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図面 (1)

課題

ヒトまたは動物において安全かつ有効である、肝機能増強剤を提供する。

解決手段

甘蔗由来エキスを有効成分とする肝機能増強剤ならびにこの肝機能増強剤を含む食品および飼料

概要

背景

肝臓は何らかの異常があったとしてもなかなか症状が現れず、「沈黙臓器」と呼ばれている。国内の肝臓病患者全てを合わせると300〜500万人といわれており、調査報告より数値に違いがあるが、非常に多い数字であることには違いない。

また、肝臓病は日本人全体の死因の中では第8位であるが、35から65歳の働き盛り年齢層死亡原因を見ると、ガン心臓病、脳卒中に次いで肝硬変、肝ガン、劇症肝炎等の肝臓病が第4位に位置しており、死亡原因の上位であるといえる。

肝疾患の原因にはいくつかあり、その原因により疾患の種類が異なる。肝臓の疾患としてもっとも多いのがウイルス性肝炎であり、肝臓病患者全体の70〜80%を占めるといわれている。その他としては、アルコールの飲み過ぎや薬物の乱用による肝疾患、肥満による脂肪肝が挙げられる。

ウイルス性肝炎の原因となるウイルスは、10年ほど前まではA型、B型C型が知られていたが、現在ではこのほかにD、E、F、G、TTV等の合わせて8種類が存在することがわかっており、最近注目されている分野である。具体的に説明すると、A型肝炎経口感染慢性化せず無症状で終わる人もいるが、まれに劇症肝炎となって治療が必要になる。衛生状態のよい日本ではほとんど見かけられなくなったが、海外旅行などで感染する場合が増えている。B型は昔は輸血集団予防接種感染原因であったが、現在では大部分が性行為により感染している。通常は急性肝炎ですみ、慢性化することは少ないといわれているが、2〜3%の人は劇症肝炎になり、死亡するといわれている。また、キャリアの状態が長く続くと慢性肝炎移行し、ウイルス性肝硬変にまで症状が進むケースもあり、肝硬変にかかると肝ガンにかかる危険性も高くなる。C型肝炎感染経路については現在もいろいろな説があり、輸血、鍼治療覚醒剤の回し打ち、過去の医療行為、性行為、母子感染の可能性が挙げられている。その他のウイルスについては現在のところまだよくわかっていない。

アルコールが原因となる肝障害初期は脂肪肝であり、さらに慢性的にアルコールを摂取しているとアルコール性肝炎になり、やがては肝線維症、慢性肝炎、肝硬変になるといわれている。近年、アルコールのとりすぎ、不規則食事、脂質のとりすぎ、偏食、ストレスなどが複合的に作用し、肥満や肝障害が増加している。

このように、飽食時代である現在、アルコールの過剰摂取や栄養バランス崩れによる肥満、海外旅行の一般化不特定多数の間での性行為等、様々な原因から肝障害が増加し、注目されている。

ヒトの場合、肝障害はウイルスおよび不適切な食生活が原因して起こることが多く、これらの原因にストレスが加わると特に起こりやすくなる。このことは動物にも当てはまり、水・畜産業界でも、ウイルスの他に養殖魚家畜家禽飼料やストレスが原因で、肝障害が増加している。特に、水産業界では、養魚飼料に含まれるやその他の脂質が酸化されやすく、これら過酸化脂質を摂取することにより魚の肝障害が現れる。また肝機能が低下すると体力の低下、発育不良を起こし、魚病蔓延化、高い斃死率を引き起こすことが少なくない。また、家庭飼育される熱帯魚にも、由来の肝障害抑制、および愛玩動物に対する健康志向から肝機能向上が求められている。このようなことから、最近では肝機能を向上させるといわれている各種漢方や強肝成分を養殖魚や熱帯魚に与えることがあり、グルタチオンインチンコウサンシシサイコウコン甘草タウリン胆汁末パントテン酸カルシウムイノシトールビタミンB6などを添加した魚用混合飼料販売されている。また、家畜、家禽にしても、飼料の酸化による過酸化脂質の摂取、およびコレステロールの過剰摂取にストレスが加わることにより、脂肪肝およびその他の肝障害が現れる。しかし、家畜や家禽に対し、飼料に添加して使用できるような安全性の高い肝機能増強剤は販売されていない。

従来より肝疾患、肝障害に対する薬剤の研究が多数行われ、医薬品または健康食品として報告または製品化されている。これらの肝障害抑制効果または肝機能増強効果を確認するには、いくつかの方法があるが、動物実験による肝障害モデルを使用した方法が一般的である。

従来よく使われていた肝障害モデルとして、四塩化炭素を用いた肝細胞壊死型肝障害モデルがある。四塩化炭素は、1回筋注することにより動物の種を問わず急性肝障害を起こし、ラットの場合、12〜24時間後にはGOTおよびGPTなどのトランスアミナーゼ肝細胞から血中に急激に移行するが、その後肝細胞の壊死の進行が止まると、血中のトランスアミナーゼ量は低下し、約72時間後には正常値に戻る。四塩化炭素を2回以上筋注すると肝硬変になりその症状は非可逆的であるため、通常肝障害抑制剤の効果を確認するためには、1回接種による急性肝障害モデルを用いる。このモデルで肝障害に対して効果のある剤として、具体的には、特定のシステイン誘導体を有効成分として含有する肝障害抑制剤(特開昭55−051021号公報)、肝臓、胎盤イースト等から得られるムコプロチドより成る肝臓疾患用剤(特開昭54−110309号公報)が報告されているが、前者は化合物であり、後者は動物性抽出物である。後者の肝臓疾患用剤はアリルアルコールによる肝障害にも効果があることが記載されている。また、植物由来肝機能改善剤としては、エルバ・デ・サリーニョの溶媒または水抽出物(特開平6−9415号公報)、甘草抽出液乳酸発酵物(WO92/01393号公報)、グリチルリチン抽出後の甘草残渣を有効成分とする強肝剤(特開平9−143085号公報)が報告されている。植物抽出物ではないが、植物中に存在するフィチン酸及びその塩を有効成分とする肝疾患治療予防剤(特開平2−15032号公報)も報告されている。

最近よく用いられる肝障害モデルとして、ヒトのウイルス性肝炎に類似する組織像実験的に作り出すことができる、D−ガラクトサミンを用いた急性肝炎モデルがある。この物質投与すると、肝臓で特異的に代謝され、その過程により肝障害を生ずる。このモデルに対する肝障害抑制効果を持つ化合物として、分子中に(2−ピリジルメチルチオ構造を有するベンツイミダゾール化合物またはその塩を含有して成る肝疾患治療剤(特開平8−283158号公報)、1,4−ジヒドロピリジン化合物(特開昭58−159490号公報)、および2,2’−ジチオビスベンズイミダゾールを有効成分として含有する肝疾患治療剤(特開平4−208223号公報)が報告されている。ベンツイミダゾール化合物に関してはD−ガラクトサミンに関する効果のみを確認しているが、1,4−ジヒドロピリジン化合物および2,2’−ジチオビスベンズイミダゾールに関しては四塩化炭素肝障害に対する効果も確認されている。植物由来の強肝剤として、田七人参より得たギンセノサイドRe/ギンセノサイドRg1から成る肝臓保護薬(特開平9−241164号公報)が報告されている。この成分はD−ガラクトサミンに関する効果以外に、四塩化炭素肝障害およびPropionibacterium acnes/リポ多糖誘発肝障害モデルにおいても効果が確認されている。

胆汁の生成は肝臓の重要な機能の一つであり、肝細胞から十二指腸にいたる胆道の異常により十二指腸への胆汁流出阻害されると、胆汁がうっ滞し、胆汁の主要成分であるビリルビン胆汁酸、コレステロールなどが血中に逆流し、増加するようになる。このような病態胆汁うっ滞といい、黄疸肝腫灰白色便、濃緑尿などを主な特徴とする。胆汁うっ滞は胆石腫瘍により肝外胆管機械通過障害に起因する肝外胆汁うっ滞と先天性胆管閉塞症や、ウイルスや薬物性肝障害などによる胆内胆汁うっ滞がある。それぞれ多くのモデルが開発されているが、その内の1つとしてα−ナフチルイソチオシアネート(ANIT)を用いる方法がよく用いられる。ANITによる肝障害は、小葉内胆管に炎症と閉塞を起こし、肝内性胆汁うっ滞を起こす、胆管系障害モデルとして知られている。このモデルに対する効果のある肝疾患用剤として、ヤマモモ樹皮を乾燥した楊梅皮の溶媒抽出物が報告されており(特開昭63−222119号公報)、これは四塩化炭素肝障害モデルに対する効果も確認されている。

その他の植物由来の肝障害抑制剤として、コショウに含まれるアルカロイドアセトアミノフェン急性肝障害モデルに対する効果(特開平5−262646号公報)、ケブラペドラの溶媒または水抽出物の高コレステロール飼料による高脂血症モデルに対する効果(特開平9−241176号公報)、セテサングリア全草の熱水抽出物高コレステロール食マウス肝障害モデルに対する効果(特開平5−294841号公報)、トベラ科植物の水溶性抽出物肝疾患患者に対する効果(特開平2−96532号公報)等が報告されている。

概要

ヒトまたは動物において安全かつ有効である、肝機能増強剤を提供する。

甘蔗由来エキスを有効成分とする肝機能増強剤ならびにこの肝機能増強剤を含む食品および飼料。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

甘蔗由来エキスを有効成分とする肝機能増強剤

請求項2

甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁甘蔗溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分である請求項1記載の肝機能増強剤。

請求項3

甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体としての合成吸着剤充填したカラム通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノールエタノールおよびこれらの混合物から選ばれる溶媒溶出することにより得られる画分である請求項2記載の肝機能増強剤。

請求項4

甘蔗由来のエキスが、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料を、固定担体としてのイオン交換樹脂を充填したカラムでの親和力の差を利用したカラムクロマトグラフィー処理により分離して得られる画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分である請求項2記載の肝機能増強剤。

請求項5

イオン交換樹脂が陽イオン交換樹脂である請求項4記載の肝機能増強剤。

請求項6

陽イオン交換樹脂が、強酸性陽イオン交換樹脂である請求項5記載の肝機能増強剤。

請求項7

強酸性陽イオン交換樹脂がナトリウムイオン型もしくはカリウムイオン型である請求項6記載の肝機能増強剤。

請求項8

イオン交換樹脂がゲル型である請求項4〜7のいずれか一項記載の肝機能増強剤。

請求項9

カラムクロマトグラフィー処理が擬似移動床連続分離法で行われる請求項4〜8のいずれか一項記載の肝機能増強剤。

請求項10

甘蔗由来のエキスが、バガスを水、親水性溶剤、またはこれらの混合物で抽出して得られるものである請求項1記載の肝機能増強剤。

請求項11

親水性溶媒がエタノールである請求項10記載の肝機能増強剤。

請求項12

抽出のための親水性溶媒が、60/40体積比以下の比でエタノールを含むエタノール−水混合溶媒である請求項10記載の肝機能増強剤。

請求項13

請求項1〜12のいずれか一項記載の肝機能増強剤を含む食品

請求項14

請求項1〜12のいずれか一項記載の肝機能増強剤を含む飼料

技術分野

0001

本発明は、ヒトまたは動物のための肝機能増強剤に関する。本発明はまた、ヒトまたは動物の肝機能を増強させる食品および飼料に関する。

背景技術

0002

肝臓は何らかの異常があったとしてもなかなか症状が現れず、「沈黙臓器」と呼ばれている。国内の肝臓病患者全てを合わせると300〜500万人といわれており、調査報告より数値に違いがあるが、非常に多い数字であることには違いない。

0003

また、肝臓病は日本人全体の死因の中では第8位であるが、35から65歳の働き盛り年齢層死亡原因を見ると、ガン心臓病、脳卒中に次いで肝硬変、肝ガン、劇症肝炎等の肝臓病が第4位に位置しており、死亡原因の上位であるといえる。

0004

肝疾患の原因にはいくつかあり、その原因により疾患の種類が異なる。肝臓の疾患としてもっとも多いのがウイルス性肝炎であり、肝臓病患者全体の70〜80%を占めるといわれている。その他としては、アルコールの飲み過ぎや薬物の乱用による肝疾患、肥満による脂肪肝が挙げられる。

0005

ウイルス性肝炎の原因となるウイルスは、10年ほど前まではA型、B型C型が知られていたが、現在ではこのほかにD、E、F、G、TTV等の合わせて8種類が存在することがわかっており、最近注目されている分野である。具体的に説明すると、A型肝炎経口感染慢性化せず無症状で終わる人もいるが、まれに劇症肝炎となって治療が必要になる。衛生状態のよい日本ではほとんど見かけられなくなったが、海外旅行などで感染する場合が増えている。B型は昔は輸血集団予防接種感染原因であったが、現在では大部分が性行為により感染している。通常は急性肝炎ですみ、慢性化することは少ないといわれているが、2〜3%の人は劇症肝炎になり、死亡するといわれている。また、キャリアの状態が長く続くと慢性肝炎移行し、ウイルス性肝硬変にまで症状が進むケースもあり、肝硬変にかかると肝ガンにかかる危険性も高くなる。C型肝炎感染経路については現在もいろいろな説があり、輸血、鍼治療覚醒剤の回し打ち、過去の医療行為、性行為、母子感染の可能性が挙げられている。その他のウイルスについては現在のところまだよくわかっていない。

0006

アルコールが原因となる肝障害初期は脂肪肝であり、さらに慢性的にアルコールを摂取しているとアルコール性肝炎になり、やがては肝線維症、慢性肝炎、肝硬変になるといわれている。近年、アルコールのとりすぎ、不規則食事、脂質のとりすぎ、偏食、ストレスなどが複合的に作用し、肥満や肝障害が増加している。

0007

このように、飽食時代である現在、アルコールの過剰摂取や栄養バランス崩れによる肥満、海外旅行の一般化不特定多数の間での性行為等、様々な原因から肝障害が増加し、注目されている。

0008

ヒトの場合、肝障害はウイルスおよび不適切な食生活が原因して起こることが多く、これらの原因にストレスが加わると特に起こりやすくなる。このことは動物にも当てはまり、水・畜産業界でも、ウイルスの他に養殖魚家畜家禽の飼料やストレスが原因で、肝障害が増加している。特に、水産業界では、養魚飼料に含まれるやその他の脂質が酸化されやすく、これら過酸化脂質を摂取することにより魚の肝障害が現れる。また肝機能が低下すると体力の低下、発育不良を起こし、魚病蔓延化、高い斃死率を引き起こすことが少なくない。また、家庭飼育される熱帯魚にも、由来の肝障害抑制、および愛玩動物に対する健康志向から肝機能向上が求められている。このようなことから、最近では肝機能を向上させるといわれている各種漢方や強肝成分を養殖魚や熱帯魚に与えることがあり、グルタチオンインチンコウサンシシサイコウコン甘草タウリン胆汁末パントテン酸カルシウムイノシトールビタミンB6などを添加した魚用混合飼料販売されている。また、家畜、家禽にしても、飼料の酸化による過酸化脂質の摂取、およびコレステロールの過剰摂取にストレスが加わることにより、脂肪肝およびその他の肝障害が現れる。しかし、家畜や家禽に対し、飼料に添加して使用できるような安全性の高い肝機能増強剤は販売されていない。

0009

従来より肝疾患、肝障害に対する薬剤の研究が多数行われ、医薬品または健康食品として報告または製品化されている。これらの肝障害抑制効果または肝機能増強効果を確認するには、いくつかの方法があるが、動物実験による肝障害モデルを使用した方法が一般的である。

0010

従来よく使われていた肝障害モデルとして、四塩化炭素を用いた肝細胞壊死型肝障害モデルがある。四塩化炭素は、1回筋注することにより動物の種を問わず急性肝障害を起こし、ラットの場合、12〜24時間後にはGOTおよびGPTなどのトランスアミナーゼ肝細胞から血中に急激に移行するが、その後肝細胞の壊死の進行が止まると、血中のトランスアミナーゼ量は低下し、約72時間後には正常値に戻る。四塩化炭素を2回以上筋注すると肝硬変になりその症状は非可逆的であるため、通常肝障害抑制剤の効果を確認するためには、1回接種による急性肝障害モデルを用いる。このモデルで肝障害に対して効果のある剤として、具体的には、特定のシステイン誘導体を有効成分として含有する肝障害抑制剤(特開昭55−051021号公報)、肝臓、胎盤イースト等から得られるムコプロチドより成る肝臓疾患用剤(特開昭54−110309号公報)が報告されているが、前者は化合物であり、後者は動物性抽出物である。後者の肝臓疾患用剤はアリルアルコールによる肝障害にも効果があることが記載されている。また、植物由来肝機能改善剤としては、エルバ・デ・サリーニョの溶媒または水抽出物(特開平6−9415号公報)、甘草抽出液乳酸発酵物(WO92/01393号公報)、グリチルリチン抽出後の甘草残渣を有効成分とする強肝剤(特開平9−143085号公報)が報告されている。植物抽出物ではないが、植物中に存在するフィチン酸及びその塩を有効成分とする肝疾患治療予防剤(特開平2−15032号公報)も報告されている。

0011

最近よく用いられる肝障害モデルとして、ヒトのウイルス性肝炎に類似する組織像実験的に作り出すことができる、D−ガラクトサミンを用いた急性肝炎モデルがある。この物質投与すると、肝臓で特異的に代謝され、その過程により肝障害を生ずる。このモデルに対する肝障害抑制効果を持つ化合物として、分子中に(2−ピリジルメチルチオ構造を有するベンツイミダゾール化合物またはその塩を含有して成る肝疾患治療剤(特開平8−283158号公報)、1,4−ジヒドロピリジン化合物(特開昭58−159490号公報)、および2,2’−ジチオビスベンズイミダゾールを有効成分として含有する肝疾患治療剤(特開平4−208223号公報)が報告されている。ベンツイミダゾール化合物に関してはD−ガラクトサミンに関する効果のみを確認しているが、1,4−ジヒドロピリジン化合物および2,2’−ジチオビスベンズイミダゾールに関しては四塩化炭素肝障害に対する効果も確認されている。植物由来の強肝剤として、田七人参より得たギンセノサイドRe/ギンセノサイドRg1から成る肝臓保護薬(特開平9−241164号公報)が報告されている。この成分はD−ガラクトサミンに関する効果以外に、四塩化炭素肝障害およびPropionibacterium acnes/リポ多糖誘発肝障害モデルにおいても効果が確認されている。

0012

胆汁の生成は肝臓の重要な機能の一つであり、肝細胞から十二指腸にいたる胆道の異常により十二指腸への胆汁流出阻害されると、胆汁がうっ滞し、胆汁の主要成分であるビリルビン胆汁酸、コレステロールなどが血中に逆流し、増加するようになる。このような病態胆汁うっ滞といい、黄疸肝腫灰白色便、濃緑尿などを主な特徴とする。胆汁うっ滞は胆石腫瘍により肝外胆管機械通過障害に起因する肝外胆汁うっ滞と先天性胆管閉塞症や、ウイルスや薬物性肝障害などによる胆内胆汁うっ滞がある。それぞれ多くのモデルが開発されているが、その内の1つとしてα−ナフチルイソチオシアネート(ANIT)を用いる方法がよく用いられる。ANITによる肝障害は、小葉内胆管に炎症と閉塞を起こし、肝内性胆汁うっ滞を起こす、胆管系障害モデルとして知られている。このモデルに対する効果のある肝疾患用剤として、ヤマモモ樹皮を乾燥した楊梅皮の溶媒抽出物が報告されており(特開昭63−222119号公報)、これは四塩化炭素肝障害モデルに対する効果も確認されている。

0013

その他の植物由来の肝障害抑制剤として、コショウに含まれるアルカロイドアセトアミノフェン急性肝障害モデルに対する効果(特開平5−262646号公報)、ケブラペドラの溶媒または水抽出物の高コレステロール飼料による高脂血症モデルに対する効果(特開平9−241176号公報)、セテサングリア全草の熱水抽出物高コレステロール食マウス肝障害モデルに対する効果(特開平5−294841号公報)、トベラ科植物の水溶性抽出物肝疾患患者に対する効果(特開平2−96532号公報)等が報告されている。

発明が解決しようとする課題

0014

従来報告されてきた肝機能増強剤あるいは肝疾患予防治療剤には、化合物及び動植物由来天然成分があるが、そのほとんどが医薬品として治療に用いられる医薬品である。ヒトや魚類用飼料に用いられる化合物や漢方由来の成分は、元来医薬品であるためその副作用の問題があり、肝障害予防のため長期にわたって安全に摂取し続けられるわけではない。また、価格が比較的高い。

0015

健康食品に用いられる肝機能増強剤は、漢方由来の成分やビタミン類を医薬品におけるより少ない量で含有することで構成されているものが多く、有効で安全な食品レベルの天然成分を含むものはほとんどない。

0016

また、従来の天然由来成分の肝障害抑制効果及び肝機能増強剤は、いくつかの肝障害モデルのうち1、2のモデルに対する試験しか行っていないものが多く、特定の肝障害ではない広範囲の肝機能増強に用いるには、効果に疑問がある。

0017

以上のことから、複数の肝障害モデルに対し効果があり、安全であり、低コスト生産できる天然由来の肝機能増強剤が求められている。

課題を解決するための手段

0018

本発明者らは、上記の問題点に鑑み、ヒトをはじめとする動物に安全な、低コストで調製できる、複数の肝障害モデルに対し効果がある肝機能増強剤を得るべく鋭意検討を重ねてきたが、古来より食品として使用されている甘蔗を処理して得られるエキスが、複数の肝障害抑制効果を発揮することを見いだし、本発明を完成した。

0019

すなわち、本発明は甘蔗由来のエキスを有効成分とする肝機能増強剤である。

0020

本発明は特に、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液及び甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理することにより得られる画分を有効成分とする肝機能増強剤である。

0021

あるいは、本発明は、甘蔗由来のバガスを原料とし、水、親水性溶媒、またはこれらの混合液を用いて抽出して得られるエキスを有効成分とする肝機能増強剤である。

0022

甘蔗は本来蔗糖を得るためにその原料植物として栽培されるが、本発明はカラムクロマトグラフィーにより甘蔗汁、甘蔗由来の糖蜜および甘蔗の溶媒抽出液より選ばれる原料からエキスを抽出する方法、または通常廃棄している甘蔗を圧搾した残渣であるバガスから抽出する方法をとるため、本発明のエキスを抽出しても蔗糖は従来と変わらない収率で甘蔗汁から回収することができるため、従来の蔗糖製造を妨げることはない。つまり、本発明のエキスは甘蔗から蔗糖を除いた部分から得ることができるため、低コストで製造でき、また資源の有効利用にもなる。

0023

本発明において、「肝機能増強剤」とは、ウイルス、薬剤、アルコール、食事内容などが原因として引き起こされる、脂肪肝、肝炎、胆汁うっ滞、肝細胞の変性壊死等の肝障害を予防、治療、または症状を低減する効果を包含する。

0024

なお、本明細書においては、強肝作用または効果、肝機能増強作用または効果、肝障害抑制作用または効果、および肝疾患予防治療作用または効果を、特に区別せず、同義としている。

0025

本発明において、動物とはヒト以外の脊椎動物を意味し、哺乳類鳥類および魚類を含む。例えば、ウシブタなどの家畜、ニワトリウズラ等の家禽、ハマチ、タイ、ヒラメフグカンパチ、アユウナギマスコイ金魚などの魚類、イヌネコなどのコンパニオンアニマルが挙げられる。

0026

本発明において、甘蔗由来のエキスとは、甘蔗を原料として得られたエキスである。

0027

1つの実施態様においては、甘蔗由来のエキスは、甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液および甘蔗由来の糖蜜より選ばれる原料(以下で、単に原料ということがある)を固定担体を用いたカラムクロマトグラフィーで処理して得られる画分である。更に好ましくは、原料を、固定担体として合成吸着剤充填されたカラム通液し、該合成吸着剤に吸着された成分を、水、メタノールエタノールおよびこれらの混合物から選ばれる溶媒で溶出することによって得られる画分、あるいは原料を、固定担体としてのイオン交換樹脂が充填されたカラムでの親和力の差を利用したカラムクロマトグラフィー処理により分離して得られる画分のうち、波長420nmの光を吸収する画分である。

0028

従来、甘蔗由来の原料、中間製品及び製品色価の評価は、波長420nmの光の吸光度により行われている。この吸光度は、サンプルのpHにより若干影響されるので、通常、pHを中性付近に調整してから吸光度を測定している。本発明において、吸光度は、サンプルのpHを6〜8の範囲に調整した後に測定されるものとする。実施例にあるように、得られた画分の凍結乾燥粉末0.25gを0.5mMリン酸バッファー(pH7.5)で溶解して全量を100mlにし、1cmセルを用いて波長420nmでの吸光度を測定したとき、吸光度が0.8以上の画分に本発明の高い効果が認められる。しかし、波長420nmの吸光度は甘蔗由来の色素の量を示す値であって有効成分自体の量を示す値であるかどうかは不明であること、また原料となる甘蔗の産地や種類により甘蔗自体に含まれる色素の絶対量が異なることから、異なる甘蔗に由来する種々のエキスの間で効果と吸光度が必ずしも比例関係にあるわけではない。1つの原料から得られる複数の画分の吸光度を測定し、相対的に吸光度が高い画分が本発明の画分である。

0029

固定担体として合成吸着剤をカラムに充填してカラムクロマトグラフィーを行う場合は、肝機能増強効果の有効成分の合成吸着剤に対する親和性が非常に強いため、原料をカラムに通液したとき有効成分が合成吸着剤に吸着される。その後、溶媒で溶出を行うと、合成吸着剤に吸着された成分が脱着され溶出される。一方、固定担体としてイオン交換樹脂を用いた場合には、肝機能増強効果の有効成分と樹脂との親和性は吸着ほど強いわけではない。有効成分とその他の成分のイオン交換樹脂に対する親和性の強さに差がある。原料をカラムに供給し、その後溶離液として水を流すことにより、有効成分とその他の成分の溶出速度の違いに基づいて両者を分離することができる。

0030

あるいは、別の実施態様においては、甘蔗由来のエキスは、甘蔗由来のバガスを水、親水性溶媒、及びこれらの混合物より選ばれた溶液で溶出することにより得られるエキスであり、更に好ましくは、甘蔗から糖を圧搾した残渣であるバガスを、水、エタノール、及びこれらの混合物より選ばれる溶液で抽出することにより得られるエキスである。

0031

ここで、本発明における甘蔗汁は、甘蔗(サトウキビ)を圧搾して得られる圧搾汁、甘蔗を水で浸出して得られる浸出汁、または原糖製造工場における石灰処理した清浄汁、濃縮汁を包含する。

0032

本発明における甘蔗の溶媒抽出液とは、甘蔗を汎用有機溶媒で抽出した溶液を濃縮乾固後、水に再溶解した抽出液等を意味する。直上の有機溶媒としては、例えばメタノールやエタノール等のアルコール類が挙げられ、これらを単独でも組み合わせて使用しても良い。更に、これらの溶媒と水を組み合わせて使用しても良い。

0033

本発明における甘蔗由来の糖蜜とは、結晶化工程で得られた砂糖結晶母液の混合物を遠心分離にかけ、砂糖結晶と分離して得られる振を意味し、例えば、原糖製造工場における1番蜜、2番蜜、製糖廃蜜、および精製糖製造工場における洗糖蜜、1〜7番蜜、精糖廃蜜等が挙げられる。また、これらの糖蜜を原料としてアルコール発酵を行った分離液のように、糖蜜を脱糖処理したものも同様に用いることができる。

0034

また、本発明において、バガスとは典型的には原糖工場における製糖過程で排出されるバガスをいう。なおここでいう原糖工場における製糖過程で排出されるバガスには、最終圧搾機を出た最終バガスだけではなく、第1圧搾機を含む以降の圧搾機に食い込まれた細裂甘蔗をも含む。好ましくは、原糖工場において圧搾工程により糖汁を圧搾した後に排出されるバガスを用いる。圧搾工程より排出されるバガスは、甘蔗の種類、収穫時期などにより、その含まれる水分、糖分及びその組成比が異なるが、本発明においては、これらのバガスを任意に用いうる。また、原糖工場と同様に、例えば、黒糖工場において排出される甘蔗圧搾後に残るバガスを使用しても良い。あるいは、実験室レベル小規模な実施では、甘蔗から糖液を圧搾した後のバガスを用いても良い。

0035

このような甘蔗由来のエキスは、より具体的には例えば次にようにして得ることができる。

0036

まず、カラムクロマトグラフィー処理により得る方法について述べる。

0037

甘蔗汁、甘蔗の溶媒抽出液、または甘蔗由来の糖蜜(以下、単に原料ということがある)を、固定担体を充填したカラムに通液する。上記原料は、そのまま、または水で任意の濃度に調整して、用いることができる。なお、異物除去のために、カラムで処理する前に、原料をろ過することが好ましい。ろ過の手法は特に限定されず、食品工業で広く使用されているスクリーンろ過、ケイソウ土ろ過、精密ろ過限外ろ過等の手段を好ましく使用できる。

0038

固定担体としては、合成吸着剤及びイオン交換樹脂が好ましい。

0039

まず、固定担体として合成吸着剤を用いる方法の好ましい態様は、以下の通りである。

0040

合成吸着剤としては、好ましくは有機系樹脂を用いることができ、例えば、芳香族系樹脂アクリル酸メタクリル樹脂アクリロニトリル脂肪族系樹脂等が使用できる。更に好ましくは芳香族系樹脂であり、特に無置換基型の芳香族系樹脂が使用できる。合成吸着剤として、例えばスチレンジビニルベンゼン系樹脂の芳香族系樹脂などが使用でき、芳香族系樹脂としては、例えば疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、無置換基型の芳香族系樹脂、無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂等の多孔性樹脂が使用できる。より好ましくは無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂が使用できる。そのような合成吸着剤は市販されており、例えばダイヤイオン商標)HP−10、HP−20、HP−21、HP−30、HP−40、HP−50(以上、無置換基型の芳香族系樹脂、三菱化学株式会社製);SP−825、SP−800、SP−850、SP−875、SP−70、SP−700(以上、無置換基型に特殊処理を施した芳香族系樹脂、三菱化学株式会社製);SP−900(芳香族系樹脂、三菱化学株式会社製);アンバーライト(商標)XAD−2、XAD−4、XAD−16、XAD−2000(以上、芳香族系樹脂、株式会社オルガノ製);ダイヤイオン(商標)SP−205、SP−206、SP−207(以上、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、三菱化学株式会社製);HP−2MG、EX−0021(以上、疎水性置換基を有する芳香族系樹脂、三菱化学株式会社製);アンバーライト(商標)XAD−7、XAD−8(以上、アクリル酸系エステル樹脂、株式会社オルガノ製);ダイヤイオン(商標)HP1MG、HP2MG(以上、アクリル酸系メタクリル樹脂、三菱化学株式会社製);セファデックス(商標)LH20、LH60(以上、架橋デキストラン誘導体アマシャムファルマシアバイオテク株式会社製)等が挙げられる。中でもSP−850が特に好ましい。

0041

固定担体の量は、カラムの大きさ、溶媒の種類、固定担体の種類などによって変化する。原料の固形分に対して、0.01〜5倍湿潤体積量が好ましい。

0042

原料を上記カラムに通すことにより、原料中の肝機能増強効果を有する成分は固定担体に吸着され、蔗糖、グルコースフラクトースおよび無機塩類の大部分がそのまま流出する。

0043

固定担体に吸着された成分を、溶媒により溶出する。ここで、肝機能増強効果を有する成分を効率よく溶出するには、その前に残留する蔗糖、グルコース、フラクトースおよび無機塩類を水洗により充分洗い流すことが好ましい。これにより、吸着されている目的の効果を有する成分を効率よく回収することができる。溶出溶媒は、水、メタノール、エタノールおよびこれらの混合物から選ばれることが好ましく、さらに好ましくは水とアルコールの混合溶媒、特に好ましくはエタノール−水混合溶媒が使用される。室温において効率よく目的の効果を有する成分を溶出するためには、50/50〜60/40(体積/体積)エタノール−水混合溶媒が好ましい。さらに、カラム温度を上げることにより、エタノール−水混合溶媒のエタノール混合比を減らすことができる。この場合、カラム内は常圧もしくは加圧された状態である。肝機能増強効果を有する成分は、前記溶媒で溶出される画分に存在する。溶出速度はカラムの大きさ、溶媒の種類、固定担体の種類などによって変化するので特に限定されないが、SV=0.1〜10hr-1が好ましい。なお、SV(Space velocity、空間速度)は、1時間当たり樹脂容積の何倍量の液体を通液するかという単位である。

0044

前記肝機能増強効果を有する成分は、好ましくは次のようにして得ることができるが、下記に限定されない。すなわち、原料の固形分に対して0.01〜5倍湿潤体積量の無置換基型の芳香族系樹脂を充填したカラムに、カラム温度60〜97℃にて原料を通液した後、カラム内を水洗し、次いでカラムに吸着されている成分を、カラム温度20〜40℃にて50/50〜60/40(体積/体積)エタノール−水混合溶媒で溶出させ、溶出開始時点から集めた溶出液の量が前記樹脂の4倍湿潤体積量以内に溶出する画分を回収する。

0045

一方、固定担体としてイオン交換樹脂を用いる方法の好ましい態様は、以下の通りである。

0046

イオン交換樹脂は、イオン交換性質の観点から、陽イオン交換樹脂陰イオン交換樹脂とに分類されるが、本発明では好ましくは陽イオン交換樹脂が使用できる。更に好ましくは強酸性型の、ナトリウムイオン型またはカリウムイオン型の陽イオン交換樹脂が使用できる。またイオン交換樹脂は、樹脂の形態の観点からは、ゲル型樹脂と、ポーラス型マイクロポーラス型、ハイポラス型などの多孔性樹脂に分類されるが、本発明では好ましくはゲル型のイオン交換樹脂が使用できる。更に好ましくは、強酸性型でナトリウムイオン型またはカリウムイオン型であるゲル型の陽イオン交換樹脂が使用できる。そのようなイオン交換樹脂は市販されており、例えばダイヤイオン(商標)系としてSK1B、SK104、SK110、SK112、SK116(以上、三菱化学株式会社製)、UBK530、UBK550(以上、三菱化学株式会社製)、アンバーライト(商標)系としてアンバーライトIR120BN、IR124、XT1006、IR118、アンバーリスト31、クロマトグラフ用アンバーライトCG120、CG6000(以上、オルガノ株式会社製)、ダウエックス(商標)系として、HCR−S、HCR−W2、HGR−W2、モノスフィアー650C、マラソンC600、50W×2、50W×4、50W×8(以上、ダウケミカル日本株式会社製)、ムロマック50WX(室化学工業株式会社製)、ピュロライト(商標)系としてC−100E、C−100、C−100×10、C−120E、PCR433、PCR563K、PCR822、PCR833、PCR866、PCR883、PCR892、PCR945(以上、エイエムピー・アイオネクス株式会社製)等が挙げられる。中でも、UBKシリーズが特に好ましい。

0047

固定担体の量は、カラムの大きさ、固定担体の種類などによって変化する。原料の固形分に対して、好ましくは2〜10,000倍、より好ましくは5〜500倍湿潤体積量である。

0048

原料を上記カラムに通し、次に溶離液として水を用いてクロマトグラフィー処理し、得た多数の画分のうち波長420nmの光を吸収する画分を分取して目的とするエキスを得ることができる。以下において、この方法をイオンクロマト分離ということがある。

0049

通液条件は、原料の組成および固定担体の種類などによって変化する。溶離液として脱気処理した水を用い、単式回分分離法の場合、流速はSV=0.3〜1.0hr-1、サンプルの供給量は液量として樹脂の1〜20%、温度は40〜70℃が好ましい。この分離法により得た画分の夫々について、波長420nmでの吸収、電気伝導度(塩分の量の尺度)、蔗糖、グルコースおよびフラクトースの濃度を分析し、時系列的グラフに表すと、波長420nmでの吸光度のピーク、電気伝導度のピーク、蔗糖および還元糖のピークの順にピークが現れる。後記の図1における画分3〜14に相当する画分を、波長420nmの光を吸収する画分として分取する。特に画分3〜8が好ましい。また、蔗糖が出きった後の画分18〜30については、画分をそのまま用いて測定した波長420nmでの吸光度は低いものの、これらを合わせて濃縮したサンプルについては、製造例8のサンプル8に示すように、吸光度が高い。つまり、画分18〜30は濃度が低くても、固形分当りの有効成分の純度が比較的高い。従って非蔗糖画分全体(画分1〜9と画分18〜30とを合わせたもの)は、有効成分の濃度は画分3〜8のみより低いが、同様に本発明のエキスとして使用することができる。擬似移動床連続分離法の場合、原料液供給量、溶離液流量、各画分抜き出し流量を原料の組成、固定担体の種類、樹脂量に合わせて設定するため、一般的な通液条件を示すことができない。

0050

原糖工場において2番蜜を原料として擬似移動床式連続分離法により得られる本画分の組成は、原料の種類およびイオン交換樹脂の分離能により変化するが、固形分当たりの蔗糖が6%以下、非糖分が90%以上、見掛純糖率が10%である。見掛純糖率は、ブリックス(Bx.)度(ブリックス度計で測定した固形百分率)に対する糖度糖度計で測定した純蔗糖規定量に対する直接旋光度)の百分率である。

0051

また、単塔式回分分離法により得られる本画分は、2番蜜を原料として得られた画分の場合、固形分(凍結乾燥固形分)当たりのポリフェノール量が約5%、電気伝導度灰分(塩分)が約44.7%、糖分は約5%である。

0052

肝機能増強効果の有効成分である物質は、波長420nmの吸収のピーク部分の画分に多く含まれることは明らかであるが、有効成分自体が420nmの吸収を持つかどうかは現在のところ明らかではない。

0053

次に、バガスを抽出することにより甘蔗由来のエキスを得る方法について述べる。

0054

バガスを水、親水性溶媒、これらの混合物からなる群より選択される溶液で抽出することによって、バガス抽出物が得られる。親水性溶媒としては、例えばメタノール、エタノール等の低級アルコール類、アセトンなどのケトン類酢酸メチル酢酸エチルなどの酢酸エステル類を用いることができる。より好ましくは、親水性溶媒としてエタノールを使用する。抽出のための好ましい溶媒は、60/40体積比以下の比で、より好ましくは50/50体積比以下の比でエタノールを含む、エタノール−水混合溶媒である。抽出温度は、効率よく抽出するためには、50〜100℃が好ましい。抽出時間は、バガスの原料、種類、状態などによっても異なってくるが、通常1〜3時間である。抽出方法は、一般的な汎用性のある方法が使用でき、例えばバガスと抽出溶媒を共に容器に入れて抽出する方法、抽出溶媒を循環させて抽出する方法、連続式に抽出する方法が挙げられる。抽出のための装置しては、例えば、デスメット押出機、ルルギ式押出機等を任意に使用することができる。バガスから抽出されたエキスは糖含量が多いので、バガスエキスを上記と同様のカラムクロマトグラフィー処理に付すことにより糖を除去しても良い。

0055

上記のように甘蔗から種々の方法で得られたエキスを、慣用の手段(減圧下での溶媒除去、凍結乾燥など)により濃縮して、本発明の効果を有する成分を得ることができる。このようにして得られた肝機能増強効果を有する成分は、固形分20%以上に濃縮した液状または粉末状で保存することができる。保存は、特に液状の場合、冷凍保存、もしくは腐敗防止のためにアルコールを入れて冷蔵保存することが好ましい。

0056

本発明の甘蔗由来のエキスは、マウスを用いた甘蔗由来のエキスの経口投与による動物実験の結果、四塩化炭素急性肝障害モデル、フェノバルビタール+四塩化炭素急性肝障害モデル、ガラクトサミン急性肝障害モデル、α−ナフチルイソチオシアネート急性肝障害モデルの4つの肝障害モデルに関して肝機能増強効果を示した(後述の実施例1〜4)。よって、本発明における甘蔗由来のエキスは広い範囲での肝機能増強効果を示すと考えられる。従って本発明は、ヒトあるいは動物などの肝機能を増強することにより、各種の肝疾患の予防、治療のために使用できる。

0057

本発明の肝機能増強剤の投与時期は、特に限定されない。

0058

本発明の肝機能増強剤の投与量は、甘蔗由来のエキスの抽出方法、形態、対象とする動物の種類、健康状態成長度合い等によって異なり、特に限定されないが、例えば後述の製造例1〜8で得た甘蔗由来のエキス粉末の場合には、体重1Kg当たり1日に1〜1000mg、好ましくは50〜1000mgである。

0059

本発明に係る甘蔗由来のエキスの投与形態は特に限定されないが、例えば経口的、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内、直腸内、下、経皮点眼などの方法で投与することができる。

0060

本発明に係る甘蔗由来のエキスを投与する際のエキスの形状は特に限定されず、液状または粉末状のエキスをそのまま投与してもよく、また通常用いられる製剤用担体によって、公知の方法により固形剤とすることも液剤とすることもでき、また製剤化の有無に関わらず食品、飼料、飲水などに混合することもできる。

0061

経口用固形製剤を調製する場合には、エキスに賦形剤結合剤粘結剤崩壊剤滑沢剤着色剤矯味矯臭剤抗酸化剤溶解補助剤などを加えた後、常法により錠剤被覆錠剤顆粒剤散剤カプセル剤などとする。

0064

滑沢剤としては、例えばステアリン酸マグネシウムタルクステアリン酸などが用いられる。

0065

着色剤、着香料としては、医薬品、食品、飼料に添加することが許可されているものであればよく、特に限定されない。

0066

抗酸化剤としては、例えばアスコルビン酸、α−トコフェロールエトキシキンジブチルヒドロキシトルエンブチルヒドロキシアニソールなどが挙げられ、医薬品や食品、飼料に添加することが許可されているものであればよい。また、錠剤、顆粒剤は必要に応じてコーティングすることは差し支えない。

0067

注射製剤を製造する場合には、必要に応じて主薬にpH調製剤緩衝剤懸濁化剤、溶解補助剤、安定化剤等張化剤、抗酸化剤、保存剤などを添加し、常法により製造することができる。この際必要に応じ、凍結乾燥剤とすることも可能である。この注射剤は静脈内、皮下、筋肉内などに投与することができる。

0068

懸濁化剤としては例えば、メチルセルロース、ポリソルベート80ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、トラガント末、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどを挙げることができる。

0069

溶解補助剤としては、例えばポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチン酸アミド、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどが用いられる。

0070

保存剤としては、例えばパラオキシ安息香酸メチルパラオキシ安息香酸エチルソルビン酸等が用いられる。

0071

本発明はまた、前記した肝機能増強剤を含む食品および飼料を提供する。食品および飼料は固体でも液体でも良い。食品としては、例えば菓子類清涼飲料機能性調味料、健康食品などが挙げられる。飼料としては、例えばドッグフードキャットフードなどのペット用飼料家畜用飼料養殖魚介類用飼料等が挙げられる。

0072

以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に解説する。実施例で使用する物質の投与量に関する記載、例えば「10mg/kg」または「10mg/kg体重」は、体重1kg当たり10mgを投与したという意味である。

0073

製造例1
原糖製造工場の製造工程にて得られた甘蔗の圧搾汁(固形分18.6%)約1000リットルを、ジュースヒーターで80℃に加温し、管型限外ろ過(MH5型、有効膜面積2m2×3本、分画分子量10万、ダイセル化学工業株式会社製)でろ過処理して、約750リットルの処理液を得た。合成吸着剤SP−850(商標、三菱化学株式会社)15リットルを、ウォータージャケット付きのカラム(カラムサイズ:内径17.0cm、高さ100cm)に充填し、これに前記の圧搾汁ろ過処理液を、流速75リットル/時間(SV=5hr-1)の速度で通液した。なお、圧搾汁ろ過処理液通液中は、ウォータージャケットに、65℃の水を常に循環させた。次に、45リットルのイオン交換水を流速30リットル/時間(SV=2hr-1)でカラムに通液して洗浄した。イオン交換水で洗浄後、カラムから溶出した画分についての糖類の検出を行ったところ、ハンドレフブリックス(Bx.)計(アタゴ株式会社製、N−1E型)において、Bx.が約0になっているのが確認された。その後、溶出溶媒として30リットルの55%エタノール水溶液(エタノール/水=55/45(体積/体積))を流速30リットル/時間(SV=2hr-1)にてカラムに通液して、合成吸着剤に吸着した成分を溶出させた。なお、溶出溶媒およびその後のイオン交換水通液中は、ウォータージャケットに、25℃の水を常に循環させた。55%エタノール水溶液でカラムから溶出した溶出液および、その後のイオン交換水を20分間流して得られた溶出液を混合し、濃縮機にて約20倍に減圧濃縮した後、1晩凍結乾燥して、茶褐色の粉末(甘蔗由来のエキス)435gを得た。

0074

製造例2
原糖製造工場の製造工程にて得られた清浄汁(固形分11.5%)約620リットルを限外ろ過処理せずにそのまま使用した以外は、製造例1と同様にしてカラム処理を行った。得られた溶出液を濃縮機にて約20倍に減圧濃縮した後、1晩凍結乾燥して、茶褐色の粉末(甘蔗由来のエキス)210gを得た。

0075

製造例3
原糖製造工場で得られた乾燥バガス1kgをナイロンネット製の袋に入れ、袋ごとタンクに入れ、80℃の水を25リットル添加し、1時間撹拌抽出した。得られた抽出液をコットンフィルターでろ過し、異物を除去した。濾液遠心式薄膜濃縮機で減圧濃縮した後、一晩凍結乾燥して、26.31gの茶褐色の粉末(甘蔗由来のエキス)を得た。

0076

製造例4
原糖製造工場で得られた生バガス2kgを使用した以外は、製造例3と同様にエキスを抽出した。得られた抽出液はコットンフィルターでろ過し、異物を除去し、半量は遠心式薄膜濃縮機で減圧濃縮した後、一晩凍結乾燥して、16.24gの茶褐色の粉末(甘蔗由来のエキス)を得た。また、残りの異物を除去した濾液は、0.45μmのセルロースアセテートフィルターで除菌のためろ過した後、遠心式薄膜濃縮機で減圧濃縮した後、一晩凍結乾燥して、15.45gの茶褐色の粉末(甘蔗由来のエキス)を得た。

0077

製造例5
原糖工場で得られた乾燥バガス350gをナイロンネット製の袋に入れ、袋ごとステンレス製寸胴鍋に入れ、50/50(体積/体積)エタノール−水混合溶媒5.25リットルを添加し、室温で2時間抽出した。得られた抽出液は濾紙(東洋濾紙No.2、アドバンテック東洋株式会社製)でろ過し、異物を除去し、濾液をエバポレーターで減圧濃縮した後、一晩凍結乾燥して、6.72gの茶褐色の粉末(甘蔗由来のエキス)を得た。

0078

製造例6
原糖工場で得られた乾燥バガス500gをナイロンネット製の袋に入れ、袋ごとステンレス製寸胴鍋に入れ、50/50(体積/体積)エタノール−水混合溶媒7.5リットルを添加し、室温で24時間抽出した。得られた抽出液は濾紙(東洋濾紙No.2、アドバンテック東洋株式会社製)でろ過し、異物を除去し、濾液をエバポレーターで減圧濃縮した後、一晩凍結乾燥して、9.95gの茶褐色の粉末(甘蔗由来のエキス)を得た。

0079

製造例7
原糖工場において、結晶缶にて2回蔗糖結晶を回収し、遠心分離により結晶を除いた振蜜である2番蜜を原料として、陽イオン交換樹脂を充填した分離糖を用いた擬似移動床式連続分離法により、イオン交換カラムクロマト分離を行った。原料の調製からイオン交換クロマト分離までの工程は連続的に行われるため、各工程の液の固形分濃度や組成は時間と共に若干変動するが、以下の濃度や組成は定常運転における測定値である。2番蜜はブリックス(Bx.)が約85であった。この濃度はカラムクロマト処理を行うには高いため、ブリックス約50に希釈した。これに、消石灰炭酸ソーダを添加して不純物凝集させ、ケイソウ土ろ過を行った。得られたろ液は、ブリックス47.3、糖度(Pol.)23.6、純糖率(Purity)49.9、還元糖分2.5%であった。ろ液をイオン交換クロマトグラフィーの原料として用いた。陽イオン交換樹脂としてUBK530(三菱化学株式会社)を用いた擬似移動床式連続分離法によるイオン交換クロマトグラフィーを行った。樹脂を充填した分離塔は8分割されており、1塔当たりの樹脂量は6.5m3である。原料液と溶離液(水)の供給、および蔗糖画分と非蔗糖画分の抜き出し位置を一定時間毎切り替えることにより、連続的に供給、抜き出しを行った。定常時の既定値は、供給流量3m3/時間、溶離水流量13.5m3/時間、非蔗糖画分抜き出し流量12.13m3/時間、蔗糖画分抜き出し流量4.37m3/時間、切り替え時間267秒であった。このクロマトグラフィー処理により、蔗糖画分と非蔗糖画分が分離された。これらは夫々、後述の図1における画分10〜17、および画分1〜9と画分18〜30とを合わせたものに相当する。蔗糖画分は蔗糖が固形分当たり約87%(HPLC分析による)でブリックスは約35であり、この画分を、清浄汁と混合して製糖本工程に戻し、再び蔗糖を回収する操作を行った。また、得られた非蔗糖画分は、蔗糖分が約0.3%(HPLC分析による)でブリックスが約8であった。この非蔗糖画分を濃縮缶により濃縮し、ブリックス40.0、糖度(Pol.)2.3、純糖率(Purity)5.8、還元糖分5.4%とした。この非蔗糖画分を、後の試験に用いるため、1晩凍結乾燥処理に付した。得られた凍結乾燥粉末0.25gを0.5mMリン酸バッファー(pH7.5)で100ml溶液にし、波長420nmでの吸光度を測定した。吸光度は1.11であった。

0080

製造例8
原糖工場で得られた2番蜜処理液を原料として、単塔式回分分離法によるイオン交換カラムクロマトグラフィー処理を行った。原料として使用した2番蜜処理液は、2番蜜を希釈後、炭酸ソーダによる清浄処理、ケイソウ土ろ過を行ったものである。この原料液の分析値は、ブリックス47.4、糖度(Pol.)23.2、純糖率(Purity)48.9、還元糖分3.2%であった。この原料を用いて、FPLCシステム(ファルマシア株式会社製)を用いた単塔式回分分離法によるイオン交換クロマトグラフィーによる分画分離を行った。カラムにゲル型の強酸性陽イオン交換樹脂UBK530、ナトリウムイオン型(商標、三菱化学株式会社)500mlを充填した。カラムは内径26mm、高さ1000mmで、フローアダプター付きであった。通液条件は、溶離液として脱気した蒸留水を用い、流速SV=0.5hr-1(4.17ml/分)、温度60℃で行った。約25mlの原料をカラムに供与した。分画条件は、原料供与30分後から溶出液の回収を開始し、試験管1本当たり3.6分間(約15ml/本)回収し、全部で30本回収した。得られた30画分についての波長420nmの吸光度、電気伝導度、および糖濃度を測定し、図1に示した。ここで、吸光度測定のためには、0.5mMリン酸バッファー(pH7.5)2mlに各画分0.1mlを加えて試料とした。電気伝導度測定のためには、各画分を蒸留水で0.5%に希釈して試料とした。糖濃度はHPLCにより測定された。各ピークの分析を行うため、波長420nmの吸光ピーク部分を4つに、また蔗糖のピーク部分を3つに、蔗糖のピーク以降を1つにまとめた。すなわち、画分3および4を合わせてサンプル1に、画分5および6を合わせてサンプル2に、画分7および8を合わせてサンプル3に、画分9および10を合わせてサンプル4に、画分11および12を合わせてサンプル5に、画分13および14を合わせてサンプル6に、画分15および画分16を合わせてサンプル7に、画分17〜30を合わせてサンプル8とした。画分1および2は溶出される成分がほとんどないため、廃棄した。各サンプルを1晩凍結乾燥して、粉末とした。得られた凍結乾燥粉末0.25gを0.5mMリン酸バッファー(pH7.5)に溶解して100mlとし、波長420nmでの吸光度を測定した。また、凍結乾燥固形分の分配比率電導度灰分(塩分)、蔗糖、グルコースおよびフラクトース含量、ポリフェノール量も測定した。電導度灰分は、電気伝導度と既知硫酸灰分の関係の検量線から係数を求め算出したものであり、蔗糖、グルコースおよびフラクトース含量はHPLC分析により求めたものを、それぞれ各サンプルの固形分重量に対する比(%)として示した。ポリフェノール含量は、カテキン水溶液標準溶液として検量線を引き、フェノール試薬で反応させて波長765nmの吸光度を測定するフォリンチオカルト法により測定し、カテキン換算の値として示した。凍結乾燥固形分の分配比率は、全サンプルの固形分重量の合計に対する各サンプルの固形分重量の比(%)である。各サンプルの分析結果を以下の表1に示した。サンプル8の吸光度は0.86と比較的高かったが、これはテーリングした成分を集めて濃縮したものだからである。他のサンプルは2画分ずつを一緒にしたものであるのに対し、サンプル8は14画分を合わせたものである。従って、420nmの吸光度は高いが、この画分だけを本効果の画分として回収するのは効率が悪い。糖分含量から、サンプル1〜3および8が非蔗糖分画分に相当し、サンプル4〜7が蔗糖分画分に相当することがわかる。

0081

0082

甘蔗由来のエキスの急性毒性試験
製造例1で得られたエキス粉末を使用して、ラットを用いた単回経口投与毒性試験を行った。Sprague-Dawley系SPFラット(Crj:CD(SD))の雌雄各16匹を5週令で入手し、約1週間検疫馴化飼育した。飼育条件は、温度23±3℃、相対湿度50±20%、換気回数1時間10〜15回、照明1日12時間であり、固形飼料(CFR−1(商品名)、オリエンタ酵母株式会社)及び飲料水を自由に摂取させて飼育した。その後、健康な動物を選び、6週令で試験に供した。投与時の体重範囲は雄で157〜171g、雌で123〜133gであった。投与前一晩(約16時間)絶食させたラットに、蒸留水で所定の濃度になるように調製した甘蔗由来の画分を一定の投与容量(10ml/kg体重)にて1回強制経口投与した。対照群の動物には滅菌蒸留水のみを同様に投与した。投与量は、200mg/kgおよび1000mg/kgの2用量とし、これに対照群を加えて計3群を使用した。1群の動物数は雌雄共に5匹とした。絶食後の再給餌は、投与6時間後に開始し、その後14日間、上記飼育条件にて飼育した。結果を以下の表2に示す。

0083

0084

投与後14日間が経過した後、雌雄とも最大投与量の1000mg/kgでも、ラットの死亡は認められなかったので、致死量は1000mg/kgを上回るものと推定される。飼育中いずれのラットにおいても異常は認められず、さらに各被検液投与群の雌雄の体重は、対照群とほぼ同等であった。また、いずれのラットにおいても、解剖学検査の結果、体外表、頭部、胸部および腹部器官組織に異常は見られなかった。

0085

以上の結果から、製造例1で得られたエキス粉末をラットに単回経口投与毒性試験を行ったときの毒性は極めて弱いものと考えられる。

0086

実施例1(D−ガラクトサミン急性肝障害モデルに対する作用)
製造例1〜7で得られた甘蔗由来のエキスまたはウコンエキス粉末(丸善製薬株式会社製)をそれぞれ1回投与当り500mg/kgの用量で、1群5匹のSlc:ICR雄性5〜6週令マウス(体重25〜30g)に1日1回、5日間連続経口投与し、5日目にD−ガラクトサミン5g/kgを生理食塩液に1匹分当たり0.2mlになるように溶解したものを、腹腔内投与した。この際、ウコンエキスは0.5mlの蒸留水に溶解して用い、甘蔗由来のエキスはそのまま用いた。エキス投与開始から6日目に全採血し、得られた血液を遠心分離し、血漿中の肝機能検査値(GOT、GPT)を測定した。また、陰性対照群として、エキスの代わりに同容量の蒸留水を経口投与しかつD−ガラクトサミンを投与しない群を設定した。陽性対照群として、エキスの代わりに同容量の蒸留水を経口投与し、エキス投与群と同様に肝障害を惹起させた群を設定した。結果を以下の表3に示した。甘蔗由来のエキスを投与した群の肝機能検査値は、どれも陰性対照群の値に近く、陽性対照群と比較し肝障害が軽減された。また、ウコンエキスを投与した群も対照と比較し肝機能が改善されたが、甘蔗由来のエキスを投与した群よりその効果は低かった。以上のことから、甘蔗由来のエキスはD−ガラクトサミン急性肝障害モデルに対する肝機能増強作用を示すことが明らかになった。

0087

0088

実施例2(四塩化炭素急性肝障害モデルに対する作用)
製造例1〜3および5〜6で得られた甘蔗由来のエキスをそれぞれ1回投与当たり100〜500mg/kg(0.5mlになるように注射用蒸留水に溶解したもの)の用量で、1群5匹のSlc:ICR雄性5〜6週令マウス(体重25〜30g)に1日1回、5日間連続投与し、5日目のエキス投与の6時間前に肝障害負荷として、四塩化炭素(CCl4)0.001ml(オリーブオイルに懸濁して0.5mlにしたもの)を経口投与した。エキス投与開始から6日目に全採血し、得られた血液を遠心分離し、血漿中の肝機能検査値(GOT、GPT)を測定した。また、陰性対照群として、エキスの代わりに同容量の蒸留水を経口投与しかつ四塩化炭素を投与しない群を設定した。陽性対照群として、エキスの代わりに同容量の蒸留水を経口投与し、エキス投与群と同様に肝障害を惹起させた群を設定した。結果を以下の表4に示した。エキス投与群の値は、陰性対照群の値と陽性対照群の値の中間の値を示し、エキスの投与量に依存して陰性対照群の値に近づいており、肝細胞保護作用が見られた。以上のことから、甘蔗由来のエキスは四塩化炭素急性肝障害モデルに対する肝機能増強作用を示すことが明らかになった。

0089

0090

実施例3(フェノバルビタール+四塩化炭素急性肝障害モデル)
製造例1、3、5および6で得られた甘蔗由来のエキスをそれぞれ1回投与当たり500mg/kg(0.5mlになるように注射用蒸留水に溶解したもの)の用量で、1群5匹のSlc:ICR雄性5〜6週令マウス(体重25〜30g)に1日1回、5日間連続経口投与した。また、肝障害負荷として、0.5%フェノバルビタールナトリウム生食液を0.5ml、エキス投与開始日から1日1回、4日間連続経口投与し、また四塩化炭素0.05ml(オリーブオイルに懸濁して0.5mlにしたもの)を5日目のエキス投与の6時間前に経口投与した。エキス投与開始から6日目に全採血し、得られた血液を遠心分離し、血漿中の肝機能検査値(GOT、GPT)を測定した。また、陰性対照群として、エキスの代わりに同容量の蒸留水を経口投与しかつフェノバルビタールナトリウムおよび四塩化炭素を投与しない群を設定した。陽性対照群として、エキスの代わりに同容量の蒸留水を経口投与し、エキス投与群と同様に肝障害を惹起させた群を設定した。結果を以下の表5に示した。甘蔗由来のエキスを投与した群の肝機能検査値は、どれも陰性対照群の値に近く、陽性対照群と比較し肝機能が改善された。以上のことから、甘蔗由来のエキスはフェノバルビタール+四塩化炭素急性肝障害モデルに対する肝機能増強作用を示すことが明らかになった。

0091

0092

実施例4(α−ナフチルイソチオシアネート急性肝障害モデルに対する作用)
製造例1、3、5および6で得られた甘蔗由来のエキスをそれぞれ1回投与当たり500mg/kg(0.5mlになるように注射用蒸留水に溶解したもの)の用量で、1群5匹のSlc:ICR雄性5〜6週令マウス(体重25〜30g)に1日1回、5日間連続経口投与し、5日目にオリーブオイル0.51mlに懸濁したα−ナフチルイソチオシアネート(ANIT)100mg/kgを経口投与した。エキス投与開始から6日目に全採血し、得られた血液を遠心分離し、血漿中の肝機能検査値(GOT、GPT)を測定した。また、陰性対照群として、エキスの代わりに同容量の蒸留水を経口投与しかつANITを投与しない群を設定した。陽性対照群として、エキスの代わりに同容量の蒸留水を経口投与し、エキス投与群と同様に肝障害を惹起させた群を設定した。結果を以下の表6に示した。甘蔗由来のエキスを投与した群の肝機能検査値はどれも陰性対照群の値に近く、陽性対照群と比較し肝機能が改善された。以上のことから、甘蔗由来のエキスはANIT急性肝障害モデルに対する肝機能増強作用を示すことが明らかになった。

0093

発明の効果

0094

本発明によれば、甘蔗由来のエキスをヒトまたは動物に例えば経口的に与えることにより、ヒトまたは動物の肝障害を予防、治療および低減することができる。しかも、甘蔗由来のエキスは植物由来であり、古来より、ヒトが黒糖などの含蜜糖として食してきた天然物に含まれるため、ヒトおよび動物の健康を害することなく安全で、しかも低コストである。また、天然物であるにもかかわらずその肝機能増強効果は高く、少量で作用するため、産業上非常に有用である。

0095

図面の簡単な説明

0096

図1製造例8で行ったイオン交換樹脂を用いた分離により得た画分の吸光度、電気伝導度および糖濃度を示すグラフ。

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