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技術 固体試料のアニール方法および半導体不純物ドーピング層形成方法

出願人 パナソニック株式会社
発明者 節原裕一水野文二高瀬道彦足立智
出願日 2000年5月26日 (20年7ヶ月経過) 出願番号 2000-156330
公開日 2001年12月7日 (19年0ヶ月経過) 公開番号 2001-338894
状態 未査定
技術分野 拡散 アニール
主要キーワード 電磁波領域 フォノン振動 パルスレーザー光照射 超短パルスレーザー光 誘導散乱 即時呼 多重パルス 連成振動
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (6)

課題

従来のアニール技術は、不純物ドープ層活性化には有効であるが、基板全体が1000度C程度の高温に加熱され、10秒程度の短時間の加熱であっても、注入された不純物基板深部へも拡散してしまうという問題があった。

解決手段

固体試料に、電磁波を照射して格子振動フォノン)を直接励起することにより、熱的に非平衡な状態で原子分子及び格子欠陥振動再配列及び拡散を行う。

概要

背景

近年、シリコン単結晶ウェハーを基板として成される超大規模集積回路(LSI)をはじめとする半導体装置においては、半導体装置のデザインルール縮小に伴って、ショートチャンネル効果の防止と共にデバイス高速化のために、トランジスタ拡散層接合深さを浅くする必要性が生じている。このため、ダイナミック即時呼び出し記憶装置DRAM)等に用いられるMOSFETないしバイポーラトランジスタにおいては、例えば、ゲート長が100ナノメータ程度で実現されるデバイスでは、接合深さは50ナノメータ、さらにゲート長が50ナノメータ程度で実現されるデバイスでの接合深さは10ナノメータ程度であることが要求されており、極浅層(10ないし50ナノメータ程度)に半導体不純物高濃度ドーピングする技術と共に極浅接合層半導体として活性化させるためのアニール技術が検討されている。

これに対して、従来のアニール技術の一つとしては、ランプ等を用いて固体試料全体を1000度C程度に加熱する赤外線急速熱処理RTA)による固相拡散を利用した熱平衡状態での活性化法が知られている。又、レーザを用いた従来技術としては308nmのXeClエキシマレーザ照射してシリコン表面を溶融した後再結晶化する技術がレーザアニールとして知られている(参考文献1)。ここでは、例えば、0.35J/cm2のレーザアニールと800℃10秒のRTAを組み合わせて熱処理を行っている(参考文献 Ken-ich Goto他、p931−933.、International Electron Device Meeting 1999 at Washington DC)。

概要

従来のアニール技術は、不純物ドープ層の活性化には有効であるが、基板全体が1000度C程度の高温に加熱され、10秒程度の短時間の加熱であっても、注入された不純物が基板深部へも拡散してしまうという問題があった。

固体試料に、電磁波を照射して格子振動フォノン)を直接励起することにより、熱的に非平衡な状態で原子分子及び格子欠陥振動再配列及び拡散を行う。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
8件
牽制数
7件

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請求項1

固体試料に、電磁波を照射して格子振動フォノン)を直接励起することにより、熱的に非平衡な状態で原子分子及び格子欠陥振動再配列及び拡散を行うことを特徴とする固体試料のアニール方法

請求項2

シリコンウェハー上での半導体形成において、コヒーレント電磁波を照射して格子振動(フォノン)を直接励起することにより、熱的に非平衡な状態で不純物元素活性化を行い、極浅接合層低温活性化を行うことを特徴とする半導体不純物ドーピング層形成方法

請求項3

シリコンウェハーもしくはシリコンを含む固体基板として成される半導体装置形成において、コヒーレント電磁波を照射して格子振動(フォノン)を直接励起することにより、熱的に非平衡な状態で不純物元素の活性化を行い、極浅接合層の低温活性化を行うことを特徴とする半導体不純物ドーピング層形成方法。

請求項4

コヒーレント電磁波照射において、パルス幅が10〜1000フェムト秒周波数帯域幅が1〜100THz)の超短パルスを有するコヒーレント電磁波の多重パルス照射を用いることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の半導体不純物ドーピング層形成方法。

請求項5

コヒーレント電磁波照射において、10GHz〜1THzの発振周波数ないしは周波数帯域を有する連続波出力のコヒーレント電磁波を用いることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の半導体不純物ドーピング層形成方法。

請求項6

コヒーレント電磁波照射を、不純物元素の添加ないし導入プロセスと同時に、あるいは、不純物元素の添加ないし導入プロセスの後に行うことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の半導体不純物ドーピング層形成方法。

請求項7

コヒーレント電磁波照射において、複数のコヒーレント電磁波ビームを同時に特定の角度を持たせて入射することにより、シリコンの特定の格子振動を励起することを特徴とする請求項4から請求項6のいずれかに記載の半導体不純物ドーピング層形成方法。

請求項8

超短パルスコヒーレント電磁波照射において、特定の格子振動周波数逆数に相当する時間間隔(10〜1000フェムト秒)を有するパルス列を照射することにより、特定の格子振動(振動周波数=1〜100THz)を選択的に励起することを特徴とする請求項4に記載の半導体不純物ドーピング層形成方法。

請求項9

コヒーレント電磁波照射において、単一ないし複数のコヒーレント電磁波ビームを入射することにより、不特定の格子振動を励起することを特徴とする請求項4または請求項5に記載の半導体不純物ドーピング層形成方法。

請求項10

超短パルスコヒーレント電磁波照射において、シリコン表面を10〜100フェムト秒の短時間の内に溶融固化することにより、断熱的に極浅PN接合層の低温活性化を行うことを特徴とする請求項4に記載の半導体不純物ドーピング層形成方法。

請求項11

コヒーレント電磁波照射において、コヒーレント電磁波照射と同時に試料を加熱することを特徴とする請求項2から請求項10のいずれかに記載の半導体不純物ドーピング層形成方法。

技術分野

0001

本発明は、固体試料に光を照射して格子振動フォノン)を直接励起することにより、熱的に非平衡な状態で原子分子及び格子欠陥振動再配列及び拡散を行うことを特徴とする固体試料のアニール方法に関わり、特にシリコン単結晶ウェハーを基板として成される半導体装置形成における極浅接合層低温活性化を行うことを特徴とする半導体不純物ドーピング層形成に適するものである。

背景技術

0002

近年、シリコン単結晶ウェハーを基板として成される超大規模集積回路(LSI)をはじめとする半導体装置においては、半導体装置のデザインルール縮小に伴って、ショートチャンネル効果の防止と共にデバイス高速化のために、トランジスタ拡散層接合深さを浅くする必要性が生じている。このため、ダイナミック即時呼び出し記憶装置DRAM)等に用いられるMOSFETないしバイポーラトランジスタにおいては、例えば、ゲート長が100ナノメータ程度で実現されるデバイスでは、接合深さは50ナノメータ、さらにゲート長が50ナノメータ程度で実現されるデバイスでの接合深さは10ナノメータ程度であることが要求されており、極浅層(10ないし50ナノメータ程度)に半導体不純物を高濃度ドーピングする技術と共に極浅接合層を半導体として活性化させるためのアニール技術が検討されている。

0003

これに対して、従来のアニール技術の一つとしては、ランプ等を用いて固体試料全体を1000度C程度に加熱する赤外線急速熱処理RTA)による固相拡散を利用した熱平衡状態での活性化法が知られている。又、レーザを用いた従来技術としては308nmのXeClエキシマレーザを照射してシリコン表面を溶融した後再結晶化する技術がレーザアニールとして知られている(参考文献1)。ここでは、例えば、0.35J/cm2のレーザアニールと800℃10秒のRTAを組み合わせて熱処理を行っている(参考文献 Ken-ich Goto他、p931−933.、International Electron Device Meeting 1999 at Washington DC)。

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、熱平衡状態での赤外線急速熱処理による固相拡散過程を利用する従来のアニール技術は、不純物ドープ層の活性化には有効であるが、基板全体が1000度C程度の高温に加熱され、10秒程度の短時間の加熱であっても、注入された不純物が基板深部へも拡散してしまうという問題があった。例えば、低エネルギーにより得られた厚さ20ナノメータの硼素原子注入層では、1000度Cでの急速加熱処理を10秒間行うことにより50ナノメータ程度となり、加熱前の2.5倍にもなってしまうという問題があった。

0005

さらに、複数回の不純物導入プロセスを必要とすることから、ますます複雑になるLSI等の製造工程において、従来の熱処理技術では固体試料全体が不純物拡散に適した高温に加熱されるため、不必要な部位の不純物まで拡散が生じてしまう。

0006

又エキシマレーザを使用する方法では余分な拡散は相当程度抑制されるが、作成したデバイスの漏れ電流が大きくなるなどの問題点があった。

課題を解決するための手段

0007

上記の問題点を解決するために、本発明による固体試料のアニール方法においては、固体の格子振動の振動数と同程度かそれよりも広い周波数帯域幅を有するコヒーレント電磁波を複数のパルスないしは連続光で照射し、格子振動(フォノン)をコヒーレントに直接励起することにより、熱的に非平衡な状態でかつ断熱的不純物元素の活性化を行い、熱平衡状態では不純物元素の活性化が実用上困難な程度に低い基板温度(例えば、シリコン単結晶ウェハーの場合、500度C以下)に保って熱的な原子拡散を抑制した状態で、極浅接合層の活性化を行うものである。以下に、本発明の原理について詳述する。

0008

固体結晶中において原子は規則正しく配列しており、結晶格子位置に存在する原子間には原子間力が働いている。この原子間力は微小変位に対してフックの法則に従う復元力バネ力)として働くので、熱運動あるいは外部からの強制振動によって生じる原子の振動は隣の原子へと伝わり連成振動を生じる。これを格子振動といい、固体中では量子化されているためフォノンと呼ばれる。さらに、原子の質量、原子間距離ならびに復元力のバネ定数に相当する原子間力は、個々の物質固有の値を持つため、フォノンの振動数と波数は互いに依存関係にあり、これを分散関係という。

0009

固体結晶に光を照射した場合、局所的な温度上昇熱的結合)あるいは誘電分極擾乱光弾性結合)により、光と結合した弾性歪みが生じる。この弾性歪みを外力として、フォノン振動数の領域にある光(電磁波)を結晶に照射すると、誘導ラマン散乱により位相のそろったコヒーレントフォノン励起することが可能である。例えば、シリコン単結晶において知られているフォノンの分散関係(参考文献、例えば、F. Favot and A. D. Corso, Phys. Rev. B 60, 11427 (1999).)によると、フォノンの振動数は10GHz〜10THzの間に存在するが、その周波数帯域内におけるコヒーレント電磁波として、10GHz〜100GHzの周波数帯域ミリ波領域)ではジャイロトロン等のミリ波発振管を用いることが可能であるのに対し、100GHz〜10THzの周波数帯テラヘルツ輻射と呼ばれる未開拓電磁波領域で、単一の発振源では実現されていない。

0010

そこで、10GHz〜100GHzの周波数帯域ではジャイロトロン等により得られるミリ波領域のコヒーレント電磁波を固体試料に照射し、コヒーレント電磁波による交番電界により固体試料表面の誘電分極をコヒーレントに振動させることによって、フォノンの励起が可能である。

0011

さらに、100GHz〜10THzのテラヘルツ輻射と呼ばれる電磁波領域では、周波数がω1およびω2(ω1>ω2)で波長がわずかに異なる2つのコヒーレント電磁波を結晶に入射させ、ω0をフォノンの振動周波数として、その周波数差ω1−ω2が
ω1−ω2=ω0 (1)
を満たすようにすると、誘導散乱が生じてコヒーレントフォノンが発生する。このため、ω0よりも広いスペクトル幅(周波数帯域幅)をもつコヒーレント電磁波源を用いると、スペクトル内の異なる周波数成分どうしが、式(1)を満たすω1とω2の役割を果たすため、単一のコヒーレント電磁波源でこの条件が満足される。この原理に基づくコヒーレントフォノン励起に関する研究は、励起されたフォノンのイメージングをはじめとする物性研究でも用いられている(参考文献:”フェムト秒領域のコヒーレントフォノンの振舞中島真一、長谷宗明、溝口幸司、日本物理学会誌、第53巻、第8号(1998)pp. 607-611.;”フォノンポラリトン実空間イメージング”足立 智、R. M. Koehl and K. A. Nelson, 日本物理学会誌、第54巻、第5号(1999)pp. 357-363.)。

0012

また、コヒーレント電磁波ビームにおけるパルス幅(Δt)と周波数帯域幅(Δω)は、
Δt・Δω < 2ln2 / π (2)
を満たすため、例えばチタンサファイアレーザー装置等を用いて発生させることが可能な、パルス幅が10〜1000フェムト秒のコヒーレント電磁波は、周波数帯域幅が1〜100THzとなり、周波数領域で差周波を用いることにより式(1)を満足することが可能である。

0013

このため、本発明では、請求項1に記するように、固体試料に、光を照射して格子振動(フォノン)を直接励起することを特徴とする。これにより、熱的な原子拡散を抑制した状態で、原子、分子及び格子欠陥の振動、再配列及び拡散を、光が照射されている部位において選択的に行い、固体試料のアニールを実現することが可能となる。つまり、実際の半導体装置製造工程においては、固体試料全体を高温にすることなく固体試料のアニールを行うため、適当なレジスト材を形成した状態で光を照射することにより、選択的に開口した部位のみのアニールをさせ得るので、今後ますます複雑になるLSI等の半導体装置の製造工程における不純物拡散プロファイルきめ細かくコントロールする事ができ、高性能半導体装置製造に寄与することが可能である。

0014

また本発明では、請求項2に記するように、シリコンウェハー上での半導体形成において、コヒーレント電磁波を照射して格子振動(フォノン)を直接励起することにより、熱的に非平衡な状態で不純物元素の活性化を行い、極浅接合層の低温活性化を行い、半導体不純物ドーピング層を形成することをも特徴とする。

0015

さらに本発明では、請求項3に記するように、シリコン単結晶ウェハーを基板として成される半導体装置形成において、コヒーレント電磁波を照射して格子振動(フォノン)を直接励起することにより、熱的に非平衡な状態で不純物元素の活性化を行い、極浅接合層の低温活性化を行うことをも特徴とする。

0016

さらに本発明では、請求項4に記するように、パルス幅が10〜1000フェムト秒(周波数帯域幅が1〜100THz)の超短パルスを有するコヒーレント電磁波の多重パルス照射を用いることをも特徴とする。

0017

さらに本発明では、請求項5に記するように、10GHz〜1THzの発振周波数ないしは周波数帯域を有する連続波出力のコヒーレント電磁波を用いることをも特徴とする。

0018

さらに本発明では、請求項6に記するように、請求項4ないし請求項5に示されたコヒーレント電磁波照射を、不純物元素の添加ないし導入プロセスと同時あるいは後で用いることを特徴とする。

0019

さらに本発明では、請求項7に記するように、請求項4、請求項5および請求項6に示されたコヒーレント電磁波照射において、複数のコヒーレント電磁波ビームを特定の角度を持たせて同時に入射することにより、シリコンの特定の格子振動を励起して、半導体不純物ドーピング層を形成することをも特徴とする。例えば、2つのコヒーレント電磁波を用いる場合、結晶上で生じる明暗干渉縞の間隔(Λ)は、2つのビームの公差角(θ)、コヒーレント電磁波ビームの中心波長(λ)を用いて次式のように表すことができる。

0020

Λ=λ/[2 sin(θ/2)] (3)
この干渉縞は、空間的には周期的な擾乱を結晶に与えて光弾性歪みを生じさせる。その結果、励起回折格子の波数(k)
k=2π/Λ (4)
にほぼ等しい波数を持つフォノンの励起が可能となる。

0021

さらに本発明では、請求項8に記するように、請求項4に示された超短パルスコヒーレント電磁波照射において、特定の格子振動周波数の逆数に相当する時間間隔(10〜1000フェムト秒)を有するパルス列を照射することにより、特定の格子振動(振動周波数=1〜100THz)を選択的に励起することをも特徴とする。

0022

さらに本発明では、請求項9に記するように、請求項4および請求項5に示されたコヒーレント電磁波照射において、単一ないし複数のコヒーレント電磁波ビームを入射することにより、複数のモードの格子振動を励起することをも特徴とする。

0023

さらに本発明では、請求項10に記するように、超短パルスコヒーレント電磁波照射において、シリコン表面を10〜100フェムト秒の短時間の内に溶融固化することにより、断熱的に極浅PN接合層の低温活性化を行うことをも特徴とする。

0024

さらに本発明では、請求項11に記するように、コヒーレント電磁波照射において、コヒーレント電磁波照射と同時に、熱平衡状態では不純物元素の活性化が実用上困難な程度に低い温度(例えば、シリコン単結晶ウェハーの場合、500度C以下)まで基板を加熱することを特徴とする。

発明を実施するための最良の形態

0025

以下、本発明に係る固体試料のアニール方法ならびに半導体不純物ドーピング層形成技術およびその装置について図面を参照しながら説明する。

0026

(第1の実施形態)請求項1〜6、請求項9および請求項10に係る本発明の実施例について図1および図2を用いて説明する。この実施例はシリコン基板中の不純物に関するものである。図1の様に、不純物を例えばイオン注入あるいはプラズマドーピングなどにより導入し、あらかじめ不純物層2を形成したシリコン基板1に、不純物層2が形成されている表面の側からコヒーレント電磁波3を照射して、固体中のフォノンを直接励起することにより、熱平衡状態では不純物元素の活性化が実用上困難な程度に低い温度(例えば、シリコン単結晶ウェハーの場合、500度C以下)にシリコン基板1を保った状態で、不純物元素の活性化を行う。なお、この実施例では被処理物をシリコン基板としたが、シリコン膜等が形成されたガラス材料高分子材料等の基板、ないしはGaAs等の化合物半導体基板を用いることも可能であり、必要に応じてフォトレジスト等のマスク材料を使用しても問題はない。

0027

コヒーレント電磁波の照射は典型的には以下の方法を用いた。図2チャンバー13内に設置した試料台15にシリコン基板等の固体試料14を置き、コヒーレント電磁波源11により発生した入射コヒーレント電磁波16を、照射均一性等を確保する上で必要な所定の光学部品で構成した照射光学系12を介することにより、適当な照射コヒーレント電磁波17に変換して、固体試料14に照射する。チャンバー13は、不活性ガス(例えば、窒素ヘリウムアルゴン雰囲気ないしは1x10-6Torr(1Torr=133.322Pa)以下の真空度に保った。なお、図1ないし図2に示す実施例においては、被処理物はあらかじめ不純物層が形成されたシリコン基板としたが、不純物層を形成する前の基板を用いて、チャンバーに付加したイオン源による不純物層形成、ないしは、チャンバー内に不純物を含む気体としてジボラン等を流入して発生した放電中でのプラズマドーピングによる不純物層形成と同時にコヒーレント電磁波照射を行っても問題はない。

0028

入射コヒーレント電磁波16には、パルス幅が10〜1000フェムト秒(周波数帯域幅が1〜100THz)の超短パルスレーザー光、周波数帯域幅が10GHz〜1THzの連続波出力レーザー光、発振周波数が10GHz〜100GHzのミリ波帯電磁波を、単独ないしは複合して用いる。超短パルスレーザー光は、例えばチタンサファイアレーザー装置をコヒーレント電磁波源11に用いて発生することが可能である。連続波出力レーザー光は、例えば半導体レーザー装置をコヒーレント電磁波源11に用いて発生することが可能である。ミリ波帯電磁波は、ジャイロトロン発振管、クライストロン発振管ないしは進行波管をコヒーレント電磁波源11に用いて発生することが可能である。

0029

なお、前記の超短パルスレーザー光を用いた被処理物の不純物層活性化において、パルスレーザー光照射によって被処理物の最表面近傍が溶融する場合であっても、不純物層を含む溶融固化現象は断熱的かつ局所的に生じるため問題はない。これは、パルス幅が10〜1000フェムト秒の超短パルスでは、被処理物全体の温度に与える影響は無視できる程度に小さいためである。

0030

図3は、単結晶シリコンウェハー基板にボロン不純物をドーズ1x1015 ions/cm2導入して形成した深さ20nmのp型不純物層を活性化するため、前記チタンサファイアレーザー装置により発生した超短パルスレーザー光照射を用いた場合と、従来の赤外線急速加熱を用いた場合における、ボロン濃度プロファイルである。図3に示す実施例では、窒素ガス雰囲気中において、チタンサファイアレーザー装置を用いて発生した中心波長820nmでパルス幅150フェムト秒の超短パルスレーザー光を、20度Cに保った状態で被処理物に垂直入射した。図3に比較のために示す従来の赤外線急速加熱では、被処理物の表面温度を1000度Cに10秒間維持した。従来の赤外線急速加熱による活性化処理後のボロン濃度プロファイルは、基板奥部に向かってボロンが熱的に拡散し、形成された接合の深さは42nmで、不純物導入層の厚さの2倍以上となった。これに対し、超短パルスレーザー光照射を用いた本実施例では、活性化処理前に比べて基板奥部への顕著な拡散はなく、接合深さが20nmの極浅接合が形成されたことが分かる。この様に前記の構成によれば、被処理物に不純物形成表面の側からコヒーレント電磁波を照射して、固体中のフォノンを直接励起することにより、熱平衡状態では不純物元素の活性化が実用上困難な程度に低い温度(例えば、シリコン単結晶ウェハーの場合、500度C以下)に被処理物を保った状態で、不純物元素の活性化が可能である。

0031

また、不純物層の低温活性化は、図3の実施例以外にも、パルス幅が10〜1000フェムト秒(周波数帯域幅が1〜100THz)の超短パルスレーザー光、周波数帯域幅が10GHz〜1THzの連続波出力レーザー光、発振周波数が10GHz〜100GHzのミリ波帯電磁波を前記コヒーレント電磁波として、単独ないしは複合して用いることができる。

0032

(第2の実施形態)請求項7の発明に係る本発明の実施例について図4を用いて説明する。図4は、複数のコヒーレント電磁波ビームを同時にかつ特定の角度を持たせて入射する照射方式を用いた実施例を示す。図4の様に、不純物を例えばイオン注入あるいはプラズマドーピングにより導入し、あらかじめ不純物層22を形成したシリコン基板21に、不純物層22が形成されている表面の側から、複数のコヒーレント電磁波ビームを照射する。例えば、2つのコヒーレント電磁波ビームL1およびL2を用いる場合、2つのビームの公差角(θ)、コヒーレント電磁波ビームの中心波長(λ)を用いて、式(3)にしたがう間隔(Λ)を有する干渉縞が被処理試料の表面上に生じる。この干渉縞は、空間的には周期的な擾乱を試料表面に与えて光弾性歪みを生じさせて、式(4)で与えられる励起回折格子の波数(k)にほぼ等しい波数を有する格子振動を選択的に励起することが可能である。固体試料表面において、特定の波数を有するフォノンを直接かつ選択的に励起することにより、熱平衡状態では不純物元素の活性化が実用上困難な程度に低い温度(例えば、シリコン単結晶ウェハーの場合、500度C以下)にシリコン基板21を保った状態で、不純物元素の活性化を行うことが可能である。

0033

ここで、励起されたフォノンの波数と固体中での減衰率の関係においては、高波数領域のフォノンほど減衰率が大きいことが、フォノンのイメージングによる物性研究(参考文献:”フォノンポラリトンの実空間イメージング”足立 智、R. M. Koehl and K. A. Nelson, 日本物理学会誌、第54巻、第5号(1999)pp. 357-363.)により明らかになっている。このため、励起されたフォノンの波数が大きいほど、被処理物の表面近傍のより浅い領域に励起エネルギーを付与することが可能となる。つまり、2つのビームの公差角(θ)、コヒーレント電磁波ビームの中心波長(λ)を適当に選択し、特定の波数のフォノンを選択的に励起することにより、被処理物の表面から基板奥部に向かっての処理領域の厚さの制御を可能とする効果がある。

0034

なお、この実施例では被処理物をシリコン基板としたが、シリコン膜等が形成されたガラス材料や高分子材料等の基板、ないしはGaAs等の化合物半導体基板を用いることも可能であり、必要に応じてフォトレジスト等のマスク材料を使用しても問題はない。

0035

また、該入射コヒーレント電磁波ビームには、パルス幅が10〜1000フェムト秒(周波数帯域幅が1〜100THz)の超短パルスレーザー光、周波数帯域幅が10GHz〜1THzの連続波出力レーザー光、発振周波数が10GHz〜100GHzのミリ波帯電磁波を、単独ないしは複合して用いる。該超短パルスレーザー光は、例えばチタンサファイアレーザー装置をに用いて発生することが可能である。該連続波出力レーザー光は、例えば半導体レーザー装置を用いて発生することが可能である。該ミリ波帯電磁波は、ジャイロトロン発振管、クライストロン発振管ないしは進行波管を用いて発生することが可能である。

0036

(第3の実施形態)請求項8の発明に係る本発明の実施例について図5を用いて説明する。図5は、前記(第1の実施形態)ないし(第2の実施形態)で示された超短パルスコヒーレント電磁波照射に関わり、特定の格子振動周波数の逆数に相当する時間間隔T3(10〜1000フェムト秒)を有するパルス列を照射する実施例における、パルスのタイミングチャートを示す。複数個NP(図5の例では5個)の超短パルスレーザー光(パルス幅PD=10〜1000フェムト秒)を用いて、特定の格子振動周波数の逆数に相当する時間間隔T3(10〜1000フェムト秒)を有するパルス列(パルス照射時間:T2=T3xNP)を、パルス列照射周期T1(パルス列繰返し周波数:1/T1)ごとに被処理物の表面に照射する。この様なパルス照射のタイミングチャート構成によれば、パルス間隔T3の逆数(1/T3)が特定の格子振動(振動周波数=1〜100THz)と等しくすることにより、振動周波数が1/T3のフォノンを選択的に励起することが可能である。また、パルス列を用いた固体中での特定の格子振動の選択的励起については、パルス列に用いられるパルス数の増加により、特定のフォノンの励起選択性が向上することがBi0.31Sb0.69混晶において実証されている(参考文献:”フェムト秒領域のコヒーレントフォノンの振舞”中島真一、長谷宗明、溝口幸司、日本物理学会誌、第53巻、第8号(1998)pp. 607-611.)。さらに、例えばシリコン基板でのp型半導体層を形成する場合、Si−B間の振動モードのみを選択的に選択することにより、ボロン不純物層のみを選択的に励起し、基板奥部に存在するシリコン領域への不必要な拡散を抑制する効果がある。

0037

請求項11の発明に係る半導体不純物ドーピング層形成技術によると、コヒーレント電磁波照射と同時に、熱平衡状態では不純物元素の活性化が実用上困難な程度に低い温度(例えば、シリコン単結晶ウェハーの場合、500度C以下)まで基板を加熱することで、イオン注入あるいはプラズマドーピング等により不純物層に形成された欠陥回復が促進されるため、加熱しない場合に比べて短時間で所定の不純物層を活性化することができる。

発明の効果

0038

本発明によれば、極浅い半導体不純物ドーピング層を精度良く形成することができる。

図面の簡単な説明

0039

図1本発明の第1の実施形態に係るコヒーレント電磁波照射方法を示す断面図
図2第1の実施形態に係るコヒーレント電磁波照射装置の断面図
図3超短パルスレーザー光照射を用いた場合と、赤外線急速加熱を用いた場合との、ボロン濃度プロファイルを示す図
図4本発明の第2の実施形態に係るコヒーレント電磁波照射方法を示す断面図
図5本発明の第3の実施形態に係るパルス列照射する実施例におけるパルスのタイミングチャート

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0040

1シリコン基板
2不純物層
3 コヒーレント電磁波

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