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技術 リアルタイムパーティクルフィルタを具備したプラズマ処理装置

出願人 株式会社HGSTジャパンナノフィルムテクノロジーズインターナショナルピーティーイーエルティーディー
発明者 稲葉宏佐々木新治平野真也古澤賢司山坂稔天辰篤志シーシュ
出願日 2000年7月7日 (21年0ヶ月経過) 出願番号 2000-207290
公開日 2002年1月25日 (19年5ヶ月経過) 公開番号 2002-025794
状態 特許登録済
技術分野 プラズマの発生及び取扱い 物理的、化学的プロセスおよび装置 物理蒸着 エッチングと化学研磨(つや出し) 半導体のドライエッチング 半導体装置を構成する物質の物理的析出
主要キーワード 多孔形状 高配向グラファイト ステンレス合金製 電磁フィルタ トラップ機構 顕微ラマン分光法 アーク放電領域 粒子捕獲
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図面 (19)

課題

低圧アーク放電を利用したプラズマ処理装置において、粒径5μm以下の荷電性粒子電荷を持たない中性粒子に対する効果的な捕獲・除去を図る。

解決手段

ターゲット1とストライカ4との間で低圧アーク放電5が行なわれると、プラズマ11が発生し、第1の磁場ダクト14,第2の磁場ダクト15内を通って処理室6内の被処理基板7の表面に照射される。ここで、第1の磁場ダクト14と第2の磁場ダクト15との間に、中心部に貫通孔25を有してプラズマ11を通す防着フィルタ23が設けられ、これにより、プラズマ11中に浮遊する中性粒子24が捕獲され、また、第2の磁場ダクト15と被処理基板7との間に円筒状の電場フィルタ16が設けられ、これにより、プラズマ11中に浮遊している負に帯電した荷電性粒子17が捕獲される。従って、これら中性粒子24,荷電性粒子17が除かれたプラズマ11が被処理基板7に照射される。

概要

背景

近年、低圧アーク放電を応用した薄膜形成技術の研究が盛んに行なわれている。かかる技術は、カソードとなるターゲット部分に、通常ストライカと呼ばれている電極機械的に接触させる、あるいは電子ビーム等を用いることによって数十アンペア程度のアーク電流を流入させてアーク放電を発生させる。そして、ターゲットの上部空間に発生するプラズマハンプからのイオンをカソードに衝突させてカソードからイオンや電子等を発生させることにより、プラズマを持続させる。これらのイオンや電子を含むプラズマを輸送用磁場ダクト及び走査用磁場ダクトを用いて効率的に真空反応室に導き、均一に被処理基板に対して照射させることにより、薄膜の形成やエッチング等の処理を行なう手法である。

しかしながら、上記の従来方法においては、アーク放電によってプラズマを発生させる際、イオンや電子以外にも、電荷を持たない中性微粒子或いは荷電粒子が多量に発生し、これらが異物として薄膜の形成やエッチング等の処理を阻害するという大きな問題を抱えていた。

概要

低圧アーク放電を利用したプラズマ処理装置において、粒径5μm以下の荷電性粒子と電荷を持たない中性粒子に対する効果的な捕獲・除去を図る。

ターゲット1とストライカ4との間で低圧アーク放電5が行なわれると、プラズマ11が発生し、第1の磁場ダクト14,第2の磁場ダクト15内を通って処理室6内の被処理基板7の表面に照射される。ここで、第1の磁場ダクト14と第2の磁場ダクト15との間に、中心部に貫通孔25を有してプラズマ11を通す防着フィルタ23が設けられ、これにより、プラズマ11中に浮遊する中性粒子24が捕獲され、また、第2の磁場ダクト15と被処理基板7との間に円筒状の電場フィルタ16が設けられ、これにより、プラズマ11中に浮遊している負に帯電した荷電性粒子17が捕獲される。従って、これら中性粒子24,荷電性粒子17が除かれたプラズマ11が被処理基板7に照射される。

目的

本発明の目的は、主として上記のような約5μm以下の粒子に対して、有効な除去を可能とするプラズマ処理装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

陰極アーク放電によるプラズマ発生部と、プラズマ輸送するための第1の磁場ダクトと、第2の磁場ダクトと、被処理基板を保持するステージを有する処理室とを備え、該プラズマ発生部で生成したプラズマが該第1の磁場ダクト及び該第2の磁場ダクトを通って該処理室の該被処理基板に照射されるように、該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが配置されて、かつ該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが真空に保持されてなり、該第1の磁場ダクトと該被処理基板との間に電圧印加可能な1つ以上の電場フィルタが該処理室に対して電気的な絶縁を保って設置され、該電場フィルタが該プラズマ中に含まれる荷電性粒子捕獲し、除去させるようにしたことを特徴とするプラズマ処理装置

請求項2

前記電場フィルタは少なくとも前記プラズマが通過する開口部を有し、かつ該開口部は前記プラズマの流れに対して同心円状に配置されてなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。

請求項3

前記電場フィルタの開口部の内径が前記第1の磁場ダクトの内径に等しい、もしくは大なることを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置。

請求項4

前記電場フィルタの開口部の内径が前記第2の磁場ダクトによって揺動する前記プラズマを妨げない程度の大きさとしたことを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置。

請求項5

前記電場フィルタに印可させる電圧が少なくとも直流電源を用いて発生する直流電圧または高周波電源を用いて発生する直流電圧成分であって、前記電圧の値が接地電圧に対して10Vから90Vの範囲で設定されてなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。

請求項6

前記電場フィルタに印可させる電圧が少なくとも直流電源を用いて発生する直流電圧または高周波電源を用いて発生する直流電圧成分であって、前記電圧の値が接地電圧に対して20Vから70Vの範囲で設定されてなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。

請求項7

前記電場フィルタに印可させる電圧が少なくとも直流電源を用いて発生する直流電圧または高周波電源を用いて発生する直流電圧成分であって、前記電圧の値が接地電圧に対して40Vから60Vの範囲で設定されてなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。

請求項8

前記電場フィルタの開口部の内壁凹凸形状を備えてなることを特徴とする請求項2に記載のプラズマ処理装置。

請求項9

前記電場フィルタの開口部の内壁の少なくとも一部の表面が少なくとも高分子有機物を含む物質によって覆われてなることを特徴とする請求項2または8に記載のプラズマ処理装置。

請求項10

前記電場フィルタが少なくともアルミニウム合金ステンレス合金または銅を含む金属からなることを特徴とする請求項1に記載のプラズマ処理装置。

請求項11

陰極アーク放電によるプラズマ発生部と、プラズマを輸送するための第1の磁場ダクトと、第2の磁場ダクトと、被処理基板を保持するステージを有する処理室とを備え、該プラズマ発生部で生成したプラズマが該第1の磁場ダクト及び該第2の磁場ダクトを通って該処理室の該被処理基板に照射されるように、該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが配置されて、かつ該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが真空に保持されてなり、該第2の磁場ダクトと該被処理基板との間に1つ以上の電場フィルタが該処理室に対して電気的な絶縁を保って設置され、かつ該電場フィルタに接地電圧に対して40Vから60Vの範囲の少なくとも直流電源を用いて発生する直流電圧または高周波電源を用いて発生する直流電圧成分が印加されてなることを特徴とするプラズマ処理装置。

請求項12

陰極アーク放電によるプラズマ発生部と、プラズマを輸送するための第1の磁場ダクトと、第2の磁場ダクトと、被処理基板を保持するステージを有する処理室とを備え、該プラズマ発生部で生成したプラズマが該第1の磁場ダクト及び該第2の磁場ダクトを通って該処理室の該被処理基板に照射されるように、該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが配置されて、かつ該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが真空に保持されてなり、該第1の磁場ダクトと該被処理基板との間に貫通孔を有する防着フィルタが1つ以上設置され、該防着フィルタが該プラズマ中に含まれる中性粒子を捕獲し、除去させるようにしたことを特徴とするプラズマ処理装置。

請求項13

前記防着フィルタは前記貫通孔を1つ以上有し、夫々の該防着フィルタについて、前記貫通孔の開口断面積の総和が前記第1の磁場ダクトの断面積の40%以下であることを特徴とする請求項12に記載のプラズマ処理装置。

請求項14

前記防着フィルタは前記貫通孔を1つ以上有し、夫々の該防着フィルタについて、前記貫通孔の開口断面積の総和が前記第1の磁場ダクトの断面積の25%以下であることを特徴とする請求項12に記載のプラズマ処理装置。

請求項15

前記貫通孔の形状または開口断面積の少なくともいずれかが異なる防着フィルタを1つ以上備えたことを特徴とする請求項12に記載のプラズマ処理装置。

請求項16

前記防着フィルタの表面の少なくとも一部が少なくとも高分子有機物を含む物質によって覆われていることを特徴とする請求項12に記載のプラズマ処理装置。

請求項17

陰極アーク放電によるプラズマ発生部と、プラズマを輸送するための第1の磁場ダクトと、第2の磁場ダクトと、被処理基板を保持するステージを有する処理室とを備え、該プラズマ発生部で生成したプラズマが該第1の磁場ダクト及び該第2の磁場ダクトを通って該処理室の該被処理基板に照射されるように、該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが配置されて、かつ該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが真空に保持されてなり、該第1の磁場ダクトの内部に1つ以上の貫通孔を有する防着フィルタが1つ以上配置され、かつ夫々の該防着フィルタについて、該貫通孔の開口断面積の総和が該第1の磁場ダクトの断面積の40%以下であることを特徴とするプラズマ処理装置。

請求項18

陰極アーク放電によるプラズマ発生部と、プラズマを輸送するための第1の磁場ダクトと、第2の磁場ダクトと、被処理基板を保持するステージを有する処理室とを備え、該プラズマ発生部で生成したプラズマが該第1の磁場ダクト及び該第2の磁場ダクトを通って該処理室の該被処理基板に照射されるように、該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが配置されて、かつ該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが真空に保持されてなり、該第1の磁場ダクトと該被処理基板との間に、電圧を印加可能でかつ可動する遮蔽板が該処理室に対して電気的な絶縁を保って設置され、少なくとも該アーク放電の開始するときまたは終了するときに該遮蔽板が該プラズマを遮蔽することを特徴とするプラズマ処理装置。

請求項19

陰極アーク放電によるプラズマ発生部と、プラズマを輸送するための第1の磁場ダクトと、第2の磁場ダクトと、被処理基板を保持するステージを有する処理室とを備え、該プラズマ発生部で生成したプラズマが該第1の磁場ダクト及び該第2の磁場ダクトを通って該処理室の該被処理基板に照射されるように、該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが配置されて、かつ該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが真空に保持されてなり、該第1の磁場ダクトと該被処理基板との間に、電圧を印加可能でかつ可動する遮蔽板が該処理室に対して電気的な絶縁を保って設置され、該アーク放電の開始時から所定時間経過するまで、または所定時間経過して該アーク放電が終了するまでの間、該遮蔽板が該プラズマを遮蔽することを特徴とするプラズマ処理装置。

請求項20

前記遮蔽板に印可させる電圧が少なくとも直流電源を用いて発生する直流電圧または高周波電源を用いて発生する直流電圧成分であって、該電圧の値が接地電圧に対して10Vから90Vの範囲で設定されてなることを特徴とする請求項18または19に記載のプラズマ処理装置。

請求項21

陰極アーク放電によるプラズマ発生部と、プラズマを輸送するための第1の磁場ダクトと、第2の磁場ダクトと、被処理基板を保持するステージを有する処理室とを備え、該プラズマ発生部で生成したプラズマが該第1の磁場ダクト及び該第2の磁場ダクトを通って該処理室の該被処理基板に照射されるように、該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが配置されて、かつ該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが真空に保持されてなり、該処理室の内部には、該被処理基板と異なる位置に集塵用基板が配設され、かつ少なくとも該アーク放電の開始時から所定時間経過するまで、または所定時間経過して該アーク放電が終了するまでの間、該第2の磁場ダクトに印加される磁場を制御して該プラズマを前記集塵用基板に照射することを特徴とするプラズマ処理装置。

請求項22

陰極アーク放電によるプラズマ発生部と、プラズマを輸送するための第1の磁場ダクトと、第2の磁場ダクトと、被処理基板及び集塵用基板を保持する回転ステージを有する処理室とを備え、該プラズマ発生部で生成したプラズマが該第1の磁場ダクト及び該第2の磁場ダクトを通って該処理室の該被処理基板に照射されるように、該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが配置されて、かつ該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが真空に保持されてなり、少なくとも該アーク放電の開始時から所定時間経過するまで、または所定時間経過して該アーク放電が終了するまでの間、該プラズマが該集塵用基板に照射されるように該回転ステージが制御されることを特徴とするプラズマ処理装置。

請求項23

陰極アーク放電によるプラズマ発生部と、プラズマを輸送するための第1の磁場ダクトと、第2の磁場ダクトと、被処理基板を保持するステージを有する処理室とを備え、該プラズマ発生部で生成したプラズマが該第1の磁場ダクト及び該第2の磁場ダクトを通って該処理室の該被処理基板に照射されるように、該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが配置されて、かつ該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが真空に保持されてなり、該第1の磁場ダクトと該被処理基板との間に、電圧を印加可能な1つ以上の電場フィルタが該処理室に対して電気的絶縁を保って設置され、かつ貫通孔を有する防着フィルタが1つ以上設置されてなることを特徴とするプラズマ処理装置。

請求項24

前記電場フィルタに接地電圧に対して40Vから60Vの範囲の少なくとも直流電源を用いて発生する直流電圧または高周波電源を用いて発生する直流電圧成分が印加され、かつ前記防着フィルタが前記貫通孔を1つ以上有し、前記防着フィルタ夫々について、前記貫通孔の開口断面積の総和が前記第1の磁場ダクトの断面積の40%以下であることを特徴とする請求項23に記載のプラズマ処理装置。

請求項25

陰極アーク放電によるプラズマ発生部と、プラズマを輸送するための第1の磁場ダクトと、第2の磁場ダクトと、被処理基板を保持するステージを有する処理室とを備え、該プラズマ発生部で生成したプラズマが該第1の磁場ダクト及び該第2の磁場ダクトを通って該処理室の該被処理基板に照射されるように、該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが配置されて、かつ該第1,第2の磁場ダクトと該処理室とが真空に保持されてなり、該第1の磁場ダクトと該処理室との間に貫通孔を有する防着フィルタが1つ以上設置され、かつ該第2の磁場ダクトと該被処理基板との間に、電圧を印加可能な1つ以上の電場フィルタと可動する遮蔽板とが該処理室に対して電気的な絶縁を保って設置され、少なくとも該アーク放電の開始時から所定時間経過するまでの間、または所定時間経過して該アーク放電が終了するまでの間、該遮蔽板が該プラズマを遮蔽することを特徴とするプラズマ処理装置。

請求項26

前記防着フィルタは前記貫通孔を1つ以上有し、前記防着フィルタ夫々について、前記貫通孔の開口断面積の総和が前記第1の磁場ダクトの断面積の40%以下であって、かつ前記電場フィルタまたは前記遮蔽板に接地電圧に対して40Vから60Vの範囲の少なくとも直流電源を用いて発生する直流電圧または高周波電源を用いて発生する直流電圧成分が印加されてなることを特徴とする請求項25に記載のプラズマ処理装置。

技術分野

0001

本発明は、プラズマ処理装置係り、特に、陰極アーク放電を用いたプラズマ処理装置に関する。

背景技術

0002

近年、低圧アーク放電を応用した薄膜形成技術の研究が盛んに行なわれている。かかる技術は、カソードとなるターゲット部分に、通常ストライカと呼ばれている電極機械的に接触させる、あるいは電子ビーム等を用いることによって数十アンペア程度のアーク電流を流入させてアーク放電を発生させる。そして、ターゲットの上部空間に発生するプラズマハンプからのイオンをカソードに衝突させてカソードからイオンや電子等を発生させることにより、プラズマを持続させる。これらのイオンや電子を含むプラズマを輸送用磁場ダクト及び走査用磁場ダクトを用いて効率的に真空反応室に導き、均一に被処理基板に対して照射させることにより、薄膜の形成やエッチング等の処理を行なう手法である。

0003

しかしながら、上記の従来方法においては、アーク放電によってプラズマを発生させる際、イオンや電子以外にも、電荷を持たない中性微粒子或いは荷電粒子が多量に発生し、これらが異物として薄膜の形成やエッチング等の処理を阻害するという大きな問題を抱えていた。

発明が解決しようとする課題

0004

上記した問題を解決する方法として、磁場ダクトの部分に1つ以上の曲率を有する形状を用いたり、磁場ダクトの内壁部分に発生したプラズマの進行方向に対して逆テーパとなるリング状のトラップ機構等を設けたりすることが、PCT/GB96/00389公報に開示されている。

0005

しかしながら、発明者等の実験によって明らかになったものであるが、上記の従来技術では、光学顕微鏡で容易に観察可能粒径を有する中性粒子の除去に対して効果を奏するが、発生する異物の大部分の粒径が5μm以下であるような中性粒子は、磁場フィルタ内壁トラップされる確率が極端に減少するため、その除去が困難である。また、粒径が5μm以下の荷電性粒子についても、その捕獲が困難であって、薄膜の形成やエッチング等の実用化に際して、新たな解決策を見出すことが必要である。

0006

本発明の目的は、主として上記のような約5μm以下の粒子に対して、有効な除去を可能とするプラズマ処理装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、アーク放電によって発生するプラズマ中に含まれる粒子を荷電性と中性の粒子とに大別し、夫々に対して有効な捕獲・除去方法を提案するものである。

0008

先ず、プラズマ中に含まれる粒径が約5μm以下の荷電性粒子を除去するためには、発生したプラズマをその輸送用の第1の磁場ダクトとプラズマを均一に被処理基板上に照射させるための第2の磁場フィルタとを用いて被処理基板を保持した処理室へ導く際に、プラズマを電圧印加された少なくとも1つ以上からなる電場フィルタを通過させることが必要である。

0009

具体的には、電場フィルタに印加するバイアス電圧を設置電圧に対して10Vから90Vの範囲で設定することにより、プラズマ中の荷電性粒子を効率良く、しかも、リアルタイムで捕獲することが可能になる。これは、プラズマ中に浮遊する個々の荷電性粒子が約数1000個の電子に覆われて負の電位を有していることを利用するものである。

0010

一方、アーク放電によってカソードのターゲットから飛び出す中性粒子をリアルタイムで効率良く捕獲し、そして、これを除去するためには、第1の磁場ダクトと被処理基板との間のプラズマが輸送される経路の中に、少なくとも1つ以上の貫通孔を有する防着フィルタをプラズマの進行方法に対してほぼ垂直な位置に設け、第1の磁場フィルタを通って輸送されてきたプラズマがこの防着フィルタを通過するようにする。

0011

このとき、貫通孔の断面積の総和が、第1の磁場フィルタまたは第2の磁場フィルタの断面積に対して、約40%未満の断面積を有するようにする。

0012

また、上記の防着フィルタの表面の一部を高分子からなる有機材料、またはこれらを含む複合材料を用いて覆うことにより、この防着フィルタの表面に付着した中性粒子の剥離を防止し、この中性粒子の剥がれによる二次的な粒子の発生を大幅に減少させることが可能となる。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明によるプラズマ処理装置の第1の実施形態を示す概略構成図であって、1はターゲット、2はカソード、3はアーク電源、4はストライカ、5はアーク放電、6は処理室、7は被処理基板、8はステージ、9は直流電源、10は高周波電源、11はプラズマ、12は正のカーボンイオン、13は電子、14は第1の磁場ダクト、15は第2の磁場ダクト、16は電場フィルタ、17は荷電性粒子、18,19,20は直流電源、21は排気ポンプ、22は絶縁部材、23は防着フィルタ、24は中性粒子、40は第1の磁場ダクト14の中心軸付近、41は高周波電源である。

0014

同図において、ここでは、ターゲット1の材料の一例として、高配向グラファイトカーボンを使用し、その直径は約50mmである。このターゲット1は第1の磁場ダクト14内の一方の端部に設けられたカソード2に接合されている。このカソード2は、絶縁部材22により、第1の磁場ダクト14から絶縁されている。この第1の磁場ダクト14内のターゲット1の近くに、アーク放電を行なわせるためのストライカ4が設けられている。この第1の磁場ダクト14の他方の端部に第2の磁場ダクト15が連結され、さらに、この第2の磁場ダクト15に絶縁部材22を介して処理室6が連結されている。

0015

ターゲット1に、カソード2を介して、アーク用電源3からアーク電流として20〜150A、アーク電圧として約−30Vが印加されるストライカ4を接触させることにより、ターゲット1とストライカ4との間でアーク放電5を行なわせる。

0016

なお、このストライカ4としては、このアーク放電5が不安定になったとき、再びターゲット1の表面に接触させて定常的にアーク放電5の維持ができるような構造を有するのが好ましい。

0017

また、アーク放電5を開始するときの第1の磁場ダクト14,第2の磁場ダクト15及び処理室6の真空度背圧)は、排気ポンプ21により、例えば、約5×10-5Pa以下の真空度に保たれ、これにより、被処理基板7の表面に存在する水分子などの吸着量を減少させることが可能である。

0018

処理室6内に配置される被処理基板7を設置するためのステージ8には、これに正及び負のいずれかの電圧を印加するための直流電源9または高周波電源10などが接続されているが、ここでは、接地電圧に対してフローティングの状態とした。

0019

ターゲット1から生成されたプラズマ11の主要成分である正のカーボンイオン12と電子13とは、円筒形状を示すプラズマ輸送用の第1の磁場ダクト14の周囲に配置した磁石(第1の磁場ダクト14の中心付近において、約500ガウス)に電源18から通電することにより、サイクロトロン運動をしながら第1の磁場ダクト14のほぼ中心軸付近40にトラップされてビーム状になり、第2の磁場ダクト15へと輸送される。

0020

円筒形状の第2の磁場ダクト15の周囲には、第1の磁場ダクト14と同様に、磁石が配置されており、この磁石に電源19から通電することにより、第1の磁場ダクト14から輸送されてきたビーム状のプラズマ11が揺動して被処理基板7の表面をスキャンし、これにより、被処理基板7の表面にカーボンの層が均一に形成される。

0021

ところで、この第1の実施形態においては、第2の磁場ダクト15と被処理基板7との間に、例えば、図2に示すような開口部16aを有する電場フィルタ16がリアルパーティクルフィルタとして、絶縁部材22によって処理室6との間で電気的絶縁を保って、設置されている。ここで、図2(a)は円筒状の電場フィルタ16を示すものであって、その開口部16aの直径はこの電場フィルタ16の外形寸法(第1の磁気ダクト14の内径よりも大きい)に近い値となっているものである。これにより、被処理基板7が大きくてプラズマ11の揺動範囲が広くても、このプラズマ11はこの開口部16aを通ってその流れが電場フィルタ16によって妨げられることはない。これに対し、被処理基板7が小さい場合には、図2(b)に示すように、電場フィルタ16の開口部16aの直径を小さくすることができるが、この場合でも、その直径を第2の磁場ダクト15の作用によって揺動するプラズマ11の通過を妨げない程度の大きさとする。

0022

かかる電場フィルタ16はアルミニウム合金ステンレス合金あるいは銅を含む金属で形成されており、その開口部16aの内壁が凹凸状(例えば、蛇腹形状螺旋溝を有する形状など)になっている。この電場フィルタ16に正の電圧が印加されており、これにより、この電場フィルタ16を通過するプラズマ11の中に浮遊している負に帯電している荷電性粒子17がこの電場フィルタ16に捕獲され、その結果、大部分の荷電性粒子17が除去されたプラズマ11が被処理基板7の表面に照射されることになる。

0023

このように、電場フィルタ16は、第2の磁場ダクト15から被処理基板7の方に流れる途中の荷電粒子17を捕獲することになり、プラズマ処理中にリアルタイムで荷電粒子17を除くことができる。

0024

ここで、上記のように、電場フィルタ16の開口部16aの内壁を凹凸状にすることにより、荷電性粒子17を捕獲するための有効面積が広くなって荷電粒子17の捕獲量が向上する効果があるし、また、後述する中性粒子の捕獲も可能である。

0025

また、この第1の実施形態においては、第1の磁場ダクト14の断面形状を、例えば、円形状とし、その内径が200mmであるのに対して、図2(a)に示す構成の電場フィルタ16の内径を200mmまたは第1の磁場ダクトより大きく、例えば、205mmとするものであり、これにより、輸送されてきたイオンや電子を含むプラズマ11を効率良く被処理基板7の表面に照射することができる。

0026

なお、図2(b)に示す構成の電場フィルタ16を同様に用いた場合には、荷電粒子17や後述の中性粒子がこの電場フィルタ16の表面16bででも捕獲される。

0027

図3図2(a)に示す構成の電場フィルタ16を用いた場合のこの第1の実施形態での被処理基板7の表面に飛来する荷電性粒子17の変化量を示す図である。

0028

ここでは、直流電源20を用いて、電場フィルタ16の印加電圧を設置電圧に対して−20Vから100Vまで変化させた場合を示している。また、この測定は、粒径が1μm以上の荷電粒子について、例えば、日立電子エンジニアリング社製のLaser Surface Inspection Device「LS−6000」を用いて行ない、アーク電流を20A,アーク放電時間を190秒とした。

0029

この結果、図3に示すように、被処理基板7の表面に飛来する荷電性粒子17の量は、電場フィルタ16に印加される電圧がマイナスからプラスに変化することによって急激に減少し、更に印加電圧を大きくするしていくと、再び増加するようになる。そして、印加電圧が50V前後であるとき、被処理基板7の表面に飛来する荷電性粒子17の量を極めて低減させることが可能になった。

0030

この実施形態では、一例として、この実験結果に基づいて、電場フィルタ16に印加する電圧を接地電圧に対して10Vから90Vの範囲の電圧とし、さらに荷電粒子17を低減する場合には、20Vから70Vの範囲の電圧とし、より好ましくは、40Vから60Vまでの範囲の電圧とする。図2(b)に示した構成の電場フィルタ16についても同様である。

0031

ところで、カーボン原子化学反応して強力な密着性を示す高分子有機材料(具体的には、例えば、ポリイミドフィルム)を、電場フィルタ16の開口部16aの内壁面張り付けることにより、電場フィルタ16の表面に堆積する荷電粒子からなる膜の剥がれの防止効果が増大する。例えば、このような高分子有機材料を張り付けた電場フィルタ16に高周波電源41を用いて発生する約50Vの直流電圧成分を印加することにより、安定なアーク放電を維持することができ、しかも、プラズマ11中に含まれる荷電粒子17を、上記した場合と同様に、効率良く捕獲することができるばかりでなく、電場フィルタ16の表面に堆積した荷電粒子17からなる膜が不用意に剥離することを防止する効果のあることが確かめられた。

0032

なお、図2(b)に示した構成の電場フィルタ16では、その開口部16a以外の表面16bにも同様の高分子有機材料を設けることにより、そこに堆積する電荷粒子17や後述する中性粒子からなる膜の剥がれの防止効果が増大する。

0033

また、電場フィルタ16の開口部の内壁面が導電面である場合には、直流電源20から電場フィルタ16に上記の電圧範囲直流電圧が印加されるが、この内壁面にポリイミドフィルムなどの電気的絶縁性の高分子有機材料を含む部材が設けられているときには、高周波電源41を用いて発生する上記の電圧範囲の直流電圧成分が電場フィルタ16に印加される。

0034

図4は本発明によるプラズマ処理装置の第2の実施形態を示す概略構成図であって、23は防着フィルタであり、図1に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。

0035

同図において、アーク放電5によって生成させたプラズマ11を第1の磁場ダクト14及び第2の磁場ダクト15を通過させて、被処理基板7を設置したステージ8を有する処理室6内へ輸送させることは、第1の実施形態である場合と同様であるが、この第2の実施形態では、第1の磁場ダクト14と被処理基板7との間にリアルタイムパーティクルフィルタとしての防着フィルタ23を配置し、プラズマ処理のために輸送されてくるプラズマ11の中に浮遊する中性粒子24をリアルタイムで捕獲し、除去するようにしたものであり、ここでは、板状のこの防着フィルタ23をプラズマ11の進行方向に対して略直交するように配置している。

0036

この防着フィルタ23は、第1の磁場ダクト14の内部断面積に比較して小さい開口断面積を有する貫通孔25を1つ以上備えており、その素材としては、例えば、表面をブラスト処理したステンレス合金を用いて作製され、電気的には、第1の磁場ダクト14と同電位に設定されている。

0037

かかる防着フィルタ23を用いることにより、プラズマ11の中に浮遊する中性粒子24を捕獲することができる。その様子を図5に示した。

0038

図5(a)は防着フィルタ23の断面を示すものであって、斜線の部分は貫通孔25である。この第2の実施形態では、1つの貫通孔25を防着フィルタ23のほぼ中央に設けたものであるが、貫通孔25の位置はこれのみに限定されるものでなく、周囲に複数個設けてもよいことは言うまでもない。

0039

図5(b)は被処理基板7に到達する中性粒子24の量と防着フィルタ23の貫通孔25の開口断面積との関係を示すものであって、これからも明らかのように、第1の磁場ダクト14の断面積に比較して貫通孔25の開口断面積が小さくなると、被処理基板7の表面に到達する中性粒子24の量が減少する。特に、貫通孔25の開口断面積が第1の磁場ダクト14の内部断面積の約40%以下になると、中性粒子24が急激に減少し、さらに、約25%以下では、中性粒子24の量が激減する。

0040

発明者等の検討結果によれば、貫通孔25の形状や配置に関して、上記の例に比較してより小径貫通穴25を多数有する多孔形状、或いはそれらを防着フィルタ23の周辺部(第1の磁場ダクト内の内壁周辺部)に配置した場合についても、図5(b)と同様の結果を得ることができ、この貫通孔25の開口断面積の総和を第1の磁場ダクト14の内部断面積の約40%以下になると、中性粒子24が急激に減少し、さらに、約25%以下では、中性粒子24の量が激減する。

0041

更にまた、図6に示す第3の実施形態のように、防着フィルタ23の形状が板状ではなく、防着フィルタ23の表面での貫通孔25の周り円筒状部材26を設けた形状であっても、同様の効果を得ることが可能である。

0042

図7は本発明によるプラズマ処理装置の第4の実施形態を示す概略構成図であって、図4に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。

0043

同図において、この第4の実施形態は、図4に示した第2の実施形態に対し、プラズマ11が輸送される第1の磁場ダクト14の内部にも、貫通孔25の開口部面積の異なる複数の防着フィルタ23を装着したものである。ここでは、防着フィルタ23を第1の磁場ダクト14の内部に2ヶ所と第1の磁場ダクト14,第2の磁場ダクト15間との合計3ヶ所に設置したものであるが、これら3ヶ所に設置した防着フィルタ23夫々について、その貫通孔25の開口断面積の総和が第1の磁場ダクト14の内部断面積の約40%以下とした。

0044

かかる構成について、上記の図4の場合と同様の実験を行なったところ、プラズマ11中に浮遊する中性粒子24を効率良く捕獲することができた。これは、ランダム軌道で移動する中性粒子24を夫々の防着フィルタ23が捕獲するからであり、最初の防着フィルタ23で捕獲されない中性粒子24が次の2番目の防着フィルタ23で捕獲され、これら2つの防着フィルタ23で捕獲されない次の3番目の防着フィルタ23で捕獲されるからである。そして、更に、これら防着フィルタ23夫々毎の貫通孔25の開口断面積の総和を第1の磁場ダクト14の内部断面積の約25%以下にすることにより、中性粒子24の捕獲効率が更に向上することが確かめられた。

0045

なお、ここでは、防着フィルタ23が3ヶ所に設けられたものであったが、2ヶ所あるいは4ヶ所以上設けるようにしてもよく、これら防着フィルタ23毎の貫通孔25の開口断面積の総和を上記のように設定することにより、上記と同様の効果が得られる。

0046

一方、図4図6及び図7に示す実施形態において、図8(a)に示すように、プラズマ11の輸送方向27にほぼ直交するように設けられた防着フィルタ23でのプラズマ11が流れ込んでくる側の面全体に、高分子有機材料からなる部材29を設けた。ここでは、防着フィルタ23を、一例として、グラスファイバーからなる板状部材28(板厚が約1mm)の表面に高分子有機材料としてポリイミドの部材を設けた複合材料30でもって形成した。

0047

かかる構成の防着フィルタ23を用いた上記の実施形態について、図4または図7に示した場合と同様の実験を行なったところ、図9に示す結果が得られた。この結果から明らかのように、被処理基板7の表面上に飛来する中性粒子24はアーク放電の継続時間と共に増加の傾向にあるが、その量を、防着フィルタ23に上記の複合部材30を用いない場合(図9グラフ31)と比較して、複合部材30を用いる場合(図9のグラフ32)には、減少させることができる。

0048

即ち、プラズマ11が第1の磁場ダクト14内を輸送される際に、この複合材料30は、プラズマ11中に浮遊する中性粒子24を効率良く捕獲するばかりでなく、複合部材30を装着しない場合に比較して、複合部材29の表面に堆積した中性粒子24からなる膜の剥離を効果的に防止する役割も果たしていることが確認された。

0049

なお、図8(a)に示す防着フィルタ23は、プラズマ11が流れ込んでくる側の面全体に高分子有機材料からなる部材29を設けたものであったが、この面の一部、例えば、図8(b)に示すように、貫通孔25の周りの所定の幅の領域に高分子有機材料からなる部材29を設けるようにしてもよい。

0050

図10は本発明によるプラズマ処理装置の第5の実施形態を示す概略構成図であって、図6に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。

0051

同図において、この第5の実施形態では、図6に示した第3の実施形態において、第2に磁場ダクト15と被処理基板7との間に電場フィルタ16を配置し、従って、第1の磁場ダクト14と第2の磁場ダクト15との間に防着フィルタ23を、第2に磁場ダクト15と被処理基板7との間に、絶縁部材22によって処理室6との間で電気的絶縁が保たれながら、電場フィルタ16を配置したものである。

0052

防着フィルタ23は、図8に示したような複合部材30(板厚約1mm)からなり、また、電場フィルタ16には、直流電源20から約50Vの電圧が印加されている。そして、ターゲット1とストライカ4との間に、アーク用電源3からアーク電流として20〜150A、アーク電圧として約−30Vを印加して、アーク放電を行なった。

0053

これによって発生したプラズマ11は、第1の磁場ダクト14及び第2の磁場ダクト15の内部を輸送されて被処理基板7の表面に照射されるが、その過程で、プラズマ11の中に浮遊する中性粒子24が防着フィルタ23により、また、荷電性粒子17が電場フィルタ16により、夫々効果的に捕獲される。その結果、少なくとも約1μm以上の大きさを有する異物粒子が大幅に除去されたプラズマ11のみが被処理基板7の表面に照射されることになる。

0054

なお、防着フィルタ23としては、図8(a)に示したものが図4に示すように1つ設けられていてもよいし、また、図7で示したように、複数設けられていてもよい。この場合、かかる防着フィルタ23としては、図8に示したような複合部材30でなくともよいが、かかる複合部材30とすることにより、上記の効果がより顕著に得られることになることはいうまでもない。

0055

図11は本発明によるプラズマ処理装置の第6の実施形態を示す概略構成図であって、33は第1の磁場ダクト、34はバッフル、35は遮蔽板シャッタ)であり、前出図面に対応する部分に同一符号を付けて重複する説明を省略する。

0056

同図において、この第6の実施形態では、第1の磁場ダクト33が屈曲された形状をなし、また、この第1の磁場ダクト33の内壁面には、プラズマ11の進行方向に対して逆テーパ形状になるようなバッフル34が設けられている。そして、この第1の磁場ダクト33と第2の磁場ダクト15との間に防着フィルタ23が、第2の磁場ダクト34と被処理基板7との間に図10に示した実施形態と同様にして電場フィルタ16が夫々配置されている。

0057

アーク放電によって発生した荷電粒子や中性粒子は、第1の磁場ダクト33ないをランダムな方向に進むが、第1の磁場ダクト33が屈曲していることにより、これまで第1の磁場ダクト33の中心軸に進んできたこれら粒子もその内壁面の方向に向かうことになり、その内壁面に設けられているバッフル34に捕獲されることになる。

0058

防着フィルタ23の構成は、図6に示した第3の実施形態に用いられているものと同様にしたが、図8に示したような複合部材30の構成とし、そこに設けられた貫通孔の開口断面積は第2の磁場ダクト15の断面積の約4%程度とした。そして、電場フィルタ16と被処理基板7との間に、開閉可能な遮蔽板35が設置されている。

0059

図12は、図11に示した第6の実施形態において、アーク放電の継続時間経過と処理室6内に浮遊する荷電性粒子及び中性粒子の量との関係を示すものである。

0060

図12からも明らかのように、アーク放電が開始され、発生したプラズマ11が処理室6の方へ輸送される時間を経過した後、処理室6の内部に浮遊する粒子の量が急激に増加し、その後の時間経過に伴って徐々に減少する。そして、アーク放電が停止されると、若干の時間経過後、処理室6の内部に浮遊する粒子の量が再び増加し、その後、処理室6の内部が排気されるに伴って粒子の量が減少を始める。即ち、アーク放電によるプラズマ生成の場合、アーク放電の開始時及び終了時に極めて多くの粒子が発生することが明らかになった。

0061

従って、アーク放電を利用したプラズマ処理の場合には、アーク放電の開始及び終了時にプラズマに含まれる粒子が被処理基板7の表面に飛来しないような工夫が必要である。

0062

図11における開閉可能な遮蔽板35(ステンレス合金製)は、上記の機能を果たすためのものであって、例えば、アーク放電の開始から数秒乃至数十秒の間、そして、アーク放電の終了前の数秒乃至数十秒の間、被処理基板7を覆い隠すように作動させる。これにより、これら期間に発生した荷電粒子や中性粒子が遮蔽板35に捕獲される。また、この遮蔽板35は処理室6に対して電気的に絶縁の状態を保つようにし、必要に応じて電圧の印加を可能とした。遮蔽板35に印加する電圧に対する荷電粒子の低減効果の傾向も図3と同様であり、従って、この印加電圧も、例えば、10Vから90Vまでの範囲に設定し、好ましくは40Vから60Vまでの範囲に設定する。

0063

表1に、被処理基板7上の異物となる粒子の数と電場フィルタ16及び防着フィルタ23との関係をまとめて示したものである。

0064

ID=000003HE=110 WI=137 LX=0365 LY=0300
尚、実験におけるアーク放電の条件を、図1に示した第1の実施形態と同様とし、また、遮蔽板35を接地電圧に対してフローティングの状態に保ち、アーク放電の開始後10秒間及び終了前の10秒間は遮蔽板35を作動させて被処理基板7の表面を覆うようにした。また、被処理基板7の面積は約100cm2である。

0065

この結果、電場フィルタ16及び防着フィルタ23のいずれも使用しない場合には、粒径1μm以上の異物となる粒子(荷電性粒子や中性粒子)が極めて多量に被処理基板7上に輸送されている。これに対し、防着フィルタ23を用いると、これによって中性粒子が除去されることにより、被処理基板7上に付着する粒子(大部分が荷電性粒子)は、上記の場合の1/10以下に激減させることができる。そして、更に、電場フィルタ16を用いることにより、その量を1/100以下に低減させることが可能であることが明らかになった。

0066

換言すれば、アーク放電を利用したプラズマ処理において、生成させるプラズマ11中に含まれる荷電性粒子は電場フィルタ16を用いて、また、中性粒子は防着フィルタ23を用いて夫々除去することができ、これにより、薄膜形成などの場合、デバイスにとって悪影響をもたらす異物粒子が排除された極めてクリーンなプラズマを用いて処理を行なうことができることである。

0067

なお、遮蔽板35としては、電場フィルタ16と同様の金属材料で形成してもよいし、また、その粒子捕獲面に上記の電気的絶縁性の高分子有機材料を設けるようにしてよい。そして、この粒子捕獲面が導電面であるときには、遮蔽板35は直流電源20から直流電圧が、この粒子捕獲面に高分子有機材料が設けられているときには、遮蔽板35は高周波電源41を用いて発生する直流電圧成分が夫々印加される。

0068

図13は本発明によるプラズマ処理装置の第7の実施形態を示す概略構成図であって、38は集塵用基板、39は直流電源、42は高周波電源であり、図11に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。

0069

同図において、この第7の実施形態は、図11に示した第6の実施形態において、遮蔽板35の代りに、被処理基板7とは異なる位置に集塵用基板38を配置したものである。

0070

この第7の実施形態では、アーク放電の開始から数秒乃至数十秒の間及びアーク放電の終了前数秒乃至数十秒の間、第2の磁場ダクト15の磁界を制御することにより、第1の磁場ダクト14を通過したプラズマ11の進む方向を集塵用基板38に変化させる。これにより、異物粒子が大量に発生し易い時間を避けてプラズマ処理を実行することができる。

0071

尚、集塵用基板38は被処理基板7と同一の構造体のものでよく、必要に応じて所定の電圧を印加することも可能である。また、集塵用基板38の表面をポリイミドなどによる処理を施すことにより、集塵用基板38の表面から剥がれた異物粒子が再び処理室6の内部に浮遊し、それが被処理基板7の処理中に悪影響を及ぼすことを抑制することができる。

0072

なお、集塵用基板38の表面が導電面であるときには、集塵用基板38は直流電源39から直流電圧が、集塵用基板38の表面に高分子有機材料が設けられているときには、集塵用基板38は高周波電源42を用いて発生する直流電圧成分が夫々印加される。

0073

また、集塵用基板38の印加電圧に対する異物粒子の低減効果も、先の図3と同様の傾向にあり、従って、集塵用基板38に印加する電圧も、さきに説明した電場フィルタ16や遮蔽板35(図11)の場合と同様である。

0074

図13に示したこの第7の実施形態と同様な効果を得る方法として、ステージ8を回転可能な構造にして、このステージ8上に被処理基板7と集塵用基板38とが併置するようにしてもよい。そして、アーク放電の開始時及び終了時には、このステージ8を回転させてプラズマ11の進行方向と集塵用基板38の位置とを一致させる。このような方法によっても、上記した場合と同様の効果を得ることが可能である。

0075

次に、電場フィルタ16及び中性フィルタ23によって除去される異物粒子の素性について調べた結果を説明する。

0076

図14(a)に示す被処理基板7上に付着した大きな粒子36(約2.5×7μm)を良く知られた顕微ラマン分光法を用いて解析した。

0077

図14(b)はこの結果得られたラマン分光スペクトルの一例を示すものであるが、そのラマンスペクトル波数が1580cm-1及び1350cm-1の近傍に観察されることから、この異物23がグラファイトカーボンに近い粒子であることが確認された。

0078

また、図15(a)は粒径が1μm程度の粒子37を示すものであり、そのラマン分光スペクトルは、図15(b)に示すように、図14(b)の場合と比較して、その強度が減少しただけであって、スペクトルの波数は同じである。従って、この粒子37もグラファイトカーボンに近い粒子である。

0079

図16図18は、大きさの異なる粒子について、良く知られたエネルギー分散X線分光法を用いて成分分析を行なった結果を示すものである。

0080

図16及び図17併記した電子顕微鏡写真の形状から判断すると、その粒子の形状が鋭角的な面を有していることから、中性粒子であるものと考えられる。そして、その成分分析の結果から、これらの粒子はカーボンからなる粒子であるということができる。但し、成分分析のスペクトルに現れるシリコン帰属したピークは、下地基板として使用したシリコンウエハからの信号である。

0081

一方、図18に示した異物は、その形状が丸みを帯びていることから、プラズマ雰囲気中成長し、そして、その周りに数千個の電子を帯電した状態で被処理基板上に輸送された荷電性粒子であると推察される。そして、その成分分析の結果、この粒子も、また、カーボンで構成されていることが判明した。

0082

上記したように、アーク放電によって生成したプラズマ中に浮遊する異物粒子はグラファイトカーボンに近い粒子であって、電荷を帯びている粒子と電気的には中性の粒子とが存在する。そして、これらはいずれも被処理基板上に堆積されて、例えば、薄膜としての利用価値が低く、かつ結晶学的にも劣る構造体であるため、その除去が不可欠である。

0083

なお、以上の各実施形態では、ターゲット1としてカーボンを用いたが、例えば、タングステンなどの融解点の高い金属であっても、アーク放電の可能な材料であれば、限定されない。

0084

また、上記各実施形態では、電場フィルタ16を1つ用いるものであったが、2個以上をプラズマ11の流れ方向に並べて配置するようにしてもよい。この場合、各電場フィルタ16の開口部の直径を全て等しくしてもよいし、また、適宜異ならせてもよい。勿論、これら電場フィルタ16に印加する電圧を互いに等しくしてもよいし、また、適宜異ならせるようにしてもよい。例えば、図1に示した実施形態において、電場フィルタ16を2個以上中心軸40に沿って配置する場合、被処理基板7側の電場フィルタ16に対し、第2の磁場フィルタ15側の電場フィルタ16ほどその開口部の直径を大きくしてもよいし、小さくしてもよい。

発明の効果

0085

以上で説明したように、本発明によれば、アーク放電によって発生したプラズマの輸送経路に貫通孔を有する防着フィルタと電圧印加の可能電磁フィルタを配置させることにより、中性粒子及び荷電性粒子を低減させたプラズマを被処理基板に照射することが可能である。

図面の簡単な説明

0086

図1本発明によるプラズマ処理装置の第1の実施形態を示す概略構成図である。
図2図1における電場フィルタの一具体例を示す斜視図及び断面図である。
図3図1に示す実施形態での電場フィルタに印加される電圧と被処理基板に到達する異物粒子との関係を示す図である。
図4本発明によるプラズマ処理装置の第2の実施形態を示す概略構成図である。
図5図4における防着フィルタの一具体例とこの防着フィルタに設けた貫通孔の開口断面積と被処理基板に到達する異物粒子との関係を示す図である。
図6本発明によるプラズマ処理装置の第3の実施形態を示す概略構成図である。
図7本発明によるプラズマ処理装置の第4の実施形態を示す概略構成図である。
図8図7における防着フィルタの一具体例を示す概略構造図である。
図9図8に示した複合材料の防着フィルタの効果を示す図である。
図10本発明によるプラズマ処理装置の第5の実施形態を示す概略構成図である。
図11本発明によるプラズマ処理装置の第6の実施形態を示す概略構成図である。
図12図11に示した第6の実施形態でのアーク放電の過程と発生する異物粒子との関係を示す説明図である。
図13本発明によるプラズマ処理装置の第7の実施形態を示す概略構成図である。
図14プラズマ処理する被処理基板に付着した異物粒子の一例の(サイズ2.5×7μm程度)のラマン分光スペクトルを示す図である。
図15プラズマ処理する被処理基板に付着した異物粒子の他の例(粒径1μm程度)のラマン分光スペクトルを示す図である。
図16異物粒子のエネルギー分散X線分光法による成分分析結果の第1の具体例を示す図である。
図17異物粒子のエネルギー分散X線分光法による成分分析結果の第2の具体例を示す図である。
図18異物粒子のエネルギー分散X線分光法による成分分析結果の第3の具体例を示す図である。

--

0087

1ターゲット
カソード電極
アーク電源
4ストライカ
アーク放電領域
6処理室
7被処理基板
8ステージ
9直流電源
10高周波電源
11プラズマ
12イオン
13電子
14 第1の磁場ダクト
15 第2の磁場ダクト
16電場フィルタ
17荷電性粒子
18,19,20 直流電源
21排気ポンプ
22絶縁部材
23 防着フィルタ
24中性粒子
25貫通孔
26円筒部
28グラスファイバー
29ポリイミド
30複合部材
33 第1の磁場ダクト
34バッフル
35遮蔽板
38集塵用基板
39 直流電源
40 第1の磁場ダクトの中心付近
41,42 高周波電源
42集塵基板用高周波電源

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