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課題
1,5−D−アンヒドロフルクトースを使用することにより、従来法に比較して、より低温下で効率良く色素化合物を生産すること、さらに、より低温下で効率良く食品に着色を起こさせることを提供すること。
解決手段
1,5−D−アンヒドロフルクトースからなる着色剤、例えば食品を黄色〜褐色に着色するための着色剤。
概要
背景
糖類は、従来より、茶色から黄色系の着色剤として利用されてきた。例えば、砂糖、ブドウ糖を初めとする多くの糖は加熱することにより、分解および重合を繰り返して茶色の化合物に変化することは良く知られている。一方、ブドウ糖、果糖等分子内にカルボニル基を持つ還元糖はアミノ基を持つ物質と反応して着色物質を生成する。この反応は食品調理の際に起こり、食品の嗜好性を高めるのに役立っている。例えば、さつま揚げを油揚げすると魚肉蛋白のアミノ基と添加した水飴等の還元糖が反応し茶色に着色する。
上記の着色反応には、通常、水飴、ブドウ糖が利用され、対象物のpHによっても異なるが、一般に、高い温度条件が必要である。しかしながら、高温条件下では、酸化反応等他の反応も同時に進行し、食品においては、栄養素の減少あるいは風味の低下など好ましくない結果を生じることが多い。より低い温度条件で反応を起こさせるのにはキシロース等の水飴、ブドウ糖より還元力の高い糖が用いられてきた。
概要
1,5−D−アンヒドロフルクトースを使用することにより、従来法に比較して、より低温下で効率良く色素化合物を生産すること、さらに、より低温下で効率良く食品に着色を起こさせることを提供すること。
1,5−D−アンヒドロフルクトースからなる着色剤、例えば食品を黄色〜褐色に着色するための着色剤。
目的
本発明の目的は、1,5−D−アンヒドロフルクトースを使用することにより、従来法に比較して、より低温下で効率良く色素化合物を生産すること、さらに、より低温下で効率良く食品に着色を起こさせる方法を提供することにある。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 3件
- 牽制数
- 2件
この技術が所属する分野
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請求項1
1,5−D−アンヒドロフルクトースからなる着色剤。
請求項2
1,5−D−アンヒドロフルクトースからなる、食品の着色剤。
請求項3
1,5−D−アンヒドロフルクトースの着色剤としての使用。
請求項4
1,5−D−アンヒドロフルクトースを食品の着色剤としての使用。
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0001
本発明は1,5−D−アンヒドロフルクトースの着色剤としての用途、特に食品を黄色系、例えば、黄色、橙色、茶色あるいは褐色に着色するための着色剤としての用途に関する。
背景技術
0002
糖類は、従来より、茶色から黄色系の着色剤として利用されてきた。例えば、砂糖、ブドウ糖を初めとする多くの糖は加熱することにより、分解および重合を繰り返して茶色の化合物に変化することは良く知られている。一方、ブドウ糖、果糖等分子内にカルボニル基を持つ還元糖はアミノ基を持つ物質と反応して着色物質を生成する。この反応は食品調理の際に起こり、食品の嗜好性を高めるのに役立っている。例えば、さつま揚げを油揚げすると魚肉蛋白のアミノ基と添加した水飴等の還元糖が反応し茶色に着色する。
0003
上記の着色反応には、通常、水飴、ブドウ糖が利用され、対象物のpHによっても異なるが、一般に、高い温度条件が必要である。しかしながら、高温条件下では、酸化反応等他の反応も同時に進行し、食品においては、栄養素の減少あるいは風味の低下など好ましくない結果を生じることが多い。より低い温度条件で反応を起こさせるのにはキシロース等の水飴、ブドウ糖より還元力の高い糖が用いられてきた。
発明が解決しようとする課題
0004
本発明の目的は、1,5−D−アンヒドロフルクトースを使用することにより、従来法に比較して、より低温下で効率良く色素化合物を生産すること、さらに、より低温下で効率良く食品に着色を起こさせる方法を提供することにある。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
課題を解決するための手段
0005
本発明者等は、1,5−D−アンヒドロフルクトースが他の還元糖、例えば、ブドウ糖、果糖、キシロースに比較して反応性に富み、比較的穏やかな条件下で、それ自体またはアミノ化合物を混合した反応系で着色反応を起こすことを見出し本発明に到達した。すなわち、本発明は、第1に、1,5−D−アンヒドロフルクトースからなる着色剤、好ましくは食品の着色剤に関する。また、本発明は、第2に、1,5−D−アンヒドロフルクトースの着色剤としての使用、好ましくは食品の着色剤としての使用に関する。
0006
1,5−D−アンヒドロフルクトース、キシロースあるいはブドウ糖を5重量%、グリシンを5重量%となる濃度で、50mMリン酸緩衝液(pH7.5)に溶解し、50℃で保温し着色物質の生成を420nmの吸光度を測定することにより求めた。その結果、図1に示す様に、この条件でブドウ糖は全く着色しないのに対して、キシロース、1,5−D−アンヒドロフルクトースは茶色に着色した。また1,5−D−アンヒドロフルクトースの着色はキシロースよりはるかに高かった。
0007
次に、1,5−D−アンヒドロフルクトース、キシロースあるいはブドウ糖の糖単独での着色度を比較した。10重量%濃度のキシロース、ブドウ糖、1,5−D−アンヒドロフルクトースをスライドグラス上に100μl滴下し、風乾後、あらかじめ所定温度に加熱したオーブンで5分間加熱した。着色に要する最低温度を測定した結果、表1に示すように1,5−D−アンヒドロフルクトースは他の糖より着色しやすいことが明かとなった。
0008
0009
本発明の剤は、1,5−D−アンヒドロフルクトース以外に他の、不活性担体および補助剤を含有することができる。不活性担体としては、例えば、澱粉、マルトデキストリン、シクロデキストリン、焙焼デキストリン、ショ糖、ブドウ糖、麦芽糖、乳糖等の糖類、カルボキシメチルセルロース、寒天、寒天分解物、カラギーナン、グルコマンナン、ローカストビーンガム、キサンタンガム等の増粘多糖類、また、液状あるいはゲル状の場合には上記物質に加えて水、アルコールを挙げることができる。
0010
補助剤としては、例えば、アジピン酸、プロピオン酸、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カルシウム、乳酸、乳酸ナトリウム、乳酸カルシウム、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、ソルビン酸、ソルビン酸カリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、グルコン酸、グルコン酸ナトリウム、グルコン酸カルシウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウム、安息香酸、安息香酸ナトリウム、グルコノデルタラクトン、炭酸塩類、二酸化炭素、亜硝酸塩、リン酸、リン酸塩類、重合リン酸塩類(ピロリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸塩等)、イタコン酸、フィチン酸等の各種酸および塩類、アスコルビン酸、そのナトリウム、カリウム、カルシウム塩、脂肪酸エステル、エリソルビン酸、そのナトリウム、カリウム、カルシウム塩、脂肪酸エステル、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、β−カロチン、カロテノイド、カテキン類、タンニン、フラボノイド、アントシアニン、ポリフェノール、BHT、2−BHA、3−BHA、尿酸、DHA、IPA、EPA、EDTA、グアヤク脂、クエン酸イソプロピル、ノルジヒドログアヤレチック酸、没食子酸プロピル等の酸化防止剤を挙げることができる。
0011
また、本剤は、1,5−アンヒドロフルクトース以外に他の抗菌物質含有することもできる。抗菌物質としては、例えば、酢酸、酢酸ナトリウム、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、チアミンラウリル硫酸塩、デヒドロ酢酸ナトリウム、グリシン、プロタミン、ポリリジン、卵白リゾチーム、キトサン、エタノール、ワサビ抽出物、カラシ抽出物、グローブ抽出物、シナモン抽出物、セージ抽出物、ピメンタ抽出物、ペッパー抽出物、ローズマリー抽出物、オレガノ抽出物、ニンニク抽出物、イチジク葉抽出物、柑橘種子抽出物、桑抽出物、麹酸、シソ抽出物、ショウガ抽出物、タデ抽出物、ホップ抽出物、生大豆抽出物、ブドウ果皮抽出物、ホッコシ抽出物、モウソウチク抽出物、モミガラ抽出物、プロポリス抽出物、甘草油性抽出物、オリーブ抽出物、ユッカフォーム抽出物、紅麹分解物、ペクチン分解物、茶タンニン、ヒノキチオール、コーヒー酸、ケイ皮酸、p-クマル酸、フェルラ酸、クロロゲン酸等のケイ皮酸同族体を挙げることができる。
0012
また、着色促進剤として、小麦粉、米粉、コーンフラワー等の穀物粉、脱脂大豆、脱脂粉乳、トウモロコシ蛋白等の蛋白質、グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸、リジン等のアミノ酸類を挙げることができる。本発明の剤は、種々の剤型例えば溶液、顆粒剤、粉剤、錠剤、懸濁剤、ゲル剤等であることができる。
0013
以下、実施例により本発明をさらに詳述する。本発明はかかる実施例により、なんら制限されるものではない。
0014
実施例1および比較例1,2
白身魚のすり身に対し、実施例1では1,5−D−アンヒドロフルクトースを、比較例1ではグルコースを、比較例2ではキシロースをそれぞれ最終濃度1重量%になるように添加し、180℃、5分間のオーブン加熱または180℃、30分間の蒸し器による加熱を行った。その結果、表2に示すとおり、グルコース、キシロースは無添加の白身と比較し着色が起こっていないのに対して1,5−D−アンヒドロフルクトースを添加したものはオーブン加熱、蒸し器加熱のいずれでもオレンジ色に着色した。
0015
0016
実施例2および比較例3
表3に記載された材料に、実施例2として1,5−D‐アンヒドロフルクトース(純度60%、Bx.25の液状品)を添加し、比較例3としてグルコースを添加した後、ホモジナイザーで乳化させた試料2gを、40gの冷凍パイシートに刷毛で塗布し、オーブンで170℃、35分間加熱してパイを焼き上げた。
0017
0018
焼き上がったパイの焼き色の嗜好性を10人のパネラーによる官能検査により評価した。その結果、表4に示したとおり、1,5−D−アンヒドロフルクトース添加の実施例の焼き色の方がより好まれたことがわかる。
0019
0020
実施例3および比較例4,5
強力粉100g、砂糖12g、食塩1.8g、卵25g、ドライイースト1.5g、お湯3.5mlに加え、実施例3には1,5−D‐アンヒドロフルクトース1g、比較例4にはグルコース1g、比較例5には水飴1gを添加してパンを作成し、焼き色を比較することにより、1,5−D−アンヒドロフルクトースの着色剤としての利用を判定した。結果を表5に示す。
0021
0022
実施例4および比較例6
表6に記載された中華麺の材料に、実施例4として1,5−D−アンヒドロフルクトース(純度80%、Bx.40)を添加し、比較例6としてデキストリン(Bx.70)を添加して中華麺を作成し、着色剤としての判定を行った。
0023
0024
1,5−D−アンヒドロフルクトースを添加した麺は鮮明な黄色に着色していたのに対し、デキストリンを添加した麺は着色していなかった。
図面の簡単な説明
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0026
A 1,5−D−アンヒドロフルクトース
Bキシロース
C グルコース
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