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課題・解決手段

一時的に患者心臓を停止させ、心臓及びその関連血管の外科処置を容易にするために心肺バイパスステム確立するための装置と方法を提供する。特に、患者の心臓と冠状動脈血管を動脈系の残りの部分から切り離し、心臓麻痺剤を患者の冠状動脈に注入し心臓に心停止を起こさせるためのカテーテル基礎にしたシステム(850)を提供する。システムには、冠状動脈心門腕頭動脈との間で大動脈管腔閉塞するために上行大動脈(12,157)内で膨らまされる拡張可能バルーン(11,161)をその遠位端に有する上行大動脈内分割カテーテル(10)が含まれている。カテーテル先端(330)を大動脈内センタリングさせる手段には、特別に曲げられたシャフト形状(1600)、偏心(710)又は成形(792)された閉塞バルーン(161,350)、及び単独若しくは組み合わせて使用できる操舵可能カテーテル先端(145)が含まれる。カテーテルのシャフト同軸(106)構造でも多重管腔(602)構造でもよい。

概要

背景

概要

一時的に患者心臓を停止させ、心臓及びその関連血管の外科処置を容易にするために心肺バイパスステム確立するための装置と方法を提供する。特に、患者の心臓と冠状動脈血管を動脈系の残りの部分から切り離し、心臓麻痺剤を患者の冠状動脈に注入し心臓に心停止を起こさせるためのカテーテル基礎にしたシステム(850)を提供する。システムには、冠状動脈心門腕頭動脈との間で大動脈管腔閉塞するために上行大動脈(12,157)内で膨らまされる拡張可能バルーン(11,161)をその遠位端に有する上行大動脈内分割カテーテル(10)が含まれている。カテーテル先端(330)を大動脈内センタリングさせる手段には、特別に曲げられたシャフト形状(1600)、偏心(710)又は成形(792)された閉塞バルーン(161,350)、及び単独若しくは組み合わせて使用できる操舵可能カテーテル先端(145)が含まれる。カテーテルのシャフト同軸(106)構造でも多重管腔(602)構造でもよい。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
4件
牽制数
16件

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請求項1

患者上行大動脈冠状動脈心門腕頭動脈との間で分割するためのカテーテル装置であって、遠位端と、近位端と、その両者の間に伸びる第1内部管腔と、上記第1内部管腔と流体連通する上記遠位端にある開口とを有する長く伸びたシャフトと、心臓収縮膨張により上行大動脈を通って流れる全ての血液流を実質的に遮断するように冠状動脈心門と腕頭動脈との間で上行大動脈を閉塞するための、上記シャフトの遠位端近くで上記第1管腔の上記開口より近位にある、そして第2の側よりも大きい寸法に膨張する第1の側と上記第2の側とを有するように偏心的に膨張可能である拡張可能手段とから成るカテーテル装置。

請求項2

上記長く伸びたシャフトが、概ね患者の動脈弓合致し遠位端が上行大動脈内に位置することができるように形成された予め成形された遠位部を有することを特徴とする上記請求項1に記載のカテーテル装置。

請求項3

上記長く伸びたシャフトの上記予め成形された遠位部が内側部曲線と外側部曲線を持つ湾曲を有し、上記拡張可能手段が上記拡張可能手段のより大きな第1の側が曲線の外側を向き上記拡張可能手段の第2の側が曲線の内側を向くように上記カテーテルシャフト上で向けられていることを特徴とする上記請求項2に記載のカテーテル装置。

請求項4

上記長く伸びたシャフトの予め成形された遠位部の湾曲が約135°ないし約225°の角度を含むことを特徴とする上記請求項3に記載のカテーテル装置。

請求項5

上記拡張可能手段が膨張可能な弾性バルーンから成ることを特徴とする上記請求項1に記載のカテーテル装置。

請求項6

上記長く伸びたシャフトが上記膨張可能な弾性バルーン内の内部空間と流体連通する第2内部管腔を有することを特徴とする上記請求項5に記載のカテーテル装置。

請求項7

上記膨張可能な弾性バルーンの第2の側が上記膨張可能な弾性バルーンの第1の側よりも拡張しにくいことを特徴とする上記請求項5に記載のカテーテル装置。

請求項8

上記膨張可能な弾性バルーンの第2の側のバルーン壁厚が上記膨張可能な弾性バルーンの第1の側のバルーン壁厚よりも厚いことを特徴とする上記請求項7に記載のカテーテル装置。

請求項9

上記拡張可能手段が膨張可能な非弾性バルーンから成ることを特徴とする上記請求項1に記載のカテーテル装置。

請求項10

上記長く伸びたシャフトが上記膨張可能な弾性バルーン内の内部空間と流体連通する第2内部管腔を有することを特徴とする上記請求項5に記載のカテーテル装置。

請求項11

上記拡張可能手段が、少なくとも上記長く伸びたシャフトに取り付けられている膨張可能なバルーンの第2の側の部分を有し、それにより膨張可能バルーンの第2の側の拡張を拘束している、膨張可能なバルーンから成ることを特徴とする上記請求項1に記載のカテーテル装置。

請求項12

上記長く伸びたシャフトが上記拡張可能手段より遠位の上記長く伸びたシャフトにある第2開口と液体連通する第3内部管腔を含んでいることを特徴とする上記請求項1に記載のカテーテル装置。

請求項13

患者の上行大動脈を冠状動脈心門と腕頭動脈との間で分割するためのカテーテル装置であって、遠位端と、近位端と、その両者の間に伸びる第1内部管腔と、上記第1内部管腔と流体連通する上記遠位端にある開口とを有する長く伸びたシャフトと、心臓の収縮と膨張により上行大動脈を通って流れる全ての血液流を実質的に遮断するように冠状動脈心門と腕頭動脈との間で上行大動脈を閉塞するための、上記シャフトの遠位端近くで上記第1管腔の上記開口より近位にある、上行大動脈を閉塞するための遠位閉塞手段と拡張可能手段を上行大動脈内の所期の位置に安定化させるための近位安定化手段とを有する拡張可能手段とから成るカテーテル装置。

請求項14

上記近位安定化手段が上行大動脈を閉塞しないことを特徴とする上記請求項13に記載のカテーテル装置。

請求項15

上記近位安定化手段が上行大動脈から腕頭動脈への血液流を遮断しないことを特徴とする上記請求項13に記載のカテーテル装置。

請求項16

上記拡張可能手段が膨張可能バルーンから成ることを特徴とする上記請求項13に記載のカテーテル装置。

請求項17

上記遠位閉塞手段が上行大動脈を閉塞するに十分な直径の上記膨張可能バルーンの遠位部から成り、上記近位安定化手段が上記拡張可能手段を上行大動脈内で所期の位置に安定化させるための上行大動脈の内表面に接触するための手段と上行大動脈から腕頭動脈へ血液が流れることのできる少なくとも一つの血液流経路とを有する上記膨張可能バルーンの近位部から成ることを特徴とする上記請求項16に記載のカテーテル装置。

請求項18

上記遠位閉塞手段が上行大動脈を閉塞するに十分な直径の上記膨張可能バルーンの遠位部から成り、上記近位安定化手段が上行大動脈の内表面に接触するに十分な直径の上記膨張可能バルーンの近位部から成ることを特徴とする上記請求項16に記載のカテーテル装置。

請求項19

上記膨張可能バルーンが、上記膨張可能バルーンの上記遠位部と上記近位部との間に直径が小さくなった領域を更に含むことを特徴とする上記請求項18に記載のカテーテル装置。

請求項20

患者の上行大動脈を冠状動脈心門と腕頭動脈との間で分割するためのカテーテル装置であって、遠位端と、近位端と、その両者の間に伸びる第1内部管腔と、上記第1内部管腔と流体連通する上記遠位端にある開口とを有する、外側管状部材の中にある内側管状部材と、上記内側管状部材と上記外側管状部材との間の流路とから成る長く伸びたシャフトと、心臓の収縮と膨張により上行大動脈を通って流れる全ての血液流を実質的に遮断するように冠状動脈心門と腕頭動脈との間で上行大動脈を閉塞するための、上記シャフトの遠位端近くで上記第1管腔の上記開口より近位にある、そしてその中の内部空間が上記流路と流体連通している膨張可能なバルーンとから成るカテーテル装置。

請求項21

上記膨張可能なバルーンが上記内側管状部材に取り付けられた遠位端と上記外側管状部材に取り付けられた近位端とを有することを特徴とする、上記請求項20に記載のカテーテル装置。

請求項22

上記長く伸びたシャフトの上記拡張可能手段より遠位に搭載された液圧計測するための圧力変換器手段を更に含む、上記請求項20に記載のカテーテル装置。

請求項23

上記長く伸びたシャフトの上記拡張可能部材内に搭載された液圧を計測するための第2圧力変換手段を更に含む、上記請求項22に記載のカテーテル装置。

請求項24

上記内側管状部材が、上記内側管状部材の上記拡張可能部材より遠位にある第2開口と液体連通する第3内部管腔を含むことを特徴とする上記請求項20に記載のカテーテル装置。

請求項25

上記内側管状部材が上記外側管状部材に対して軸方向に移動可能であることを特徴とする上記請求項21に記載のカテーテル装置。

請求項26

上記内側管状部材を上記外側管状部材に対して所期の位置に選択的に固定するための固定装置を更に含む、上記請求項25に記載のカテーテル装置。

請求項27

上記カテーテル装置が、上記膨張可能バルーンが収縮され上記外側管状部材が上記内側管状部材に対して近位側に引き出され、それにより上記膨張可能バルーンを上記内側管状部材の周囲に折り畳んだ折り畳み位置を有することを特徴とする上記請求項25に記載のカテーテル装置。

請求項28

上記カテーテル装置が、上記膨張可能バルーンが膨らまされ上記外側管状部材が上記内側管状部材に対して遠位側に進められた展開位置を有することを特徴とする上記請求項25に記載のカテーテル装置。

請求項29

上記カテーテル装置が上記展開位置にあるとき、上記膨張可能バルーンの直径に対する長さの比が1以下であることを特徴とする上記請求項28に記載のカテーテル装置。

請求項30

上記カテーテル装置が、上記外側管状部材が上記内側管状部材に対して遠位側に中間位置まで進められ、上記膨張可能バルーンが概ね球形に膨らまされている第1展開位置と、上記外側管状部材が上記内側管状部材に対して遠位側に進められ、上記膨張可能バルーンが概ね円環体状に膨らまされている第2展開位置とを有することを特徴とする上記請求項25に記載のカテーテル装置。

請求項31

上記カテーテル装置が、上記外側管状部材を上記内側管状部材に対して選択した位置まで遠位側に進め、上記膨張可能バルーンをその直径に対する長さの比が1以下、約1或いは1以上になるよう選択的に展開して膨らませることにより、選択的に配置可能であることを特徴とする上記請求項25に記載のカテーテル装置。

請求項32

上記内側管状部材が上記外側管状部材に対して回転可能であることを特徴とする上記請求項24に記載のカテーテル装置。

請求項33

上記カテーテル装置が、上記膨張可能バルーンが収縮され上記外側管状部材が上記内側管状部材に対して回転され、それにより上記膨張可能バルーンを上記内側管状部材の周囲にった折り畳み位置を有することを特徴とする上記請求項32に記載のカテーテル装置。

請求項34

上記内側管状部材が上記外側管状部材に対して回転可能且つ軸方向に移動可能であることを特徴とする上記請求項21に記載のカテーテル装置。

請求項35

上記カテーテル装置が、上記膨張可能バルーンが収縮され上記外側管状部材が上記内側管状部材に対して近位側に引き出され且つ回転され、それにより上記膨張可能バルーンを上記内側管状部材の周囲に折り畳み且つ捻った折り畳み位置を有することを特徴とする上記請求項34に記載のカテーテル装置。

請求項36

患者の上行大動脈を冠状動脈心門と腕頭動脈との間で分割するためのカテーテル装置であって、遠位端と、近位端と、その両者の間に伸びる第1内部管腔と、上記第1内部管腔と流体連通する上記遠位端にある開口とを有する長く伸びたシャフトと、心臓の収縮と膨張により上行大動脈を通って流れる全ての血液流を実質的に遮断するように冠状動脈心門と腕頭動脈との間で上行大動脈を閉塞するための、上記シャフトの遠位端近くで上記第1管腔の上記開口より近位にある拡張可能手段と、上記長く伸びたシャフトに搭載された液圧を計測するための圧力変換手段とから成るカテーテル装置。

請求項37

上記圧力変換手段が、上記長く伸びたシャフト上の上記拡張可能手段より遠位に搭載されていることを特徴とする上記請求項36に記載のカテーテル装置。

請求項38

上記圧力変換手段が、上記長く伸びたシャフト上の上記拡張可能手段内に搭載されていることを特徴とする上記請求項36に記載のカテーテル装置。

請求項39

上記長く伸びたシャフトの上記拡張可能手段より遠位に搭載された液圧を計測するための第2圧力変換器手段を更に含む、上記請求項38に記載のカテーテル装置。

請求項40

遠位端と、近位端と、両者の間に伸びる第1内部管腔及び第2内部管腔とを有する、外側管状部材内にある内側管状部材と、遠位端にあり第1内部管腔と液体連通する第1開口と、遠位端にあり第2内部管腔と液体連通する第2管腔とから成る長く伸びたシャフトと、シャフトの遠位端にあり、その内部空間が上記内側管状部材と外側管状部材内の間の空間で定義される膨張管腔と液体連通している膨張可能バルーンとから成るバルーンカテーテル

請求項41

上記膨張可能バルーンが、心臓の収縮と膨張により上行大動脈を通って流れる全ての血液流を実質的に遮断するように冠状動脈心門と腕頭動脈との間で上行大動脈を閉塞するのに十分な膨張時の直径を有することを特徴とする上記請求項40に記載のカテーテル装置。

請求項42

患者の上行大動脈を冠状動脈心門と腕頭動脈との間で分割するためのカテーテル装置であって、遠位端と、近位端と、その両者の間に伸びる第1内部管腔と、第1内部管腔と流体連通する遠位端にある開口とを有する長く伸びたシャフトと、心臓の収縮と膨張により上行大動脈を通って流れる全ての血液流を実質的に遮断するように冠状動脈心門と腕頭動脈との間で上行大動脈を閉塞するための、シャフトの遠位端近くで第1管腔の開口より近位にある第1拡張可能手段と、シャフトの遠位端が上行大動脈の内表面と接触するのを防止するための、シャフトの遠位端近くで第1拡張可能手段より遠位にある第2拡張手段とから成るカテーテル装置。

請求項43

上記第1拡張可能手段が第1膨張可能バルーンから成ることを特徴とする上記請求項42に記載のカテーテル装置。

請求項44

上記第2拡張可能手段が第2膨張可能バルーンから成ることを特徴とする上記請求項42に記載のカテーテル装置。

請求項45

上記第2膨張可能バルーンが、裏返しにして上記シャフトの上記遠位端近くに取り付けられる遠位端を有することを特徴とする上記請求項44に記載のカテーテル装置。

請求項46

患者の上行大動脈を冠状動脈心門と腕頭動脈との間で分割するためのカテーテル装置であって、遠位端と、近位端と、その両者の間に伸びる第1内部管腔と、第1内部管腔と流体連通する遠位端にある開口と、約225°から約315°の角度を含む湾曲を有する予め成形された遠位部とを有する長く伸びたシャフトと、心臓の収縮と膨張により上行大動脈を通って流れる全ての血液流を実質的に遮断するように冠状動脈心門と腕頭動脈との間で上行大動脈を閉塞するための、シャフトの遠位端近くで第1管腔の開口より近位にある拡張可能手段とから成るカテーテル装置。

請求項47

上記拡張可能手段が膨張可能バルーンから成ることを特徴とする上記請求項46に記載のカテーテル装置。

請求項48

上記予め成形された遠位部は、シャフトの近位部と隣接する第1曲率半径を持った第1セグメントと、上記第1セグメントと隣接する上記第1曲率半径より小さい第2曲率半径を持った第2セグメントを有することを特徴とする上記請求項46に記載のカテーテル装置。

請求項49

上記予め成形された遠位部は、上記カテーテル装置が患者の大動脈内に挿入されたとき、遠位端が上行大動脈中に在り、第2セグメントが上行大動脈から大動脈弓を越えて伸び、第1セグメントが下行大動脈内にあるように形成されていることを特徴とする上記請求項48に記載のカテーテル装置。

請求項50

上記予め成形された遠位部が更に、上記第2セグメントに隣接する概ね真直な第3セグメントを含むことを特徴とする上記請求項48に記載のカテーテル装置。

請求項51

上記第3セグメントが上記第2セグメントに対して角度が付いていることを特徴とする上記請求項50に記載のカテーテル装置。

請求項52

上記第3セグメントがシャフトの上記近位部に対して傾斜していることを特徴とする上記請求項50に記載のカテーテル装置。

請求項53

上記予め成形された遠位部がシャフトの近位部に対して傾斜した遠位セグメントを有することを特徴とする上記請求項46に記載のカテーテル装置。

請求項54

シャフトを患者の上行大動脈の下流の動脈中に導入し易くするためにシャフトの遠位部を真直化する手段を更に含む、上記請求項46に記載のカテーテル装置。

請求項55

患者の上行大動脈を冠状動脈心門と腕頭動脈との間で分割するためのカテーテル装置であって、遠位端と、近位端と、その両者の間に伸びる膨張管腔とを有する長く伸びたシャフトと、心臓の収縮と膨張により上行大動脈を通って流れる全ての血液流を実質的に遮断するように冠状動脈心門と腕頭動脈との間で上行大動脈を閉塞するための、シャフトの遠位端近くにある、その内部空間が、膨張可能バルーンを水性膨張媒体によって約40秒以内で約40ccの体積に膨張させることができるように形成された上記膨張管腔と液体連通している膨張バルーンとから成るカテーテル装置。

請求項56

上記膨張管腔が上記膨張可能バルーンの内部空間を水性膨張媒体によって約20秒以内で約40ccの体積に膨張させることができるように形成されていることを特徴とする上記請求項55に記載のカテーテル装置。

請求項57

上記長く伸びたシャフトは、上記近位端を患者の末梢動脈の外に伸ばしながら、上記遠位端を患者の上行大動脈に位置させることのできる十分な長さを有していることを特徴とする上記請求項55に記載のカテーテル装置。

請求項58

上記長く伸びたシャフトは、股動脈から上行動脈への透照位置決めを容易にするために少なくとも80cmの長さを有することを特徴とする上記請求項57に記載のカテーテル装置。

請求項59

上記膨張可能バルーンは、水性膨張媒体により、上記膨張管腔の近位端で計測して35psi以下の膨張圧で、約40秒以内で、約40ccの体積に膨張させることができることを特徴とする上記請求項55に記載のカテーテル装置。

請求項60

上記長く伸びたシャフトが、シャフトの近位端と遠位端との間に伸びる注入管腔と、上記シャフトの上記膨張可能バルーンより遠位にある、注入管腔と液体連通している開口を更に含む、上記請求項55に記載のカテーテル装置。

請求項61

上記膨張管腔が少なくとも0.5mm2の断面積を有することを特徴とする上記請求項55に記載のカテーテル装置。

請求項62

上記膨張可能バルーンは、X線不透過コントラスト剤を含む水性膨張媒体により、約40秒以内で、約40ccの体積に膨張させることができることを特徴とする上記請求項55に記載のカテーテル装置。

請求項63

患者の上行大動脈を冠状動脈心門と腕頭動脈との間で分割するためのカテーテル装置であって、遠位端と、近位端と、その両者の間に伸びる第1内部管腔と、第1内部管腔と流体連通する遠位端にある開口と、長く伸びたシャフトの遠位端を上行大動脈の腹側壁近くに近接させて遠位端を上行大動脈内に配置できるような患者の大動脈弓に概ね合う形に作られた予め成形された遠位部とを有する長く伸びたシャフトと、心臓の収縮と膨張により上行大動脈を通って流れる全ての血液流を実質的に遮断するように冠状動脈心門と腕頭動脈との間で上行大動脈を閉塞するための、シャフトの遠位端近くで第1管腔の開口より近位にある拡張可能手段とから成るカテーテル装置。

請求項64

患者の上行大動脈を患者の冠状動脈心門と患者の腕頭動脈との間で分割する方法であって、患者の上行大動脈の下流の血管に大動脈分割装置のシャフトの遠位端を導入することと、シャフトの遠位端が上行大動脈中に在り、シャフトの遠位端近くに取り付けられた拡張可能な閉塞部材が冠状動脈心門と腕頭動脈との間に配置されるようにシャフトを透照位置決めすることと、上行大動脈内でそこを通って流れる血液流を完全に遮断するために大動脈分割装置のシャフトの回りに閉塞部材を偏心的に拡張させることとから成る方法。

請求項65

閉塞部材が、閉塞部材の大きい側を患者の大動脈弓の大きな方の湾曲の外側に向けて、大動脈分割装置のシャフトの回りに偏心的に拡張されることを特徴とする上記請求項64に記載の方法。

請求項66

大動脈分割装置のシャフトがシャフトの湾曲部を患者の大動脈弓の中に入れた状態で位置決めされることを特徴とする上記請求項64に記載の方法。

請求項67

シャフトの湾曲部が患者の大動脈弓の湾曲と概ね合っており、閉塞部材が閉塞部材の大きい側を患者の大動脈弓の大きな方の湾曲の外側に向けて、大動脈分割装置のシャフトの回りに偏心的に拡張されることを特徴とする上記請求項66に記載の方法。

請求項68

閉塞部材より遠位に開口を有するシャフトの中の管腔を通して心臓麻痺剤を注入する段階を更に含む、上記請求項64に記載の方法。

請求項69

患者の上行大動脈を患者の冠状動脈心門と患者の腕頭動脈との間で分割する方法であって、患者の上行大動脈の下流の血管に大動脈分割装置のシャフトの遠位端を導入することと、シャフトの遠位端が上行大動脈中に在り、シャフトの遠位端近くに取り付けられた拡張可能な閉塞部材が冠状動脈心門と腕頭動脈との間に配置され、非閉塞安定化部材が閉塞部材の下流に位置決めされるようにシャフトを透照位置決めすることと、上行大動脈内でそこを通って流れる血液流を完全に遮断するために閉塞部材を拡張させ且つ大動脈の内壁に接触させるために安定化部材を拡張させることとから成る方法。

請求項70

閉塞部材と安定化部材を拡張させる段階が、バルーンの遠位部上に位置する閉塞部材とバルーンの近位部上に位置する安定化部材とを有する拡張可能バルーンを膨張させる副段階を含むことを特徴とする上記請求項69に記載の方法。

請求項71

拡張可能閉塞部材が腕頭静脈の直ぐ上流の位置で拡張されることを特徴とする上記請求項69に記載の方法。

請求項72

安定化部材が患者の上行大動脈を閉塞することなく拡張されることを特徴とする上記請求項69に記載の方法。

請求項73

安定化部材の中の血液流経路が血液が上行大動脈から腕頭動脈へと流れるように位置決めされる段階を更に含む、上記請求項69に記載の方法。

請求項74

患者の上行大動脈を患者の冠状動脈心門と患者の腕頭動脈との間で分割する方法であって、患者の上行大動脈の下流の血管に大動脈分割装置の外側管状部材の中の内側管状部材から成るシャフトの遠位端を導入することと、シャフトの遠位端が上行大動脈中に在り、シャフトの遠位端近くに取り付けられた拡張可能な閉塞部材が冠状動脈心門と腕頭動脈との間に配置されるようにシャフトを透照位置決めすることと、上行大動脈内でそこを通って流れる血液流を完全に遮断するために閉塞部材を拡張させることとから成る方法。

請求項75

拡張可能な閉塞部材が上記内側管状部材に取り付けられた遠位端と上記外側管状部材に取り付けられた近位端とを有する膨張可能バルーンから成り、閉塞部材を拡張する段階が、内側管状部材と外側管状部材との間の流路を通して膨張液を通過させることによりバルーンを膨張させる副段階を含むことを特徴とする上記請求項74に記載の方法。

請求項76

膨張可能バルーン内の圧力を膨張可能バルーン内の圧力変換器で計測する段階を更に含む、上記請求項75に記載の方法。

請求項77

シャフトの遠位端を血管内に導入する段階の前に、大動脈分割装置のシャフト上の閉塞部材の外形を小さくするために、内側管状部材に対して外側管状部材を近位方向に引き出す段階があることを特徴とする上記請求項74に記載の方法。

請求項78

シャフトの遠位端を血管内に導入する段階の前に、大動脈分割装置のシャフト上の閉塞部材の外形を小さくするために、内側管状部材に対して外側管状部材を回転する段階があることを特徴とする上記請求項74に記載の方法。

請求項79

閉塞部材より遠位の大動脈圧力を計測する段階を更に含む、上記請求項74に記載の方法。

請求項80

閉塞部材より遠位の大動脈圧力をシャフトの遠位端近くの圧力変換器で計測する段階を更に含む、上記請求項74に記載の方法。

請求項81

閉塞部材より遠位の大動脈圧力をシャフトの遠位端近くの圧力変換器で計測する段階を更に含む、上記請求項74に記載の方法。

請求項82

患者の上行大動脈を患者の冠状動脈心門と患者の腕頭動脈との間で分割する方法であって、患者の上行大動脈の下流の血管に大動脈分割装置の外側管状部材の中の内側管状部材から成るシャフトの遠位端を導入することと、シャフトをその遠位端が大動脈内に在るように進め且つシャフトの遠位端が大動脈の内表面に接触するのを防止するためにシャフトの遠位端近くでシャフトに取り付けてある遠位拡張可能部材を拡張させることと、シャフトの遠位端が上行大動脈中に在り、シャフトの遠位拡張可能部材の近位に取り付けられた拡張可能な閉塞部材が冠状動脈心門と腕頭動脈との間に配置されるようにシャフトを透照位置決めすることと、上行大動脈内でそこを通って流れる血液流を完全に遮断するために閉塞部材を拡張させることとから成る方法。

請求項83

シャフトの遠位端が上行大動脈内に在るようにシャフトを透照位置決めする段階が、拡張された遠位拡張可能部材が患者の大動脈弁に接触するまでシャフトを進める副段階を含むことを特徴とする上記請求項82に記載の方法。

請求項84

患者の上行大動脈を患者の冠状動脈心門と患者の腕頭動脈との間で分割する方法であって、患者の上行大動脈の下流の血管に大動脈分割装置のシャフトの遠位端を導入することと、長く伸びたシャフトの遠位端が最も高い上行大動脈の壁に近接する状態でシャフトの遠位端が上行大動脈の中に在り且つシャフトに遠位端近くで取り付けられている拡張可能閉塞部材が冠状動脈心門と腕頭動脈との間に配置されるようにシャフトを透照位置決めすることと、上行大動脈内でそこを通って流れる血液流を完全に遮断するために閉塞部材を拡張させることとから成る方法。

請求項85

シャフトの遠位端と接続している管腔を通して上行大動脈から排気する段階を更に含む、上記請求項84に記載の方法。

請求項86

最も高い上行大動脈の壁が上行大動脈の腹側壁であり且つ長く伸びたシャフトの遠位端が腹側壁と近接し、排気段階には上行大動脈内の空気が大動脈分割装置の管腔を通して抜き出せるように患者を仰向けにする段階を含む上記請求項85に記載の方法。

請求項87

患者の身体に経皮挿入するためカテーテルを通過させるのに適したカニューレであって、近位端と、遠位端と、カニューレ管腔とを有するカニューレ本体と、上記カニューレ管腔と液体連通する血液流管腔を有し、上記カニューレ本体の上記近位端と接続されている第1脚と、近位端及び上記カニューレ本体の上記近位端と接続されている遠位端とを有し且つ上記カニューレ管腔と液体連通しているカテーテル挿入管腔を有する第2脚と、上記カニューレ管腔と上記カテーテル挿入管腔との間の液体の流れを選択的に防げるための第1止血手段と、上記カテーテル挿入管腔内にカテーテル挿入室を作るために上記第1止血手段と切り離されており、上記カテーテル挿入管腔の近位端からの液体の流れを防止するための第2止血手段とから成るカニューレ。

請求項88

上記第2止血手段が、貫通する開口を有する弾性シール部材と、上記開口を選択的に閉塞するために上記弾性シール部材を圧縮する圧縮手段とから成ることを特徴とする上記請求項87に記載のカニューレ。

請求項89

上記第1止血手段が、上記カテーテル挿入管腔から上記カニューレ管腔へのカテーテルの自由な通過を許す開放位置を有することを特徴とする上記請求項87に記載のカニューレ。

請求項90

上記第1止血手段が、上記第2脚の上記近位端と上記遠位端との中間にある柔軟な管状部材と、上記カテーテル挿入管腔を閉塞するために上記柔軟な管状部材をクランプするための外部クランプ手段とから成ることを特徴とする上記請求項89に記載のカニューレ。

請求項91

上記第2止血手段が、上記カテーテル挿入管腔の近位端からの液体の流れを防止する閉鎖位置と、上記第2止血手段を通って上記カテーテル挿入管腔へカテーテルを挿入することのできる開放位置とを有することを特徴とする上記請求項87に記載のカニューレ。

請求項92

上記第2止血手段は、上記第2止血手段が上記開放位置である場合は、上記第2止血手段を通ってカテーテルを挿入するための開通路を提供することを特徴とする上記請求項91に記載のカニューレ。

請求項93

上記開通路は、上記第2止血手段が上記開放位置にある場合、少なくとも5mmの直径を有することを特徴とする上記請求項91に記載のカニューレ。

請求項94

上記第2止血手段は、上記第2止血手段が上記開放位置であるときに上記第2止血手段を通して挿入されたカテーテルのシャフトの周囲に滑動止血シールを提供することを特徴とする上記請求項91に記載のカニューレ。

請求項95

上記第2止血手段は、上記カテーテルが上記第2止血手段を通して挿入されているときにカテーテル挿入管腔の近位端からの液体の流れを防止するため上記カテーテルの外表面に対してシールを形成する中間位置を有することを特徴とする上記請求項91に記載のカニューレ。

請求項96

上記第2止血手段は、上記第2止血手段が上記中間位置にあるときに、上記第2止血手段を通して挿入されたカテーテルのシャフトの周囲に滑動止血シールを提供することを特徴とする上記請求項95に記載のカニューレ。

請求項97

上記第2止血手段は、上記開放位置と上記閉鎖位置と上記中間位置との間を選択的に移動可能であることを特徴とする上記請求項95に記載のカニューレ。

請求項98

上記カニューレ管腔を通って液体が流れるのを選択的に防止するための第3の止血手段を更に含む、上記請求項87に記載のカニューレ。

請求項99

上記第3の止血手段が、上記カニューレ本体の上記近位端と上記遠位端との中間にある柔軟な管状部材と、上記カニューレ管腔を閉塞するために上記柔軟な管状部材をクランプするための外部クランプ手段とから成ることを特徴とする上記請求項98に記載のカニューレ。

請求項100

上記カニューレ管腔の内表面上及び上記カテーテル挿入管腔内表面上に滑らかなコーティングが施されていることを更に含む、上記請求項87に記載のカニューレ。

請求項101

上記カニューレ本体の少なくとも遠位部の外表面上に滑らかなコーティングが施されていることを更に含む、上記請求項87に記載のカニューレ。

請求項102

上記カニューレ本体が、上記カニューレ本体の近位外径よりも小さな遠位外径を有するテーパの付いた遠位部を有することを特徴とする上記請求項87に記載のカニューレ。

請求項103

上記カニューレ本体の少なくとも遠位部が、上記カニューレ本体の壁に埋め込まれたコイル状のワイヤ補強されていることを特徴とする上記請求項87に記載のカニューレ。

請求項104

患者の大動脈を冠状動脈心門と腕頭動脈との間で閉塞するために、遠位端が上記カテーテル挿入管腔を通過できる寸法となっている大動脈分割カテーテル手段と組み合わされた上記請求項87に記載のカニューレ。

請求項105

カニューレを血管内に設置するための近位取り付け部品用のアダプターであって、近位端と、遠位端と、両者の間の第1管腔とを有する第1脚と、近位端と、遠位端と、両者の間の第2管腔とを有し、第2管腔が第1管腔と液体連通するように第2腕の遠位端が第1腕に取り付けてある第2脚と、第1管腔を通る液体流を選択的に遮断するための、第1腕の遠位部にある第1止血手段と、第1管腔を通る液体流を選択的に遮断するための、第1腕の近位部にある第2止血手段と、アダプターをカニューレの近位端に取り付けるための手段とから成るアダプター。

請求項106

長く伸びた医療器具を選択された位置に固定するための再配置可能固定装置であって、上記長く伸びた医療器具をその中に滑動可能に収容し、その内表面上に高摩擦材を有する管腔を内部に通して有する管状部材と、上記管状部材を上記長く伸びた医療器具に対し摩擦固定するための上記長く伸びた医療器具の周囲に上記管状部材を押しつけるための手段とから成る再配置可能固定装置。

請求項107

上記管状部材が、上記管状部材を上記長く伸びた医療器具の周囲に押しつけ易くする、少なくとも上記管状部材の部分に沿って上記管腔と連通する長手方向のスロットを有することを特徴とする上記請求項106に記載の再配置可能固定装置。

請求項108

上記高摩擦材が、上記管腔の内表面と上記長く伸びた医療器具との間の摩擦を増やすため、上記管腔の内表面に接着した粒子から成ることを特徴とする上記請求項106に記載の再配置可能固定装置。

請求項109

上記長く伸びた医療器具の周囲に上記管状部材を押しつけるための上記手段が、上記管状部材の外表面の周囲に結ばれた縫合糸又は結紮糸から成ることを特徴とする上記請求項106に記載の再配置可能固定装置。

請求項110

上記管状部材の上記外表面が、上記縫合糸又は結紮糸を上記管状部材に固定するための手段を更に含むことを特徴とする上記請求項106に記載の再配置可能固定装置。

請求項111

上記縫合糸又は結紮糸を上記管状部材に固定するための上記手段が、上記管状部材の外表面の少なくとも一本の円周状の溝から成ること特徴とする上記請求項106に記載の再配置可能固定装置。

請求項112

上記管状部材が、上記管状部材を上記長く伸びた医療器具の周囲に押しつけ易くする、少なくとも上記管状部材の部分に沿って上記管腔と連通する長手方向のスロットを有し、上記高摩擦材が、上記管腔の内表面と上記長く伸びた医療器具との間の摩擦を増やすため、上記管腔の内表面に接着した粒子から成り、上記長く伸びた医療器具の周囲に上記管状部材を押しつけるための上記手段が、上記管状部材の外表面の周囲に結ばれた縫合糸又は結紮糸から成り、上記管状部材が上記縫合糸又は結紮糸を上記管状部材に固定するための上記管状部材の外表面の少なくとも一本の円周状の溝から成ること特徴とする上記請求項106に記載の再配置可能固定装置。

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0001

発明の分野
本発明は、心臓及びそれに関係する血管の外科的処置を容易ならしめるために
一時的に患者の心臓に心臓麻痺を起こさせ心肺バイパスを設ける装置及び方法に
広く関わる。特に、患者の心臓及び冠状動脈血管を動脈系の残りの部分から切り
離し、その心臓に心臓麻痺を起こさせるため患者の冠状動脈に心臓麻痺剤を注入
するためのカテーテル基礎にしたシステムに関する。

背景技術

0002

大動脈弁僧帽弁、その他の心臓の弁の修復及び交換中隔欠陥の修復、先天
的欠陥の修復、血栓摘出、冠状動脈のバイパス移植、血管成形アテローム
出、動脈瘤処置電気生理学的マッピング及び切除神経血管処置等を始めとす
る様々な心臓血管神経外科、肺及びその他の介入処置には、全身麻酔心肺
パス心機能の停止が必要なことがある。そのような処置をする場合には、心
臓及び冠状動脈血管を残りの循環器系から切り離さなければならない。これは幾
つかの効果をもたらす。第1に、このような切り離しを行えば、心筋灌流して
それによって心臓機能を停止させるために心臓麻酔液を冠状動脈に注入し易くな
り、その際心臓麻酔液を患者の循環系の他の部分に送らないで済ませられる。第
2に、このような切り離しを行えば、心臓が停止している間に酸素送り込んだ
血液を循環系全体に回すための心肺バイパスシステムが使い易くなり、その際そ
の血液が冠状動脈迄流れて心臓を蘇生させるような恐れがない。第3に、心臓処
置の場合にこのような切り離しを行えば、血液や他の体液の流入を抑制又は阻止
できる作業空間が作れ最適な外科手術環境を作り出せる。

0003

最新の技術を使えば、心臓及び冠状動脈血管の切り離しは、冠状動脈の心門
下流、腕頭動脈上流上行大動脈上に外部的に機械的にクロスクランプを設け
ることにより行うことができ、酸素を送り込んだ血液を心肺バイパスシステムか
ら腕、首、頭及び身体の残りの部分に送ることができる。次にカテーテルを、ク
スクランプと大動脈弁の間で直接上行大動脈に挿入して、カテーテルを通して
心臓麻酔液を上行大動脈と冠状動脈に注入し、心筋を灌流しそして/又は心臓か
排液又はこれを減圧する。冠状動脈洞に追加のカテーテルを挿入して、心臓
酔液を心筋に逆行灌流させることもできる。又、心筋は通常冷塩水を灌注し、そ
して/又は心筋組織又は冷却パックを当てて冷却する。そうすると心臓の収
縮が停止する。

0004

既知の技術では通常、冠状動脈バイパス移植や心臓弁の修復及び交換のような
大外科手術を行うためには、開胸術として知られているが、胸部を大きく切り開
いて胸腔アクセスする必要がある。典型的には、胸骨長手方向に切断して(
中央胸骨切開)、肋骨構造前部の両半分の間から心臓及び他の胸部血管及び器官
にアクセスすることになる。替わりの方法としては横部開胸によって内にアク
セスすることもできるが、この場合は概ね2本の胸骨間を10ないし20mm切
開する。最適にアクセスするため1本又はそれ以上の肋骨の一部を永久的に除去
することになるかもしれない。

0005

中央胸骨切開又は他のタイプの開胸を必要とする処置では、この大きな開胸部
から、外部クロスクランプの設置のため上行大動脈にアクセスするのは容易であ
る。しかし、そのような外科手術は多くの場合数週間の入院と数ヶ月の回復期間
が必要となり、又、患者は苦痛外傷被ることとなる。更に、このタイプの処
置では最初の手術時の平均死亡率は約2ないし15%であるが、再手術時の死亡
率は相当高くなる。又そのような処置により重大な合併症の起こることもある。
例えば、石灰化又はアテロームの大動脈に外部クロスクランプを施せば、塞栓
腕頭動脈、頸動脈鎖骨下動脈に流して脳溢血のような深刻な結果をもたらすか
もしれない。米国で行われた開胸冠状動脈バイパス外科手術では、その6%に迄
バイパス処置の間に流された塞栓により大脳動脈閉塞したためによく引き起こ
される顕著な精神退化が見られる。それ故、中央胸骨切開又はその他の開胸術に
より開胸してアクセスすること無しに、心臓及び冠状動脈を動脈系の残りの部分
から切り離し、心機能を停止させて心肺バイパスを確立する方法と装置が必要と
されている。又、その方法と装置は、外部大動脈クロスクランプに伴う塞栓の形
成の高い危険性無しに、心臓と冠動脈の切り離しを容易にするものでなければな
らない。

0006

本発明に関する特に興味ある医学的処置の一つは心臓弁疾病の取扱である。共
所有の同時継続出願の出願番号08/281,962は、参考資料の中に含ま
れているが、閉胸又は胸腔内視鏡による心臓弁交換外科手術の実施法について述
べている。心臓弁交換処置を行うに際して、心臓を全身血液循環系から切り離
し、心臓を停止させ、心肺バイパスを確立することは重要なステップである。本
特許出願に記載する心臓を切り離し停止させる装置、システム、方法は、この処
置を行うに際して特に有効であろう。

0007

本発明に関する興味深い別の一点は、心肺バイパスを確立し、経皮穿刺又は
外科切開とに拘わらず血管貫通による外傷及び合併症の危険性を最少にする心
臓及び大血管の介入処置を行う技術である。従来技術で心肺バイパスを確立する
場合は、静脈カニューレ下大静脈のような主要静脈又は心臓自身に導入し、患
者から酸素の消費された血液を抜いてそれをCPBシステムに導き酸素を送り込
む。動脈カニューレを大動脈、総腸骨動脈、又は股動脈などの主要動脈に導入し
酸素を送り込んだ血液をCPBシステムから患者の動脈系に送る。

0008

血管成形、アテローム摘出小弁成形、心臓マッピング及び切除等の血管内処
置には、介入装置末梢動脈に導入し処置を行う措置現場透照位置決めする。
例えば、血管成形やアテローム切除では、カテーテルを股動脈に導入し大動脈を
通して冠状動脈に進め、その中に閉塞された領域を処置する。ある場合には、そ
の処置中はCPBを使うのが望ましいことがある。この処置中にCPBを使う場
合は通常、患者身体の片側の鼠径部領域で外科的切開を行って股動脈、股静脈各
々に動脈及び静脈CPBカニューレを導入する。それから血管内介入装置を患者
身体の反対側の鼠径部領域で股動脈に導入する。

0009

外傷性障害及び感染症のような合併症の危険性を最少にするため、処置の間に
患者の血管を貫通する即ち「突き刺す回数は最少にするのが望ましい。このよ
うな穿刺は、心臓の処置の場合は死亡の重大な原因となる。この貫通が、静脈及
び動脈CPBカニューレ及びあるタイプの血管内介入装置で通常必要とされる外
科的切開か大きな経皮的穿刺の何れかである場合、危険はより大きい。そのよう
な貫通を動脈に対して行った場合は特に危険性が高い。

0010

更に、ある場合には、動脈或いは静脈からアクセスするのに1本或いはそれ以
上の患者の股動脈、股静脈又は動静脈に通じる他の血管が、血管直径の不適、血
狭窄血管損傷その他の条件のためカニューレを導入できないこともある。そ
のような場合、十分な動、静脈アクセスを行って、血管成形カテーテル、アテロ
ーム切除カテーテル又その他の装置のような介入装置同様に、股動脈、股静脈C
PBカニューレを股動脈、股静脈に同時導入し一つの外科手術処置の一部とする
ことが出来なくなる。それ故、1本又はそれ以上のこれらカテーテルのための、
代替となる動静脈が見つからない場合は、血管内技術を使った処置は行えないこ
とになる。

0011

様々な心臓血管処置、特に、開胸を必要としない心臓弁の設置又は除去そして
交換処置を満足に行える方法及びシステムが必要とされてきており、今まで利用
できなかった。CPBを確立しCPBカニューレ及び他の血管内装置に必要な動
静脈貫通回数を少なくする介入処置を行うため、方法と装置を改善する必要もあ
る。この方法と装置により一層容易に、心臓と冠動脈を動脈系の残りの部分から
切り離し、心臓機能を停止し、開胸術により開胸アクセスすることなく心肺バイ
パスを確立出来るようになるであろう。この方法と装置により、そのような閉胸
処置で必要な動静脈貫通回数は最小化できるはずであり、望ましくは、股動脈貫
通1ヶ所、股静脈貫通1ヶ所で済むはずである。心機能の停止に必要な処置に加
えてこの方法と装置はたとえ心臓機能を停止しないような場合でも、心肺バイパ
スの使用を必要とする様々な閉胸介入処置に役立つに違いない。本発明はこれら
のそしてその他の必要性を満足させるものである。

0012

ここで患者の血管に関して上流、下流という表現の用語を用いる場合、血流
流れの方向にあるのが下流であり、逆の方向にあるのが上流である。動脈系の場
合、下流は心臓から遠い方向にあり、上流は心臓に近い方向にある。処置に用い
られる器具に関して近位遠位という用語を用いる場合、処置を行う手術者に近
い方向か遠い方向かを指す。
発明の概要

0013

本発明は、患者の胸部を大規模侵入開胸を必要としない胸部処置に備える血
管内アプローチのための方法とシステムを指向する。本発明は少なくともその好
適な実施例において、中央胸骨切開又は他の胸部切開を必要とせず、身体外心肺
バイパスとの組み合わせで、効果的な上行大動脈の閉塞、心臓停止、排液、右心
収縮局部冷却を行う可能性について深く検討している。

0014

本発明の血管内システムには、近位及び遠位の端部を有する長く伸びた動脈分
割カテーテルと、患者の上行大動脈を閉塞するに適したカテーテルの遠位部分に
ある閉塞部材とを含んでいる。カテーテルは、カテーテル内部をカテーテル遠位
端の出口まで伸びる内部管腔を有しているのが好ましい。カテーテルは患者の動
脈系に挿入し(例えば、股動脈又は上腕動脈を通して)、閉塞部材を膨張させて
その部分で動脈を閉塞する上行大動脈へと進ませるのに適している。そうすれば
心臓の左心室と上行大動脈の上流部分は患者の動脈系の残りの部分から分離され
ることになる。このカテーテルはこうして、心臓切開外科手術で用いられる外部
「クロスクランプ」と似た機能の、血管内に挿入された内部血管クランプを構成
する。内部クランプはクランプされた血管に外傷を与えることが少なく、又、ク
ランプの遠位端の上流区域へ或いはそこから器具や液を送り込み又は引き出す管
腔又は作業経路を作り出す。長く伸びたカテーテル上の閉塞部材は、膨張時に
状動脈の心門の下流、腕頭動脈の上流に位置しこれらの動脈を閉鎖しないような
寸法でなければならない。

0015

このシステムには又、患者の静脈、例えば股静脈や頸静脈等から血液を抜き、
抜き取った血液に二酸化炭素を取り除いて酸素を送り込み、酸素を送り込んだ血
液を患者の動脈系、例えば股動脈や上腕動脈に戻す心肺バイパスシステムが含ま
れている。このシステムには、心臓麻痺剤(例えば、塩化カリウム及び/又はマ
グネシウムプロカイン等の水溶液)を含む液を冠状動脈を経由して送り込み一時
的に心筋を麻痺させるための手段が備えられている。

0016

本発明の更なる態様としては、心臓を患者の身体の元の場所で心臓麻痺停止を
起こさせる方法を含んでおり、それは以下のステップから成っている。
(イ)末梢心肺バイパスにより全身循環を維持する
(ロ)例えば、経皮的に位置決めした動脈バルーンカテーテルによって上行大動
脈を閉塞して、上行大動脈から冠状動脈を切り離す
(ハ)心臓麻痺薬を冠状動脈循環系に導入する
(ニ)心臓から排液する。

0017

本発明の方法は人間にも哺乳動物にも適用できる。この方法は心臓切開手術
替わり閉鎖したまま心臓観察手術ができるため、特に人間に適用性が高い。本発
明の方法は、経皮的バイパスシステムを、中央胸骨切開の必要性を覆す心臓の停
止、排液、冷却を伴ったものとすることを可能とする。これは次には手術の合併
症を減らすことになる。

0018

ある好適な実施例では、大動脈分割カテーテルの閉塞部材は、膨張時に上行大
動脈を完全に閉塞できるだけの十分な大きさの膨張カフ又はバルーンから成る。
バルーンの長さは、血液又は他の溶液を冠状動脈に、或いは腕頭動脈、左頸動脈
又は左鎖骨下動脈に流すのを妨げないよう、あまり長くないのが好ましい。人間
の場合、バルーンの長さは約40mm、直径は35mmが適している。バルーン
は、上行大動脈の管腔を十分かつ一様に占めるのであれば、円筒状、球状、長円
状或いは他の適当な形状でもよい。これは動脈と接触する表面積最大化し閉塞
圧を均等に分布させる。

0019

カテーテルのバルーンは、バルーンが破裂した際に患者が空気塞栓症になる可
能性を除くため、塩水溶液で膨らませるのが好ましく、X線不透過性のコントラ
スト剤を混入した塩水溶液を用いるのが更に好ましい。バルーンは、血液が大動
脈根に逆流してくるのを防ぎ、又バルーンがその根の中に移動するのを防ぐのに
十分な圧力となるまで膨らせなければならず、一方大動脈壁に損傷を与えたり膨
張させたりするほど高くてはいけない。例えば、350mmHg程度の中間的な
圧力が効果的であると証明されている。

0020

大動脈分割カテーテルは適切なガイドワイヤ上をX線透視下で誘導しながら導
入するのが好ましい。替わりに大動脈カテーテルを位置決めするのに食道を通る
超音波心臓検査法を使うこともできる。カテーテルは多くの別々の機能に役立て
ることができ、カテーテル内の管腔の数は、これらの機能のどれだけ多くをカテ
テルが使っているかによって決まる。カテーテルは、通常は液状の、心臓麻痺
剤を一本の管腔を経由して大動脈根に導入するのに使うことができる。管腔は正
圧下で冠状動脈を経由し心臓を適切に灌流するため、大動脈根に心臓麻痺剤溶液
を250−500ml/分程度で流せるだけの直径であるのが好ましい。同じ管
腔に外から負圧を加えると、左心臓の血液又は溶液を効率よく排出することがで
きる。又、カテーテル内のもう一つの管腔を通して心臓に医療器具及び/又は心
臓鏡を導入できるのが好ましい。管腔は直径3mm以下の光ファイバーライト
メラを通すのに適した直径を有していなければならない。しかし、内部管腔の直
径及び断面の設計は、カテーテル外径がそっくりそのまま大人の股動脈に経皮的
穿刺又は直接切開の何れかで導入できるほど十分に小さくできるようになってい
るのが望ましい。

0021

バイパスシステムから身体へと戻される酸素を送り込まれた血液は、バルーン
運ぶカニューレ中のもう一つの管腔から大動脈の中へと運び込んでもよい。こ
の場合、戻る血液は外腸骨動脈中のカテーテルから捨てるのが望ましい。発明の
もう一つの実施例においては、バルーンを運ぶカテーテルの直径を小さくするた
めに、既知型式の別の動脈カテーテルを使って血液をバイパスシステムから患者
へと戻している。この場合、短いカテーテルを他の股動脈に入れてバイパスシス
テムから全身動脈血液を供給する。カテーテルの制御端、即ち身体の外部に残っ
ている端部は、管腔用アタッチメントの分かれた出口を有していなければならな
い。人に使うの場合カテーテルの長さは約900mm程度がよい。

0022

心臓麻痺薬は効能が既に分かっているもの、将来心臓麻痺薬としての効能が分
かるもののどんなものでもよい。この薬は、動脈カテーテルの管腔の一本を通し
て動脈根に、溶液として注入するのが望ましい。

0023

心臓麻酔を効かせ、大動脈カテーテルの膨張部材を上行大動脈中で膨張させ、
心肺バイパス手術を行えば、心臓は心臓処置の準備が整う。本発明の特に魅力的
な特徴は、心臓に血管内処置、胸郭内視鏡処置、その他の侵入度の低い処置を施
す準備が出来ることにあるが、開胸術を使った通常の心臓切開手術の準備にも利
用できる。又、本発明によって血管内心臓処置を行っている間に開胸処置が必要
になった場合、患者は既に開胸処置に対し完全に準備が整った状態にある、とい
うことに注目しておかなければならない。必要なことは、中央胸骨切開を行って
従来式の外科処置のため患者の心臓を露出させることだけである。

0024

更なる態様として、本発明は、心臓と冠状動脈を動脈系の残りの部分から切り
離し、心機能を停止させ、心肺バイパスを確立するため、患者の上行大動脈を冠
状動脈心門と腕頭動脈との間で切り離す血管内装置と方法を提供する。本発明は
又、開胸又は外部大動脈クロスクランプを必要としないで、心臓と冠状動脈を動
脈系の残りの部分から切り離し、心機能を停止させ、心肺バイパスを確立するこ
とを容易にする心臓停止のためのシステムと方法とを提供する。

0025

本発明の装置、システム、方法を用いれば、上行大動脈を通る血液の流れを全
遮断し、心筋を灌流するため冠状動脈を通して心臓麻痺液を導入することがで
きる。心臓が停止している間酸素を送り込んだ血液の循環を維持するための心肺
バイパス装置に接続されている患者には、胸郭内視鏡及び/又は血管内用道具
を使って開胸の必要無しに心臓、冠状動脈血管及びその他の身体構造について外
科的処置を行うことができる。更に、外部クロスクランプに依ってではなく血管
内閉塞によって大動脈を分割することにより、本発明の装置はクロスクランプに
ありがちな塞栓を流す危険性を本質的に減少する。

0026

本発明の特別な態様においては、冠状動脈心門と腕頭動脈の間で上行大動脈を
分割するための血管内装置が、遠位端、近位端、及び両者の間にあり遠位端の開
口部と通じている第1内部管腔を有する柔軟性のあるシャフトから成っている。
このシャフトは、遠位端が上行大動脈の中で大動脈弁に向けて配置されるように
大動脈弓内で位置決めできるような形をした遠位部分を有している。遠位部分は
シャフトの遠位端が大動脈の内壁から離れ、特に、遠位端が大動脈弁の中心の一
直線上にくるような形状になっているのが望ましい。上行大動脈を冠状動脈心門
と腕頭動脈の間で閉塞し、それによって心臓収縮弛緩の血液流全てを実質的に遮
断してしまうために、遠位端開口近くのシャフトの遠位端近くに、膨張手段が配
置される。シャフトの第1内部管腔は血液又は他の液を上行大動脈から抜くのに
使え、心筋を麻酔掛けるため冠状動脈に心臓麻痺液を導入し、そして/又は手
術器具を上行大動脈、冠状動脈、或いは心臓処置を行うため心臓に導入するのに
も使える。

0027

「成形された」という用語は以下詳細に述べるように、少なくとも大動脈弓部
内で位置決めしやすいように、シャフトの遠位部分が、負荷が掛かっていない状
態で永久的に通常は湾曲又は曲がった形に成形されているか、或いは、シャフト
の上又は中に配置された成形又は変形要素によってシャフトの遠位部分に、ある
形状を伝えるものを意味する。

0028

ある好適な実施例においては、シャフトの遠位部は負荷が掛かっていない状態
で、約180°±45°の弧に張っている概ねU型になるように予め成形されて
いる。U型遠位部は患者の大動脈弓の曲率と同じ曲率を持っているのか好ましく
通常その曲率半径は20から80mmの間にある。このようにして予成形された
遠位部が大動脈弓内に位置決めされると、遠位端は上行大動脈内でその内壁から
間隔を取り離れて配置されることになる。替わりに、遠位部は真直又は湾曲した
セグメントと、その各セグメント間に比較的小さな曲げ半径ベント部を入れて
概ね「U」型にしたものであってもよい。予成形遠位部のベント部及び/又はセ
グメントは、大動脈弓の内壁に当てて、遠位端を上行大動脈内の望ましい位置へ
と撓ませるように作ってもよい。大動脈分割カテーテルのある特別な実施例にお
いては、U成形湾曲部から遠位のカテーテルの端部は真直セグメントを有してお
り、真直セグメントの遠位端部近くに搭載された偏心成形閉塞バルーンと共に上
行大動脈内に留置される。偏心バルーンは、バルーンの大きい側がU型湾曲の外
側、つまり患者の右側に向かって搭載されているのが望ましい。何故なら、人の
上行大動脈はカテーテルの遠位セグメントのように真直というより概ね湾曲して
おり、偏心バルーンは曲がりのずれを補正し、上行大動脈内でカテーテル先端
大動脈根の丁度上に中心合わせするように働く。

0029

他の好適な実施例においては、遠位部は約270°±45°、好ましくは27
0°−300°の範囲の弧を張る複合湾曲となるように予成形されている。この
複合湾曲は、弧成形部、角度の付いたベント部、真直セグメント部の組み合わせ
で作り上げてもよく、カテーテルの遠位端部を上行大動脈の中でカテーテル先端
が大動脈管腔内で大動脈根の丁度上にくるよう中心合わせして正しく位置決めし
カテーテルをその位置に安定させる働きがある。シャフトの予成形された遠位部
は更に上行大動脈内に配置される遠位セグメント、下行大動脈内に配置される近
位セグメントを有していてもよく、ここで、遠位セグメントは近位セグメント
相対的にずれている(同一平面内にない)。このような形状は、大動脈弓及び下
行大動脈に対する上行大動脈の相対的方向を反映しており、上行大動脈内での遠
位端の正確な位置決めを容易にし、その内壁からの間隙を取り、更に好ましくは
大動脈弁中心との位置合わせをする。

0030

本発明は好適にも予成形遠位部を真直にする手段をシャフト内に含んでいる。
通常、真直化手段は、予成形遠位部の剛性よりもはるかに高い剛性を有する第1
内部管腔内にスライド可能に配置された真直化エレメントから成っている。真直
化エレメントは、第1内部管腔を通って伸びる柔軟なガイドワイヤの比較的剛性
のある部分、又は可動ガイドワイヤを収容できる軸通路を有するスタイレット
ら成っていてもよい。

0031

代表的な実施例では、閉塞手段には、股動脈のような動脈に挿入するための萎
んだ形状と上行大動脈を閉塞するための膨張した形状とがあり、膨張したときの
形状の直径は萎んだときの形状の直径の約2ないし10倍、好ましくは5ないし
10倍である。ある好適な実施例では、閉塞手段は、ポリウレタンシリコン
ラテックス等のエラストマー材から作られた膨張可能バルーンから成っている。
他の実施例では、閉塞手段は、ポリエチレンポリエチレンテレフタレートポリ
エステルポリエステルコポリマーポリアミドポリアミドコポリマー等の非
伸長性バルーン材で作られた膨張可能バルーンから成っている。バルーンは更に
移動に抵抗しバルーンの周囲からの漏れを防ぐため大動脈壁との接触を最大化す
るように作られ、好ましくは大動脈壁と接触する稼働表面の長さは、バルーンが
膨張して血管を一杯に閉塞している状態で、約1ないし7cm、より好ましくは
2ないし5cmである。

0032

バルーンを閉塞手段として用いる場合、血管内装置はシャフトを通って近位端
からバルーンの内部まで伸びる膨張管腔と、バルーンの内部に膨張液送り込む
ための膨張管腔の近位端に接続された手段とを有している。ある好適な実施例に
おいては、膨張管腔は、塩水液X線コントラスト剤の混合液のような液体で、
40秒以内、好ましくは20秒以内でバルーンを膨らませられるように作られて
いる。もう一つの好適な実施例においては、膨張流体搬送手段及び膨張管腔は、
バルーンを約0.5秒以内で膨らませるために、二酸化炭素又はヘリウムのよう
気体を使ってバルーンを膨らませるように作られている。この方法では、バル
ーンは心臓の収縮と収縮との間に一杯に膨らませて、心臓収縮の間の高圧血液流
によりバルーンが移動する可能性を減らしている。

0033

本発明の血管内装置のシャフトは様々な形を取ることができる。第1内部管腔
と膨張管腔は同心であってもよいし、多重管腔設計になっていてもよい。シャ
トには更に、その近位端から遠位端に伸びる第3管腔が含まれていて、遠位端か
ら閉塞手段までの圧力をこの第3の管腔を通して計測できるようになっていても
よい。シャフトは第1内部管腔の断面方向の寸法を保持するための手段を含んで
いてもよく、それは長手方向の柔軟性を失うことなく半径方向の剛性を高めるた
め少なくともシャフトの遠位部に埋め込まれたワイヤコイル又はブレードから成
っていてもよい。シャフトの遠位端は、カテーテルが繊細な弁小葉に接触した場
合、心臓弁に損傷を与えるのを防ぐため、その先端が柔らかいことが望ましい。

0034

シャフトの長さは、少なくとも約80mm、通常は約90−125cmであっ
て、股動脈及び総腸骨動脈から上行大動脈へと透照位置決めできるようになって
いるのが望ましい。替わりにシャフトは、総腸骨動脈、上腕動脈、冠状動脈、或
いは大動脈そのものへの貫通を通しての導入用に、例えば20−60cmと短く
ててもよい。

0035

左心室に接近しているため、装置の閉塞手段は心臓収縮の間、血液の流出によ
り相当の力を受ける。このような力は閉塞手段を腕頭動脈若しくは他の動脈の心
門を閉塞する恐れのある下流、又は大動脈弁を傷つけるか冠状動脈心門を閉塞す
る恐れのある上流へ(反動効果時)と移動させる危険性を秘めている。有利なこ
とに、本発明の血管内装置は、閉塞手段が大動脈を一杯に閉塞しているが心臓が
打ち続けている間と同様に、閉塞手段は膨張、収縮するので、上行大動脈中で心
臓収縮による流出の力に対抗して閉塞手段の位置を保持できるように作られてい
る。

0036

更に、装置の成形された遠位部分は、遠位開口が邪魔されず、概ね大動脈弁の
中心と一列になるように、遠位端を径方向に上行大動脈の内壁と間隙を保った位
置に保持する。このことによって、大動脈壁又は大動脈弁組織干渉することな
く血管内装置の遠位開口を通して、血液、他の液、破片等の吸引、液体の注入、
機器の導入が容易に行えるようになる。

0037

更に好適な実施例において本発明は、患者の心筋に麻酔を施す手段と共に、今
記載した血管内大動脈分割手段を含む選択的心臓停止のための手段を提供する。
通常、心筋に麻酔を施す手段は、第1内部管腔を通して装置の遠位端の開口から
閉塞手段の上流に心臓麻痺液を運ぶためにシャフトの近位端に接続されている手
段から成っている。この方法では、閉塞手段は上行大動脈を通って流れる血液流
を止めるために膨張させられ、そして心筋組織を灌流しそれによって心臓を停止
させるために、心臓麻痺液が第1内部管腔を通して大動脈根及び冠状動脈に流さ
れる。このシステムは更に、心臓上流の静脈位置から血液を抜くための手段と、
その血液に酸素を送り込むための手段と、酸素を送り込んだ血液を閉塞手段下流
の動脈位置に向かわせる手段とを含んでいる。

0038

本発明の方法によれば、血管内分割装置のシャフトの遠位端は患者の大動脈弓
下流の血管内に導かれている。シャフトは、遠位端が上行大動脈内にあり、遠位
端近くでシャフトに取り付けてある膨らませられる閉塞部材が冠状動脈心門と腕
頭動脈との間に配置されるように、透照位置決めされる。次に閉塞部材は、複数
心臓周期の間、上行大動脈を通る血液流を完全に遮断するため、上行大動脈内
で膨らませられる。

0039

分割装置のシャフトが予成形された遠位部を有するこれらの実施例では、方法
には通常、スタイレット又はガイドワイヤをシャフト内内部管腔中で位置決めす
ることにより予成形された遠位部を血管内に導入し易くするため真直化する段階
が含まれている。遠位部が上行大動脈に進み予成形形状に復してもよくなると、
スタイレットはシャフトから引き抜かれる。特定の実施例においては、この方法
に、血管内にシャフトを導入する段階の前に、患者の大動脈弓のサイズを特定し
てその寸法と大動脈弓の形状に合う成形遠位部を有するシャフトを選択する段階
が更に組み込まれている。

0040

好適なことに、分割装置のシャフトは、股動脈又は総腸骨動脈、上腕動脈、冠
状動脈、或いは開胸しないで経皮的にアクセスできる他の動脈を通して導入され
る。この方法では、患者の胸骨及び肋骨構造を傷つけずに装置を導入、前進させ
ることができる。

0041

閉塞部材が膨張バルーンである場合、この方法には更に、装置のシャフト内の
内部管腔を通してバルーンに膨張流体を送り込む段階が含まれる。膨張流体は液
体でも気体でもよい。ある実施例では、膨張媒体はX線不透過コントラスト剤
含む水性液であり、バルーンを膨張させるため40秒以下、好ましくは20秒以
下の速度で送り込まれる。他の実施例では、膨張媒体は気体であり、心臓の収縮
と収縮との間に大動脈を完全に閉塞するため通常0.5秒以下の速さで送り込ま
れる。

0042

この方法は更に、閉塞部材が上行大動脈内で膨張している間に患者の心筋に麻
酔を掛けることを含んでいてもよい。通常この事は、分割装置シャフト内の内部
管腔を通して心臓麻痺液を閉塞部材上流の上行大動脈中に注入することによって
行われる。心臓麻痺液は冠状動脈を通って心筋を灌流し心臓収縮を止める。この
実施例の方法は更に、患者の心臓の上流の静脈位置から血液を抜き、抜いた血液
に酸素を送り込み、酸素を送り込んだ血液を閉塞部材下流の動脈位置に導き、そ
れによって患者の動脈系の残りの部分を通して酸素を送り込まれた血液の循環を
維持する段階を含んでいる。

0043

このように本発明のシステムと方法を使えば、開胸することなく患者の心臓を
停止して心肺バイパスを施し、それによって死亡率を低くし、患者の苦痛を減ら
し、入院と回復時間を短くし、事前の開胸処置に関わる医療費を少なくすること
ができる。本発明の血管内分割装置を使えば、心臓と冠状動脈を動脈系の残りの
部分から切り離すために上行大動脈を通る血液流を冠状動脈心門と腕頭動脈との
間で完全に閉塞することができる。これは開胸の必要性を取り除くだけでなく、
石灰化や他の合併症のため外部クロスクランプの使用が望ましくない場合でも、
大動脈を通る血液流を停止できるという、現在の心臓処置に使われている大動脈
クロスクランプを凌ぐ十分な利点を有している。

0044

血管内分割装置を入れて心臓を停止し心肺バイパスを確立すれば、患者は大動
脈弁、僧帽弁、その他の心臓弁の修復又は交換、中隔欠陥の修復、肺血栓摘出、
冠状動脈バイパス移植、血管成形、アテローム摘出、電気生理学的マッピング及
び切除、動脈瘤処置、心筋穿孔、神経血管及び神経外科処理等を含む様々な外科
及び診断処置の準備ができたことになる。このような処置は、従来の方法では開
胸して行ったが、本発明により、分割装置自身を通して血管内導入した外科器具
胸壁を小さく切開してそこから導入した胸郭内視鏡かの何れかによる最小化し
た侵入技術を使って、心臓弁交換又は冠状動脈バイパスのような処置を行うこと
ができるようになる。

0045

本発明の他の方法では、冠状動脈循環の逆行灌流により心臓麻痺液が心筋に運
ばれる。この方法を使えば、医師はカテーテルを例えば右内頸静脈のような主要
静脈を通して経皮導入し、カテーテルをその遠位端が右心房内の排出開口を通っ
て冠状動脈洞に至るまで静脈系中を進める。好ましいことに、参考資料に挙げた
米国特許4,689,041,米国特許4,943,277、米国特許5,02
1,045に示されているもののように、カテーテルはその遠位端に膨張バルー
ンを備えている。膨張するとバルーンは冠状動脈洞の排出開口を遮断し、そこか
ら心臓麻痺液が漏れるのを防ぐ。冠状動脈洞の排出開口が遮断されると、心臓麻
痺剤を含む水溶液又は他の液が、心筋全体を麻酔するため静脈と動脈の間の毛細
管床を経由し心筋に流れ込むに十分な圧力を掛け、カテーテルを通して冠状動
脈洞へ送り込まれる。普通、冠状動脈洞内の心臓麻痺液の圧力は組織の損傷を防
ぐため50mmHg以下でなければならない。心筋を過ぎた後、心臓麻痺液は冠
状動脈を逆に通り、冠状動脈心門を経て上行大動脈の上流に排出される。冠状動
脈心門から排出された心臓麻痺液は、冠状動脈循環から流れ出た血液のため最初
相当に不透明であるが、最後には液は清浄になり、処置の間その映像化を容易に
するため手術部位で清浄な液の本体を形成し維持するのに便利に使われる。ある
例ではそうしないで、心臓麻痺液は冠状動脈心門を通って冠状動脈内に位置され
たカテーテルを経由してか、大動脈カテーテルを経由して大動脈根に直接に流し
込むかの何れかで、冠状動脈を通って前方向に流される。

0046

本発明は更に、心肺バイパスを確立し、心臓及び大血管内の介入処置を最少の
動静脈貫通で行うための血管内装置と方法を提供する。本発明の装置と方法を使
えば上行大動脈を通る血液流全てを遮断し、心筋を灌流するため冠状動脈を通し
て心臓麻痺液を導入し、酸素を送り込んだ血液をCPBシステムから大動脈閉塞
点の下流で動脈系に注入することができ、これら全てを股動脈の単一の穿刺を通
して行うことができる。更に、心筋の膨張を防ぐため心臓から血液を排出させ、
酸素を消費した血液をCPBシステムで酸素を送り込むために抜くことができ、
これら全てを股静脈又は頸静脈の単一の穿刺を通して行うことができる。

0047

本発明の更なる態様においては、心肺バイパスを確立するのに必要な切開又は
経皮の動脈又は静脈穿刺の数を少なくできるように、カニューレの管腔を通して
大動脈内分割カテーテルの血管内導入を行うに適した、心肺バイパスカニューレ
を提供する。大動脈内分割カテーテルのシャフトはバイパスカニューレの血液流
管腔内に滑動可能に配置され、バイパスカニューレから取り外し可能であり、そ
して/又はバイパスカニューレとの相対的動きは制限されている。バイパスカニ
ューレには更に、遠位部の長手に沿って複数の出口が設けられ、血液流管腔への
又はそこからの血液の流れを強化するため血液流管腔と流体連通している。動脈
実施例においては血液流管腔は、約250mmHg以下の圧力で、少なくとも約
毎分4リットルの液が容易に流れるような形状になっている。

0048

バイパスカニューレには更に、その遠位端にアダプターアッセンブリーを搭載
することもできる。アダプターアッセンブリーは血液流管腔と連通する第1及び
第2のアクセスポートを有しており、第1アクセスポートはカテーテルシャフト
を収容し、第2アクセスポートは酸素を送り込んだ血液の搬送手段(動脈実施例
の場合)、又は酸素を送り込むための酸素を消費した血液を受け取るための手段
(静脈実施例の場合)と接続するように形作られている。通常、第1アクセスポ
ートには、カテーテルシャフトが第1アクセスポートを通して挿入されるとき及
びカテーテルシャフトが第1アクセスポートから取り外されるときの両方の場合
にそこからの血液の漏れを防ぐため、止血バルブ又はその他のシール手段が搭載
されている。動脈実施例においては、バイパスカニューレの長さは約10ないし
60cm、好ましくは約15ないし30cmで、バイパスカニューレの遠位端の
流出ポートはカテーテルシャフト上の閉塞手段の十分離れた下流に配置される。
これを静脈側に使用する場合、バイパスカニューレの長さは、股静脈から心臓近
くの下大静脈内の点まで、心臓の右心房内の点まで、或いは心臓近くの上大静脈
内の点まで伸びるように、50cmないし90cmであるのが望ましい。替わり
に、静脈バイパスカニューレは、内頸静脈に導入しそこから上大静脈、右心房、
又は下大静脈に配置するように形成していてもよい。

0049

本発明の方法によれば、バイパスカニューレの遠位端は患者の血管内に配置さ
れており、バイパスカニューレの近位端は、血管とCPBシステム間のバイパス
カニューレ内血液流管腔を通して血液が流れるように、CPBシステムに接続さ
れている。次に介入装置がバイパスカニューレの血液流管腔を通して血管に導入
され、介入処置を行うため、心臓内又は心臓近くの大血管内に進められる。

0050

特別な実施例においては、バイパスカニューレは患者の上行大動脈の下流の動
脈に導入され、カテーテルシャフトの遠位端はバイパスカニューレ内の血液流管
腔を通して動脈中に導入される。カテーテルシャフトは、その遠位端近くに取り
付けられた膨張閉塞部材が患者の冠状動脈心門と腕頭動脈の間に配置されるよう
に、透照位置決めされる。酸素を送り込まれた血液はバイパスカニューレ内の管
腔を通して閉塞部材下流の動脈に注入される。閉塞部材は上行動脈内で膨らまさ
れ、複数の心臓周期の間に、そこを通る血液流を完全に遮断する。次に患者の心
筋に麻酔が掛けられる。

0051

大部分の実施例において、バイパスカニューレは、患者の静脈位置から血液を
抜き、血液に酸素を送り込み、酸素を送り込んだ血液を動脈側のバイパスカニュ
ーレ中の血液流管腔に送り込むCPBシステムに接続されている。酸素を消費し
た血液は、股静脈又は内頸静脈のような静脈中に配置された静脈カニューレ中の
血液流管腔を通して抜き取られる。又、心臓排液カテーテルは心臓内、通常は肺
動脈に配置され、そこから血液を抜きそれをCPBシステムに運ぶ。模範的実施
例では、心臓排液カテーテルは静脈カニューレ中の血液流管腔を通して導入され
る。好ましいことに、静脈及び動脈バイパスカニューレは、患者の同一の側の鼠
径部領域で、股静脈及び股動脈各々に導入される。この方法では、静脈及び動脈
バイパスカニューレは両方とも、そこを通して導入される装置同様、患者の単一
の側の単一の外科切開又は経皮的穿刺を通して導入できる。

0052

このように本発明のシステムと方法を用いれば、患者の心臓を停止して従来の
大規模な開胸を行うことなく心肺バイパスを施すことができ、これにより死亡率
を低くし、患者の苦痛を減らし、入院と回復の期間を短くし、事前の開胸処置に
関わる医療費を低く抑えることができる。本発明の血管内分割装置を使えば、心
臓と冠状動脈を動脈系の残りの部分から切り離すために、上行大動脈を通る血液
流を冠状動脈心門と腕頭動脈との間で完全に閉塞することができる。これは全体
開胸の必要性を取り除くだけでなく、石灰化や他の合併症のため外部クロスクラ
ンプの使用が望ましくない場合でも大動脈を通る血液流を停止できるという、現
在の心臓処置に使われている大動脈クロスクランプを凌ぐ十分な利点を有してい
る。更に、本発明の装置と方法は最少の動脈穿刺でこれを行うので、外傷及び感
染症のような合併症の危険性を最少にできる。

0053

本発明のシステムと方法は更に、心機能が停止しているいないに関わらず血管
内介入処置の間、心肺バイパスを施すのに有用である。この処置には血管成形、
アテローム摘出、心臓弁の修復及び交換、中隔欠陥修復、動脈瘤の処置、心筋マ
ピング及び切除、心筋穿孔、その他血管内介入装置を本発明のバイパスカニュ
ーレを通して導入し心臓又は大血管内に進める様々な処置が含まれる。この方法
では、本発明は、これらの処置の間、追加の動脈又は静脈穿刺を必要とせず、心
肺バイパスをやり易くする。

0054

遠位端に膨張閉塞部材をつけた閉塞動脈カテーテルは、心肺バイパス、心臓麻
痺及び左心房減圧との組み合わせで、侵入的胸郭又は腹腔外科手術を必要としな
い、多様な心臓処置へのユニークな血管内アプローチを提供する。更にこのシス
テムは患者身体の外側からの患者の胸部切開部を通して動く胸郭内視鏡案内下で
の、侵入度最少の心臓処置に使うことができる。これらの例では、閉塞カテーテ
ルは液等を送り込む内部管腔を必要としない。本発明によるカテーテルと方法は
心臓停止を起こすのに使え、数多くの外科処置に活用できる。

0055

更に、先に述べたように、本システムは従来型の開胸処置にも採用できる。本
発明のこれらのそしてその他の利点は、添付する代表的な図と組み合わせて以下
の発明の詳細な説明により、より明らかとなるであろう。

図面の簡単な説明

0056

図1は本発明の大動脈内分割カテーテルを採用した心臓アクセスシステムの概
要を示す。

0057

図2は本発明の大動脈内分割カテーテルが上行大動脈内に配置された状態の、
患者の心臓の概略部分断面図である。

0058

図3図2の線3−3に沿った閉塞カテーテル横断面図である。

0059

図4図1に示す逆行心臓麻痺剤送出カテーテル及び肺排気カテーテルの部分
断面拡大図である。

0060

図5Aは本発明の大動脈内分割カテーテルの第1実施例の縦断面図である。図
5Bは図5Aのカテーテルの線5B−5Bに沿った横断面図である。図5Cは図
5Aのカテーテルの線5C−5Cに沿った横断面図である。図5Dは図5Aのカ
テーテルの断面5D−5Dの構造を示す詳細図である。

0061

図6Aは大動脈内分割カテーテルの第2実施例の横側面図である。図6Bは図
6Aのカテーテルの線6B−6Bに沿った横断面図である。図6Cは図6Aのカ
テーテルの線6C−6Cに沿った横断面図である。

0062

図7Aは圧電圧力変換器を有する大動脈内分割カテーテルの第3実施例の縦断
面図である。図7Bは図7Aのカテーテルの線7B−7Bに沿った横断面図であ
る。図7Cは図7Aのカテーテルの線7C−7Cに沿った横断面図である。

0063

図8Aは可変長閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルの第4実施例の
バルーン非膨張時の縦断面図である。図8Bは閉塞バルーンが伸長した位置で膨
張した状態の図8Aのカテーテルの縦断面図である。図8Cは閉塞バルーンが短
縮した位置で膨張した状態の図8Aのカテーテルの縦断面図である。図8Dは図
8Aのカテーテルの代替実施例の近位端を示す。

0064

図9Aは捻れ背低外形閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルの第5実
施例の部分断面側面図である。図9Bは図9Aのカテーテルの閉塞バルーンが膨
張した状態の縦断面図である。

0065

図10Aは予め湾曲させた遠位端を有する大動脈内分割カテーテルの第6実施
例の正面図である。図10Bは図10Aのカテーテルの側面図である。図10
図10Aのカテーテルの線10C−10Cに沿った横断面図である。

0066

図11図10Aの大動脈内分割カテーテルが上行大動脈中に置かれた状態の
患者の大動脈弓の略部分断面である。

0067

図12Aは予め湾曲させた遠位端を有する大動脈内分割カテーテルの第7実施
例の正面図である。図12Bは図12Aのカテーテルの側面図である。図12
図12Aのカテーテルの線12C−12Cに沿った横断面図である。

0068

図13図12Aの大動脈内分割カテーテルが上行大動脈中に置かれた状態の
患者の大動脈弓の略部分断面である。

0069

図14は偏心大動脈閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルの第8実施
例の正面図である。

0070

図15は同心閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルが上行大動脈中に
置かれた状態の患者の大動脈弓の略部分断面である。

0071

図16は偏心閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルが上行大動脈中に
置かれた状態の患者の大動脈弓の略部分断面である。

0072

図17は偏心大動脈閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルの第9実施
例の正面図である。

0073

図18Aは偏心大動脈閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルの第10
実施例の正面図である。図18Bは図18Aのカテーテルの末端面図である。

0074

図19Aは非伸長性大動脈閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルの第
11実施例の正面図である。図19Bは図19Aのカテーテルの末端面図である

図19Cは図19Aのカテーテルの、閉塞バルーンがカテーテルシャフトの回り
巻き付けられた状態の側面図である。図19Dは図19Cのカテーテルの末端
面図である。

0075

図20Aは、非伸長性大動脈閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルの
第12実施例の正面図である。図20Bは図20Aのカテーテルの末端面図であ
る。図20Cは図20Aのカテーテルの、閉塞バルーンがカテーテルシャフトの
回りに巻き付けられた状態の側面図である。図20Dは図20Cのカテーテルの
末端面図である。

0076

図21は成形された閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルが上行大動
脈中に置かれた状態の患者の大動脈弓の略部分断面である。

0077

図22は成形された閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルが上行大動
脈中に置かれた状態の患者の大動脈弓の略部分断面である。

0078

図23Aは成形された閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルが上行大
動脈中に置かれた状態の患者の大動脈弓の略部分断面である。図23Bは図23
Aの成形された閉塞バルーンの横断面である。

0079

図24は成形された閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルが大動脈弓
の頂上に置かれた状態の患者の大動脈弓の略部分断面である。

0080

図25Aは心臓と上行大動脈の空気除去のための湾曲した先端を備えた大動脈
内分割カテーテルを示す。図25Bは心臓と上行大動脈の空気除去のための大動
脈内分割カテーテルの代替実施例を示す。

0081

図26は上行大動脈内でカテーテル先端をセンタリングさせるためのダンベル
型閉塞バルーンを有する大動脈内分割カテーテルを示す。

0082

図27は上行大動脈内でカテーテル先端をセンタリングさせるための操舵でき
る遠位先端を有する大動脈内分割カテーテルを示す。

0083

図28は大動脈壁面の透過照明のため及び/又はカテーテルの非X線透視設置
を容易化するための光ファイバー束を含む大動脈内分割カテーテルを示す。

0084

図29はカテーテル先端から大動脈壁を保護するため及びカテーテルの非X線
透視設置を容易化するための膨張可能バンパーバルーンを有する大動脈内分割カ
テーテルを示す。

0085

図30Aは大動脈内分割カテーテルと共に用いるための摩擦ロック縫合リン
グの後4分の3図である。図30Bは図30Aの摩擦ロック式縫合リングの前4
分の3図である。

0086

図31は大動脈内分割カテーテルと共に用いるための二重機能動脈カニューレ
導入管シースの正面図である。

0087

図32図31の二重機能動脈カニューレと導入管シースの止血具の断面図で
ある。

0088

図33カテーテル挿入チャンバーに導入された大動脈内分割カテーテルを伴
図31のカニューレを示す。

0089

図34は患者の股動脈に導入された大動脈内分割カテーテルを伴う図31、3
2のカニューレを示す。

0090

図35A−35Cは上行大動脈内でカテーテル先端をセンタリングするための
複室バルーンを備えた操舵できる遠位先端を有する大動脈内分割カテーテルを示
す。

0091

図36は二重機能動脈カニューレと導入管シース及び摩擦ロック式縫合リング
と組み合わせられた大動脈内分割カテーテルの多重機能実施例を示す。
好ましい実施例の説明

0092

本発明は、選択的に心臓を停止するシステムと同様、上行大動脈を分割するた
めの血管内装置を含む心臓アクセスシステムを提供するが、これは様々な心臓血
管、肺、神経外科その他の処置を行うのに有用である。本発明の効用が認められ
る処置には、神経血管及び神経外科処置同様、大動脈弁、僧帽弁及びその他の心
臓弁の修復と交換、中隔欠陥修復、肺開胸、電気生理学的マッピング及び切除、
冠状動脈バイパス移植、血管成形、アテローム摘出、動脈瘤処置、心筋穿孔、血
再生等が含まれる。本発明は侵入最小化心臓処置と組み合わせると特に有用で
あり、その場合には血管内装置のみを使い、開胸又は大規模切開の必要なしに、
心臓を停止し、患者に心肺バイパスを施すことができる。更に、従来型の開胸処
置においても、本発明の血管内大動脈分割装置は、外部クロスクランプが石灰化
又は他の大動脈条件による塞栓放出の本質的危険性を誘起しがちな場合にしばし
ば効用を発揮することになろう。

0093

図1は、本発明の心臓アクセスシステム全体及びその各構成要素を概略図示し
たものである。アクセスシステムは長く伸びた大動脈閉塞又は大動脈内分割カテ
ーテル10を含んでおり、カテーテルの遠位端には膨張部材11が取り付けられ
ており、図示したように膨張すると上行大動脈12を閉塞し、左心室13及び上
行大動脈の上流部を患者の動脈系の残りの部分から分離又は分割し、カテーテル
の遠位端を上行大動脈内にしっかりと位置決めする。心肺バイパスシステム18
は図示のように静脈血液を股静脈16から血液抜き取りカテーテル17を通して
抜き取り、血液からCO2を除き、血液に酸素を送り込み、次に、酸素を送り込
んだ血液を戻りカテーテル19を通して、大動脈閉塞カテーテル10上で膨張し
た閉塞部材11により遮断された部分を除く患者の動脈系を通して流れるに十分
な圧力を掛けて、患者の股動脈15に戻す。大動脈閉塞カテーテル10は、患者
の心筋に麻酔を掛けるために心臓麻痺剤を含んだ液を直接大動脈根12へ、そし
て結果的に冠状動脈52,53(図2に図示)へ先行搬送する注入管腔40を有
している。随意的にであるが、逆行心臓麻痺バルーンカテーテル20を患者の静
脈系に配置してカテーテルの遠位端を冠状動脈洞21(図4に図示)に伸ばし、
心筋全体に麻酔を掛けるために、心臓麻痺剤を含んだ液を患者の冠状静脈系を通
して逆行するやり方で心筋に搬送してもよい。

0094

長く伸びた閉塞カテーテル10は下行大動脈を通って左股動脈23へと伸び、
切開部24を通って患者の体外へ出る。患者の外に伸びるカテーテル10の近位
先端25には多重アームアダプター26が装着されており、そのアームの一つ2
7には膨張装置28を収容できるようになっている。アダプター26には又、主
アクセスポート31を備えた第2アーム30があり、そこを器具、弁補綴、血管
内視鏡が通過し、或いは血液、灌注液、心臓麻痺液等がシステムに或いはシステ
ムから導かれる。第3アーム32はカテーテル遠位端の大動脈根注入圧モニタ
ーし、そして/又は血液、灌注液等をシステムへ或いはシステムから導くために
設けられている。図1のシステム編成において、多重アームアダプター26の第
3アーム32は心肺バイパスライン33に接続されており、患者の心臓、特に左
心室から排液し、そして抜き出された血液を回復させ心肺バイパスシステムを経
由して患者に戻す。適応弁34はバイパスライン33を開閉し、そこを通る液を
排出ライン35又は血液濾過回復ユニット37へのライン36へと導く。濾過
れた血液を心肺バイパスシステム18又は他の血液保存システムに戻すために戻
しラインを設けてもよい。

0095

大動脈閉塞カテーテル10の詳細とその遠位先端の大動脈内での配置を図2
図3に詳しく示す。図示するように、カテーテル10はアダプター26の第2
アーム内にある主アクセスポート31と液体連通して心臓麻痺剤を注入するため
の第1内部管腔40を有する長く伸びたカテーテルシャフト39を含んでいる。
更に、注入管腔40はその中を通り遠位端にある遠位ポート41から出る器具、
弁補綴、血管内視鏡、灌注液等が通過し易いようにしておくこともできる。カテ
ーテルシャフト39を動脈システム内への最初の導入のために真直化するとき或
いは大動脈弓を通って前進させるときにこのシャフトが捻れるのを防ぐため、第
1内部管腔40の遠位端に支持コイル42を設けておくこともできる。シャフト
39には又、閉塞バルーン11の内部と液体連通している第2内部管腔43が設
けられている。

0096

システムのある実施例では、図4に詳細を示すが、逆行心臓麻痺バルーンカテ
ーテル20が右内頸静脈44を通って患者の静脈系に導入され、右心房45を通
って進み、右心房の冠状動脈洞排出開口46を通って冠状動脈洞21に入ってい
る。逆行カテーテル20にはその遠位部に、膨張した際に冠状動脈洞21を閉塞
するのに適したバルーン47が備えられている。KCl水溶液のような心臓麻痺
剤を含む液体は、図示のように、その液が冠状動脈洞21、患者の心筋の毛細血
管床(図示せず)、冠状動脈50及び51及び心門52及び53並びに各冠状動
脈を通って上行大動脈の遮断された部分へと流れるように十分な圧力を掛けて、
カテーテル20の患者の体外に伸びた近位端48に導入される。

0097

肺排気カテーテル54も図4に示すように右内頸静脈44の中に配置されて、
右心房45,右心室55を通って肺血管56の中に伸びている。カテーテル5
4は三尖弁57及び肺動脈弁58を通過している。膨張可能閉塞バルーン60は
図示のように、肺排気カテーテル54の遠位部に設けられ、膨張すると図示のよ
うに肺血管幹56を閉塞する。肺排気カテーテル54はカテーテルの遠位端から
近位端まで伸びる第1内部管腔61を有し、肺血管幹56からの液を患者身体外
に排出又は血液回復ユニットへと導き、それによって肺毛細血管床(図示せず)
を通して左心房14を減圧する。カテーテル54は、膨張液を膨張可能バルーン
60の内部に導くのに適した第2内部管腔62を有している。

0098

心臓アクセスシステムをセットするためには、患者には先ず軽い全身麻酔を掛
ける。心肺バイパスシステム18の抜き取りカテーテル17と戻りカテーテル1
9は各々右股静脈16及び右股動脈15各々から経皮導入する。左鼠径部に切開
部24を設け左股動脈23を露出し、その切開部を通して左股動脈内に大動脈閉
塞カテーテル10を挿入し、大動脈閉塞カテーテル10の遠位端上のバルーン1
1が上行大動脈12内の適切な位置に至るまで上流に向かって前進させる。同じ
ように、バイパスを左鼠径部に確立し大動脈閉塞カテーテルを右股動脈に置くこ
とも出来ることに留意されたい。逆行灌流カテーテル20はセルディンガー技法
のような適切な方法で右内頸静脈44又は鎖骨下静脈に経皮挿入し、右心房45
に進め、排出開口46を通って冠状動脈洞に導く。

0099

肺排気カテーテル54は、右内頸静脈44又は鎖骨下静脈(逆行灌流カテーテ
ル導入後どちらでも利用できる)を通って右心房45、右心室55、そして肺血
管幹45へと進める。必要であれば閉塞バルーン60を管腔62を通して液を入
れ膨らませて肺血管幹56を遮断し、その中の液を管腔61を通して排液し、患
者の外に伸びたカテーテルの近位端から排出する。替わりに、閉塞バルーン60
を導入の間に空気又はCO2で部分的に膨らませ、流れの助けを借りて位置決め
してもよい。肺血管幹56から排液すると、左心房14続いて左心室が減圧され
ることになる。替わりに、排気カテーテル54は、米国特許4,889,137
コロボウ)に記載されているような、三尖弁及び肺動脈弁を開いたままに保ち
左心房を減圧させる同様な機能を果たす拡張コイルのような手段をその外側に備
えていてもよい。参考資料として全文を添付している、F.ロッシー他が胸部心
血管外ジャーナル1900年100:914−921に「全心臓欠陥モデル
における末梢部からのカニューレ挿入による長期間心肺バイパス」と題して書い
ている記事も参照されたい。

0100

心肺バイパスユニット18の機能は、血液を股静脈16からカテーテル17を
通して抜き取ることから始まり、抜き取った血液からCO2を取り除き酸素を加
え、それから酸素の送り込まれた血液を戻りカテーテル19を通して右股動脈1
5へ送り込む。それからバルーン11を膨らませて上行大動脈12を閉塞し、そ
うすると左心室からくみ出された血液(以下に議論するように心臓麻痺液によっ
て心臓の動が停止するまで)は排出開口41を通って閉塞カテーテルの第1内
部管腔40に流れる。血液は内部管腔40を通って流れ、アダプター26の第3
アーム32から出てバイパスライン33に入り、弁34及びライン36を通って
血液濾過回復ユニット37に至る。破片等を含む血液及び灌注液のために、弁3
4を液が排出ライン35を通るように切り替えてもよい。

0101

本方法の第1の実施例では、KCl等の心臓麻痺剤を含む液体はカテーテル1
0の注入管腔40を通って大動脈根12、そしてその結果冠状動脈52,53へ
と導かれ、患者の心筋に麻酔を掛ける。替わりに、逆行灌流カテーテル20が心
臓麻痺剤を送り込むのに備えられている場合は、カテーテル20の遠位先端上の
バルーン47が膨らまされて冠状動脈洞21を閉塞し、排出開口46を通って右
心房45へ入る液漏れを防止する。KClの様な心臓麻痺剤を含む液体はカテー
テル20を通って冠状動脈洞21へ導かれ、冠状動脈洞21内での心臓麻痺液の
圧力は十分に高い(例えば40mmHg)ので、心臓麻痺液は冠状静脈を通って
毛細血管床を横切り冠状動脈50,51に至り、心門52,53から出る。冠状
動脈洞21内の心臓麻痺液の圧力は、冠状動脈洞21に圧力損傷を与えるのを避
けるため75mmHg以下に維持されねばならない。心臓麻痺液が一旦心筋内
毛細血管床を通過すると心臓はすぐに鼓動を停止する。その点で心筋は麻酔を掛
けられており、酸素は殆ど必要なく最少の損傷で長時間この状態で維持できる。

0102

心肺バイパスシステムが働いていれば心臓は完全に麻酔に掛かって脈動せず、
左心房、心室は減圧され、上行大動脈は閉塞カテーテル10上の膨張バルーン1
1により遮断され、心臓は心臓処置の準備が適切に整ったことになる。

0103

送出カテーテル10の遠位端上の膨張可能部材11は閉塞カテーテル10の遠
位端を上行大動脈12内に固定し、左心室13と上行大動脈の上流部分を、膨張
可能部材より下流の動脈系の残りの部分から分離する。その場所から下流の領域
に対する心臓血管処置の間に発生した破片、塞栓は固体であれ気体であれ、膨張
したバルーン11によって通過が妨げられる。破片又は塞栓を含む液は、大動脈
弁と閉塞バルーン11との間の領域でカテーテル10の内部管腔40を通して除
去できる。清浄な共存できる液、例えば内部管腔40を通って送られてきた塩水
又は冠状動脈心門52,53から放出される心臓麻痺液のような水をベースとし
た液は、心臓処置を直接観察できるようにする血管内視鏡又はその他の映像化手
段を使い易くするため、血管内処置を行おうとする領域に保持していてもよい。
好ましいことに、左心室13の液圧は左心房よりも相当高く保たれており、左心
房からの血液が左心室に滲み出て処置の観察を妨害するのを防止する。

0104

図5Aは本発明の大動脈内分割カテーテル100の第1の好適な実施例の縦断
面を示す。図5Aの大動脈内分割カテーテル100は同心構造であり、カテーテ
ル100は第1の内側管102が第2の外側管104内に設けられた構造である
ことを示している。カテーテル100の内側管102と外側管104は組み合わ
さって、近位ハブ108から大動脈閉塞バルーン110が搭載されたカテーテル
100の遠位端まで長く伸びたシャフト106を形成している。シャフト106
の長さは、カテーテル100を外科切開若しくはセルディンガー技法により股動
脈又は上腕動脈のような末梢動脈から患者の大動脈に導入して、上行大動脈にま
で進めることができるほどの長さである。股動脈又は総腸骨動脈を使っての導入
の場合、シャフト106の長さは80cmから125cmであるのが望ましい。
上腕動脈、頸動脈又は経皮的に直接大動脈に導入の場合、シャフト106の長さ
は20cmから80cmであるのが好ましい。図5Aの実施例では図5Bと5C
の断面図に示すようにカテーテル100の内側管102には管腔が2つあり、円
形の遠位圧力管腔114を三日月型の心臓麻痺液注入管腔112が包んでいる。
心臓麻痺液注入管腔112及び遠位圧力管腔114はカテーテル100の遠位端
で開いている。心臓麻痺液注入管腔112は、温かい又は冷たい、酸素の送り込
まれた血液と心臓麻痺溶液との混合液を300mmHg以下の注入圧で、約20
0ml/分から400ml/分の速さで送り込むのに十分な断面積を持っている
ことが望ましい。ある現下好適な実施例では、心臓麻痺液注入管腔112の断面
積は、長さ約120ないし130cmのカテーテルに対し、約5.74mm2(
0.00889平方インチ)である。望ましい流量を供給するのに必要な心臓麻
痺液注入管腔112の断面積は、カテーテルシャフト106の長さ及び混合液中
の心臓麻痺液に対する血液の割合によっていくらか変わる。遠位圧力管腔114
は、大動脈根内の圧力を圧力波過度減衰無くカテーテルシャフト106の長
さに沿って伝達するのに十分な断面積を有しているのが望ましい。シャフト長
約120ないし130cmを有する好適な実施例では、内径0.61mm、従っ
て断面積0.29mm2の遠位圧力管腔114が望ましい圧力信号伝達を提供し
ている。

0105

カテーテル100の外側管104は内側管102の回りに、両管の間に円環状
の空間を保って同軸にはめ込まれ、図3Cの断面図に示すように、その空間がバ
ルーン膨張管腔116となっている。カテーテル100の外径は8〜23フレ
チ(シェリエール尺)、好ましくは8〜12フレンチの範囲で作ることができる
。カテーテル100のある好適な実施例では、外側管104の外径は3.4〜3
.5mm、即ち約10.5フレンチ(シェリエール尺)である。カテーテル10
0の第2の好適な実施例では、外側管104の外径は3.2〜3.3mm、即ち
約10フレンチ(シェリエール尺)である。大動脈閉塞バルーン110はカテー
テル100の遠位端に搭載されている。大動脈閉塞バルーン110は、外側管1

4に密封するように取り付けてある近位バルーンネック118と、カテーテル1
00の内側管102に密封するように取り付けてある遠位バルーンネック120
とを有しており、バルーン膨張管腔116はバルーン110の内部と連通するよ
うになっている。好ましいことに、バルーン膨張管腔116の断面面積は約0.
5〜1.0mm2(0.00077〜0.00155平方インチ)であり、大動
脈閉塞バルーン110を急速に膨張そして収縮できるようになっている。説明し
た形状の、特定の現下の好適な実施例では、バルーン膨張管腔116の断面積は
約0.626mm2(0.00097平方インチ)であり、閉塞バルーン110
推奨最大体積40ccに、塩水液又はX線不透過コントラスト剤を混ぜた塩水
液で、35psiの膨張圧で、40秒以内に、好ましくは20秒以内に膨らませ
ることができる。手動で膨らますにしろ機械膨張装置を使うにしろ、過渡的なピ
ーク膨張圧は約35psiに達したとしてもバルーンがその望ましい膨張体積
達したときには、膨張圧がバルーンの膨張を維持するため10〜12psiに減
少するよう、バルーンの膨張には体積限界を設けておくのが好ましい。バルーン
膨張管腔116は閉塞バルーン110を60秒以内で、好ましくは40秒以内で
収縮させることもできる。閉塞バルーン110は通常の注射器を使って手動で膨
張、収縮させることもできるし、機械的利点を備えた或いは圧縮空気又は電動
ーターの動力源を備えた膨張装置を使って膨張、収縮させることもできる。

0106

図5Dは図5Aのカテーテル100の5D−5D断面の構造を詳細に示した図
である。近位バルーンネック118は外側管104の遠位端に重ね継ぎ接着
てある。近位バルーンネック118と外側管104の間の接着、遠位バルーンネ
ック120と内側管102の間の接着は、各構成部品用に選ばれた材料によって
粘着性接着、溶剤接着熱接着の何れで行ってもよい。替わりに、外側管104
を大動脈閉塞バルーン110の材料と単一連続押し出しから成形することもでき
る。

0107

カテーテル100の近位ハブ108は、バルーン膨張管腔116に密封接続さ
れたルアーフィッティングバルーン膨張ポート122、遠位圧力管腔114に密
封接続されたルアーフィッティング圧モニターポート124、心臓麻痺剤注入管
腔112に密封接続された注入ポート126を備えている。近位ハブ108は内
側管102の近位端及び外側管104と粘着性接着、インサートモールディング
又は既知のプロセスで接合されていてもよい。

0108

図5Aの実施例では、大動脈閉塞バルーン110は膨らんでいない状態110
で概ね球形をしているように、そして膨らんだ或いは膨張した状態110’でも
概ね球形をしているように描かれている。膨らんでいない状態でバルーンが取り
うる他の形には円筒形楕円又はフットボール型、偏心又はその他の形がある。
これらの変化の幾つかを以下更に述べる。この好適な実施例においては、バルー
ン110は膨らんでいない状態から膨らんだ状態へと弾性的に伸びてゆく弾性材
料から作られている。バルーン110用に好適な材料には、弾性、強さ、血液及
身体組織との短期間接触に際しての生物学的適合性によって選ばれた、ラテッ
クス、シリコン、ポリウレタンが含まれている。

0109

図6Aは、大動脈内分割カテーテル200の第2の好適な実施例の縦断面図を
示す。この実施例では、内側管202はD型の心臓麻痺剤注入管腔212と、D
型の遠位圧力管腔214とで作られている。内側管202でD型管腔を選択すれ
ば、断面積一定として図5Cの三日月型心臓麻痺剤注入管腔と比べると、心臓麻
痺剤注入管腔212内での直径方向空間を最大にできる。カテーテル200のこ
異形は、心臓麻痺剤注入管腔212を通してカテーテル又は他の器具を心臓及
びその周辺の血管に導入しようとする場合には好ましい。

0110

図6Aに示すように、本実施例の閉塞バルーン210は、萎んだ状態ではバル
ーンのモールディング過程で与えられた楕円又はフットボール型をしている。
モールドされたバルーン210の壁厚さは、萎んだ状態では普通約0.090〜
0.130mmである。典型的には、萎んだバルーン210の直径は折り畳まれ
る前は約12mmであるが、萎んだバルーンの径は3mmから20mmにするこ
ともできる。膨らんだバルーン210’は概ね球形となり、膨らんだときの最大
直径は40mmである。モールドされたバルーンのフットボール形状は、萎んだ
バルーン210の形状が試験を行った他のバルーンの形状のものよりも嵩張らず
より滑らかであるという点で有利であることが示されている。このことにより、
萎んだバルーン210を折り畳んで、経皮穿刺で、或いは導入管シースを又は二
重機能動脈カニューレと導入管シースを通して、より容易に股動脈に挿入できる
ようになる。この実施例でも同様に、バルーン210はラテックス、シリコン、
ポリウレタンなどの弾性材で作られるのが好ましい。ある特定の実施例では、フ
トボール型バルーンは、バルーン中央部分の曲率半径約1.0インチ、バルー
ン中央部分の最大直径約0.5インチの雄型ディップ・モールディングマンド
ルで内部形状が決められている。バルーンの中央部分の曲率は滑らかに丸みを帯
び、例えば半径約0.25インチで、近位及び遠位バルーンスリーブに向けて変
化し、そこでは選択された直径のカテーテルシャフトの外径にぴったりと合うよ
うな寸法になっている。

0111

図7Aは第3の好適な実施例としての大動脈内分割カテーテル300の縦断面
図である。本実施例のカテーテル300は同軸構造で、単一管腔内側管302の
周囲を単一管腔外側管304が取り囲んでいる。単一管腔内側管302の中は円
形の心臓麻痺剤注入管腔312となっており、その近位端上でカテーテル300
の近位ハブ308の注入ポート326に接続されている。心臓麻痺剤注入管腔3
12はカテーテル300の遠位端で開放されている。カテーテル300の単一管
腔外側管304は単一管腔内側管302と同軸に配置され、両管の間に設けられ
た円環状の空間はバルーン膨張管腔316を形成している。バルーン膨張管腔3
16はその近位端上で近位ハブ308のバルーン膨張ポート322に接続されて
いる。

0112

この実施例では、カテーテル300の遠位先端332に搭載されている遠位圧
力変換器330が大動脈根の圧力をモニターする機能を果たしている。遠位圧力
変換器330は大動脈根の圧力を電子的にモニターし、信号を信号線334及び
336に沿って、カテーテル300の近位ハブ308上の電気コネクター324
の中にある電気コネクション338及び340に伝達する。電気コネクターはカ
テーテル300の遠位端332における圧力をアナログ又はディジタルで表示す
る電子圧力モニターに接続できるようになっている。遠位圧力変換器330は変
換器330に働く外部液圧の電圧信号表示を作り出す圧電式圧力変換器であるの
が望ましい。遠位圧力変換器330の構成に適した圧電素子材の例には、酸性
ッ化ポリビニリデン又はキナール(エルアトケム社)のような圧電ポリマー
バリウムタネイトジルコニウムバリウムチタネイトのような圧電セラミッ
クス、その他商業ベースで入手できる圧電素子材が含まれる。遠位圧力変換器3
30の形状は、図7A及び7Bに示すように、カテーテル300の遠位先端33
2を取り巻くリングでよい。替わりに、カテーテル300の遠位先端332の片
側側面に圧電素子材の小片を付けておいてもよい。遠位圧力変換器330は心臓
麻痺剤の注入の間及び大動脈根の排液の間に根の圧力を計測できるように−75
から300mmHg以上(−1.5〜5.7psi)までの圧力感知範囲を備え
ているのが望ましい。随意選択的にであるが、バルーン圧力モニター変換器35
0を、バルーン310の膨張圧力をモニターするために、カテーテル300のバ
ルーン310内に搭載してもよい。バルーン圧力モニター変換器350はバルー
ン膨張圧力を電子的にモニターし、信号を信号線352及び354に沿って、カ
テーテル300の近位ハブ308上の電気コネクター324の中にある電気コネ
クション356及び358に伝達する。バルーン圧力モニター変換器350は、
変換器350に働く外部液圧の電圧信号表示を作り出す圧電式圧力変換器である
のが望ましく、例えば、遠位圧力変換器330に関して先に指定した圧電ポリマ
ー又は圧電セラミックスで作られているのが好ましい。バルーン圧力モニター変
換器350は閉塞バルーン310の膨張及び収縮の間にバルーンの圧力を計測で
きるように、−760から300mmHg以上(−15〜35psi)までの圧
感知範囲を備えているのが望ましい。バルーン圧力モニター変換器350は、
上行大動脈の閉塞が確実に行われていることを保証するため、閉塞バルーン31
0が適切な圧力まで膨らんだことを確実にする目的でバルーン内圧をモニターす
るのに使ってもよい。又、バルーン圧力モニター変換器350は、バルーン内の
膨張圧力のスパイク又は膨張の間の圧力/体積曲線変曲点をモニターして、閉
塞バルーン310が上行大動脈内壁に接触した時を確認するのに用いこともでき
る。閉塞バルーン310を上行大動脈内壁に接触するまで膨張させ、それからあ
る設定量の膨張液を追加して大動脈管腔を確実にシールするというプロトコル
用いれば、個々の患者に対して安全な膨張体積を決定することができる。替わり
に、閉塞バルーン310が大動脈壁に接触する時を確認して、シールできるまで
の設定量の圧力を漸増させるというプロトコルを含んでいてもよい。

0113

遠位圧力変換器330からの信号線334,336及びバルーン圧力モニター
変換器350からの信号線352,354は、内側管302と外側管304の間
の円環膨張膨張管腔316を通して伸ばしてもよい。信号線334,336,3
52,354は膨張管腔316の中に束ねずに少し弛みを持たせて配しても、内
側管302の回りに螺旋状に巻いておいてもよく、そうしておけば、カテーテル
300の曲げ特性に悪い影響を及ぼすことはない。替わりに、信号線334,3
36,352,354を内側管302の壁に、押し出し工程の間或いは押し出し
操作の後の何れかで埋め込んでおいてもよい。電気的インピーダンスを変換器3
30,350及び/又は電子圧力モニターのインピーダンスと合わせるため、信
号線334,336,352,354は必要に応じて並行な対、対でったもの
或いは同軸ケーブルの何れの形でもよい。

0114

大動脈根圧力モニターのための遠位圧力変換器330を用いれば、図5A及び
6Aの実施例に示すようにカテーテル内の分離した圧力モニター管腔の必要は無
くなる。このことにより、注入管腔312内の心臓麻痺剤流量及びバルーンの膨
張管腔316を通してのバルーンの膨張及び収縮速度に関するカテーテルの性能
を損なうことなくカテーテルの外径を小さくできる。この設計に従って構成した
10フレンチ(外径3.3mm)カテーテルでは、流量とバルーン膨張性能が、
分離した圧力モニター管腔付きで構成された10.5フレンチ(外径3.5mm
)カテーテルと同等である。この方法でカテーテルの外径を小さくすれば、数多
くの臨床上の利点が生まれる。カテーテルの外径が小さくなれば、患者の股動脈
、上腕動脈、その他の動脈に、セルディンガー技法、動脈切開、導入間シースを
通しての挿入の何れでも導入するのが容易になる。小さな径のカテーテルなら、
小さな患者、特に女性及び小児科の患者に見られる細い動脈にでも導入できる。
これはより多くの患者人口に対してカテーテル及びその使用方法臨床的適用を
増加させるであろう。全ての患者にとって、カテーテルの径が小さい方が導入す
る動脈の外傷が少なくなり、それにより動脈アクセス部位での出血又は血腫のよ
うな合併症の可能性を低くすることができる。図31−34に関連して以下に説
明するように、径の小さいカテーテルは二重機能動脈カニューレ及び導入管シー
スとの組み合わせで用いる際に特別の利点を持っており、それはシャフトの径が
小さければカニューレの血液流管腔の占有面積も少なくなり、低い圧力で高い流

が確保できるからである。これらの改善によって、大動脈内分割カテーテルの外
径は、温かい血液心臓麻痺剤と共に用いる場合には8〜10フレンチ(外径2.
7−3.3mm)、結晶質心臓麻痺剤と共に用いる場合には7〜9フレンチ(外
径2.3−3.0mm)に低減できる。

0115

閉塞バルーンをカテーテルの回りに自己収縮させることによって、末梢動脈ア
クセス部位からカテーテルを導入し又は取り出す間のカテーテルの有効外径を低
減する改善を更に行うことができる。自己収縮閉塞バルーンを装着した同軸構造
のカテーテルの実施例を2つ図8A−8C及び図9A−9Bに示す。

0116

図8Aは同軸構造大動脈内分割カテーテル400の縦断面図であり、内側管4
02と外側管404は軸方向に互いに動けるようになっている。内側管402は
心臓麻痺剤注入管腔412と圧力モニター管腔414を有している。内側管40
2は、心臓麻痺剤注入管腔412及び圧力モニター管腔414の各々と連通する
ルアーフィッティングコネクション426,424を備えた第1近位ハブ430
と接続されている。外側管404は内側管402の回りに同軸的に配置され、両
管の間の円環状の空間はバルーン膨張管腔416を形成する。外側管404は、
バルーン膨張管腔416へのルアーフィッティングコネクション422を備えた
第2近位ハブ432と接続されている。内側管402は、第2近位ハブ432及
び外側管404に対し内側管402が軸方向に動けるようにする滑動液シール
40を通って出て、第2近位ハブ432を貫通している。

0117

ある好適な実施例では、滑動液シール440は業界ではトゥオイ−ブロストア
プターとして知られている圧縮型部品である。トゥオイ−ブロストアダプター
440は、第2近位ハブ432の近位端上で内腔446内にはめ込まれた圧縮
能な管状又は環状の弾性シール442を有している。ネジ付き圧縮キャップ
44が第2近位ハブ432の近位端に嵌合している。圧縮キャップ444が締め
つけられると弾性シール442を軸方向に圧縮し、シール442の管腔448が
狭くなって内側管402に対してシールすることになる。トゥオイ−ブロストア
ダプター440は、弾性シール442と内側管402の間の摩擦力が両者が互い
に軸方向に動くのを効果的にロックするまで圧縮キャップ444を締めることに
より、内側管402の位置を第2近位ハブ432及び外側管404に対して固定
するのにも用いることができる。

0118

図8Dに示す第2の好適な実施例では、滑動液シール440はロック機構45
0と組み合わさって内側管402を外側管404に対して両者が互いに軸方向に
動かないようにロックする。ロック機構450は内側管402と一列になってい
ネジ付きシャフト452とシャフト452上にネジ嵌合しているロックナット
454とから成っている。ロックナット454をネジ付きシャフト452上で回
転することにより、内側管402の外側管404に対する位置を調整して膨らま
せたときの閉塞バルーン410の長さを増減できる。滑動液シール440は先に
述べたようにトゥオイ−ブロストアダプターでもよいし、別のロック機構450
が設けられているから、図示するように、Oリング又はワイパーシール456の
ような単純な滑動シールでもよい。

0119

バルーン410が収縮したときには、図6Aに示すように、内側管402はそ
の最も遠い遠位位置まで動かせ、外側管404に対しロックすることができる。
こうすると、閉塞バルーン410の壁は伸び、収縮したバルーンは内側管402
の回りにタイトに畳み込まれて、収縮したときの外形は小さくなり末梢動脈アク
セス箇所又は導入管シースを通しての導入が容易になる。閉塞バルーン410が
上行大動脈内の必要な位置に進められると、ロック機構440を解除してバルー
ン410は膨張させることができる。図6Bは図1Aの大動脈内分割カテーテル
400において、内側管402が外側管404に対して中間位置にある状態で閉
塞バルーン410’が膨らまされたところを示す。この位置では、内側管402
と外側管404は閉塞バルーン410’の両端に引っ張り力を掛けており、バル
ーンを軸方向に幾らか伸ばしている。その結果、バルーン410’はやや長円形
の膨張外形となり、自由に膨張させたバルーンの典型的な球形に比べて直径は小
さく軸方向には長い。図6Cは図1A及び1Bの大動脈内分割カテーテル400
において、内側管402が外側管404に対して更に近い位置にある状態で閉塞
バルーン410”が膨らまされたところを示す。この位置では、内側管402と
外側管404は閉塞バルーン410”の両端に圧縮力を掛けており、バルーンの
膨張を軸方向に幾らか拘束している。その結果、バルーン410”は、直径は自
由に膨張させたバルーンの直径に達しているが軸方向には幾らか短い外形となっ
ている。この特徴を利用すれば、バルーンの膨張時の直径と軸長さ、従って大動
脈壁との接触長さをある範囲内で選択でき、同様に挿入及び取り外しのために収
縮させるとき、バルーンをより十分に折り畳むこともできる。閉塞バルーン41
0を人間大人の上行大動脈に使う際に利用できるバルーン直径は20cm以上4
0cmまでである。小児科患者又はヒト以外に使う際はバルーン直径の範囲は変
わってくるだろう。

0120

この特徴は、動脈内分割カテーテル400を大動脈弁、或いは大動脈根又は上
行大動脈内の手術又はその他の介入処置を行う間に使う場合、特に有用である。
手術を容易にするためには、機器を上行大動脈内で操作できるように膨張した閉
塞バルーン410”と大動脈弁との間にできるだけ広い隙間を提供すること、そ
して一方では同時に閉塞バルーン410”が腕頭動脈を閉塞しないようにするこ
とが重要である。この場合、バルーン410”の軸方向寸法をできるだけ抑える
ため、閉塞バルーン410”を膨張させる前に、内側管402を外側管404に
対し最も近い位置まで調整することになる。

0121

図9Aは同軸構造大動脈内分割カテーテル500の縦断面図であり、内側管5
02と外側管504とは互いに回転できるようになっている。内側管502は近
位ハブ508上でルアーフィッティングコネクション526と接続されている心
臓麻痺剤注入管腔512を有している。外側管504は内側管502の回りに同
軸状に配され、両管の間の円環型空間は近位ハブ508上でルアーフィティ
グコネクション522と連通しているバルーン膨張管腔516を形成している。
外側管504は、近位ハブ508の遠位端上に回転、滑動自由に組み付けられて
いる回転カラー540に接続されている。回転カラー540と近位ハブ508と
の間にはOリングシール542又は他の型式の液封シールが配置されている。大
動脈閉塞バルーン510はカテーテル500の遠位端上に搭載され、バルーン膨
張管腔516がバルーン510の内部と連通するように、近位バルーンネック5
18は外側管504に密封取り付けし、遠位バルーンネック520はカテーテル
500の内側管502に密封取り付けしてある。閉塞バルーン510はラテック
ス、シリコン、ポリウレタンなどの弾性材料で作られているのが望ましい。カテ
ーテル500の遠位先端に搭載されている圧電遠位圧力変換器530は大動脈根
圧力を電子的にモニターし、信号線532及び534に沿って、信号をカテーテ
ル500の近位ハブ508上の電気コネクター524内にある電気コネクション
536及び538に伝達する。

0122

カテーテル500を末梢動脈アクセス部位又は導入管シースを通して導入又は
抜き取りする際に閉塞バルーン510をその可能な限り背低の収縮外形に折り畳
むため、回転カラー540を近位ハブ508に対して回転し、収縮した閉塞バル
ーン510を内側管502の周囲に捻ることができる。更に、回転カラー540
を近位ハブ508に対し近付く側に動かしてバルーンを引っ張り、平らで背低な
収縮外形を作り出すこともできる。カテーテルを導入して必要な位置まで進めた
ら、膨らませる前に回転カラー540を逆方向に回転しバルーンを捻れた状態か
ら元に戻す。閉塞カテーテル510’を完全に膨張させた状態のカテーテル50
0を図9Bに示す。使用後カテーテル500を抜き取る場合には、閉塞バルーン
510を収縮させ、回転カラー540を再び回転させ、近位ハブ508に対し近
付く側に動かして収縮した閉塞バルーン510を内側管502の周囲に捻り、カ
テーテル500を取り出すために背低の収縮外形を作る。

0123

今まで述べた実施例の何れにおいても、カテーテルのシャフトは、同軸構造で
あれ多重管腔構造であれ、多様な形態の内の一つをとることができる。最も単純
な形態では、カテーテルのシャフトは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリビニ
ールクロライド、ポリアミドポリエーテルブロックコポリマーなどの柔軟性の高
プラスチック又は高分子化合物で、好ましくはショアD硬度が35から72の
範囲にあるもので作った、長い柔軟性のある管であってもよい。本実施例のもう
一つの違った形態としては、剛性が高い近位部分から柔軟性が高い遠位部分へと
区域により剛性の漸変する真直なシャフトであってもよい。剛性の変化するシャ
フトは、剛性の異なるポリマーで出来た管状セグメントの端部を互いに溶融接合
して、2つ、3つ又はそれ以上の剛性の異なる区域を有するものを作ることもで
きる。ある実施例では、カテーテルシャフトを、ショアD硬度63〜72のポリ
アミドポリエーテルブロックコポリマーで作った高剛性の近位部分と、ショア
硬度55〜63の軟質の同種のポリマーで作った中間部分と、ショアD硬度35
〜55の非常に軟質のポリマーで作った遠位部分とで構成することができる。又
カテーテルシャフトの遠位端に、ショアD硬度25〜35の特別に柔軟で柔らか
い先端をモールド又は熱溶着することもできる。替わりに、カテーテルシャフト
の長手方向に沿って剛性を徐々に変化させるために全体断続押し出しのような工
程を使って、シャフトを近位端から遠位端へ連続的に変化する剛性を持ったもの
にしてもよい。同軸構造のカテーテルでは、カテーテルの剛性が漸変する全体的
効果を出すために、内側管及び外側管の一方又は両方の剛性が変化するように作
ってもよい。更に、剛性を上げ、トルクを制御し、或いは捻れ抵抗を上げるため
に、内側管及び外側管の一方又は両方をワイヤ又は繊維ブレード或いはコイルで
補強してもよい。

0124

シャフトの重合体材には、ビスマスブカボネイト、ビスマスオキシクロ
イド、ビスマストリオキサイド、バリウムサルファ、その他のX線不透過材のよ
うなX線不透過充填材が入っているのが望ましい。シャフトには約10〜30重
量%程度、望ましくは約20%のX線不透過充填材が入っているのが望ましい。
柔らかな先端部にはX線透視視認が良くできる様に、X線不透過充填材を約30
〜35重量%程度の高い割合で入れるのが望ましい。X線不透過充填材の替わり
に或いはそれに加えて、金、白金、錫、タンタルタングステン合金の環のよう
なX線不透過マーカーを、カテーテルシャフトの長手方向に沿った様々な位置、
特にカテーテルの先端に、X線透視視認のために装着してもよい。

0125

そのような実施例では、柔軟性の高いカテーテルを、カテーテルを所定の位置
まで進め操作するのに必要な剛性を提供するためにカテーテルの注入管腔内に配
置された剛性の高いガイドワイヤ及び/又は拡張器と共に、患者の下行大動脈を
通して上行大動脈へと進める。剛性の変化する実施例では、近位シャフトセグ
ントの剛性がカテーテルを所定の位置へと進め操作するのを助けるであろう。必
要ならば、湾曲したガイドワイヤ又は拡張器を使って、カテーテルシャフトを大
動脈弓の曲がりに合わせる手助けをすることもできる。カテーテルが所定の位置
に達したら、バルーンを膨張させて上行大動脈を閉塞し、ガイドワイヤ又は拡張
器を抜いて注入管腔から心臓麻痺液を注入できるようにする。

0126

他のやり方では、カテーテルシャフトをやや剛性の高いポリマーで作り、カテ
ーテルの遠位セグメントを閉塞バルーンが上行大動脈内の正しい位置に来るよう
操作しやすいような形状に予め湾曲させておけるようにしてもよい。先に述べた
真直なカテーテルシャフトに関しては、予湾曲カテーテルシャフトを剛い近位セ
グメントから柔軟な遠位セグメントまで剛性を漸変させるように作ってもよい。
シャフトは、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリビニールクロライド、ポリアミ
ドポリエーテルブロックコポリマーなどの僅かに高硬度グレードの柔軟性のある
プラスチック又は高分子化合物で、好ましくはショアD硬度が55から72の範
囲にあるもので作る。好ましくはショアD硬さが25から35の範囲にある、低
硬度の高分子化合物で作った短い非常に柔軟な先端を遠位端に取り付けて、接触
するかもしれない動脈壁及び大動脈弁へ損傷を与えにくくすることもできる。予
湾曲カテーテルシャフトの例を2つ図10A−10C及び11A−11Cに示す
。この実施例では、一つの例として多管腔構造としたものを表示しているが、予
湾曲シャフトは先に述べた同軸構造の一つとして作ることもできる。

0127

予湾曲シャフト付きの大動脈分割カテーテル600の好適な実施例の一つを図
10Aに示す。本実施例では、カテーテルシャフト602の遠位部604は、閉
塞バルーン610を上行大動脈内に設置しやすい様な形にしてある。カテーテル
シャフト602の湾曲は、膨張した閉塞バルーンの移動やずれを防止するために
カテーテルを適切な位置に安定させる働きもする。カテーテルシャフト602の
遠位部604は、約270−300度、弧状に湾曲している。カテーテルシャフ
ト602の湾曲は複合曲線で構成され、第1セグメント606は曲率半径約75
−95mmの約135°の弧である。第1セグメントに続く第2セグメント60
8は、やや小さな曲率半径約40−50mmの約135°の弧である。第2セグ
メントに続く第3セグメント612は長さ約25−50mmで、カテーテルの遠
位端614に隣接している。閉塞バルーン610は、カテーテル600の遠位端
614の近くの、カテーテルシャフトの第3セグメント612上に搭載されてい
る。カテーテル600の第3セグメント612は真直でもよく、その場合はカテ
ーテル遠位部604の湾曲は含み角約270°の弧となる。替わりに、カテーテ
ル600の第3セグメント612は、図10Aに示すように第3セグメント61
2のほぼ中程から上向きに角度を付け、湾曲の弧を約300°にしてもよい。第
3セグメント612に上向き角を付けておけば、カテーテル600の導入の間に
大動脈弓の湾曲部を通過する際、カテーテル600が拡張器又はガイドワイヤに
追随し易くなる。第3セグメント612のこの角度はカテーテル600の遠位先
端614が大動脈弓を通過する際に大動脈の内壁に接触するのを防止し、それに
よって、大動脈の壁に炎症を起こすか又は損傷を与え、或いは結石その他塞栓の
元となるかもしれないものを剥がす様なことを少なくする。カテーテルの湾曲は
図10Bの側面図に示すように概ね一平面上にある。上記のカテーテル湾曲の特
性は一つの好適な実施例を表示するための実例として述べたものである。湾曲形
状の正確な角度と長さは、大動脈弓のX線観察に基づいた患者の解剖学的構造
状に従って変えてもよい。

0128

カテーテルシャフトの断面を図10Cに示す。カテーテルシャフト602は、
好ましくはショアD硬度が55から72の範囲にあるポリウレタン、ポリエチレ
ン、ポリビニールクロライド、ポリアミドポリエーテルブロックコポリマー等の
柔軟なプラスチック又は高分子化合物の多管腔押し出し成形で作られている。あ
る好適な実施例では、多管腔カテーテルシャフト602は、心臓麻痺剤注入管腔
616,遠位圧力モニター管腔618,バルーン膨張管腔620を有している。
バルーン膨張管腔620は膨張可能閉塞バルーン610の内部と液体連通してい
る。注入管腔616と遠位圧力モニター管腔618は各々、閉塞バルーン610
より遠位にあるカテーテル600の遠位先端614で又はその近くで、別々のポ
ートとつながっている。血液/心臓麻痺剤法を用いる場合、カテーテルシャフト
602の外径は3.5〜4mm、即ち10.5〜12フレンチ(シェリエール尺
)であるのが望ましい。結晶質心臓麻痺剤法を用いる場合、カテーテルシャフト
602はもっと小さく、その外径は3.3mm、10フレンチ(シェリエール尺
)以下とすることができる。

0129

図11は患者の大動脈弓Aの概略一部断面で、図10Aの大動脈内分割カテー
テル600が上行大動脈B内にある状態を示している。使用する場合、図10
のカテーテルシャフト602の遠位湾曲604は、カテーテル600を股動脈の
ような末梢動脈アクセス部位へ挿入しやすくするため、ガイドワイヤ及び拡張器
(図示せず)をカテーテル600の注入管腔616に挿入して、最初は真直にし
ておく。カテーテル600の遠位端614が大動脈弓Aの頂点に至るまでカテー
テル600を進める。次に、カテーテル600が大動脈弓Aを越して進むに従っ
て拡張器を抜き取り、カテーテル600の湾曲した遠位部604が上行大動脈B
内でその湾曲を復元できるようにする。カテーテル600が上行大動脈B内で適
切な位置にあるときには、湾曲したシャフトの第2セグメント608は大動脈弓
Aに沿ってカテーテルの遠位先端614を大動脈根R上で中心位置に保持する。
カテーテルシャフトの第1湾曲セグメント606は下行大動脈D内にあり、大動
脈壁と接触していくらか真直になっている。患者の上行大動脈BがX線透視で観
察して比較的真直な場合に、閉塞バルーン610’を膨張させた際にカテーテル
先端614を適切にセンタリングさせるには、湾曲シャフトの真直第3セグメン
ト612が適している。上行大動脈Bが湾曲している場合は、図10Aに示すよ
うな湾曲した或いは角度の付いた遠位セグメント612が望ましい。

0130

予湾曲シャフトを備えた大動脈分割カテーテル650のもう一つの好適な実施
例を図12Aに示す。本実施例でも、カテーテルシャフト652の遠位部654
は、閉塞バルーン660を上行大動脈内に設置しやすく、そして膨張した閉塞バ
ルーン660’の移動やずれを防止するためにカテーテルを適切な位置に安定さ
せる様な形にしてあるが、患者の解剖学的構造に合わせるのとは少し違う形をし
ている。カテーテルシャフト652の遠位部654は約270〜300度を含む
弧の概ね楕円形の湾曲形状となっている。楕円形の短軸646はカテーテルの軸
652と並行で長さは約50〜65mmである。楕円形の長軸648はカテーテ
ルの軸652に垂直で長さは約55〜70mmである。楕円曲線は大きな曲率半
径を持つ第1セグメント656,小さな曲率半径を持つ第2セグメント658,
閉塞バルーン660が搭載されている第3セグメント662で構成されていると
見ることもできる。カテーテル650の湾曲遠位部654はカテーテルシャフト
の平面から幾らかずれており、図12Bに示すようにカテーテルシャフトの面か
ら約10〜20°の角度が付き、腹側に螺旋状になっている。ある現下の好適な
実施例では、カテーテル650の遠位先端664はカテーテルシャフト652の
平面からのオフセット672が約14mmである。螺旋曲線のオフセット672
があるため、上行大動脈が腹側に角度の付いている患者では上行大動脈内でカテ
ーテル先端664をセンタリングさせ易い。オフセット672の好適な角度は患
者の解剖学的構造によって相当に変わるが、0〜25mmの範囲のオフセット6
72が殆どの患者に適合する思われる。繰り返すが、このカテーテルの曲線は一
つの好適な実施例に例として述べているのである。湾曲形状の正確な角度と長さ
は、大動脈弓のX線観察に基づいた患者の解剖学的構造形状に従って選択しなけ
ればならない。図10A及び12A等に示す曲線を変化させた一連のものが準備
できれば、大動脈形状をX線観察した後に患者に適したカテーテル曲線を選択で
きるようになるであろう。

0131

カテーテルシャフトの断面を図12Cに示す。カテーテルシャフト652は、
ポリウレタン、ポリエチレン、ポリビニールクロライド、ポリアミドポリエーテ
ブロックコポリマー等の、好ましくはショアD硬度が55から72の範囲にあ
る、柔軟性のあるプラスチック又は高分子化合物で作られている。ここに表示す
る実施例では、多管腔カテーテルシャフト652は心臓麻痺剤注入管腔666,
遠位圧力モニター管腔668,バルーン膨張管腔670を有している。バルーン
膨張管腔670は膨張可能閉塞バルーン660の内部と液体連通している。注入
管腔666と遠位圧力モニター管腔668は各々、閉塞バルーン660より遠位
にあるカテーテルの遠位先端664で又はその近くで、別々のポートとつながっ
ている。血液/心臓麻痺剤法を用いる場合、カテーテルシャフト652の外径は
例えば3.5〜4mm、即ち10.5〜12フレンチ(シェリエール尺)の範囲
の寸法で作ることができ、結晶質心臓麻痺剤法を用いる場合は、外径は3.3m
m、10フレンチ(シェリエール尺)以下とすることができる。

0132

図13は患者の大動脈弓Aの概略一部断面で、図12Aの大動脈内分割カテー
テル650が上行大動脈B内にある状態を示している。使用する場合、ガイド
イヤ及び拡張器(図示せず)を注入管腔666に挿入してカテーテル650の遠
位湾曲部654を真直にする。カテーテル650を弧動脈のような末梢動脈アク
セス部位に導入しカテーテル650の遠位端664が大動脈弓Aの頂点に至るま
で進める。次に、カテーテルが大動脈弓Aを越して進むに従って拡張器を抜き取
り、カテーテル650の遠位部652が上行大動脈B内でその湾曲を復元できる
ようにする。カテーテル650が上行大動脈B内で適切な位置にあるときには、
湾曲したシャフトの第2セグメント658は大動脈弓Aに沿ってカテーテルの遠
位先端664を大動脈根R上で中心位置に保持する。この曲率がついているので
カテーテルシャフトの第2セグメント658は大動脈弓Aの内側曲線に沿いやす
くなり、カテーテルシャフトが大動脈弓から分岐する腕頭動脈又はその他の動脈
への血液流を閉塞したり妨害したりするのを防止する。カテーテルシャフト65
2の第1湾曲セグメント656は下行大動脈D内にあり、大動脈壁と接触してい
くらか真直になっている。カテーテルシャフト652が角度の付いた或いは螺旋
状の曲線となっていると、患者の内部で腹側に角度が付いていることの多い上行
大動脈Bの管腔内でカテーテル650の遠位先端664がセンタリングし易くな
る。

0133

図10A−10C及び12A−12Cの実施例におけるカテーテルシャフトの
外径をカテーテル内の最大流量性能を維持したままで小さくするため、特に以下
図31−34に関して述べる二重目的動脈カニューレ及び導入管シースと組み
合わせて用いるためには、多管腔押し出し成形の壁の厚さをできるだけ薄くする
のが望ましい。壁が薄いカテーテルシャフトの予湾曲遠位部(図10Aの604
及び図12Aの654)における捻れ抵抗特性を改善するには、予湾曲遠位部を
柔らかく柔軟性のあるポリマーにディップコートするのが効果的であると分かっ
ている。例えば、カテーテルシャフトの予湾曲遠位部にショアA硬度80のポリ
ウレタンを約0.005−0.020インチの厚さコーティングすれば、カテー
テルシャフトの捻れ抵抗特性は大幅に改善される。ポリウレタン閉塞バルーンを
カテーテルシャフト上に搭載する前にコーティングすれば、コーティングは閉塞
バルーンのシャフト上への熱溶着性も改善する。カテーテルシャフトの遠位部の
みにコーティングすれば、灌流中に二重目的動脈カニューレ及び導入管シースの
血液流管腔内に位置することになる近位部におけるカテーテルシャフトの外径を
増加させないという利点がある。カテーテルシャフトの近位部は予湾曲されてお
らず、しかも使用時には比較的真直な下行大動脈中に位置するので、この領域の
シャフトの捻れ抵抗を補強する必要はない。

0134

図10A及び12Aに示すカテーテル湾曲の一つの重要な機能は、心臓麻痺液
が注入管腔を通して大動脈根に噴射された際に、それが冠状動脈に均等に配分さ
れることを保証するため、閉塞バルーンが膨張する前及び後に上行大動脈内でカ
テーテルの先端をセンタリングさせることである。多くの場合、カテーテル先端
動脈管腔の中心に保つためにはカテーテルは複合曲線である必要がある。ある
場合には、単純な180°のU型湾曲では、膨張したバルーンが同心であるにも
かかわらず、上行大動脈の曲線の故にカテーテル先端が中心ずれを起こす結果と
なることが分かっている。カテーテルの遠位先端を上行大動脈管腔内でセンタ
ングするためのもう一つのアプローチを図14の大動脈分割カテーテル700の
実施例に示す。

0135

図14は偏心大動脈閉塞バルーン710を備えた大動脈内分割カテーテル70
0の実施例の正面図である。閉塞バルーンは、実線710で示すように収縮時外
形は対称である。想像線710’で示す膨張時の非対称な外形は、閉塞バルーン
増厚壁712をバルーン710の片側にモールドすることで実現される。バル
ーンの増厚壁712はカテーテルシャフト702に搭載された際には遠位湾曲7
04の内側に向けられる。閉塞バルーン710’を膨張させるとバルーンの薄壁
714がその能力一杯までより容易に伸長するのに対して増厚壁712は伸長に
抵抗するのでその結果故意に偏心させられた膨張バルーン外形710’となる。
図14の閉塞バルーン710を製造する好適な方法の一つは2段階ディップモー
ディング工程によるものである。工程の最初の段階で、バルーンの必要な内部
形状を有するディッピングマンドレルの形をしたバルーン型を垂直に向け、ポリ
ウレタン、シリコン、ラテックス等のエラストマーバルーン材を含む懸濁溶液に
浸漬する。そうするとマンドレルの表面に比較的均等なコーティングが形成され
る。次に、この第1コーティング706をマンドレル上で乾かす。第1コーティ
ング706が乾いたら、ディッピングマンドレルの方向を回転させて水平にし、
エラストマー溶液に浸漬してバルーン710の片側上にバルーン材の第2コーテ
ィング708を作る。エラストマー溶液から溶媒蒸発するまでバルーンマンド
レルを水平方向に保っておく。バルーン710を成形するのに使ったエラストマ
ーが熱可塑性ポリウレタンのような熱可塑性エラストマーであれば、バルーンは
乾き次第ディッピングマンドレルから取り外すことができる。エラストマーがラ
テックス、シリコン、熱硬化性ポリウレタンのような熱硬化性材である場合は、
バルーン710をディッピングマンドレルから取り外す前に更に材料のキュア
ングが必要となる。バルーン710上の第2コーティング708は第1コーティ
ング706とは異なる材料で作ってもよいことに留意しておかねばならない。例
えば、強い即ち膨張性の少ない材料を第2コーティング708に使って、バルー
ン710の増厚壁712の膨張に対する抵抗を増やしてもよい。ポリマー溶液
組成と濃度によっては、バルーンの各コーティングの成形には何度も浸漬と乾燥
の段階の繰り返しが必要となることにも留意しなければならない。例えば、ポリ
ウレタンバルーンを製造するための現下の好適な工法では、完成したバルーンの
壁の厚さを約0.005−0.020インチとするためには、普通約6−8回の
浸漬と乾燥の段階の繰り返しが必要である。

0136

図15及び16は図14のカテーテル実施例の偏心閉塞バルーン710のよう
な偏心バルーンが、患者の上行大動脈中で大動脈分割カテーテルの先端をセンタ
リングさせるのにどのように作用するかを示したものである。図15は同心閉塞
バルーン722を有する大動脈内分割カテーテル720が上行大動脈B内にある
状態の患者の大動脈弓Aの概略部分断面を示す。大動脈内分割カテーテル720
は、カテーテル720の真直遠位部726上に搭載された同心閉塞バルーン72
2が付いた180°U型カテーテル湾曲724部を有している。図15は湾曲し
た上行大動脈Bを有する患者にU型カテーテル湾曲部を入れた場合の状況を示し
ている。カテーテル720を大動脈弓A内でカテーテルを安定させるため近位側
に引いた場合、バルーン722が同心であるにも拘わらずカテーテルの湾曲と上
行大動脈Bの曲線とが一致していないために、カテーテルの遠位端728が大動
脈管腔内で中心にこない状況に留意されたい。

0137

図16は偏心閉塞バルーン732を有する大動脈内分割カテーテル730が上
行大動脈B内にある状態の患者の大動脈弓Aの概略部分断面を示す。大動脈分割
カテーテル730は約180°±45°の弧を含むU型遠位湾曲734を有して
いる。カテーテルシャフトの真直遠位部736上に搭載されている閉塞バルーン
732は膨張時にバルーンの大きな方の部分740がカテーテル湾曲の外側にき
た偏心バルーン外形となり、患者の右側を向くようになっている。バルーン73
2が偏心膨張外形を持っているので、上行大動脈Bが湾曲している場合、大動脈
管腔内でカテーテル730の遠位先端738がセンタリングし易くなる。偏心バ
ルーン732がカテーテル曲線と上行大動脈Bの曲線のずれを補正し、カテーテ
ル730の遠位先端738を大動脈管腔内で大動脈根Rの丁度上にセンタリング
する様子に留意されたい。

0138

図17は、偏心膨張外形742’を有する閉塞バルーン742の代替構造を示
す。この実施例では弾性バルーン742は非対称形状切削加工されたディッピ
ングマンドレル上に成形されている。先の例とは違って、成形されたバルーン7
42の壁肉厚は一様であるが、大きい側744と小さい側746を持った非対称
膨張外形を有している。バルーン742は大きい側744をカテーテル750の
遠位湾曲748の外側に向けてカテーテル上に搭載されている。膨張するとバル
ーンの大きい側744は小さい側の径746’よりも大きな径744’に拡がり
想像線742’で示されるように所期の偏心膨張外形となる。

0139

図18Aと18Bはもう一つの代替構造で、閉塞バルーン752は偏心膨張外
形752’を持っている。この実施例では、弾性閉塞バルーン752は、カテー
テルの遠位湾曲758の内側に向いたバルーンの754側をバルーン752の長
手方向に沿ってカテーテルシャフト756に適当な接着剤を使って直接接着して
搭載してある。閉塞バルーン752が膨張すると、カテーテルシャフトの遠位湾
曲758の外側に向いた側のバルーンだけが伸びるようになっており、想像線7
52’で示すように偏心膨張バルーン外形を形成する。

0140

図19A−19D及び20A−20Dはポリエチレン、ポリエチレンテレフタ
レートポリエステル、ポリエステルコポリマー、ポリアミド、ポリアミドコポリ
マー等の非伸長性バルーン材で作られた偏心閉塞バルーンの代替構造を示す。こ
のような非伸長性バルーン材を使えば、先に述べた弾性バルーンに比べて、膨張
閉塞バルーンの最終形状及び寸法をより正確に制御することができる。非伸長性
バルーンは既知の方法を使って、非弾性ポリマーを押し出し成形した管から熱成
形することができる。替わりに、このバルーンは非弾性ポリマー溶液への浸漬又
回転モールドでも作ることができる。成形した非弾性バルーンは雄型から取り
外すのが難しいので、非弾性バルーン材は、弾性バルーンで使ったような内側形
状の雄型の上に成形するのではなく、中空型即ち膨張したバルーンの外側形状
した雌型の内側に成形する方法が現在好まれている。

0141

図19A−19Dは非伸長性偏心閉塞バルーン762の最初の例を示す。図1
9Aは閉塞バルーンの収縮状態762と膨張状態762’の側面図を示す。図1
9Bは同じバルーンの収縮状態762と膨張状態762’の端面図を示す。閉塞
バルーン762は、大きい側764と小さい側766とを持つ非対称形状に成形
されている。閉塞バルーン762は大きい側764をカテーテルの遠位湾曲の外
側に向けてカテーテルシャフト768上に搭載されている。閉塞バルーンは実線
762で示すように、収縮すると平坦になろうとする傾向にある。末梢動脈に導
入する際にバルーンの収縮外形を小さくするため、平坦になったバルーン762
”は、側面図を図19Cに端面図を図19Dに示すように、カテーテルシャフト
768の周囲に巻き付けられる。

0142

図20A−20Dは非伸長性偏心閉塞バルーン780の第2の例を示す。図2
0Aは閉塞バルーンの収縮状態780と膨張状態780’の側面図を示す。図2
0Bは同じバルーンの収縮状態780と膨張状態780’の端面図を示す。閉塞
バルーン780は、大きい側782と小さい側784とを持つ非対称形状に成形
されている。閉塞バルーン780は大きい側782をカテーテルの遠位湾曲の外
側に向けてカテーテルシャフト786上に搭載されている。この実施例では、閉
塞バルーンの小さい側784はバルーン780の長手方向に沿ってカテーテルシ
ャフト786に接着してあるので、膨張バルーン780’はカテーテルの遠位湾
曲の外側だけに向かって伸びる。閉塞バルーンは実線780で示すように、収縮
すると平坦になる。末梢動脈に導入する際にバルーンの収縮外形を小さくするた
め、平坦になったバルーン780”は、側面図を図20Cに端面図を図20Dに
示すように、カテーテルシャフトの周囲に巻き付けられる。

0143

図14及び16−20の偏心形状閉塞バルーンは、心臓麻痺液が注入管腔を通
って噴射された際に均等に配分し、又器具が注入管腔を通って導入される際にカ
テーテルの先端を大動脈弁の中心と一列に合わせるために、上行大動脈内で大動
脈分割カテーテルの遠位先端のセンタリングを助ける働きをする。閉塞バルーン
同心度の程度は、図14及び16−20に関して述べた実施例と方法とを用い
て、完全な同心から完全な偏心、即ち片側だけ、まで変えることができる。特別
な形にした閉塞バルーンを本発明の大動脈分割カテーテルと共に用いて、上行大
動脈内で大動脈弁と閉塞バルーンとの間の作業空間を最大化することもできる。
本発明のこの態様はカテーテルシステムが心臓を停止させて患者の大動脈弁に対
して手術又は他の介入処置を行うために用いられる際には、特に重要であろう。
大動脈弁手術が胸郭内視鏡法、血管内法、又は開胸手術法の何れで行われるにし
ても、心肺バイパスを確立する必要が生じた際に、大動脈弁への外科的アクセス
を妨害することなく上行大動脈を閉塞できることは有益であろう。本発明のこの
態様は、閉塞バルーンが吻合処置を妨害しないので、上行大動脈と吻合術によっ
て結合しなければならない伏在静脈バイパス移植又は他の自由移植によるポート
アクセスCABG手術の場合、特に有用となろう。図21−24にこの目的のた
めに開発された特別な形に成形したバルーンの4つの例を示す。これらのバルー
ンは、先に述べたように、弾性材から又は非伸長、非弾性材から製作することが
できる。

0144

図21は、成形された閉塞バルーン792を有する大動脈内分割カテーテル7
90の第1の異形が上行大動脈B内にある状態の患者の大動脈弓Aの概略部分断
面を表したものである。閉塞バルーン792は、大動脈弓Aの曲率に合うように
曲がりのつけられた概ね円筒状の外形をしている。このようにすれば、大動脈弓
Aの外側曲線に面する閉塞バルーンの表面は、その点での大動脈壁の凸曲率に合
うように凸曲率794となり、大動脈弓Aの内側曲線に面する閉塞バルーンの表
面は、反対の大動脈壁の凹曲率に合うように凹曲率796となっている。閉塞バ
ルーン792の形状は更に修正して、バルーン792の凸湾曲外表面794の近
位端に溝又は凹み798を設けてある。凹み798は閉塞バルーン792を通し
て血液を腕頭動脈Cに流せるような位置に設けてある。こうすると心肺バイパス
システムから腕頭動脈Cへの流れを閉塞することなく、大動脈分割カテーテル7
90の閉塞バルーン792をできるだけ上行大動脈内で下流側に配置することが
できるようになる。大動脈弁Vと閉塞バルーン792との間の作業空間は最大と
なり、上行大動脈B内で手術器具介入カテーテル、弁補綴を操作できるように
なる。大動脈管腔を閉塞する働きはしないが、閉塞バルーン792の近位部は大
動脈壁と接触し、膨張バルーンを大動脈内で安定させ、カテーテルの遠位端をセ
タリング状態に保ち、膨張バルーンの予期しないずれを防止する。

0145

図22は、成形された閉塞バルーン802を有する大動脈内分割カテーテル8
00の第2の異形が上行大動脈B内にある状態の患者の大動脈弓Aの概略部分断
面を表したものである。先の例と同じく、閉塞バルーン802は、大動脈弓Aの
曲率に合うように曲がりのつけられた概ね円筒状の外形をしている。大動脈弓A
の外側曲線に面する閉塞バルーンの表面は、大動脈壁の凸の外曲率に合うように
凸曲率804となり、大動脈弓Aの内側曲線に面する閉塞バルーンの表面は、反
対の大動脈壁の凹の内曲率に合うように凹曲率806となっている。閉塞バルー
ン802の形状は更に修正して、バルーン802の凸湾曲外表面804の近位端
に大きな傾斜面状の凹み808を設けてある。閉塞バルーン802の壁は、膨張
圧力が掛かった際にバルーンの外形を維持し易くするために傾斜面状の凹み80
8の長手方向に沿ってカテーテルシャフト810に接着しておくことができる。
傾斜面状の凹み808は閉塞バルーン802を通して血液を腕頭動脈Cに流せる
ような位置に設けてある。こうすると、大動脈弁Vと閉塞バルーン802との間
の作業空間を最大とするために、腕頭動脈Cへの流れを閉塞することなく、大動
脈分割カテーテル800の閉塞バルーン802をできるだけ上行大動脈内で下流
側に配置することができるようになる。閉塞バルーン802に幅の広い傾斜面状
の凹み808が付いていると、閉塞バルーン802を腕頭動脈Cに対し、これを
閉塞する危険性無しに、注意深く位置決めする必要が少なくなる。閉塞バルーン
802の凹曲線内表面806は大動脈弓Aの壁との接触表面を延長し、膨張した
閉塞バルーン802を安定させ、閉塞バルーン802の予期しない動き又はずれ
を防止する。先の例でと同じように、閉塞バルーン802の近位部は大動脈壁と
接触して、膨張したバルーンを大動脈内で安定させ、カテーテルの遠位端をセン
タリングの位置に保ち、膨張したバルーンの予期せぬずれを防止し易くする。

0146

図23Aは、成形された閉塞バルーン812を有する大動脈内分割カテーテル
820の第3の異形が上行大動脈B内にある状態の患者の大動脈弓Aの概略部分
断面を表したものである。図23Bは図23Aの成形された閉塞バルーンの横断
面図である。この閉塞バルーン812も、大動脈弓Aの曲率に合うように曲がり
をつけて修正された概ね円筒状の外形をしている。大動脈弓Aの外側曲線に面す
る閉塞バルーンの表面は、大動脈壁の凸の外曲率に合うように凸曲率814とな
り、大動脈弓Aの内側曲線に面する閉塞バルーンの表面は、反対の大動脈壁の凹
の内曲率に合うように凹曲率816となっている。閉塞バルーン812の形状は
更に修正して、バルーン812の凸湾曲外表面814の近位側に延長した溝又は
凹み818を設けてある。延長した溝818の幅は少なくとも腕頭動脈Cの心門
の幅と同じだけなければならない。閉塞バルーン812の壁は、膨張圧力が掛か
った際にバルーンの外形を維持し易くするために延長した溝818の長手方向に
沿ってカテーテルシャフト822に接着しておくことができる。延長した溝81
8は閉塞バルーン812を通して血液を腕頭動脈Cに流せるような位置に設けて
ある。こうすると、大動脈弁Vと閉塞バルーン812との間の作業空間を最大と
するために、腕頭動脈Cへの流れを閉塞することなく、大動脈分割カテーテル8
00の閉塞バルーン812を上行大動脈内で更に下流側に配置することができる
ようになる。くり返しになるが、閉塞バルーン812の凹曲線内表面816は大
動脈弓Aの壁との接触表面を延長し、膨張した閉塞バルーン812を安定させ、
閉塞バルーン812の予期しない動き又はずれを防止する。

0147

図24は成形された閉塞バルーン826を有する大動脈内分割カテーテル82
4の第4の異形が上行大動脈Aの頂点にある状態の患者の大動脈弓Aの概略部
分断面を表したものである。大動脈弁Vと閉塞バルーン826との間の作業空間
を更に大きくする努力の中で、腕頭動脈、総頸動脈又は鎖骨下動脈への血液流を
犠牲にすることなく大動脈弓Aの丁度頂点に配置できるように閉塞バルーン82
6の外形は修正された。閉塞バルーン826は概ね円筒状の外形をしているが、
その上にバルーンの近位端834から出発しバルーン826の周囲を遠位方向に
螺旋状に回る螺旋溝830が設けられている。この実施例では螺旋溝830は閉
塞バルーン826の回りにほぼ完全に2周形成されており、バルーン826の遠
位端で大動脈壁との間でシールを形成する円環状のリング828がこれを遮り
心臓及び冠状動脈を心肺バイパスシステムにより維持されている全身血液流から
遮断している。螺旋溝830は酸素を送り込まれた血液が下行大動脈から腕頭
脈、総頸動脈又は鎖骨下動脈Cへ流れる経路を形成する。螺旋溝830に沿って
走る螺旋状の832は大動脈壁と接触し、膨張した閉塞バルーン826を安定
させ、頭部及び頸部動脈への血液流を閉塞することなく、閉塞バルーン812の
予期せぬ動きを防止する。機能的に等価なバルーン外形を用いればこれと同じ効
果が得られる。例えば、心臓及び冠状動脈を全身の血液流から切り離し大動脈壁
に対してシールするための円環状のリングをバルーンの遠位端に設け、大動脈壁
に接触してバルーンを安定させるための複数の突起又は峰を近位端に設け、突起
の間の空間を大動脈弓から分岐する頭部及び頸部動脈への血液流の経路とする形
としたバルーンであればこの効果を達成できる。

0148

本発明のもう一つの態様を図25A及び25Bに示す。この実施例では、介入
処置の完了時に心臓及び上行大動脈の空気抜きをする機能が大動脈内分割カテー
テル130と組み合わされている。カテーテル130はその遠位先端131が上
行大動脈Bの腹側の壁近くに来るように作られている。図25Aに示すように、
カテーテルシャフトの遠位部に、カテーテルの遠位先端131を上行大動脈Bの
腹側の壁近くに持ってくる湾曲132を設ければそのようにできる。替わりに、
図25Bに示すように、閉塞バルーン134をバルーン134が膨張した際にカ
テーテル133の遠位先端135が上行大動脈の腹側壁の方を向くような形にす
ることもできる。大動脈内分割カテーテルにこのように手を加える利点は、患者
仰向けにされているときにはカテーテルの遠位先端は上行大動脈内の最も高い
位置にあるので、手術中に心臓、冠状動脈又は大動脈根に入った気泡は全て、心
停止状態解くために閉塞バルーンを収縮させる前にカテーテル内の管腔を通
して排気することができるということである。

0149

図26は、上行大動脈B内で大動脈内分割カテーテル136の先端137をセ
ンタリングさせる目的の成形バルーンのもう一つの適用例を示す。拡張可能閉塞
バルーン138は、拡張したとき上行大動脈Bを閉塞できる十分な直径を持って
いる遠位閉塞手段139と拡張したとき上行大動脈Bの内表面と接触できる十分
な直径を持っている近位安定化手段140とを有している。遠位閉塞手段139
と近位安定化手段140との間には直径の小さくなった領域141がある。拡張
時には、閉塞手段139は上行大動脈Bを通る心収縮膨張の血液流を実質的に全
て遮断する。安定化手段140は上行大動脈Bの内表面と接触し、カテーテルシ
ャフトの遠位セグメント142が上行大動脈Bの軸と並行になり、カテーテル先
端143を大動脈管腔内で大動脈根Rの丁度上に確実にセンタリングするように
方向付けする。

0150

この形を実現するための一つの特別な実施例を図26に示す。この実施例では
閉塞バルーンは拡張したときにはダンベル型である。閉塞手段はダンベル型バル
ーン138の遠位葉139で構成され、安定化手段はバルーンの近位葉140で
構成され、近位葉140と遠位葉139との間には径が細くなったくびれ部14
1がある。このようにダンベル型閉塞バルーン138はバルーンを正しい位置に
安定させ正しい向きを保つため、上行大動脈Bの内表面と接する2つのリングを
有している。この形状の更なる利点は、上行大動脈Bの内表面と接する2つのリ
ングがあることによって、ダンベル型バルーン138が優れた且つより信頼性の
高いシール性能と膨張したバルーンのずれに対する優れた抵抗性能を達成できる
ことである。

0151

同様な形状を作り出すもう一つの特定の実施例としては、2つの別々のしかし
近接した膨張可能バルーンをカテーテルシャフトの遠位セグメント上に搭載する
ものがある。膨張すると、遠位側のバルーンは閉塞手段として働き、近位側のバ
ルーンはカテーテルの遠位セグメントを大動脈管腔の軸と並行に向けるための安
定化手段として働く。安定化手段は上行大動脈を閉塞する必要はないことに留意
しておかねばならない。しかし適切な効果を出すためには、上行大動脈内周上の
少なくとも3点でその内表面に接触していなければならない。そうすれば、安定
化手段に上行大動脈を完全には閉塞しない非螺旋形の外形を新たに加えることに
なる。例えば、多数の小さなバルーンをカテーテルシャフトの周囲に搭載し、バ
ルーンを膨張したときに少なくとも3点で上行大動脈の内壁に接触するようにし
てもよい。同様に、カテーテルの遠位先端を安定させ方向付けるために上行大動
脈の内表面に接触させるのに、拡張可能な非バルーン安定化手段を使うこともで
きる。

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