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課題
解決手段
概要
背景
現在、画素素子や受光素子などのアレイ素子の需要が大きくなっているが、画質の向上により高微細化が進み、個々の素子への入射光の絶対量が小さくなり、画面の明るさや感度の低下を招いている。そのため、最近はアレイ素子の配線部などへ入射していた光を、マイクロレンズで画素や受光部に集光させることにより、前述の欠点を補う方法等が主として用いられている。
従来のマイクロレンズ製造方法には、例えば、特開平5−228946号公報に記載されているように、フォトリソグラフィー技術により、基板上に円柱状のレジストをパターニングし、それを加熱することで熱可塑性にレジストを流動化させ、滑らかな球面を製造する方法がある。また、上記のような形状作成ではなく、イオン交換法でガラス内部に屈折率の分布をつくり、レンズ効果を発揮するようにしたものもある。また、レンズの材料は、樹脂あるいはガラスがあり、ガラスはRIEなどにより形状を加工するものや、ゾルゲル法で成形後焼結するものなどが報告されている。
概要
簡単な構成によって、安価に量産することが可能な光学素子の製造方法、該製造方法による光学素子、該光学素子を有する表示素子と表示装置、及び該光学素子を有する撮像素子と撮像装置を提供する。
光学素子の製造方法であって、硬化前の材料の表面を気体の膨張により変形させる硬化前の材料の加工工程と、前記表面が変形した状態で前記材料を硬化させる材料硬化工程とを有し、この製造方法によって光学素子、該光学素子を有する表示素子と表示装置、及び該光学素子を有する撮像素子と撮像装置を得るようにする。
目的
そこで、本発明は、上記従来のものにおける課題を解決し、簡単な構成によって、安価に量産することが可能な光学学素子の製造方法、該製造方法による光学素子、該光学素子を有する表示素子と表示装置、及び該光学素子を有する撮像素子と撮像装置を提供することを目的とするものである。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 3件
- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
光学素子の製造方法であって、硬化前の材料の表面を気体の膨張により変形させる硬化前の材料の加工工程と、前記表面が変形した状態で前記材料を硬化させる材料硬化工程と、を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
請求項2
前記硬化前の材料の加工工程が、表面に所定のパターニングで配列された凹構造を有する板を流動状態にある成形可能な材料の上面に接触させ、その凹構造内にある気体を膨張させ、該気体の膨張により硬化前の材料の表面を変形させる工程であり、前記材料硬化工程が、前記硬化前の材料の加工工程に引き続く工程であって、前記凹構造内で膨張した気体の球面形状を硬化させ、前記材料を表面が変形した状態で硬化させる工程であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
請求項3
請求項4
前記気体の膨張が、前記凹構造を有する板を加熱し、該凹構造内の気体を熱膨張させることによって行われることを特徴とする請求項2に記載の光学素子の製造方法。
請求項5
前記気体の膨張が、前記成形可能な材料として光硬化樹脂を用い、光照射により該樹脂を硬化収縮させて樹脂内に負圧を発生させ、前記凹構造内の気体を膨張させることによって行われることを特徴とする請求項2に記載の光学素子の製造方法。
請求項6
請求項7
前記光照射は、最初の段階で凹構造を有する板の反対側よりおこない、適当な気体の膨張が得られた段階において、凹構造を有する板側より比較的強い光の照射を行うことを特徴とする請求項5に記載の光学素子の製造方法。
請求項8
請求項9
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法によって前記光学素子の成形用の型を作成し、該型を用いて前記光学素子を作成することを特徴とする光学素子の製造方法。
請求項10
請求項1〜8のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法によって前記光学素子の成形用の型を作成することなく、前記光学素子を作成することを特徴とする光学素子の製造方法。
請求項11
前記光学素子が、複眼光学素子であることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
請求項12
前記複眼光学素子が、凸のマイクロレンズを複数並べたマイクロレンズアレイであることを特徴とする請求項11に記載の光学素子の製造方法。
請求項13
前記複眼光学素子が、凹のマイクロレンズを複数並べたマイクロレンズアレイであることを特徴とする請求項11に記載の光学素子の製造方法。
請求項14
前記複眼光学素子が、凸のマイクロミラーを複数並べたマイクロミラーアレイであることを特徴とする請求項11に記載の光学素子の製造方法。
請求項15
前記複眼光学素子が、凹のマイクロミラーを複数並べたマイクロミラーアレイであることを特徴とする請求項11に記載の光学素子の製造方法。
請求項16
請求項11〜15のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法によって製造された光学素子。
請求項17
請求項16に記載の光学素子を有することを特徴とする表示素子。
請求項18
請求項17に記載の表示素子を有することを特徴とする表示装置。
請求項19
請求項18に記載の光学素子を有することを特徴とする撮像素子。
請求項20
請求項19に記載の撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
技術分野
背景技術
0002
現在、画素素子や受光素子などのアレイ素子の需要が大きくなっているが、画質の向上により高微細化が進み、個々の素子への入射光の絶対量が小さくなり、画面の明るさや感度の低下を招いている。そのため、最近はアレイ素子の配線部などへ入射していた光を、マイクロレンズで画素や受光部に集光させることにより、前述の欠点を補う方法等が主として用いられている。
0003
従来のマイクロレンズ製造方法には、例えば、特開平5−228946号公報に記載されているように、フォトリソグラフィー技術により、基板上に円柱状のレジストをパターニングし、それを加熱することで熱可塑性にレジストを流動化させ、滑らかな球面を製造する方法がある。また、上記のような形状作成ではなく、イオン交換法でガラス内部に屈折率の分布をつくり、レンズ効果を発揮するようにしたものもある。また、レンズの材料は、樹脂あるいはガラスがあり、ガラスはRIEなどにより形状を加工するものや、ゾルゲル法で成形後焼結するものなどが報告されている。
発明が解決しようとする課題
0004
しかしながら、前述したマイクロレンズ形状の製造方法において、イオン交換法によるものはイオンの注入に非常に長い時間を要するため、量産コスト上で普及が難しい。また、レジストを熱変形させる方法も、温度制御に限界が有り、その製造条件に制限がある。
0005
そこで、本発明は、上記従来のものにおける課題を解決し、簡単な構成によって、安価に量産することが可能な光学学素子の製造方法、該製造方法による光学素子、該光学素子を有する表示素子と表示装置、及び該光学素子を有する撮像素子と撮像装置を提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段
0006
本発明は、上記課題を達成するため、つぎの(1)〜(20)のように構成した光学素子の製造方法、該製造方法による光学素子、該光学素子を有する表示素子と表示装置、及び該光学素子を有する撮像素子と撮像装置を提供するものである。
(1)光学素子の製造方法であって、硬化前の材料の表面を気体の膨張により変形させる硬化前の材料の加工工程と、前記表面が変形した状態で前記材料を硬化させる材料硬化工程と、を有することを特徴とする光学素子の製造方法。
(2)前記硬化前の材料の加工工程が、表面に所定のパターニングで配列された凹構造を有する板を流動状態にある成形可能な材料の上面に接触させ、その凹構造内にある気体を膨張させ、該気体の膨張により硬化前の材料の表面を変形させる工程であり、前記材料硬化工程が、前記硬化前の材料の加工工程に引き続く工程であって、前記凹構造内で膨張した気体の球面形状を硬化させ、前記材料を表面が変形した状態で硬化させる工程であることを特徴とする上記(1)に記載の光学素子の製造方法。
(3)前記気体の膨張が、前記凹構造を有する板を真空容器に入れて大気より気圧を低くし、凹構造内の気体を膨張させることによって行われることを特徴とする上記(2)に記載の光学素子の製造方法。
(4)前記気体の膨張が、前記凹構造を有する板を加熱し、該凹構造内の気体を熱膨張させることによって行われることを特徴とする上記(2)に記載の光学素子の製造方法。
(5)前記気体の膨張が、前記成形可能な材料として光硬化樹脂を用い、光照射により該樹脂を硬化収縮させて樹脂内に負圧を発生させ、前記凹構造内の気体を膨張させることによって行われることを特徴とする上記(2)に記載の光学素子の製造方法。
(6)前記光照射において、短時間あたりの光照射エネルギーを変化させ、前記凹構造内の気体の膨張率を制御することを特徴とする上記(5)に記載の光学素子の製造方法。
(7)前記光照射は、最初の段階で凹構造を有する板の反対側よりおこない、適当な気体の膨張が得られた段階において、凹構造を有する板側より比較的強い光の照射を行うことを特徴とする上記(5)に記載の光学素子の製造方法。
(8)前記光硬化樹脂の硬化収縮において、前記樹脂内の負圧を閉じ込めるため、樹脂を密閉することを特徴とする上記(5)〜(7)のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
(9)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の光学素子の製造方法によって前記光学素子の成形用の型を作成し、該型を用いて前記光学素子を作成することを特徴とする光学素子の製造方法。
(10)上記(1)〜(8)のいずれかに記載の光学素子の製造方法によって前記光学素子の成形用の型を作成することなく、前記光学素子を作成することを特徴とする光学素子の製造方法。
(11)前記光学素子が、複眼光学素子であることを特徴とする上記(1)〜(10)のいずれかに記載の光学素子の製造方法。
(12)前記複眼光学素子が、凸のマイクロレンズを複数並べたマイクロレンズアレイであることを特徴とする上記(11)に記載の光学素子の製造方法。
(13)前記複眼光学素子が、凹のマイクロレンズを複数並べたマイクロレンズアレイであることを特徴とする上記(11)に記載の光学素子の製造方法。
(14)前記複眼光学素子が、凸のマイクロミラーを複数並べたマイクロミラーアレイであることを特徴とする上記(11)に記載の光学素子の製造方法。
(15)前記複眼光学素子が、凹のマイクロミラーを複数並べたマイクロミラーアレイであることを特徴とする上記(11)に記載の光学素子の製造方法。
(16)上記(11)〜(15)のいずれかに記載の光学素子の製造方法によって製造された光学素子。
(17)上記(16)に記載の光学素子を有することを特徴とする表示素子。
(18)上記(17)に記載の表示素子を有することを特徴とする表示装置。
(19)上記(18)に記載の光学素子を有することを特徴とする撮像素子。
(20)上記(19)に記載の撮像素子を有することを特徴とする撮像装置。
発明を実施するための最良の形態
0007
本発明の実施の形態においては、上記構成を適用して光硬化樹脂を使用することで、形状の変化と硬化進行度を容易に制御することができ、マイクロレンズ等の光学素子の形状を簡単に作成することが可能となる。また、このような方法で製作した成形品は、型取り材料や電鋳などで量産成形用の型を作ることができるので、マイクロレンズ等の光学素子の安価な量産を行うことが可能となる。
0008
以下に、本発明の実施例について説明する。
[実施例1]図1に本発明の実施例1における光学素子の製造方法の加工工程を説明するための図を示す。まず、石英ガラス上にレジストを塗布した後、アレイ状のΦ20μmドットをパターニング露光する(図1(a))。パターニングした石英ガラスを反応性イオンエッチングでΦ20μm/深さ15μmほどの凹形状を加工する(図1(b))。
0009
次に、紫外線効果樹脂を10mmの厚みがあるガラス基板の上に滴下させ、樹脂の厚みを設定するためにスペーサーを挟み、その樹脂の上に前述の凹構造を加工した石英ガラスをかぶせて、樹脂を全面に伸ばす(図1(c))。この時、非常に粘度が低い樹脂の場合、凹構造内に樹脂が進入して空気が溜まらなくなるので、粘度が高いものが望ましい。また、ガラス基板の表面は紫外線効果樹脂との密着性を高めるためにシランカップリングを施しておく。
0010
樹脂が石英ガラスの全域に広がった後、全体を真空容器に入れて大気より気圧を低くしてやることで、凹構造内に入った空気を膨張させることができる(図1(d))。真空チャンバーに接続した圧力計を確認しながら条件圧力値までロータリポンプで排気する。圧力を下げていく上では、樹脂の流動しやすさにより、石英基板の端部と中心部で圧力差が生じるので十分ゆっくり行うことが肝要である。所望の形状が得られる圧力中で十分安定をさせた後、石英ガラス側から強い紫外線光(〜50mW/cm2)を照射して、一気に硬化させる(図1(e))。硬化した後、石英ガラスを剥離させ、凹の球面形状を有する成形品を得る(図1(f))。
0011
[実施例2]図2に本発明の実施例2における光学素子の製造方法の加工工程を説明するための図を示す。実施例2においては、実施例1と同様に、紫外線硬化樹脂を、凹構造を有する石英ガラスとガラス基板の間に伸ばしたあと、ガラス基板側から比較的弱い紫外線光(<1mW/cm2)を照射する。裏面からの反射が十分に弱ければ、紫外線硬化樹脂はガラス基板側から硬化を開始するので、樹脂の硬化に伴う収縮によりガラス基板側へ樹脂が引き寄せられるために石英ガラス側で負圧が発生する。この負圧により凹構造内の空気の膨張が始まる(図2)。その際、前記樹脂の硬化収縮において、前記樹脂内の負圧を閉じ込めるため、樹脂を密閉するように構成する。しかし、この樹脂の硬化による負圧は広がった樹脂を引き戻す力にもなり、樹脂が流動することで減衰してしまうので、凹構造のパターンがある部分の周囲に十分な面積に樹脂をあらかじめ広げておくか、周囲を前段階に照射して硬化させパターンのある部分を密閉することが重要であり、そのような処置をしないと、面内に圧力のバラツキが発生して膨張する大きさが均一にはならない。
0012
硬化による負圧は短時間あたりの照射エネルギーが小さいと樹脂が硬化して束縛される前に流動できるので、石英ガラス付近で大きくできるのに対して、短時間あたりの照射エネルギーが大きいと、樹脂の流動が起こる前に硬化して動けなくなるので、石英ガラス付近の負圧量が小さくなる。このことを利用して空気の膨張具合を調整することが可能である。また、負圧量は、石英ガラスとガラス基板間の樹脂の膜厚量にも依存する。樹脂膜厚が大きいと負圧が大きく、薄いと小さくなる。実施例1同様に、膨張する泡を確認し所望の径になったら、石英ガラス側から紫外線光を照射し一気に硬化させる。石英ガラスを剥離し、凹の球面形状を有する成形品を得る。
0013
[実施例3]実施例3においては、実施例1と同様に、紫外線硬化樹脂を、凹構造を有する石英ガラスとガラス基板の間に伸ばしたあと、ガラス基板をヒーターで加熱し、凹構造内の空気を膨張させる。この場合、紫外線硬化樹脂のガラス温度や硬化反応に影響がない温度上昇で十分な泡形が得られるように、パターンの穴径や深さを計算することが必要である。実施例1同様に、膨張する泡を確認し所望の径になったら、石英ガラス側から紫外線光を照射し一気に硬化させる。石英ガラスを剥離し、凹の球面形状を有する成形品を得る。
0014
[実施例4]図3に本発明の実施例4における光学素子の製造方法の加工工程を説明するための図を示す。実施例1においてはパターニングによりマイクロレンズの底面径が固定されていたが、実施例4では、さらに低圧下に置くことで、バブル形状にすることができる(図3(a))。つぎに、石英ガラスを剥離した後の状態で(図3(b))、その凹形状を有する樹脂成形品の表面を、ダイアモンドバイトで切削加工を施すことにより、マイクロレンズの形状を得ることが可能である(図3(c))。本実施例において製作したマイクロレンズ凹形状を有する樹脂成形品は、Ni電鋳で形状を転写することにより、量産で使用する金属型を作成することが可能である。
発明の効果
0015
以上に説明したように、本発明によれば、簡単な構成によって、安価に量産することが可能な光学素子の製造方法、該製造方法による光学素子、該光学素子を有する表示素子と表示装置、及び該光学素子を有する撮像素子と撮像装置を実現することができる。
図面の簡単な説明
0016
図1本発明の実施例1における光学素子の製造方法の加工工程を説明するための図であり、(a)はフオトリソ工程によりパターニングしたレジスト、(b)は反応性イオンエッチングした石英ガラス紫外線硬化樹脂上に置いた石英ガラス、(c)は石英ガラスとガラス基板で樹脂を挟んだ様子、(d)は真空内で泡が成長する様子、(e)は強い紫外線で泡形状を硬化させる様子、(f)石英ガラスを剥離した成形品を示す図。
図2本発明の実施例2における光学素子の製造方法の加工工程において、弱い紫外線を照射し泡が成長する様子を説明するための図。
図3本発明の実施例4における光学素子の製造方法の加工工程を説明するための図であり、(a)はさらに低圧にした場合、(b)は石英ガラスを剥離した様子、(c)は表面を切削した後の様子を示す図。
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