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技術 射出成形材の成形方法

出願人 マツダ株式会社
発明者 坂本和夫魚崎靖夫坂手宣夫
出願日 2000年4月7日 (20年8ヶ月経過) 出願番号 2000-106342
公開日 2001年10月16日 (19年2ヶ月経過) 公開番号 2001-287008
状態 拒絶査定
技術分野 鋳造前の予備処理と金属の鋳造 チル鋳造・ダイキャスト
主要キーワード 金属成形材 射出成形材 Mg合金製 定常圧力 体積和 一次製品 ワンショット分 正方形板
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2001年10月16日)のものです。
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図面 (10)

課題

冷却速度が速いMg合金流動性の低い半溶融乃至溶融状態溶湯として射出成形するような場合にも、キャビティへの充填不良が生じることのない射出成形材成形方法を提供する。

解決手段

Mg合金溶湯融点未満の半溶融状態、又は融点乃至融点直上の溶融状態で射出成形する射出成形材の成形方法において、射出成形材を成形するためのキャビティを100kPa以下に減圧し、減圧状態にあるキャビティに上記Mg合金溶湯を流入させる。

概要

背景

金属成形材の製造方法として、鋳造法鍛造法とを組み合わせた鋳造鍛造法がある。具体的には、鋳造鍛造法は、鋳造法にて最終成形品に近い鍛造素材を製造し、その鍛造素材を鍛造法にて加工することにより最終形状に仕上げるというものである。この方法によれば、鋳造工程において最終製品に近い鍛造素材が製造され、仕上鍛造を1工程のみに簡略化することができるので、多数の金型が不要となるため経済性に優れ、しかも高強度の鍛造材を得ることができる。

しかしながら、鍛造加工前の鍛造素材にガス欠陥引け巣のような内部欠陥が多く含まれると、高強度の鍛造材を得ることができず、しかも強度バラツキが大きくなる、という問題がある。特に、鋳造鍛造法を適用することによる経済的なメリットが大きい自動車用ロードホイールサスペンションアームなどの肉厚が大きな部品は、薄肉部品に比べて内部欠陥を多く含む傾向がある。かかる内部欠陥は、鋳造工程において、金属溶湯がエアを巻き込んだり、溶湯凝固する際に収縮することにより生じるものである。

そして、成形材へのエアの巻き込みを防止する手段として、特開平8−319523号公報には、過共晶Al−Si合金素材を固液共存域誘導加熱し、67kPa以下の減圧状態にある成形機金型内へそれを充填することが記載されている。

また、射出成形法において、固体成分の多い半溶融状態軽金属溶湯を低速でキャビティに充填するようにすれば、射出成形材においてエアの巻き込みによる内部欠陥の発生が抑止されることとなる。

概要

冷却速度が速いMg合金流動性の低い半溶融乃至溶融状態の溶湯として射出成形するような場合にも、キャビティへの充填不良が生じることのない射出成形材の成形方法を提供する。

Mg合金溶湯融点未満の半溶融状態、又は融点乃至融点直上の溶融状態で射出成形する射出成形材の成形方法において、射出成形材を成形するためのキャビティを100kPa以下に減圧し、減圧状態にあるキャビティに上記Mg合金溶湯を流入させる。

目的

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冷却速度が速いMg合金を流動性の低い半溶融乃至溶融状態の溶湯として射出成形するような場合にも、キャビティへの充填不良が生じることのない射出成形材の成形方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

Mg合金溶湯融点未満の半溶融状態、又は融点乃至融点直上の溶融状態射出成形する射出成形材成形方法であって、上記射出成形材を成形するためのキャビティを100kPa以下に減圧し、該減圧状態にあるキャビティに上記Mg合金溶湯を流入させることを特徴とする射出成形材の成形方法。

請求項2

上記キャビティへの上記Mg合金溶湯の流入速度を30m/s以下とすることを特徴とする請求項1に記載の射出成形材の成形方法。

請求項3

上記流入速度を1〜10m/sとすることを特徴とする請求項2に記載の射出成形材の成形方法。

請求項4

上記キャビティへの上記Mg合金溶湯の流入口であるゲート部の断面積Sgと、溶湯流入方向に対して略垂直な方向における該キャビティの最大断面積Swとの比Sg/Swを、0.2以上とすることを特徴とする請求項1に記載の射出成形材の成形方法。

請求項5

上記キャビティへの上記Mg合金溶湯の流入口であるゲート部の断面積Sgと、溶湯流入方向に対して略垂直な方向における該キャビティの最大断面積Swとの比Sg/Swを、0.8以上とすることを特徴とする請求項1に記載の射出成形材の成形方法。

請求項6

上記キャビティを10kPa以下に減圧し、該減圧状態にあるキャビティに上記Mg合金溶湯を流入させることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一に記載の射出成形材の成形方法。

請求項7

上記キャビティへの上記Mg合金溶湯の流入過程で該キャビティを減圧するための排気を行う場合において、該排気は上記Mg合金溶湯の流入口であるゲート部から最も離れた位置から行うことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一に記載の射出成形材の成形方法。

請求項8

上記Mg合金溶湯を融点未満の半溶融状態で上記キャビティに流入させることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一に記載の射出成形材の成形方法。

請求項9

上記半溶融状態は、固相と液相との体積和に対する固相の体積百分率である固相率が10%以上であることを特徴とする請求項8に記載の射出成形材の成形方法。

技術分野

0001

本発明は、Mg合金射出成形材成形方法に関する。

背景技術

0002

金属成形材の製造方法として、鋳造法鍛造法とを組み合わせた鋳造鍛造法がある。具体的には、鋳造鍛造法は、鋳造法にて最終成形品に近い鍛造素材を製造し、その鍛造素材を鍛造法にて加工することにより最終形状に仕上げるというものである。この方法によれば、鋳造工程において最終製品に近い鍛造素材が製造され、仕上鍛造を1工程のみに簡略化することができるので、多数の金型が不要となるため経済性に優れ、しかも高強度の鍛造材を得ることができる。

0003

しかしながら、鍛造加工前の鍛造素材にガス欠陥引け巣のような内部欠陥が多く含まれると、高強度の鍛造材を得ることができず、しかも強度バラツキが大きくなる、という問題がある。特に、鋳造鍛造法を適用することによる経済的なメリットが大きい自動車用ロードホイールサスペンションアームなどの肉厚が大きな部品は、薄肉部品に比べて内部欠陥を多く含む傾向がある。かかる内部欠陥は、鋳造工程において、金属溶湯がエアを巻き込んだり、溶湯凝固する際に収縮することにより生じるものである。

0004

そして、成形材へのエアの巻き込みを防止する手段として、特開平8−319523号公報には、過共晶Al−Si合金素材を固液共存域誘導加熱し、67kPa以下の減圧状態にある成形機金型内へそれを充填することが記載されている。

0005

また、射出成形法において、固体成分の多い半溶融状態軽金属溶湯を低速でキャビティに充填するようにすれば、射出成形材においてエアの巻き込みによる内部欠陥の発生が抑止されることとなる。

発明が解決しようとする課題

0006

しかし、上記のように固体成分の多い半溶融状態の溶湯を低速でキャビティに充填して大型部品成形するような場合、溶湯の流動性が低いためにゲート部から遠い周辺部に溶湯が行き渡らず、未充填部分を生じるという問題がある。特に、冷却速度が速いMg合金を成形材料として用いる場合、この問題は顕著なものとなる。

0007

本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、冷却速度が速いMg合金を流動性の低い半溶融乃至溶融状態の溶湯として射出成形するような場合にも、キャビティへの充填不良が生じることのない射出成形材の成形方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、流動性の低い半溶融乃至溶融状態のMg合金溶湯を、減圧されたキャビティに流入させるようにしたものである。

0009

具体的には、本出願の発明は、Mg合金溶湯を融点未満の半溶融状態、又は融点乃至融点直上の溶融状態で射出成形する射出成形材の成形方法であって、上記射出成形材を成形するためのキャビティを100kPa以下に減圧し、該減圧状態にあるキャビティに上記Mg合金溶湯を流入させることを特徴とする。

0010

上記の構成によれば、100kPa以下に減圧された状態にあるキャビティに、流動性の低い半溶融乃至溶融状態のMg合金溶湯が流入することとなるので、Al等に比し冷却速度が速いMg合金であってもキャビティの各部に溶湯が行き渡り溶湯充填性の向上が有効に図られることとなる。しかも、溶湯は融点未満の半溶融状態、又は融点乃至融点直上の溶融状態でキャビティに流入することとなるので、エアの巻き込みによる射出成形材への内部欠陥の発生もが有効に抑止されることとなる。

0011

ここで、キャビティを100kPa以下としたのは、100kPaより高くなると大気圧と同等となって減圧による上記効果を得ることができないからである。また、キャビティを10kPa以下に減圧するようにすれば、上記効果をより有効に得ることができる。

0012

また、キャビティの減圧は溶湯を流入させる前に事前に行うようにしてもよく、若しくは、キャビティを減圧するための排気を行いながら溶湯を流入させるようにしてもよい。

0013

そして、Mg合金とは、Mgをマトリックスとする合金をいい、具体的には、ASTMにおいて規格化されているAZ91D等を挙げることができる。

0014

また、半溶融状態とは、原料であるMg合金が固体状態のままの部分と、融解して液体状態となった部分とが共存している状態をいい、通常、Mg合金原料を融点未満に加熱することによって得られる状態である。

0015

本出願の発明は、融点未満の半溶融状態のMg合金溶湯により成形する場合に極めて有効である。かかる溶湯は流動性が特に低いからである。そして、この場合、固相と液相との体積和に対する固相の体積百分率である固相率が10%以上となるように溶湯を構成するようにすれば、キャビティへの溶湯の流入が緩やかな層流となるため、内部欠陥(特にガス欠陥)の少ない健全な射出成形材が成形されることとなる。また、溶湯が凝固した際に生じる収縮は専ら液相の収縮に起因するものであるため、溶湯が凝固した際の収縮量が小さいものとなり、寸法精度が良好な射出成形材が得られると共に、内部欠陥をなす引け巣も少なくなる。

0016

ところで、射出成形法において、成形過程でのエアの巻き込みを防止して射出成形材への内部欠陥の発生を抑止するためには、Mg合金溶湯を融点未満の半溶融状態、融点乃至融点直上の溶融状態といった流動性が低いものとし、しかもキャビティへの溶湯の流入速度を30m/s以下、好ましくは1〜10m/sに低くすることが有効であるが、このような場合にキャビティへの溶湯の充填不良が顕著となるため、本出願の発明の溶湯充填性向上効果がより有効に奏されることとなる。

0017

ここで、流入速度を30m/sより速くすると、溶湯が乱流状態となって、射出成形材にエアの巻き込みによる内部欠陥が多く発生することとなる。また、流入速度を1m/sより遅くすると溶湯の充填不良が生じやすくなる。

0018

また、成形過程でのエアの巻き込みを防止して射出成形材への内部欠陥の発生を抑止するためには、キャビティへの溶湯の流入口であるゲート部の断面積Sgと、溶湯流入方向に対して略垂直な方向における該キャビティの最大断面積Swとの比Sg/Swを、0.2以上、好ましくは0.8以上として、溶湯の流入口を大きく設けることにより、溶湯を層流又は層流に近い状態でキャビティに緩やかに流入させることも有効であるが、かかる場合にも本出願の溶湯充填性向上効果がより有効に奏されることとなる。

0019

ここで、Sg/Swを0.2より小さくすると溶湯が狭いゲート部から広いキャビティに解放されることにより乱流状態となって、射出成形材にエアの巻き込みによる内部欠陥が多く発生することとなる。また、この比を大きくするほど射出成形材の内部欠陥を減少させることができるが、0.8以上では内部欠陥率を極めて低い値に維持できるようになる。なお、この比が1.0よりも大きい、すなわち、ゲート部の断面積Sgの方がキャビティの最大断面積Swより大きい場合、技術的な不都合は発生しないものの、ゲート部に余剰成形体が生成することとなり、歩留まりが悪くなるという問題が生じる。

0020

また、キャビティとは、金型内において、製品としての射出成形材を成形するための空間をいい、例えば、ゲート部における溶湯流路絞り部分が設けられずに、実質的にゲート部が存在しないような場合であっても同様であり、その場合には、キャビティまで連通した溶湯の流通路ランナー部)とキャビティとの境界部がゲート部となる。

0021

本出願の発明において、キャビティへの溶湯の流入過程でキャビティを減圧するための排気を行う場合には、その排気はキャビティにおけるゲート部から最も離れた位置から行うことが好ましい。キャビティのゲート部から最も離れた位置が溶湯の充填性が最も劣るが、上記の構成によれば、溶湯はゲート部から排気口に向かって常に減圧された状態でキャビティを充填しながら流れることとなるので、確実に排気口の位置まで溶湯が導かれることとなるからである。

0022

本出願の発明によって製造される射出成形材は、鍛造加工等の塑性加工用素材として使用することができる。鍛造型で形成される鍛造成型空間が完全には閉塞されておらず、鍛造用素材の少なくとも一部が鍛造型によって拘束されずにフリー塑性変形し得るようになった非閉塞鍛造加工のような場合、鍛造工程で内部欠陥を十分に潰すということは困難であるが、本出願の発明によって製造される射出成形材では内部欠陥が極めて少なく成形されるため、非閉塞鍛造加工のような非閉塞塑性加工においても十分に内部欠陥を潰すことができる。もちろん、閉塞鍛造加工のような閉塞塑性加工を施しても十分に内部欠陥を潰すことができる。

0023

また、本出願の発明によって製造される射出成形材は内部欠陥が極めて少ないものであるため、そのまま一次製品として使用できる。

発明の効果

0024

本出願の発明によれば、減圧された状態にあるキャビティに、流動性の低い半溶融乃至溶融状態のMg合金溶湯が流入することとなるので、Al等に比し冷却速度が速いMg合金であってもキャビティの各部に溶湯が行き渡り、溶湯充填性の向上を有効に図ることができる。しかも、溶湯は融点未満の半溶融状態、又は融点乃至融点直上の溶融状態でキャビティに流入することとなるので、エアの巻き込みによる射出成形材への内部欠陥の発生を有効に抑止することができる。

発明を実施するための最良の形態

0025

射出成形装置図1は、本実施形態に係るMg合金製の射出成形材(鍛造素材)を成形する射出成形装置1を示す。

0026

この射出成形装置1は、本体部2と、本体部2に回転可能に支持されたスクリュー3と、本体部2の背部に配置されたスクリュー3を回転駆動するための回転駆動部4と、スクリュー3を囲うようにして本体部2に固定されたシリンダ5と、シリンダ5の外周に長手方向に所定ピッチで間隔をおいて配設されたヒータ6と、Mg合金原料が投入され貯えられるホッパ7と、ホッパ7内の原料を計量して射出成形装置1内に供給するフィーダ8と、シリンダ5の先端に装着された金型9とを備えている。

0027

本体部2には、スクリュー3をシリンダ5内の長手方向に前進させる射出機構が設けられている。この射出機構は、前方に送られるMg合金溶湯の圧力により後退するスクリュー3の後退距離が予め設定されたものとなった際に、それを検知してスクリュー3の回転及び後退動作を停止させ、所定のタイミングでスクリュー3を前進させて溶湯を射出するように構成されている。スクリュー3の前進速度は制御可能とされており、金型9のキャビティ12への溶湯の流入速度が1〜30m/sの範囲となるように制御がなされるようになっている。

0028

シリンダ5には、先端部にノズル10が設けられており、シリンダ5内で攪拌混練された溶湯がこのノズル10を通してキャビティ12に射出されるようになっている。このキャビティ12への溶湯の射出は、シリンダ5前方部に所定量の溶湯が溜まったときに行われるので、それまでの間は、溶湯のノズル10からの流出を防止する必要がある。そこで、溶湯をシリンダ5前方部に溜めている間は、冷却装置によりノズル10の温度を下げて、溶湯が固化して形成されるコールドプラグによりノズル10を塞ぎ、溶湯を射出する際は、ノズル用ヒータによりノズル10の温度を上げて、コールドプラグのノズル10との界面を溶融させて溶湯の射出と共にそれが容易に金型9側に押し出されて外れるようにノズル10の温度制御がなされている。

0029

シリンダ5の外周に設けられたヒータ6は、シリンダ5が長手方向に沿って前方に行くほど高温となるように、複数のゾーンに分割されて温度制御が行われ、Mg合金原料がスクリュー3によってシリンダ5内を前方に搬送されながら昇温し、シリンダ5前方部において融点未満の半溶融状態の溶湯、又は融点乃至融点直上の溶融状態となるように制御されている。

0030

ホッパ7、フィーダ8及びシリンダ5並びにこれらを連結する通路には、Mg合金の酸化を防止するために不活性ガス(例えばArガス)が充填されている。

0031

金型9は、ノズル10から射出された溶湯を導くランナー部11を有している。そのランナー部11は、シリンダ5のノズル10から真っ直ぐに延びた後、垂直に立ち上がるL字状に形成されており、その角部にはノズル10から外れたコールドプラグを受けるためのプラグ受け部11aが設けられている。また、金型9は、図2に示すように、ランナー部11と連通した幅100mm、長さ170mm及び厚さ10mmの板状の製品を成形加工するためのキャビティ12と、キャビティ12とランナー部11との境界をなすゲート部13と、キャビティ12のゲート部13と反対側に設けられ、溶湯により置換されたキャビティ12内のガスを収容するためのオーバーフロー部14と、オーバーフロー部14に続いて隙間状に形成されたチルベント15と、チルベント15と金型外部と連通するように形成された排気口16と、排気口16の連通と遮断とを切り替えるためのバルブ17と、キャビティ12等を囲うように金型外周近傍に設けられた環状溝に嵌め入れられたシール18とを備えている。

0032

キャビティ12及びランナー部11の隙間は10mmに形成されており、ゲート部13の隙間は2〜10mmに形成されている(図2では、ゲート部13の隙間が2mm)。ここで、ゲート部13の隙間が2〜10mmであることからゲート断面積Sgは200〜1000mm2となり、キャビティ12の水平断面積Swは1000mm2であることから、Sg/Swは0.2〜1.0となる。Sg/Sw=1.0とは、ゲート部13の断面積とキャビティ12の断面積とが等しいことを意味し、ゲート部13で溶湯流路が狭くなるように形成されていないことを意味する。そして、このSg/Swを0.2〜1.0の範囲で適当に設定することによっても、キャビティ12への溶湯の流入速度を制御することができる。また、その制御は、スクリュー3の前進速度との組み合わせによっても行うことができる。

0033

排気口16の金型外側の開口部は真空チャンバーに繋がっており、バルブを開くことによりキャビティ12等のエアがオーバーフロー部14及びチルベント15を経て排気口16から外部に排出されて10kPa以下に減圧されることとなる。すなわち、キャビティ12は、ゲート部13から最も離れたオーバーフロー部14側の上部から排気されることとなる。このとき、シール18が対面する射出成形装置側の金型に圧接するため、金型9の合わせ部からのキャビティ12等へのエアの流入が防止される。
射出成形方法)次に、上記射出成形装置1を用いたMg合金の射出成形方法について説明する。

0034

まず、チップ状のMg合金(例えばMg−Al合金等)を原料として射出成形装置1のホッパ7に投入する。投入されたMg合金チップは、フィーダ8で所定量が計量されて射出成形装置1内に供給される。

0035

次いで、Mg合金チップは、スクリュー3の回転によって加熱状態のシリンダ5内に送給されると共に、シリンダ5内部でスクリュー3の回転により十分に攪拌・混練されながら所定温度に加熱される。これによって、Mg合金チップは、融点未満における固相率10%以上の半溶融状態のMg合金溶湯となる。

0036

このようにして得られた溶湯は、スクリュー3によって前方に押し出されてシリンダ5前方部に溜められると共に、溜まった溶湯の圧力によりスクリュー3が後退する。このとき、シリンダ5に設けられたプラグの温度を下げ、溶湯の一部が固化して形成されたコールドプラグによってプラグが塞がれるようにして、溶湯がプラグを通ってシリンダ5外に流出するのを防ぐ。

0037

スクリュー3が予め設定された距離だけ後退すると、本体部2の射出機構がそれを検知してスクリュー3の回転及び後退動作を停止させる。このとき、シリンダ5前方部にはワンショット分の溶湯が溜まった状態となっている。

0038

これに並行して、金型9に設けられたバルブ17を開くことにより排気し、キャビティ12等を10kPa以下に減圧する。キャビティ12が減圧状態となった時点でバルブ17を閉じる。

0039

そして、ノズル用ヒータでノズル10の温度を上げることにより、コールドプラグのノズル10との界面を溶融させると共に、射出機構によってスクリュー3を前進させて溶湯に圧力を作用させることにより、コールドプラグを金型9側に押し出して外し、ノズル10から射出された溶湯を定常圧力でキャビティ12に流入させる。なお、外れたコールドプラグはランナー部11のプラグ受け部11aに保持されることとなる。

0040

また、キャビティ12への溶湯の流入速度は1〜30m/s(好ましくは10m/s以下)となるように制御を行う。この制御は、スクリュー3の前進速度を適当な範囲で設定すること、又は金型9のゲート部13の断面積Sgとキャビティ12の断面積Swとの比Sg/Swを0.2〜1.0の範囲で設定すること、若しくはこれらの組み合わせにより達成される。

0041

最後に、溶湯が凝固した後、金型9を開き、成形された射出成形材を取り出す。

0042

取り出した射出成形材は、鍛造素材として鍛造加工を施し、その後、T6等の熱処理を施す。

0043

上記の射出成形材の製造方法によれば、キャビティ12が10kPa以下に減圧された状態にあるので、Al等に比し冷却速度が速く且つ流動性の極めて低い固相率10%以上の半溶融状態のMg合金溶湯が、Sg/Sw0.2以上(好ましくは0.8以上)とされたゲート部13から、流入速度30m/s以下(好ましくは1〜10m/s)の低速でキャビティ12に流入する場合であっても、キャビティ12の各部に溶湯が行き渡り、充填不良のない射出成形材を得ることができる。

0044

しかも、溶湯は半溶融状態でキャビティ12に流入し、また、キャビティ12への溶湯の流入速度が30m/s以下(好ましくは1〜10m/s)とされ、さらにSg/Swが0.2以上(好ましくは0.8以上)とされているので、エアの巻き込みによる射出成形材への内部欠陥の発生が有効に抑止される。
(その他の実施形態)上記実施形態では、キャビティ12を10kPa以下に減圧したが、100kPa以下に減圧しても同様の効果を得ることができる。但し、圧力を約50〜100kPaとする場合には、金型9のシール18を外すことが好ましい。シール18による密閉によりキャビティ12に残留するエアが逃げる空間が無くなり、溶湯の充填不良を生じる虞があるからである。また、かかる圧力範囲であれば、溶湯の流入過程においてもキャビティ12からの排気をシール18を外した状態で継続して行うようにしてもよい。かかる排気は、キャビティ12におけるゲート部13から最も離れたキャビティ12上部から行われるので、溶湯はゲート部13から排気口に向かって常に減圧された状態でキャビティ12を充填しながら流れることとなり、確実にキャビティ12上部まで溶湯が導かれることとなる。

0045

また、上記実施形態では、Mg合金チップを固相率が10%以上の半溶融状態となるように加熱したが、融点乃至融点直上の溶融状態に加熱するようにしてもよい。

0046

試験評価1)射出成型時金型内圧力(キャビティ内の圧力)と、射出成形材の相対密度との関係についての試験評価を行った。
<試験評価方法>ゲート部の断面積Sgとキャビティの断面積Swとの比Sg/Swを1.0とした点を除いては、図2に示す金型と同一構成の金型Aを準備した。

0047

金型Aを装着した型締め力4.4×106Nの射出成形装置(株式会社日本製鋼所社製型式:JLM−450E)を用い、型内圧力キャビティ内圧力)を4水準変量し、各減圧条件において表1に示す合金Aから幅100mm、長さ170mm及び厚さ10mmの金属板状の射出成形材をそれぞれ射出成形した。このとき、型内圧力(キャビティ内圧力)を50kPa未満に減圧する場合には金型にシールを装着して成形を行ったが、50kPa以上ではシールを外して成形を行った。減圧はキャビティへの溶湯の流入に先立って行った。また、キャビティへの溶湯流入速度は10m/sとした。さらに、成形した射出成形材の固相率が10%以上となるように溶湯の温度制御を行い、固相率は成形した射出成形材表面を画像解析することにより確認した。ここで、合金Aは、ASTM規格におけるAZ91Dである。

0048

次いで、それぞれの射出成形材の上部(オーバーフロー部側)及び下部(ゲート部側)から、図3に示すように、一辺33mmの正方形板を計6枚切り出し、各正方形板の密度アルキメデス法により測定して平均した。その密度の平均値同形状を合金Aで完全に充填した場合に計測されると考えられる理論密度で除し、それを100倍して相対密度とした。すなわち、100と相対密度との差が内部欠陥率ということになる。

0049

0050

<試験評価結果>図4は、型内圧力(キャビティ内圧力)と、射出成形材の相対密度との関係を示す。同図によれば、型内圧力(キャビティ内圧力)が低くなるに連れ成形品の相対密度が高くなることが分かる。これは、キャビティを減圧することにより、キャビティ内での溶湯の湯廻り性が向上したためであると考えられる。型内圧力(キャビティ内圧力)が10kPa以下となると相対密度はほぼ99.5%の水準に維持される。これは、射出成形材に引け巣が残るためであると考えられる。この引け巣は鍛造加工により消滅させることができる。
(試験評価2)金型における排気口を設ける位置の相異と、射出成形材の相対密度との関係についての試験評価を行った。
<試験評価方法>試験評価1における金型Aと、図5に示すように排気口をゲート部横に設けたこと及びシールが設けられていないことを除いては金型Aと同一構成の金型Bとを準備した。

0051

次いで、金型A及び金型Bのそれぞれについて、合金Aにより試験評価1と同一形状の金属板状の射出成形材をそれぞれ射出成形した。このとき、金型Aではシールを外して成形を行った。また、排気による減圧はキャビティへの溶湯の流入過程の間継続して行い、その圧力を50kPaとした。さらに、キャビティへの溶湯流入速度は10m/sとした。また、成形した射出成形材の固相率が10%以上となるように溶湯の温度制御を行い、固相率は成形した射出成形材表面を画像解析することにより確認した。

0052

次いで、それぞれの射出成形材の上部(オーバーフロー部側)から、図6に示すように、一辺33mmの正方形板を計3枚切り出し、各正方形板の密度をアルキメデス法により測定して平均し、試験評価1と同様にして相対密度を算出した。射出成形材の上部からのみ試料採取したのは、この部分で溶湯の不十分な充填が起こりやすいからである。
<試験評価結果>図7は、金型A及び金型Bのそれぞれを用いて成形した射出成形材上部の相対密度の比較を示す。同図によれば、金型Aの方が、相対密度の高い射出成形材を得ることができることが分かる。すなわち、ゲート部より離れた位置からキャビティを減圧する排気を行った方が溶湯の湯廻り性に優れるということがいえる。また、金型Aを用いて減圧を行わない以外同条件で試験を実施した場合、相対密度は95%であったのに対し、本試験評価では相対密度が99%を超えており、このことからもキャビティの減圧が湯廻り性向上に効果を有することが確認できる。
(試験評価3)射出成形におけるキャビティへの溶湯の流入速度と射出成形された射出成形材の相対密度との関係についての試験評価を行った。
<試験評価方法>試験評価1で用いた金型Aと、図2に示すようにSg/Swを0.2とした金型Cとを準備した。

0053

次いで、金型A及び金型Cのそれぞれについて、スクリュー速度を3水準ずつ変量し、合金Aにより金属板状の射出成形材を射出成形した。また、金型Aの場合はゲート部において、金型Cの場合はランナー部における流路径が広くなる部分において、それぞれ溶湯の流入速度を測定した。さらに、成形した射出成形材の固相率が0〜5%となるように溶湯の温度制御を行い、その固相率は成形した射出成形材表面を画像解析することにより確認した。

0054

そして、試験評価1と同様、成形された各射出成形材の密度を測定し、相対密度を算出した。
<試験評価結果>図8は、キャビティへの溶湯流入速度と射出成形材の相対密度との関係を示す。同図によれば、キャビティへの溶湯流入速度が30m/sを超えると射出成形材の相対密度が急激に低下することが分かる。これは、流入速度が高くなると、キャビティへの溶湯の流入が乱流状態となって、エアが巻き込まれることとなるので、射出成形材に多くの内部欠陥が発生することとなるからであると考えられる。また、溶湯流入速度が10m/s以下になると低固相率でも相対密度が95%を超える射出成形材を射出成形することができるということが分かる。しかしながら、溶湯流入速度が1m/s以下ではキャビティ全体に溶湯が行き渡らず、充填不良を生じた。

0055

なお、本試験評価はキャビティ内を減圧せずに行ったものであるが、図8において相対密度が95%を超える領域における内部欠陥は、主に引け巣による影響であるが、それより相対密度の低い領域では、上記減圧によるエア巻き込みの抑止効果により相対密度の向上を図ることができるものと考えられる。従って、本案のようにキャビティ内を減圧する場合においても、上記試験評価結果は適用できるものと考えられる。
(試験評価4)キャビティへの溶湯流入口であるゲート部の断面積Sgとキャビティの横断面積Swとの比Sg/Swと、射出成形材の相対密度との関係についての試験評価を行った。
<試験評価方法>Sg/Swを5水準変量し、合金Aにより試験評価1と同一形状の金属板状の射出成形材をそれぞれ金型Aを用いて射出成形した。また、キャビティへの溶湯流入速度は20m/sとした。さらに、成形した射出成形材の固相率が0〜5%となるように溶湯の温度制御を行い、その固相率は成形した射出成形材表面を画像解析することにより確認した。

0056

そして、試験評価1と同様、成形された各射出成形材の密度を測定し、相対密度を算出した。
<試験評価結果>図9は、Sg/Swと射出成形材の相対密度との関係を示す。同図によれば、Sg/Swが0.2より小さくなると射出成形材の相対密度の低下が大きくなることが分かる。また、Sg/Swが0.8以上では、射出成形材の相対密度を高い同水準に維持できるということが分かる。

0057

なお、本試験評価4は、試験評価3と同様にキャビティ内を減圧せずに行ったものであるが、本試験評価4においても前記試験評価3と同様なことが云えるものと考えられるので、本案のようにキャビティ内を減圧する場合においても上記試験評価結果は適用できるものと考えられる。
(試験評価5)射出成形された射出成形材の固相率と相対密度との関係についての試験評価を行った。
<試験評価方法>射出する溶湯の温度を変量、すなわち、固相率を変量し、合金Aにより試験評価1と同一形状の金属板状の射出成形材を金型Aを用いてそれぞれ射出成形した。また、キャビティへの溶湯流入速度は10m/sとした。さらに、固相率は射出成形材表面を画像解析することにより確認した。

0058

そして、試験評価1と同様、成形された各射出成形材の密度を測定し、相対密度を算出した。
<試験評価結果>図10は、射出成形材の固相率と相対密度との関係を示す。同図によれば、半溶融状態の溶湯により射出成形した方が高い相対密度を得ることができるということが分かる。具体的には、固相率が10%以上で安定して高い相対密度を得ることができることが確認できる。これは、固相率が10%以上である半溶融状態の溶湯は極めて粘度の高い流体であり、溶湯のキャビティへの流入が緩やかな層流となるためであると考えられる。また、固相率が10%以上となっても相対密度の向上が見られず100%とはならないが、これは射出成形材に引け巣がどうしても発生してしまうためであると考えられる。

0059

なお、本試験評価5は、試験評価3,4と同様にキャビティ内を減圧せずに行ったものであるが、本試験評価5においても前期試験評価3,4と同様なことが云えるものと考えられるので、本案のようにキャビティ内を減圧する場合においても上記試験評価結果は適用できるものと考えられる。

図面の簡単な説明

0060

図1本発明の実施形態に係る射出成形装置の部分断面図である。
図2本発明の実施形態に係る射出成形装置の金型の内部構成を示す図である。
図3試験評価1における板状射出成形材からの密度計測試料採取に関する平面説明図である。
図4型内圧力と射出成形材の相対密度との関係を示すグラフ図である。
図5金型Bの内部構成を示す図である。
図6試験評価2における板状射出成形材からの密度計測用試料採取に関する平面説明図である。
図7金型A及び金型Bのそれぞれを用いて成形した射出成形材上部の相対密度の比較を示すグラフ図である。
図8溶湯流入速度と射出成形材の相対密度との関係を示すグラフ図である。
図9Sg/Swと射出成形材の相対密度との関係を示すグラフ図である。
図10溶湯の固相率と射出成形材の相対密度との関係を示すグラフ図である。

--

0061

1射出成形装置
2 本体部
3スクリュー
4回転駆動部
5シリンダ
6ヒータ
7 ホッパ
8フィーダ
9金型
10ノズル
11ランナー部
11aプラグ受け部
12キャビティ
13ゲート部
14オーバーフロー部
15チルベント
16排気口
17バルブ
18 シール

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