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技術 ガスバリアーフィルム

出願人 三井化学株式会社
発明者 小松弘幸原田武
出願日 2000年4月28日 (20年7ヶ月経過) 出願番号 2000-134314
公開日 2001年11月6日 (19年1ヶ月経過) 公開番号 2001-310412
状態 拒絶査定
技術分野 積層体(2) 高分子組成物 プラスチック等の押出成形 生分解性ポリマー 高分子成形体の被覆
主要キーワード 窪みの数 携帯用カイロ ダイアモンド状炭素膜 反跳粒子 アルコール系ガス 直流バイアス値 樹脂含有塗布液 酸化反応性
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課題

ガスバリアー性薄膜ピンホールの原因となる基材フィルム表面の凹凸を低減することにより、気体透過性を低減させ、食品医薬品、電子部品機械部品金属粉末等の保存性を高めたガスバリアーフィルムを提供する。

解決手段

200μm×200μm以上の面積について測定された平均面粗さSRaが20nm以下である平滑表面を片面または両面に有する基材フィルムと、該基材フィルムの平滑表面に形成された無機化合物からなるガスバリアー層とからなることを特徴とするガスバリアーフィルム。基材フィルムの平滑表面に存在する100nm以上の高さの突起および/または100nm以上の深さの窪みが、2個/0.1mm2より少ないことが望ましい。

概要

背景

概要

ガスバリアー性薄膜ピンホールの原因となる基材フィルム表面の凹凸を低減することにより、気体透過性を低減させ、食品医薬品、電子部品機械部品金属粉末等の保存性を高めたガスバリアーフィルムを提供する。

200μm×200μm以上の面積について測定された平均面粗さSRaが20nm以下である平滑表面を片面または両面に有する基材フィルムと、該基材フィルムの平滑表面に形成された無機化合物からなるガスバリアー層とからなることを特徴とするガスバリアーフィルム。基材フィルムの平滑表面に存在する100nm以上の高さの突起および/または100nm以上の深さの窪みが、2個/0.1mm2より少ないことが望ましい。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
9件
牽制数
23件

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請求項1

200μm×200μm以上の面積について測定された平均面粗さSRaが20nm以下である平滑表面を片面または両面に有する基材フィルムと、該基材フィルムの平滑表面に形成された無機化合物からなるガスバリアー層とからなることを特徴とするガスバリアーフィルム

請求項2

基材フィルムの平滑表面に存在する100nm以上の高さの突起および/または100nm以上の深さの窪みが、2個/0.1mm2より少ないことを特徴とする請求項1に記載のガスバリアーフィルム。

請求項3

ガスバリアーフィルムが透明フィルムであることを特徴する請求項1または2のいずれかに記載のガスバリアーフィルム。

請求項4

基材フィルムがポリオレフィンフィルムポリアミドフィルムポリイミドフィルムおよびポリ乳酸フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリアーフィルム。

請求項5

基材フィルムが、2種類以上の高分子フィルムからなる多層構造を有するフィルムであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリアーフィルム。

請求項6

上記基材フィルム中に含まれる添加剤の総量が、0.5重量%以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガスバリアーフィルム。

請求項7

上記基材フィルムが、フィルムを構成する樹脂成分を溶融させ、シート状に成形したものを、直ちに金属ロール巻き付け急冷させて得られたものであり、成形温度をTb(℃)とし、金属ロール表面の温度をTr(℃)としたときに、TbとTrとが以下の関係式満足することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガスバリアーフィルム。Tr≦Tb−150 [℃]

請求項8

基材フィルムが、表面に、アクリル系樹脂ポリウレタン系樹脂ポリエステル系樹脂エチレンビニルアルコール樹脂ポリビニルアルコール系樹脂ポリビニルブチラール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む塗膜を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガスバリアーフィルム。

請求項9

無機化合物が炭素化合物酸素化合物窒素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のガスバリアーフィルム。

請求項10

無機化合物が炭素化合物であることを特徴とする請求項9に記載のガスバリアーフィルム。

請求項11

炭素化合物がダイヤモンド状炭素またはダイヤモンドであることを特徴とする請求項10に記載のガスバリアーフィルム。

請求項12

炭素化合物が、水素濃度が50原子%以下であるダイヤモンド状炭素であることを特徴とする請求項11に記載のガスバリアーフィルム。

請求項13

炭素化合物が、水素濃度が50原子%以下で、かつ、酸素濃度が10原子%以下のダイヤモンド状炭素であることを特徴とする請求項12に記載のガスバリアーフィルム。

請求項14

炭素化合物が、炭化ケイ素であることを特徴とする請求項10に記載のガスバリアーフィルム。

請求項15

無機化合物が酸素化合物であることを特徴とする請求項9に記載のガスバリアーフィルム。

請求項16

酸素化合物が酸化ケイ素または酸化アルミニウムであることを特徴とする請求項15に記載のガスバリアーフィルム。

請求項17

無機化合物が、窒素化合物であることを特徴とする請求項9に記載のガスバリアーフィルム。

請求項18

窒素化合物が、窒化ケイ素であることを特徴とする請求項17に記載のガスバリアーフィルム。

請求項19

無機化合物からなるガスバリアー層が、CVD法により形成された層、スパッタ法により形成された層、または蒸着法により形成された層であることを特徴とする請求項1〜18のいずれかに記載のガスバリアーフィルム。

技術分野

0001

本発明は、食品包装医薬品包装電子部品包装や保護膜、機械部品包装金属粉末包装などに利用されるガスバリアーフィルムに関する。このようなガスバリアーフィルムは、具体的に、食品包装用途では、レトルト食品などの包装用フィルムとして用いられる。また、医薬品包装用途では、ぶどう糖液、生理食塩水リンゲル、淡白液アミノ酸液血漿人工透析剤、脂肪剤等の輸液収納、保存する容器に用いられる。さらにまた、電子部品用途では、液晶ディスプレイエレクトロルミネッセンスなどの窓材太陽電池用基材などに用いられる。また、機械部品包装用途では、機械部品の錆の発生を防止する包装用フィルムとして用いられる。また、金属粉末の包装用途では、磁性材料金属粉携帯用カイロ鉄粉酸化防止用包装フィルムとして用いられる。

0002

従来、食品医薬品を長期的に保存するにはや瓶が使われていた。これは、金属やガラスガス遮断性に優れていることを利用したものである。

0003

ところで、ガラスは破損しやすい、重く輸送が困難である等の理由で、また、金属は内容物を見ることができない等の理由で、これらの保存容器の代わりにプラスチック製の保存容器が使用されるようになっている。

0004

しかしながら、プラスチック自体には気体透過性、特に酸素透過性水蒸気透過性炭酸ガス透過性があるため、ガスバリアー性の高いプラスチックを選択しても保存性については金属やガラスに比べて充分ではないという問題がある。

0005

そこで、プラスチックフィルムの片面または両面に金属やセラミックス薄膜蒸着などの手法により形成したガスバリアーフィルムが開発されている。たとえば、特公平5−55299号公報、特公平8−18404号公報には、融点の異なる2種のポリプロピレン層からなる積層フィルムを使用してフィルム自体の熱寸法安定性を向上させ、融点の高い方のポリプロピレン層の上にアルミニウム蒸着層を形成することで、ヒートシール時における蒸着層へのクラック発生を抑制したガスバリアーフィルムが提案されている。

0006

また、特開平10−237188号公報には、表面性を改良し、寸法変化の小さい無延伸ポリプロピレンフィルムを使用したガスバリアーフィルムが提案されている。具体的には、この特開平10−237188号公報は、120℃15分間加熱後の長手方向の寸法変化率の絶対値が2%以下であり、表面を原子間力顕微鏡で観察したときに100nm以上の高さの突起数が10個/250μm2以下であるポリオレフィン無延伸フィルムを用いて、該無延伸フィルムの表面に酸化アルミニウムなどの無機薄膜が形成されたガスバリアーフィルムが提案されている。

0007

また、金属蒸着膜、または金属酸化物蒸着膜を設ける代わりに、炭素蒸着膜を設けることも提案されている。たとえば、特開平9−272567号公報には、ポリエチレンフィルムポリプロピレンフィルムの表面に、硬質炭素コーティング膜を形成したガスバリアーフィルムが提案されている。

0008

また、本出願人は、特開平10−249986号公報および特開平11−070152号公報において、水素濃度が50原子%以下であり、かつ、酸素濃度が2〜20原子%ダイヤモンド状炭素膜を、プラスチックフィルムの表面に形成することによりガスバリアー性が改善されたフィルムを提案している。

0009

しかしながらこれらのガスバリアーフィルムでは、必ずしもガスバリアー性が充分ではなかった。なお、金属層無機酸化物層炭素層を蒸着やコーティングによって形成することによるガスバリアー性改善は、以下の考え方に基づいている。

0010

P1およびP2をそれぞれ、基材ガス透過率ガスバリアー膜のガス透過率とすると、フィルム全体のガス透過率Pは次式で表わされる。
t/P=t1/P1+t2/P2
ここで、t、t1、および、t2はそれぞれ、フィルム全体の厚さ、基材のみの厚さ、および、ガスバリアー膜の厚さである。また、t=t1+t2である。無機化合物のガス透過率は高分子に比べて非常に小さい(P2<<P1)ので、ある程度以上の膜厚があれば上式において、
t1/P1<<t2/P2
となりフィルム全体のガス透過度(P/t)が、ガスバリアー膜によって決まる。

0011

たとえば、ダイヤモンド状炭素膜中のガス拡散係数(<10-18cm2/秒)と高分子中のガスの拡散係数(10-6〜10-9cm2/秒)との比較から、ダイヤモンド状炭素膜のガス透過率はガスバリアー性樹脂ではない一般の高分子の10億分の1以下になることが期待できる。(ガス透過率Pとガスの拡散係数Dの間には、P=D・Sの関係がある。ここで、Sはガスの溶解度である。高分子中へのガスの溶解度と無機化合物へのガスの溶解度を比較すると一般的に前者の方が大きい。ここでは、吸着物質吸蔵合金酸化反応性の高い物質との反応は考えてはいない。)
200nm以下の薄膜を形成する場合でも、0.1cc/m2・24hr・atm以下の酸素透過度は十分可能である。しかしながら、これまでこのようなガスバリアー性フィルムを得ることができなかった。これは、ガスバリアー性薄膜に何らかのピンホールが生じていると、本発明者らは推定した。

0012

このような情況のもと、本発明者らは、優れた特性を有するガスバリアーフィルムについて鋭意検討した結果、無機化合物薄膜を形成するフィルム表面の平滑性をできるかぎり高くすれば、ガスバリアー性に優れたフィルムを得られることを見出した。表面平滑性が低いと、成膜時に突起部が影を作るため、ピンホールのような欠陥を生じ、ガスバリアー性が低下するおそれがあるためである。そして、さらに検討を加えた結果、200μm×200μm以上の面積について測定された平均面粗さSRaが20nm以下である平滑表面を有する基材フィルムを用いることによって、この基材フィルム表面に無機化合物薄膜を形成すれば、極めてガスバリアー性の高いフィルムが得られることを見出し本発明を完成するに至った。

0013

なお、ポリエステル系ガスバリアーフィルムでは、特定の表面平滑性を有するフィルム表面に酸化アルミニウムなどの蒸着層を設けたガスバリアー性フィルムが提案されている。たとえば、特開平11−320794号公報には、中心面平均粗さ(SRa)が0.1nm≦SRa≦80nmの範囲にあり、フィルム表面の山の数(SPc)が2個/0.1mm2≦SPc≦150個/0.1mm2の範囲にあり、SRa/SPc ≧ 0.23nm/個を満足する二軸配向ポリエステルフイルムの表面に蒸着層を設けてなるガスバリアーフィルムが記載されている。しかしながら、この特開平11−320794号公報のようなポリエステル系ガスバリアーフィルムでは、必ずしもヒートシール性が良くないため、包装材料として使用するためには、ヒートシール層ラミネートする必要が生じる場合がある。また、無機化合物層を保護する目的でラミネーションを行う場合もある。ポリエステル系フィルムや表面に形成された無機化合物層はヒートシール層との熱接着性がよくないので溶融押出ラミのような方法では剥離しやすいという欠点がある。このため、酢酸エチル等の有機溶媒イソシアネート系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリイミド系等の接着剤を分散した溶液等を用いたドライラミが主に行われている。しかしながら、上記のような技術では有機溶媒がフィルム中に残り使用中または保存中に内容液移行するため、輸液バッグ等の直接人体投与する薬液を保存する包装形態には使うことができない。また食品包装においては内容物の味覚を損なうおそれがある。

0014

本発明は、ガスバリアー性薄膜のピンホールの原因となる基材フィルム表面の凹凸を低減することにより、気体透過性を低減させ、食品、医薬品、電子部品、機械部品、金属粉末等の保存性を高めたガスバリアーフィルムを提供することを目的としている。

発明の概要

0015

本発明に係るガスバリアーフィルムは、200μm×200μm以上の面積について測定された平均面粗さSRaが20nm以下である平滑表面を片面または両面に有する基材フィルムと、該基材フィルムの平滑表面に形成された無機化合物からなるガスバリアー層とからなることを特徴としている。

0016

前記基材フィルムの平滑表面に存在する100nm以上の高さの突起および/または100nm以上の深さの窪みは、2個/0.1mm2より少ないことが好ましい。

0017

ガスバリアーフィルムは、必ずしも透明である必要はないが、輸液バッグ等のように内容物の量や色を確認したい包装容器や液晶ディスプレイや太陽電池の保護等に用いる場合には、透明なフィルムであることが好ましい。ここで透明なフィルムとは、光線透過率75%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。

0018

ガスバリアーフィルムを構成する基材フィルムは、ポリオレフィンフィルムポリアミドフィルムポリイミドフィルムポリ乳酸フィルムからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。

0019

また基材フィルムとして、2種類以上の高分子フィルムからなる多層構造を有するフィルムも好適である。このような基材フィルムでは、フィルム中に含まれる添加剤の総量が、0.5重量%以下であることが好ましい。またこのような基材フィルムは、フィルムを構成する樹脂成分を溶融させ、シート状に成形したものを、直ちに金属ロール巻き付け急冷させて得られたものであって、このとき成形条件が、成形温度をTb(℃)とし、金属ロール表面の温度をTr(℃)としたときに、TbとTrとが以下の関係式を満足しているものが好ましい。

0020

Tr≦Tb−150 [℃]
さらに基材フィルムとしては、表面に、アクリル系樹脂ポリウレタン系樹脂ポリエステル系樹脂エチレンビニルアルコール樹脂ポリビニルアルコール系樹脂ポリビニルブチラール樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む塗膜を有するものを使用することもできる。

0021

無機化合物は、炭素化合物酸素化合物窒素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるものが好ましい。無機化合物は、炭素化合物が好適であり、炭素化合物としては、ダイヤモンド状炭素またはダイヤモンドが好ましい。

0022

また、炭素化合物が、水素濃度が50原子%以下であるダイヤモンド状炭素、特に、水素濃度が50原子%以下であり、かつ、酸素濃度が10原子%以下のダイヤモンド状炭素が好ましい。

0023

また、炭素化合物としては、炭化ケイ素も好適である。さらに、無機化合物として、酸素化合物も好ましく、酸素化合物としては、酸化ケイ素または酸化アルミニウムが好ましい。

0024

また無機化合物としては、窒素化合物が好ましく、窒素化合物としては、窒化ケイ素が望ましい。このような無機化合物からなるガスバリアー層は、CVD法スパッタ法または蒸着法により形成された層が好ましい。

0025

以下、本発明に係るガスバリアーフィルムについて具体的に説明する。本発明に係るガスバリアーフィルムは、特定の平均面粗さの平滑表面を片面または両面に有する基材フィルムと、該基材フィルムの平滑表面に形成された無機化合物からなるガスバリアー層とからなることを特徴としている。

0026

[基材フィルム]本発明で使用される基材フィルムは、200μm×200μm以上の面積について測定された平均面粗さSRaが20nm以下である平滑表面を、片面または両面に有している。

0027

平均粗さの数値は、測定する方法や範囲によって変化する。測定面積が狭いと数の少ない突起を測定しないため、粗さを小さく見積もってしまう恐れがある。また、中心線平均粗さのようにある長さの直線範囲で粗さを測定する場合でも、大きな突起部が測定された場合には粗さを大きく見積もることがあり、際立った突起部がない場合には、粗さを小さく見積もることがある。また、最大高低差のような量では広い面積で測定した場合に、粗さを大きく見積もり過ぎるので好ましくない場合がある。したがって、特定の範囲の面積以上で測定した平均面粗さを用いることが好ましい。平均面粗さとは、JIS B0601で定義されている中心線平均粗さRaを測定面に適用できるように拡張したものある。すなわち、SRaは、「基準面から指定面までの偏差の絶対値を平均した値」と表現することができ、次式で与えられる。

0028

SRa=(1/S0)∫∫|F(X,Y)−Z0|dXdY
(式中、S0は測定した面積を示し、F(X,Y)は、位置(X,Y)における測定面の高さを示し、Z0は基準面の高さを示す。

0029

本発明で使用される基材フィルムにおいては、少なくとも200μm×200μmの範囲で測定した平均面粗さが、20nm以下であることが好ましく、さらに好ましくは15nm以下が望ましく、特に10nm以下であるような基材フィルムを用いることが望ましい。なお、このような表面粗さは、通常触針顕微鏡を用いて測定する。

0030

また、本発明で使用される基材フィルムは、表面に存在する高さ100nm以上の突起が、2個/0.1mm2より少ないことが好ましい。表面の突起および/または100nm以上の深さの窪みの数が、2個/0.1mm2より少ないことが好ましい(突起および窪みが双方とも存在する場合、合計の個数をいう)。表面の突起は、0.01以上の勾配(突起の高さ/突起のすそ野からピークまでの水平距離)を有するものをいう。また表面の窪みは、0.01以上の勾配(窪みの深さ/窪みのすそ野から最深部までの水平距離)を有するものをいう。このような突起および窪みはガスバリアーフィルムのガスバリアー性を劣化させる原因となることがある。

0031

突起および/または窪み数の測定は、通常、原子間力顕微鏡(AFM)で行われる。以上のような特性を有する基材フィルムは表面が極めて平滑である。本発明に係る基材フィルムでは、このような平滑表面が片面に形成されていてもよく、また両面に形成されていてもよい。この基材フィルムの平滑表面に、後述するガスバリアー層(無機化合物層)が形成される。

0032

本発明で使用される基材フィルムは、必ずしも透明である必要はないが、輸液バッグ等のように内容物の量や色を確認したい包装容器や液晶ディスプレイや太陽電池の保護等に用いる場合には、透明な基材フィルムであることが好ましい。ここで透明なフィルムとは、光線透過率75%以上であることが好ましく、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。このような透明フィルムを基材フィルムとして用いることにより、ガスバリアー膜形成後に光線透過率75%以上のガスバリアーフィルムを提供することができる。

0033

上記の基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステルフィルムポリエチレンポリプロピレンポリブテン等、シクロペンテンシクロへプテン環状オレフィン(共)重合体などからなるポリオレフィンフィルム;ポリスチレンフィルム;ポリアミドフィルム;ポリカーボネートフィルムポリアクリロニトリルフィルム等が、使用目的に応じて適宜選択可能である。

0034

ポリエステルフィルムは耐熱性が良好であり、ガスバリアー性も比較的良好である。ポリイミドフィルムは耐熱性が高いので、より耐熱性が要求される用途で好適に使用することができる。

0035

また耐衝撃性や柔軟性が必要とされる用途に対しては、ポリアミドフィルムが好適に使用される。ポリ乳酸フィルムは、使用後土壌中に埋設することにより分解する生分解性能有しているので、廃棄物処理の観点で好適である。

0036

また、本発明では、ポリオレフィンフィルムのように、上記フィルム基材に比べてガスバリアー性が充分ではない基材であっても、ガスバリアーフィルム用の基材フィルムとして使用することができる。

0037

本発明では、基材フィルムとしては、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、ポリ乳酸からなる群より選ばれる少なくとも1種からなるフィルムが好ましい。

0038

また、基材フィルムは、上記した2種以上の高分子フィルムが積層された多層構造を有するフィルムであってもよい。高分子フィルムとしては、上記基材フィルムとして例示してものが挙げられる。積層フィルムの好ましい2種以上の組み合わせとしては、高融点のポリプロピレン/低融点のポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリエチレン、環状オレフィン(共)重合体/ポリプロピレン、環状オレフィン(共)重合体/ポリエチレン等が挙げられる。

0039

本発明で用いられる基材フィルムを構成する重合体成分メルトフローレートMFR)は比較的大きいことが望ましい。これは後述するように基材フィルム中に含まれる添加剤を少なくしているため、低い温度で成膜する必要があるためである。このため、基材フィルムに用いられる重合体は融点が低く、密度の小さいものが好ましい。

0040

たとえば、ポリプロピレンを使用する場合には、MFR(ASTMD1238 、230℃、2.16kg)は、3〜40g/10分の範囲にあるものが好ましい。またポリプロピレンの密度は、0.900〜0.920g/cm3、好ましくは0.910〜0.920g/cm3の範囲にあることが望ましい。さらにポリプロピレンの融点は、140〜170℃、好ましくは145〜165℃の範囲にあることが望ましい。

0041

また、ポリエチレンを使用する場合は低温製膜可能であるので、MFRの値は制限されるものではないが、作製されるフィルムの耐熱性を考慮して、MFR(ASTMD1238 、230℃、2.16kg)は、0.5〜5g/10分の範囲にあることが好ましい。またポリエチレンの密度は、0.910〜0.950g/cm3、好ましくは0.910〜0.940g/cm3の範囲にあることが望ましい。さらにポリエチレンの融点は、100〜130℃、好ましくは110〜130℃の範囲にあることが望ましい。

0042

本発明に係るガスバリアーフィルムが、ヒートシールするような袋状の容器の場合、ポリオレフィンフィルムが好ましい。なお、ガスバリアーフィルムを袋状の容器に使用する場合、フィルムの接着にはヒートシールを用いる場合が多い。このためポリエステルやポリアミドなどの基材フィルムに無機化合物からなるガスバリアー層を形成した場合では、シーラー層としてポリエチレンやポリプロピレンをラミネーションすることになる。したがって、はじめからポリエチレンやポリプロピレンのポリオレフィンフィルムを使用すると他の樹脂とラミネーションすることなく、直接、ガスバリアー層を形成することができる。

0043

またヒートシール用途では、ポリオレフィン層と他の層とから構成された積層フィルムを使用することもできる。他の層は、特に制限されるものではないが、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ乳酸が好ましい。

0044

また、本発明に係るガスバリアーフィルムがヒートシールを要しない用途に使用される場合、ポリアミド、ポリイミド、ポリ乳酸からなる群から選ばれる少なくとも1種からなるフィルムが好ましい。これらは、いずれも耐熱性に優れている。

0045

基材フィルム中には、含まれている添加剤の総量を少なくすることが望ましく、総量で0.5重量%以下、好ましくは0.2重量%以下であることが望ましい。添加剤量が前記範囲より多いと表面にブリードアウトする量が多くなり、表面の平滑性が阻害されることがある。

0046

このような基材フィルムに含まれていてもよい添加剤としては、ブロッキング防止剤熱安定剤酸化防止剤塩素捕獲剤等が挙げられる。ブロッキング防止剤としては、液体または固体パラフィン合成ワックスポリエチレンワックス天然等のワックス類シリコーン脂肪酸アマイド等の有機系ブロッキング防止剤およびタルク滑石)、珪藻土カオリン陶土)、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン酸化マグネシウム酸化亜鉛炭酸カルシウム炭酸マグネシウム硫酸カルシウム硫酸バリウムゼオライト等の無機系ブロッキング防止剤が挙げられる。これらは、混合して使用してもよい。このようなブロッキング防止剤は、球形粒子状のものが好ましく、粒径は1〜6μmの範囲にあることが望ましい。

0047

熱安定剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)などが挙げられる。酸化防止剤としては、テトラキス−{メチレン−(3,5-ジ−3−ブチル−4−ハイドロシンナメート)}ブタン(“Irganox1010”)などが挙げられる。基材フィルム中に含まれている酸化防止剤の量は、0.1重量%以下であることが望ましい。

0048

塩素捕獲剤としては、ステアリン酸カルシウムなどが挙げられる。これらの添加剤の添加量は、いずれも0.1重量%以下にすることが好ましい。

0049

ブロッキング防止剤は特に表面を荒らすので、添加量を極力少なくする必要がある。具体的には0.01重量%以下にすることが好ましい。本発明で使用される基材フィルムは、以下の方法によって製造されたものが望ましい。

0050

具体的には、押出ホッパー窒素雰囲気にした押出機に、フィルムを構成する樹脂成分と必要に応じて添加剤とを供給して、フィルムを構成する樹脂成分を溶融させ、シート状に成形したものを、直ちに金属ロールを巻き付けて急冷させる。

0051

このとき、成形温度をTb(℃)とし、金属ロール表面の温度をTr(℃)としたときに、TbとTrとが以下の関係式を満足することが好ましい。
Tr≦Tb−150 [℃]
たとえば、フィルムを構成する樹脂成分がポリオレフィンの場合、樹脂成分を溶融混合する温度は、180〜250℃の範囲にあることが望ましい。溶融混合した樹脂は、濾過フィルター濾過してもよい。成形は、通常T−ダイを用いて行われる。このときの成形温度は、180℃〜250℃の範囲にあることが好ましい。金属ロール表面の温度0〜35℃の温度にあることが望ましい。このような方法によれば、上記したような平滑表面を有するポリオレフィン系無延伸フィルムが作製される。

0052

特に、添加剤量を少なくして、かつフィルムを急冷する上記方法で得られた基材フィルムは、極めて表面平滑性に優れている。このような理由については明確ではないものの、添加剤の少ない条件で得られたフィルムを急冷すると、フィルム内での樹脂成分の結晶化が抑制され、これにより表面の平滑性が維持されるものと考えられる。

0053

このような基材フィルムを作製する際に、ロール表面の表面は鏡面にすることが望ましい。しかしながら、あまりに表面平滑性がよすぎる場合には、フィルムがロールに貼りつく場合があり、逆にロールの表面を荒らす方が好ましい場合がある。

0054

基材フィルムがポリオレフィン系フィルムの場合、耐熱性やヤング率を向上させるため延伸を行ってもよい。基材フィルムを作製する際には、酸素存在下での成膜すると、基材フィルムを構成する重合体成分の一部が酸化分解し、低分子量化合物を生成し、フィルム表面に付着することがある。また酸素存在下での成膜すると、添加剤が、ブリードアウトしやすくフィルム表面に付着しやすい。しかも付着物は、蒸着時の熱によって揮発ガスとなって、ガスバリアー層形成に影響を与えることもある。このため、無酸素状態で成膜することが好ましい。

0055

また、本発明では基材フィルムとして、たとえば、ブロッキング防止剤を0.01〜3.0重量%の範囲で添加された市販のフィルムを用いることができる。このようなフィルムの場合、フィルム表面に樹脂含有塗布液をコーティングすることにより表面の平滑性を改善することができる。

0056

使用可能な市販のフィルムとしては特に制限されるものではなく、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリ乳酸などからなるフィルムが使用される。

0057

コーティングに使用される樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられ、これらは、単独または2種以上合わせて用いることができる。なお、塗布する樹脂は必ずしもガスバリアー性に優れる樹脂である必要はない。

0058

塗布液をフィルムにコーティングする方法としては、公知のコーティング法、たとえば、グラビヤロール法、インバースロール法リバースロール法、エアナイフコート法メタリングバーコート法、スピンコート法を採用することができる。

0059

形成される塗膜の厚さは、50nm〜5μmが好ましい。塗布液をコーティングする際には、100nm以上、好ましくは50nm以上の高さを持つ突起および/または窪みが少なくなるようにフィルム表面を覆い隠す必要がある。突起とは、前記したように勾配(突起のピーク高さ/突起のすそ野からピークまでの水平距離)が0.01(角度にして0.6度)以上のものである。また表面の窪みとは、0.01以上の勾配(窪みの深さ/窪みのすそ野から最深部までの水平距離)を有するものをいう。これより勾配が小さいものは、表面の平滑性の問題にならない。

0060

特に、100nmの高さの突起および/または窪みが2個/0.1mm2以下になるようにフィルム表面をコーティングすることが好ましい。以上のような基材フィルムは、延伸フィルムであっても未延伸フィルムであってもよい。基材フィルムの厚さは0.01〜1mmの範囲にあることが望ましい。

0061

上記基材フィルム表面と後述する無機化合物膜との密着性を高めるために、必要に応じて、該基材表面を脱脂脱水するための洗浄等の清浄化処理、基材表面に真空容器内でHe等の不活性ガス酸素ガス等の活性ガスによるプラズマ処理などの公知の処理を行ってもよい。ただし、表面平滑性を悪くしないことが重要である。

0062

表面の凹凸と同様に埃もピンホールの原因になるおそれがある。このため、フィルムの調製はクリーンな環境で行なうことが好ましい。
[ガスバリアー層]本発明に係るガスバリアーフィルムでは、このような基材フィルムの平滑表面に、無機化合物からなるガスバリアー層が形成されている。

0063

ガスバリアー層として使用される無機化合物とは、炭素化合物、または、酸素化合物、または、窒素化合物などである。炭素化合物としては、ダイヤモンド状炭素、ダイヤモンド、炭化ケイ素や他の金属炭化物が挙げられる。また、酸素化合物としては、酸化ケイ素、酸化アルミニウムなどの他、他の金属の酸化物が挙げられる。また、窒素化合物としては、窒化ケイ素や他の金属窒化物が挙げられる。

0064

これらの無機化合物からなるガスバリアー層は、CVD法、スパッタ法や蒸着法などの物理蒸着法を用いて形成することができる。これらの無機化合物のうち、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素が、原料の価格や調達の容易さの点で好適に使用される。

0065

また、ダイヤモンド状炭素からなるガスバリアー層は、低温で形成することができ、得られた膜が柔軟性に優れ、しかも透明なガスバリアーフィルムを得ることができるので特に好ましく用いられる。

0066

ダイヤモンド状炭素とは、非晶質のダイヤモンドライクカーボンであり、ダイヤモンド、グラファイトポリマーの各成分を含んでいる。このダイヤモンド状炭素からなるガスバリアー層は、これら成分の混合割合性質が異なり、高い硬度を有するダイヤモンド状炭素膜であっても、必ずしも、水蒸気や酸素等のガスバリアー層として機能するわけではない。水蒸気や酸素等のバリアー層として機能するダイヤモンド状炭素膜には、水素が50原子%以下の濃度で含まれていることが好ましく、より好ましくは45原子%以下、さらに好ましくは40原子%以下である。また、酸素は、20原子%以下の濃度でダイヤモンド状炭素膜に含まれていることが好ましく、より好ましくは15原子%以下、さらに好ましくは10原子%以下である。(残りは炭素である)
このようなダイヤモンド状炭素膜を、上記基材フィルム表面に成膜する際には、原料ガスを用いたイオンプレーティング法および固体の炭素源を用いたイオンビームスパッタリング法物理的蒸着法によって、形成することができる。

0067

これらの方法では、成膜装置内プラズマを発生させて、気体イオン化または励起するのであるが、この方法としては、気体を、たとえば直流電圧印加してプラズマ分解する方法、高周波を印加してプラズマ分解する方法、マイクロ波放電によってプラズマ分解する方法、電子サイクロトロン共鳴によってプラズマ分解する方法、および熱フィラメントによる加熱によって熱分解する方法等が挙げられる。

0068

ただし、基材フィルムに直流電圧を印加する方法を採用した場合、電極表面に載置される基材フィルム自体絶縁物であるため、電極間電圧が印加されず、成膜装置内でプラズマが発生しないため、この方法は必ずしも好ましくない。また、熱フィラメント法を用いる場合には、フィラメントを500℃以上と高温にしなければならないため、上記フィルムの耐熱性を考慮すると好ましくない場合がある。

0069

一方、マイクロ波プラズマ法や電子サイクロトロン共鳴によってプラズマ分解する方法は、成膜速度が大きく、成膜温度を低くすることができる。また、大面積のガスバリアーフィルムに成膜する場合においては、高周波プラズマ法を用いるのが好ましい。

0070

このダイヤモンド状炭素膜の薄膜を形成するための原料ガスは、炭素と水素とを含有するものである。たとえば、メタンエタンプロパン、ブタン、ペンタンヘキサン等のアルカンガス類エチレンプロピレンブテンペンテン等のアルケン系ガス類、ペンタジエンブタジエン等のアルカジエン系ガス類;アセチレンメチルアセチレン等のアルキン系ガス類;ベンゼントルエンキシレンインデンナフタレンフェナントレン等の芳香族炭化水素系ガス類;シクロプロパンシクロヘキサン等のシクロアルカン系ガス類;メタノールエタノール等のアルコール系ガス類、アセトンメチルエチルケトン等のケトン系ガス類;メタナールエタナール等のアルデヒド系ガス類等が挙げられる。上記ガスは、単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。

0071

他の原料ガスとしては、上記ガスと水素ガスとの混合ガス、上記ガスと、一酸化炭素ガス二酸化炭素ガス等の酸素含有ガスとの混合ガス、水素ガスと、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス等の酸素含有ガスとの混合ガス、酸素ガスと、水蒸気と、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス等の酸素含有ガスとの混合ガスなどが挙げられる。

0072

さらに、他の原料ガスとしては、上記原料ガスと希ガスとの混合ガスが挙げられる。たとえば、ヘリウムアルゴンネオンキセノン等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。

0073

これら混合ガスにおける水素ガス、酸素ガス(酸素含有ガス)、希ガスの混合量は、使用する成膜装置の種類、混合ガスの種類や成膜圧力等により異なる。具体的には、成膜されたダイヤモンド状炭素膜に含まれる水素濃度が50原子%、好ましくは45原子%以下、より好ましくは40原子%以下となり、酸素原子が20原子%以下、好ましくは15原子%以下、より好ましくは10原子%以下となるように調整するのが好ましい。

0074

また、イオンビームスパッタリング法によりダイヤモンド状炭素膜を形成する際に用いられる炭素源としては、黒鉛、ダイヤモンド等の炭素同素体の固体が挙げられる。炭素源は、成膜装置内の所定の位置に設置して使用される。成膜装置内のガスとしては、希ガス、水素ガス、酸素含有ガスなどを用いることができるが、酸素源としては、成膜装置に残存する微量のO2またはH2Oで十分であり、その濃度はバックグラウンドの圧力によって調整できる。

0075

以上のように形成されたダイヤモンド状炭素膜は、ラマン分光法によって確認することができる。また、この膜の水素原子濃度は、弾性反跳粒子検出法ERDA)、SIMS(二次イオン質量分析法)により確認することができる。

0076

上記ダイヤモンド状炭素膜の膜厚は、必要に応じて決定されるが、膜厚が厚くなると、基材フィルムとの密着性が悪くなったり、膜の内部応力により形成した形成したダイヤモンド状炭素膜が剥離したり、フィルム自体の透明性が悪くなりことあるので、500nm以下が好ましく、より好ましくは100nm以下、さらに好ましくは50nm以下が望ましい。

0077

上記基材フィルム表面とガスバリアー層との密着性を高めるために、必要に応じて、該基材表面を脱脂、脱水するための洗浄等の清浄化処理、基材表面に真空容器内でHe等の不活性ガスや酸素ガス等の活性ガスによるプラズマ処理などの公知の処理を行ってもよい。しかし、表面平滑性を悪くしないことが重要である。なお、前記したように、表面の凹凸と同様に埃もピンホールの原因となるおそれがあるので真空容器内はクリーンな状態に保つことが望ましい。
<ダイヤモンド状炭素膜の生成方法>以下、図面を参照しながら本発明に使用される装置を説明する。図1は、本発明のダイヤモンド状炭素膜を生成する装置の1例を示す模式図である。図1において、1は真空容器である。2はマグネット、3はターゲットの付いた電極である。4はシャッター機構、5はガス導入管、6は高周波電源、7は自動整合器、8はホルダーに取り付けられた基材フィルムである。

0078

上記基材フィルムの温度制御は、液体あるいは気体の循環方式等の方法によって行われるが、少なくとも基材フィルムのガラス転移点以下に保持されることが好ましく、このため熱容量の大きい液体の循環方式が好ましい。この際、循環させる液体としては、所定の温度に加温あるいは冷却された液体が挙げられ、循環される液体としては、水、エチレングリコール不凍液)、アルコール類、さらに低温化する場合には、液体窒素液体ヘリウム等が好適に使用される。

0079

プラズマ密度を向上し成膜速度を向上させるためマグネットを用いることが好ましい。図1においてはターゲットの付いた電極の後ろ永久磁石を設置してある。ターゲットとしてはグラファイト、ステンレス、Si等が用いられる。

0080

使用できる原料ガスの組成範囲を広げるたり、膜の質を良くするために基材に直流バイアスを印加するのが好ましく、直流バイアス値としては−500〜100Vが好ましく、より好ましくは−400〜10Vである。

0081

まず、真空容器1内の冷却板上にホルダーに取り付けた基材フィルムを設置する。冷却板の材質としては、ステンレス、Niめっきを施した無酸素銅アルミ等が用いられる。冷却板の表面は冷却効率の点からは鏡面が好ましい。しかしながら、フィルムが冷却板に貼り付かないように適度に荒らす方が好ましい場合がある。次に真空容器内を高真空とする。このときの真空度は、他の不純物ガス残留による成膜への影響をなくすために1×10-2Pa以下であることが好ましい。

0082

次いで、ガス導入管から原料ガスを導入して所定の圧力に保つ。このときの圧力は0.1Pa〜100Paの範囲にあることが好ましい。
[ガスバリアーフィルム]本発明に係るガスバリアーフィルムの厚さは、約1μmないし約200μm、好ましくは約5μmないし約100μm、より好ましくは約10μmないし約50μmが好ましい。

0083

ガスバリアーフィルムを透明フィルムとして用いる場合には、光線透過率は75%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。また、遮光性フィルムとして用いる場合には、光線透過率は20%以下、好ましくは10%以下、さらに好ましくは1%以下である。この場合の光線透過率は低ければ低い程よい。

0084

また、屈折率の異なる2種類以上の樹脂を多数積層させた基材を用いることにより、特定の波長の光のみを透過または反射するガスバリアーフィルムとすることができる。

0085

本発明のガスバリアーフィルムは、マイクロ波を透過させるので電子レンジで使用することができる。また、上記ガスバリアーフィルムの上記ガスバリアー層として、ダイヤモンド状炭素膜や酸化ケイ素、窒化ケイ素膜を用いると、これらの膜は透明であるため、透明フィルムの透明性や遮光性重合体フィルムの光沢を損なうことなく、ガスバリアー性を向上させることができる。

0086

酸素透過度は、25cc/(m2・日)以下、好ましくは20cc/(m2・日)以下、より好ましくは10cc/(m2・日)以下である。また、透湿度は、10g/(m2・日)以下、好ましくは5g/(m2・日)以下、より好ましくは1g/(m2・日)以下である。これらのガスの透過度も低ければ低いほどよい。

0087

また、本発明では、ガスバリアーフィルムの酸素透過度(D1)と、使用した基材フィルムの酸素透過度(D2)との比(D2/D1)が、200以上、好ましくは500以上であることが望ましい。このD2/D1が高いものは、ガスバリアー層を形成したことによってガスバリアー性が高く改善されていることを示す。

0088

本発明のガスバリアーフィルムは、紫外光可視光赤外光を透過させにくい上、マイクロ波を透過させるので電子レンジで使用することができる。また、上記ガスバリアーフィルムの上記ガスバリアー層として、ダイヤモンド状炭素膜を用いると、このダイヤモンド状炭素膜は透明であるため、遮光性重合体フィルムが有する光沢を損なうことなく、ガスバリアー性を向上させることができる。

0089

以上、説明したように、本発明に係るガスバリアーフィルムでは、極めて平滑な表面を有する基材フィルム表面に、ガスバリアー層が形成されている。このような平滑表面は、ガスバリアー層を形成する際にピンホールなどの欠陥が生じることがなくため、極めてガスバリアー性が高いフィルムが得られる、このため、本発明に係るガスバリアーフィルムは、内容物の長期保存安定性に優れ、かつ各種包装容器の保護フィルムとして好適である。

発明の効果

0090

本発明のガスバリアーフィルムはガスバリアー性に優れるので、このフィルムを用いて作製された包装容器は、内容物長期保存安定性に優れる。また、軽量であるため、輸送性にも優れる。

0091

このような、本発明に係るガスバリアーフィルムは、食品包装用途では、レトルト食品などの包装用フィルムとして好適に使用され、また、医薬品包装用途では、ぶどう糖液、生理食塩水、リンゲル、淡白液、アミノ酸液、血漿、人工透析剤、脂肪剤等の輸液を収納、保存する容器に好適に使用される。

0092

また、電子部品用途では、液晶ディスプレイやエレクトロルミネッセンスなどの窓材、太陽電池用保護フィルムなどに用いられる。さらにまた、機械部品包装用途では、機械部品の錆の発生を防止する包装用フィルムとして用いられる。また、金属粉末の包装用途では、磁性材料用金属粉や携帯用カイロ用鉄粉の酸化防止用包装フィルムとして使用できる。

0093

以下、本発明について実施例に基づき説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。

0094

密度:0.910g/cm3、MFR(ASTMD1238、230℃、荷重2.16kg)19g/10min、融点148℃のポリプロピレン樹脂を使用した。熱安定剤としては、2,6−ジ−第3−ブチル−4−メチルフェノール(“BHT”)を0.1重量%添加した。また、酸化防止剤としては、テトラキス−[メチレン−(3,5−ジ−3−ブチル−4−ハイドロキシフェニルプロピオネート]メタン(“Irganox1010”)を0.05重量%添加した。塩素捕獲剤として、ステアリン酸Caを0.05重量%添加した。ブロッキング防止剤は添加しなかった。Tダイを装着した溶融押出成形機を用いて230℃でフィルムを成膜した。冷却ロールは、10℃に設定した。

0095

このようにして得られた厚さ約40μmの未延伸ポリプロピレンフィルム基材ホルダーに取り付けた後、図1に示す真空容器1内のステンレス製冷却板7上に設置し、真空容器内を2×10-4Paに減圧した。

0096

次いで、ガスを導入管8より導入する。C2H2(高純度アセチレン:99.999%)を85sccmに設定する。反応室の圧力を1Paにした後、周波数13.56MHz、50Wの高周波電力を印加することによって、10秒間成膜を行った。得られたダイヤモンド状炭素膜の膜厚は約40nmであった。

0097

得られた膜をラマン分光法で評価した結果、ダイヤモンド状炭素膜であることが確認された。また、膜の組成ラザフォード前方および後方散乱を用いて決定すると、ダイヤモンド状炭素膜には、水素が47原子%、酸素が1原子%含まれていた。

0098

[ダイヤモンド状炭素膜の評価]得られたガスバリアーフィルムおよび使用した基材フィルムについて、以下に示す評価を行った。

0099

その結果を表1に示す。
(1)酸素透過度
ヤナコ社製ガス透過率測定装置を使用して、40℃の酸素雰囲気で行った。
(2)表面粗さ
セイコーインスツルメント株式会社製の触針型顕微鏡Nanopics1000を用いて、200μm×200μmの測定範囲表面形状の測定を行い、平均面粗さを計算した。
(3)全光線透過率
全光線透過率の評価は、東京電色技術センター全自動ヘーズメータ(TC−H111DPK)を用いて測定した。光源には、ハロゲンランプ(条件C光)を用いて行った。

0100

密度0.918g/cm3、MFR(ASTMD1238、190℃、荷重2.16kg)1.0g/10min、融点117℃の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を使用した。この樹脂には添加剤を添加しなかった。Tダイを装着した溶融押出成形機を用いて230℃の温度でフィルムを成膜した。冷却ロールは、10℃に設定した。得られた厚さ50μmのポリエチレンフィルムに、実施例1と同様の方法でダイヤモンド状炭素膜を成膜した。

0101

得られたガスバリアーフィルムおよび使用した基材フィルムについて、実施例1と同様に、酸素透過度、表面粗さおよび全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。

0102

厚さ25μのポリエステルフィルム(東レ株式会社製「ルミラー高透明タイプT60」をSiウェハー上に貼り付けた。ポリビニルブチラール樹脂(積水化学株式会社製エスレックBL−1)を2-メトキシエタノールに溶解し、スピンコーターを用いて上記のフィルムに塗布した。クリーンオーブンで100℃、30分乾燥させた後の膜厚をエリプソメーターで測定した結果、約1.6μmであった。ポリブチラール樹脂によりポリエステルフィルムの酸素透過度の減少がないことを確認した。ポリブチラール樹脂を塗布したポリエステルフィルムに、実施例1と同様の方法でダイヤモンド状炭素膜を成膜した。

0103

得られたガスバリアーフィルムおよび使用した基材フィルムについて、実施例1と同様に、酸素透過度、表面粗さおよび全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。

0104

実施例3と同様の方法でポリブチラール樹脂を塗布したポリエステルフィルムに実施例1と同様の成膜条件で、25秒間成膜した。ダイヤモンド状炭素膜の膜厚は約200nmである。

0105

得られたガスバリアーフィルムおよび使用した基材フィルムについて、実施例1と同様に、酸素透過度、表面粗さおよび全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。

0106

厚さ20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルム(東セロ株式会社製「OP−Z102」)に、実施例1と同様の方法でダイヤモンド状炭素膜を成膜した。

0107

得られたガスバリアーフィルムおよび使用した基材フィルムについて、実施例1と同様に、酸素透過度、表面粗さおよび全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。

0108

密度0.930g/cm3、MFR(ASTMD1238、190℃、荷重2.16kg)4.0g/10min、融点121℃の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂にアンチブロッキング剤としてシリカを0.5重量%含有させ、Tダイを装着した溶融押出成形機を用いてフィルムを作製した。このようにして得られた厚さ50μmのポリエチレンフィルムに、実施例1と同様の方法でダイアモンド状炭素膜を成膜した。

0109

得られたガスバリアーフィルムおよび使用した基材フィルムについて、実施例1と同様に、酸素透過度、表面粗さおよび全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。

0110

25μmポリエステルフィルム(東レ株式会社製「ルミラー高透明タイプT60」)に実施例1と同様の成膜条件で、10秒間成膜した。ダイヤモンド状炭素膜の膜厚は約40nmであった。

0111

得られたガスバリアーフィルムおよび使用した基材フィルムについて、実施例1と同様に、酸素透過度、表面粗さおよび全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。

0112

25μmポリエステルフィルム(東レ株式会社製「ルミラー高透明タイプT60」)に実施例1と同様の成膜条件で、10秒間成膜した。ダイヤモンド状炭素膜の膜厚は約200nmである。

0113

得られたガスバリアーフィルムおよび使用した基材フィルムについて、実施例1と同様に、酸素透過度、表面粗さおよび全光線透過率を測定した。結果を表1に示す。

0114

図面の簡単な説明

0115

図1図1はガスバリアー層を形成するための製膜装置の概略図を示す。

--

0116

1真空容器
2マグネット
ターゲット電極
4シャッター機構
5ガス導入管
6高周波電源
7自動整合器
8ホルダーに取り付けた基材フィルム

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