂肪酸を任意の割合で添加してもよい。また、γ−リノレン酸等又はその他の脂肪酸酸化を防止するために、ビタミンEアスコルビルパルミテートアスコルビルステアレート等の抗酸化剤を添加してもよい。また、γ−リノレン酸等に加えて、他のIgE抑制作用を有する薬効成分を併用してもよい。さらに、γ−リノレン酸等の配合量は、IgE産生抑制剤全量の0.000001〜100重量%であることが好ましく、0.000018〜100重量%であることがさらに好ましい。

0014

γ−リノレン酸等を、IgE産生誘導前、または誘導初期から投与することにより高いIgE産生抑制効果が得られることが明かとなった。したがって本発明のIgE産生抑制剤は、即時型アレルギーの原因となるIgEの産生を効果的に抑制することができるので、IgE産生に起因する疾患のいずれに対しても、症状の予防、即ち、いわゆる予防的治療に用いることができる。ここで、IgE産生に起因する疾患としては、IgE産生が原因となる皮膚疾患アトピー性皮膚炎、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性腸炎花粉症アレルギー性結膜炎等が挙げられる。

0015

以上のことから、本発明のIgE産生抑制剤は、健常者や上記疾患に罹りやすい体質を有する者に投与し、上記疾患を予防することもできるが、特に、発症予想される患者に対して発症の予防に用いることが効果的である。また、IgE産生が上昇していない場合には、上記疾患の発症初期患者に投与し、症状を軽減することも期待される。

0016

投与量に関しては、γ−リノレン酸等の量としてIgE産生抑制効果を有する限り特に制限はないが、投与量が多くなりすぎると軟便になりやすい傾向がある。患者の年齢、体重、病歴、疾患の種類、症状等により投与量を適宜設定すればよい。IgE産生に起因する疾患の予防的治療においては、一日のγ−リノレン酸等の投与量として、好ましくは0.3〜1000mg/kg(被投与者の体重)、より好ましくは1〜500mg/kg、投与することにより、所期の効果が期待できる。

0017

まず、実施例において使用したモデル動物を説明する。
〔モデル動物〕モデル動物として、NC/Ngaマウスを使用した。NC/Ngaマウスは、玩具用マウスである錦ネズミ起源とし、1957年に樹立された近交系マウスである。以前からX線感受性卵白アルブミンに対するアナフィラキシーショック感受性であることが知られていたが、1997年にMatsudaらにより、同マウスがヒトにおけるアトピー性皮膚炎(以下、「AD」と称する)に酷似した表現型を示すことを明かにされている(Int. Immunol., 9, 461-466, 1997)。

0018

すなわち、同マウスに激しい掻痒、皮膚の炎症・出血浮腫・乾燥をともなうAD様の臨床所見と高IgE血症が起こることが明らかとなり、皮膚の組織病理学的所見からもADに類似した肥満細胞好酸球等、炎症性細胞浸潤皮膚組織過形成が見られることが示されている。また、これらのAD様表現型は、通常環境下で引き起こされる一方で、微生物や寄生虫のいないSPF(specific pathogen-free)環境下では起こらないという特徴もあるため発症をコントロールできることから、アトピー性皮膚炎の病体モデルとして本実施例で用いることにした。

0019

尚、高IgE産生がNC/NgaマウスのAD様の病態形成に必要であるか否かを検討した実験結果はこれまでに報告されていないが、本発明者らはNC/Ngaマウスの個体差に着目して病態が著しく悪化している集団と、それ程悪化していない集団のIgE量を比較したところ、著しく悪化している集団のIgEレベルが有為に高値であったことを認めており、病態の悪化とIgE産生の上昇はこれまでの報告を見る限りでは相関していると考えられる。

0020

〔実施例1〕臨床にてGLAに富む月見草油経口投与がADの治療に有効であるとの結果が長年示唆されているが、逆に効果がないという臨床結果もある。それぞれの臨床試験条件の相違や月見草油の純度の問題も含め、現状ではγ−リノレン酸(以下、「GLA」と称する)の真の効果を正当に評価できる状況にはないものと考えられる。そこで本実施例ではADモデルであるNC/Ngaマウスにおける精製GLAの経口投与による効果について検討した。

0021

モデル動物として、皮膚炎様の所見や高IgE血症を呈していない、SPF環境下で飼育した5週齢オスNC/Ngaマウスを用いた。これらマウスにGLAエチルエステル(精製度95.98%:出光マテリアル(株)製)を50mg/個体で、5週齢から2日に1回、ゾンデ法で投与し、一群6匹からなるGLA投与群とした。また、コントロールとして、GLAエチルエステルの代りPBSリン酸緩衝生理食塩水)を50μl/個体で同様に投与し、一群6匹からなるコントロール群とした。

0022

投与開示時(5週齢)から19週齢の間の各週において、上記マウスの病態スコアをMatsudaらの方法(Int. Immunol., 9, 461-466, 1997)に従って点数化した。具体的方法を以下に示す。下記のA-Eの5項目について0 (無し), 1 (軽度に悪化), 2 (中程度に悪化), 3(著しく悪化)の3点満点によりスコアリングした。合計で15点満点となる。
A(かゆみ):3分間マウスを見て、掻く頻度に点を付ける。
B(紅斑、出血):や顔からの出血、耳の裏の紅斑に点を付ける。
C(浮腫):主に耳の腫れ具合に点を付ける。
D(擦過傷糜爛):顔の周りや耳の後ろ、腕の付け根辺りの擦過傷に点を付ける。
E(乾燥):背中、顔にかけての皮膚の乾燥具合に点を付ける。

0023

また、投与開始時(5週齢)、7、9、11週齢時に、上記のマウスから血液を採取し、1500rpmで10分遠心分離し、血漿を得た。そして血漿中の総IgE量を、サンドウィッチELISA法により測定した。具体的方法を以下に示す。

0024

コーティングバッファー(0.1M NaHCO3, 0.5M NaCl, pH8.5)で2μg/mlに希釈したラット抗マウスIgEモノクローナル抗体(PharMingen社製)を、プレート(NUNC-IMMUNOPLATE, NUNC社製)の各ウェルに50μlづつ加え、4℃で一晩または37℃で3時間置き、PBS/Tween(PBS, 0.05%Tween-20, pH7.5)で3回洗浄した。各ウェルにブロッキングバッファー(PBS, 2%スキムミルク)を200μずつ加え、37℃で3時間インキュベートし、PBS/Tweenで3回洗浄した。

0025

また、上述したマウスの血漿をダイリューションバッファー(PBS, 2%スキムミルク, 0.25%SDS)で100倍希釈し、測定用サンプルを作成した。さらに、マウスIgE標準(PharMingen社製)をダイリューション バッファーで希釈し、測定用スタンダードを作成した。これら測定用サンプルおよびスタンダードを、それぞれのウェルに50μlずつ加えて、37℃で3時間インキュベートし、PBS/Tweenで3回洗浄した。

0026

ダイリューションバッファーで2μg/mlに希釈したビオチニルラット抗マウスIgE抗体(PharMingen社製)を、それぞれのウェルに50μlずつ加え、37℃で約3時間インキュベートして、PBS/Tweenで6回洗浄した。さらに、アルカリフォスファターゼ標識したストレプトアビジン(BioSource社製)をダイリューション バッファーで1000倍希釈したものをウェルに50μlずつ加え、37℃で1時間インキュベートして、PBS/Tweenで6回洗浄した。

0027

そして、AttoPhosTM(BOEHRINGERMANNHEIM社製)を各ウェルに50μlずつ加え、遮光の状態で発色するまで放置し(約6時間)、蛍光強度をCytoFluorTMII(PE Biosystems社製)で測定し、そこから総IgE量を測定した。

0028

マウスの病態スコアの結果を図1に示す。コントロール群(PBS投与群)では、経時的に病態スコアが著しく増加したのに対し、GLA投与群では11週以降は、有意な増加はみられなかった。また、対象群と比較すると、GLA投与群においては、11週齢および13-19週齢において有為な病態スコアの抑制があることが明かとなった。

0029

また、マウスの血漿中の総IgE量の結果を図2に示す。対照群及びGLA投与群の両方において、経時的に総IgE量が増加する傾向が見られたが、GLA投与群は対象群と比較して各測定時における総IgE量が低く、特に11週齢において総IgE量が有為に低値であることが明かとなった。以上のことから、GLAはIgE産生を抑制する作用を有することが明らかである。

0030

以上の結果から、GLAの経口投与により、NC/NgaマウスのAD様病態ならびに高IgE産生が抑制されることが示された。本結果はGLAの抗アトピー効果ならびにIgE産生抑制効果を動物病態モデルにて示した最初の例であり、AD予防効果を有する次世代機能性食品を設計する上でのGLAの有用性を強く示唆するものである。

0031

〔実施例2〕50 mgのGLA経口投与試験によって、GLAがNC/Ngaマウスの病態進行と高IgE産生を抑制する効果があることが判明した。そこで異なる用量および投与形態による、同マウスのGLA経口投与による効果について検討を行った。

0032

モデル動物として、皮膚炎様の所見や高IgE血症を呈していない、SPF環境下で飼育した5週齢のオスNC/Ngaマウスを用いた。一群10匹とし、これらマウスに、GLAエチルエステル(精製度95.98%:出光マテリアル(株)製)を、GLA投与群には0.1 mg/個体で胃ゾンデ法により、2日に1回投与した。ここでGLAの投与は、必須脂肪酸を殆ど含まないオリーブオイルを0.1mgのGLAエチルエステルに加えて50μlにして投与を行った。またコントロール群には、オリーブオイルのみの50μlを同様に投与した。これらの群のマウスについて、実施例1と同様に、病態スコアの計測を1週間毎に、また、血漿中の総IgE量の測定を2週間に1回行った。

0033

マウスの病態スコアの結果を図3に示す。マウスの個体差による点数のばらつきが見られるが、全体的に6週齢からスコアの上昇が見られている。コントロール群では、8週齢から皮膚の乾燥が起こり掻きむしる回数が増えて、目の回り・耳・顔に出血、また、胴体部分に紅斑が見られはじめた。そのため急激なスコアの上昇が見られて、少しの波はあるものの常に症状は悪く、改善することはなかった。これに対しGLA投与群に関しては、コントロール群と比較して、9週年齢以降は低い平均値を示し、特に15-17週齢までに有意に低値を示した。

0034

また、マウスの血漿中の総IgE量の結果を図4に示す。7週齢から9週齢にかけて総IgE量の値が上昇し始め、コントロール群では17週齢で上昇のピークを迎えている(図4の◆で示されるグラフ参照)。これに対しGLA投与群に関しては9週齢から上昇しているが、13週以降では有意な増加傾向は見られず、13〜19週齢までコントロール群に比べて有意に低値を示した(図4の×で示されるグラフ参照)。

0035

本実施例の0.1mgGLAエチルエステルを含むオリーブオイルの経口による効果の検討では、IgE量、病態とも有意に低値であることが見受けられた。

0036

〔実施例3〕上記実施例1,2により、GLAを経口投与することでNC/NgaマウスのAD様病態の進行および高IgE産生を抑制する効果があることが判明した。本実施例では、同マウス脾細胞を用いたin vitroクラススイッチ誘導系により、in vitroにおけるGLAのIgE産生抑制効果を検討した。

0037

まず、NC/Ngaマウスからの脾細胞の採取を以下の方法により行った。皮膚炎様の所見や高IgE血症などを呈していない、SPF環境下で飼育した8週齢のNC/Ngaマウスを、頸椎脱臼屠殺して無菌状態脾臓摘出した。摘出した脾臓を、シャーレ中のRPMI-1640培地(約3 ml)に入れ、滅菌したピンセット細胞バラバラにほぐした。ほぐした細胞を15 mlのFalconチューブに入れて、脾臓の膜を取り除いた。そして培地に懸濁された細胞を1500rpm, 5分間遠心し、細胞のみを回収した。次に、赤血球を取り除くため、回収した細胞を4℃の滅菌済みリシスバッファー10 mlに懸濁して溶血させ、その後4 ℃の滅菌済みMilli Q製PBSで2回洗浄して脾細胞を採取した。得られた脾細胞は一部をトリパンブルー(Trypan Blue Stain 0.4%:LIFE TECHNOLOGIES社製)で染色して、血球計算盤によってカウントした。

0038

そして、クラススイッチ誘導系での培養上清のIgE量の測定を以下の方法で行った。上述した方法でカウントした細胞数をもとに、プレート(96ウェル細胞培養用マイクロテストプレート平底蒸発タイプ・蓋付ポリスチレン:FALCON社製)中の1ウェル当たり2×105cells/mlの濃度になるように細胞を撒いた。この時の培地には、IgEクラススイッチ誘導の刺激剤としてサイトカインIL-4(100 U/ml)とLPS(10 μg/ml)を添加した。

0039

また、クラススイッチへの刺激が入る前と入っている最中、入ったあとでのGLAの影響を観測するため、培養0時間後(培養開始時)、48時間後、72時間後に、GLAを各濃度(0,10,20,40,60,80,120,160μg/ml)となるように培地に添加した。ここでGLAの添加は、エタノールでそれぞれ適量に希釈し、エタノールの最終濃度が0.1%になるようにして行われた。培養はすべて37℃で5 %CO2インキュベーターで、これらの培養上清を7日後(168時間後)に回収し、サンドウィッチELISA法によりIgE量を測定した。

0040

さらに、GLAの添加による細胞の増殖に与える影響を検討するため、以下の方法で細胞増殖能の測定を行った。上述した方法でカウントした細胞数をもとに、RPMI-1640培地を用いて2×105 cell/mlでウェルに撒いて、IL-4(100 U/ml)とLPS(10 μg/ml)の刺激剤を入れた。また、培養0時間後(培養開始時)に、GLAを各濃度(0,10,20,40,60,80,120,160μg/ml)となるように培地に添加した。ここでGLAの添加は、エタノールでそれぞれ適量に希釈し、エタノールの最終濃度が0.1%になるようにして行われた。さらに、コントロールとして、クラススイッチの刺激剤の、IL-4のみを添加したもの、LPSのみを添加したもの、刺激剤を全く入れないものを設定した。

0041

上記培地中の細胞の細胞増殖能について、培養開始から60時間〜72時間の間の増殖活性を測定した。培養開始から60時間目にBrdUラベリングディテクションキット(BOEHRINGERMANNHEIM社製)の中にあるBrdUラベリング溶液を最終濃度110μMになるように、培地200μlに対して20μlの割合で添加して、通常通り37℃, 5 %CO2インキュベーターで72時間まで培養した。

0042

培養72時間後の細胞を300 rpm,10 分間の遠心し、そのまま培養プレートの蓋を開けて60℃のオーブンで培地を乾燥させた。約6時間の乾燥後、-20℃に冷やして置いた固定液(70 %エタノール, 0.5 M塩酸)を1ウェル当たり200μl加えて、-20℃、30分間により、細胞を固定させた。余剰のBrdUと固定液をPBSで3回洗浄することで完全に除き、ヌクレアーゼ溶液を100μlを加え、37℃で30分間反応を行った。

0043

再びPBSで3回洗浄し、10 mg/mlBSAの入ったanti-BrdU-POD抗体の溶液を100μl加え37℃で30 分間静置した。次に、キットについているウォッシングバッファーで3回洗浄後、ペルオキシダーゼ基質溶液によって発色させた。測定は、基質を加えてから10分、405 nmでの吸光度についてプレートリーダーを用いて行った。

0044

クラススイッチ誘導系でのGLA添加における培養上清中のIgE量測定結果図5に示す。培養0時間後に添加した場合では、ほぼGLA添加濃度の上昇に伴って総IgE産生量が減少しており、GLAは用量依存的にIgE産生を抑制し、添加濃度120μg/mlでIgE産生を完全に抑制していることが明かとなった(図5の■で示されるグラフ参照)。

0045

培養48時間後に添加した場合では、添加濃度が80μg/mlまではIgE抑制が見られなかったが、添加濃度が120μg/mlを越えると、完全にでは無いが有意に抑制していた(図5の△で示されるグラフを参照)。培養72時間後に添加した場合では、測定した添加濃度においては、IgE産生の有意な抑制が認められなかった(図5の□で示されるグラフを参照)。以上の結果から、GLAはin vitroにおいてもIgE産生を抑制する能力を有しており、しかもクラススイッチを含むIgE産生初期の段階に作用させると用量依存的にIgE産生を抑制するという結果が得られた。

0046

しかしながら上述した結果のみでは、該IgE産生量の低下は、GLAがクラススイッチそのものを何らかの形で制御することにより引き起こされたものとも、GLAが細胞の増殖を制御し、全体としてIgE産生細胞が少なくなることにより引き起こされたとも考えられたため、GLAを添加したときの細胞の増殖能を測定した。結果を図6に示す。

0047

その結果、GLA添加濃度の増大に伴い、細胞増殖の低下が観察されたが、各GLA添加濃度において、IgE生産量の低下と同じ比率で細胞増殖は低下しておらず、特にGLA添加濃度20〜60μg/mlの範囲においては、総IgE生産量の低下は、細胞増殖の低下よりも著しく大きいことが判明した(図6および図5の■で示されるグラフを参照)。具体的には、GLA40μg/ml添加区をGLA無添加(0μg/ml)区とを比較すると、総IgE産生量は約1割程に低下しているのに対し、細胞増殖は殆ど低下していないことが明かとなった。以上のことから、GLAは細胞増殖を抑制することによってIgE産生を抑制するのではなく、別の経路によってIgE産生を抑制している可能性が示唆された。

0048

本実験により、GLAがin vitroにおいてもIgE産生抑制効果を示すことが明白となった。本実験系では、IgE生産を誘導するサイトカイン刺激開始72時間後にGLAを添加しても抑制効果が認められなかったことから、GLAは抗体遺伝子のクラススイッチ組換えを含めたIgE産生初期の段階を阻害していることが推察される。また、この結果は、高IgE血症を呈したAD発症NC/Ngaマウスに、GLAを2カ月間経口投与してもIgE産生の抑制が認められなかったというin vivoでの結果とも一致しているようにも思われる。GLAのIgE抑制効果は、細胞毒性増殖抑制によるものではないことから、IgE産生機構のいずれかの段階(例えば、IgE定常領域における転写、クラススイッチ組換えにおける2重鎖DNA切断と修復反応、IgE陽性B細胞抗体産生細胞への分化など)を阻害した結果、引き起こされたものと考えられる。

発明の効果

0049

本発明のIgE産生抑制剤は、IgE産生抑制に優れているので、IgE産生に起因する疾患に対して有効である。

図面の簡単な説明

0050

図1NC/Ngaマウスの病体スコアの経時変化を示す図。
図2NC/Ngaマウスの血漿中総IgE量の経時変化を示す図。
図3NC/Ngaマウスの病体スコアの経時変化を示す図。
図4NC/Ngaマウスの血漿中総IgE量の経時変化を示す図。
図5各GLA添加濃度における培養上清中IgE量を示す図。
図6各GLA添加濃度における細胞増殖能(405nm吸光度)を示す図。

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