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技術 薄層クロマトグラフィ用分離材料

出願人 AGCエスアイテック株式会社
発明者 寺瀬邦彦井上真樹藤井淳成田中晋康簑原士行
出願日 2000年6月14日 (20年0ヶ月経過) 出願番号 2000-177738
公開日 2001年12月26日 (18年6ヶ月経過) 公開番号 2001-356114
状態 特許登録済
技術分野 クロマトグラフィによる材料の調査、分析 吸着剤による液体の処理一般 固体収着剤及びろ過助剤
主要キーワード 媒体ビーズ 部分充填 巻き貝 シリカゲル微粒子 葉状シリカ タマネギ状 落下地点 B型粘度計
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課題

構成成分が、すべてシリカからなり、分離性能をよりいっそう向上させた薄層クロマトグラフィ分離材料を提供する。

解決手段

支持基材上にシリカゲル微粒子を含む薄層分離層として形成してなる薄層クロマトグラフィ用分離材料において、結着剤として、葉状シリカ次粒子及びコロイダルシリカ粒子を用いる。

概要

背景

薄層クロマトグラフィは、医薬品、蛋白質アミノ酸生理活性物質多糖類等の広範囲物質の分離、同定、定量等の手段として、従来より広く用いられている。かかる薄層クロマトグラフィに用いられる分離材料(以下、薄層クロマトグラフィ用分離材料と称する。)は、種々の種類のものが提案されているが、実際上その最も代表的なものの一つとしては、液体クロマトグラフィの用途に適した細孔構造及び粒子径分布を有する不定形又は球状の粒子形状のシリカゲル微粒子吸着分離剤として使用するシリカゲルベースのものが挙げられる。

かかるシリカゲル微粒子を主体とする薄層クロマトグラフィ用分離材料は、当該微粒子支持基体上に固着して薄膜を形成するための結着剤バインダ)として、通常ポリメタアクリル酸やポリ(メタ)アクリル酸塩などの水溶性高分子物質を使用しており、シリカゲル微粒子を、当該ポリ(メタ)アクリル酸等の水溶液と配合して得られるスラリーを、ガラス板金属板などの支持基体の表面に塗布・乾燥して、乾燥塗膜分離層として形成させたものである。この水溶性高分子物質からなる粒子の結着剤は、乾燥塗膜の支持基体への密着性塗膜の強度を高める作用を奏する薄膜形成欠くべからざるものである(なお、上記ポリ(メタ)アクリル酸とは、ポリアクリル酸及び/又はポリメタクリル酸を意味する。)。

しかしながら、上記水溶性高分子物質は、イオン性化合物であるため、シリカゲル微粒子を吸着分離剤とする薄層クロマトグラフィ分離操作上、異物として働く基本的に望ましくない物質であり、粒子結着剤としては、本来は少量であっても使用しないことが好ましい。

また、本発明者らが検討したところによれば、ポリ(メタ)アクリル酸等を粒子結着剤として用いて、支持基体上に分離層を形成する場合は、当該ポリ(メタ)アクリル酸等が水溶性の結着剤であるためか、支持基体への密着性、塗膜の強さ及び分離性能は、ロット毎にばらつくことが多く、所望の性能の分離材料を、再現性よく安定的に得るためには、分離材料の調整の過程で極めて厳密な種々の因子コントロールが要求されるという問題がある。

さらにまた、分離層としての塗膜の強度は、用いるシリカゲル微粒子の粒子形状やその細孔構造の影響を大きく受けるという問題がある。

このように、薄層クロマトグラフィ用分離材料の粒子結着剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸等水溶性高分子は、種々の問題があるが、従来、薄層クロマトグラフィ用分離材料の結着剤としては、これに代わる分離性能、基材への塗膜の密着性、塗膜の強さなどを満たすものが見出されていなかった。

かかる状況において、本発明者らは、先に、薄層クロマトグラフィ用分離材料におけるシリカゲル微粒子の粒子結着剤として、このような問題のある水溶性高分子を一切使用しない、粒子結着作用を有するシリカ粒子自体を結着剤として使用する、基本的にシリカのみからなる薄層クロマトグラフィ用分離材料を提案した。すなわちこれは、鱗片状シリカ薄片次粒子が互いに面間が平行的に配向複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子を使用した新規な薄層クロマトグラフィ用分離材料である(特願平11−351182号)。この葉状シリカ2次粒子が粒子結着作用を有するのは、その有する、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成されていると云う、特異な粒子形態のため、各粒子が支持基体表面に沿って略平行して重なりあって被膜を形成するとともに、その過程でシリカゲル微粒子を当該重なり中に固定させる作用に基づくものであり、またこれと合わせて、当該葉状シリカ2次粒子は、粒子の比表面積当たりのシラノール基密度が高いことにより、塗膜の乾燥過程で大きな粒子結着作用を発現するためと推定される。

この薄層クロマトグラフィ用分離材料は、本発明者らにより創成された葉状シリカ2次粒子を使用する、構成物質のすべてがシリカからなると云う従来全く存在しない新たなコンセプトに基づく新規なものであり、しかも薄層クロマトグラフィとして必要な分離性能、支持基体への塗膜の密着性、塗膜の強さなどの要請をいずれも満たす優れたものである。本発明は、この分離性能(例えばRf 値)をさらに高めることを目的とする。

概要

構成成分が、すべてシリカからなり、分離性能をよりいっそう向上させた薄層クロマトグラフィ用分離材料を提供する。

支持基材上にシリカゲル微粒子を含む薄層を分離層として形成してなる薄層クロマトグラフィ用分離材料において、結着剤として、葉状シリカ2次粒子及びコロイダルシリカ粒子を用いる。

目的

本発明の目的は、上記のごとく、構成成分が、すべてシリカからなる優れた特性を有する薄層クロマトグラフィにおいて、支持基体への塗膜の密着性、塗膜の強さなどを所望の範囲に満たしつつ、分離性能をよりいっそう向上させた薄層クロマトグラフィ用分離材料を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

支持基体上にシリカゲル微粒子を含む薄層分離層として形成してなる薄層クロマトグラフィ分離材料において、当該シリカゲル微粒子の結着剤として、鱗片状シリカ薄片次粒子が互いに面間が平行的に配向複数枚重なって形成される粒子結着作用を有する葉状シリカ2次粒子及びコロイダルシリカ粒子を用いてなることを特徴とする薄層クロマトグラフィ用分離材料。

請求項2

総固形分質量に対する結着剤の割合が、1〜30質量%である請求項1に記載の薄層クロマトグラフィ用分離材料。

請求項3

総結着剤中のコロイダルシリカ粒子の割合が、5〜90質量%である請求項1又は2に記載の薄層クロマトグラフィ用分離材料。

請求項4

前記分離材料中のシリカゲル微粒子が、微小真球状シリカゲルである請求項1〜3のいずれかに記載の薄層クロマトグラフィ用分離材料。

請求項5

前記分離材料中の葉状シリカ2次粒子が、X線回折分析での主ピークが、シリカ−X及び/又はシリカ−Yに該当するシリカである請求項1〜4のいずれかに記載の薄層クロマトグラフィ用分離材料。

請求項6

シリカゲル微粒子、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される粒子結着作用を有する葉状シリカ2次粒子、コロイダルシリカ粒子及び水からなる硬化性組成物を支持基体上に塗布・乾燥して硬化塗膜を形成し、これを分離層とすることを特徴とする薄層クロマトグラフィ用分離材料の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、吸着分離剤としてのシリカゲル微粒子を含む薄層クロマトグラフィ分離材料において、当該シリカゲル微粒子の粒子結着剤として、特定のシリカ粒子を併用して用いた、実質的に構成成分がすべてシリカからなる薄層クロマトグラフィ用分離材料に関する。

背景技術

0002

薄層クロマトグラフィは、医薬品、蛋白質アミノ酸生理活性物質多糖類等の広範囲物質の分離、同定、定量等の手段として、従来より広く用いられている。かかる薄層クロマトグラフィに用いられる分離材料(以下、薄層クロマトグラフィ用分離材料と称する。)は、種々の種類のものが提案されているが、実際上その最も代表的なものの一つとしては、液体クロマトグラフィの用途に適した細孔構造及び粒子径分布を有する不定形又は球状の粒子形状のシリカゲル微粒子を吸着分離剤として使用するシリカゲルベースのものが挙げられる。

0003

かかるシリカゲル微粒子を主体とする薄層クロマトグラフィ用分離材料は、当該微粒子支持基体上に固着して薄膜を形成するための結着剤(バインダ)として、通常ポリメタアクリル酸やポリ(メタ)アクリル酸塩などの水溶性高分子物質を使用しており、シリカゲル微粒子を、当該ポリ(メタ)アクリル酸等の水溶液と配合して得られるスラリーを、ガラス板金属板などの支持基体の表面に塗布・乾燥して、乾燥塗膜分離層として形成させたものである。この水溶性高分子物質からなる粒子の結着剤は、乾燥塗膜の支持基体への密着性塗膜の強度を高める作用を奏する薄膜形成欠くべからざるものである(なお、上記ポリ(メタ)アクリル酸とは、ポリアクリル酸及び/又はポリメタクリル酸を意味する。)。

0004

しかしながら、上記水溶性高分子物質は、イオン性化合物であるため、シリカゲル微粒子を吸着分離剤とする薄層クロマトグラフィ分離操作上、異物として働く基本的に望ましくない物質であり、粒子結着剤としては、本来は少量であっても使用しないことが好ましい。

0005

また、本発明者らが検討したところによれば、ポリ(メタ)アクリル酸等を粒子結着剤として用いて、支持基体上に分離層を形成する場合は、当該ポリ(メタ)アクリル酸等が水溶性の結着剤であるためか、支持基体への密着性、塗膜の強さ及び分離性能は、ロット毎にばらつくことが多く、所望の性能の分離材料を、再現性よく安定的に得るためには、分離材料の調整の過程で極めて厳密な種々の因子コントロールが要求されるという問題がある。

0006

さらにまた、分離層としての塗膜の強度は、用いるシリカゲル微粒子の粒子形状やその細孔構造の影響を大きく受けるという問題がある。

0007

このように、薄層クロマトグラフィ用分離材料の粒子結着剤としては、ポリ(メタ)アクリル酸等水溶性高分子は、種々の問題があるが、従来、薄層クロマトグラフィ用分離材料の結着剤としては、これに代わる分離性能、基材への塗膜の密着性、塗膜の強さなどを満たすものが見出されていなかった。

0008

かかる状況において、本発明者らは、先に、薄層クロマトグラフィ用分離材料におけるシリカゲル微粒子の粒子結着剤として、このような問題のある水溶性高分子を一切使用しない、粒子結着作用を有するシリカ粒子自体を結着剤として使用する、基本的にシリカのみからなる薄層クロマトグラフィ用分離材料を提案した。すなわちこれは、鱗片状シリカ薄片次粒子が互いに面間が平行的に配向複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子を使用した新規な薄層クロマトグラフィ用分離材料である(特願平11−351182号)。この葉状シリカ2次粒子が粒子結着作用を有するのは、その有する、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成されていると云う、特異な粒子形態のため、各粒子が支持基体表面に沿って略平行して重なりあって被膜を形成するとともに、その過程でシリカゲル微粒子を当該重なり中に固定させる作用に基づくものであり、またこれと合わせて、当該葉状シリカ2次粒子は、粒子の比表面積当たりのシラノール基密度が高いことにより、塗膜の乾燥過程で大きな粒子結着作用を発現するためと推定される。

0009

この薄層クロマトグラフィ用分離材料は、本発明者らにより創成された葉状シリカ2次粒子を使用する、構成物質のすべてがシリカからなると云う従来全く存在しない新たなコンセプトに基づく新規なものであり、しかも薄層クロマトグラフィとして必要な分離性能、支持基体への塗膜の密着性、塗膜の強さなどの要請をいずれも満たす優れたものである。本発明は、この分離性能(例えばRf 値)をさらに高めることを目的とする。

発明が解決しようとする課題

0010

本発明の目的は、上記のごとく、構成成分が、すべてシリカからなる優れた特性を有する薄層クロマトグラフィにおいて、支持基体への塗膜の密着性、塗膜の強さなどを所望の範囲に満たしつつ、分離性能をよりいっそう向上させた薄層クロマトグラフィ用分離材料を提供することである。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、上記課題の重要性に鑑み鋭意検討した結果、葉状シリカ2次粒子とともにさらにコロイダルシリカ粒子を使用することにより、塗膜の特性を保持しつつ、分離性能を大幅に向上できることを見出し、本発明を完成するに到ったものである。

0012

すなわち、本発明に従えば、支持基材上にシリカゲル微粒子を含む薄層を分離層として形成してなる薄層クロマトグラフィ用分離材料において、当該シリカゲル微粒子の結着剤として、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される粒子結着作用を有する葉状シリカ2次粒子及びコロイダルシリカ粒子を用いてなることを特徴とする薄層クロマトグラフィ用分離材料が提供される。

0013

また、本発明に従えば、シリカゲル微粒子、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される粒子結着作用を有する葉状シリカ2次粒子、コロイダルシリカ粒子及び水からなる硬化性組成物を支持基体上に塗布・乾燥して硬化塗膜を形成し、これを分離層とすることを特徴とする薄層クロマトグラフィ用分離材料の製造方法が提供される。

発明を実施するための最良の形態

0014

以下、本発明を詳細に説明する。

0015

本発明は、基本的に支持基材上にシリカゲル微粒子を含む薄層を分離層として形成してなる薄層クロマトグラフィ用分離材料である。

0016

当該薄層クロマトグラフィに用いられる吸着分離剤であるシリカゲル微粒子としては、液体クロマトグラフィ用途に適したシリカゲル微粒子が用いられる。かかる薄層クロマトグラフィ用のシリカゲルは、それ自身公知のものであってよく特に限定するものではないが、通常SiO2純度が99.0質量%以上、平均粒子径が0.5〜50μm、好ましくは1〜20μm、比表面積が100〜800m2 /g、平均細孔直径が4〜30nm程度のものが好ましく用いられる。

0017

シリカゲル微粒子の粒子形状は、基本的には、不定形状及び真球状のいずれであってもよいが、真球形状のシリカゲルの方が、薄層クロマトグラフィとしての分離性能が高く好ましい。

0018

本発明においては、かかる吸着分離剤であるシリカゲル微粒子の結着剤として、粒子結着作用を有する葉状シリカ2次粒子及びコロイダルシリカ粒子を併用して用いることを特徴とする。以下、順次説明する。

0019

(第1の粒子結着剤として使用される葉状シリカ2次粒子)本発明において粒子結着剤として使用されるシリカ粒子は、鱗片状シリカの薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し複数枚重なって形成される葉状シリカ2次粒子である。当該葉状2次粒子は、本発明者らが見出したように、その特異的な葉状の粒子形状に起因して、シリカゲル微粒子に対する優れた粒子結着作用を奏するものである。

0020

このシリカ2次粒子は、鱗片状1次粒子が重なって形成されるものであるが当該1次粒子は、走査型電子顕微鏡(SEM)では、識別できず、これが面間が平行的に配向して複数枚重なった葉状2次粒子だけが識別できるものであり、また、透過型電子顕微鏡TEM)を用いて観察すると、電子線が一部透過するような極薄片粒子である1次粒子が識別できるようなものである。なお、1次粒子の層間の結合は極めて強固であって、葉状2次粒子から、その構成単位である薄片状の当該1次粒子を1枚ずつ剥離し、単離することは困難である。

0021

本発明で使用する葉状シリカ2次粒子は、シリカの3次凝集体粒子(3次粒子)を解砕することにより得られる。

0022

当該シリカ3次凝集体粒子は、その走査型電子顕微鏡( SEM)写真から観察されるように、葉状2次粒子が不規則に重なり合い、この重なりによって作られる多数の間隙(空隙またはポケット)を有するもので、見かけ上、キャベツ状、タマネギ状花弁状つぼみ状、巻き貝状等の、状態により種々に表現される形態をとりうるものである。

0023

このシリカ3次凝集体粒子は、好ましくは、本発明者らが先に提案した方法により製造できる(特開2000−72432号)。

0024

すなわち、球状や不定形状のシリカヒドロゲル出発物質として、アルカリ金属の存在下で水熱処理する方法であって、本発明におけるシリカ3次凝集体粒子であるシリカ−X、シリカ−Y等をより低温度・短時間反応で、クオーツ等の結晶を生成させること無く、しかも収率高く製造することができる方法である。

0025

ここで球状のシリカヒドロゲルは、古くから知られているように、シリカヒドロゾル石油類その他の媒体中で、球形状に固化せしめて生成してもよいが、より好ましくは、特公昭48−13834号に記載されているように、例えばシリカ/アルカリモル比( SiO2 /Me2 O(Meは、Na等のアルカリ金属を示す。) )3.5〜20mol/mol、シリカ濃度2〜20質量%程度のケイ酸アルカリ水溶液鉱酸水溶液を混合して、pH7〜9程度のシリカゾルを短時間で生成させると同時に、気体媒体中に放出し、気体中でゲル化させる方法により製造される。

0026

このようなシリカヒドロゲルを出発原料とし、オートクレーブ等の加熱圧力容器中で加熱して水熱処理を行い、シリカ3次凝集体粒子を生成させる。その場合、この球状シリカヒドロゲルをそのまま使用してもよいが、好ましくは、粉砕または粗粉砕して、粒径0.1〜6mm程度としたものが、オートクレーブ中での撹拌をより効果的に行えるために望ましい。

0027

水熱処理は、シリカ−Xやシリカ−Y等の単一相を短時間で得るため、150〜220℃の温度範囲で行われ、好ましくは160〜200℃で行われる。

0028

また、必要な水熱処理の時間は、水熱処理の温度や種晶の添加の有無等により変わりうるが、通常、3〜50時間、好ましくは、5〜40時間程度である。

0029

かくして水スラリー状で得られたシリカ3次凝集体粒子を、本発明者らが先に提案した特定の方法で解砕・分散化することにより、固形分濃度1〜30質量%の葉状シリカ2次粒子の水スラリーが得られる(特願平11−351182号参照)。

0030

すなわち、ベルトフィルター濾布遠心分離機等の固液分離水洗装置を用いて、水洗・固液分離し、必要に応じてさらに水でリパルプし、シリカ3次凝集体粒子からなるSiO2 濃度が1〜30質量%の水スラリーとし、これを粉砕媒体を用い機械的に高速撹拌する方式の湿式ビーズミル湿式ボールミルなどの湿式粉砕装置解砕装置)に供給して、鱗片状シリカ3次凝集体粒子を解砕処理する。ここで、葉状シリカ2次粒子を、粉砕・破壊しないためには、直径0.2〜1.0mmのアルミナ又はジルコニア等の媒体ビーズを用いる湿式ビーズミルが特に好ましい。

0031

かくして、3次粒子を実質的に含まない薄片1次粒子が、互いに面間が平行的に配向して複数枚重なった、本発明で使用する葉状シリカ2次粒子がスラリーとして得られる。

0032

別法として、シリカ3次凝集体粒子のスラリーを媒体流動層乾燥機により乾燥して乾燥粉末とし、これを上記と同様にして湿式粉砕(解砕)して、葉状シリカ2次粒子のスラリーとしてもよい。

0033

一方、葉状シリカ2次粒子の乾燥粉末を得る方法としては、上記2次粒子スラリーを、粒子同士の凝集を防止し収率よく得るため、SiO2 濃度を0.1〜5質量%、好ましくは1〜3質量%に調整して噴霧乾燥することにより得られる。或いは、シリカ3次凝集体粒子の乾燥粉末を、乾式粉砕機能と乾式分級機能との組合せからなる乾式粉砕分級機、例えば、ジェットミル高速回転式分級機又は風力分級機の両方を組み合わせて用いて、平均粒子径0.001〜30μm、好ましくは0.01〜10μmの分散した葉状シリカ2次粒子へと連続的に解砕してもよい。

0034

本発明で使用する葉状シリカ2次粒子の基本物性は、以下のとおりである。このシリカ2次粒子におけるシリカのSiO2純度は、99.0質量%以上である。pHは、6.0〜8.0であり、X線回折スペクトルとしては、米国のASTM(American Society for Testing and Materials)に登録されているカード(以下単にASTMカードと称する。)番号16−0380に該当する2θ=4.9°、26.0°、及び28.3°の主ピークを特徴とするシリカ−X及び/又はASTMカード番号31−1233に該当する2θ=5.6°、25.8°及び28.3°の主ピークを特徴とするシリカーYからなるシリカである。吸油量(JIS K5101)は、100〜150ml/100gである。平均粒子径は、上記した解砕条件等により任意に変えられるものであり、特に限定するものではないが、本発明で使用する場合は、通常0.001〜30μm、好ましくは0.01〜10μm、さらに好ましくは0.1〜10μm程度である。ここで平均粒子径の測定方法としては、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所社製、LA−920型)、動的光散乱粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所社製、LB−500型)、或いはコールターカウンター(例えば、コールターエレクトロニクス社製、MA−II型)等を、粒子径の範囲に応じて適宜適用することにより、測定される。またSEMで観察すると、この葉状シリカ2次粒子は、その厚さが0.001〜0.5μm、厚さに対する葉状シリカ2次粒子(板)の最長長さの比(アスペクト比)は、少なくとも5以上のものであり、厚さに対する葉状シリカ2次粒子(板)の最小長さの比(アスペクト比)は、2以上を有するものである。葉状シリカ2次粒子の厚さに対する最長長さの比及び最小長さの比の上限は、特に規定するものではないが、前者は300以下、後者は150以下が好ましい。

0035

このシリカ2次粒子の細孔分布BET法(日本ベル社製、商品ベルソープ−28型)により測定すると、細孔容積は、0.05〜0.15ml/g、比表面積は、30〜80m2 /gである。

0036

とくに注目すべきは、細孔分布曲線からは、細孔直径2〜6nm、特には3.5〜4.0nm付近に鋭い大きなピークが認められることである。

0037

また、当該シリカ(熱処理していない常温でのSiO2 )の赤外吸収スペクトル(FT−IR)は、3600〜3700cm-1、3400〜3500cm-1にそれぞれ1つの吸収帯をもつシラノール基をもつシリカである。また、BET法による比表面積当たりのシラノール基の量は、50〜70μmol/m2 という大きな値を有している(シリカゲルの数倍)。このようなシラノール基を有することにより、化学修飾が容易に行われる。また、このシリカ2次粒子から形成した塗膜を40〜200℃程度で加熱処理することにより、シラノール基を縮合等反応させ、塗膜強度を向上させることもできる。

0038

当該シリカの酸水溶液及びアルカリ水溶液に対する20℃での飽和溶解度は低い。すなわち、溶解SiO2 濃度は、10質量%のHCl水溶液に対しては、0.008質量%、イオン交換水に対しては、0.006質量%、5質量%NaOH水溶液に対しては、0.55質量%、10質量%NaOH水溶液に対しては、0.79質量%であり、酸、アルカリのいずれに対しても、小さな溶解度であり、耐酸性耐アルカリ性を有することを示す。特に、シリカゲルやコロイダルシリカに比較して、非常に小さなアルカリ水溶液への溶解度であり、耐アルカリ性を有することを示す。

0039

(第2の粒子結着剤として使用されるコロイダルシリカ粒子)本発明においては、上記葉状シリカ2次粒子とともに、コロイダルシリカ粒子を粒子結着剤として併用使用する。

0040

本発明で使用されるコロイダルシリカ粒子とは、粒子径が100nm以下、好ましくは50nm以下、1nm以上のシリカ粒子であって、コロイド状シリカやシリカゾルに含まれるゾル粒子をいう。コロイダルシリカ粒子の平均粒子径が1nm未満あるいは、50nmを越える場合には、支持基体上に形成される薄層クロマトグラフィの分離層となる乾燥塗膜の強度が低下するため好ましくない。当該シリカ粒子の粒子径は、動的光散乱法レーザー光散乱法)で測定した値であり、またその粒子形状は、ほぼ球形の等方形、鎖状形、異方形等のいずれであっても構わない。

0041

なお本発明において、第2の粒子結着剤として使用されるコロイダルシリカ粒子としては、平均粒子径2〜30nmのコロイダルシリカ粒子が、薄層クロマトグラフィの乾燥塗膜が強くなるのでより好ましい。

0042

本発明においては、上記葉状シリカ2次粒子及びコロイダルシリカ粒子を結着剤として使用し、支持基体上に、上記シリカゲル微粒子を含む乾燥薄膜を形成して分離材料とする。

0043

支持基体としては、特に限定するものでないが、通常厚さ1〜2mm程度の板ガラスソーダライムガラス等のガラス板やアルミニウム板等の金属板などが使用される。

0044

上記したシリカゲル微粒子等による薄層クロマトグラフィ用分離材料の調整方法は、通常以下のようにして行われる。

0045

まず、容器中、前記した薄層クロマトグラフィ用シリカゲル微粒子、結着剤としての葉状シリカ2次粒子及びコロイダルシリカ粒子を、水中で撹拌混合して分散させて水スラリーとする。この水スラリーは、硬化性組成物であって、本発明においては、これを上記したガラス板等の支持基体の片面に塗布後、乾燥することにより、従来のポリ(メタ)アクリル酸等の水溶性高分子等の結着剤をなんら含有することなく、強度の高い塗膜が形成される。

0046

塗布装置としては、特に限定するものではないが、所望の塗膜厚みが任意に設定できるアプリケーターバーコーターなどが使用される。また、乾燥方法としては、室温での風乾、又は50〜500℃、好ましくは80〜150℃程度での熱風乾燥赤外線加熱など通常の手段が適用できる。

0047

乾燥塗膜の厚みは、通常0.05〜1.0mm、好ましくは0.1〜0.3mm程度の均一厚みとなるようにすることが望ましく、アプリケーター等の塗布装置を均一な所望厚みになるように設定すればよい。

0048

本発明において、シリカゲル微粒子、葉状シリカ2次粒子、コロイダルシリカ粒子及び水からなる硬化性組成物中の総固形分濃度は、20〜50質量%が好ましく、30〜40質量%がさらに好ましい。総固形分濃度が、20質量%未満であると得られる塗膜厚みを所望の厚さに形成することが困難であり、一方、総固形分濃度が50質量%を越える場合には、塗布液の粘度が大きくなり過ぎて、支持基体に均一に塗布する事が出来ない。なお、当該硬化性組成物(水スラリー)のpHは、5〜11が望ましく、pH6〜8がさらに望ましい。

0049

また、形成される薄膜中において、シリカゲル微粒子を含む総固形分質量に対する、総結着剤の固形分質量、すなわち、葉状シリカ2次粒子及びコロイダルシリカ粒子との合計固形分質量の割合は、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは3〜15質量%である。結着剤含量があまり少なく、1%未満では、得られる塗膜は非常に脆く、支持基体から容易に剥離する。一方、30質量%を越えると、塗膜は強くなるが、展開溶媒流路を形成すべきシリカゲル微粒子の粒子間隙が、過剰の粒子結着剤で大部分充填され、閉塞されることになるため、展開溶媒が殆ど展開しなくなり、薄層クロマトグラフィ用分離材料として使用する場合に、展開操作自体を行うことが困難になり好ましくない。

0050

また、総結着剤質量に対する、コロイダルシリカ粒子の割合は、好ましくは5〜90質量%、より好ましくは25〜90質量%であり、さらに好ましくは30〜80%である。コロイダルシリカ粒子含量が5質量%未満では、Rf 値を向上させる効果を充分奏することができず、90質量%をこえると、塗膜がヒビ割れし易くなり、非常に脆くなる。

0051

なお、粒子結着剤として、葉状シリカ2次粒子とともにコロイダルシリカ微粒子を併用することにより分離性能が向上する理由は明確ではないが、一つは、葉状シリカ2次粒子がより空間的に規則的な配向を行うため、シリカゲル微粒子が最適な流路を形成するためではないかと推定される。

0052

以上の如くして形成した本発明の薄層クロマトグラフィ用分離材料は、染料、医薬品、蛋白質、アミノ酸、生理活性物質、抗生物質、多糖類、生体組織からの抽出液等の広範囲の物質の分離、同定、定量等の手段として、好適に用いられる。ここでクロマトグラフィ分離操作は、展開溶媒、例えばメタノールエタノールイソプロパノールブタノール等のアルコール類ベンゼンヘキサン等の炭化水素類ジエチルエーテル等のエーテル類アセトン等のケトン類酢酸エチル等のエステルクロロホルム四塩化炭素等のハロゲン置換炭化水素;及び水又はこれらの混合溶媒等を使用して、通常の展開槽中で行うことができる。また、分離層中には、常法に従い、ZnSiO4 やMgWO4 等の蛍光指示薬を少量含有させることも可能である。

0053

本発明にかかる薄層クロマトグラフィ用分離材料の分離層が、シリカゲル微粒子、葉状シリカ2次粒子及びコロイダルシリカ粒子の三種類の粒子からなるものであることは、以下のようにして後から確認できる。

0054

すなわち、この分離材料を熱水等に浸漬し、当該分離層を解体し、超音波照射して個々の粒子に分散せしめ、この粒子分散液をSEM等顕微鏡観察することにより、この三種類の粒子は、まず粒径及び/又は粒子形状が明確に異なることから区別される。これは、シリカゲル粒子は、粒子径が最も大きく(1〜20μm)、形状は不定形か真球状、通常真球状のものであり、一方葉状シリカ2次粒子は、粒径がこれよりやや小さく(0.1〜10μm)、鱗片状のシリカ薄片が重なりあった(TEM観察で確認可能)、シリカゲル粒子とは全く異なる独特の葉状の形状をしているからである。また、コロイダルシリカ粒子は、これらよりずっと小さい2〜30nm程度の粒子であることにより区別できる。

0055

また、上記水分散液のpHを12以上に上げた場合、シリカゲル粒子及びコロイダルシリカ粒子は、通常のシリカのアルカリに対する挙動に従い容易に溶解するのに対して、本発明者らにより創成された葉状シリカ2次粒子は、実質的に溶解せずに粒子の形状を保持したまま残留することにより確認することもできる。なお、全シリカ量は、JIS Z0701に従い、分析することにより求められる。

0056

以下、本発明を実施例により詳細に説明する。

0057

〔合成例1〕(ヒドロゲルを出発原料とするシリカ3次凝集体粒子の製造)
出発原料のシリカヒドロゲルは、ケイ酸ナトリウムアルカリ源として次のようにして調整した。SiO2 /Na2 O=3.0(モル比)、SiO2 濃度21.0質量%であるケイ酸ナトリウム水溶液2000ml/minと、硫酸濃度20.0質量%の硫酸水溶液とを、放出口を備えた容器内に別個の導入口から導入して瞬間的に均一混合して、放出口から空中に放出される液のpHが7.5〜8.0になるように2液の流量比を調整し、均一混合されたシリカゾル液を放出口から連続的に空気中に放出させた。放出された液は、空気中で球形液滴となり、放物線を描いて約1秒間滞空する間に空中でゲル化した。落下地点には、水を張った熟成槽を置いておき、ここに落下せしめて熟成させた。

0058

熟成後、pHを6に調整し、さらに十分水洗して、シリカヒドロゲルを得た。得られたシリカヒドロゲル粒子は、粒子形状が球形であり、平均粒子径が6mmであった。このシリカヒドロゲル粒子中のSiO2 質量に対する水の質量比率は、4.55倍であり、シリカヒドロゲル粒子中の残存ナトリウムは、110ppmであった。

0059

上記シリカヒドロゲル粒子を、ダブルロールクラッシャーを用いて平均粒子径2.5mmに粗粉砕して、次工程の水熱処理工程に用いた。

0060

容量50000mlのオートクレーブ(電気加熱式アンカ−型攪拌羽根付き)に、系内の総SiO2 /Na2 Oモル比が12.0なるように、上記粒径2.5mmのシリカヒドロゲル(SiO2 18質量%)23.7kg及びケイ酸ナトリウム水溶液(SiO2 28.75質量%、Na2 O9.3質量%、SiO2 /Na2 O=3.17(モル比))5.5kgを仕込み、これにイオン交換水を10.7kgを加え、50rpmで撹拌しながら185℃で8時間水熱処理を行った。系内の総シリカ濃度は、SiO2 として15質量%であった。

0061

水熱処理後のスラリーは、濾布式竪型遠心分離機(東興機械社製、TU−18型)を用いて濾過水洗を行い、有姿含水率69.7質量%(固形分濃度30.3質量%)のシリカの湿ケーキを得た。

0062

上記湿ケーキに水を添加してリパルプし、SiO2 濃度7.0質量%のシリカのスラリーとした後、媒体流動層乾燥機(大川原製作所製、SFD−MII型)を用いて、熱風温度300℃で乾燥し、5.6kgの乾燥微粉末を得た。

0063

粉末X線回折スペクトルにより生成微粉末についての生成相の同定を行ったところ、X線回折スペクトルとして、ASTMカード番号16−0380に該当する2θ=4.9゜及び26.0゜の主ピークを特徴とするシリカ−Xの主ピーク以外にASTMカード番号31−1235、37−0386に該当するピークが認められた。

0064

また、この微粉末の吸油量(JIS K5101)を測定したところ、110ml/100gであった。

0065

生成粒子の形態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、鱗片状の薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって葉状シリカ2次粒子が形成されていることが観察された。

0066

一方、生成粒子の形態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、上記1次粒子は識別できず、上記の葉状シリカ2次粒子が1次粒子であるかのごときに観察された。当該葉状粒子の形状は鱗片状であり、これが不規則に重なり合って多数の間隙(空隙またはポケット)を有するシリカ3次凝集体粒子が形成されていることが観察された。これが本発明におけるシリカ3次凝集体粒子である。

0067

この微粉末(シリカ3次凝集体粒子)の平均粒子径をコールターカウンター(コールターエレクトロニクス社製、MAII型、アパーチャーチューブ径50μm(以下の合成例2〜4において同じ))を用いて測定したところ、6.1μmであった。

0068

さらに当該微粉末の結晶型遊離ケイ酸量をX線回折分析法により測定したところ、検出限界以下(2%以下)であることがわかった。

0069

〔合成例2〕(ヒドロゲルを出発原料とするシリカ3次凝集体粒子の製造)
出発原料のシリカヒドロゲルは、NaOHをアルカリ源として次のようにして調整した。SiO2 /Na2 O=3.0(モル比)、SiO2 濃度21.0質量%であるケイ酸ナトリウム水溶液2000ml/minと、硫酸濃度20.0質量%の硫酸水溶液とを、放出口を備えた容器内に別個の導入口から導入して瞬間的に均一混合して、放出口から空中に放出される液のpHが7.5〜8.0になるように2液の流量比を調整し、均一混合されたシリカゾル液を放出口から連続的に空気中に放出させた。放出された液は、空気中で球形液滴となり、放物線を描いて約1秒間滞空する間に空中でゲル化した。落下地点には、水を張った熟成槽を置いておき、ここに落下せしめて熟成させた。

0070

熟成後、pHを6に調整し、さらに十分水洗して、シリカヒドロゲルを得た。得られたシリカヒドロゲル粒子は、粒子形状が球形であり、平均粒子径が6mmであった。このシリカヒドロゲル粒子中のSiO2 質量に対する水の質量比率は、4.38倍であり、シリカヒドロゲル粒子中の残存ナトリウムは、112ppmであった。

0071

上記シリカヒドロゲル粒子を、ダブルロールクラッシャーを用いて平均粒子径2.5mmに粗粉砕して、次工程の水熱処理工程に用いた。

0072

容量5000mlのオートクレーブ(電気加熱式、アンカー型攪拌羽根付き)に、系内の総SiO2 /Na2 Oモル比が11.0なるように、上記粒径2.5mmのシリカヒドロゲル(SiO2 18.6質量%)2688g及び水酸化ナトリウム水溶液(NaOH48.5質量%)126gを仕込み、これにイオン交換水を1186gを加え、種晶0.5gを添加して、20rpmで撹拌しながら180℃で12時間水熱処理を行った。系内の総シリカ濃度は、SiO2 として12.5質量%であった。

0073

水熱処理後のスラリーは、濾布式竪型遠心分離機(東興機械社製、TU−18型)を用いて濾過水洗を行い、有姿含水率66.7質量%(固形分濃度33.3質量%)のシリカの湿ケーキを得た。

0074

上記湿ケーキに水を添加してリパルプし、SiO2 濃度7.0質量%のシリカのスラリーとした後、媒体流動層乾燥機(大川原製作所製、SFD−MINI型)を用いて、熱風温度300℃で乾燥し、408gの乾燥微粉末を得た。生成微粉末を粉末X線回折スペクトルにより生成微粉末についての生成相の同定を行ったところ、X線回折スペクトルとして、ASTMカード番号31−1233に該当する2θ=5.6゜及び25.8゜の主ピークを特徴とするシリカ−Yの主ピーク以外にASTMカード番号35−63、25−1332に該当するピークが認められた。

0075

また、この微粉末の吸油量(JIS K5101)を測定したところ、100ml/100gであった。

0076

生成粒子の形態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、鱗片状の薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって葉状シリカ2次粒子が形成されていることが観察された。

0077

一方、生成粒子の形態を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、上記1次粒子は識別できず、上記の葉状シリカ2次粒子が1次粒子であるかのごときに観察された。当該葉状粒子の形状は鱗片状であり、これが不規則に重なり合って多数の間隙(空隙またはポケット)を有するシリカ3次凝集体粒子が形成されていることが観察された。

0078

また、この微粉末の平均粒子径をコールターカウンター(コールターエレクトロニクス社製、MAII型)を用いて測定したところ、6.5μmであった。

0079

さらに該微粉末の結晶型遊離ケイ酸量をX線回折分析法により測定したところ、検出限界以下(2%以下)であることがわかった。

0080

〔合成例3〕(合成例1の湿ケーキからスラリー状の葉状シリカ2次粒子の製造)
合成例1に示した遠心分離機による濾過・水洗後の湿ケーキ1000g(固形分濃度:30.3質量%) に水1020gを加えてリパルプし、固形分15質量%のシリカスラリーを調製した。このスラリーの状態では、コールターカウンターによる平均粒径は7.2μmであり、B型粘度計による粘度は、0.010Pa・sであった。

0081

次にこのスラリーを媒体攪拌ビーズミルシンマルエンタープライゼズ社製、ダイノーミルKDL−PILOT A型 (ベッセル容量1.4L、直径0.5mmジルコニアビーズ80%充填) )でシャフト回転数3400rpm、流量30L/hで1回通過させ、シリカ3次凝集体粒子の解砕・分散化を行った。

0082

解砕・分散化後のスラリー中の微粒子のコールターカウンターによる平均粒子径は1.6μmであった。また、このスラリーの粘度を、B型粘度計で測定したところ、0.13Pa・sであった。

0083

次に、当該スラリー中の微粒子の微粒子の状態に近い乾燥された葉状シリカ2次粒子の物性を調べるため、以下の方法で乾燥粉末を得た。

0084

当該スラリーは、乾燥により極めて凝集しやすいという特異な性質を有しているため、単分散された乾燥粉末を得るには、極めて薄い濃度の水スラリーにして凝集を防ぎながら乾燥をする必要がある。

0085

すなわち、当該スラリー(固形分濃度15質量%)に水を添加し、固形分濃度0.3質量%にスラリー濃度を調整した。

0086

当該スラリーを小型のスプレードライヤー(ヤマト科学社製、GA32型)を用いて、スラリー供給量1.7ml/min、噴霧圧力0.3MPa (G)、熱風温度130℃で噴霧乾燥を行い乾燥微粉末を得た。

0087

得られた乾燥微粉末のコールターカウンターによる平均粒径は、1.9μmであった。

0088

この微粉末を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察したところ、シリカ3次凝集体粒子は、実質的に認められず、これは、本発明の葉状シリカ2次粒子から実質的になっていることが判明した。また、SEM観察によるこの2次粒子のアスペクト比の平均値は、約50であった。

0089

この微粉末を念のため粉末X線回折スペクトルにより生成相の同定を行ったところ、X線回折スペクトルとして、ASTMカード番号16−0380に該当する2θ=4.9゜及び26.0゜の主ピークを特徴とするシリカ−Xの主ピーク以外にASTMカード番号31−1235、37−0386に該当するピークが認められ、解砕前と同じものであることが確認された。

0090

生成粒子の形態を透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、鱗片状の薄片1次粒子が互いに面間が平行的に配向し、複数枚重なって本発明の葉状シリカ2次粒子が形成されていることが観察された。

0091

また、この微粉末をエポキシ樹脂に埋包し、ウルトラミクロトーム超薄切片を作成して、透過型電子顕微鏡(TEM)で観察したところ、1次粒子の厚みは、1〜10nmと極めて薄いことがわかった。

0092

当該微粉体のBET法細孔分布測定装置(日本ベル社製、ベルソープ28型)による細孔容積は0.12ml/g、比表面積は、65m2 /gであり、細孔分布曲線では3.6nm付近にメソ細孔領域の鋭い大きなピークが認められた。また、当該微粉末の赤外吸収スペクトル(ニコレージパン社製、FT−IR510型)測定では、3600〜3700cm-1、3400〜3500cm-1にそれぞれひとつの吸収帯を持つシラノール基が認められた。

0093

また、シラノール基(SiOH)の量を、120℃・2時間での乾燥減量と1200℃・3時間での加熱減量との差(W質量%とする。)からシリカ単位質量当たりのシラノール基(SiOH)=W×1111.1(μmol/g)の計算式により求めると、3650μmol/gであり、BET法による比表面積当たりでは56.2μmol/m2 という大きな値を示した。

0094

耐熱性については、空気雰囲気下、500〜1000℃で、走査型電子顕微鏡での観察では特段の変化は認められなかった。

0095

酸水溶液及びアルカリ水溶液に対する20℃での飽和溶解度については、溶解SiO2 濃度は、10質量%、HCl水溶液に対しては、0.008質量%、イオン交換水に対しては、0.006質量%、5質量%NaOH水溶液に対しては、0.55質量%、10質量%NaOH水溶液に対しては、0.79質量%であった。特に耐アルカリに関しては、例えばシリカゲルに比較すると非常に小さな溶解度であった(シリカゲルの場合、3質量%NaOH水溶液に対しても溶解度は、6.5質量%である)。

0096

〔合成例4〕(合成例2の湿ケーキからスラリー状の葉状シリカ2次粒子の製造)
合成例2に示した遠心分離機による濾過・水洗後の湿ケーキを用いて合成例3と同様に、媒体攪拌ビーズミル(シンマルエンタープライゼズ社製、ダイノーミルKDL−PILOT A型 (ベッセル容量1.4L、直径0.5mmジルコニアビーズ80%充填) )でシャフト回転数3400rpm、流量30L/hで1回通過させ、シリカ3次凝集体粒子の解砕・分散化を行い、固形分濃度15質量%の葉状シリカ2次粒子の水スラリーを得た。

0097

解砕・分散化後のスラリー中の微粒子のコールターカウンターによる平均粒子径は1.7μmであった。また、このスラリーの粘度を、B型粘度計で測定したところ、0.11Pa・sであった。

0098

〔合成例5〕(合成例1の湿ケーキからスラリー状の葉状シリカ2次粒子の製造)
合成例1に示した遠心分離機による濾過・水洗後の湿ケーキに水を添加して固形分濃度14質量%に調整したシリカ3次凝集体粒子の水スラリーを用いて、媒体攪拌ビーズミル(シンマルエンタープライゼズ社製、ダイノーミルKDL−PILOT A型 (ベッセル容量1.4L、直径0.5mmジルコニアビーズ70%充填) )でシャフト回転数3400rpm、流量10L/hで3回通過させ、シリカ3次凝集体粒子の解砕・分散化を行い、固形分濃度14質量%の葉状シリカ2次粒子の水スラリーを得た。

0099

解砕・分散化後のスラリー中の微粒子のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所社製、LA−920型)による平均粒子径は、0.54μmであった。また、このスラリーの粘度を、B型粘度計で測定したところ、0.5Pa・sであった。

0100

〔実施例1〕
(1) 合成例3に記載した媒体撹拌ビーズミルで処理した固形分15質量%スラリー(平均粒子径1.6μm)11.1gとシリカゾル(触媒化成工業社製CATALOID SI−350、粒子径=8nm、SiO2 濃度30.3質量%)5.5g及びイオン交換水46.0gを200mlのプラスチック容器に入れて混合した後、微小真球状シリカゲル(洞海化学工業社製、商品名サンスフェアL−121、平均粒子径12μm、窒素吸着法による細孔構造測定装置(日本ベル社製、ベルソープ−28型による比表面積300m2 /g、平均細孔直径12nm、以下同じ。)30gを添加し、振とう機(イワキ社製、V−5型)で10分間振とう混合してスラリー状の硬化性組成物を得た。

0101

次に、ガラス板(ソーダライムガラス、100mm×200mm×2mm厚)を用意して、アプリケータ(谷澤科学社製)を用いて膜厚0.5mmにセットして、上記のスラリー状硬化性組成物をガラス板の片面に塗布した。塗布されたガラス板は、常温で乾燥後、さらに110℃で1時間乾燥試験片とした。

0102

なお、葉状シリカ2次粒子、コロイダルシリカ粒子及び微小真球状シリカゲルとの固形分での質量比率は、5:5:90である。

0103

試験片における硬化塗膜の外観は、平滑でありヒビ割れなどは認められず夫であった。塗布量は、固形分換算で200g/m2 であり、塗膜厚みは、約250μmであった。

0104

(2) この試験片を、薄層クロマトグラフィ用分離材料として用い、定法に従い展開槽内で親油系の展開溶媒(ヘキサン:クロロホルム=1:1)を用いて染料混合物の分離を行い、その分離性能を測定評価した。

0105

分離サンプルは、市販の染料溶液バイエル社製、マクロレックスグリーン、マクロレックス・バイオレット、保土谷化学工業社製、SOTブルー、それぞれクロロホルム中濃度0.1%)の混合溶液を、キャピラリーを使用してプレート下端より15mmの所にスポットし、展開距離として、当該スポットから100mm展開した。

0106

展開溶媒の距離と分離された各サンプルのスポットの中心の距離を計測し、展開溶媒の展開距離に対する各スポットの距離の比率を次の式 (1) により算出して、Rf 値とした。なお、薄層クロマトグラフィにおいては、このRf 値が大きいもの程、分離性能が良好であることを示す。

0107

Rf =(試料物質移動距離/展開溶媒の展開距離) (1)
評価結果を表1に示した。

0108

なお、上記試験片の硬化塗膜を100℃の沸騰水に30分浸漬し、さらに超音波を照射し解体した。得られた分散液をSEMで観察したところ、微小真球状シリカゲル(粒径12μm)、葉状シリカ2次粒子(粒径1.6μm)、コロイダルシリカ粒子(ゾル粒子)(粒径8nm)のそれぞれが存在することが、その大きさ/粒子形状から明確に区別された。

0109

〔実施例2〕
(1) 合成例3に記載した媒体撹拌ビーズミルで処理した固形分15質量%スラリー(平均粒子径1.6μm)11.1gとシリカゾル(触媒化成工業社製CATALOID SI−550、粒子径=5nm、SiO2 濃度20.6質量%)8.1g及びイオン交換水43.4gを200mlのプラスチック容器に入れて混合した後、微小真球状シリカゲル(洞海化学工業社製、商品名サスフェアL−121、平均粒子径12μm、比表面積300m2 /g、平均細孔直径12nm30gを添加し、振とう機(イワキ社製、V−5型)で10分間振とう混合してスラリー状の硬化性組成物を得た。

0110

(2) 上記のスラリー状硬化性組成物を用いて、実施例1と同様にガラス板に塗布し、薄層クロマトグラフィ用分離材料の試験片を作成した。

0111

なお、葉状シリカ2次粒子、コロイダルシリカ粒子及び微小真球状シリカゲルとの固形分での質量比率は、5:5:90である。

0112

塗膜の外観は、平滑でありヒビ割れなどは認められなかった。塗膜強度は、実施例1で作成した薄層クロマトグラフィ分離材料の塗膜よりもやや弱い程度で問題は無かった。

0113

この試験片を用い、実施例1と同様の条件で、薄層クロマトグラフィとしての分離性能の評価を行った。結果を表1に示した。

0114

〔実施例3〕
(1) 合成例3に記載した媒体撹拌ビーズミルで処理した固形分15質量%スラリー(平均粒子径1.6μm)11.1gとシリカゾル(触媒化成工業社製CATALOID SI−30、粒子径=11nm、SiO2 濃度30.5質量%)5.5g及びイオン交換水46.0gを200mlポリ容器に入れて混合した後、微小真球状シリカゲル(洞海化学工業社製、商品名サンスフェアL−121、平均粒子径12μm、比表面積300m2 /g、平均細孔直径12nm)30gを添加し、振とう機(イワキ社製、V−5型)で10分間振とう混合してスラリー状の硬化性組成物を得た。

0115

(2) 上記のスラリー状硬化性組成物を用いて、実施例1と同様にガラス板に塗布し、薄層クロマトグラフィ用分離材料の試験片を作成した。

0116

なお、葉状シリカ2次粒子、コロイダルシリカ粒子及び微小真球状シリカゲルとの固形分での質量比率は、5:5:90である。

0117

塗膜の外観は、平滑でありヒビ割れなどは認められず、塗膜強度は、実施例1で作成した薄層クロマトグラフィ用分離材料の塗膜よりも強かった。

0118

この試験片を用い、実施例1と同様の条件で、薄層クロマトグラフィとしての分離性能の評価を行った。結果を表1に示した。

0119

〔実施例4〕
(1) 合成例4に記載した媒体撹拌ビーズミルで処理した固形分15質量%スラリー(平均粒子径1.6μm)11.1gとシリカゾル(触媒化成工業社製CATALOID SI−30、粒子径=11nm、SiO2 濃度30.5質量%)5.5g及びイオン交換水46.0gを200mlのプラスチック容器に入れて混合した後、微小真球状シリカゲル(洞海化学工業社製、商品名サンスフェアL−121、平均粒子径12μm、比表面積300m2 /g、平均細孔直径12nm)30gを添加し、振とう機(イワキ社製、V−5型)で10分間振とう混合してスラリー状の硬化性組成物を得た。

0120

(2) 上記のスラリー状硬化性組成物を用いて、実施例1と同様にガラス板に塗布し、薄層クロマトグラフィ用分離材料の試験片を作成した。

0121

なお、葉状シリカ2次粒子、コロイダルシリカ粒子及び微小真球状シリカゲルとの固形分での質量比率は、5:5:90である。

0122

塗膜の外観は、平滑でありヒビ割れなどは認められず、塗膜強度は、実施例1で作成した薄層クロマトグラフィ用分離材料の塗膜よりもやや強かった。

0123

この試験片を用い、実施例1と同様の条件で、薄層クロマトグラフィとしての分離性能の評価を行った。結果を表1に示した。

0124

〔実施例5〕
(1) 合成例3に記載した媒体撹拌ビーズミルで処理した固形分15質量%スラリー(平均粒子径1.6μm)11.1gとシリカゾル(触媒化成工業社製CATALOID SI−30、粒子径=11nm、SiO2 濃度30.5質量%)5.5g及びイオン交換水46.0gを200mlポリ容器に入れて混合した後、微小不定形状シリカゲル(平均粒子径6μm、比表面積600m2 /g、平均細孔直径6nm)30gを添加し、振とう機(イワキ社製、V−5型)で10分間振とう混合してスラリー状の硬化性組成物を得た。

0125

(2) 上記のスラリー状硬化性組成物を用いて、実施例1と同様にガラス板に塗布し、薄層クロマトグラフィ用分離材料の試験片を作成した。

0126

なお、葉状シリカ2次粒子と上記微小真球状シリカゲルとの固形分での質量比率は、10:90である。

0127

塗膜の外観は、平滑でありヒビ割れなどは認められず、塗膜強度は、実施例1で作成した薄層クロマトグラフィ分離材料プレートよりやや弱い程度で問題は無かった。

0128

この試験片を用い、実施例1と同様の条件で、薄層クロマトグラフィとしての評価を行った。評価結果を表1に示した。

0129

〔実施例6〕
(1) 合成例5に記載した媒体撹拌ビーズミルで処理した固形分14質量%スラリー(平均粒子径0.54μm)11.9gとシリカゾル(触媒化成工業社製CATALOID SI−30、粒子径=11nm、SiO2 濃度30.5質量%)5.5g及びイオン交換水45.2gを200mlのプラスチック容器に入れて混合した後、微小真球状シリカゲル(洞海化学工業社製、商品名サンスフェアL−121、平均粒子径12μm、比表面積300m2 /g、平均細孔直径12nm)30gを添加し、振とう機(イワキ社製、V−5型)で10分間振とう混合してスラリー状の硬化性組成物を得た。

0130

(2) 上記のスラリー状硬化性組成物を用いて、実施例1と同様にガラス板に塗布し、薄層クロマトグラフィ用分離材料の試験片を作成した。

0131

なお、葉状シリカ2次粒子、コロイダルシリカ粒子及び微小真球状シリカゲルとの固形分での質量比率は、5:5:90である。

0132

塗膜の外観は、平滑でありヒビ割れなどは認められず、塗膜強度は、実施例1で作成した薄層クロマトグラフィ用分離材料の塗膜よりもやや強かった。

0133

この試験片を用い、実施例1と同様の条件で、薄層クロマトグラフィとしての分離性能の評価を行った。結果を表1に示した。

0134

〔比較例1〕(葉状シリカ2次粒子のみを粒子結着剤として用いた硬化性組成物から得られる薄層クロマトグラフィ用分離材料)

0135

(1) 合成例3に記載した媒体撹拌ビーズミルで処理した固形分15質量%スラリー(平均粒子径1.6μm)22.2gとイオン交換水40.4gを200mlプラスチツク容器に入れて混合した後、微小真球状シリカゲル(洞海化学工業社製、商品名サンスフェアL−121、平均粒子径12μm、比表面積300m2 /g、平均細孔直径12nm)30gを添加し、振とう機(イワキ社製、V−5型)で10分間振とう混合してスラリー状の硬化性組成物を得た。

0136

(2) 上記のスラリー状硬化性組成物を用いて、実施例1と同様にガラス板に塗布し、薄層クロマトグラフィ用分離材料の試験片を作成した。

0137

なお、葉状シリカ2次粒子と上記微小真球状シリカゲルの固形分での質量比率は、10:90である。

0138

塗膜の外観は、平滑でありヒビ割れなどは認められず、また塗膜強度は、実施例1で作成した薄層クロマトグラフィ用分離材料の塗膜とほぼ同等であった。

0139

この試験片を用い、実施例1と同様の条件で、薄層クロマトグラフィとしての評価を行った。評価結果を表2に示した。

0140

表2から明らかなように、粒子結着剤が葉状シリカ2次粒子のみの場合、さらにコロイダルシリカ粒子を併用した実施例1と比較した場合、Rf 値は、大幅に小さい値となることが理解される。

0141

〔比較例2〕(コロイダルシリカ粒子のみを粒子結着剤として用いた硬化性組成物から得られる薄層クロマトグラフィ用分離材料)

0142

(1)シリカゾル(触媒化成工業社製CATALOID SI−350、粒子径=8nm、SiO2 濃度30.3質量%)11.0gとイオン交換水51.6gを200mlのプラスチック容器に入れて混合した後、微小真球状シリカゲル(洞海化学工業社製、商品名サンスフェアL−121、平均粒子径12μm、比表面積300m2 /g、平均細孔直径12nm)30gを添加し、振とう機(イワキ社製、V−5型)で10分間振とう混合してスラリー状の硬化性組成物を得た。

0143

(2) 上記のスラリー状硬化性組成物を用いて、実施例1と同様にガラス板に塗布し、薄層クロマトグラフィ用分離材料の試験片を作成した。

0144

なお、葉状シリカ2次粒子と微小真球状シリカゲルとの固形分での質量比率は、10:90である。

0145

塗膜の外観は、ヒビ割れが顕著に発生し、ガラス板から容易に塗膜が剥離する状態で、薄層クロマトグラフィ用分離材料としては、使用に耐えないものであった。粒子結着剤としては、葉状シリカ2次粒子とコロイダルシリカ粒子を併用することが好ましいことが理解される。

0146

〔比較例3〕(ポリアクリル酸ソーダのみを粒子結着剤として用いた硬化性組成物から得られる薄層クロマトグラフィ用分離材料)

0147

ポリアクリル酸ソーダ(日本純薬社製、ジュリマーAC−10HN、固形分濃度20質量%)16.7gとイオン交換水45.9gを200mlのプラスチック容器に入れて混合した後、微小真球状シリカゲル(洞海化学工業社製、商品名サンスフェアL−121、平均粒子径12μm、比表面積300m2 /g、平均細孔直径12nm)30gを添加し、振とう機(イワキ社製、V−5型)で10分間振とう混合してスラリー状の硬化性組成物を得た。

0148

(2) 上記のスラリー状硬化性組成物を用いて、実施例1と同様にガラス板に塗布し、薄層クロマトグラフィ用分離材料の試験片を作成した。

0149

なお、ポリアクリル酸ソーダと微小真球状シリカゲルとの固形分での質量比率は、10:90である。

0150

塗膜の外観は、見掛けは平滑であり、ヒビ割れなどは認められなかったが、塗膜強度は、実施例1で作成した薄層クロマトグラフィ用分離材料の塗膜と比較して著しく弱いため、薄層クロマトグラフィー用分離材料として、使用に耐えない状態であった。これは、用いた微小真球状シリカゲルの細孔構造に起因するためと思われる。

0151

このように、本発明の薄層クロマトグラフィ用分離材料は、分離膜形成においてきわめて微妙なコントロールが必要であるポリアクリル酸ソーダ等の水溶性高分子を使用していないので、特殊な技術を要することなく所望の性能(塗膜強度)のものを再現性よく安定的に調整することが可能である。

0152

0153

発明の効果

0154

本発明に従えば、結着剤として葉状シリカ2次粒子及びコロイダルシリカ粒子を使用するため、構成成分がすべてシリカからなり、しかも支持基体への塗膜の密着性、塗膜の強さなどを所望の範囲に満たしつつ、分離性能をよりいっそう向上させた薄層クロマトグラフィ用分離材料が提供される。

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