図面 (/)
構成
効果
ヒータ膜20へのアルカリイオンの移動を防止できる。
請求項1
耐熱絶縁性基板に、酸化物もしくは窒化物からなるヒータ膜と、アルカリイオン導電性の固体電解質及びその参照極と検知極とを配設して、前記ヒータ膜や参照極及び検知極と外部との接続部を前記基板の1つの面に設けた固体電解質ガスセンサを用い、前記ヒータ膜に直流を加えて、かつその(+)側を前記参照極及び検知極と分離するように、前記センサの駆動回路を構成した、固体電解質ガスセンサを用いたガス検出装置。
請求項2
耐熱絶縁性基板に、酸化物もしくは窒化物からなるヒータ膜と、アルカリイオン導電性の固体電解質及びその参照極と検知極とを配設して、前記ヒータ膜や参照極及び検知極と外部との接続部を前記基板の1つの面に設けた固体電解質ガスセンサを用い、前記ヒータ膜を交流駆動するように前記センサの駆動回路を構成した、固体電解質ガスセンサを用いたガス検出装置。
請求項3
前記基板の片面に固体電解質とその参照極及び検知極を配設すると共に、前記ヒータ膜と前記固体電解質とを基板の厚さ方向に重ねて配置し、かつ前記参照極と検知極もしくは前記ヒータ膜を前記外部との接続部へ導くためのスルーホールを設けたことを特徴とする、請求項1または2の固体電解質ガスセンサを用いたガス検出装置。
請求項4
前記固体電解質を参照極により基板の前記片面に結合し、固体電解質の参照極とは反対面に検知極を設けて、検知極と前記基板の片面とをリードで接続したことを特徴とする、請求項3の固体電解質ガスセンサを用いたガス検出装置。
目次
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0001
この発明は固体電解質ガスセンサの使用に関し、特に固体電解質中のアルカリイオンが、ヒータ中に移動するのを防止することに関する。
0002
NASICON(Naイオン導電体)やLISICON(Liイオン導電体)を用い、炭酸塩や亜硝酸塩、硝酸塩などの活物質と金などの電極材料の混合物や、これらの積層物で検知極を構成し、参照極側をシールしたガスセンサが知られている。これらの固体電解質ガスセンサでは、セラミック基板の一方の面に固体電解質を配置して、固体電解質のセラミック基板側に参照極を、その反対面側に検知極を配置する。そしてセラミック基板の反対面に白金ヒータを配置する(例えば特開平11−174023、特開平8−247996)。
0003
発明者は、固体電解質ガスセンサの構造を、周知の金属酸化物半導体ガスセンサの構造に近づけ、金属酸化物半導体ガスセンサ用の基板やヒータ、リードの取り出し構造を、固体電解質ガスセンサに兼用することを検討している。金属酸化物半導体ガスセンサの基板等を転用できれば、固体電解質ガスセンサを小型化して消費電力を現行の1Wクラスから、例えば250mWクラスまで低下できるはずである。ヒータは、従来の白金ヒータから、高抵抗で扱いやすい酸化ルテニウム等の酸化物ヒータに変更する。リードの取り出し用のパッドは基板の一面に集約し、リードの取り付けを容易にする。
0005
この発明の課題は、酸化物ヒータや窒化物ヒータを固体電解質ガスセンサに用い得るようにし、かつ基板の1つの面で外部への接続を行えるようにすることにある。
0006
この発明は、耐熱絶縁性基板に、酸化物もしくは窒化物からなるヒータ膜と、アルカリイオン導電性の固体電解質及びその参照極と検知極とを配設して、ヒータ膜や参照極及び検知極と外部との接続部を基板の1つの面に設けた固体電解質ガスセンサを用い、ヒータ膜に直流を加えて、かつその(+)側を参照極及び検知極と分離するように、センサの駆動回路を構成した、固体電解質ガスセンサを用いたガス検出装置にある。
0007
またこの発明は、耐熱絶縁性基板に、酸化物もしくは窒化物からなるヒータ膜と、アルカリイオン導電性の固体電解質及びその参照極と検知極とを配設して、ヒータ膜や参照極及び検知極と外部との接続部を基板の1つの面に設けた固体電解質ガスセンサを用い、ヒータ膜を交流駆動するようにセンサの駆動回路を構成した、固体電解質ガスセンサを用いたガス検出装置にある。
0008
好ましくは、基板の片面に固体電解質とその参照極及び検知極を配設すると共に、前記ヒータ膜と前記固体電解質とを基板の厚さ方向に重ねて配置し、かつ前記参照極と検知極もしくは前記ヒータ膜を前記外部との接続部へ導くためのスルーホールを設ける。より好ましくは、固体電解質を参照極により基板の片面に結合し、固体電解質の参照極とは反対面に検知極を設けて、検知極と基板の片面とをリードで接続する。
0009
この発明では、ヒータ膜に安価で高抵抗であり、金属酸化物半導体ガスセンサやサーマルヘッドなどで実績のある、酸化ルテニウム膜や酸化インジウム膜、あるいは窒化タンタル膜などを用いる。そして耐熱絶縁性基板の1つの面に、外部との接続部を集約し、外部接続を容易にする。アルカリイオン導電性の固体電解質に、ヒータ膜に対して(+)の電位が加わると、接続部を基板の1つの面に集めたため、参照極や検知極に沿ってアルカリイオンが流れ、ヒータ膜までオーバーコートガラスや基板の表面などを介して、アルカリイオンが流れ込む。そしてヒータ膜にアルカリイオンが流れ込むと、抵抗値が変化する。
0010
この発明では、ヒータに直流を加えてその(+)側を固体電解質やその参照極及び検知極と分離するので、ヒータに加える直流電圧で固体電解質側からアルカリイオンがヒータ膜に流れ込むことがない。これらのため、酸化物や窒化物のヒータ膜を用い、外部との接続部を基板の1つの面に集約でき、さらにヒータ膜のアルカリイオンによる汚染がない(請求項1)。
0011
請求項2の発明では、ヒータを交流駆動するので、アルカリイオンの移動が妨げられ、このため、酸化物や窒化物のヒータ膜を用いることができ、外部との接続部を基板の1つの面に集約でき、さらにヒータ膜のアルカリイオンによる汚染を防止できる。
0012
請求項3の発明では、ヒータ膜と固体電解質とを基板の厚さ方向に重ねて配置できるので、基板を小型化し、消費電力をさらに小さくできる。請求項4の発明では、固体電解質から懸垂するように検知極を引き出す場合に比べ、検知極材料が参照極へ流れ込むおそれが無く、また固体電解質の角などで検知極が切断されるおそれがない。
0013
図1〜図9を参照して実施例とその変形とを説明する。図1は検知極の完成前の固体電解質ガスセンサ1を示し、2はアルミナ基板で、ムライトやスピネル、ジルコニアなどの基板でも良く、耐熱絶縁性の基板であればよい。4はアルカリイオン導電性の固体電解質チップで、ここではNASICONを焼結したチップで、LISICONのチップでも良く、基板2に金ペーストを焼成した参照極6で結合されている。8は金ペーストを焼成した厚膜のダミー電極で、10は金線からなるリードで、12,13は金ペーストを焼成したパッドである。パッド13は参照極6に接続され、パッド12はリード10のファーストボンド側に接続され、リード10はダミー電極8とパッド12とにワイヤボンディングされている。
0014
図2に、完成したセンサ1の検知極16側を示す。検知極16は例えば炭酸リチウムや炭酸ナトリウム、亜硝酸ナトリウム、硝酸ナトリウムなどの活物質と、金などの導電性物質の混合物からなり、ダミー電極8を覆い、チップ4の上面をほぼ被覆している。18はシールガラスで、チップ4の側面を被覆して、参照極6が検出対象のガスに触れるのを防止する。
0015
図3にセンサ1の側面を示すと、パッド12,13はスルーホール14を介してパッド23に導かれ、20は厚膜の酸化ルテニウムを用いたヒータ膜で、22はヒータ側のパッドである。酸化ルテニウムに代えて、酸化インジウムや窒化タンタルなどを用いても良い。リード24は、ヒータ膜20側でパッド22,23にワイヤボンディングあるいは金ペーストなどで固定され、図示しないステムなどに結合されている。
0016
検知極16に代えて、図4の検知極26を用い、金と活物質との混合物の厚膜からなる検知極26を、チップ4上から基板2上まで導いても良いが、参照極6との絶縁が難しく、またチップ4の角でとぎれる恐れがある。図5に示すように、完成したヒータ膜20はオーバーコートガラス28で被覆されて保護される。
0017
図10に、ガスセンサ1の駆動回路の従来例を示す。センサ1のヒータ膜20に、直流電源40の出力を安定化電源41で安定化してヒータ電圧を加え、(+)コモンで起電力をバッファーアンプ42へ取り出す。次に図10の回路でセンサ1を駆動した際の結果を示す。結果は各10個のセンサの平均値で示し、動作温度は450℃で、チップ4はNASICONで、ヒータ膜20の初期抵抗は48Ωであった。図10の回路で2週間センサ1を駆動すると、ヒータ膜20の抵抗値の平均は56Ωに増加した。
0018
図6に、チップ4からヒータ膜20へのアルカリイオンの移動機構の推定モデルを示す。検知極16やチップ4にはアルカリイオンが含まれ、図10の回路ではヒータ膜20の(-)側との間に約5Vの電界が加わる。アルカリイオンはこの電界で、パッド12,13まで移動し、スルーホール14を移動して、反対面のパッド23,23に達して、ヒータ膜20との隙間を基板2の表面やオーバーコートガラス28中を流れて、ヒータ膜20の負極側に拡散する。
0019
図7に実施例の駆動回路を示す。40は直流電源、41は安定化電源で、42はバッファーアンプ、43は差動アンプで、44はマイクロコンピュータで、45はADコンバータでP点の電位をAD変換し、46は基準値発生部で、例えばセンサ1の起電力を24時間周期でヒストグラムに変換し、ヒストグラムでの最大起電力のピークをCO2 350ppm相当の基準値とする。47はDAコンバータで、基準値で定まる電圧(Q点の電位)をアナログに変換して差動アンプ43に供給する。48はCO2の検出部で、49は外部出力部で、制御信号とCO2濃度のアナログ信号を出力する。そして固体電解質チップ4の(-)極の検知極16は、ヒータ膜20の(-)極側とコモンに配線してある。
0020
図8は図7の回路を変形した例を示し、図7との相違点はヒータ膜20側とチップ4側とを絶縁した点である。図9は第2の変形例を示し、60はDC−ACコンバータで、安定直流化電圧を例えば10KHz〜1MHz程度の高周波の交流に変換し、高周波トランス61を介して、ヒータ膜20に供給する。この回路ではヒータ膜20とチップ4は絶縁され、かつヒータ膜20には交流が加わるので、アルカリイオンの移動の原因となりにくい。
0021
アルカリイオンは質量が大きいため、交流では直流ほど移動せず、周波数を増すほどアルカリイオンは移動しにくくなる。例えば10KHz以上の周波数で、アルカリイオンはほとんど移動しない。次に高周波トランスでヒータ膜20を他と絶縁して用いるので、アルカリイオンの流れ込みは生じない。なお例えば1KHz程度の周波数で用いても良く、また交流駆動の場合、ヒータ膜20の一端を参照極あるいは検知極とコモンに接続しても良い。
0022
図7の回路で、10個のセンサを2週間駆動した場合、ヒータ膜20の初期抵抗の平均が48Ωで、2週間後にも48Ωであった。さらに図9の回路の場合、初期抵抗の平均が48Ωで、2週間後にも48Ωであった。
図面の簡単な説明
0023
図1実施例で用いた固体電解質ガスセンサの、基板に固体電解質チップを固定し、ワイヤボンディングを行った状態を示す平面図
図2図1の状態から、検知極とシールガラスを塗布焼成した状態を示す平面図
図3実施例で用いた固体電解質ガスセンサの側面図
図4変形例の固体電解質ガスセンサの側面図
図5実施例で用いた固体電解質ガスセンサの底面図
図6固体電解質ガスセンサでの、固体電解質チップからヒータ膜へのアルカリイオンの移動を説明する図
図7実施例での固体電解質ガスセンサの駆動回路を示す回路図
図8変形例の駆動回路を示す回路図
図9第2の変形例の駆動回路を示す回路図
図10従来例での固体電解質ガスセンサの駆動回路を示す回路図
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0024
1固体電解質ガスセンサ
2アルミナ基板
4固体電解質チップ
6参照極
8ダミー電極
10リード
12,13パッド
14スルーホール
16検知極
18シールガラス
20ヒータ膜
22,23 パッド
24 リード
26 検知極
28オーバーコートガラス
40直流電源
41安定化電源
42バッファーアンプ
43差動アンプ
44マイクロコンピュータ
45ADコンバータ
46基準値発生部
47 DAコンバータ
48 CO2検出部
49外部出力部
60 DC−ACコンバータ
61 高周波トランス