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技術 小型車両の動力伝達装置

出願人 本田技研工業株式会社
発明者 深町昌俊鍋谷眞
出願日 2000年5月15日 (20年7ヶ月経過) 出願番号 2000-141584
公開日 2001年11月22日 (19年1ヶ月経過) 公開番号 2001-323995
状態 特許登録済
技術分野 巻き掛け変速機 伝動装置の一般的な細部
主要キーワード 抑えプレート ミストガス ケース空間 上通路 ボディーカバー 半割ケース サブトランス 樹脂製ボディ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2001年11月22日)のものです。
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図面 (13)

課題

解決手段

機械式自動速機44やディファレンシャル機構45を収容するケース58、60を半割にし、これら半割ケースの一方と他方との割面部にそれそれ複数の空所72a、72bを設けるとともにこれら空所を連通してラビリンス構造のオイルブリーザ通路72を形成し、当該ケースの内外を連通させる。また、半割ケース間に介装されるガスケット73をその一部73bがケース内方へはみ出した形状としてオイルブリーザ通路の入口72dを覆い、飛散した潤滑油がオイルブリーザ通路に直接侵入することを防止する。

概要

背景

近年、排気ガスの低減や消費エネルギーの低減などの観点から、1人或いは2人程度が乗車して移動することができる小型車両が開発され、実用にも供されている。このような小型車両は4輪車や3輪車などの自立し得る形式で構成され、例えば特開平9—286348号公報に記載されるように、小排気量エンジン動力源として、少人数が低燃費にして低排出ガス量で手軽に移動することができる手段として利用される。

そして、このような小型車両では、特開昭59—227523号公報、特開昭62—246648号公報、特開昭63—145854号公報、特公平6—56196号公報などに記載されるように、エンジンの動力ベルト式無段変速機ディファレンシャル機構により駆動輪へ伝達して手軽に運転することができるようにしている。そして更に、このような小型車両では、ベルト式無段変速機と共に機械式変速機も併用しており、ベルト式無段変速機と機械式変速機とによりエンジン動力幅広変速比で駆動輪に伝達するとともに、ベルト式無段変速機が負担する変速比を抑えてベルト掛け回されるプーリーの大型化を抑えている。

概要

小型車両用動力伝達装置の機械式変速機やディファレンシャル機構を潤滑油と共に収容するケース部分簡易な構造でオイルブリーザを形成する。

機械式自動速機44やディファレンシャル機構45を収容するケース58、60を半割にし、これら半割ケースの一方と他方との割面部にそれそれ複数の空所72a、72bを設けるとともにこれら空所を連通してラビリンス構造のオイルブリーザ通路72を形成し、当該ケースの内外を連通させる。また、半割ケース間に介装されるガスケット73をその一部73bがケース内方へはみ出した形状としてオイルブリーザ通路の入口72dを覆い、飛散した潤滑油がオイルブリーザ通路に直接侵入することを防止する。

目的

本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたもので、機械式自動速機やディファレンシャル機構を潤滑油と共に収容するケースを半割にし、この半割部を利用して当該ケース自体にオイルブリーザ構造を形成した構造簡単にして良好なブリーザ機能が得られる小型且つ軽量な小型車両の動力伝達装置を提供することを目的とする。更には、本発明は、半割ケースのオイルシールガスケットを利用してオイルブリーザ機能をより高め、また、機械式自動速機やディファレンシャル機構のケースへの組み付け作業性も向上させた小型車両の動力伝達装置を提供することを目的とする。更には、本発明は、半割ケースによる回転軸支持剛性を向上させることもできるブリーザ構造を有した小型車両の動力伝達装置を提供することを目的とする。なお、本発明の更なる目的は、以下の説明において明らかなところである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

エンジン動力を一対の駆動輪に伝達するディファレンシャル機構を備えた小型車両動力伝達装置において、ディファレンシャル機構を潤滑油と共にケースに収容して跳ね上げ式オイル潤滑とするとともに、ケースを略鉛直面で半割にし、半割ケースの一方と他方との割面部のディファレンシャル機構より高位にそれそれ複数の空所を設けるとともにこれら空所を連通してラビリンス構造オイルブリーザ通路を形成し、オイルブリーザ通路の一端をケース内に開口させるととも他端をケース外部に開口させたことを特徴とする小型車両の動力伝達装置。

請求項2

一対の駆動輪を駆動回転するディファレンシャル機構にエンジンの動力を機械式変速機を介して伝達する小型車両の動力伝達装置において、機械式変速機を潤滑油と共にケースに収容して跳ね上げ式のオイル潤滑とするとともに、ケースを略鉛直面で半割にし、半割ケースの一方と他方との割面部の機械式変速機より高位にそれそれ複数の空所を設けるとともにこれら空所を連通してラビリンス構造のオイルブリーザ通路を形成し、オイルブリーザ通路の一端をケース内に開口させるととも他端をケース外部に開口させたことを特徴とする小型車両の動力伝達装置。

請求項3

請求項1または請求項2に記載の小型車両の動力伝達装置において、半割ケースはガスケットを介して一体に組み付けられており、当該ガスケットはその一部が割り面部からケース内方へはみ出してオイルブリーザ通路の一端開口を覆うとともに、空所間を連通する通孔が形成されていることを特徴とする小型車両の動力伝達装置。

請求項4

請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の小型車両の動力伝達装置において、半割ケースの一方と他方とにそれぞれ軸受を設け、ディファレンシャル機構又は機械式変速機の回転軸をその両端において半割ケース間で枢支したことを特徴とする小型車両の動力伝達装置。

請求項5

請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の小型車両の動力伝達装置において、半割ケース内のディファレンシャル機構又は機械式変速機より高位にアーチ状の通路を形成し、当該アーチ状通路にオイルブリーザ通路の一端を連通させたことを特徴とする小型車両の動力伝達装置。

請求項6

請求項6に記載の小型車両の動力伝達装置において、アーチ状通路は跳ね上げられたオイルの入口から出口にかけて徐々に通路断面積が減少する形状に形成されていることを特徴とする小型車両の動力伝達装置。

請求項7

請求項5又は請求項6に記載の小型車両の動力伝達装置において、カバー側となる半割ケースの一方に内方へ窪んだ凹部を形成することによりアーチ状通路を形成し、当該凹部と半割ケースの他方とにそれぞれ軸受を設け、ディファレンシャル機構又は機械式変速機の回転軸をその両端において半割ケース間で枢支したことを特徴とする小型車両の動力伝達装置。

技術分野

0001

本発明は、エンジンからの動力機械式変速機ディファレンシャル機構を介して左右の駆動輪へ伝達する小型車両動力伝達装置に関し、特に、1人或いは2人程度が乗車する簡易な構造の小型車両に用いて好適な動力伝達装置のオイルブリーザ構造に関する。

背景技術

0002

近年、排気ガスの低減や消費エネルギーの低減などの観点から、1人或いは2人程度が乗車して移動することができる小型車両が開発され、実用にも供されている。このような小型車両は4輪車や3輪車などの自立し得る形式で構成され、例えば特開平9—286348号公報に記載されるように、小排気量のエンジンを動力源として、少人数が低燃費にして低排出ガス量で手軽に移動することができる手段として利用される。

0003

そして、このような小型車両では、特開昭59—227523号公報、特開昭62—246648号公報、特開昭63—145854号公報、特公平6—56196号公報などに記載されるように、エンジンの動力をベルト式無段変速機やディファレンシャル機構により駆動輪へ伝達して手軽に運転することができるようにしている。そして更に、このような小型車両では、ベルト式無段変速機と共に機械式変速機も併用しており、ベルト式無段変速機と機械式変速機とによりエンジン動力幅広変速比で駆動輪に伝達するとともに、ベルト式無段変速機が負担する変速比を抑えてベルト掛け回されるプーリーの大型化を抑えている。

発明が解決しようとする課題

0004

ここで、ベルトとプーリーとの摩擦によって動力を伝達するベルト式無段変速機とは異なって、機械式変速機やディファレンシャル機構はギヤの噛み合いによって比較的大きな動力を伝達することとなるため、オイルによる十分な潤滑がなされる。すなわち、機械式変速機やディファレンシャル機構を収容するケース内潤滑油も収容して、潤滑油に浸したギヤの回転による跳ね上げ式給油オイルポンプによる圧送式給油がなされる。このようなオイル潤滑を行うウエット環境のケース内では、機械式変速機やディファレンシャル機構の動作に伴って、潤滑油が飛散するとともにミストガス化した潤滑油が充満することとなり、また、ケース内の温度も上昇することとなる。

0005

このため、動力伝達装置には、飛沫化やガス化した潤滑油を再び液化してケース内に戻すとともに、膨張した空気をケース外部へ放出するオイルブリーザが要求される。しかしながら、小型車両では低燃費や低排出ガス量を実現するためにエンジンは比較的小排気量の低出力なものとなることから、動力伝達装置には構造簡単にして小型且つ軽量であることが要求されるが、例えば特公平2−33541号公報に記載されるような従来より知られた単純な構造のオイルブリーザ構造を採用する場合には、上記のようなオイルブリーザとしての機能を十分に得られないという問題があった。

0006

本発明は、上記従来の事情に鑑みなされたもので、機械式自動速機やディファレンシャル機構を潤滑油と共に収容するケース半割にし、この半割部を利用して当該ケース自体にオイルブリーザ構造を形成した構造簡単にして良好なブリーザ機能が得られる小型且つ軽量な小型車両の動力伝達装置を提供することを目的とする。更には、本発明は、半割ケースオイルシールガスケットを利用してオイルブリーザ機能をより高め、また、機械式自動速機やディファレンシャル機構のケースへの組み付け作業性も向上させた小型車両の動力伝達装置を提供することを目的とする。更には、本発明は、半割ケースによる回転軸支持剛性を向上させることもできるブリーザ構造を有した小型車両の動力伝達装置を提供することを目的とする。なお、本発明の更なる目的は、以下の説明において明らかなところである。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、エンジンの動力を一対の駆動輪に伝達するディファレンシャル機構を備えた小型車両の動力伝達装置であり、ディファレンシャル機構を潤滑油と共にケースに収容して跳ね上げ式のオイル潤滑とするとともに当該ケースを略鉛直面で半割にし、これら半割ケースの一方と他方との割面部のディファレンシャル機構より高位にそれそれ複数の空所を設けるとともにこれら空所を連通してラビリンス構造のオイルブリーザ通路を形成し、オイルブリーザ通路の一端をケース内に開口させるととも他端をケース外部に開口させている。したがって、ディファレンシャル機構の動作によってミストガス化した潤滑油はラビリンス構造のオイルブリーザ通路によって液化してケース内に戻され、残余の正常な空気がケース外部に放出される。

0008

また、本発明は、一対の駆動輪を駆動回転するディファレンシャル機構にエンジンの動力を機械式の変速機を介して伝達する小型車両の動力伝達装置であり、機械式変速機を潤滑油と共にケースに収容して跳ね上げ式のオイル潤滑とするとともに当該ケースを略鉛直面で半割にし、これら半割ケースの一方と他方との割面部の機械式変速機より高位にそれそれ複数の空所を設けるとともにこれら空所を連通してラビリンス構造のオイルブリーザ通路を形成し、オイルブリーザ通路の一端をケース内に開口させるととも他端をケース外部に開口させている。したがって、機械式変速機の動作によってミストガス化した潤滑油はラビリンス構造のオイルブリーザ通路によって液化してケース内に戻され、残余の正常な空気がケース外部に放出される。

0009

更に、本発明に係る小型車両の動力伝達装置では、半割ケース間に介装されるガスケットをその一部が割り面部からケース内方へはみ出した形状としてオイルブリーザ通路の入り口開口を覆うとともに空所間を連通する通孔が形成されたものとして、ラビリンス構造のオイルブリーザ通路を形成するとともに、跳ね上げにより飛散した潤滑油がオイルブリーザ通路に直接侵入することを防止して、通路内に多量の潤滑油が残留して空気と共にケース外部に漏れ出すことを防止している。更に、本発明に係る小型車両の動力伝達装置では、半割ケースの一方と他方とにそれぞれ軸受を設け、ディファレンシャル機構又は機械式変速機の回転軸をその両端において半割ケース間で枢支しており、半割ケースを分離することにより複雑な機構のディファレンシャル機構や機械式変速機を剥き出し状態にして、これら機構の組み付け作業を容易に行うことができるようにしている。

0010

更に、本発明に係る小型車両の動力伝達装置では、半割ケース内のディファレンシャル機構又は機械式変速機より高位にアーチ状の通路を形成し、当該アーチ状通路にオイルブリーザ通路の一端を連通させている。したがって、ディファレンシャル機構又は機械式変速機を収容したケース内空間に対してオイルブリーザ通路はアーチ状通路を介して連通するため、跳ね上げられたオイルがオイルブリーザ通路に侵入してしまうことが防止される。また、跳ね上げオイルがアーチ状通路を通して当該通路の反対側(出口側)から滴下することにもなり、オイルの跳ね上げ位置とは反対側に配置された軸受やギヤを滴下オイルによって潤滑することもできる。

0011

更に、本発明に係る小型車両の動力伝達装置では、上記アーチ状通路を跳ね上げられたオイルの入口から出口にかけて徐々に通路断面積が減少する形状に形成し、これによって、アーチ状通路内の跳ね上げオイルが更に跳ね上げられてくるオイルによって押され、当該通路を通して出口から効率良くオイルが滴下するようにしている。更に、本発明に係る小型車両の動力伝達装置では、カバー側となる半割ケースの一方に内方へ窪んだ凹部を形成することによりアーチ状通路を形成し、当該凹部と半割ケースの他方とにそれぞれ軸受を設け、ディファレンシャル機構又は機械式変速機の回転軸をその両端において半割ケース間で枢支しており、半割ケースを分離することによる組み付け作業の容易化とともに、軸受間の距離を短くして回転軸の支持剛性を向上させている。

発明を実施するための最良の形態

0012

本発明を、図に示す一実施形態を用いて具体的に説明する。図1図4に示すように、本例の小型車両は前輪1と後輪2とにそれぞれ2つ車輪を備えた四輪車であり、中央部に1人の乗員(運転者)が着座する単座運転シート3が備えられている。この小型車両の基本的な車体構造は、アルミニュームなどの金属製パイプ材で構成した枠型車体フレーム4に樹脂製ボディーカバー5を被せたものであり、更に、このボディーカバー5の上方に樹脂製のルーフパネル6を配して乗員の着座シート3上方を覆ってキャビンを構成している。

0013

なお、図中の7はステアリングホイールであり、ステアリングホイール7からの操舵力を図外の操舵機構を介して加えることにより、前輪1が向きを変えて車両の走行方向が任意に変更できるようになっている。また、図1中の8はシート3の側部に設けられたセレクトレバーであり、後述するように、このセレクトレバー8により機械式2速自動変速機先進または後退に選択できるようになっている。

0014

図3図6に示すように、車体フレーム4の後部には枠型のスイングフレーム10がその先端をピボットとして上下に揺動自在に取り付けられており、このスイングフレーム10上にエンジン、遠心式発進クラッチを備えたベルト式無段変速機、遠心変速クラッチ式の2速自動変速機、ディファレンシャル機構などを一体化したパワーユニット40が設けられている。そして、このパワーユニット40のディファレンシャル機構から張り出された一対のドライブシャフト80の先端にそれぞれ後輪2が取り付けられており、パワーユニット40からの動力により左右の後輪2を駆動するようになっている。

0015

図5および図6に詳示するように、スイングフレーム10は略T字型メインフレーム11と一対のトレーリングアーム12とを組み合わせた構造である。メインフレーム11は、車幅方向に延びたメインパイプ13の中央に車長方向に延びたセンターパイプ14を溶接し、更に、メインパイプ13とセンターパイプ14との間にパワーユニット40を支持するためのサブパイプ15を掛け渡して溶接した構造である。

0016

メインパイプ13は、その両端でブラケット17を介してドライブシャフト80を回転自在に支持するアクスルブロック18に取り付けられており、これにより、ドライブシャフト80に取り付けられた後輪2を支持している。センターパイプ14は、その前端で車体フレーム4の後端パネル4aに穿設された支持孔4bに若干の余裕を持って挿入支持されており、これにより、メインパイプ13の揺動は許容しつつも平行なスライド移動規制している。なお、支持孔4bにはラバーブシュ4cが設けられており、センターパイプ14と支持孔4bとの間のこじりによる磨耗や騒音を抑えている。

0017

トレーリングアーム12は、その基端で車体フレーム4に取り付けられているブラケット19にピボットピン20を介して取り付けられており、ピボットピン20を中心として上下方向に揺動自在となっている。また、トレーリングアーム12は、その先端でブラケット17に取付ピン21およびラバーブシュ22を介して取り付けられており、アクスルブロック18(メインパイプ13)との間で、ピン21を中心とした揺動変位およびラバーブシュ22の撓みによるねじり変位を許容している。

0018

各トレーリングアーム12と車体フレーム4との間には、サスペンションスプリングショックアブソーバとを組み付けたサスペンションユニット25が設けられており、これらサスペンションユニット25は車体フレーム4に取り付けたブラケット26とトレーリングアーム12に取り付けたブラケット27とにそれぞれ枢着されている。すなわち、スイングフレーム10は、車両の走行に伴って後輪2と共にピボットピン20を中心として上下方向に揺動し、また、ラバーブシュ22の撓みとセンターパイプ14の軸線周りの若干の回転とにより、左右の後輪2の間で高低差が生じ得るように独立懸架的に動作する。

0019

図7に詳示するように、スイングフレーム10上にはパワーユニット40が3点でラバーマウントされている。すなわち、センターパイプ14とサブパイプ15とにそれぞれブラケット29を取り付け、これらブラケット29にラバープラグ30を取り付け、これらラバープラグ30にパワーユニット40の前端部(エンジン部)を取り付けるとともに、メインパイプ13にブラケット31を取り付け、このブラケット31にラバープラグ32を取り付け、このラバープラグ32にパワーユニット40の後端部(ディファレンシャル部)を取り付けて、スイングフレーム10上にパワーユニット40を3点で弾性支持している。

0020

したがって、パワーユニット40はスイングフレーム10と共に揺動して後輪2の懸架を行い、また、パワーユニット40はスイングフレーム10にラバーマウントされていることからエンジン振動がスイングフレーム10を介して車体に伝達されるのが防止され、更には、スイングフレーム10自体もラバー環ブシュ4cおよびラバーブシュ22を介して車体に支持されていることから、より一層、エンジン振動の車体への伝達が防止されている。

0021

図8図10に詳示するように、パワーユニット40は、エンジン41、ACジェネレータ42、ベルト式無段変速機43、後退ギヤを有した機械式の2速自動変速機44、ディファレンシャル機構45を一体的に組み付けたものであり、エンジン41から出力された動力をベルト式無段変速機43および機械式2速自動変速機44で変速し、この動力をディファレンシャル機構45から左右の後輪2に接続されるドライブシャフト80にそれぞれ伝達する。

0022

エンジン41は小排気量のエンジン(本例では、500cc程度の単気筒)であり、燃焼爆発によるピストン47の運動コネクションロッド48でクランク軸49に伝え、エンジン動力をクランク軸49の回転により出力する。クランク軸49の一端にはACジェネレータ42が連結されており、エンジンの回転動力によって車両の運転に必要な電力発電される。

0023

クランク軸49の他端にはベルト式無段変速機43のドライブプーリー50が取り付けられており、クランク軸49に平行に軸支されている第1トランスファ軸51には円筒状の第1サブトランスファ軸51aが同軸に回転自在に設けられており、この第1サブトランスファ軸51aにはドリブンプーリー52取り付けられ、このドライブプーリー50とドリブンプーリー51とは断面略V字型の環状ベルト53を掛け回して連結されている。ドライブプーリー50は、クランク軸49に固定された固定プレート50aと、クランク軸49に軸方向溝で嵌合して連れ回りするが軸方向へ移動可能に設けられた可動プレート50bとを有しており、更に、可動プレート50bの背後にはクランク軸49に固定された抑えプレート50cが設けられ、可動プレート50bと抑えプレート50cとの間には遠心ローラ50dが設けられている。

0024

一方、ドリブンプーリー52は、第1サブトランスファ軸51aに固定された固定プレート52aと、第1サブトランスファ軸51に軸溝で嵌合して連れ回りするが軸方向へ移動可能に設けられた可動プレート52bとを有しており、更に、可動プレート52bはその背面に設けたリターンスプリング52cによって固定プレート52a側へ付勢されている。したがって、エンジン回転数クランク軸回転数)が小さい状態では、リターンスプリング52cによって可動プレート52bと固定プレート52aとの間隔が狭まってドリブンプーリー52のベルト掛け回し径が大きくなり、これによるベルト53の引張で固定プレート50aと可動プレート50bとの間隔が広がってドライブプーリー50のベルト掛け回し径が小さくなり、ドライブプーリー50からドリブンプーリー51へのベルト伝達減速比が大きくなる。

0025

そして、エンジン回転数が上昇して行くと、遠心ローラ50dが遠心力によって放射外方へ移動して可動プレート50bを背後から押圧し、可動プレート50bと固定プレート50aとの間隔が狭まってドライブプーリー50のベルト掛け回し径が大きくなり、これによるベルト53の引張でリターンスプリング52cに抗して可動プレート52bと固定プレート52aとの間隔が広がってドリブンプーリー52のベルト掛け回し径が小さくなり、ドライブプーリー50からドリブンプーリー51へのベルト伝達減速比が小さくなる。すなわち、ベルト式無段変速機43によると、エンジン回転数が上昇するに応じて減速比が徐々に小さくなり、第1サブトランスファ軸51aの回転数が上昇する。

0026

第1サブトランスファ軸51aの先端部にはシュープレート54が固定され、第1トランスファ軸51の先端部にはドラム55が固定されており、シュープレート54には遠心シュー56が外方へ移動可能に設けられて、これらによって、第1トランスファ軸51と第1サブトランスファ軸51aとの間に遠心式発進クラッチ57が構成されている。すなわち、エンジンアイドリング時のように第1サブトランスファ軸51aの回転数が小さい状態では、遠心シュー56はドラム55の内周面圧接しておらず、第1サブトランスファ軸51aの回転動力は第1トランスファ軸51へ伝わらない一方、エンジン回転数が上昇して行くと、遠心シュー56が遠心力によって放射外方へ移動してドラム55の内周面に圧接し、第1トランスファ軸51を第1サブトランスファ軸51aに接続して回転させ、第1トランスファ軸51からエンジン動力を自動変速機44へ入力する。

0027

ここで、パワーユニット40のケース構造を説明すると、エンジンブロックボルト58aにより取り付けたメインケース58にベルト式無段変速機43を収める空所と機械式自動変速機44およびディファレンシャル機構45を収める空所とを互いに反対面に形成し、ベルト式無段変速機43を収めた空所をボルト59aで取り付けたカバーケース59で覆い、機械式自動変速機44およびディファレンシャル機構45を収めた空所をボルト60aで取り付けたカバーケース60で覆って、エンジン41からディファレンシャル機構45へ至るパワートレイン機構を一体的なケースに収めている。

0028

ベルト式無段変速機43およびこれに付随する遠心発進クラッチ57は潤滑油のないドライ環境なケース空間に収められる一方、以下に詳述する機械式自動変速機44およびディファレンシャル機構45は潤滑油と共にケース空間に収められてオイル潤滑がなされるが、このケース構造では、ベルト式無段変速機43を収めた空所と機械式自動変速機44およびディファレンシャル機構45を収めた空所とはメインケース58の隔壁部58bによって隔絶されており、ベルト式無段変速機43およびこれに付随する遠心発進クラッチ57は潤滑油のないドライ環境で動作することが保証され、機械式自動変速機44およびディファレンシャル機構45は潤滑油によるウエット環境で動作することが保証されている。

0029

上記の第1トランスファ軸51はメインケース58の隔壁部58bを貫通して軸受58cにより回転自在に支持されており、更に、その先端でカバーケース60に軸受60bにより回転自在に支持されている。なお、軸受58cには上記のウエット環境空間からドライ環境空間への潤滑油の浸入を防止するシール58dが付設されている。第1トランスファ軸51の軸受60bに近い部分には歯車部が形成され、軸受58cに近い部分には円筒状の第2サブトランスファ軸51cが同軸に固定され、この歯車部51と第2サブトランスファ軸51cとの間には円筒状の第3サブトランスファ軸51dが同軸に回転自在に設けられている。すなわち、第1トランスファ軸51が回転すると、第2サブトランスファ軸51cは常に一緒に回転するが、第3サブトランスファ軸51dはこのような連れ回りをせずに相対回転可能となっている。

0030

そして、第2サブトランスファ軸51cにはシュープレート61が固定され、第3サブトランスファ軸51dにはドラム62が固定されており、シュープレート61には遠心シュー63が外方へ移動可能に設けられて、これらによって、第2サブトランスファ軸51cと第3サブトランスファ軸51dとの間に遠心式の変速クラッチ64が構成されている。したがって、この遠心式変速クラッチ64と上記の遠心式発進クラッチ57とは第1トランスファ軸51上で同軸に配置されており、これら機器配置構成コンパクトとなっている。

0031

この遠心式変速クラッチ64によれば、エンジン回転数が比較的小さく第1トランスファ軸51の回転数が小さい状態では、遠心シュー63はドラム62の内周面に圧接しておらず、第1トランスファ軸51の回転動力は第3サブトランスファ軸51dへ伝わらずに、第2サブトランスファ軸51cか回転してエンジン動力を伝達する。一方、エンジン回転数が更に上昇して第1トランスファ軸51(すなわち、第2サブトランスファ軸51c)の回転数が大きくなると、遠心シュー63が遠心力によって放射外方へ移動してドラム62の内周面に圧接し、第3サブトランスファ軸51dを第2サブトランスファ軸51cに接続して回転させ、第3サブトランスファ軸51dによってエンジン動力を伝達させる。

0032

第3サブトランスファ軸51dには歯車部51eが形成されており、変速用高速ギヤ65aが常時噛み合っている。また、上記第1トランスファ軸51の歯車部51には変速用の低速ギヤ65bが常時噛み合っており、高速ギヤ65aは低速ギヤ65bより減速比が小さくなるように設定されている。ケースのウエット環境空間には第1トランスファ軸51と平行に第2トランスファ軸66が設けられており、この第2トランスファ軸66はメインケース58とカバーケース60との間に両端で軸受58e、60dを介して回転自在に支持されている。高速ギヤ65aはこの第2トランスファ軸66に同軸に固定して設けられており、低速ギヤ65bはワンウエイクラッチ軸受65cを介して高速ギヤ65a上に同軸に設けられている。

0033

このワンウエイクラッチ軸受65cは高速ギヤ65aによる低速ギヤ65bの追い越し回転のみを許容するものであり、低速ギヤ65bが回転すれば高速ギヤ65aは連れ回りするが、低速ギヤ65bが回転せずとも高速ギヤ65aは回転し得るようになっている。したがって、エンジン回転数が比較的小さく遠心変速クラッチ64が接続されていない状態では、エンジン動力は第1トランスファ軸51の歯車部51bに噛み合った低速ギヤ65bを回転させ、ワンウエイクラッチ軸受65cによって連れ回りする高速ギヤ65aを介して第2トランスファ軸66を回転させる。

0034

一方、エンジン回転数が更に上昇して遠心変速クラッチ64が接続されると、エンジン動力は第3サブトランスファ軸51dを回転させ、歯車部51eに噛み合った高速ギヤ65aを回転させて第2トランスファ軸66を直接的に回転させる。なお、この場合にも上記と同様に低速ギヤ65bも回転するが、ワンウエイクラッチ軸受65cにより高速ギヤ65aがこれを追い越して高速回転する。すなわち、遠心変速クラッチ64が接続していない状態では低速ギヤ65bによる減速比で、遠心変速クラッチ64が接続した状態では高速ギヤ65aによる減速比で、エンジン動力が伝達されて第2トランスファ軸66を回転させ、このような自動変速が簡易且つコンパクトな構成の遠心変速クラッチ64、更には、ワンウエイクラッチ軸受65cを介して2つの変速ギヤ65a、65bを同軸に配した簡易且つコンパクトな構成で実現されている。

0035

ここで、遠心変速クラッチ64はこのような変速動作において或る程度の滑りをもって接続するように構成されて、変速ショック緩和するようにしているが、この遠心変速クラッチ64はディファレンシャル機構45と共に同じケース空間に収められてオイル潤滑がなされるため、このような或る程度長い滑り時間をもった接続動作を行っても十分な耐久性を有している。これに対して、上記の遠心発進クラッチ57は、このような滑り時間が比較的短く構成されて、要求されるエンジン動力のオンオフ特性を満たしているが、隔壁58bによって隔絶された潤滑油のないドライ環境空間で動作するため、潤滑油による滑りが生じて所期の性能が損なわれる事態発生が防止されている。

0036

上記第2トランスファ軸66には外周に歯車が形成された歯車軸67が回転自在且つ軸方向移動自在に設けられており、また、この歯車軸67の端部には爪部67aが設けられている。そして、第2トランスファ軸66には爪部67aに対向して係合辺66が固定されており、図9実線で示す通常の前進時には、爪部67aが係合片66に噛み合って、歯車軸67は第2トランスファ軸66と連れ回りする。また、第2トランスファ軸66には歯車軸67と低速ギヤ65bとの間に後退ギヤ68が設けられており、後退ギヤ68は第2トランスファ軸66上で軸受を介して回転自在となっている。なお、図9に詳示するように、ケースカバー60に軸受を介して回転自在に支持されたリバースアイドラギヤ68aを介して後退ギヤ68は第1トランスファ軸の歯車部51bに常時連結されており、第1トランスファ軸51が回転すると、高速ギヤ65aや低速ギヤ65bとは反対方向に回転している。

0037

そして、歯車軸67には周溝67cが形成されてシフトフォーク69が歯車軸67の回転を許容して係合しており、また、歯車軸67と後退ギヤ68との互いに対向する面にはそれぞれ爪部67b、68bが設けられている。また、メインケース58とケースカバー60との間に両端を回転自在に支持されたシフトドラム70が設けられており、このシフトドラム70はケース外に突出した端部で図外のレバーを介して運転席側部のセレクトレバー8に接続されている。

0038

したがって、運転者がセレクトレバー8を後退位置へ操作することによりシフトドラム70を回転させ、シフトフォーク69により歯車軸67を後退ギヤ68側へ移動させて、爪部67b、68bを噛み合わせるとともに爪部67aと係合片66との噛み合いを外し、歯車軸67を後退ギヤ68によって第2トランスファ軸66とは反対方向へ回転させることができる。すなわち、このような歯車軸67を前進用後退用とに共用した簡単でコンパクトなリバース機構により、第2トランスファ軸66からの前進方向の回転動力を遮断して、後退ギヤ68からの後退方向への回転動力で歯車軸67を回転させることができる。

0039

このように歯車軸67は遠心変速クラッチ64により選択されたいずれかの前進ギヤ65a、65bによって前進回転され、また、運転者のセレクトレバー操作により後退ギヤ68によって後退回転されるが、この歯車軸67にはディファレンシャル機構45のリングギヤ45aが常時噛み合っている。ディファレンシャル機構45は、リングギヤ45aが取付固定されたケース45bをメインケース58とカバーケース60との間に軸受45cにより回転自在に支持し、このケース45b内に一対の型のピニオン45dと一対の傘型のサイドギヤ45eとを互いに噛み合わせて回転自在に設けた構造であり、サイドギヤ45eに取り付けられる一対の出力軸45fをそれぞれ左右のドライブシャフト80に連結したものである。したがって、リングギヤ45aを介して伝えられる歯車軸67の前進方向或いは後退方向への回転により、ケース45bが回転し、これによってピニオン45dを介して両サイドギヤ45eを差動回転させて、ドライブシャフト80に連結された左右の後輪2を駆動する。

0040

ここで、上記のように略鉛直面で半割にされたメインケース58とカバーケース60とを接合してケースを構成し、このケース内に機械式自動変速機44およびディファレンシャル機構45を収容し、これら機械式自動変速機44およびディファレンシャル機構45の回転軸をその両端で軸受を介してメインケース58とカバーケース60とに支持しているため、カバーケース60を取り外すだけで機械式自動変速機44およびディファレンシャル機構45が剥き出しにすることができる。このため、ケース内への機械式自動変速機44やディファレンシャル機構45の組み付け作業を容易に行うことができるとともに、これら機構44、45のメンテナンス作業も容易に行うことができる。

0041

また、ケースカバー60には機械式自動変速機44の軸受部やオイル潤滑される遠心変速クラッチ64に潤滑油を圧送するためのオイルポンプ71が取り付けられており、このオイルポンプ71は第2トランスファ軸66に連結されて駆動される。スイングフレーム10上においてパワーユニット40は、エンジン41及びカバーケース60を外した状態で図8中のX矢視で表す図10に示すように、ディファレンシャル機構45が機械式自動変速機44より低い位置に配置され、これら機械式自動変速機44およびディファレンシャル機構45と共にケース内のウエット環境空間に収容した潤滑油の油面Hはリングギヤ45aの下部を浸した状態となる。

0042

したがって、リングギヤ45aによる跳ね上げによってディファレンシャル機構45や機械式自動変速機44のギヤには潤滑油が供給されるとともに、オイルポンプ71がこのウエット環境空間の底部から潤滑油を汲み上げて、ケースカバー60に形成された油通路60c、第1トランスファ軸に形成された油通路51f、第2トランスファ軸に形成された油通路66bなどを通して機械式自動変速機44の各軸受部や遠心変速クラッチ64に潤滑油を供給している。なお、ドライ環境となるドリブンプーリー52や遠心発進クラッチ57は油面Hに対して機械式自動変速機44より更に高い位置に配置されているため、隔壁部58bによる遮蔽と相俟ってウエット環境空間からドライ環境空間への潤滑油の浸入が確実に防止される。

0043

ここで、パワーユニット40の機械式自動変速機44やディファレンシャル機構45より上部で、これらオイル潤滑される機構44および45を収容するウエット環境ケースにはラビリンス構造のオイルブリーザ通路72が形成されている。すなわち、図9に詳示するように、メインケース58とカバーケース60とはガスケット73を挟んで略鉛直な割面で液密に接合されており、これらメインケース58とカバーケース60との接合部にはそれそれ複数段の凹部72a、72bが形成されて、メインケース58とカバーケース60が接合されることによりこれら凹部72a、72bによって複数段の空所が形成されている。そして、ガスケット73のケース58、60間に挟持された部分には複数の通孔73aが形成されて、これら凹部72a、72b間を連通しているとともに、凹部72a、72bの縁部が互い違いに切り欠かれていることにより、形成された複数段の空所はジグザグ路72cによって連通している。

0044

そして、この複数段の空所の最下部は通孔72dによって機械式自動変速機44およびディファレンシャル機構45を収めるケース内のウエット環境空間に連通し、この複数段の空所の最上部は通孔72eによってケース外部に連通している。したがって、ケース割面に凹部72a、72bを形成して接合するといった簡単な加工によって、パワーユニット40自体の上部にはラビリンス構造のオイルブリーザ通路72が形成されており、ウエット環境空間内で発生したオイルミストガスからオイルブリーザ通路72によりオイル成分を分離してウエット環境空間内に還流させ、残余の清浄な空気を外部に放出している。

0045

更に、ガスケット73はその一部73bがケースの内方へ出張た形状となっており、この出張部73bはオイルブリーザ通路72の入口孔72dに隣接して突出し、当該孔72dを機械式自動変速機44やディファレンシャル機構45に対して遮っている。したがって、機械式自動変速機44やディファレンシャル機構45の動作によって飛散した潤滑油飛沫が通孔72dからオイルブリーザ通路72に直接飛び込んでしまうことが防止され、オイルミストガスを還流させるというオイルブリーザ通路72の機能を良好に保つことができる。

0046

ここで、図8中のXI矢視で表す図11及びパワーユニット40の後部外観を表す図12に詳示するように、カバーケース60の高い位置には外方から内方へ窪む凹部90が形成されており、この凹部90の底部に第1トランスファ軸51を枢支する軸受60bが設けられている。このため、図9に詳示するように、凹部90によって第1トランスファ軸51を枢支している軸受60bと軸受58cとの間隔が凹部90によって狭まり、当該第1トランスファ軸51の支持剛性が高まっている。したがって、第1トランスファ軸51を小径化しても十分な剛性を得ることができるため、これによってパワーユニット40の更なる小型軽量化を図ることができる。更には、凹部90を形成した形状とすることによりカバーケース60自体の剛性が上がるため、回転軸を枢支するに十分な剛性を得ることができ、また、カバーケース60の薄肉化によってパワーユニット40の更なる小型軽量化を図ることができる。

0047

そして、本例では凹部90を形成することによって当該凹部90の周囲を巡るアーチ状の通路91がカバーケース60内に形成されており、このアーチ状通路91はウエット環境ケース内に収容されている機械式自動変速機44やディファレンシャル機構45より高位に位置し当該ウエット環境に連通している。図11に矢印Aで示すリングギヤ45aによる潤滑オイルの跳ね上げ方向(すなわち、リングギヤ45aの回転方向)に対して、アーチ状通路91は入口から出口にかけて通路断面積が徐々に減少した先窄まりの形状に形成されており、これによって、跳ね上げられたオイルを入口から通路91内に入った跳ね上げオイルを更に跳ね上げられてくるオイルによって出口側へ押し込み、軸受60bを挟んで入口とは反対側の通路出口から潤滑オイルを滴下させるようになっている。したがって、互いに平行な第1トランスファ軸51、第2トランスファ軸66、ディファレンシャル軸45fをオフセットさせて配置することにより、パワーユニットの高さ方向の小型化を図る場合でも、オイルの跳ね上げ位置から遠い位置にある軸受部やギヤ(本例では、第2トランスファ軸66及びそのギヤ噛み合い部)へアーチ上通路91を通して潤滑オイルを滴下供給することができる。

0048

そして、このアーチ状通路91(本例では、出口付近)に前記オイルブリーザ通路72の入口通孔72dが連通しており、オイルブリーザ通路72はアーチ状通路91を介してウエット環境空間に連通している。したがって、入口通孔72dはウエット環境空間の直接臨んでおらず、また前記ガスケットの突片73bを相俟って、オイルブリーザ通路72内に跳ね上げオイルが直接侵入してしまうことが防止されている。更には、図9に示すように、潤滑オイルを跳ね上げるリングギヤ45aに対して、オイルブリーザの入口通孔72dは幅dをもってオフセットしており、これによってもオイルブリーザ通路72内に跳ね上げオイルが直接侵入してしまうことが防止されている。

0049

なお、図11及び図12に示す93はケース内の低部とオイルポンプ71とをつなぐオイル吸い上げ通路であり、オイルポンプ71は通路93を介してケース底部に溜まった潤滑オイルをくみ上げて所要部位に圧送している。また、図11に示すように、アーチ状通路91と第1トランスファ軸の軸受60b部とを連通する油通路94を設けてもよく、このようにすれば、オイルポンプ71による油通路60cを介した圧送と相俟って、アーチ状通路91及び油通路94を介した跳ね上げオイルも供給されて、当該軸受部をより効果的に潤滑することができる。

0050

上記構成の小型車両の動力伝達装置によれば、エンジン41が始動されてアイドリング運転状態においては遠心発進クラッチ57が遮断状態となって駆動輪2にはエンジン動力が伝えられない。そして、エンジン回転数が上昇すると遠心発進クラッチ57が接続状態となり、ベルト53を介して対して伝えられたエンジン動力は低速ギヤ65bで減速されてディファレンシャル機構45に伝えられ、これによって後輪2が駆動回転される。

0051

そして、エンジン回転数が更に上昇して第1トランスファ軸51の回転数が上昇すると、遠心変速クラッチ64が接続状態となって、エンジン動力は高速ギヤ65aでディファレンシャル機構45に伝えられて後輪2が駆動回転されるといった自動変速が行われるが、低速ギヤ65bと高速ギヤ65aとの減速比のギャップによる変速ショックはベルト式無段変速機43による無段変速によって吸収される。すなわち、後輪2の同じ回転数を維持するとすれば、このギヤの切り替わりによって第1トランスファ軸51の回転数は変化するが、この変化分をドライブプーリー50とドリブンプーリー52との間の減速比の無段変化によって吸収し、変速ショックを低減させている。

発明の効果

0052

以上説明したように、本発明によると、ディファレンシャル機構や機械式変速機を潤滑油と共にケースに収容して跳ね上げ式のオイル潤滑とするとともに当該ケースを略鉛直面で半割にし、これら半割ケースの一方と他方との割面部にそれそれ複数の空所を設けてラビリンス構造のオイルブリーザ通路を形成し、これをケース内外を連通するオイルブリーザ通路としたため、ケース内で発生したミストガスから潤滑油を還流させるオイルブリーザ構造を簡易な構成で小型車両用動力伝達装置に設けることができる。

0053

また、半割ケース間に介装されるガスケットの一部でオイルブリーザ通路の入り口を覆うようにしたため、跳ね上げにより飛散した潤滑油がオイルブリーザ通路に直接侵入することを防止することができ、また、半割ケースの一方と他方とにそれぞれ軸受を設けてディファレンシャル機構や機械式変速機の回転軸を枢支するようにしたため、半割ケースの分離によりディファレンシャル機構や機械式変速機を剥き出し状態にして組み付け作業を容易化することができる。

0054

また、オイルブリーザ通路をアーチ状通路を介してケース内に連通させたため、跳ね上げにより飛散した潤滑油がオイルブリーザ通路に直接侵入することを防止することができるとともに跳ね上げ位置とは反対側の潤滑位置にアーチ状通路を通してオイルを供給することができ、また、ケースカバーに凹部を形成することにより当該アーチ状通路を形成したため、凹部によってケースカバーの剛性が向上するとともにケースカバーによって枢支される回転軸の支持剛性が向上する。

図面の簡単な説明

0055

図1本発明の一実施形態に係る小型車両の正面側から見た斜視図である。
図2本発明の一実施形態に係る小型車両の背面側から見た斜視図である。
図3本発明の一実施形態に係る小型車両の平面視した透視図である。
図4本発明の一実施形態に係る小型車両の側面視した透視図である。
図5本発明の一実施形態に係る小型車両のスイングフレーム構造を示す平面図である。
図6本発明の一実施形態に係る小型車両のスイングフレーム構造を示す側面図である。
図7本発明の一実施形態に係る小型車両のパワーユニットのマウント部を示す側面図である。
図8本発明の一実施形態に係る小型車両のパワーユニットを断面視した平面図である。
図9本発明の一実施形態に係る小型車両のパワーユニットの一部を断面を違えて示す平面図である。
図10本発明の一実施形態に係る小型車両のパワーユニットをエンジン及びケースカバーを外した状態で図8中のX矢視で表す図である。
図11本発明の一実施形態に係る小型車両のパワーユニットのケースカバーを図8中のX矢視で表す図である。
図12本発明の一実施形態に係る小型車両のパワーユニットの後部の外観を表す斜視図である。

--

0056

2:後輪(駆動輪)、 10:スイングフレーム、40:パワーユニット、 41:エンジン、42:ベルト式無段変速機、 44:機械式2速自動変速機、45:ディファレンシャル機構、 45c、58c、58e、60b、60d:軸受、51:第1トランスファ軸、 58:メインケース、60:カバーケース、 66:第2トランスファ軸、72:オイルブリーザ、 72a、72b:凹部空所、72c、72d、72e:通孔、 73:ガスケット、73a:通孔、 73b:出張部、90:凹部、 91:アーチ状通路、

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