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技術 陶磁器製品用抗菌剤の製造方法

出願人 国立研究開発法人産業技術総合研究所長崎県
発明者 大橋文彦阿部久雄田栗利紹
出願日 2000年7月3日 (20年4ヶ月経過) 出願番号 2000-201626
公開日 2002年1月23日 (18年10ヶ月経過) 公開番号 2002-020158
状態 特許登録済
技術分野 粘土製品 セラミックスの後処理
主要キーワード 浄水用フィルター ゼーゲル式 ハロー法 試料周囲 塩基性塩化 抗菌製品技術協議会 無機層状化合物粒子 陶磁器用
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課題

耐熱性に優れた無機層状化合物からなる新しい陶磁器用抗菌材料を提供する。

解決手段

耐熱性を高めた陶磁器製品用抗菌剤を製造する方法であって、無機層状化合物を主原料とし、この無機層状化合物の層間に存在する交換性陽イオン交換することにより、その構造の層間に、抗菌力を有する金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入して、抗菌力を有する粘土金属錯体複合体抗菌剤を作製することを特徴とする陶磁器製品用抗菌剤の製造方法。

概要

背景

従来、陶磁器用に使用される抗菌剤は、何らかの熱処理工程を伴って陶磁器釉薬上絵付けに使用されるため、基本的に耐熱性が求められ、耐熱性に乏しい有機系の抗菌剤が用いられることはほとんどなく、種々の無機系の抗菌剤が用いられている。すなわち、陶磁器用の無機系の抗菌剤としては、ガラスゼオライトシリカゲルなどを担体として、これに抗菌力を有する銀、銅、亜鉛などの金属イオンを導入したものが一般的であった。

しかしながら、これらの無機系の抗菌剤は、抗菌力の源泉となる金属イオンの保持力が充分ではなく、水系で用いると金属イオンが溶出し、釉薬や上絵具に混合して陶磁器表面へ適用する際に、担持金属損失分が多くなるという問題があった。また、抗菌剤の担体成分は、数ミクロンから数十ミクロン粒子であり、しかも、これらが凝集しているために、釉薬や上絵の具の懸濁液を陶磁器表面に施しても、結果的に陶磁器表面では抗菌剤の凝集が起こることが少なくなかった。このように、懸濁液中での損失や陶磁器表面での凝集が起こると、抗菌剤の効力極端に低下し、それを補うために抗菌剤の添加量を増加する必要が生じるなどの問題があった。

概要

耐熱性に優れた無機層状化合物からなる新しい陶磁器用抗菌材料を提供する。

耐熱性を高めた陶磁器製品用抗菌剤を製造する方法であって、無機層状化合物を主原料とし、この無機層状化合物の層間に存在する交換性陽イオン交換することにより、その構造の層間に、抗菌力を有する金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入して、抗菌力を有する粘土金属錯体複合体抗菌剤を作製することを特徴とする陶磁器製品用抗菌剤の製造方法。

目的

このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、水系で用いても、金属イオンの溶出量が制御され、添加量が少なくても十分な抗菌力を持続することができる新しい陶磁器製品用抗菌剤を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、無機層状化合物の層間に金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入し、金属イオンの溶出量を制御することで所期の目的を達成し得ることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、数百nmオーダー微小で扁平な形態を持つ無機層状化合物の層間に金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入し、金属イオンの溶出量を制御することで、添加量が少なくても十分な抗菌力を持続する抗菌剤を製造する方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、上記方法により作製してなる新規な陶磁器製品用抗菌剤を提供することを目的とするものである。

効果

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請求項1

耐熱性を高めた陶磁器製品用抗菌剤を製造する方法であって、無機層状化合物主原料とし、この無機層状化合物の層間に存在する交換性陽イオン交換することにより、その構造の層間に、抗菌力を有する金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入して、抗菌力を有する粘土金属錯体複合体抗菌剤を作製することを特徴とする陶磁器製品用抗菌剤の製造方法。

請求項2

金属多核水酸化物カチオンが、多核水酸化アルミニウム、多核水酸化ジルコニウム、又は多核水酸化チタニウムであることを特徴とする請求項1記載の陶磁器製品用抗菌剤の製造方法。

請求項3

無機層状化合物が、スメクタイト、二硫化タンタルリン酸ジルコニウム人工雲母チタン酸カリウムから選択される1種である請求項1又は2記載の陶磁器製品用抗菌剤の製造方法。

請求項4

請求項1から3のいずれか1項に記載の方法で作製して成る陶磁器製品用抗菌剤であって、無機層状化合物を主原料とし、この無機層状化合物の層間に存在する交換性陽イオンと交換することにより、その構造の層間に、抗菌力を有する金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入して、抗菌力を有する粘土−金属錯体複合体としたことを特徴とする陶磁器製品用抗菌剤。

技術分野

0001

本発明は、陶磁器製品用抗菌剤に関するものであり、更に詳しくは、陶磁器製品釉薬上絵付け熱処理を伴って適用され、大腸菌などの細菌に対して抗菌力を示す無機系抗菌剤のうち、無機層状化合物主原料とし、その層間に抗菌力を有する金属錯体等を導入して作製される新規耐熱性を高めた陶磁器製品用抗菌剤及びその製法に関するものである。

背景技術

0002

従来、陶磁器用に使用される抗菌剤は、何らかの熱処理工程を伴って陶磁器釉薬や上絵付けに使用されるため、基本的に耐熱性が求められ、耐熱性に乏しい有機系の抗菌剤が用いられることはほとんどなく、種々の無機系の抗菌剤が用いられている。すなわち、陶磁器用の無機系の抗菌剤としては、ガラスゼオライトシリカゲルなどを担体として、これに抗菌力を有する銀、銅、亜鉛などの金属イオンを導入したものが一般的であった。

0003

しかしながら、これらの無機系の抗菌剤は、抗菌力の源泉となる金属イオンの保持力が充分ではなく、水系で用いると金属イオンが溶出し、釉薬や上絵具に混合して陶磁器表面へ適用する際に、担持金属損失分が多くなるという問題があった。また、抗菌剤の担体成分は、数ミクロンから数十ミクロン粒子であり、しかも、これらが凝集しているために、釉薬や上絵の具の懸濁液を陶磁器表面に施しても、結果的に陶磁器表面では抗菌剤の凝集が起こることが少なくなかった。このように、懸濁液中での損失や陶磁器表面での凝集が起こると、抗菌剤の効力極端に低下し、それを補うために抗菌剤の添加量を増加する必要が生じるなどの問題があった。

発明が解決しようとする課題

0004

このような状況の中で、本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、水系で用いても、金属イオンの溶出量が制御され、添加量が少なくても十分な抗菌力を持続することができる新しい陶磁器製品用抗菌剤を開発することを目標として鋭意研究を積み重ねた結果、無機層状化合物の層間に金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入し、金属イオンの溶出量を制御することで所期の目的を達成し得ることを見出し、更に研究を重ねて、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、数百nmオーダー微小で扁平な形態を持つ無機層状化合物の層間に金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入し、金属イオンの溶出量を制御することで、添加量が少なくても十分な抗菌力を持続する抗菌剤を製造する方法を提供することを目的とするものである。また、本発明は、上記方法により作製してなる新規な陶磁器製品用抗菌剤を提供することを目的とするものである。

0005

上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)耐熱性を高めた陶磁器製品用抗菌剤を製造する方法であって、無機層状化合物を主原料とし、この無機層状化合物の層間に存在する交換性陽イオン交換することにより、その構造の層間に、抗菌力を有する金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入して、抗菌力を有する粘土金属錯体複合体抗菌剤を作製することを特徴とする陶磁器製品用抗菌剤の製造方法。
(2)金属多核水酸化物カチオンが、多核水酸化アルミニウム、多核水酸化ジルコニウム、又は多核水酸化チタニウムであることを特徴とする前記(1)記載の陶磁器製品用抗菌剤の製造方法。
(3)無機層状化合物が、スメクタイト、二硫化タンタルリン酸ジルコニウム人工雲母チタン酸カリウムから選択される1種である前記(1)又は(2)記載の陶磁器製品用抗菌剤の製造方法。
(4)前記(1)から(3)のいずれか1項に記載の方法で作製して成る陶磁器製品用抗菌剤であって、無機層状化合物を主原料とし、この無機層状化合物の層間に存在する交換性陽イオンと交換することにより、その構造の層間に、抗菌力を有する金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入して、抗菌力を有する粘土−金属錯体複合体としたことを特徴とする陶磁器製品用抗菌剤。

発明を実施するための最良の形態

0006

次に、本発明について更に詳細に説明する。本発明の抗菌剤は、無機層状化合物の層間に金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入することによって作製されるが、無機層状化合物は、数百nmオーダーの微粒子であるため、粉砕などの手段によって微粒子化する必要はない。また、無機層状化合物粒子は、厚みが数nmオーダーの扁平な粒子であるために、物体の表面に薄く均質に広がる性質をもっている。従って、陶磁器製品の釉薬層や上絵付け層に薄く広く均質に分散させることが可能となる。本発明では、無機層状化合物として、好適には、スメクタイト、二硫化タンタル、リン酸ジルコニウム、人工雲母、チタン酸カリウム、三酸化モリブデンタングステン酸カリウムカオリン鉱物ケニアイトマガディアイトカネマイトセピオライトパリゴルスカイトバーミキュライトなどが使用されるが、同効のものであれば同様に使用することが可能であり、これらに制限されない。

0007

また、これらの無機層状化合物の層間に導入する金属錯体として、好適には、銀、銅、亜鉛、アルミニウム、鉄、チタンなどの金属イオンを、適当な配位子、例えば、フェナントロリンジピリジルジメチルグリオキシムヒポキサンチンアデニン8−キノリノール、2−(4−チアゾリルベンズイミダゾールイミダゾール、1,2,3,−ベンズトリアゾールエチレンジアミンアスコルビン酸などを用いて錯体化したものが使用されるが、同効のものであれば同様に使用することが可能であり、金属イオン及び配位子は、これらに制限されない。更に、耐熱性を改善するために導入する金属多核水酸化物カチオンとして、好適には、多核水酸化アルミニウム、多核水酸化ジルコニウム、多核水酸化チタニウムなどが使用されるが、同効のものであれば同様に使用することが可能であり、これらに制限されない。

0008

無機層状化合物の層間に抗菌力を有する金属錯体等を導入する方法について、例として、粘土鉱物スメクタイト族を採り上げ、その層間保持性能結晶構造の観点から説明する。スメクタイトとはSiO4四面体シートがAlO4 (OH)2八面体シートサンドイッチ状に挟んだ、いわゆる2:1型といわれる結晶構造をもった粘土鉱物である。スメクタイト結晶の八面体シートのAlが一部2価のMgやFeで置換されることで、粘土層マイナス電荷を帯びている。このマイナス電荷を電気的に中和するために、その層間に層間カチオンと呼ばれる陽イオンが入っている。スメクタイトの場合、その層間カチオンは一般にはナトリウムイオンである。このナトリウムイオンは系外の有機あるいは無機の陽イオンと比較的容易に交換できる。したがって、スメクタイト層間に存在する交換性陽イオンと、適当な金属錯体イオンを交換することにより、スメクタイト−金属錯体複合体が合成される。その結果、導入された金属錯体イオンは分散媒中にあっても粘土層間内で安定な状態に保たれるため、分散媒中で金属イオンとしての溶出量を制御することができる。

0009

上記方法では無機層状化合物として粘土鉱物であるスメクタイトを例として用いたが、金属錯体を安定して保持できる、ジカルコゲン化合物である二硫化タンタル、リン酸ジルコニウム、人工雲母、チタン酸カリウム等の無機層状化合物も同様に利用することができる。更に、無機層状化合物−金属錯体の耐熱性を改善するために、金属多核水酸化物カチオン、例えば、多核水酸化物アルミニウムイオンや多核水酸化物ジルコニウムイオンをスメクタイト層間に導入し、その耐熱性を本来のものよりも高めることができる。なお、多核水酸化物アルミニウムイオンや多核水酸化物ジルコニウムイオンは、それぞれ塩基性塩化アルミニウムオキシ塩化ジルコニウムをその水溶液中で熟成して得られ、それぞれ〔Al13O4 (OH)24〕7+、〔Zr4(OH)8 〕2+となったものがスメクタイトの層間にとして取り込まれると考えられる。この場合、スメクタイトの陽イオン交換容量CEC)に限界があるために、金属錯体と金属多核水酸化物カチオンの化学等量的な合量を予め計算し、無機層状化合物の層間に導入する。

0010

既述のように、抗菌力を有する金属イオンとしては銀、銅、亜鉛等が使用されることが多いが、その中で銀イオンの抗菌力は特に優れており、抗菌剤として用いられることが最も多い。銀イオンを無機層状化合物の層間に導入するには、まず、銀イオンを適当な配位子を用いて錯体化する。このときに用いられる錯体には1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−(4−チアゾリル)ベンズイミダゾール(以下、TBZ)、イミダゾールなどが用いられるが、錯体の安定度定数が高く、無機層状化合物の層間に導入された際の安定性が充分であれば、いかなる配位子を用いることも可能である。

0011

無機層状化合物−金属錯体の調製に当たっては、まず、無機層状化合物のCECに対応した量の金属塩水溶液を調製し、これを予め調製した配位子の溶液(水又は有機溶媒) に添加し十分に撹拌して金属錯体溶液を得る。次に、この金属錯体溶液を、予め無機層状化合物を分散させた懸濁液に徐々に添加して撹拌する。金属錯体の溶液から無機層状化合物層間への移動は、混合懸濁液を必要に応じて加温することにより早められる。また、金属多核水酸化物カチオンについては、例えば、塩基性塩化物をその水溶液中で熟成して、多核水酸化物カチオンを水溶液中で形成し、これを無機層状化合物の懸濁液に添加し、反応させる。金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンが導入された無機層状化合物粒子は、その懸濁液の目視観察によって、明らかに状態の変化が認められることもあるが、そうでないこともあり、より確実にはX線回折により基底面間隔値を観測することによって確認がなされる。こうして得られた無機層状化合物−金属錯体複合体は、洗浄によって可溶性塩類を除いた後、デカンテーション遠心沈降操作によって濃縮して用いるか、凍結乾燥あるいは噴霧乾燥によって微粉化して保存した後、使用する。

0012

本発明では、数百nmオーダーの微小で扁平な形態を持つ無機層状化合物の層間に金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入し、金属イオンの溶出量を制御することで、添加量が少なくても十分な抗菌力を持続する抗菌剤を製造することができる。本発明の抗菌剤は、無機層状化合物の層間に金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入することによって作製されるが、無機層状化合物の層間に存在する交換性陽イオンと、適当な金属錯体イオンを交換することにより、無機層状化合物−金属錯体複合体が合成され、その結果、導入された金属錯体イオンは分散媒中にあっても粘土層間内で安定な状態に保たれるため、分散媒中で金属イオンとしての溶出量を制御することが可能となる。また、無機層状化合物の層間に金属錯体のみならず、金属多核水酸化物カチオンを導入することで、その耐熱性を高め、少ない抗菌性金属イオンでも充分な抗菌力を持たせることができ、抗菌性金属イオンの添加量を大に低減することができる。また、無機層状化合物は数百nmオーダーの微粒子であるため、粉砕などの手段によって微粒子化する必要はない。また、無機層状化合物粒子は、厚みが数nmオーダーの扁平な粒子であるために、物体の表面に薄く均質に広がる性質をもっている。したがって、陶磁器製品の釉薬層や上絵付け層に薄く広く均質に分散させることが可能となる。

0013

以下に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例により何ら限定されるものではない。
参考例1
(1)スメクタイト−Ag(TBZ)2複合体抗菌剤の合成:試料SA
硝酸銀0.781gを水10mlに溶解させ、これをTBZ1.852gをメチルアルコール50mlに溶解させた溶液に添加し、撹拌した。生成した白色のAg(TBZ)2錯体溶液を、予め4gのスメクタイト(市販のナトリウムモンモリロナイト) を水300mlに分散させたスメクタイト懸濁液に添加した後、蛇管冷却管を付した三角フラスコ中で80℃に保ちつつマグネチックスターラーで16時間撹拌した。ここで添加した硝酸銀は、用いたスメクタイトの層間CECに対応したものである。得られた淡黄色粒子の懸濁液を、純水を用いてデカンテーションによって、その電気伝導度が20μS以下になるまで洗浄した。得られた懸濁液を遠心沈降操作により濃縮し、その一部をスライドグラス上にとって乾燥後、X線回折装置により底面反射を観測したところ、スメクタイトの底面間隔は反応前の0.96nmから2.18nmに増加し、Ag(TBZ)2錯体がスメクタイト層間に導入され、スメクタイト−Ag(TBZ)2 錯体複合体が合成されたことが確認された。

0014

得られた試剤抗菌特性を大腸菌と黄色ブドウ状球菌試験菌株として、発育阻止帯のmm数で抗菌力を判断するいわゆるハロー法(JIS−Z−2911)を用いて検討した。この方法は、滅菌シャーレに細菌用寒天培地を約15ml分注固化させた後、供試細菌の菌液を含む寒天培地を15ml重層する。この培地上に量した試料を静置し37℃で24時間培養した後に試料周囲に観察される発育阻止帯の幅を計測する手法である。その結果、この複合体は両細菌に対して発育阻止帯幅2mmの明確な抗菌効果を示すことが明らかとなった。

0015

(2)テニオライトAg(TBZ)2複合体抗菌剤の合成
人工雲母であるLi−テニオライト1gを脱イオン水100ml中に分散させた。このテニオライトのCEC当量の硝酸銀0.0455gとCEC2倍量のTBZ0.1079gをそれぞれ脱イオン水とメタノール中に溶解した。この硝酸銀水溶液とTBZメタノール溶液混合撹拌してAg(TBZ)2錯体を得た。この錯体をテニオライト懸濁液に添加し、80℃で48時間撹拌した。交換反応終了後、複合体は脱イオン水で十分に洗浄し、凍結乾燥法により乾燥した。X線回折を用いた複合体の基底面間隔値は2.20nmであり、反応前のLi−テニオライトの基底面間隔値0.96nmよりも1.24nm拡大し、銀錯体層間挿入されたことが確認された。得られた試剤の抗菌特性を大腸菌と黄色ブドウ状球菌を試験菌株として、ハロー法を用いて検討したところ、両細菌に対してそれぞれ2mm及び3mmの明確な抗菌効果を示した。

0016

実施例1
(スメクタイト−Ag(TBZ)2 −〔Al13O4 (OH)24〕7+複合体抗菌剤の合成)
表1記載の試料毎に所定量の塩基性塩化アルミニウム(〔Al13O4 (OH)24〕7+)を純水100mlに加え、60℃で2時間十分に撹拌して溶解させた。一方、4gのスメクタイト(市販のナトリウムモンモリロナイト) を水300mlに分散させた後、上記〔Al13O4 (OH)24〕7+水溶液を添加し、蛇管冷却管を付した三角フラスコ中で80℃に保ちつつマグネチックスターラーで16時間撹拌した。脱イオン水による水洗後、これとは別に表1記載の試料毎に所定量の硝酸銀を水10mlに溶解させ、これを同じく表1記載の試料毎に所定量のTBZをメチルアルコール50mlに溶解させ、これらを混合撹拌した。以下、参考例1と同様に調製して得られた複合体の一部をスライドグラス上に展開して乾燥後、X線回折装置により底面反射を観測した。その結果、スメクタイトの底面間隔は2.12nm(Al).1.39nm(A3)を示した。このことからAg(TBZ)2錯体及び〔Al13O4 (OH)24〕7+はスメクタイト層間に導入されたものと考えられる。スメクタイトにPACのみを導入し、Ag(TBZ)2 錯体を加えなかった試料A4では底面間隔は2.18nmであった。

0017

0018

実施例2
(スメクタイト−Ag(TBZ)2 −〔Zr4 (OH)8 〕2+複合体抗菌剤の合成)
表2記載の試料毎に所定量のオキシ塩化ジルコニウム(ZrOCl2 ・8H2O)を純水100mlに加え、60℃で2時間よく撹拌して溶解させた。溶解後のZrOCl2 ・8H2 Oは水溶液中で多核水酸化物カチオンである〔Zr4 (OH)8 〕2+を形成する。これを4gのスメクタイト(市販のナトリウムモンモリロナイト) を水300mlに分散させたスメクタイト懸濁液に添加し、蛇管冷却管を付した三角フラスコ中で80℃に保ちつつマグネチックスターラーで16時間撹拌した。反応終了後、脱イオン水により洗浄した後、別に表1記載の試料毎に所定量の硝酸銀を水10mlに溶解させ、これを同じく表1記載の試料毎に所定量のTBZをメチルアルコール50mlに溶解させた溶液に添加し撹拌した。以下、参考例1と同様に調整して得られた複合体の一部をスライドグラス上に展開し乾燥後、X線回折装置により底面反射を観測した。その結果、スメクタイトの底面間隔は1.47nm(Z1).2.09nm(Z3)を示した。このことから、Ag(TBZ)2錯体及び〔Zr4 (OH)8 〕2+はスメクタイト層間に導入されたものと考えられる。スメクタイトに〔Zr4 (OH)8 〕2+のみを導入し、Ag(TBZ)2 錯体を加えなかった試料Z4では底面間隔は1.45nmであった。

0019

0020

実施例3
(スメクタイト−Ag(TBZ)2 −(〔Al13O4 (OH)24〕7+又は〔Zr4 (OH)8 〕2+)複合体抗菌剤の銀含有率最小発育阻止濃度)
実施例1、2で作製したスメクタイト−Ag(TBZ)2 複合体−(〔Al13O4 (OH)24〕7+又は〔Zr4 (OH)8 〕2+) 系抗菌剤試料分析値を表3に示す。Ag(TBZ)2 をスメクタイトのCEC相当分添加した試料SAでは銀含有率は4.4wt%であったが、〔Al13O4 (OH)24〕7+又は〔Zr4(OH)8 〕2+を導入したA1〜Z3の試料では、その導入に伴って銀含有率が減少していることがわかる。また、各試料の抗菌製品技術協議会準拠による最小発育阻止濃度(MIC)を示した。MICとは薬剤の細菌に対する抗菌活性の単位を示したものであり、培地への添加薬剤濃度が低ければそれだけ高い抗菌活性を薬剤が有することを示す指標である。800ppm以下の数値抗菌性有無の規格数値である。いずれの試剤も共試菌の大腸菌に対して400〜200ppmと規格数値を上回る優れた抗菌性を有することが明らかとなった。現在市販されている抗菌剤(リン酸ジルコニウム系及びアパタイト系) の銀含有率が10wt%程度であることを考えると、本試剤はより低い銀含有率で確実に細菌を死滅させていることが判る。

0021

0022

実施例4
(スメクタイト−Ag(TBZ)2 −(〔Al13O4 (OH)24〕7+又は〔Zr4 (OH)8 〕2+)複合体抗菌剤の陶磁器釉への添加効果)
上記参考例及び実施例で得られたSA、A1、A2、A3、Z1、Z2及びZ3をいずれも代表的な透明釉(ゼーゲル式;0.16Na2 O・0.15K2 O・0.67CaO・0.55Al2 O3 ・4.5SiO2 )に0.1、0.2、0.5及び10wt%添加して、陶磁器素焼きテストピース施釉し、1300℃で1時間焼成した後、フィルム密着法(抗菌製品技術協議会) によって抗菌力を評価した。その結果を表4に示す。抗菌力試験法は500倍に希釈した普通ブイヨン液を調整し、テストピース上にブイヨン液ならびに菌液接種後にフィルムで被覆し、37℃で24時間培養した。生菌数測定は標準寒天培養法により行った。ここで、対数増減値差は抗菌剤添加試料と無添加試料における24時間培養後の生菌数対数値の差を意味し、対数増減値差が2.0を超えたときに抗菌力陽性としている。その結果、添加率10wt%の試料では大腸菌群数(大腸菌はIFO3972)の対数増減値差はいずれも2.0を大幅に越えており、充分な抗菌力を有することが明らかとなった。また、試料SA、A3、Z1、Z3は添加率1.0wt%で増減値差2.0を超えており、抗菌力陽性を示した。特にA3、Z1はわずか0.2wt%の添加でも増減値差が2.0を超え、抗菌力陽性を示した。これらの結果は、既往の市販抗菌剤がいずれも銀含有率がほぼ10wt%であり、添加量1wt%以上で陽性を示していることを考えると、特に優れた結果であり、銀錯体がスメクタイト層間に数nmオーダーで均一に分散しているために、釉薬中においても銀の分散が良好であったためと考えられる。

0023

0024

実施例5
(スメクタイト−Ag(TBZ)2 −(〔Al13O4 (OH)24〕7+又は〔Zr(OH)8 〕2+)複合体抗菌剤の陶磁器上絵具への添加効果)
上記参考例及び実施例で得られたSA、A1、A2、A3、Z1、Z2及びZ3を代表的な上絵具(透明) にいずれも1.0wt%添加して、陶磁器施釉焼成品の釉表面に直接塗布し800℃で1時間焼成した後、実施例3と同様に抗菌力を評価した。その結果、すべての試料で増減値差2.0を超え、抗菌力は陽性であった。このように、本発明の陶磁器製品用抗菌剤は、上絵具に添加して800℃で焼成しても充分な抗菌力を示した。

発明の効果

0025

本発明の陶磁器製品用抗菌剤は、無機層状化合物の層間に金属錯体及び金属多核水酸化物カチオンを導入することによって合成される。この無機層状化合物−金属錯体は溶液中での金属イオンの溶出や還元などが起こりにくいため、釉薬懸濁液への添加工程における抗菌力低下を抑止できる。また、無機層状化合物の層間では金属錯体がnmオーダーで均一に分散しているため、陶磁器製品表面へ使用された後も分散性がよく、その結果、比較的少ない金属含有率であるにも関わらず、抗菌力は既往品と比べて高い。また、無機層状化合物の層間に金属錯体のみならず、多核アルミニウムイオンや多核ジルコニウムイオンを導入することで、その耐熱性を高め、更に、少ない抗菌性金属イオンでも充分な抗菌力を持たせることが可能である。本発明の無機層状化合物を使用して調製された耐熱性に優れた抗菌剤は、陶磁器用のみならず、浄水用フィルター、各種吸着剤などの用途に使用可能であり、樹脂、製紙、建築業界などの様々な分野での応用が可能である。

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  • 日本碍子株式会社の「 ハニカム構造体」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】耐熱衝撃性に優れたハニカム構造体を提供する。【解決手段】ハニカムセグメント接合体10、及び外周壁13を備え、ハニカムセグメント接合体10は、複数個の柱状のハニカムセグメント4と、複数個のハニカ... 詳細

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