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※この項目の情報は公開日時点(2001年12月7日)のものです。
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課題
解決手段
概要
背景
昭和50年頃までは、日焼けした小麦色が健康的な人のように言われてきたが、現在では、紫外線の吸収がシミやシワ、ソバカスの元、照射時間が長くなれば皮膚癌の原因になると言われており、今日では紫外線を防御する機能を持つ商品が注目されるようになっている。既に、化粧品業界では早くから様々なものが商品化されているが、最近では衣料や日用品にまで応用範囲が広がっている。
繊維又は繊維で構成された物体(本発明で繊維構造体という。)に紫外線を吸収又は拡散する物質を含有することは知られており、例えば、該物質としてシリコン化合物で表面処理したZnO微粒子を用いる方法は特開平7−197309号公報、該物質としてγ−オリザノール誘導体を用いる方法は特開平6−299467号公報、該物質としてビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオネート−O,S)−(T−4)の金属塩を用いる方法は特開2000−44926号公報に記載されている。
一方、茶又は茶ポリフェノールによって染色した繊維又は繊維構造体に関しては、これまでに草木染めとしての風合いのみならず、抗菌・防臭効果についても多くの特許公報に記載されているように様々な提案がなされている。しかし、茶ポリフェノールの紫外線吸収作用により、紫外線の透過を抑制し、肌への紫外線吸収抑制効果のある繊維又は繊維構造体についての報告はなされてない。
概要
目的
本発明は、肌への紫外線吸収を抑制し、シミ、シワ、ソバカス、ひいては過度の紫外線吸収による様々な疾病を防御する繊維又は繊維構造体を提供することを目的とする。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 1件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
0001
本発明は、茶ポリフェノールを固着した紫外線吸収繊維又は繊維構造体に関し、より詳細には太陽光に含まれる不可視波長領域の紫外線の肌への吸収を抑制し得る茶ポリフェノールを固着した紫外線吸収繊維又は繊維構造体に関する。
背景技術
0002
昭和50年頃までは、日焼けした小麦色が健康的な人のように言われてきたが、現在では、紫外線の吸収がシミやシワ、ソバカスの元、照射時間が長くなれば皮膚癌の原因になると言われており、今日では紫外線を防御する機能を持つ商品が注目されるようになっている。既に、化粧品業界では早くから様々なものが商品化されているが、最近では衣料や日用品にまで応用範囲が広がっている。
0003
繊維又は繊維で構成された物体(本発明で繊維構造体という。)に紫外線を吸収又は拡散する物質を含有することは知られており、例えば、該物質としてシリコン化合物で表面処理したZnO微粒子を用いる方法は特開平7−197309号公報、該物質としてγ−オリザノール誘導体を用いる方法は特開平6−299467号公報、該物質としてビス(1−ヒドロキシ−2(1H)−ピリジンチオネート−O,S)−(T−4)の金属塩を用いる方法は特開2000−44926号公報に記載されている。
0004
一方、茶又は茶ポリフェノールによって染色した繊維又は繊維構造体に関しては、これまでに草木染めとしての風合いのみならず、抗菌・防臭効果についても多くの特許公報に記載されているように様々な提案がなされている。しかし、茶ポリフェノールの紫外線吸収作用により、紫外線の透過を抑制し、肌への紫外線吸収抑制効果のある繊維又は繊維構造体についての報告はなされてない。
発明が解決しようとする課題
課題を解決するための手段
0006
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、従来黄色ブドウ状球菌等への抗菌作用及び防臭作用があることが知られている茶ポリフェノールを固着した繊維又は繊維構造体が本発明の目的が達成され得ることを見いだして、本発明に到達した。
0007
すなわち、本発明は、太陽光に含まれる不可視波長領域の紫外線を吸収抑制し得る茶ポリフェノールを固着した繊維又は繊維構造体を要旨とする。又、本発明の繊維又は繊維構造体は、上記紫外線の波長領域が280〜400nmであることを特徴とする。又、本発明の繊維又は繊維構造体は、上記茶ポリフェノールがツバキ科の茶(Camellia sinensis Linn)由来の日本茶、中国茶、紅茶及びプーアール茶から選ばれる少なくとも1種の茶からの抽出物であることを特徴とする。
発明を実施するための最良の形態
0008
本発明で用いられる茶ポリフェノールは、茶から抽出されるポリフェノール類であり、特にツバキ科の茶(Camellia sinensis Linn)由来の日本茶(緑茶)、中国茶(鳥龍茶、ジャスミン茶)、紅茶及びプーアール茶から選ばれる少なくとも1種の茶からの抽出物が好ましい。該抽出物としては、上記茶葉を、水又はアルコール、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール等で抽出されたものであり、(+)−カテキン、(+)−ガロカテキン、(−)−エピガロカテキン、(−)−エピカテキン、(−)−エピカテキンガレート、(−)−エピガロカテキンガレートが代表的なものである。これらの抽出物の中でも、(−)−エピガロカテキンガレートの含有量の多いものが特に好ましい。
0009
本発明で用いられる繊維は、天然繊維、合成繊維、それらの再生繊維等の原繊維等が挙げられ、天然繊維としては、セルロース繊維等の植物繊維、蛋白質繊維の動物繊維等が、合成繊維としては、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、アクリル繊維、ポリオレフィン繊維、レーヨン繊維、ビニロン繊維、ポリ塩化ビニル繊維、ウレタン繊維等が挙げられる。繊維構造体は、それら繊維を用いた糸、パイル、編物、織布、不織布等が挙げられる。
0011
1.カチオン化剤又は蛋白質等の吸着作用を持つ物質並びにアルカリ性物質を含有する水溶液に、繊維又は繊維構造体を室温又は加熱接触させるか、浸漬する。例えば、40〜100℃に加熱した水溶液に繊維又は繊維構造体を1〜60分間連続して接触させるか、浸漬する。又、室温で8時間以上接触させるか、浸漬する。特に、後者のコールドバッチ方式を採用すると茶ポリフェノールの固着効率を高めるという利点がある。
0012
カチオン化剤としては、従来繊維処理剤として数多く市販され広く用いられている市販品を用いることができ、例えば、一方社油脂社製(商品名:UK等)、日本化薬社製(商品名:カチオノン等)、シオンテック社製等のものが挙げられる。カチオン化剤の水溶液における濃度は、繊維又は繊維構造体に対してカチオン化剤が1〜100重量%となるような濃度とするのが望ましい。蛋白質等の吸着作用を持つ物質としては、キチンキトサン、豆汁(ゴジル)、ミルク蛋白等が挙げられる。蛋白質等の吸着作用を持つ物質の水溶液における濃度は、2〜30重量%である。アルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ性物質の水溶液における濃度は、0.1〜5重量%である。
0013
2.1のカチオン化処理を行った繊維又は繊維構造体は、繊維又は繊維構造体を絞る等して繊維又は繊維構造体に含まれる該水溶液を除去した後、茶ポリフェノールを含む水溶液に浸漬する等して接触させる。接触は通常室温〜90℃で1〜10時間行われるが、水溶液を加熱すると茶ポリフェノールの固着が促進される。茶ポリフェノールを含む水溶液の茶ポリフェノールは、その濃度が0.1重量%以上で繊維又は繊維構造体は抗菌力を示し始め、0.5重量%以上で繊維又は繊維構造体は紫外線吸収作用をを示し始める。従って、茶ポリフェノールの濃度は、0.5〜10重量%、特に3〜5重量%とするのが好ましい。又、茶ポリフェノールを含む水溶液は、pHが3〜11、特に6〜9のものを用いるのが好ましい。更に、この固着処理は、必要に応じ、染料等の着色剤の存在下で行うことができる。
0014
3.2の茶ポリフェノールを固着処理を行った繊維又は繊維構造体は、常法により水洗、脱水、乾燥等の処理を行うことにより、茶ポリフェノールが固着した繊維又は繊維構造体とすることができる。又、繊維又は繊維構造体は上記茶ポリフェノールを固着させる前に、必要に応じて定法により糊抜き、精製漂白等を行ってもよい。
0015
上記のようにして茶ポリフェノールを固着した繊維又は繊維構造体からなる衣服を着用すると、特に屋外での作業が多い労働者、スポーツマンの肌に対して過度の紫外線吸収を抑え、紫外線の害から体を守ることができ、又、茶ポリフェノールが持つ抗菌、防臭効果も期待できる。
0016
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
(実施例1)水酸化ナトリウム10gを水5lに溶解し、カチオン化剤(株式会社シオンテック製)35gを加えた水溶液に、綿ニット生地(綿フライス(天竺)糸番手40/1)を浸漬し、脱水した後、茶ポリフェノール(株式会社伊藤園、商品名:テアフラン30A,茶ポリフェノール含有率40重量%)3gを水10lに溶解させた水溶液に、80℃で20分間撹拌下浸漬させた。その後、定法の水晒し、乾燥、脱水を行い、茶ポリフェノールを固着した綿ニット生地を得た。
0017
(比較例1)茶ポリフェノールを用いない以外は、実施例1と同様にして綿ニット生地を処理した。なお、このコントロール布においては、紫外線遮蔽効果が色調や色の濃淡により変動しないように、反応染料によって色調及び色濃淡を調整、統一した。
0018
(実施例2〜4)茶ポリフェノールの固着量と紫外線遮蔽効果の相関を調べるために、茶ポリフェノールの添加量を綿ニット生地に対して1重量%(実施例2)、2重量%(実施例3)、3重量%(実施例4)用い、実施例1と同様にして、それぞれ茶ポリフェノール固着量が異なる綿ニット生地を得た。
0019
(比較例2)茶ポリフェノールを用いない以外は、実施例2〜4と同様にして、ポリフェノールの添加量を綿ニット生地に対して0重量%とした綿ニット生地を得た。
0020
実施例1〜4及び比較例1〜2で得られた綿ニット生地につき、島津製作所社製UV−3101PC及びその付属装置として積分球付属装置ISR−3100(積分球内径60mm)を用いて、波長280〜400nmの紫外線の透過率及び透過率に伴う遮蔽効果(UPF)を測定した。それらの結果を表1(比較例1)、表2(実施例1)、表3(比較例2)、表4(実施例2)、表5(実施例3)、表6(実施例4)にそれぞれ示した。
0021
表1及び表2から、茶ポリフェノールを固着した綿ニット生地は、明らかに紫外線遮蔽効果があることが判る。比較例1のもののアパレル製品等品質機能対策協議会法による評価がB級(紫外線遮蔽率が80%以上のもの)であるのに対して、実施例1のものの評価がA級(紫外線遮蔽率が90%以上のもの)である。
0022
表3及び表4〜6から、茶ポリフェノール濃度と紫外線遮蔽率は相関関係にあることが確認できた。すなわち、茶ポリフェノール濃度が高まることにより、紫外線遮蔽率も高まることが判明した。
0023