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技術 圧電振動子ユニットの製造方法、液体噴射ヘッドの製造方法、圧電振動子ユニット、及び、液体噴射ヘッド

出願人 セイコーエプソン株式会社
発明者 北原強
出願日 2000年12月26日 (19年3ヶ月経過) 出願番号 2000-395261
公開日 2001年10月9日 (18年5ヶ月経過) 公開番号 2001-277525
状態 特許登録済
技術分野 インクジェット(粒子形成、飛翔制御) 圧電、電歪、磁歪装置
主要キーワード 最小変位量 調整用開口 変位面 順方向側 積層体基材 レーザービーム加工 ベンディングモード 振動子先端
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (14)

課題

個々の圧電振動子変位量を揃えて、液体噴射ヘッドにおける液体吐出特性を揃える。

解決手段

共通内部電極27と個別内部電極28とを圧電体29を挟んで交互に積層し、その表面に共通外部電極30及び個別外部電極31を設けて駆動振動子24を構成する。この駆動振動子24の自由端部24aには活性領域Lを設けて、自由端部24aを振動子長手方向に伸縮可能に構成する。自由端部24aにおける最外層の圧電体29を外部電極と内部電極との電位差で作動可能とし、外部電極における活性領域Lの部分をトリミングによって有効長さxが可変されるトリミング部とする。

概要

背景

製造装置等の産業機械プリンタプロッタ等の画像記録装置には、液体を液滴の状態で噴射する液体噴射ヘッドを備えたものが知られている。例えば、産業機械では、噴射ヘッド(液体噴射ヘッドの一種)から吐出させた液滴状色材フィルタ基材上に着弾させて光学フィルタを製造する装置が知られている。また、画像記録装置では、記録ヘッド(液体噴射ヘッドの一種)から吐出させたインク滴を紙等の印刷記録媒体上に着弾させて画像を記録する装置が知られている。

これらの産業機械や画像記録装置では、噴射する液滴の量や速度に高い精度が要求される。例えば、産業機械で製造される光学フィルタは、液晶ディスプレイ等に用いられるため、色材の着弾位置や色材の量(つまり、液体の噴射量)に高い精度が要求される。一方、画像記録装置では、画質向上と記録の高速化を図るため、インク滴の着弾位置やインク量に高い精度が要求される。

これらの産業機械や画像記録装置に用いられる液体噴射ヘッドには、例えば、リザーバから圧力室を通ってノズル開口に至るインク流路を複数形成した流路ユニットと、この流路ユニットの背面側に配置されて、圧力室の容積を変化させる圧電振動子を圧力室に対応する複数備えた圧電振動子ユニットとを有するものがある。この液体噴射ヘッドでは、圧電振動子の変位によって圧力室の容積を変化させ、ノズル開口から液体を噴射する。

上記の圧電振動子ユニットは、例えば、次の手順で作製されている。まず、共通内部電極と個別内部電極とを圧電体を挟んで交互に積層して板状の積層体基材を作製し、共通内部電極に導通させた共通外部電極と個別内部電極に導通させた個別外部電極とを積層体の表面に形成して積層体を得て、この積層体の基端側部分固定板上に接合した状態でワイヤーソーダイシングソー等によって先端側部分を50μm〜100μm程度の極めて細い幅で切り分ける。そして、作製された圧電振動子ユニットは、圧電振動子の変位面を圧力室のダイヤフラム部に当接させた状態で配設される。

また、液体噴射ヘッドには、圧力室のダイヤフラム部に圧電振動子を設けたものもある。この液体噴射ヘッドでも、圧電振動子の変位によって圧力室の容積を変化させ、ノズル開口から液体を噴射する。

概要

個々の圧電振動子の変位量を揃えて、液体噴射ヘッドにおける液体の吐出特性を揃える。

共通内部電極27と個別内部電極28とを圧電体29を挟んで交互に積層し、その表面に共通外部電極30及び個別外部電極31を設けて駆動振動子24を構成する。この駆動振動子24の自由端部24aには活性領域Lを設けて、自由端部24aを振動子長手方向に伸縮可能に構成する。自由端部24aにおける最外層の圧電体29を外部電極と内部電極との電位差で作動可能とし、外部電極における活性領域Lの部分をトリミングによって有効長さxが可変されるトリミング部とする。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
7件

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請求項1

圧電体とこの圧電体を挟んで配設された電極とを有する圧電振動子を複数備えた圧電振動子ユニットの製造方法において、基準電圧に対する圧電振動子の変位量をそれぞれの圧電振動子について測定する変位量測定工程と、該変位量測定工程での測定結果に基づいて個々の圧電振動子に対する処理条件を設定し、設定した処理条件に基づいて変位量調整処理を行って各圧電振動子の変位量を揃える変位量調整工程とを経ることを特徴とする圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項2

前記圧電振動子は、自由端部に活性領域が形成されるように共通内部電極と個別内部電極とが圧電体を挟んで交互に積層されると共に、最も外層となる最外圧電体の自由端部にも活性領域が形成されるように、共通内部電極に導通させた共通外部電極及び個別内部電極に導通させた個別外部電極とが表面に形成され、電界の作用によって積層方向とは直交する方向に変位する積層型の圧電振動子であり、前記変位量調整処理が、各圧電振動子における外部電極の活性領域の部分をトリミングするトリミング処理であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項3

前記変位量調整工程は、基準電圧に対する変位量が最も小さい圧電振動子を基準振動子とし、他の圧電振動子の変位量を基準振動子の変位量に揃えることを特徴とする請求項2に記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項4

前記変位量調整工程は、基準電圧に対する変位量が最も小さい圧電振動子を基準振動子とし、各圧電振動子の変位量を基準振動子の変位量より小さく設定された目標変位量に揃えることを特徴とする請求項2に記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項5

前記トリミング処理は、レーザービーム加工により外部電極の活性領域の部分をトリミングすることを特徴とする請求項2から請求項4の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項6

前記圧電振動子は、圧電体と内部電極とを交互に積層した積層体基材の表面に外部電極となる電極層を形成した積層体を、櫛歯状に歯割りすることで作製されていることを特徴とする請求項2から請求項5の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項7

前記変位量測定工程に先立って、飽和する手前で分極を止めて圧電体を準飽和分極状態にする準飽和分極処理を行い、前記変位量調整処理が、準飽和分極状態の圧電体を順方向に再度分極させる再分極処理であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項8

前記変位量調整工程は、基準電圧に対する変位量が最も大きい圧電振動子を基準振動子とし、他の圧電振動子の変位量を基準振動子の変位量に揃えることを特徴とする請求項7に記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項9

前記変位量調整工程は、基準電圧に対する変位量が最も大きい圧電振動子を基準振動子とし、各圧電振動子の変位量を基準振動子の変位量よりも大きく設定された目標変位量に揃えることを特徴とする請求項7に記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項10

前記準飽和分極状態を、飽和分極状態の9割方の分極状態に設定したことを特徴とする請求項7から請求項9の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項11

前記準飽和分極処理及び再分極処理の少なくとも一方は、前記圧電体に加える電圧値変数とし、この電圧値を調整することによって分極の度合いを定めることを特徴とする請求項7から請求項10の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項12

前記準飽和分極処理及び再分極処理の少なくとも一方は、前記圧電体に加える電圧印加時間を変数とし、この印加時間を調整することによって分極の度合いを定めることを特徴とする請求項7から請求項11の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項13

前記準飽和分極処理及び再分極処理の少なくとも一方は、前記圧電体の温度を分極処理の変数とし、圧電体の温度を調整することによって分極の度合いを定めることを特徴とする請求項7から請求項12の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項14

前記変位量測定工程に先立って、飽和するまで分極させて圧電体を飽和分極状態にする飽和分極処理を行い、前記変位量調整処理が、飽和分極状態の圧電体に対する局部的な加熱を行うスポット加熱処理であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項15

前記変位量調整工程は、基準電圧に対する変位量が最も小さい圧電振動子を基準振動子とし、他の圧電振動子の変位量を基準振動子の変位量に揃えることを特徴とする請求項14に記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項16

前記変位量調整工程は、基準電圧に対する変位量が最も小さい圧電振動子を基準振動子とし、各圧電振動子の変位量を基準振動子の変位量よりも小さく設定された目標変位量に揃えることを特徴とする請求項14に記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項17

前記スポット加熱処理は、圧電体のキュリー温度以上まで加熱することを特徴とする請求項14から請求項16の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項18

前記スポット加熱処理は、局所的にレーザビーム照射することで加熱を行うことを特徴とする請求項14から請求項17の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項19

前記スポット加熱処理は、局所的に赤外線を照射することで加熱を行うことを特徴とする請求項14から請求項17の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項20

前記スポット加熱処理は、加熱端子を局所的に当接させることで加熱を行うことを特徴とする請求項14から請求項17の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項21

前記変位量測定工程に先立って、飽和する手前で分極を止めて圧電体を準飽和分極状態にする準飽和分極処理を行い、前記変位量調整処理が、圧電体を順方向に再度分極させる再分極処理、若しくは、圧電体に対する局部的な加熱を行って圧電体を部分的に消極させるスポット加熱処理の何れかを選択して圧電体の分極状態を調整する分極調整処理であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項22

前記変位量調整処理が、電極に分極駆動信号を供給して圧電体に対する充電放電を交互に行わせて圧電振動子を自己発熱させ、この自己発熱状態で圧電体を分極する加熱分極処理であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項23

前記圧電振動子は、自由端部に活性領域が形成されるように共通内部電極と個別内部電極とが圧電体を挟んで交互に積層された積層型の圧電振動子であることを特徴とする請求項7から請求項22の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項24

前記圧電振動子は、電界の作用によって積層方向とは直交する方向に変位することを特徴とする請求項23に記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項25

前記圧電振動子は、電界の作用によって積層方向に変位することを特徴とする請求項23に記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項26

前記圧電振動子は、圧電体と内部電極とを交互に積層した積層体基材の表面に外部電極となる電極層を形成した積層体を、櫛歯状に歯割りすることで作製されていることを特徴とする請求項23から請求項25の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法。

請求項27

圧電体とこの圧電体を挟んで配設された電極とを有する複数の圧電振動子と、各圧電振動子に対応して複数形成されて、リザーバから圧力室を通ってノズル開口に至る一連液流路とを備え、圧電振動子の変形によって圧力室を変形させ、該圧力室内に液体圧力の変化を生じさせてノズル開口から液体噴射させる液体噴射ヘッドの製造方法において、全ての圧電振動子に同一の駆動信号を印加することによりノズル開口から噴射させた液体の噴射特性を、それぞれのノズル開口毎に測定する噴射特性測定工程と、該噴射特性測定工程での測定結果に基づいて個々の圧電振動子に対する処理条件を設定し、設定した処理条件に基づいて圧電振動子に対する変位量調整処理を行って各ノズル開口における液体の噴射特性を揃える噴射特性調整工程とを経ることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法。

請求項28

前記液体の噴射特性が、液体の噴射量であることを特徴とする請求項27に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。

請求項29

前記液体の噴射特性が、液体の噴射速度であることを特徴とする請求項27に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。

請求項30

前記液体の噴射特性が、噴射された液体が着弾した際の着弾面積であることを特徴とする請求項27に記載の液体噴射ヘッドの製造方法。

請求項31

自由端部に活性領域が形成されるように第1内部電極と第2内部電極とを圧電体を挟んで交互に積層すると共に、第1内部電極に導通された第1外部電極及び第2内部電極に導通された第2外部電極を表面に形成した圧電振動子を複数備え、第1外部電極及び第2外部電極を通じて活性領域の圧電体に電位差を与えることで当該圧電体を作動させ、自由端部を積層方向とは直交する方向に変位可能に構成した圧電振動子ユニットにおいて、第1外部電極と第2外部電極の少なくとも一方の外部電極を、積層方向の最も外層となる最外圧電体の自由端部表面に形成して最外圧電体における活性領域の部分も作動可能に構成し、前記外部電極における活性領域の部分を、トリミングによって有効範囲可変されるトリミング部とし、トリミング部に対するトリミングにより、最外圧電体の作動部分の範囲を可変して圧電振動子の変位量を調整可能に構成したことを特徴とする圧電振動子ユニット。

請求項32

前記圧電振動子は、圧電体と内部電極とを交互に積層した積層体基材の表面に外部電極となる電極層を形成した積層体を、櫛歯状に歯割りすることで作製されていることを特徴とする請求項31に記載の圧電振動子ユニット。

請求項33

前記第1内部電極が全ての圧電振動子に対して同じ電位レベルに設定される共通内部電極であり、前記第2内部電極が各圧電振動子毎に電位レベルが設定される個別内部電極であり、前記第1外部電極が全ての圧電振動子に対して同じ電位レベルに設定される共通外部電極であり、前記第2外部電極が各圧電振動子毎に電位レベルが設定される個別外部電極であることを特徴とする請求項31又は請求項32に記載の圧電振動子ユニット。

請求項34

前記圧電振動子は、活性領域の圧電体の作動時においても変位しない非作動部を備え、この非作動部を固定板接合したことを特徴とする請求項31から請求項33の何れかに記載の圧電振動子ユニット。

請求項35

前記圧電振動子は、活性領域の圧電体の作動時においても変位しない非作動部を備え、この非作動部で第1外部電極及び第2外部電極を配線部材に導通させたことを特徴とする請求項31から請求項34の何れかに記載の圧電振動子ユニット。

請求項36

前記最外圧電体を他の圧電体よりも厚く構成したことを特徴とする請求項31から請求項35の何れかに記載の圧電振動子ユニット。

請求項37

請求項1から請求項26の何れかに記載の製造方法で製造された圧電振動子ユニットと、各圧電振動子に対応して複数形成され、リザーバから圧力室を通ってノズル開口に至る一連の液流路を備えた流路ユニットとを備え、各圧電振動子を対応する圧力室のダイヤフラム部に当接させた状態で圧電振動子ユニットを流路ユニットに取り付け、圧電振動子の変形によって圧力室を変形させ、該圧力室内に液体圧力の変化を生じさせてノズル開口から液体を噴射させることを特徴とする液体噴射ヘッド。

請求項38

請求項27から請求項30の何れかに記載の製造方法で製造される液体噴射ヘッドであって、前記圧電振動子ユニットを収納し得る収納空部を形成したケースを備え、該ケースには、ケースの外側と収納空部とを連通する調整処理用開口を各圧電振動子に臨ませて開設し、圧電振動子に対する変位量調整処理を、調整用開口を通じてケースの外側から行えるように構成したことを特徴とする液体噴射ヘッド。

請求項39

前記圧電振動子は、自由端部に活性領域が形成されるように共通内部電極と個別内部電極とが圧電体を挟んで交互に積層された積層型の圧電振動子であることを特徴とする請求項38に記載の液体噴射ヘッド。

請求項40

前記圧電振動子は、電界作用時には積層方向とは直交する方向に変位することを特徴とする請求項39に記載の液体噴射ヘッド。

請求項41

前記圧電振動子は、電界作用時には積層方向に変位することを特徴とする請求項39に記載の液体噴射ヘッド。

請求項42

前記圧電振動子は、圧電体と内部電極とを交互に積層した積層体基材の表面に外部電極となる電極層を形成した積層体を、櫛歯状に歯割りすることで作製されていることを特徴とする請求項39から請求項41の何れかに記載の液体噴射ヘッド。

技術分野

0001

本発明は、光学フィルタを製造する製造装置等の産業機械プリンタプロッタ等の画像記録装置に用いられる液体噴射装置、及び、この液体噴射装置に用いられる圧電振動子ユニット、並びに、これらの液体噴射装置及び圧電振動子ユニットの製造方法に関する。

背景技術

0002

製造装置等の産業機械やプリンタやプロッタ等の画像記録装置には、液体を液滴の状態で噴射する液体噴射ヘッドを備えたものが知られている。例えば、産業機械では、噴射ヘッド(液体噴射ヘッドの一種)から吐出させた液滴状色材フィルタ基材上に着弾させて光学フィルタを製造する装置が知られている。また、画像記録装置では、記録ヘッド(液体噴射ヘッドの一種)から吐出させたインク滴を紙等の印刷記録媒体上に着弾させて画像を記録する装置が知られている。

0003

これらの産業機械や画像記録装置では、噴射する液滴の量や速度に高い精度が要求される。例えば、産業機械で製造される光学フィルタは、液晶ディスプレイ等に用いられるため、色材の着弾位置や色材の量(つまり、液体の噴射量)に高い精度が要求される。一方、画像記録装置では、画質向上と記録の高速化を図るため、インク滴の着弾位置やインク量に高い精度が要求される。

0004

これらの産業機械や画像記録装置に用いられる液体噴射ヘッドには、例えば、リザーバから圧力室を通ってノズル開口に至るインク流路を複数形成した流路ユニットと、この流路ユニットの背面側に配置されて、圧力室の容積を変化させる圧電振動子を圧力室に対応する複数備えた圧電振動子ユニットとを有するものがある。この液体噴射ヘッドでは、圧電振動子の変位によって圧力室の容積を変化させ、ノズル開口から液体を噴射する。

0005

上記の圧電振動子ユニットは、例えば、次の手順で作製されている。まず、共通内部電極と個別内部電極とを圧電体を挟んで交互に積層して板状の積層体基材を作製し、共通内部電極に導通させた共通外部電極と個別内部電極に導通させた個別外部電極とを積層体の表面に形成して積層体を得て、この積層体の基端側部分固定板上に接合した状態でワイヤーソーダイシングソー等によって先端側部分を50μm〜100μm程度の極めて細い幅で切り分ける。そして、作製された圧電振動子ユニットは、圧電振動子の変位面を圧力室のダイヤフラム部に当接させた状態で配設される。

0006

また、液体噴射ヘッドには、圧力室のダイヤフラム部に圧電振動子を設けたものもある。この液体噴射ヘッドでも、圧電振動子の変位によって圧力室の容積を変化させ、ノズル開口から液体を噴射する。

発明が解決しようとする課題

0007

ところで、圧電振動子ユニットを用いた液体噴射ヘッドは、積層体を切り分けて複数の圧電振動子を作製しているので、変位特性が揃った圧電振動子を得易いという利点がある。すなわち、もともとは実質的に一体の圧電振動子ユニットの先端を櫛歯状にして駆動振動子を得ているので、比較的各駆動振動子間の変位特性のばらつきは少ない。しかし、各圧電振動子は極めて細い幅に切り分けられており、その幅に多少のばらつきが生じてしまう。また、積層型の圧電振動子であるため、圧電振動子の幅以上の大きさのピンホールが内部電極に存在した場合、ピンホールによって内部電極の導通が部分的に断たれてしまう。特に、高精度を要求される産業用機械の場合、そのようなばらつきの少ない櫛歯状の圧電振動子であっても更なる高精度化が必要となる。このように、圧電振動子の幅のばらつきや内部電極の欠損やなどによって、個々の圧電振動子の変位量には多少のばらつきが生じてしまう。

0008

一方、圧力室のダイヤフラム部に圧電振動子を設けた液体噴射ヘッドでは、圧電体の厚みや形状等にばらつきが生じてしまうので、圧電振動子の変位量が圧電振動子ユニットを構成する圧電振動子よりも大きくばらついてしまう。

0009

このような圧電振動子の変位量ばらつきは、液体噴射ヘッドから噴射される液体の吐出特性に影響を与えてしまうので好ましくない。例えば、上記した光学フィルタの製造装置では、フィルタを構成する各格子画素)の大きさがノズル開口毎に不揃いとなってしまうし、画像記録装置では、印刷記録媒体上に着弾した画素の大きさが不揃いになってしまう。

0010

さらに、液体噴射ヘッドから噴射される液体の吐出特性は、振動子ユニットと流路ユニットとの取付状態や流路ユニット内におけるインク流路の形状によっても変化してしまう。

0011

このような不具合を防止するため、1走査ラインを複数のノズル開口から吐出させた液滴で埋めてゆく方法も考えられるが、1走査ラインを埋めるのに液体噴射ヘッドを複数回走査する必要があり、スループットが遅くなってしまう。特に産業機械では、スループットが遅くなってしまうと、製品生産効率が悪くなってしまうので、製品のコストアップに繋がり好ましくない。

0012

本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、個々の圧電振動子の変位量を揃えることにあり、ひいては液体噴射ヘッドにおける液体の吐出特性を揃えることにある。

課題を解決するための手段

0013

本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1に記載の発明は、圧電体とこの圧電体を挟んで配設された電極とを有する圧電振動子を複数備えた圧電振動子ユニットの製造方法において、基準電圧に対する圧電振動子の変位量をそれぞれの圧電振動子について測定する変位量測定工程と、該変位量測定工程での測定結果に基づいて個々の圧電振動子に対する処理条件を設定し、設定した処理条件に基づいて変位量調整処理を行って各圧電振動子の変位量を揃える変位量調整工程とを経ることを特徴とする圧電振動子ユニットの製造方法である。

0014

請求項2に記載の発明は、前記圧電振動子は、自由端部に活性領域が形成されるように共通内部電極と個別内部電極とが圧電体を挟んで交互に積層されると共に、最も外層となる最外圧電体の自由端部にも活性領域が形成されるように、共通内部電極に導通させた共通外部電極及び個別内部電極に導通させた個別外部電極とが表面に形成され、電界の作用によって積層方向とは直交する方向に変位する積層型の圧電振動子であり、前記変位量調整処理が、各圧電振動子における外部電極の活性領域の部分をトリミングするトリミング処理であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0015

請求項3に記載の発明は、前記変位量調整工程は、基準電圧に対する変位量が最も小さい圧電振動子を基準振動子とし、他の圧電振動子の変位量を基準振動子の変位量に揃えることを特徴とする請求項2に記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0016

請求項4に記載の発明は、前記変位量調整工程は、基準電圧に対する変位量が最も小さい圧電振動子を基準振動子とし、各圧電振動子の変位量を基準振動子の変位量より小さく設定された目標変位量に揃えることを特徴とする請求項2に記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0017

請求項5に記載の発明は、前記トリミング処理は、レーザービーム加工により外部電極の活性領域の部分をトリミングすることを特徴とする請求項2から請求項4の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0018

請求項6に記載の発明は、前記圧電振動子は、圧電体と内部電極とを交互に積層した積層体基材の表面に外部電極となる電極層を形成した積層体を、櫛歯状に歯割りすることで作製されていることを特徴とする請求項2から請求項5の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0019

請求項7に記載の発明は、前記変位量測定工程に先立って、飽和する手前で分極を止めて圧電体を準飽和分極状態にする準飽和分極処理を行い、前記変位量調整処理が、準飽和分極状態の圧電体を順方向に再度分極させる再分極処理であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0020

請求項8に記載の発明は、前記変位量調整工程は、基準電圧に対する変位量が最も大きい圧電振動子を基準振動子とし、他の圧電振動子の変位量を基準振動子の変位量に揃えることを特徴とする請求項7に記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0021

請求項9に記載の発明は、前記変位量調整工程は、基準電圧に対する変位量が最も大きい圧電振動子を基準振動子とし、各圧電振動子の変位量を基準振動子の変位量よりも大きく設定された目標変位量に揃えることを特徴とする請求項7に記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0022

請求項10に記載の発明は、前記準飽和分極状態を、飽和分極状態の9割方の分極状態に設定したことを特徴とする請求項7から請求項9の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0023

ここで、「9割方の分極状態」とは、飽和分極状態(100%の分極状態)に対する90%の分極状態を基準とし、この基準の分極状態に許容範囲を加味した分極状態を意味する。例えば、基準の分極状態から±5%の範囲内の分極状態が該当する。

0024

請求項11に記載の発明は、前記準飽和分極処理及び再分極処理の少なくとも一方は、前記圧電体に加える電圧値変数とし、この電圧値を調整することによって分極の度合いを定めることを特徴とする請求項7から請求項10の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0025

請求項12に記載の発明は、前記準飽和分極処理及び再分極処理の少なくとも一方は、前記圧電体に加える電圧印加時間を変数とし、この印加時間を調整することによって分極の度合いを定めることを特徴とする請求項7から請求項11の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0026

請求項13に記載の発明は、前記準飽和分極処理及び再分極処理の少なくとも一方は、前記圧電体の温度を分極処理の変数とし、圧電体の温度を調整することによって分極の度合いを定めることを特徴とする請求項7から請求項12の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0027

請求項14に記載の発明は、前記変位量測定工程に先立って、飽和するまで分極させて圧電体を飽和分極状態にする飽和分極処理を行い、前記変位量調整処理が、飽和分極状態の圧電体に対する局部的な加熱を行うスポット加熱処理であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0028

請求項15に記載の発明は、前記変位量調整工程は、基準電圧に対する変位量が最も小さい圧電振動子を基準振動子とし、他の圧電振動子の変位量を基準振動子の変位量に揃えることを特徴とする請求項14に記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0029

請求項16に記載の発明は、前記変位量調整工程は、基準電圧に対する変位量が最も小さい圧電振動子を基準振動子とし、各圧電振動子の変位量を基準振動子の変位量よりも小さく設定された目標変位量に揃えることを特徴とする請求項14に記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0030

請求項17に記載の発明は、前記スポット加熱処理は、圧電体のキュリー温度以上まで加熱することを特徴とする請求項14から請求項16の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0031

請求項18に記載の発明は、前記スポット加熱処理は、局所的にレーザビーム照射することで加熱を行うことを特徴とする請求項14から請求項17の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0032

請求項19に記載の発明は、前記スポット加熱処理は、局所的に赤外線を照射することで加熱を行うことを特徴とする請求項14から請求項17の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0033

請求項20に記載の発明は、前記スポット加熱処理は、加熱端子を局所的に当接させることで加熱を行うことを特徴とする請求項14から請求項17の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0034

請求項21に記載の発明は、前記変位量測定工程に先立って、飽和する手前で分極を止めて圧電体を準飽和分極状態にする準飽和分極処理を行い、前記変位量調整処理が、圧電体を順方向に再度分極させる再分極処理、若しくは、圧電体に対する局部的な加熱を行って圧電体を部分的に消極させるスポット加熱処理の何れかを選択して圧電体の分極状態を調整する分極調整処理であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0035

請求項22に記載の発明は、前記変位量調整処理が、電極に分極駆動信号を供給して圧電体に対する充電放電を交互に行わせて圧電振動子を自己発熱させ、この自己発熱状態で圧電体を分極する加熱分極処理であることを特徴とする請求項1に記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0036

請求項23に記載の発明は、前記圧電振動子は、自由端部に活性領域が形成されるように共通内部電極と個別内部電極とが圧電体を挟んで交互に積層された積層型の圧電振動子であることを特徴とする請求項7から請求項22の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0037

請求項24に記載の発明は、前記圧電振動子は、電界の作用によって積層方向とは直交する方向に変位することを特徴とする請求項23に記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0038

請求項25に記載の発明は、前記圧電振動子は、電界の作用によって積層方向に変位することを特徴とする請求項23に記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0039

請求項26に記載の発明は、前記圧電振動子は、圧電体と内部電極とを交互に積層した積層体基材の表面に外部電極となる電極層を形成した積層体を、櫛歯状に歯割りすることで作製されていることを特徴とする請求項23から請求項25の何れかに記載の圧電振動子ユニットの製造方法である。

0040

請求項27に記載の発明は、圧電体とこの圧電体を挟んで配設された電極とを有する複数の圧電振動子と、各圧電振動子に対応して複数形成されて、リザーバから圧力室を通ってノズル開口に至る一連液流路とを備え、圧電振動子の変形によって圧力室を変形させ、該圧力室内に液体圧力の変化を生じさせてノズル開口から液体を噴射させる液体噴射ヘッドの製造方法において、全ての圧電振動子に同一の駆動信号を印加することによりノズル開口から噴射させた液体の噴射特性を、それぞれのノズル開口毎に測定する噴射特性測定工程と、該噴射特性測定工程での測定結果に基づいて個々の圧電振動子に対する処理条件を設定し、設定した処理条件に基づいて圧電振動子に対する変位量調整処理を行って各ノズル開口における液体の噴射特性を揃える噴射特性調整工程とを経ることを特徴とする液体噴射ヘッドの製造方法である。

0041

請求項28に記載の発明は、前記液体の噴射特性が、液体の噴射量であることを特徴とする請求項27に記載の液体噴射ヘッドの製造方法である。

0042

請求項29に記載の発明は、前記液体の噴射特性が、液体の噴射速度であることを特徴とする請求項27に記載の液体噴射ヘッドの製造方法である。

0043

請求項30に記載の発明は、前記液体の噴射特性が、噴射された液体が着弾した際の着弾面積であることを特徴とする請求項27に記載の液体噴射ヘッドの製造方法である。

0044

請求項31に記載の発明は、自由端部に活性領域が形成されるように第1内部電極と第2内部電極とを圧電体を挟んで交互に積層すると共に、第1内部電極に導通された第1外部電極及び第2内部電極に導通された第2外部電極を表面に形成した圧電振動子を複数備え、第1外部電極及び第2外部電極を通じて活性領域の圧電体に電位差を与えることで当該圧電体を作動させ、自由端部を積層方向とは直交する方向に変位可能に構成した圧電振動子ユニットにおいて、第1外部電極と第2外部電極の少なくとも一方の外部電極を、積層方向の最も外層となる最外圧電体の自由端部表面に形成して最外圧電体における活性領域の部分も作動可能に構成し、前記外部電極における活性領域の部分を、トリミングによって有効範囲可変されるトリミング部とし、トリミング部に対するトリミングにより、最外圧電体の作動部分の範囲を可変して圧電振動子の変位量を調整可能に構成したことを特徴とする圧電振動子ユニットである。

0045

請求項32に記載の発明は、前記圧電振動子は、圧電体と内部電極とを交互に積層した積層体基材の表面に外部電極となる電極層を形成した積層体を、櫛歯状に歯割りすることで作製されていることを特徴とする請求項31に記載の圧電振動子ユニットである。

0046

請求項33に記載の発明は、前記第1内部電極が全ての圧電振動子に対して同じ電位レベルに設定される共通内部電極であり、前記第2内部電極が各圧電振動子毎に電位レベルが設定される個別内部電極であり、前記第1外部電極が全ての圧電振動子に対して同じ電位レベルに設定される共通外部電極であり、前記第2外部電極が各圧電振動子毎に電位レベルが設定される個別外部電極であることを特徴とする請求項31又は請求項32に記載の圧電振動子ユニットである。

0047

請求項34に記載の発明は、前記圧電振動子は、活性領域の圧電体の作動時においても変位しない非作動部を備え、この非作動部を固定板に接合したことを特徴とする請求項31から請求項33の何れかに記載の圧電振動子ユニットである。

0048

請求項35に記載の発明は、前記圧電振動子は、活性領域の圧電体の作動時においても変位しない非作動部を備え、この非作動部で第1外部電極及び第2外部電極を配線部材に導通させたことを特徴とする請求項31から請求項34の何れかに記載の圧電振動子ユニットである。

0049

請求項36に記載の発明は、前記最外圧電体を他の圧電体よりも厚く構成したことを特徴とする請求項31から請求項35の何れかに記載の圧電振動子ユニットである。

0050

請求項37に記載の発明は、請求項1から請求項26の何れかに記載の製造方法で製造された圧電振動子ユニットと、各圧電振動子に対応して複数形成され、リザーバから圧力室を通ってノズル開口に至る一連の液流路を備えた流路ユニットとを備え、各圧電振動子を対応する圧力室のダイヤフラム部に当接させた状態で圧電振動子ユニットを流路ユニットに取り付け、圧電振動子の変形によって圧力室を変形させ、該圧力室内に液体圧力の変化を生じさせてノズル開口から液体を噴射させることを特徴とする液体噴射ヘッドである。

0051

請求項38に記載の発明は、請求項27から請求項30の何れかに記載の製造方法で製造される液体噴射ヘッドであって、前記圧電振動子ユニットを収納し得る収納空部を形成したケースを備え、該ケースには、ケースの外側と収納空部とを連通する調整処理用開口を各圧電振動子に臨ませて開設し、圧電振動子に対する変位量調整処理を、調整用開口を通じてケースの外側から行えるように構成したことを特徴とする液体噴射ヘッドである。

0052

請求項39に記載の発明は、前記圧電振動子は、自由端部に活性領域が形成されるように共通内部電極と個別内部電極とが圧電体を挟んで交互に積層された積層型の圧電振動子であることを特徴とする請求項38に記載の液体噴射ヘッドである。

0053

請求項40に記載の発明は、前記圧電振動子は、電界作用時には積層方向とは直交する方向に変位することを特徴とする請求項39に記載の液体噴射ヘッドである。

0054

請求項41に記載の発明は、前記圧電振動子は、電界作用時には積層方向に変位することを特徴とする請求項39に記載の液体噴射ヘッドである。

0055

請求項42に記載の発明は、前記圧電振動子は、圧電体と内部電極とを交互に積層した積層体基材の表面に外部電極となる電極層を形成した積層体を、櫛歯状に歯割りすることで作製されていることを特徴とする請求項39から請求項41の何れかに記載の液体噴射ヘッドである。

発明を実施するための最良の形態

0056

以下、本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。なお、以下の説明では、液体噴射ヘッドの一種であるインクジェット式の記録ヘッドを例に挙げて説明するが、この記録ヘッドは、プリンタやプロッタ等の画像記録装置に用いられるbかりでなく、産業機械用にも適用できる。

0057

図1に示した記録ヘッド1は、ケース2、流路ユニット3、及び、圧電振動子ユニット4等によって構成してある。なお、この記録ヘッド1の説明では、便宜上、図1の上方を先端側と称し、図1の下側を基端側と称する。

0058

ケース2は、先端と後端が共に開放した収納空部5を設けた合成樹脂製のブロック状部材である。このケース2の先端には流路ユニット3が接合されており、また収納空部5内には、振動子群6の櫛歯状先端を先端側開口に臨ませた状態で圧電振動子ユニット4が収容されている。また、収納空部5の側方には、基端側にてインクカートリッジ(図示せず)に連通しているインク供給管7を設ける。

0059

流路ユニット3は、流路形成板10、ノズルプレート11、及び弾性板12から概略構成されている。

0060

ノズルプレート11は、ドット形成密度に対応したピッチで複数(例えば、96個)のノズル開口13…を列状に開設した薄い板状部材であり、例えば、ステンレス板によって構成してある。

0061

このノズルプレート11に積層される流路形成板10には、インク供給管7を通して供給されたインクが流入するリザーバ14(共通インク室)、ノズル開口13からインクを吐出させるために必要なインク圧力を発生させる圧力室15、これらのリザーバ14と圧力室15を連通するインク供給口16が形成されている。そして、本実施形態では、これらの各部を、シリコンウェハーエッチング処理することで作製する。

0062

弾性板12は、本実施形態では、PPS(ポリフェニレンサルファイド)等の高分子膜弾性体膜17としてステンレス板等の支持板18上にラミネートした二重構造である。そして、支持板18は、リザーバ14に対応するコンプライアンス部19や圧力室15に対応するダイヤフラム部20がエッチング処理によって除去されており、これらの部分を弾性体膜17だけにしてある。なお、ダイヤフラム部20には、中心部分を残すように支持板18を環状に除去して島部21を形成する。この島部21は、後述する駆動振動子24の先端面部が背面側から接合される部分である。また、この島部21は、ノズル開口13と同様にドット形成密度に対応したピッチで複数設けてあり、ノズル配列方向に対応する幅が狭く、駆動振動子24における積層方向(後述)に対応する長さを長くしたブロック状に形成してある。

0063

そして、流路ユニット3は、ノズルプレート11を流路形成板10の前面側に配置すると共に、弾性板12を背面側に配置し、ノズルプレート11と弾性板12とで流路形成板10を挟み、接着等により一体化することで作製される。この流路ユニット3において、上記の弾性板12は、圧力室15やリザーバ14の天井面を封止する封止材の一部を構成する。従って、この流路ユニット3内には、リザーバ14から圧力室15を通ってノズル開口13に至る一連のインク流路が、駆動振動子24の数に応じた複数形成される。なお、このインク流路が本発明の液流路に相当する。

0064

圧電振動子ユニット4は、図2に示すように、複数の圧電振動子24,26からなる振動子群6と、この振動子群6を支持する固定板25とによって概略構成されている。各圧電振動子は櫛歯状に列設されており、列設方向配列方向)における両端部に位置する一対のダミー振動子26,26と、これらのダミー振動子26,26の間に配置された複数の駆動振動子24…とから成る。ここで、駆動振動子24はインク滴の吐出に関与する圧電振動子であり、例えば、50μm〜100μm程度の極めて細い幅のニードル状に切り分けられている。また、ダミー振動子26はインク滴の吐出に関与しない圧電振動子であり、必要な剛性が確保できるように駆動振動子24よりも十分に広い幅に形成されている。なお、本実施形態における駆動振動子24は、所謂縦振動モードの圧電振動子であり、後述するように、圧電体及び電極の積層方向とは直交する方向に変位(伸縮)する。

0065

次に、駆動振動子24について説明する。図3に示すように、この駆動振動子24は、本発明の第1内部電極に相当する共通内部電極27と、本発明の第2内部電極に相当する個別内部電極28とを圧電体29を挟んで交互に積層して形成された積層型の圧電振動子である。ここで、共通内部電極27は、全ての駆動振動子24に対して同じ電位レベルに設定される電極である。また、個別内部電極28は、供給される駆動信号に応じて各駆動振動子24毎に電位レベルが設定される電極である。そして、本実施形態では、駆動振動子24における振動子先端から振動子長手方向(積層方向とは直交する方向)の半分程度まで若しくは3分の2程度までの部分を自由端部24aとしている。また、駆動振動子24における残りの部分、即ち、自由端部24aの端から振動子基端までの部分を基端部24bとしている。

0066

自由端部24aには、共通内部電極27と個別内部電極28とが重なり合った活性領域(オーバーラップ部分)を形成してある。これらの内部電極27,28に電位差を与えると、活性領域Lの圧電体29が作動して変形し、自由端部24aが振動子長手方向に変位して伸縮する。そして、共通内部電極27の基端は、駆動振動子24の基端面部で共通外部電極30に導通している。一方、個別内部電極28の先端は、駆動振動子24の先端面部で個別外部電極31に導通している。なお、共通内部電極27の先端は駆動振動子24の振動子の先端面部よりも少し手前に位置しており、個別内部電極28の基端は自由端部24aと基端部24bの境界に位置している。

0067

個別外部電極31は、駆動振動子24の先端面部と、駆動振動子24における積層方向の一側面である配線接続面(図3における上側の面)とに一連に形成された電極であり、本発明の配線部材の一種であるフレキシブルケーブル32の配線パターンと各個別内部電極28…とを導通する。そして、この個別外部電極31の配線接続面側の部分は、基端部24b上から先端側に向けて連続的に形成されている。共通外部電極30は、駆動振動子24の基端面部と、上記の配線接続面と、駆動振動子24における積層方向の他側面である固定板取付面(図3における下側の面)とに一連に形成された電極であり、フレキシブルケーブル32の配線パターンと各共通内部電極27…との間を導通する。そして、この共通外部電極30における配線接続面側の部分は個別外部電極31の端部よりも少し手前から基端面部側に向けて連続的に形成されており、固定部取付面側の部分は振動子の先端面部よりも少し手前の位置から基端側に向けて連続的に形成されている。

0068

これらの外部電極30,31は、最外層の圧電体29(本発明における最外圧電体に相当する。)を作動させるための電極としても機能する。すなわち、個別外部電極31は、積層方向の外側表面に形成された圧電体29aを挟んで共通内部電極27と対になっており、活性領域Lでこの共通内部電極27と個別外部電極31とがオーバーラップしている。従って、この共通内部電極27と個別外部電極31との電位差により、圧電体29aの活性領域Lの部分が変形する。同様に、共通外部電極30は、積層方向の外側表面に形成された圧電体29bを挟んで個別内部電極28と対になっており、活性領域Lで個別内部電極28と共通外部電極30とががオーバーラップしている。従って、個別内部電極28と共通外部電極30の電位差により、圧電体29bの活性領域Lの部分が変形する。要するに、これらの圧電体29a,29bでは、両面を電極27,28,29,30によって直接挟み付けられた領域が変形する。

0069

本実施形態では、共通外部電極30における活性領域Lの部分をトリミング部としている。このトリミング部は、トリミング、即ち、共通外部電極30の部分的な除去によって、有効長さx(圧電体29bを作動させる範囲)が可変される部分である。例えば、このトリミング部に対するトリミングが行われていない状態では、活性領域Lと等しい有効長さxの共通外部電極30が圧電体29bを作動させる。そして、図3に示す除去領域33で共通外部電極30が除去されると、活性領域Lよりも短い有効長さxの共通外部電極30で圧電体29bを作動させることになる。つまり、有効長さxよりも先端側の部分の圧電体29bが不活性になって駆動振動子24の伸縮に関与しなくなる。従って、圧電体29bにおける作動範囲が狭くなり、トリミングが行われていない状態よりも駆動振動子24の変位量は小さくなる。

0070

この駆動振動子24の変位量は、図4に符号Dの線分で示すように、外部電極の有効長さxが短くなるにしたがってほぼ直線的に減少する。このことから、有効長さxの与え方次第で当該駆動振動子24の変位量を小さくなる方向に変化させることができることが判る。なお、図では簡略化してあるが、圧電体29の積層数は通常20〜30層程度である。このため、トリミング部の有効長さxの調整によって、変位量として全体の数%程度を変化させることができる。また、トリミングの具体的手順については後述する。

0071

上記の基端部24bは、活性領域Lの圧電体29の作動時においても伸縮しない非作動部として機能する。この基端部24bの配線接続面側にはフレキシブルケーブル32が配置されており、基端部24b上で個別外部電極31及び共通外部電極30とフレキシブルケーブル32とが電気的に接続される。すなわち、図2に示す共通電極配線部34と個別電極配線部35とが配線接続部として機能し、これらの配線接続部34,35の上にフレキシブルケーブル32の接続端部が載置されて、半田付け等によってフレキシブルケーブル32が実装される。そして、このフレキシブルケーブル32を通して駆動信号が各電極に供給される。また、基端部24bの固定板取付面は固定板接合部として機能し、固定板25が接合されている。要するに、各駆動振動子24…、及び、ダミー振動子26,26は、いわゆる片持梁の状態で固定板25上に接合されている。

0072

次に、圧電振動子ユニット4の製造方法について説明する。この製造方法では、まず、板状の積層体を作製する(積層体作製工程)。この工程では、最初に、自由端部24aとなる先端側部分では共通内部電極27と個別内部電極28とが重ね合わせられ、基端部24bとなる基端側部分では共通内部電極27のみの非重合領域が形成されるように、共通内部電極27と個別内部電極28とを圧電体29を挟んで交互に積層して板状の積層体基材を作製する(積層工程)。積層体基材を作製したならば、この積層体基材の先端面部と配線接続面における先端から基端部24b上までの範囲とに個別外部電極31を一連に形成すると共に、積層体の基端面部と配線接続面における基端から基端部24b上までの範囲と固定板取付面とに共通外部電極30を一連に形成して外部電極付きの積層体を作製する(外部電極形成工程)。

0073

積層体を作製したならば、この積層体を切り分けて複数の圧電振動子24,26が列設された振動子群6を作製する(振動子作製工程)。この工程では、まず、積層体の基端部24bの固定板取付面に固定板25を接着等によって接合する。固定板25を接合したならば、ワイヤーソーやダイシングソー等を使用して、図2に示すように、積層体を櫛歯状に歯割りし、細長いニードル状の個別の圧電振動子24,26に切り分ける。このとき、図1図2に示すように、溝36を斜めに形成して、固定板25側では固定板25の先端位置までが、配線接続面側では基端面部までがそれぞれ切り込まれるようにする。なお、板状の積層体を固定板25へ接合してから歯割りするのは、歯割りを安定して行われるようにし、その後の取扱いを容易にするためである。従って、安定して歯割りすることができるのであれば、歯割りした後の積層体を固定板25へ接合しても良い。

0074

このようにして作製された圧電振動子ユニット4において、駆動振動子24は、50μm〜100μm程度の極く細い幅に切り分けられている。このため、この幅以上の大きさの欠損或いはピンホールが内部電極に存在しているだけで、この内部電極27,28を使った部分は活性を失って変位しなくなる。また、内部電極27,28を順次に積層して行く際に、ずれが生じていることがある。さらに、機械的な加工方法を採用していることから駆動振動子24の幅がばらついてしまう可能性もある。このような事情により、歯割り後の個々の駆動振動子24の変位量(伸縮量)が個々の駆動振動子24について不揃いになっている可能性がある。

0075

そこで、本実施形態では、板状の積層体を歯割りして圧電振動子24,26を作製した後に、各駆動振動子24…の変位量を揃える。本実施形態では、駆動振動子24のトリミング部(共通外部電極30における活性領域Lの部分)にレーザービームを照射して共通外部電極30を部分的に除去する。これにより、各駆動振動子24…の変位量を、最も変位量が小さい駆動振動子24の変位量に揃える。つまり、最も変位量が小さい駆動振動子24を基準振動子とし、他の駆動振動子24…の変位量を基準振動子の変位量にあわせている。これにより、各駆動振動子24…の変位量を揃えることができる。

0076

以下、変位量を調整する方法について、図5フローチャートを参照して説明する。

0077

この調整方法では、まず、全ての駆動振動子24…について、基準電圧に対する変位量を個々に測定する(変位量測定工程,S1)。この変位量測定工程では、例えば、共通電極(共通外部電極30及び共通内部電極27)と個別電極(個別外部電極31及び個別内部電極28)との間に基準電圧を供給した際の駆動振動子24の変位速度を、レーザドップラー振動計を使用する等して測定し、この変位速度を時間方向に積分することで変位量を算出する。なお、レーザ変位計などを使用して変位量を直接計測してもよい。そして、全ての駆動振動子24…の中で、基準電圧に対する変位量が最も小さかった駆動振動子24を基準振動子とし、この基準振動子の変位量を目標変位量(目標値)に設定する。

0078

目標変位量を設定したならば、変位量測定工程での測定結果に基づいて個々の駆動振動子24…に対する処理条件を設定し、設定した処理条件に基づいて変位量調整処理を行う(変位量調整工程)。

0079

この変位量調整工程では、まず、処理条件を設定する。本実施形態では、トリミング部に対するトリミングによって各駆動振動子24の変位量を調整するので、処理条件としてトリミング量が設定される。即ち、実測された駆動振動子24の変位量を取得して、取得した変位量と目標変位量との差を計算する(S2)。次に、変位量の実測値と目標変位量との差からトリミング部の有効長さxを計算する。つまり、共通外部電極30を何μmトリミングしたら良いのかを計算する(S3)。この計算は、例えば、制御装置を構成するマイクロコンピュータメモリ中に、図4グラフに示す共通外部電極30の有効長さxと変位量との関係を示すテーブル情報を記憶させておき、このテーブル情報を参照させることで行う。

0080

処理条件を設定したならば、設定した処理条件に基づいてトリミング処理(変位量調整処理の一種)を行う。即ち、計算されたトリミング量に基づいてレーザビーム加工を行ってトリミング部をトリミングし、共通外部電極30の一部を除去する(S4)。

0081

S4のトリミング処理を行ったならば、未調整の駆動振動子24の有無を判定する(S5)。そして、未調整の駆動振動子24が存在していたならば、上記のS2に戻って次の駆動振動子24に対する処理を同様に行う。一方、全ての駆動振動子24…に対する処理が終了したならば、この圧電振動子ユニット4に対する調整を終了する。

0082

以上の手順で製造された圧電振動子ユニット4は、図1に示すように、駆動振動子24の先端面部がダイヤフラム部20の島部21に背面側から当接し接合されている。このため、駆動信号が供給されて駆動振動子24が振動子長手方向に伸縮すると、ダイヤフラム部20が前後方向に変形し、圧力室15の容積が変化する。そして、ノズル開口13からインク滴を吐出させる場合には、インク滴を吐出させる駆動振動子24に対して選択的に駆動信号を供給し、例えば、圧力室15を一旦膨張させてから収縮させる。このようにすると、圧力室15の膨張に伴ってリザーバ14内のインクが圧力室15に流入し、圧力室15の収縮に伴って圧力室15内のインクの圧力が高まる。そして、ノズル開口13から押し出されたインクがインク滴として吐出される。

0083

このとき、本実施形態では、圧電振動子ユニット4が変位量測定工程と変位量調整工程とを経て製造されており、各駆動振動子24の変位量が基準振動子の変位量に揃えられているので、インク滴の吐出量や吐出速度、或いは、記録紙等の印刷記録媒体上に着弾した際におけるドットの大きさ(着弾面積)といった吐出特性(つまり、液体の噴射特性)を高いレベルで揃えることができる。また、従来では、不良扱いとせざるを得なかった圧電振動子ユニット4であっても、調整により製品に搭載できるものが得られ、製造の歩留りを高めることもできる。

0084

なお、目標変位量に関し、上記の変位量調整工程では、基準電圧に対する変位量が最も少ない駆動振動子24を基準振動子とし、他の駆動振動子24の変位量を基準振動子の変位量にあわせているが、この方法に限定されるものではない。例えば、基準振動子の変位量よりも小さい変位量を目標変位量として設定し、各駆動振動子24の変位量をこの目標変位量に合わせるように構成してもよい。そして、上記の方法のように、基準振動子の変位量に他の駆動振動子24の変位量を揃えるようにすると、変位量の調整を最低量に抑えることができるので、効率がよい。

0085

また、本実施形態では、圧電振動子ユニット4の製造工程の最終的な段階において、共通外部電極30の有効長さxを調整しているので、調整後に駆動振動子24の変位量が変わってしまう可能性は低く、調整を確実に行える。なお、この有効長さxの調整は、共通外部電極30の除去が行えればどのような方法を採っても良い。そして、本実施形態のようにレーザービーム加工で行うと、除去を精度良く簡便に行うことができる。

0086

また、本実施形態の変位量調整処理では、一方の外部電極(共通外部電極30)だけを部分的に不活性にするため、駆動振動子24の変位時においてベンディングモード(撓みモード)が生じる可能性があるが、駆動振動子24の先端面部が島部21に接合されているので、島部21との接合によってこのベンディングモードは規制されて出現しない。その結果、振動子長手方向に伸縮する振動モードだけが生じる。

0087

ところで、上記した調整方法は、1本の駆動振動子24に対して1回のトリミング処理を施して調整する方法であったが、本発明はこの調整方法に限定されるものではない。例えば、1本の駆動振動子24に対して複数回のトリミング処理を施して調整してもよい。

0088

次に、図6のフローチャートを参照して、この調整方法について説明する。この調整方法も図5の調整方法と同様に、変位量測定工程と変位量調整工程とからなる。

0089

即ち、変位量測定工程では、個々の駆動振動子24…の変位量を、上記のステップS1の処理と同様に測定して目標変位量を設定する(S11)。目標変位量を設定したならば、調整対象となる駆動振動子24の変位量を取得し、取得した変位量が所定の許容範囲内に入っているか否かを判断する(S12)。

0090

ここで、取得した変位量が許容範囲から外れていた場合には、変位量調整工程に移行する。この変位量調整工程では、まず、処理条件を設定する。この方法では、まず、調整対象となる駆動振動子24の変位量と目標変位量との差を算出し、その差からトリミング量を決定する。トリミング量を決定したならば、決定したトリミング量の半分の値を、実際に除去する実トリミング量として設定する(S13)。このようにして、処理条件(実トリミング量)を設定したならば、設定した処理条件に基づいてレーザビーム加工を行い、共通外部電極30の一部を除去する(S14)。

0091

トリミングを行ったならば、調整対象の駆動振動子24における変位量を測定し(S15)、上記したステップ12に移行する。このステップ12では、ステップS15で測定された変位量と目標変位量とを比較し、上記した処理と同様な処理がなされる。

0092

そして、このステップS12で、調整対象の駆動振動子24の変位量が所定の許容範囲内に入っていた場合には、この駆動振動子24に対する調整処理を終了し、未調整の駆動振動子24の有無を判定する(S16)。ここで、未調整の駆動振動子24が存在していたならば、上記のS12に戻って次の駆動振動子24に対する処理を同様に行う。一方、全ての駆動振動子24に対する処理が終了したならば、この圧電振動子ユニット4に対する調整を終了する。

0093

このような調整方法を採ると、トリミングが複数回に亘って徐々に行われるのでトリミング部が少しずつ除去される。このため、トリミングのし過ぎを確実に防止できる。

0094

なお、上記したトリミングによる調整方法では、最外層の圧電体29a,29bを他の圧電体29よりも厚くすることが好ましい。最外層の圧電体29a,29bを他の圧電体29よりも厚くすると、トリミング時において、万一、最外層の圧電体29a,29b側まで削ってしまっても、他の内部電極27,28には影響し難く、製品に搭載できる可能性が高い。従って、圧電振動子ユニット4の製造歩留まりを向上させることができる。

0095

また、図7に示すように、トリミング部を個別外部電極31によって構成することもできる。この変形例の駆動振動子24Aは、例えば次の手順で作製される。即ち、共通内部電極27と個別内部電極28とを共通内部電極27のみの非重合領域が残るように圧電体29を挟んで交互に積層して積層体基材を作製する。積層体基材を作製したならば、この積層体基材の積層方向と直交する方向の後端面部にて共通内部電極27に接続した共通外部電極30を、積層体基材の後端面部から配線接続面の基端部24bの範囲まで一連に形成する。また、積層体基材の先端面部にて個別内部電極28に接続した個別外部電極31を、積層体基材の固定板取付面から先端面部を経て配線接続面まで一連に形成して積層体を作製する。積層体を作製したならば、積層体における基端部24bの固定板取付面に固定板25を接合し、積層体を櫛歯状に歯割りする。そして、個別外部電極31の固定板取付面に形成されている部分をトリミング部とし、このトリミング部に対してレーザービーム加工を施してトリミング部を部分的に除去する。これにより、この変形例でも個々の駆動振動子24Aの変位量を揃えることができる。

0096

ところで、上記の第1実施形態では、圧電振動子ユニット4の製造過程でトリミング処理を行う方法を例示したが、本発明はこの方法に限定されるものではない。例えば、積層体を歯割りした状態の振動子ユニットをケース2の収納空部5内に収納固定し、その後、変位量調整処理(トリミング処理)を行う方法を採ってもよい。以下、この方法を採った第2実施形態について説明する。

0097

この第2実施形態では、図1に一点鎖線で示すように、ケース2の外側と収納空部5とを連通する調整処理用開口37をケース2に開設する。この調整処理用開口37は、駆動振動子24…に対する変位量調整処理をケース2の外側から行うためのものであり、ケース2内に取り付けられた各駆動振動子24…のトリミング部に臨ませて開設している。従って、この調整処理用開口37を通じてレーザービームをトリミング部に照射することにより、記録ヘッド1に圧電振動子ユニット4を組み付けた状態で、各駆動振動子24…の変位量調整が行える。

0098

以下、第2実施形態の記録ヘッド1の製造方法について簡単に説明する。

0099

この製造方法では、まず、圧電振動子ユニット4を作製する。ここでは、上記の第1実施形態と同様にして、板状の積層体を作製する。即ち、自由端部24aに活性領域Lが形成されるように、共通内部電極27と個別内部電極28とを圧電体29を挟んで交互に積層して板状の積層体基材を作製し、この積層体基材の表面に個別外部電極31と共通外部電極30とを形成して外部電極付きの積層体を作製する。積層体を作製したならば、積層体の固定板取付面に固定板25を接合し、積層体を櫛歯状に切り分けて複数本の圧電振動子24,26を作製する。

0100

圧電振動子ユニット4を作製したならば、別途作製された流路ユニット3とケース2とを接合し、この接合体の内部、つまり、収納空部5に圧電振動子ユニット4を収容する。

0101

収納空部5内に圧電振動子ユニット4を収容したならば、各ノズル開口13…における液体の噴射特性を調整する。この調整方法は、噴射特性測定工程と、噴射特性調整工程からなる。

0102

噴射特性測定工程は、全ての駆動振動子24…に同一の駆動信号を印加することにより各ノズル開口13…から噴射させたインク滴の吐出特性(液体の噴射特性の一種)を、それぞれのノズル開口13毎に測定する工程である。本実施形態では、インクの吐出特性として、インク滴の吐出量(つまり、液体の噴射量)を測定する。このインク滴の吐出量は、例えば、ノズル開口13から1万回〜10万回程度の規定回数だけインク滴を繰り返し吐出させ、吐出前の重量と吐出後の重量との差に基づいて算出する。例えば、吐出されたインク滴を捕集して重量を測定しても良いし、インクカートリッジの重量差から求めてもよい。

0103

噴射特性調整工程は、各ノズル開口13における液体の噴射特性を揃える工程である。本実施形態では、駆動振動子24に対するトリミング処理(変位量調整処理の一種)を行うことにより、噴射特性を揃える。即ち、噴射特性測定工程での測定結果に基づいて個々の駆動振動子24に対する処理条件を設定し、設定した処理条件に基づいてトリミング部に対するトリミング量を設定する。トリミング量を設定したならば、レーザー加工を行ってトリミング部をトリミングし、共通外部電極30の一部を取り去る。この場合、インク滴の吐出量が最小となる駆動振動子24を基準振動子とし、他の駆動振動子24の変位量を小さく方向に調整することで、インク滴の吐出量を揃えることができる。

0104

このような調整方法を採ると、実際に吐出させたインク量に基づいて駆動振動子24の変位量を調整するので、駆動振動子24以外のばらつき要因についても調整することができる。例えば、駆動振動子24と島部21との接合状態のばらつき、ノズル開口13のサイズのばらつき、圧力室15の形状ばらつきなども含めて調整することができる。また、変位量の調整が記録ヘッド1の製造工程における最終的な段階で行われるため、再調整などの無駄な工程を行わなくて済み、製造の効率化が図れる。

0105

なお、この第2実施形態において、液体の噴射特性はインク滴の吐出量に限られるものではない。例えば、インク滴の吐出速度(つまり、液体の噴射速度)で合っても良いし、吐出されたインク滴が印刷記録媒体上に着弾した際の画素の大きさ(つまり、液体の着弾面積)であってもよい。何れを選択しても同様の効果が得られる。

0106

ところで、上記した各実施形態は、何れもトリミング部に対するトリミングを行うことによって駆動振動子24(24A)の変位量を調整し、インク滴の吐出量を揃えていたが、本発明は、この構成に限定されるものではない。例えば、駆動振動子を構成する圧電体29の分極状態を調整することにより、変位量を調整することもできる。以下、分極状態を調整するようにした第3実施形態について説明する。

0107

この第3実施形態では、圧電振動子の構成が上記した各実施形態と少し相違している。即ち、図8に示すように、本実施形態の駆動振動子24Bはトリミング部を有しておらず、その表面は外部電極によって覆われている。なお、本実施形態における他の構成は上記した各実施形態と同様であるので、同一部材には同じ符号を付して説明を省略する。

0108

そして、本実施形態は、その製造方法に特徴を有する。以下、製造方法について詳細に説明する。

0109

この製造方法では、まず、板状の積層体基材を製作する(積層工程)。この積層工程では、多数積層する圧電体29…の層間に電極層27,28を形成する。詳しくは、共通内部電極27と個別内部電極28とを圧電体29を挟んで交互に積層して積層体基材を作製する。この際、自由端部24aとなる側では共通内部電極27と個別内部電極28とを重ね合わせて活性領域Lを形成し、基端部24bとなる側では共通内部電極27のみを重ね合わせる。つまり、基端部24b側には活性領域を形成しない。

0110

次に、積層体基材に外部電極を形成して積層体を得る(外部電極形成工程)。即ち、作製した積層体基材の自由端部24a側となる先端面部から配線接続面となる積層面に倒L状に回り込ませて個別外部電極31を形成すると共に、積層体基材の基端面部から積層上下面の両面へ回り込ませて共通外部電極30を形成して外部電極付きの積層体を作製する。

0111

外部電極付きの積層体を作製したならば、この積層体を切り分けて複数の圧電振動子24B,26が列設された振動子群6を作製する(振動子作製工程)。この工程では、ワイヤーソーやダイシングソー等を用い、固定板25に接合した積層体の自由端部24a側を50μm〜100μm程度の極めて細い幅のニードル状に切り分ける。

0112

このように作製した圧電振動子ユニット4においても、上記した第1実施形態の圧電振動子ユニット4と同様に、駆動振動子24Bの変位特性が個々の振動子毎ばらつく虞がある。

0113

そこで、本実施形態でも、板状の積層体を歯割りした後に、各駆動振動子24B…の変位量を揃える。この方法では、準飽和分極状態の圧電体29を順方向に再度分極させる再分極処理を行うことで、各駆動振動子24B…の変位量を最も変位量が大きい駆動振動子24Bの変位量に揃える。つまり、最も変位量が大きい駆動振動子24Bを基準振動子とし、他の駆動振動子24Bの変位量を基準振動子の変位量にあわせる。

0114

以下、変位量を調整する方法について、図9のフローチャートを参照して説明する。

0115

この調整方法では、まず、全ての駆動振動子24B…について、飽和する手前で分極を止めて圧電体29を準飽和分極状態にする準飽和分極処理(S21)を行う。本実施形態では、全ての駆動振動子24B…を対象として、圧電体29が飽和分極状態の9割方の分極状態となるように、順方向の分極電圧言い換えれば、振動子を変位させる時と同じ向きの電圧を印加する。従って、この準飽和分極処理では、圧電体29に対して直流電界を所定時間に亘って印加する。

0116

なお、上記した「9割方の分極状態」とは、100%の分極状態である飽和分極状態に対する90%の分極状態を基準とし、この基準の分極状態から許容範囲内に収まる分極状態を意味する。例えば、90%の分極状態から±5%の範囲内(85%〜95%)の分極状態が該当する。このように、準飽和分極状態に設定すると、後述する再分極処理(S26)における調整範囲マージン)として残り10%を割り当てることができるため、必要十分な調整を行うことができる。

0117

また、分極の度合いは、分極処理用の電圧の電圧値が高いほど時間あたりの分極の度合いが高くなり、電圧の印加時間が長いほど分極の度合いが高くなる。さらに、駆動振動子24Bの温度が高いほど分極し易くなる。このため、これらの分極処理時の電圧値、電圧の印加時間、及び、振動子の温度等を変数にし、この値を調整して分極処理を行うことにより、圧電体29を所望の準飽和分極状態に効率よく調整できる。

0118

準飽和分極処理を行ったならば、次に、変位量測定工程に移行する(S22)。この変位量測定工程では、各駆動振動子24B…について、基準電圧に対する変位量を個々に測定する。この変位量測定工程では、例えば、基準電圧を供給した際の駆動振動子24Bの変位速度を、レーザドップラー振動計を使用する等して測定し、この変位速度を時間方向に積分することで変位量を算出する。なお、レーザ変位計などを使用して変位量を直接計測するようにしてもよい。

0119

各駆動振動子24Bについて変位量を測定したならば、目標変位量の設定処理(S23)を行う。ここでは、全ての駆動振動子24B…に適用される変位量の目標値を設定する。上記したように、各駆動振動子24B…では分極が順方向に10%程度のマージンを持っているので、例えば、最大変位量の駆動振動子24Bを基準振動子にし、この基準振動子の変位量を目標変位量として設定する。

0120

なお、目標変位量に関し、駆動振動子24Bの最大変位量を目標変位量としているが、これに限定されるものではない。例えば、基準振動子の変位量よりも大きい変位量を目標変位量として設定し、各駆動振動子24Bの変位量をこの目標変位量に合わせるように構成してもよい。そして、基準振動子の変位量に他の駆動振動子24Bの変位量を揃えるようにすると、変位量の調整を最低量に抑えることができるので、効率がよい。また、基準振動子の変位量よりも大きい変位量を目標変位量にすると、駆動振動子24Bの変位量を大きく設定することができる。

0121

目標変位量を設定したならば、変位量測定工程での測定結果に基づいて個々の駆動振動子24Bに対する処理条件を設定し、設定した処理条件に基づいて変位量調整処理を行う(変位量調整工程)。この変位量調整工程では、まず、処理条件を設定する。本実施形態では、分極度合いによって各駆動振動子24B…の変位量を調整するので、処理条件として再分極の処理条件が設定される。

0122

即ち、調整対象となる駆動振動子24Bの変位量と目標変位量との差を算出し、この差が許容範囲内であるか否かを判定する判定処理(S24)を行う。この判定処理で、目標変位量との差が許容範囲外の駆動振動子24Bが存在した場合には処理条件設定処理(S25)に移行する。また、目標変位量との差が全ての駆動振動子24B…について許容範囲内になった場合には、一連の工程を終了する。

0123

処理条件設定処理(S25)は、目標変位量との差に基づき、調整対象となる駆動振動子24Bの再分極の処理条件を設定する処理である。つまり、調整対象となる駆動振動子24Bに対する再分極処理のパラメータを設定する。ここでは、圧電体29に加える電圧値、圧電体29に加える電圧の印加時間、及び、圧電体29の温度を再分極処理のパラメータ(変数)として適宜選択し、再分極条件を設定する。

0124

なお、この再分極処理の条件に関し、分極状態が目標変位量よりも手前となるように条件を設定してもよい。例えば、係数として1/2を乗じて、駆動振動子24Bの分極状態を目標変位量へ少しずつ収束させるようにしてもよい。

0125

再分極処理の条件を設定したならば、再分極処理(変位量調整処理の一種,S26)に移行する。この再分極処理では、処理条件設定処理で設定した再分極条件に基づき、圧電体29に加える電圧値、圧電体29に加える電圧の印加時間、圧電体29の温度等を適宜に設定し、設定された条件の下で再分極処理を行う。

0126

再分極処理を行った後は、上記した変位量の測定処理(S22)へ戻り、再分極後における当該駆動振動子24Bの変位量を測定する。変位量を測定したならば、目標変位量の設定処理(S23)をスキップして、測定した変位量と目標変位量との差を判断し、この差が所定の許容範囲内に到達したならば、次の駆動振動子24Bに対する調整を行う。

0127

このような調整方法によれば、準飽和分極工程で全ての駆動振動子24B…(圧電体29)を準飽和分極状態とし、この準飽和分極状態の圧電体29を再度順方向に分極させて所望の分極状態に調整している。そして、分極の方向は飽和する側への一方向であるので、所望の分極状態に容易に調整することができる。従って、複数の駆動振動子24Bについて、各駆動振動子24B…の変位量を、均一に揃えることができる。そして、逆極性に電圧を加えて分極を反転させる調整方法ではないので、調整の確実性が高く、調整が容易である。

0128

ところで、上記の第3実施形態では、駆動振動子24Bの圧電体29を一旦準飽和分極状態とし、その後、順方向に再分極させることで所望の分極特性に揃える例について説明したが、第3実施形態の調整方法はこの方法に限定されるものではない。例えば、駆動振動子24Bの圧電体29を一旦飽和分極状態とし、この飽和分極状態の各駆動振動子24B…について局部的な加熱を行うことで圧電体29を局所的に消極し、駆動振動子24Bを所望の変位量調整してもよい。以下、このような調整方法を採った第3実施形態の変形例について説明する。

0129

図10は、この変形例における調整方法を説明するフローチャートである。なお、記録ヘッド1の構成や、調整方法以外の製造方法については、上記の第3実施形態と同じであるので説明は省略する。

0130

例示した調整方法では、まず、飽和分極処理(S31)を行う。この飽和分極処理では、全ての駆動振動子24B…について、飽和するまで分極を行って圧電体29を飽和分極状態にする。即ち、分極が飽和するまで全ての駆動振動子24Bの個別外部電極31と共通外部電極30との間に分極電圧を印加し、圧電体29に直流電界を加える。

0131

次に、飽和分極状態の各駆動振動子24Bについて変位量を測定する変位量測定工程(S32)を行う。この変位量測定工程では、第3実施形態と同様に、例えばレーザドップラー振動計やレーザ変位計などを使用して、基準電圧を供給した際の駆動振動子24Bの変位量を測定する。

0132

次に、目標変位量の設定処理(S33)を行う。ここでは、測定処理で得た測定データから、全ての駆動振動子24B…に適用される変位量の目標値を設定する。ここでは、全ての駆動振動子24B…の分極が飽和しているため、例えば、最小変位量の駆動振動子24Bを基準振動子にし、この基準振動子の変位量を目標変位量として設定する。

0133

目標変位量を設定したならば、変位量測定工程での測定結果に基づいて個々の駆動振動子24Bに対する処理条件を設定し、設定した処理条件に基づいて変位量調整処理を行う(変位量調整工程)。この変位量調整工程では、まず、処理条件を設定する。本実施形態では、駆動振動子24Bに対するスポット加熱処理によって圧電体29を部分的に消極し、各駆動振動子24B…の変位量を調整するので、処理条件としてスポット加熱の処理条件が設定される。

0134

従って、まず、調整対象となる駆動振動子24Bの変位量と目標変位量との差を算出し、この差が許容範囲内であるか否かを判定する判定処理(S34)を行う。この判定処理で、目標変位量との差が許容範囲外の駆動振動子24Bが存在した場合には処理条件設定処理(S35)に移行する。また、目標変位量との差分が全ての駆動振動子24B…について許容範囲内となった場合には一連の工程を終了する。

0135

処理条件設定処理(S35)は、目標変位量との差分に基づき、調整対象となる駆動振動子24Bに対するスポット加熱の処理条件を設定する処理である。つまり、調整対象となる駆動振動子24Bに対する加熱条件を設定する。ここでは、スポット加熱の加熱面積加熱温度、及び、加熱時間等を加熱条件として設定する。ここで、加熱温度に関しては、圧電体29が消極される温度、好ましくは、圧電体29のキュリー温度以上の温度に設定される。

0136

処理条件を設定したならば、スポット加熱処理(変位量調整処理の一種,S36)に移行する。このスポット加熱処理では、設定された加熱条件に基づき、例えば、圧電体29に対して局所的にレーザビームを照射する。そして、レーザビームを照射された部分の圧電体29は、加熱によって局所的に消極され、その分だけ駆動振動子24Bの変位量が減少する。なお、このスポット加熱処理はレーザビームの照射以外にも、赤外線の局所的な照射や、加熱端子を局所的に当接させることで行っても良い。

0137

スポット加熱処理を行ったならば、変位量の測定処理(S32)へ戻り、スポット加熱後の駆動振動子24Bの変位量を測定する。変位量を測定したならば、目標変位量の設定処理(S33)をスキップして、測定した変位量と目標変位量との差分を判断し(S34)、測定値が所定の許容範囲内に到達したならば、次の駆動振動子24Bに対する調整を行う。

0138

このような調整方法によれば、飽和分極工程で全ての駆動振動子24B(圧電体29)を、飽和分極状態とし、この飽和分極状態の圧電体29をスポット加熱処理で局所的に加熱して当該部分を消極している。このため、加熱するだけの簡単な操作で圧電体29を所望の分極状態に調整できる。従って、複数の駆動振動子24B…について、各駆動振動子24B…の変位量を容易に揃えることができる。

0139

ところで、上記した再分極による調整方法とスポット加熱処理による調整方法とを組み合わせることも可能である。

0140

この変形例では、まず、準飽和分極処理(S21)により、飽和する手前で分極を止めて駆動振動子24Bの圧電体29を準飽和分極状態にする。次に、各駆動振動子24B…について変位量を測定し(S22)、この測定値に基づいて変位量の目標変位量を設定する(S23)。目標変位量を設定したならば、調整対象となる駆動振動子24Bについて目標変位量との差を判定し(S24)、処理条件を設定する(S25,S35)。この処理条件の設定処理では、目標変位量よりも変位量が少なければ圧電体29を順方向に再分極するための処理条件を設定し(S25)、一方、目標変位量よりも変位量が多ければ圧電体29をスポット加熱するための処理条件を設定する(S35)。処理条件を設定したならば、分極調整処理(変位量調整処理の一種)を行う。即ち、設定された処理条件に基づいて再分極処理(S26)若しくはスポット加熱処理(S36)を選択して行う。そして、このような調整方法を採ることにより、駆動振動子24Bの変位量を目標変位量へ効率よく収束させることができる。

0141

また、準飽和分極処理、再分極処理、及び、飽和分極処理の分極処理では、駆動振動子24Bを加熱することで、圧電体29を順方向(飽和方向)へ分極させ易くすることができる。そして、駆動振動子24Bを構成する圧電体29は誘電損失が大きいため、空気中で高速振動させることにより温度を100度位まで簡単に上昇させることができる。そこで、上記の分極処理(S21,S26,S31)において、分極電圧の印加に先立って、圧電体29に対する充電と放電とを交互に行わせる分極駆動信号を調整対象となる駆動振動子24Bに供給して、当該駆動振動子24Bの温度を所定温度以上に上昇させてもよい。このような加熱分極処理によれば、この自己発熱した熱によって、自己発熱に続いてなされる分極処理で、分極を効率良く行わせることができる。そして、この加熱分極処理を行った場合には、分極駆動信号の波形、つまり、波高値繰り返し周期を適宜に設定することで駆動振動子24Bの加熱温度や温度の上昇速度等を制御できる。このため、簡便であり、且つ、特別な加熱装置等も不要である。

0142

ところで、分極度合いを可変することで駆動振動子24Bの変位量を調整する第3実施形態及びその変形例において、駆動振動子24Bは、所謂縦振動モードの圧電振動子であり、電界の作用によって圧電体29の積層方向と直交する方向に伸縮するものであった。しかし、この調整方法では、電界の作用によって圧電体29の積層方向に伸縮する所謂横振動モードの圧電振動子にも適用することができる。以下、この変形例について説明する。

0143

この変形例では、図11に示すように、横振動モードの圧電振動子ユニット4Aを用いて記録ヘッド1を構成している。つまり、この記録ヘッド1では、ケース2の収容空部5に、圧電振動子ユニット4Aを収容している。そして、この圧電振動子ユニット4Aの駆動振動子24Cによって、流路ユニット3内の圧力室15…に圧力変動を生じさせて、ノズル開口13…からインク滴を吐出させる。なお、この図11において、上記した各実施形態と同様な構成部分には同一符号を付してあり、説明を省略する。

0144

圧電振動子ユニット4は、振動子群6´と固定板25´等により概略構成されている。振動子群6´は、圧電体29と電極層(共通内部電極27,個別内部電極28)とを交互に積層した積層体基材の表面に外部電極30,31を形成した積層体に、流路ユニット3の各圧力室15…に対応した所定ピッチスリット部を形成することにより櫛歯状に切り分けて構成する。

0145

この振動子群6´では、上記した振動子群6とは形状及び配置方向が相違し、積層側の面を固定板25´に接合する。そして、共通外部電極30と個別外部電極31は、駆動振動子24Cの対向する両側面にそれぞれ設ける。また、この圧電振動子ユニット4Aは、先端の圧電体29の表面が各駆動振動子24C…の先端面部となり、当該先端面部を弾性板12の対応する島部21に接合している。

0146

そして、各駆動振動子24C…は、対向する内部電極27,28間に電位差を与えることにより圧電体29の積層方向に変位して伸縮し、圧力室15を区画するダイヤフラム部20を変位させる。このダイヤフラム部20の変位により圧力室15が膨張或いは収縮し、圧力室15内のインクに圧力変動が生じて、ノズル開口13からインク滴が吐出する。

0147

ところで、圧電体29の分極度合いを調整する第3実施形態において、この調整を駆動振動子24B(24C)の変位量に基づいて行っていたが、本発明はこの方法に限定されるものではない。例えば、記録ヘッド1に組み立てた状態で、分極度合いの調整(変位量調整処理)を行ってもよい。

0148

以下、この方法を採った第4実施形態について説明する。

0149

この製造方法でも、上記の第2実施形態と同様に、まず圧電振動子ユニット4を作製する。即ち、自由端部24aに活性領域Lが形成されるように、共通内部電極27と個別内部電極28とを圧電体29を挟んで交互に積層して板状の積層体基材を作製し、この積層体基材の表面に個別外部電極31と共通外部電極30とを形成して外部電極付きの積層体を作製する。積層体を作製したならば、積層体の固定板取付面に固定板25を接合し、積層体を櫛歯状に切り分けて複数本の圧電振動子24B,26を作製する。

0150

圧電振動子ユニット4を作製したならば、別途作製された流路ユニット3とケース2とを接合し、この接合体の内部である収納空部5に、圧電振動子ユニット4を収容する。

0151

収納空部5内に圧電振動子ユニット4を収容したならば、各ノズル開口13における液体の噴射特性を調整する。この調整方法は、図12のフローチャートに示す手順でなされ、噴射特性測定工程と、噴射特性調整工程からなる。

0152

噴射特性測定工程は、第2実施形態と同様であり、インク滴の吐出特性を、それぞれのノズル開口13毎に測定する工程である。本実施形態では、インクの吐出特性として、インク滴が印刷記録媒体上に着弾することによって形成された画素の大きさ(つまり、噴射された液体の着弾面積)を測定する。

0153

測定に先立って、まず、準飽和分極処理(S41)を行う。つまり、全ての駆動振動子24Bに直流電界を適宜に印加し、駆動振動子24Bを準飽和状態まで分極させる。駆動振動子24Bを準飽和状態まで分極させたならば、画素測定処理(S42)を行う。この画素測定処理では、まず、全ての駆動振動子24Bに同一の駆動信号を印加して各ノズル開口13からインク滴を吐出させ、印刷記録媒体上に画素を形成する。画素を形成したならば、次に、この画素の大きさ、つまり印刷記録媒体上に着弾したインクの面積を測定する。

0154

画素の大きさを測定したならば、噴射特性調整工程に移行する。この噴射特性調整工程では、まず、目標値設定処理(S43)を行い、全ての駆動振動子24B…へ適用する画素の大きさの目標値を設定する。この製造方法では、再分極を行うことで駆動振動子24Bの変位量を調整するので、最大画素の大きさを目標値(噴射特性)に設定し、他の駆動振動子24Bの変位量を調整して画素の大きさを最大画素に揃える。

0155

目標値を設定したならば判定処理(S44)を行い、調整対象の駆動振動子24Bで記録した画素の大きさと、最大画素の大きさとの差が所定の許容範囲内か否かを判断し、許容範囲内であれば、その駆動振動子24Bに対する調整処理を終了し、次の駆動振動子24Bについて調整の有無を判断する。

0156

そして、判定処理で許容範囲外と判定された場合は処理条件設定処理(S45)を行い、再分極処理(変位量調整処理の一種,S46)における処理条件を設定する。ここでは、画素の大きさが目標値となるように、圧電体29に加える電圧値、圧電体29に加える電圧の印加時間、及び、圧電体29の温度を再分極処理のパラメータ(変数)として適宜選択し、再分極条件を設定する。処理条件を設定したならば、再分極処理を行い(S46)、設定した処理条件に基づいて圧電体29を再度順方向側に分極させる。

0157

再分極処理を行ったならば、画素測定処理(S42)へ戻り、再分極後の駆動振動子24Bによって形成された画素の大きさを測定する。画素の大きさを測定したならば、目標値の設定処理(S43)をスキップして、上述した各処理を繰り返す。そして、測定した画素の大きさと目標値との差分が所定の許容範囲内に到達したならば、その駆動振動子24Bに対しては調整処理を終了し、次の駆動振動子24Bについて調整の判断を行う(S44)。

0158

この調整方法によれば、実際に吐出させたインク滴による画素の大きさに基づいて駆動振動子24Bの分極状態を調整するので、各駆動振動子24Bの変位量のばらつき以外にも、ノズル開口13の開口サイズや圧力室15の形状ばらつきなども補正することができる。つまり、記録ヘッド1の使用状態で調整を行うことができ、各ノズル開口13…によるインク滴の吐出特性を極めて高い水準に揃えることができる。

0159

また、変位量の調整が記録ヘッド1の製造工程における最終的な段階で行われるため、調整後に各駆動振動子24B…の変位量が変わってしまう可能性が低い。従って、再調整などの無駄な工程を行わなくて済み、製造の効率化が図れる。

0160

ところで、この第4実施形態の調整方法は、再分極処理を行うことで圧電体29の分極度合いを調整するものであったが、スポット加熱処理で分極度合いを調整するようにしてもよい。この場合においてケース2には、例えば図11に示すように、収納空部5とケース外部とを連通する調整用開口を設けるのが好ましい。この調整用開口を設けると、収容空部内に収容した振動子群6´をケース2の外部から臨ませることができ、調整用処理用開口37を通じて駆動振動子24Cへのスポット加熱が行えるからである。以下、この方法を採った第4実施形態の変形例について説明する。

0161

この変形例の調整方法でも、第4実施形態と同様に圧電振動子ユニット4を作製し、次に、別途作製された流路ユニット3とケース2とを接合し、収納空部5に圧電振動子ユニット4を収容して固定する。

0162

収納空部5内に圧電振動子ユニット4を収容固定したならば、各ノズル開口13における液体の噴射特性を調整する。この調整方法は、噴射特性測定工程と、噴射特性調整工程からなる。

0163

噴射特性測定工程では、まず、飽和分極処理(S51)を行う。つまり、全ての駆動振動子24C…に直流電界を加え、駆動振動子24Cを飽和状態まで分極させる。駆動振動子24Cを飽和状態まで分極させたならば画素測定処理(S52)を行う。この画素測定処理は、上記したS42の処理と同様にしてなされる。即ち、まず、同一波形の駆動信号を各駆動振動子24C…に供給してノズル開口13からインク滴を吐出させ、印刷記録媒体上に画素を形成する。次に、この画素の大きさ、つまり媒体上に着弾したインクの面積を測定する。

0164

画素の大きさを測定したならば、目標値設定処理(S53)を行い、全ての駆動振動子24C…へ適用する画素の大きさの目標値を設定する。この方法では、スポット加熱処理によって分極度合いを調整するので、最小画素の大きさを目標値(噴射特性)に設定し、他の駆動振動子24C…の変位量を調整して画素の大きさを最小画素に揃える。

0165

目標値を設定したならば判定処理(S54)を行い、調整対象の駆動振動子24Cで記録した画素の大きさと、最小画素の大きさとの差が所定の許容範囲内か否かを判断し、許容範囲内であれば、その駆動振動子24Cに対する調整処理を終了し、次の駆動振動子24Cについて調整の有無を判断する。

0166

そして、判定処理で許容範囲外と判定された場合は処理条件設定処理(S55)を行い、スポット加熱処理(変位量調整処理の一種,S56)における処理条件を設定する。ここでは、画素の大きさが目標値となるように、スポット加熱の加熱面積、加熱温度、及び、加熱時間等を加熱条件として設定する。

0167

処理条件を設定したならば、対象となる駆動振動子24Cについてのスポット加熱処理(消極処理,S56)を行う。このスポット加熱処理では、調整処理用開口37を通じてケース2の外部から、例えば、圧電体29に対して局所的にレーザビームを照射したり、赤外線を照射したり、或いは、加熱端子を当接させたりする。そして、加熱された部分が消極されて、その分だけ駆動振動子24Cの変位量が減少する。

0168

スポット加熱処理を行った後は、画素測定処理(S52)へ戻り、スポット加熱後の駆動振動子24Cによって形成された画素の大きさを測定する。画素の大きさを測定したならば、目標値の設定処理(S53)をスキップして、測定した画素の大きさと目標変位量との差を判断し、測定値が所定の許容範囲内に到達したならば、次の駆動振動子24Cに対する調整を行う。

0169

この調整方法でも、実際に吐出させたインク滴による画素の大きさに基づいて駆動振動子24Cの分極状態を調整しているので、各駆動振動子24Cの変位量のばらつき以外にも、ノズル開口13の開口サイズや圧力室15の形状ばらつきなどを補正することができる。つまり、記録ヘッド1の使用状態で調整を行うことができ、各ノズル開口13…によるインク滴の吐出特性を極めて高い水準に揃えることができる。また、変位量の調整が製造工程の最終的な段階で行われるため、調整後に各駆動振動子24C…の変位量が変わってしまう可能性が低い。従って、再調整などの無駄な工程を行わなくて済み、製造の効率化が図れる。

0170

なお、上記の画素測定処理(S42、S52)では、インク滴の吐出特性として画素の大きさを測定していたが、本発明はこの方法に限定されない。例えば、これらの処理でノズル開口13…から吐出されたインク滴の飛行速度を測定するようにし、測定した飛行速度に基づいて再分極処理(S46)における処理条件やスポット加熱処理(S56)における処理条件を設定してもよい。また、ノズル開口13…から吐出されたインク量を測定するようにし、測定したインク量に基づいて再分極処理(S46)やスポット加熱処理(S56)の処理条件を設定してもよい。

0171

また、第3実施形態及び第4実施形態の方法は、何れも圧電体29の分極度合いを変えることで駆動振動子24B,24Cの変位量を調整する方法であったが、これらの方法は、圧力室15のダイヤフラム部20に圧電振動子(所謂撓み振動モードの圧電振動子)を直接的に設けた液体噴射ヘッドにも適用することができる。

0172

また、上記した各実施形態では、液体噴射ヘッドとして画像記録装置に用いられるインクジェット式記録ヘッド1を例示したが、本発明の適用対象は、この記録ヘッド1に限定されるものではない。例えば、光学フィルタの製造装置、捺染装置或いはマイクロディスペンサといった産業機械用の噴射ヘッドにも適用できる。そして、何れの液体噴射ヘッドについても、耐久性の高い圧電振動子を用いているため、長期間に亘って安定して使用することができる。

発明の効果

0173

以上説明したように、本発明によれば以下の効果を奏する。即ち、本発明の圧電振動子ユニットは、基準電圧に対する圧電振動子の変位量をそれぞれの圧電振動子について測定する変位量測定工程と、該変位量測定工程での測定結果に基づいて個々の圧電振動子に対する処理条件を設定し、設定した処理条件に基づいて変位量調整処理を行って各圧電振動子の変位量を揃える変位量調整工程とを経て製造されるので、個々の圧電振動子の変位量を揃えることができ、ひいては液体噴射ヘッドにおける液体の吐出特性を揃えることができる。また、変位量の調整は、単一の積層体基材を個々の圧電振動子に切り分けた後に行われるため、調整後に圧電振動子の変位量が変わってしまう可能性は低い。このため、再調整などの無駄な工程を行わなくて済み、製造の効率化が図れる。さらに、産業用機械にも使用可能な高精度の圧電振動子ユニットを得ることができるし、従来では不良扱いとせざるを得なかった圧電振動子ユニットであっても、調整により製品に搭載できるものが得られ、製造の歩留りを高めることもできる。

0174

また、変位量調整処理が、各圧電振動子における外部電極の活性領域の部分をトリミングするトリミング処理である場合には、最外圧電体の作動範囲の与え方次第で、圧電振動子の変位量を所望の変位量に調整することができる。これにより、個々の圧電振動子の変位量を揃えることができる。また、各圧電振動子の変位量が揃うので、吐出されるインク滴の量を各ノズル開口同士の間で精度良く揃えることができ、画質の向上が図れる。

0175

また、トリミング処理を、レーザービーム加工により外部電極の活性領域の部分をトリミングする処理とした場合には、トリミングを高い精度で簡便に行うことができる。

0176

また、最外圧電体を他の圧電体よりも厚くすると、トリミング時において、万一、最外圧電体側まで削ってしまっても、他の内部電極には影響し難いので、製品に搭載できる可能性が高い。従って、圧電振動子ユニット4の製造歩留まりを向上させることができる。

0177

また、変位量測定工程に先立って、飽和する手前で分極を止めて圧電体を準飽和分極状態にする準飽和分極処理を行い、変位量調整処理を、準飽和分極状態の圧電体を順方向に再度分極させる再分極処理とした場合には、分極の方向は飽和する側への一方向となる。このため、所望の分極状態に容易に調整することができる。従って、複数の圧電振動子について、各圧電振動子の変位量を容易に揃えることができ、製造の効率化が図れる。また、この方法では、圧電振動子の物理的形状は調整前と後とで変わらないので、この点でも各圧電振動子の変位量を確実に揃えることができる。

0178

また、準飽和分極状態を飽和分極状態の9割方の分極状態に設定した場合には、調整が容易であって、必要十分な調整マージンを得ることができる。

0179

また、変位量測定工程に先立って、飽和するまで分極させて圧電体を飽和分極状態にする飽和分極処理を行い、変位量調整処理を、飽和分極状態の圧電体に対する局部的な加熱を行うスポット加熱処理とした場合には、加熱された部分は局所的に消極されるので、圧電体を所望の分極状態に調整することができる。そして、加熱部分における加熱温度や加熱部分の面積を変えることで、消極の度合いや消極部分の面積を変えることができるので、僅かな調整も可能である。このため、各圧電振動子の変位量を容易且つ正確に揃えることができる。また、この方法でも、圧電振動子の物理的形状は調整前と後とで変わらないので、この点でも各圧電振動子の変位量を確実に揃えることができる。

0180

また、変位量調整処理が、電極に分極駆動信号を供給して圧電体に対する充電と放電を交互に行わせて圧電振動子を自己発熱させ、この自己発熱状態で圧電体を分極する加熱分極処理である場合には、加熱用の装置を用意しなくても圧電振動子を加熱することができる。さらに、調整対象となる圧電振動子を選択的に加熱することができる。

0181

また、本発明の液体噴射ヘッドは、全ての圧電振動子に同一の駆動信号を印加することによりノズル開口から噴射させた液体の噴射特性を、それぞれのノズル開口毎に測定する噴射特性測定工程と、該噴射特性測定工程での測定結果に基づいて個々の圧電振動子に対する処理条件を設定し、設定した処理条件に基づいて圧電振動子に対する変位量調整処理を行って各ノズル開口13における液体の噴射特性を揃える噴射特性調整工程とを経て製造されるので、個々のノズル開口における液体の噴射特性を揃えることができる。このとき、駆動振動子以外のばらつき要因についても調整することができる。例えば、駆動振動子と島部との接合状態のばらつき、ノズル開口のサイズのばらつき、圧力室の形状ばらつきなども補正することができる。また、変位量の調整が記録ヘッドの製造工程における最終的な段階で行われるため、再調整などの無駄な工程を行わなくて済み、製造の効率化が図れる。さらに、従来では不良扱いとせざるを得なかった液体噴射ヘッドであっても、調整により製品に搭載できるものが得られ、製造歩留まりを向上させることができる。

0182

また、圧電振動子を、圧電体と内部電極とを交互に積層した積層体基材の表面に外部電極となる電極層を形成した積層体を櫛歯状に歯割りすることで作製した場合には、振動子ユニットの完成体の状態で各圧電振動子の変位量を調整することができる。従って、調整が容易且つ確実に行え、圧電振動子ユニットの製造歩留まりを向上させることができる。

図面の簡単な説明

0183

図1インクジェット式記録ヘッドの要部を拡大して示した断面図である。
図2圧電振動子ユニットの外観斜視図である。
図3図2のA−A断面図である。
図4外部電極の有効長さと変位量との関係を示した図である。
図5トリミングによる調整方法を説明するフローチャートである。
図6トリミングによる他の調整方法を説明するフローチャートである。
図7駆動振動子の他の構成を説明する断面図である。
図8駆動振動子のさらに他の構成を説明する断面図である。
図9分極度合いによる調整方法を説明するフローチャートである。
図10分極度合いによる他の調整方法を説明するフローチャートである。
図11横振動モードの駆動振動子を用いた記録ヘッドの要部を拡大して示した断面図である。
図12画素の大きさによる調整方法を説明するフローチャートである。
図13画素の大きさによる他の調整方法を説明するフローチャートである。

--

0184

1インクジェット式記録ヘッド
2ケース
3流路ユニット
4圧電振動子ユニット
5収納空部
6振動子群
7インク供給管
10流路形成板
11ノズルプレート
12弾性板
13ノズル開口
14リザーバ
15圧力室
16インク供給口
17弾性体膜
18 支持板
19コンプライアンス部
20ダイヤフラム部
21島部
24,24A,24B,24C駆動振動子
24a 自由端部
24b基端部
25固定板
26ダミー振動子
27共通内部電極
28 個別内部電極
29圧電体
29a,29b最外層の圧電体
30共通外部電極
31 個別外部電極
32フレキシブルケーブル
33除去領域
34共通電極配線部
35 個別電極配線部
36 溝
37調整処理用開口

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