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技術 リゾリン脂質の測定方法

出願人 アルフレッサファーマ株式会社旭化成ファーマ株式会社
発明者 岸本達也高山正治水野耕治今村茂行
出願日 2000年7月7日 (20年4ヶ月経過) 出願番号 2000-207054
公開日 2002年1月22日 (18年10ヶ月経過) 公開番号 2002-017398
状態 特許登録済
技術分野 生物学的材料の調査,分析 酵素、微生物を含む測定、試験
主要キーワード コリン酸化酵素 検査紙 グリセロホスホリルコリン モノグリセリドリパーゼ メチル基転移反応 酸化変性 一レーン セーラ
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課題

試料中のリゾリン脂質を、特異的に、および簡便かつ正確に測定する方法およびそのためのキットを提供すること。

解決手段

リゾリン脂質に、リゾリン脂質を分解するがジアシル型リン脂質を分解しないリゾホスホリパーゼ活性を有する酵素を作用させて、生成物を測定することによりリゾリン脂質を測定する。リゾホスファチジルコリンの場合、グリセロール−3−ホスホリルコリン(GPC)または遊離脂肪酸を生じさせ、ついで生じたGPCまたは遊離脂肪酸を特異的に測定する。リゾホスファチジン酸LPA)の場合、グリセロール−3−リン酸(G−3−P)または遊離脂肪酸を生じさせ、ついで、生じたG−3−Pまたは遊離脂肪酸を特異的に測定する。これらの方法により、LPCまたはLPAのみを特異的に、簡便かつ正確に測定する方法およびそのためのキットが提供される。

概要

背景

LPCはコリンを含有するリゾリン脂質であり、虚血に陥った心筋組織中に蓄積すること(橋爪裕子他、日薬理誌 114:287-293,(1999))、粥状動脈硬化の発生に重要な低密度リポタンパク質酸化変性に伴い、LPCが増加すること(久米典昭、Molecular Medicine 37(1):22-28,(2000))などが知られている。また、LPCは血中においても、多発性骨髄腫患者卵巣癌患者高値を示すこと(Sasagawa T.ら、Lipids34:17-21,(1998)、 Okita M.ら、Int. J. Cancer 71:31-34,(1997))などが報告されており、新たな診断マーカーとしての可能性が期待されている。

一方、LPAは脂肪酸を一つ有する最も単純なグリセロリン脂質である。LPAは、生体内には極微量しか存在しないことから、従来はリン脂質生合成中間代謝産物として、あるいは細胞膜構成成分としての役割しか持たないと考えられていた。しかしながら、近年、LPAが様々な生理活性を有することが示され、さらにはLPA特異的受容体発見されたことから、生理活性脂質としての役割が注目されている。

これまでに報告されたLPAの代表的な生理活性としては、血小板凝集作用、細胞増殖促進作用ストレスファイバーの形成、癌細胞浸潤促進などが挙げられる。

さらに、LPCと同様に、卵巣癌患者においては健常者に比べて血中LPAが有意に高いこと(田美佐子、岡山県立大学保健福祉学部紀要1(1): 29-35, (1994)、Xu Y.ら、JAMA. 280(8): 719-723, (1998)、および米国特許第5,994,141号)、ならびに多発性骨髄腫患者においても健常者に比べて血清中のLPAが高いこと(笹川貴代他、栄養−評価と治療12(4): 303-306, (1995))が報告されており、新たな腫瘍診断マーカーとしての可能性も期待されている。

このような腫瘍診断マーカーとしての可能性も期待されているLPCまたはLPAの測定法は、かなり煩雑であり、汎用的ではない。一般的なリゾリン脂質の測定法として、例えば、Tokumura A.ら、Am. J. Physiol. 267: C204-210, (1994)が知られているが、この方法は、検体から脂質成分を抽出し、薄層クロマトグラフィーによって他の脂質成分と各リゾリン脂質とを分離、抽出した後、メチル基転移反応を経て得られる脂肪酸メチルエステルを、ガスクロマトグラフィーによって分析する方法であり、実用性欠けている。

ところで、国際公開特許公報 WO 00/23612には、リゾリン脂質に特異性を有する酵素としてリゾホスホリパーゼ(酵素名リゾホスホリパーゼ(略号LYPL):旭化成工業株式会社製)を用いる方法が記載されている。しかし、この方法においても、試料からいったん脂質を抽出し、さらにリゾリン脂質を濃縮して、得られたリゾリン脂質を加水分解している。これは、このLYPLが、厳密にはリゾリン脂質に特異的でないことを示唆している。実際に、本発明者らが行ったLPC測定では、LYPLはジアシル型リン脂質であるホスファチジルコリンを一部分解し、測定することが示された(後記実施例1を参照のこと)。さらに、酵素的サイクリング法を組合せてLPCを測定する方法も知られている(美崎英生他、第126回日本臨床化学会近畿支部例会32-50、(1986))が、用いているリゾホスホリパーゼ(LYP:東洋醸造株式会社(現旭化成株式会社)製)は、上記LYPLと同一の酵素であり、上記と同じ問題を含んでいる。

このように、未だリゾリン脂質に特異的な酵素がなく、依然としてリゾリン脂質の測定は煩雑な方法によらざるを得ない。

概要

試料中のリゾリン脂質を、特異的に、および簡便かつ正確に測定する方法およびそのためのキットを提供すること。

リゾリン脂質に、リゾリン脂質を分解するがジアシル型リン脂質を分解しないリゾホスホリパーゼ活性を有する酵素を作用させて、生成物を測定することによりリゾリン脂質を測定する。リゾホスファチジルコリンの場合、グリセロール−3−ホスホリルコリン(GPC)または遊離脂肪酸を生じさせ、ついで生じたGPCまたは遊離脂肪酸を特異的に測定する。リゾホスファチジン酸(LPA)の場合、グリセロール−3−リン酸(G−3−P)または遊離脂肪酸を生じさせ、ついで、生じたG−3−Pまたは遊離脂肪酸を特異的に測定する。これらの方法により、LPCまたはLPAのみを特異的に、簡便かつ正確に測定する方法およびそのためのキットが提供される。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

試料中のリゾリン脂質を測定する方法であって、該方法は、(a)リゾリン脂質を分解するがジアシル型リン脂質を分解しないリゾホスホリパーゼを含有する試薬を試料に作用させる工程、および(b)(a)の反応生成物を測定する工程、を含む、方法。

請求項2

予め試料から脂質を抽出する工程を含まない、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記リゾホスホリパーゼが、バシラス属微生物由来するリパーゼである、請求項1または2に記載の方法。

請求項4

前記リゾリン脂質がリゾホスファチジルコリンであり、測定する反応生成物がグリセロール−3−ホスホリルコリンまたは遊離脂肪酸である、請求項1から3のいずれかの項に記載の方法。

請求項5

前記グリセロール−3−ホスホリルコリンが(i)グリセロホスホリルコリンホスホジエステラーゼを作用させる工程、(ii)コリン酸化酵素を作用させる工程、および(iii)生じた過酸化水素を測定する工程、を含む工程で測定される、請求項4に記載の方法。

請求項6

前記グリセロール−3−ホスホリルコリンが(i)グリセロホスホリルコリンホスホジエステラーゼを作用させる工程、(ii)グリセロール−3−リン酸酸化酵素を作用させる工程、および(iii)生じた過酸化水素を測定する工程、を含む工程で測定される、請求項4に記載の方法。

請求項7

前記リゾリン脂質がリゾホスファチジン酸であり、測定する(a)の反応生成物がグリセロール3−リン酸または遊離脂肪酸である、請求項1から3のいずれかの項に記載の方法。

請求項8

前記グリセロール−3−リン酸が、(i)グリセロール−3−リン酸にグリセロール−3−リン酸酸化酵素を作用させる工程、および(ii)生じた過酸化水素を測定する工程、を含む工程で測定される、請求項7に記載の方法。

請求項9

前記グリセロール−3−リン酸が、(i)グリセロール−3−リン酸にグリセロール−3−リン酸脱水素酵素を、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドNAD+)または酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)とともに作用させる工程、および(ii)生成する還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)または還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)の量を測定する工程、を含む工程で測定される、請求項7に記載の方法。

請求項10

試料中のリゾリン脂質を特異的に測定するためのキットであって、(a)リゾリン脂質を分解するがジアシル型リン脂質を分解しないリゾホスホリパーゼを含有する試薬、および(b)(a)の反応生成物を測定するための試薬、を含む、キット。

請求項11

前記リゾホスホリパーゼが、バシラス属の微生物に由来するリパーゼである、請求項10に記載のキット。

請求項12

前記リゾリン脂質がリゾホスファチジルコリンであり、試薬(b)が、(i)グリセロホスホリルコリンホスホジエステラーゼ、(ii)コリン酸化酵素、および(iii)生じた過酸化水素を測定するための試薬、を含む、請求項10または11に記載のキット。

請求項13

前記リゾリン脂質がリゾホスファチジルコリンであり、試薬(b)が、(i)グリセロホスホリルコリンホスホジエステラーゼ、(ii)グリセロール−3−リン酸酸化酵素、および、(iii)生じた過酸化水素を測定するための試薬、を含む、請求項10または11に記載のキット。

請求項14

前記リゾリン脂質がリゾホスファチジン酸であり、試薬(b)が、(i)グリセロール−3−リン酸酸化酵素、および(ii)生じた過酸化水素を測定するための試薬、を含む、請求項10または11に記載のキット。

請求項15

前記試薬(b)が、さらにグリセロール−3−リン酸脱水素酵素、および還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を含む、請求項14に記載のキット。

請求項16

前記リゾリン脂質がリゾホスファチジン酸であり、前記試薬(b)が、(i)グリセロール−3−リン酸脱水素酵素、および(ii)酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)または酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)、を含む、請求項10または11に記載のキット。

技術分野

0001

本発明は、主として臨床検査および生物学的基礎研究の分野で用いられる、リゾリン脂質、特に、リゾホスファチジルコリン(以下、LPCということがある)またはリゾホスファチジン酸(以下、LPAということがある)の特異的な測定方法およびそのためのキットに関する。

背景技術

0002

LPCはコリンを含有するリゾリン脂質であり、虚血に陥った心筋組織中に蓄積すること(橋爪裕子他、日薬理誌 114:287-293,(1999))、粥状動脈硬化の発生に重要な低密度リポタンパク質酸化変性に伴い、LPCが増加すること(久米典昭、Molecular Medicine 37(1):22-28,(2000))などが知られている。また、LPCは血中においても、多発性骨髄腫患者卵巣癌患者高値を示すこと(Sasagawa T.ら、Lipids34:17-21,(1998)、 Okita M.ら、Int. J. Cancer 71:31-34,(1997))などが報告されており、新たな診断マーカーとしての可能性が期待されている。

0003

一方、LPAは脂肪酸を一つ有する最も単純なグリセロリン脂質である。LPAは、生体内には極微量しか存在しないことから、従来はリン脂質生合成中間代謝産物として、あるいは細胞膜構成成分としての役割しか持たないと考えられていた。しかしながら、近年、LPAが様々な生理活性を有することが示され、さらにはLPA特異的受容体発見されたことから、生理活性脂質としての役割が注目されている。

0004

これまでに報告されたLPAの代表的な生理活性としては、血小板凝集作用、細胞増殖促進作用ストレスファイバーの形成、癌細胞浸潤促進などが挙げられる。

0005

さらに、LPCと同様に、卵巣癌患者においては健常者に比べて血中LPAが有意に高いこと(田美佐子、岡山県立大学保健福祉学部紀要1(1): 29-35, (1994)、Xu Y.ら、JAMA. 280(8): 719-723, (1998)、および米国特許第5,994,141号)、ならびに多発性骨髄腫患者においても健常者に比べて血清中のLPAが高いこと(笹川貴代他、栄養−評価と治療12(4): 303-306, (1995))が報告されており、新たな腫瘍診断マーカーとしての可能性も期待されている。

0006

このような腫瘍診断マーカーとしての可能性も期待されているLPCまたはLPAの測定法は、かなり煩雑であり、汎用的ではない。一般的なリゾリン脂質の測定法として、例えば、Tokumura A.ら、Am. J. Physiol. 267: C204-210, (1994)が知られているが、この方法は、検体から脂質成分を抽出し、薄層クロマトグラフィーによって他の脂質成分と各リゾリン脂質とを分離、抽出した後、メチル基転移反応を経て得られる脂肪酸メチルエステルを、ガスクロマトグラフィーによって分析する方法であり、実用性欠けている。

0007

ところで、国際公開特許公報 WO 00/23612には、リゾリン脂質に特異性を有する酵素としてリゾホスホリパーゼ(酵素名リゾホスホリパーゼ(略号LYPL):旭化成工業株式会社製)を用いる方法が記載されている。しかし、この方法においても、試料からいったん脂質を抽出し、さらにリゾリン脂質を濃縮して、得られたリゾリン脂質を加水分解している。これは、このLYPLが、厳密にはリゾリン脂質に特異的でないことを示唆している。実際に、本発明者らが行ったLPC測定では、LYPLはジアシル型リン脂質であるホスファチジルコリンを一部分解し、測定することが示された(後記実施例1を参照のこと)。さらに、酵素的サイクリング法を組合せてLPCを測定する方法も知られている(美崎英生他、第126回日本臨床化学会近畿支部例会32-50、(1986))が、用いているリゾホスホリパーゼ(LYP:東洋醸造株式会社(現旭化成株式会社)製)は、上記LYPLと同一の酵素であり、上記と同じ問題を含んでいる。

0008

このように、未だリゾリン脂質に特異的な酵素がなく、依然としてリゾリン脂質の測定は煩雑な方法によらざるを得ない。

発明が解決しようとする課題

0009

したがって、試料の前処理を必要とせず、試料中のリゾリン脂質(特に、LPCおよびLPA)を特異的に、および簡便かつ正確に測定する方法およびそのためのキットが望まれている。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、リゾリン脂質を分解するがジアシル型のリン脂質をほとんど分解しない酵素を見出し、リゾリン脂質(特に、LPA、LPC)を特異的にかつ簡便に測定する方法およびそのためのキットを開発し、本発明を完成するに至った。

0011

本発明は、試料中のリゾリン脂質を測定する方法であって、(a)リゾリン脂質を分解するがジアシル型リン脂質を分解しないリゾホスホリパーゼを含有する試薬を試料に作用させる工程、および(b)(a)の反応生成物を測定する工程、を含む方法に関する。

0012

好ましい実施態様においては、前記方法は予め試料から脂質を抽出する工程を含まない。

0013

好ましい実施態様においては、前記リゾホスホリパーゼがバシラス属微生物由来するリパーゼである。

0014

好ましい実施態様においては、測定の対象はリゾホスファチジルコリンであり、このリゾホスファチジルコリンの分解によって生じる反応生成物であるグリセロール−3−ホスホリルコリンまたは遊離脂肪酸を測定することにより測定される。

0015

好ましい実施態様においては、前記グリセロール−3−ホスホリルコリンが(i)グリセロホスホリルコリンホスホジエステラーゼを作用させる工程、(ii)コリン酸化酵素を作用させる工程、および(iii)生じた過酸化水素を測定する工程、を含む工程で測定される。

0016

別の好ましい実施態様においては、前記グリセロール−3−ホスホリルコリンが(i)グリセロホスホリルコリンホスホジエステラーゼを作用させる工程、(ii)グリセロール−3−リン酸酸化酵素を作用させる工程、および(iii)生じた過酸化水素を測定する工程、を含む工程で測定される。

0017

好ましい実施態様においては、前記リゾリン脂質がリゾホスファチジン酸であり、測定する(a)の反応生成物がグリセロール3−リン酸または遊離脂肪酸である。

0018

好ましい実施態様においては、前記グリセロール−3−リン酸が、(i)グリセロール−3−リン酸にグリセロール−3−リン酸酸化酵素を作用させる工程、および(ii)生じた過酸化水素を測定する工程、を含む工程で測定される。

0019

別の好ましい実施態様においては、前記グリセロール−3−リン酸が、(i)グリセロール−3−リン酸にグリセロール−3−リン酸脱水素酵素を、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドNAD+)または酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)とともに作用させる工程、および(ii)生成する還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)または還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)の量を測定する工程、を含む工程で測定される。

0020

本発明は、また、試料中のリゾリン脂質を特異的に測定するためのキットであって、(a)リゾリン脂質を分解するがジアシル型リン脂質を分解しないリゾホスホリパーゼを含有する試薬、および(b)(a)の反応生成物を測定するための試薬、を含む、キットに関する。

0021

好ましい実施態様においては、前記リゾホスホリパーゼが、バシラス属の微生物に由来するリパーゼである。

0022

好ましい実施態様においては、本発明のキットはリゾホスファチジルコリンを測定するためのキットであり、試薬(b)が、(i)グリセロホスホリルコリンホスホジエステラーゼ、(ii)コリン酸化酵素、および(iii)生じた過酸化水素を測定するための試薬、を含む。

0023

好ましい実施態様においては、本発明のキットはリゾホスファチジルコリンを測定するためのキットであり、前記試薬(b)が(i)グリセロホスホリルコリンホスホジエステラーゼ、(ii)グリセロール−3−リン酸酸化酵素、および、(iii)生じた過酸化水素を測定するための試薬、を含む。

0024

好ましい実施態様においては、本発明のキットはリゾホスファチジン酸を測定するためのキットであり、前記試薬(b)が、(i)グリセロール−3−リン酸酸化酵素、および(ii)生じた過酸化水素を測定するための試薬、を含む。

0025

さらに好ましい実施態様においては、本発明のキットはリゾホスファチジン酸を測定するためのキットであり、前記試薬(b)が、さらにグリセロール−3−リン酸脱水素酵素、および還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)を含む。

0026

また、別の実施態様においては、本発明のキットはリゾホスファチジン酸を測定するためのキットであり、前記試薬(b)が、(i)グリセロール−3−リン酸脱水素酵素、および(ii)酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD+)または酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)、を含む。

発明を実施するための最良の形態

0027

本発明におけるリゾリン脂質の測定法の基本原理は、測定対象物質であるリゾリン脂質に、リゾホスホリパーゼ活性を有する酵素を作用させ、生じた反応生成物を測定することである。

0028

リゾリン脂質がリゾホスファチジルコリン(LPC)である場合、その測定法の基本原理は、測定対象物質であるLPCに、リゾリン脂質を分解するがジアシル型リン脂質を分解しないリゾホスホリパーゼ(以下、本発明のリゾホスホリパーゼということがある)を作用させ、生じたグリセロール−3−ホスホリルコリン(以下、GPCということがある)に、さらにグリセロホスホリルコリンホスホジエステラーゼ(以下、GPCPということがある)を作用させて、生じたコリンまたはグリセロール−3−リン酸(以下、G−3−Pということがある)を、それらの酸化酵素あるいは脱水素酵素を用いて測定することである。

0029

また、リゾリン脂質がリゾホスファチジン酸(LPA)である場合、その測定原理は、測定対象物質であるLPAに、本発明のリゾホスホリパーゼを作用させ、生じたG−3−Pまたは遊離脂肪酸を、それらに特異的な酵素を用いて測定することである。

0030

本明細書において、「リゾホスホリパーゼ」とは、リゾリン脂質を分解するがジアシル型リン脂質を分解しない酵素をいい、「リゾホスホリパーゼを含有する試薬」は、リゾホスホリパーゼを含む組成物をいう。例えば、リゾホスホリパーゼ活性を有する酵素と緩衝液補酵素界面活性剤、あるいは酵素の安定化剤または活性化剤などを1または2以上組合せて含む組成物をいう。また、「リゾホスホリパーゼを含有する試薬」は、リゾホスホリパーゼのみを含む場合もある。

0031

リゾホスホリパーゼにより生じたGPCを測定することによりLPCを測定する場合、リゾホスホリパーゼは、必ずしもLPCにのみ特異的である必要はない。すなわち、少なくともLPCを分解してGPCを生じることができれば、他のリゾリン脂質に対して活性を有していてもよい。何故ならば、生じたGPCに、さらにGPCPを作用させ、生じたコリンに特異的な酸化酵素を用いて測定するのであれば、コリンを含有していない他のリゾリン脂質は測定されないからである。

0032

一方、リゾホスホリパーゼがLPCにのみ特異的な酵素であるか、GPCPがGPCにのみ特異的な酵素であれば、G−3−Pをその酸化酵素または脱水素酵素を用いて測定することにより、LPCを測定することができる。

0033

リゾホスホリパーゼとGPCPおよびコリン酸化酵素とを組合せて用いる場合、LPCおよびLPAの反応は、図1に示す通りである。

0034

また、リゾホスホリパーゼにより生じたG−3−Pを測定することによりLPA量を測定する場合も、リゾホスホリパーゼは、必ずしもLPAにのみ特異的である必要はない。すなわち、少なくともLPAを分解してG−3−Pを生じることができれば、他のリゾリン脂質に対して活性を有していてもよい。何故ならば、生じたG−3−Pに特異的な酸化酵素または脱水素酵素を用いて測定することにより、G−3−P以外のリゾリン脂質分解産物が測定されないからである。

0035

さらに具体的に説明すると、本発明に用いられるリゾホスホリパーゼは、LPAのみでなく、LPCに対しても作用するが、LPAの測定に際して問題とならない。なぜなら、試料中のLPCは分解されて、GPCを生じるが、次いで作用させるグリセロール−3−リン酸酸化酵素(以下、GPOということがある)またはグリセロール−3−リン酸脱水素酵素(以下、G3PDHということがある)がG−3−P特異的であれば、GPCに作用しないため、LPCは測定されないからである。リゾホスホリパーゼとGPOとを組合せて用いる場合、LPAおよびLPCの反応は、図2に示す通りである。

0036

本発明に用いられるリゾホスホリパーゼは、リゾリン脂質を分解するがジアシル型リン脂質を分解しない酵素であれば、特に制限がなく用いられる。好ましい酵素としては、バシラス属の微生物に由来し、本来はモノグリセリドリパーゼとして、旭化成工業株式会社から市販されている酵素名モノグリセリドリパーゼ(略号MGLPL(MGLPということもある))が使用される。

0037

ただし、生じた遊離脂肪酸を測定する場合には、LPAまたはLPCに対して極めて高い特異性を有するものを用いなければならない。なぜなら、特異性が低ければ、血液などのように多種類のリゾリン脂質を含有している試料を測定する場合に、測定対象以外の他のリゾリン脂質をも検出するからである。このような測定法に用いられるLPAに対して特異性の高いリゾホスホリパーゼ活性を有する酵素として、例えば、ラット脳由来の酵素(Fiona J. ThompsonおよびMike A.Clark, Biochem.J.300:457-461, (1994))が挙げられる。

0038

G−3−Pの測定法としては、G−3−Pに特異的なGPOを用いて生じた過酸化水素を測定する方法、あるいはG−3−Pに特異的なG3PDHを用いてNAD+またはNADP+から生成するNADHまたはNADPHの量を測定する方法(金井正光編著臨床検査法提要改訂30版(平成5年発行)560頁)などが挙げられるが、G−3−Pを正確に測定できる方法であればどのような方法でもよい。

0039

GPOとしては、例えば、ストレプトコッカス属由来、アエロコッカス属由来、ペディオコッカス属由来の酵素が挙げられるが、G−3−Pに特異的なものであれば、本発明に用いられる。

0040

G3PDHとしては、例えば、ウサギ筋肉由来のものが挙げられるが、G−3−Pに特異的なものであれば、本発明に用いられる。

0041

また、生じた遊離脂肪酸の測定方法としては、血清中遊離脂肪酸の酵素学的測定法(Shimizu S.ら、Anal. Biochem. 98 341-345, 1979)などが知られているが、遊離脂肪酸を正確に測定できる方法であればどのような方法でもよい。例えば、アシルCoA合成酵素、ならびにアシルCoA酸化酵素またはアシルCoA脱水素酵素を使用して、生じた過酸化水素の量あるいはNAD+またはNADP+から生成するNADHまたはNADPHの量を測定して、遊離脂肪酸量を測定することができる。

0042

さらに、これらの反応によって生じた過酸化水素、NADHまたはNADPHを、既知高感度測定技術と組み合わせて測定することも可能である。既知の高感度測定技術としては、例えば、酸化酵素によって生じた過酸化水素を蛍光反応または発光反応を用いて測定する方法、酵素的サイクリング反応によって過酸化水素を増幅して測定する方法(美崎英生、検査と技術 27(8): 973-980, (1999)、および登録第1594750号公報)、既存のトリンダー試薬に優るモル吸光係数を有するような高感度発色剤を用いる方法(特開平5-229993号および青山典、臨床検査、14(9):1014-1019、(1997))などが知られている。

0043

測定の対象となる試料は、何ら限定されるものではなく、LPAまたはLPC産生細胞培養液のような基礎研究における試料でもよいし、体液成分のような臨床検査における試料でもよい。体液成分としては、例えば、全血液、血清血漿、尿、唾液涙液腹水髄液羊水膣分泌液などが挙げられる。

0044

本発明のリゾリン脂質の測定キットは、リゾリン脂質を分解するがジアシル型リン脂質を分解しないリゾホスホリパーゼ、および反応生成物を測定するための試薬を含む。

0045

本明細書において、「反応生成物を測定するための試薬」とは、リゾホスホリパーゼを作用させて生じるG−3−P、GPC、遊離脂肪酸などを、上記のように直接または間接的に測定する方法に使用する成分単体またはこれを含む組成物をいう。

0046

本明細書において、「生じた過酸化水素を測定するための試薬」とは、酸化酵素の作用によって生じた過酸化水素を、上記のように直接または間接的に測定する方法に使用する成分単体またはこれを含む組成物をいう。この成分としては、発色剤が挙げられ、例えば、トリンダー試薬であるN−エチル−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−4−メチルアニリンカップラーである4−アミノアンチピリンとの組合せ(青山典仁ら、前出を参照のこと)が挙げられる。

0047

通常、本発明のキットは、主反応酵素を含む各物質が適切な濃度となるように処方された試薬キットとして提供される。試薬を含む容器としては、ガラスプラスチックなどで形成されたバイアルアンプルプレートマイクロプレートなどが挙げられるが、含まれる試薬に影響を及ぼさないものであれば、材質、形態は特に限定されない。その際の試薬形態は、乾燥粉末状、液状など特に制限されるものではなく、酵素の活性化剤、安定化剤、防腐剤などが配合されていてもよい。

0048

また、本発明のキットは、定量的測定はもちろん、定性的測定にも用いられる。定性的測定の形態に適したものとしては、例えば、マイクロプレート、検査紙などの形態と、アンプルまたはバイアルとの組合せもあり得る。

0049

また、試薬キットは、第一反応試薬と第二反応試薬との組み合わせのように、反応液中への添加時期が異なる二種類以上の試薬を適宜組み合わせたものでもよいし、一試薬系でも構わない。1つの容器に収納され、反応時に混合されるようなキットの形態も好ましい。

0050

さらに、測定値に影響を与えるような物質が試料中に含まれる場合、その影響を除去することが、より正確にリゾホスホリパーゼ活性を測定するために好ましい。このような方法として、例えば、試料中のLPAを、生じるG−3−Pの量によって測定する場合、試料中にもともと存在するG−3−Pは測定値に影響を与えるので、予め、G−3−PをGPOなどと反応させて除去しておく方法、あるいは、コントロールとしてリゾホスホリパーゼ活性を有する酵素を加えないでG−3−P量を測定し、リゾホスホリパーゼ活性を有する酵素を加えて測定した系から、その測定値を差し引いて、真の活性を求める方法が挙げられる。

0051

以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。

0052

(実施例1:リゾホスホリパーゼの特異性の比較)リゾホスホリパーゼとして、ビブリオ属微生物由来のLYPL(旭化成工業株式会社製)およびバシラス属微生物由来のMGLPL(旭化成工業株式会社製)を用いた。

0053

まず、以下のLPC測定用試薬を調製した。
試薬A (pH8.0)
トリス 100mmol/L
トリトンX-100 0.01%
塩化カルシウム1mmol/L
N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン5mmol/L
ペルオキシダーゼ西洋ワサビ由来) 20U/mL
グリセロホスホリルコリンホスホジエステラーゼ(グリオクラジウム属由来) 1U/mL
コリンオキシダーゼアースロバクター由来) 10U/mL
試薬B (pH8.0)
トリス 100mmol/L
トリトンX-100 0.01%
4-アミノアンチピリン10mmol/L
リゾホスホリパーゼ(MGLPL) 50U/mL
試薬C (pH8.0)
トリス 100mmol/L
トリトンX-100 0.01%
4-アミノアンチピリン 10mmol/L
リゾホスホリパーゼ(LYPL) 10U/mL

0054

1−オレオイルLPC、1−オレオイルLPA、1−パルミトイル−2−リノレオイルPC、およびスフィンゴミエリンを、それぞれ、1.0mmol/Lとなるように、1%の界面活性剤トリトンX−100(商品名)を含む生理食塩水に溶解した。各試料10μLに試薬Aを300μL加え、37℃、5分間反応させた。これに試薬Bを100μL加え、37℃、5分間反応させた。この37℃、5分間の主波長570nm、副波長700nmにおける反応液の吸光度変化量を測定した。結果を図3に示す。

0055

図3中、1−オレオイルLPCはLPCと、1−オレオイルLPAはLPAと、1−パルミトイル−2−リノレオイルPCはPCと、およびスフィンゴミエリンはSM略記されている。LYPLおよびMGLPLはともにリゾリン脂質であるLPCおよびLPAを分解してそれぞれGPC、G−3−Pを生成する。続いて、GPCPがLPCから生じたGPCを分解し、生じたコリンにコリン酸化酵素が作用してH2O2を生成する。一方、LPAから生じたG−3−Pは、GPCPおよびコリン酸化酵素の基質とならない(図1を参照のこと)。

0056

その結果、LPCは測定されるがLPAは測定されない。また、LYPLおよびMGLPLはSMに作用しないので、SMは測定されない。従って、LYPLとMGLPLとはLPC、LPAおよびSMに対する作用が一致する。しかし、LYPLがPCに1割程度作用してGPCを生成し、さらにGPCPが生成したGPCに作用することにより、PCが測定されるのに対し、MGLPLはPCに全く作用せず、従って、PCが検出されないという点で異なる。すなわち、MGLPLは、ジアシル型リン脂質を分解しない。PCは血清中でもっとも多く存在するリン脂質であり、LPCの数十倍存在するといわれているため、その1割が測定されれば、測定値は真のLPCの2倍以上となる。従って、予め脂質を抽出するなどの試料の前処理をせずにLPC量を正確に測定するためには、MGLPLタイプのように、リゾリン脂質に対して極めて特異性の高いリゾホスホリパーゼが必要となる。

0057

また、このことは、LPC測定試薬だけでなく、LPA測定試薬についても同様であり、脂質の抽出などの前処理を行わずに正確にリゾリン脂質の測定を行う場合には、LPA測定試薬においてもMGLPLのようにリゾリン脂質に対して極めて特異性の高いリゾホスホリパーゼが必要となる。

0058

(実施例2:LPC検量線の作成)まず、以下の試薬を調製した。
試薬A (pH8.0)
トリス 100mmol/L
トリトンX-100 0.01%
塩化カルシウム1mmol/L
N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン3mmol/L
ペルオキシダーゼ(西洋ワサビ由来) 10U/mL
グリセロホスホリルコリンホスホジエステラーゼ(グリオクラジウム属由来) 0.1U/mL
コリンオキシダーゼ(アースロバクター由来) 10U/mL
試薬B (pH8.0)
トリス 100mmol/L
トリトンX-100 0.01%
4-アミノアンチピリン5mmol/L
リゾホスホリパーゼ(MGLPL) 30U/mL

0059

1−パルミトイルLPC(合成品)を1%の界面活性剤トリトンX−100(商品名)を含む生理食塩水に溶解し、1.0mmol/LのLPC溶液を調製した。試料10μLに試薬Aを300μL加え、37℃、5分間反応させた。これに試薬Bを100μL加え、37℃、5分間反応させた。この37℃、5分間の主波長570nm、副波長700nmにおける反応液の吸光度変化量を測定した。結果を図4に示す。

0060

LPC濃度と吸光度変化量との間に原点を通る良好な直線関係が得られた。本発明の測定試薬を用いてLPCを測定することが可能である。

0061

(実施例3:従来の方法との相関ヒト血清15検体、管理血清5検体(コンセーラ:日水製薬株式会社、リピッドセーラムI:栄研化学株式会社、リピッドセーラムII:栄研化学株式会社、セラクリア−LP:株式会社アズウェルハイレベルチェックリピッド:国際試薬株式会社)の計20検体を試料とし、実施例2と同様にLPC量を測定した。

0062

他方、この20検体の試料から、以下の従来の方法により脂質を抽出し、LPCの脂肪酸量を分析し、脂肪酸量から全LPC量を換算した。試料0.1mLと、2%KCl溶液0.1mL、2N−HCl 0.1mLおよび内部標準として1−ヘプタデカノイルLPC 7.2μgとを混合し、さらにクロロホルムメタノール(2:1)溶液1.5mLを加えて混合した後、1000×gで10分間遠心し、下層の1mLを別の容器に分取した。分取した脂質成分を窒素乾固した後、クロロホルム:メタノール(2:1)溶液50μLに再溶解し、シリカゲルTLCプレートの単一レーン負荷し、クロロホルム:メタノール:アンモニア(60:35:8)の混合溶液で室温で展開した。8−アニリノ1−ナフタレンスルホン酸噴霧して紫外線下目視にて確認し、プレートからLPC相当部分をかきとり、別の容器に回収した。回収した容器に三フッ化ホウ素2mLを加え、105℃で30分加温し、メチル基転位反応を行った。その後、蒸留水1mLおよびへキサン2mLを添加し、10秒間激しく攪拌した後、1000×gで10分間遠心し、上層の1.2mLを別の容器に分取した。続いて、窒素乾固した後にトルエン40μLに溶解し、ガスクロマトグラフィー用の分析試料とした。

0063

各試料中に含まれる脂肪酸量を測定するために、SUPELCO WAX 10カラム(30m×0.25mm:SUPELCO社製)を装備したGC−14B(島津製作所製)ガスクロマトグラフを使用した。オーブン開始温度は100℃で、1分間保持した後、40℃/分で200℃まで上昇させ、2分間保持した。その後、さらに10℃/分で240℃まで上昇させ、15分間保持した。キャリアガスヘリウムガスで、試料気化室の温度は250℃、検出器部の温度は250℃であった。

0064

事前各脂肪酸メチルの保持時間を確認しておき、各脂肪酸メチルに相当するピーク面積から、内部標準である1−ヘプタデカノイルLPCに相当するピーク面積を基準に換算し、パルミチン酸メチルステアリン酸メチルオレイン酸メチルリノール酸メチルアラキドン酸メチルおよびドコサヘキサエン酸メチルに相当する各LPCの総和を、各試料中に含まれるLPC量とした。

0065

本発明の方法による測定結果と従来の方法による測定結果の相関関係図5に示す。図5に示すように、相関係数は0.935という良好な相関関係が認められた。本発明の方法では、LPCの測定において、従来の、煩雑な操作を必要とする脂肪酸分析法と同等の測定結果を、簡単にかつ短時間で得ることが可能である。なお、図5において、●はヒト血清、○はコンセーラ、▲はリピッドセーラムI、△はリピッドセーラムII、■はセラクリア−LP、および□はハイレベルチェックリピッドを表す。

0066

(実施例4:LPA検量線の作成)以下の試薬を調製した。
試薬A (pH6.8)
ビス−トリス 100mmol/L
トリトンX-100 0.01%
N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン3mmol/L
ペルオキシダーゼ(西洋ワサビ由来) 10U/mL
GPO(ストレプトコッカス属由来) 15U/mL
フラビンアデニンジヌクレオチド0.05mmol/L
試薬B (pH6.5)
ビス−トリス 20mmol/L
トリトンX-100 0.01%
4-アミノアンチピリン5mmol/L
リゾホスホリパーゼ(MGLPL) 20U/mL

0067

1-オレオイルLPA(合成品)を、界面活性剤トリトンX-100(商品名)を1.0%含む生理食塩水に溶解し、0.5mmol/LのLPA溶液を調製した後、溶解液にて5段階希釈して検量線用試料を作製した。試料10μLに試薬A 300μLを加え、37℃で5分間反応させた。これに試薬B 100μLを加えてさらに37℃、5分間反応させ、試薬B添加後5分間の主波長570nm(副波長700nm)における反応液の吸光度変化量を測定した。結果を図6に示す。LPA濃度と吸光度変化量との間に良好な直線関係が得られ、これは本測定試薬を用いてLPAを定量することが可能であることを示す。また、0.5mmol/LのLPAを測定した際の反応タイムコース図7に示した。瞬時に反応は収束し、一定の吸光度を示した。

0068

(実施例5:種々のLPAの高感度発色剤による検出)高感度発色剤としてトリフェニルメタン誘導体を利用した試薬を調製した。
試薬A (pH6.5)
ビス−トリス 100mmol/L
トリトンX-100 0.05%
リゾホスホリパーゼ(MGLPL) 20U/mL
N,N,N',N',N'',N''-ヘキサ(3-スルホプロピル)-4,4',4''-トリアミノトリフェニルメタン塩(株式会社同人化学研究所製)3mmol/L
試薬B (pH6.5)
ビス−トリス 100mmol/L
トリトンX-100 0.05%
ペルオキシダーゼ(西洋ワサビ由来) 30U/mL
GPO(ストレプトコッカス属由来) 15U/mL
フラビンアデニンジヌクレオチド0.05mmol/L

0069

1-パルミトイルLPA、1-ステアロイルLPA、1-オレオイルLPA、2-オレオイルLPA、1-パルミトイルLPC、および1-パルミトイルLPE(リゾホスファチジルエタノールアミン)を、界面活性剤トリトンX-100を1.0%含む生理食塩水に溶解させ、それぞれ2mmol/L相当の試料を調製した。試料4μLに試薬A 300μLを加え、37℃で5分間、加温した後、試薬B 100μLを加えて37℃、5分間反応させた。この、試薬B添加後5分間の波長600nmにおける反応液の吸光度変化量を測定した。その結果を図8に示す。LPAの脂肪酸種および脂肪酸の結合位置に関係なく、本測定法により種々のLPAを測定することが可能であった。また、LPA以外の他のリゾリン脂質はほとんど検出されなかった。

0070

(実施例6:酵素的サイクリング法を利用したヒト血清中のLPA量の測定)以下に示すような酵素的サイクリング法(美崎英生、検査と技術 27(8):973-980, (1999)、および登録第1594750号公報を参照のこと)を利用した試薬を調製した。
試薬A (pH7.6)
ビス−トリス 100mmol/L
トリトンX-100 0.01%
N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン3mmol/L
β-NADH 0.05mmol/L
12α-ヒドロキシステロイド脱水素酵素バチルス属由来) 2U/mL
リゾホスホリパーゼ(MGLPL) 10U/mL
試薬B (pH7.6)
ビス−トリス 20mmol/L
トリトンX-100 0.01%
ペルオキシダーゼ(西洋ワサビ由来) 20U/mL
4-アミノアンチピリン5mmol/L
GPO(ストレプトコッカス属由来) 50U/mL
G3PDH(ウサギ筋肉由来) 5U/mL
コール酸ナトリウム1mmol/L

0071

1-オレオイルLPA 0.1mmol/Lを標準として、ヒト血清を測定した。実施例1と同様の操作にて反応を行い、試薬B添加後の反応液の吸光度を経時的に主波長570nm(副波長700nm)で測定した。この測定値にはヒト血清中に元来存在するG−3−Pが反応した結果生じる吸光度が含まれる。そのため、さらに、試薬Aの代りに、以下に示すリゾホスホリパーゼ活性を有する酵素を含まないG−3−P測定用試薬Cを用いて、実施例1と同様の操作にて反応を行い、上記ヒト血清中に存在するG−3−Pに依存する吸光度を測定し、上記測定値から差し引くことにより、真の測定値を求めた。

0072

試薬C (pH7.6)
ビス−トリス 100mmol/L
トリトンX-100 0.01%
N-エチル-N-(2-ヒドロキシ-3-スルホプロピル)-3-メチルアニリン3mmol/L
β-NADH 0.05mmol/L
12α-ヒドロキシステロイド脱水素酵素(バチルス属由来) 2U/mL

0073

試薬Aを用いて得られた測定値から、試薬Cを用いて得られた測定値を差し引いて補正した反応タイムコースを図9に示す。この結果から、単位時間あたりの吸光度変化量を算出し、同時に測定した1−オレオイルLPA 0.1mmol/L標準液の単位時間あたりの吸光度変化量から換算したLPAの値を表1に示す。

0074

0075

表1に示すように、ヒト血清のような夾雑物質を含む試料においても、LPAを簡単に測定できることがわかった。

発明の効果

0076

本発明によって、従来法に比べ、脂質の抽出、リゾリン脂質の分離などの煩雑な手段を必要とせず、さらに、試料が体液であっても、脂質の抽出などの前処理を必要とせず、簡便かつ正確にLPC、LPAなどのリゾリン脂質を測定することが可能となった。また、本発明の方法は、測定に用いる試料が少量で済み、試料の前処理を必要としないため、汎用型生化学自動分析装置への適用が可能であり、多数の試料を短時間で測定することができる。これらのことから、生化学的基礎研究の分野においても、医学的な臨床検査の分野においても、本発明は極めて有用である。

図面の簡単な説明

0077

図1リゾホスホリパーゼとGPCPおよびコリン酸化酵素とを組合せて用いる場合のLPCおよびLPAの反応を示す図である。
図2リゾホスホリパーゼとGPOとを組合せて用いる場合のLPAおよびLPCの反応を示す図である。
図3LYPLとMGLPLとのジアシル型リン脂質に対する反応性の違いを示す図である。
図41−パルミトイルLPCの濃度と吸光度変化量との関係を示すグラフである。
図5本発明の方法によるLPC測定結果と、従来の脂肪酸分析法によるLPC測定結果の相関関係を示す図である。
図61-オレオイルLPAの濃度と吸光度変化量との関係を示すグラフである。
図70.5mmol/LのLPAを測定した際の反応タイムコースを示すグラフである。
図8種々のLPAを測定した場合の吸光度変化量を示すグラフである。
図9ヒト血清中のLPAの測定における反応タイムコースを示すグラフである。

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