図面 (/)

技術 建築構造物の設計支援方法、設計支援装置、コンピュータプログラム及び記録媒体

出願人 上谷宏二エードス株式会社
発明者 上谷宏二
出願日 2001年1月18日 (19年10ヶ月経過) 出願番号 2001-010811
公開日 2001年11月9日 (19年0ヶ月経過) 公開番号 2001-312525
状態 拒絶査定
技術分野 建築構造一般 CAD
主要キーワード 設計指標 塑性硬化 単品生産 歪み関係 設計パラメータ値 線形近似式 感度算出 塑性変形域
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2001年11月9日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

課題

初期設計から最終設計までの設計変更を、膨大な計算量を必要とせずに短時間に行わせ得るようにする。

解決手段

初期設計の形状データ及び挙動解析の結果を示す解析データ、並びに制約条件が与えられ、解析データに基づいて所定の載荷条件下での構造物平衡状態を表す被参照状態を求めた後、被参照状態の状態量方程式に基づいて設計感度係数を算出するステップと、算出された設計感度係数を用いて行った設計変更の後における被参照状態を近似するステップとを、被参照状態での状態量及び制約量と制約条件との比較により設計の良否について所定の評価がなされるまで繰り返す。

概要

背景

概要

初期設計から最終設計までの設計変更を、膨大な計算量を必要とせずに短時間に行わせ得るようにする。

初期設計の形状データ及び挙動解析の結果を示す解析データ、並びに制約条件が与えられ、解析データに基づいて所定の載荷条件下での構造物平衡状態を表す被参照状態を求めた後、被参照状態の状態量方程式に基づいて設計感度係数を算出するステップと、算出された設計感度係数を用いて行った設計変更の後における被参照状態を近似するステップとを、被参照状態での状態量及び制約量と制約条件との比較により設計の良否について所定の評価がなされるまで繰り返す。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

複数の構成要素を含んで構成された初期構造物の設計を逐次変更し、予め定めた制約条件要望性能とを満足する最終構造物を構成する建築構造物設計支援方法であって、前記初期構造物の挙動解析を行った結果に基づいて所定の載荷条件下での平衡状態を表す被参照状態を求める第1ステップと、求められた被参照状態の状態量方程式に基づいて設計パラメータ値の変化に伴う状態変数値変化度合いを示す設計感度係数を算出する第2ステップと、算出された設計感度係数を用いて行った設計変更の後における被参照状態を近似する第3ステップと、近似された被参照状態での状態変数値及び制約量値と前記制約条件との比較に基づいて設計の良否を評価する第4ステップとを含み、該第4ステップにて所定の評価がなされるまで、前記第2ステップ及び第3ステップを繰り返すことを特徴とする建築構造物の設計支援方法。

請求項2

複数の状態域毎に異なる関数の組を用いて記述された状態量方程式を用い、設計変更後の被参照状態を近似する第3ステップは、前記第2ステップにて算出された設計感度係数を設計変更前の被参照状態の状態量方程式に適用し、各部分の状態域が設計変更前後の被参照状態において同一であるとする仮定の下にて設計変更後の被参照状態に対する仮の状態量方程式を設定するステップと、設定された仮の状態量方程式により算定される状態変数値が、前記設定に際して仮定された状態域と矛盾する部分を選別するステップと、矛盾の生じている部分の状態域を変更して前記仮の状態量方程式を再設定するステップとを含み、矛盾する部分を選別するステップと仮の状態量方程式を再設定するステップとを、矛盾の生じている部分が所定量以下となるまで繰り返す請求項1記載の建築構造物の設計支援方法。

請求項3

複数の状態域を包含する単一の関数を用いて記述された状態量方程式を用い、設計変更後の被参照状態を近似する第3ステップは、前記第2ステップにて算出された設計感度係数を前記状態量方程式に適用して設計変更後の仮の状態変数値を求めた後、求められた仮の状態変数値の周りで前記状態量方程式を漸近展開することにより線形の近似状態量方程式を設定するステップと、設定された近似状態量方程式を満たす近似状態変数値を算出するステップとを含み、算出された近似状態変数値を新たな仮の状態変数値として置き直し、近似状態量方程式を設定するステップと近似状態変数値を算出するステップとを、仮の状態変数値と近似状態変数値との差が所定値以下となるまで繰り返す請求項1記載の建築構造物の設計支援方法。

請求項4

複数の構成要素を含んで構成された初期構造物の設計を逐次変更し、予め定めた制約条件と要望性能とを満足する最終構造物を構成する設計手順を実行する建築構造物の設計支援装置であって、前記初期構造物の挙動解析を行った結果に基づいて所定の載荷条件下での平衡状態を表す被参照状態を求める被参照状態算出手段と、求められた被参照状態の状態量方程式に基づいて設計パラメータ値の変化に伴う状態変数値の変化度合いを示す設計感度係数を算出する感度算出手段と、算出された設計感度係数を用いて行った設計変更の後における被参照状態を近似する被参照状態近似手段と、近似された被参照状態での状態変数値及び制約量値と前記制約条件との比較に基づいて設計の良否を評価する評価手段とを備え、該評価手段により所定の評価がなされるまで、前記感度算出手段及び被参照状態近似手段の動作を繰り返し行わせる構成としてあることを特徴とする建築構造物の設計支援装置。

請求項5

複数の構成要素を含んで構成された初期構造物の設計を逐次変更し、予め定めた制約条件と要望性能とを満足する最終構造物を構成する設計手順をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記初期構造物の挙動解析を行った結果に基づいて所定の載荷条件下での平衡状態を表す被参照状態をコンピュータに求めさせる第1の手順と、求められた被参照状態の状態量方程式に基づいて設計パラメータ値の変化に伴う状態変数値の変化度合いを示す設計感度係数をコンピュータに算出させ第2の手順と、算出された設計感度係数を用いて行った設計変更の後における被参照状態をコンピュータに近似させる第3の手順と、近似された被参照状態での状態変数値及び制約量値と前記制約条件との比較に基づいて、設計の良否をコンピュータに評価させる第4の手順と、該第4の手順において所定の評価がなされるまで、前記第2の手順及び第3の手順をコンピュータに繰り返させる手順とを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。

請求項6

複数の構成要素を含んで構成された初期構造物の設計を逐次変更し、予め定めた制約条件と要望性能とを満足する最終構造物を構成する設計手順をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記録してあるコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、コンピュータに、前記初期構造物の挙動解析を行った結果に基づいて所定の載荷条件下での平衡状態を表す被参照状態を求めさせるプログラムコード手段と、コンピュータに、求められた被参照状態の状態量方程式に基づいて設計パラメータ値の変化に伴う状態変数値の変化度合いを示す設計感度係数を算出させるプログラムコード手段と、コンピュータに、算出された設計感度係数を用いて行った設計変更の後における被参照状態を近似させるプログラムコード手段と、コンピュータに、近似された被参照状態での状態変数値及び制約量値と前記制約条件との比較に基づいて設計の良否を評価させるプログラムコード手段と、コンピュータに、所定の評価がなされるまで前記設計感度係数の算出と前記被参照状態の近似とを繰り返し行わせるプログラムコード手段とを含むコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とするコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

技術分野

0001

本発明は、所定の制約条件要望性能とを満足する建築構造物を得るべく、その設計を支援する方法、並びにこの方法の実施に用いる装置、コンピュータプログラム及び記録媒体に関する。

0002

建築構造物の設計は、柱、梁等の構成要素の形状、配置等の設計パラメータの値を適宜に設定して初期設計を行い、これにより構成された初期構造物に対し、想定される地震力風力等の外力の作用下での挙動解析を実施して、各構成要素の変位応力、歪等の状態変数の値を求め、これらが予め設定された機能上及び安全上の制約条件を満たすか否かを検証して、この検証の結果に基づいて設計変更及び挙動解析を繰り返す手順により行われている。

0003

ところが建築構造物においては、例えば、極限的な地震による振動エネルギの吸収を想定して、各構成要素の塑性変形を積極的に利用した設計が行われるのが通例であり、前述した設計手順中の挙動解析は、その履歴に影響される塑性域での挙動を扱うことが不可欠である。ところが、塑性域を含めた挙動解析には、増分解析法等、多大の計算時間を要する解析手法を採用し、各増分段階毎に解析モデルの自由度数に対応する元数連立一次方程式解く必要があり、特に、多くの構成要素を備える高層建築物の設計においては、所望の設計を探索する過程での設計変更と挙動解析の繰り返しが多数回に亘り、設計全般を通じての計算負荷が膨大となるという問題があった。

0004

このような問題は、過去の実績設計者熟練に基づいて、設計変更の起点となる初期設計の完成度を高め、その後の設計変更の必要回数を減じることにより緩和されるが、このためには、優秀な設計者の存在が不可欠である。

0005

更には、建築構造物の設計に際しては、前述した機能上及び安全上の制約条件に加えて、建築コスト意匠生産施工上の制約等、多岐に亘る他の制約条件を満たすことが切望される。これらの制約条件を加味した場合、熟練した設計者にとっても的確な設計変更方針を見いだすことが難しく、設計変更と挙動解析の繰り返し回数が一般的に増加し、更なる計算負荷の増大を招くこととなり、このような計算負荷の増大が設計変更の試行回数圧迫する結果、建築分野において最も重要な創造性欠如を招来し、更には、施主等の第3者による多種多様な要望に柔軟に対応することが難しいという問題がある。

0006

機械構造物の設計等、建築構造物以外の設計分野においては、種々の最適化アルゴリズムを利用することにより、種々の制約条件を満たし性能指標としての目的関数の値を最適化するように、初期設計の段階から最終設計の段階までの設計変更を自動的に行わせる設計支援装置が実用化されている。建築構造物の設計においては、前述した如く、制約条件が多岐に亘り、塑性変形域を含めた挙動を扱うために膨大な計算量が必要である一方、多くが単品生産である建築構造物の設計には、多額の費用及び時間をかけることが許されないという事情があり、同様の設計支援装置が実用の場で有効に利用されている事例は殆ど存在しない。

0007

本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、初期設計の段階から最終設計の段階までの設計変更を、膨大な計算量を必要とせずに短時間に行わせ得る建築構造物の設計支援方法を提供し、また、この方法の実施に使用する設計支援装置、コンピュータプログラム及び記録媒体を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の第1発明に係る建築構造物の設計支援方法は、複数の構成要素を含んで構成された初期構造物の設計を逐次変更し、予め定めた制約条件と要望性能とを満足する最終構造物を構成する建築構造物の設計支援方法であって、前記初期構造物の挙動解析を行った結果に基づいて所定の載荷条件下での平衡状態を表す被参照状態を求める第1ステップと、求められた被参照状態の状態量方程式に基づいて設計パラメータ値の変化に伴う状態変数値変化度合いを示す設計感度係数を算出する第2ステップと、算出された設計感度係数を用いて行った設計変更の後における被参照状態を近似する第3ステップと、近似された被参照状態での状態変数値及び制約量値と前記制約条件との比較に基づいて設計の良否を評価する第4ステップとを含み、該第4ステップにて所定の評価がなされるまで、前記第2ステップ及び第3ステップを繰り返すことを特徴とする。

0009

また第2発明に係る建築構造物の設計支援方法は、複数の状態域毎に異なる関数の組を用いて記述された状態量方程式を用い、設計変更後の被参照状態を近似する第3ステップは、前記第2ステップにて算出された設計感度係数を設計変更前の被参照状態の状態量方程式に適用し、各部分の状態域が設計変更前後の被参照状態において同一であるとする仮定の下にて設計変更後の被参照状態に対する仮の状態量方程式を設定するステップと、設定された仮の状態量方程式により算定される状態変数値が、前記設定に際して仮定された状態域と矛盾する部分を選別するステップと、矛盾の生じている部分の状態域を変更して前記仮の状態量方程式を再設定するステップとを含み、矛盾する部分を選別するステップと仮の状態量方程式を再設定するステップとを、矛盾の生じている部分が所定量以下となるまで繰り返すことを特徴とする。

0010

更に第3発明に係る建築構造物の設計支援方法は、複数の状態域を包含する単一の関数を用いて記述された状態量方程式を用い、設計変更後の被参照状態を近似する第3ステップは、前記第2ステップにて算出された設計感度係数を前記状態量方程式に適用して設計変更後の仮の状態変数値を求めた後、求められた仮の状態変数値の周りで前記状態量方程式を漸近展開することにより線形の近似状態量方程式を設定するステップと、設定された近似状態量方程式を満たす近似状態変数値を算出するステップとを含み、算出された近似状態変数値を新たな仮の状態変数値として置き直し、近似状態量方程式を設定するステップと近似状態変数値を算出するステップとを、仮の状態変数値と近似状態変数値との差が所定値以下となるまで繰り返すことを特徴とする。

0011

また第4発明に係る建築構造物の設計支援装置は、複数の構成要素を含んで構成された初期構造物の設計を逐次変更し、予め定めた制約条件と要望性能とを満足する最終構造物を構成する設計手順を実行する建築構造物の設計支援装置であって、前記初期構造物の挙動解析を行った結果に基づいて所定の載荷条件下での平衡状態を表す被参照状態を求める被参照状態算出手段と、求められた被参照状態の状態量方程式に基づいて設計パラメータ値の変化に伴う状態変数値の変化度合いを示す設計感度係数を算出する感度算出手段と、算出された設計感度係数を用いて行った設計変更の後における被参照状態を近似する被参照状態近似手段と、近似された被参照状態での状態変数値及び制約量値と前記制約条件との比較に基づいて設計の良否を評価する評価手段とを備え、該評価手段により所定の評価がなされるまで、前記感度算出手段及び被参照状態近似手段の動作を繰り返し行わせる構成としてあることを特徴とする。

0012

また第5発明に係るコンピュータプログラムは、複数の構成要素を含んで構成された初期構造物の設計を逐次変更し、予め定めた制約条件と要望性能とを満足する最終構造物を構成する設計手順をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、前記初期構造物の挙動解析を行った結果に基づいて所定の載荷条件下での平衡状態を表す被参照状態をコンピュータに求めさせる第1の手順と、求められた被参照状態の状態量方程式に基づいて設計パラメータ値の変化に伴う状態変数値の変化度合いを示す設計感度係数をコンピュータに算出させ第2の手順と、算出された設計感度係数を用いて行った設計変更の後における被参照状態をコンピュータに近似させる第3の手順と、近似された被参照状態での状態変数値及び制約量値と前記制約条件との比較に基づいて、設計の良否をコンピュータに評価させる第4の手順と、該第4の手順において所定の評価がなされるまで、前記第2の手順及び第3の手順をコンピュータに繰り返させる手順とを含むことを特徴とするコンピュータプログラム。

0013

更に本発明に係る記録媒体は、複数の構成要素を含んで構成された初期構造物の設計を逐次変更し、予め定めた制約条件と要望性能とを満足する最終構造物を構成する設計手順をコンピュータに実行させるコンピュータプログラムを記録してあるコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、コンピュータに、前記初期構造物の挙動解析を行った結果に基づいて所定の載荷条件下での平衡状態を表す被参照状態を求めさせるプログラムコード手段と、コンピュータに、求められた被参照状態の状態量方程式に基づいて設計パラメータ値の変化に伴う状態変数値の変化度合いを示す設計感度係数を算出させるプログラムコード手段と、コンピュータに、算出された設計感度係数を用いて行った設計変更の後における被参照状態を近似させるプログラムコード手段と、コンピュータに、近似された被参照状態での状態変数値及び制約量値と前記制約条件との比較に基づいて設計の良否を評価させるプログラムコード手段と、コンピュータに、所定の評価がなされるまで前記設計感度係数の算出と前記被参照状態の近似とを繰り返し行わせるプログラムコード手段とを含むコンピュータプログラムを記録してあることを特徴とする。

0014

本発明においては、まず、与えられた制約条件下での初期設計により得られた初期構造物の挙動を、増分解析法等の従来の解析方法によって解析した結果を準備し、この挙動解析の結果から、前記初期構造物の被参照状態を求める。この被参照状態は、所定の載荷条件下、例えば、地震力、風力等の想定される外力が個別に又は一括して作用するという載荷条件下にて構造物が呈する平衡状態を表すものであり、状態量方程式により一意に規定され、制約量値及び性能指標の値を評価する際に参照の対象として用いられる。被参照状態の状態量方程式は、該被参照状態に至るまでの載荷過程において構造物の内部にて発生する除荷現象が無視し得るという条件下において誘導される応力−歪み関係を表す関数を用いて記述される。ここで用いられる関数は、弾性域、塑性域等の複数の状態域毎に各別に誘導される関数の組、又は、前記複数の状態域内及び各状態域間の境界において必要な階数までの微係数が連続であり、複数の状態域を包含する広い領域全体を近似的に表現すべく誘導される特別な単一の関数である。

0015

次に、被参照状態の状態量方程式に基づいて、設計パラメータ値の変化に伴う状態変数値の変化度合いを示す設計感度係数を算出する。この算出は、被参照状態の状態量方程式を、構成要素の長さ、断面積、断面2次モーメント等の設計パラメータにより微分して得られる式を用いてなされる。

0016

次に、算出された設計感度係数を用いて適宜の設計変更を行い、この設計変更後の被参照状態を近似する。この近似は、被参照状態の状態量方程式が状態域毎に異なる関数の組を用いて記述されている場合、構造物の内部に発生する除荷現象が無視し得るという条件下において、構造物内部の夫々の部分において、設計変更前後の状態域の変化、例えば、弾性域から塑性域への移行、又は塑性域から弾性域への移行が生じないものと仮定して設計変更後の状態量方程式を仮に設定し、設定された仮の状態量方程式を解いて算定された状態変数値が、前記仮の状態量方程式の設定に際して仮定された状態域と矛盾している部分が存在するか否かを調べ、矛盾部分の状態を、弾性域から塑性域へ、又は塑性域から弾性域へ反転して仮の状態量方程式を再設定し、再設定された仮の状態量方程式を解いて状態変数の更新値を算定する手順を、矛盾した構成要素が存在しなくなるまで繰り返すことによって行う。

0017

一方、被参照状態の状態量方程式が、弾性域、塑性域等の複数の状態域を包含する単一の関数を用いて記述されている場合、構造物の内部に発生する除荷現象が無視し得るという条件下において、設計変更前後の状態変化が設計変更前の状態量方程式を全微分して得られる線形近似式に従って生じると仮定し、設計変更前の状態において評価された設計感度係数を前記線形近似式に適用して設計変更後の仮の状態変数値を求める。その後、求められた仮の状態変数値の周りで状態量方程式を漸近展開することにより線形の近似状態量方程式を設定し、設定された近似状態量方程式を解くことにより近似状態変数値を算出する。次いで、算出された近似状態変数値を仮の状態変数値として置き直し、前記近似状態量方程式の設定と前記近似状態変数値の算出とを、仮の状態変数値と近似状態変数値との差が所定値以下となるまで繰り返すことによって設計変更後の被参照状態を近似する。

0018

次に、以上の如き近似がなされた被参照状態での状態変数値及び制約量値を予め定めた制約条件と比較して設計の可否を判定すると共に、性能指標の推移により十分良好な設計に収斂したと判断されるまで、現状の被参照状態に基づく設計感度係数の算出と、算出された設計感度係数を用いた設計変更と、設計変更後の被参照状態の近似とを繰り返して最終構造物の設計を完了する。

発明を実施するための最良の形態

0019

以下本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る建築構造物の設計支援方法(以下本発明方法という)の実施に用いる設計支援装置の構成を示すブロック図である。本図に示す如く設計支援装置1は、演算処理部としてのCPU(Central Processing Unit )、本発明方法の手順を記憶させてあるROM(Read Only Memory)、対象構造物の形状、演算途中の状態変数値、制約条件等、演算に用いる変数値を記憶するRAM(Random Access Memory)等の記憶手段を備えるコンピュータとして構成されている。

0020

設計支援装置1の入力側には、挙動解析装置2がオンライン接続されており、初期構造物の構造データ(形状、材料定数支持条件等を含む)、この初期構造物に対する挙動解析の結果として得られた解析データ等、本発明方法の実施に必要な初期データは、前記挙動解析装置2から与えられるようになしてある。また設計支援装置1の入力側には、キーボードマウス等の入力操作部10がオペレータにより操作可能に備えられている。

0021

設計支援装置1の出力側には、CRTディスプレイ液晶ディスプレイ等の表示部11が備えられている。該表示部11は、設計支援装置1において後述する手順にて実行される設計変更の途中経過、及び最終結果を表示し、また設計変更の種々の段階において、入力操作部10を操作するオペレータの介入を可能とすべく、入力補助のための各種の表示を行うように構成してある。

0022

なお図1においては、オンライン接続された挙動解析装置2から前記初期データが与えられる構成としてあるが、この初期データは、オフラインに存在する挙動解析装置2にて作成し、光ディスク磁気ディスク等の記録媒体を介して設計支援装置1に入力する構成としてもよい。また、挙動解析のための装置を含めて設計支援装置1を構成し、該設計支援装置1に、初期構造物の構造データのみを初期データとして与えるようにしてもよい。

0023

以上の如く構成された設計支援装置1においては、挙動解析装置2から、前述した構造データ及び挙動解析の結果が与えられる初期構造物を対象とし、この初期構造物の設計を以下に示す手順に従って逐次変更して、予め定めた制約条件と要望性能とを満足する最終構造物を構成する演算が行われる。

0024

前記初期構造物は、予め設定された制約条件下にて適宜の設計を行った結果として得られた構造物である。この初期構造物を対象として挙動解析装置2において行われる挙動解析は、地震荷重風荷重等、建築後に想定される所定の荷重の作用下での構造物の変形挙動を、塑性域での挙動を含めて解析するものであり、増分解析法等の従来から公知の適宜の解析方法によって行われる。

0025

なお、前記挙動解析の結果、除荷現象が無視できない規模にて発生していることがわかった場合には、解析の対象として用いた初期構造物の設計が、全ての制約条件を満たし得る許容設計でない可能性が高く、その後の設計変更の基準として用い得るレベルに達していないと考えられる。この場合には、新たに初期設計を行い、前述した挙動解析を繰り返す必要がある。

0026

図2は、除荷現象の説明図であり、柱、梁等、建築構造物の構成要素に加わる曲げモーメントMと、これにより発生する曲率κとの関係を示している。図示の如く構成要素は、これに加わる曲げモーメントMが所定の大きさ(降伏モーメントM1 )に達するまでの間の状態域(弾性域)においては、曲げモーメントMの増加に応じて曲率歪κが比例的に漸増する弾性体としての挙動を示し、前記降伏モーメントM1 が加えられたとき降伏して、この後の状態域(塑性域)においては、曲げモーメントMの増加に応じて曲率歪κが急増する塑性体として挙動を示す。

0027

ここで、前記塑性域中のA点において、加わる曲げモーメントMが逆に減少した場合、即ち、除荷が生じた場合、曲率歪κは、塑性域におけるモーメント−歪線に沿ってではなく、図中に破線により示す如く、前記A点を起点とし、弾性域でのモーメント−歪線と略等しい変化率を有する除荷経路に沿って減少する。この現象が除荷現象であり、荷重が単調増加する載荷過程においては、建築構造物の全体又は一部が、座屈等の不安定な挙動を呈するときに発生する。従って、除荷現象が大規模に発生する初期構造物については、前述した初期設計のやり直しが必要となる。

0028

以上の如き挙動解析の結果を示す解析データは、対象とした初期構造物の構造データ(形状、材料定数、支持条件等を含む)と共に設計支援装置1に与えられる。設計支援装置1は、前記解析データ及び構造データを用い、図3に示すフローチャートに従う動作を行う。なお、挙動解析のための装置を含めて設計支援装置1が構成されている場合には、該設計支援装置1は、与えられる初期構造物の構造データを用いて前述した挙動解析を実行し、その後図3に示すフローチャートに従う動作を行う。

0029

設計支援装置1は、挙動解析装置2から解析データ及び構造データの入力がなされ(ステップ1)、また入力操作部10の操作により設計のための制約条件の入力がなされた(ステップ2)ことを条件として動作を開始し、まず、前記解析データ及び構造データを用いて被参照状態を求める(ステップ3)。

0030

前記被参照状態は、制約量及び性能指標の値を評価するときに参照の対象となる状態であり、例えば、地震時の最大水平力、風の作用による最大水平力、積雪時における最大荷重等、制約条件に含まれる所定の外力が夫々の方向に加えられたときの状態変数値の関係を示す状態量方程式として与えられる。このような被参照状態は、複数個あってもよいが、一つの載荷条件に対して一意に定まる必要がある。

0031

ここで制約量値は、各構成要素の寸法等の設計パラメータの値、及び構造物各部の変位、応力、歪等、所定の制限を受ける状態変数の値であり、また性能指標は、建築コスト、重量、安全性指標等、設計の優劣を比較する尺度となる量であって、前記制約量値に対する制限値は、設計の開始に当たって予め定められ、前記制約条件の一部として設計支援装置1に入力される。

0032

被参照状態の状態量方程式は、構造物の構成要素の夫々に対し、各構成要素の力学的性質を規定する設計パラメータ(長さL、断面積A、断面2次モーメントI、全塑性モーメントMP 等)を含んで記述される関係式(歪−変位関係、力の釣り合い関係応力−歪関係)と、各構成要素間の接続条件式(変位の適合、力の釣り合い)とにより構成される。

0033

図4は、構成要素の状態変数値の説明図である。図4(a)に示す如く、夫々の基部を固定された複数本の柱3,3…間に、各複数本の梁4,4…を横架して構成された多層スパン平面骨組構造を備え、各層に水平力が加わる建築構造物において、一本の梁4を取り出し、図4(b)に示す如く、該梁4の両端に作用する外力(材端力)をF1 ={QL ,ML ,QR ,MR}T とし、この材端力の作用によって生じる変位(材端変位)をU1 ={uL ,θL ,uR ,θR }Tと定義する。

0034

このような梁4の状態量方程式は、両端が弾性域にある場合と、一端が弾性域にあり他端が塑性域にある場合と、両端が塑性域にある場合とに場合分けされ、両端が弾性域にある場合の状態量方程式は、下記(1)式により与えられる。

0035

0036

同じく、一端が弾性域にあり他端が塑性域にある場合の状態量方程式は、右端が先に塑性化するとき下記(2)式により与えられ、また、両端が塑性域にある場合の状態量方程式は下記(3)式により与えられる。

0037

0038

0039

また、図4(a)に示す建築構造物において、一本の柱3の上下の梁4,4との連結部に挾まれた部分を取り出し、図4(c)に示す如く、この柱3の材端力をF2 ={QL ,NL,ML ,QR ,NR ,MR}T とし、この材端力の作用によって生じる材端変位をU2 ={uL ,vL ,θL ,uR ,vR ,θR }T と定義すると、両端が弾性域にある場合の前記柱3の状態量方程式は、下記(4)式により与えられる。

0040

0041

同じく、一端が弾性域にあり他端が塑性域にある場合の状態量方程式、及び両端が塑性域にある場合の状態量方程式は、軸力と曲げモーメントとの相関降伏条件を用いず、曲げ降伏が軸力の影響を受けないものとして取り扱える場合には、梁4における状態量方程式と同様に表現することができる。

0042

なお前記(1)式〜(4)式は、図4(a)に示す平面骨組構造物の構成要素の状態量方程式の一例を示すものに過ぎず、以下のステップにおいて用いる状態量方程式は、前述の如く、各構成要素間の接続条件式(変位の適合式、力の釣り合い式)を含んでいる。また本発明方法は、図4(a)に示す如き平面骨組構造物に限って適用されるものではない。

0043

以上の如く被参照状態を求めた後、設計支援装置1は、被参照状態の状態量方程式に基づいて、設計パラメータの変化に伴う状態変数値の変化度合いを示す設計感度係数を算出する(ステップ4)。設計感度係数は、被参照状態の状態量方程式を、長さL、断面積A、断面2次モーメントI等、構成要素の形状に応じて変化する複数の設計パラメータの夫々について微分して得られる式により算出することができる。

0044

次いで設計支援装置1は、適宜の設計変更を行い(ステップ5)、この設計変更後の被参照状態を近似する(ステップ6)。ステップ5での設計変更は、算出された設計感度係数を用い、適宜の最適化アルゴリズムに従って、制約条件を満足しつつ性能指標がより望ましい値をとるように行われる。なお、入力操作部10を操作するオペレータの介入により設計変更を行わせてもよく、また、オペレータの介入による設計変更と、最適化アルゴリズムによる設計変更とを組合わせてもよい。

0045

ステップ6での設計変更後の被参照状態の近似は、以下の手順に従ってなされる。図5は、ステップ6において行われる被参照状態の近似手順を示すフローチャートであり、まず、設計変更の前後における各部分の状態域(弾性域又は塑性域)が不変であると仮定して、設計変更後の仮の状態量方程式を設定し(ステップ11)、次に、設定された仮の状態量方程式を解いて算定される設計変更後の状態変数値が、仮の状態量方程式の設定に際して仮定された状態域と明らかに矛盾する要素(矛盾部分)を選別する(ステップ12)。

0046

ステップ11において設定される仮の状態量方程式は、構造物の内部において前述した除荷現象が生じないという条件が満たされており、また、各構成要素の設計変更前後の状態変化が状態域の移行(弾性域と塑性域との間での移行)を伴わずに発生する場合には、設計変更後の被参照状態を正しく表現するものとなる。なお、以上の説明においては、降伏後の状態域全般を塑性域であるとしているが、この状態域を、降伏域、塑性硬化域等に細分化してもよい。

0047

設計支援装置1において取り扱う建築構造物は、前記挙動解析装置2での挙動解析の過程において、大規模な除荷現象が発生しないことが確かめられたものである。従って、ステップ12において矛盾要素(矛盾部分)の選別がなされた場合、この矛盾が生じる原因は、対応する構成要素の設計変更前後の状態変化が、弾性域から塑性域、又は塑性域から弾性域への移行を伴って生じているためであると考えられる。

0048

図6は、ステップ12において行われる矛盾要素の選別方法の説明図であり、前記図2と同様、構成要素に加わる曲げモーメントMと材端部に発生する曲率歪κとの関係が示され、図中の破線は、設計変更前のM−κ関係を、同じく実線は、設計変更後のM−κ関係を夫々示している。また図中に一点鎖線により示す直線は、前記ステップ4において用いられた被参照状態の状態量方程式を設計パラメータにより全微分して得られる式によって算出される設計感度係数値に基づいて線形近似したM−κ関係を、設計変更後の構成要素の塑性域に適用して得られる直線を図示したものである。

0049

ここで、設計変更前に塑性域内のX点にあった構成要素の状態が、設計変更により、塑性域内のX1 点に移行した場合、このX1 点の状態は、図中に一点鎖線により示す直線、即ち、被参照状態の状態量方程式を設計パラメータにより全微分して得られる式によって規定される直線上のX1 ′点にて近似することができる。これに対し、設計変更前に塑性域内のX点にあった状態が、設計変更により弾性域内のX2 点に移行した場合、即ち、設計変更の前後に状態域の変化(この場合、塑性域から弾性域への移行)が生じた場合、設計感度係数を用いることにより設計変更が施された後の状態は、図中に一点鎖線により示すM−κ関係上のX2 ′点となり、前記X2 点の状態とは明らかに矛盾する。この矛盾は、設計変更の前後に、弾性域から塑性域への状態域の移行が生じた場合においても同様に発生する。

0050

このようにステップ12での矛盾要素の選別は、仮の状態量方程式を用いて算出された状態変数値を、これらの関係を示すM−κ曲線上に適用することによりなされる。このようにして矛盾要素を選別した後、矛盾要素の有無を判定し(ステップ13)、矛盾要素が存在すると判定された場合には、当該矛盾要素を、塑性域から弾性域へ、又は弾性域から塑性域に反転して仮の状態量方程式を修正し(ステップ14)、ステップ12に戻って、矛盾要素がなくなるまで同様の手順を繰り返す。一方、ステップ13において矛盾要素が存在しないと判定された場合には、前記繰り返しを打ち切り、現状の状態量方程式を設計変更後の被参照状態を近似するものとして確定し、図3のフローチャートに戻る。

0051

なお、前記状態量方程式が状態変数に関する非線形項を含む場合、適宜の線形近似を用いて算出される解には不釣り合い力等の誤差が含まれる。この誤差は、ニュートンラフソン法等の近似手法を用いて除去することができる。ニュートン・ラフソン法による前記誤差の除去は、既に求められた仮の状態変数値の周りで状態量方程式を漸近展開することにより線形の近似状態量方程式を設定し、その後、設定された近似状態量方程式を解いて近似状態変数値を算出し、算出された近似状態変数値を新たな仮の状態量変数値として置き直し、前記近似状態量方程式の設定と前記近似状態変数値の算出とを、仮の状態変数値と近似状態変数値との差が所定値以下となるまで繰り返すことにより行われる。なおこのような誤差の除去は、前述の如く行われる被参照状態の近似精度を高めるために必要であるが、最終的に設計を確定する以前の段階においては、演算に支障のない限り前記誤差を無視して手順を進めてもよい。

0052

以上の実施の形態においては、弾性域、塑性域等の状態域毎に異なる関数の組を用いて記述された状態量方程式を用いた場合について述べたが、これら複数の状態域を包含する単一の関数を用いて記述された近似状態量方程式を設定して、以下の手順により求めることも可能である。

0053

近似状態量方程式の記述には、前記複数の状態域内及び各状態域間の境界において必要な階数までの微係数が連続である特別の関数を用いる。この関数は、弾性域での曲げモーメントMと曲率歪κとの関係を示す式が、M=f1 (κ)として与えられ、塑性域での曲げモーメントMと曲率歪κとの関係を示す式が、M=f2 (κ)として与えられるとき、例えば、次式により与えられる。

0054

M=f1 (κ)・g1 (κ)+f2 (κ)g2 (κ) …(5)

0055

この式中のg1 (κ)は、曲率歪κが、降伏モーメントM1 の作用下において発生する降伏歪κ1 を下回る弾性域において1となり、同じく降伏歪κ1 を上回る塑性域において0となるステップ関数の変化部を、微係数が連続である滑らかな曲線により置き換えて得られる関数であり、またg2 (κ)は、逆に弾性域において0となり、塑性域において1となる同種の関数である。図7には、このような関数g1 (κ)、g2 (κ)の一例が示されている。

0056

このような近似状態量方程式を用いる場合、まず設計変更前の設計感度係数を適用して設計変更後の仮の状態変数値を求め、仮の状態変数値の周りで状態量方程式を漸近展開して得られる線形の近似状態量方程式を設定する。その後、近似状態量方程式を満たす近似状態変数値を求める手順と、求められた近似状態変数値を新たな仮の状態変数値として置き直し、近似状態量方程式を再設定する手順とを、仮の状態変数値と近似状態変数値との誤差が所定値以下となるまで繰り返すことによって設計変更後の被参照状態を近似することができる。このような近似は、被参照状態の状態量方程式が、前述の如く、弾性域、塑性域等の複数の状態域内及び各状態域間の境界において必要な階数までの微係数が連続である単一の関数を用いて記述されることにより可能となる。

0057

その後設計支援装置1は、被参照状態が近似された設計変更後の構造物について、建築コスト、構造物の重量、安全性指標等、設計の優劣を比較する尺度として用いる性能指標と、各構成要素の寸法等の設計パラメータ、及び構造物各部の変位、応力、歪等、所定の制限を受ける制約量値とを算出し(ステップ7)、算出された性能指標及び制約量値の夫々に対して予め定めた制約条件を満たすか否かを検証する設計評価を行い(ステップ8)、この評価の結果が良好でない場合には、ステップ4に戻り、先の設計変更後の建築構造物を対象とした設計感度係数の算出(ステップ4)、設計の再変更(ステップ5)、及び再変更後の被参照状態の近似(ステップ6)を繰り返す。

0058

一方、ステップ7における検証の結果、良好な設計がなされていると判定された場合、設計支援装置1は、ステップ4〜ステップ6の繰り返しを打ち切り、この時点での設計を予め定めた制約条件と要望性能とを満足する設計であると判定し、前記表示部11に表示せしめて動作を終了する。なお、最終的な評価がなされた段階において入力操作部10を操作するオペレータの介入を許容し、制約条件の再設定を行って、より望ましい設計を探索し得るようにしてもよい。

0059

以上の如く設計支援装置1の動作により実施される本発明方法においては、初期設計の段階にて実施した挙動解析の結果に基づいて所定の載荷条件下での各構成要素の状態を表す被参照状態を求めておき、これ以降は、被参照状態の変化のみに着目して設計変更を繰り返すから、予め定めた制約条件と要望性能とを満たす設計に至るまでの設計変更を、多大の計算負荷を必要とせず、低コストにて、しかも短時間に実現することができる。

0060

また、初期設計の段階において高い完成度が要求されないことから、過去の実績及び設計者の熟練に依存する必要がなく、設計者の感性及び創造性を自由に発揮して多様な発想に基づく設計を試みることが可能となり、更には、施主による計画面コスト面及び意匠面に関する要望、また施工者による施工面に関する要望を加味した設計変更に柔軟に対応することができる。

0061

なお 以上の実施の形態においては、本発明方法の実施に専用の装置(設計支援装置1)を用いる場合について述べたが、前述した各手順をコンピュータにより実施させるべく記述されたプログラムとして製品化し、このプログラムを、汎用のコンピュータにロードさせて、該コンピュータに装備された演算処理部としてのCPU、記憶部としてのRAM等を利用して本発明方法を実施することもできる。

0062

図8は、このような実施の形態の一例を示す模式図である。図中5は、光ディスク、磁気ディスク等の記録媒体であり、この記録媒体5には、初期構造物の挙動解析を行った結果に基づいて被参照状態を算出させるプログラムコード、被参照状態の状態量方程式に基づいて設計パラメータ値の変化に伴う状態変数値の変化度合いを示す設計感度係数を算出させるプログラムコード、算出された設計感度係数を用いて行った設計変更の後における被参照状態を近似させるプログラムコード、及び近似された被参照状態での状態変数値及び制約量値と前記制約条件との比較に基づいて設計の良否を評価させるプログラムコードを含み、所定の評価がなされるまで前記設計感度係数の算出と前記被参照状態の近似とを繰り返し行わせるべく記述されたコンピュータプログラム50が記録してある。

0063

このような記録媒体5を、キーボード、マウス等の入力手段60、及びCRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等の表示手段61を備える汎用コンピュータ6のディスクドライブ62に装着して読込みのための処理を行う。これにより記録媒体5に記録されたコンピュータプログラム50がコンピュータ6にロードされ、該コンピュータ6により本発明方法を実施することが可能となる。なお、前記コンピュータプログラム50のコンピュータ6へのロードは、前記記録媒体5を介して行わせる外に、他のコンピュータとの間において、インターネット等のネットワークを介して行わせる等、適宜の手段により行わせてもよいことは言うまでもない。

発明の効果

0064

以上詳述した如く本発明に係る建築構造物の設計支援方法及び設計支援装置においては、初期構造物の挙動解析の結果に基づいて所定の載荷条件下での平衡状態を表す被参照状態を求め、この被参照状態を起点として、被参照状態の状態量方程式に基づいて設計感度係数を算出するステップと、算出された設計感度係数を用いて行った設計変更の後における被参照状態を近似するステップとを、近似された被参照状態における設計指標及び制約量値が所定の制約条件を良好に満たすまで繰り返すから、初期設計から最終設計までの設計変更を、膨大な計算量を必要とせずに、低コスト、短時間にて行わせることが可能となり、過去の実績に捉われず、多様な発想に基づく設計が可能となり、また種々の要望に応じた設計の変更に柔軟に対応することができる。

0065

また本発明に係るコンピュータプログラムにおいては、これを汎用のコンピュータにロードさせることにより本発明に係る建築構造物の設計支援方法を実施することが可能であり、建築構造物の設計を、過去の実績に捉われることなく、自由で柔軟な発想下にて行わせることができるようになり、更に本発明に係る記録媒体においては、前述したコンピュータプログラムを簡易な形態にて流通させて、本発明に係る建築構造物の設計支援方法の利用を簡便に行わせることが可能となる等、本発明は優れた効果を奏する。

図面の簡単な説明

0066

図1本発明方法の実施に用いる設計支援装置の構成を示すブロック図である。
図2除荷現象の説明図である。
図3設計支援装置の動作内容を示すフローチャートである。
図4構成要素の状態変数値の説明図である。
図5設計変更後の被参照状態の近似手順を示すフローチャートである。
図6矛盾要素の選別方法の説明図である。
図7近似状態量方程式の記述に用いるステップ関数の一例を示す図である。
図8本発明の他の実施の形態の一例を示す模式図である。

--

0067

1設計支援装置
2挙動解析装置
3 柱
4 梁
5記録媒体
10入力操作部
11 表示部
50 コンピュータプログラム

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 富士通株式会社の「 幾何公差寸法公差変換プログラム及び情報処理装置」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】幾何公差方式を用いて作成された図面データに対する利用者の解釈のばらつきを抑制する。【解決手段】処理部12は、幾何公差方式により物品15の形状または構造が定義された図面データ11aから、物品15... 詳細

  • 株式会社明電舎の「 変圧器コスト予測装置」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】変圧器のコスト予測を工数が少なく精度良く算出することができる変圧器コスト予測装置を提供する。【解決手段】過去に製造された変圧器の仕様、設計値、コストを含む過去データベース4を学習データとして予... 詳細

  • 株式会社日立製作所の「 設計支援装置、設計支援プログラムおよび設計支援方法」が 公開されました。( 2020/09/24)

    【課題】設計上のガイドラインとして守るべき判定ルールから、設計データの検証手順を生成することにより、設計を支援する技術を提供する【解決手段】本発明の代表的な設計支援装置の一つは、設計上のガイドラインと... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ