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技術 排煙処理剤の製造方法

出願人 北海道電力株式会社上田石灰製造株式会社
発明者 石塚朋弘村山岳史杉村篤村上達夫今井勉
出願日 2000年4月4日 (20年8ヶ月経過) 出願番号 2000-101741
公開日 2001年10月9日 (19年2ヶ月経過) 公開番号 2001-276566
状態 特許登録済
技術分野 廃ガス処理 固体収着剤及びろ過助剤
主要キーワード 添加剤群 添加剤水溶液 水蒸気導入管 試料投入口 酸化活性種 ゴミ焼却装置 カルシウム含有率 脱塩効率
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (4)

課題

高い脱塩および脱硫効果を有する排煙処理剤を従来よりも安価にしかも容易に製造することができる排煙処理剤の製造方法。

解決手段

生石灰二酸化ケイ素とを含む混合物100重量部のうち、生石灰を50〜99.9重量部および二酸化ケイ素を0.01〜50重量部含み、上記混合物100重量部に対して、生石灰を消石灰に変えるための化学量論的な水量の水と上記混合物を分散させる溶媒10〜200重量部とを加える工程を含む。

概要

背景

従来、比較的安価な排煙処理方法として、排煙が通る煙道内消石灰噴霧することにより、排煙内の有害な酸性ガスを消石灰に吸着させ、酸性ガスが吸着した消石灰を集塵器により回収した後、この回収物を、埋め立て処理等の、管理型の廃棄物として処理する方法が一般的になされてきた。

また、この発明に係る発明者等は、従来、発電所などで石炭等の化石燃料燃焼させることにより排出される排煙中に含まれるNOxやSOxを効率的に除去するための排煙処理剤を、例えば文献1(特開平11−76808号公報)で提案している。文献1の排煙処理剤によれば、酸化カルシウム二酸化ケイ素酸化アルミニウムおよび石膏原料として含んでいる。そして、この排煙処理剤の製造方法は、生石灰中に、非結晶性二酸化ケイ素を含む物質を、生石灰中の酸化カルシウム100重量部当たり二酸化ケイ素として0.05〜60重量部になるように加え、水を加えて消化反応を行わせ、ついで所定の排煙処理剤組成になるよう酸化アルミニウム、石膏、および必要により二酸化ケイ素を含む物質を混合し、混練することを特徴とする。このようにして製造された排煙処理剤によって、高い脱硫(脱SOx)および脱硝(脱NOx)効果が得られる。

概要

高い脱塩および脱硫効果を有する排煙処理剤を従来よりも安価にしかも容易に製造することができる排煙処理剤の製造方法。

生石灰と二酸化ケイ素とを含む混合物100重量部のうち、生石灰を50〜99.9重量部および二酸化ケイ素を0.01〜50重量部含み、上記混合物100重量部に対して、生石灰を消石灰に変えるための化学量論的な水量の水と上記混合物を分散させる溶媒10〜200重量部とを加える工程を含む。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
8件

この技術が所属する分野

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請求項1

生石灰二酸化ケイ素とを含む混合物100重量部のうち、前記生石灰を50〜99.9重量部および前記二酸化ケイ素を0.01〜50重量部含み、前記混合物100重量部に対して、前記生石灰を消石灰に変えるための化学量論的な水量の水と、前記混合物を分散させる溶媒10〜200重量部とを加える工程を含むことを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項2

請求項1に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記混合物は、生石灰50〜99.9重量部と、二酸化ケイ素0.01〜50重量部を含む二酸化ケイ素含有物とを混合して得られることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項3

請求項2に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記二酸化ケイ素含有物を、前記二酸化ケイ素1〜20重量部となるように混合させることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項4

請求項1または請求項2に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記溶媒は、前記生石灰の消化熱により蒸発して反応終了時に排煙処理剤中に残存しない量だけ加えられることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項5

請求項1、請求項2または請求項4に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記溶媒を水および有機溶媒混合溶液とすることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項6

請求項5に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記有機溶媒を、グリコール類アミン類およびアルコール類からなる有機溶媒群から選ばれる一種もしくは二種以上の有機溶媒とすることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項7

請求項5または請求項6に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記溶媒の量を10重量部以上で、100重量部以下とすることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項8

請求項5〜7のうちのいずれか一項に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記有機溶媒の容量は、前記溶媒中の水の容量の2倍以下とすることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項9

請求項1または請求項2に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記溶媒を、水に添加剤が溶解された添加剤水溶液とすることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項10

請求項9に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記添加剤を、クエン酸および糖類からなる添加剤群から選ばれる一種もしくは二種以上の添加剤とすることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項11

請求項9または請求項10に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記添加剤は、前記混合物100重量部に対して0.1〜20重量部となるように溶解されていることを特徴とする排煙処理剤の製造方法

請求項12

請求項9〜11のうちのいずれか一項に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記溶媒の量を10重量部以上で、100重量部以下とすることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項13

請求項1または請求項2に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記溶媒を、水および有機溶媒の混合溶液に添加剤が溶解された溶液とすることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項14

請求項1または請求項2に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記溶媒を水とすることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項15

請求項14に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記水の量を70重量部以上で、200重量部未満とすることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

請求項16

請求項14に記載の排煙処理剤の製造方法において、前記水の量を10重量部以上で、70重量部未満とすることを特徴とする排煙処理剤の製造方法。

技術分野

0001

この発明は、排煙処理剤、特に一般ごみ焼却に伴う排煙中酸性ガスを除去するための排煙処理剤の製造方法に関する。

背景技術

0002

従来、比較的安価な排煙処理方法として、排煙が通る煙道内消石灰噴霧することにより、排煙内の有害な酸性ガスを消石灰に吸着させ、酸性ガスが吸着した消石灰を集塵器により回収した後、この回収物を、埋め立て処理等の、管理型の廃棄物として処理する方法が一般的になされてきた。

0003

また、この発明に係る発明者等は、従来、発電所などで石炭等の化石燃料燃焼させることにより排出される排煙中に含まれるNOxやSOxを効率的に除去するための排煙処理剤を、例えば文献1(特開平11−76808号公報)で提案している。文献1の排煙処理剤によれば、酸化カルシウム二酸化ケイ素酸化アルミニウムおよび石膏原料として含んでいる。そして、この排煙処理剤の製造方法は、生石灰中に、非結晶性二酸化ケイ素を含む物質を、生石灰中の酸化カルシウム100重量部当たり二酸化ケイ素として0.05〜60重量部になるように加え、水を加えて消化反応を行わせ、ついで所定の排煙処理剤組成になるよう酸化アルミニウム、石膏、および必要により二酸化ケイ素を含む物質を混合し、混練することを特徴とする。このようにして製造された排煙処理剤によって、高い脱硫(脱SOx)および脱硝(脱NOx)効果が得られる。

発明が解決しようとする課題

0004

ここでは、一般ゴミ等のゴミ焼却装置から排出される排煙中の有毒ガスに注目する。一般ゴミの焼却装置から排出される排煙中には、有毒ガスとしてHClおよびSOxが多く含まれている。従来より使用されている消石灰は、酸性ガス、特にSO2ガス吸着性能がそれほど高いものではない。よって、多量の酸性ガスを吸着させるためには消石灰の噴霧量も膨大になる。このため、廃棄物処理量が増加するため、この処理にかかる費用がかさんでしまう。

0005

また、文献1の排煙処理剤は、化石燃料の燃焼に伴って排出されるSOxおよびNOxの除去を目的に製造されたものである。仮に、この排煙処理剤を一般ゴミの焼却装置の排煙処理に用いた場合に高い脱塩(脱HCl)効果を示し、廃棄物処理量を削減することができたとしても、この排煙処理剤の製造コストが高いために、排煙処理全体にかかる費用は高価となってしまう。

0006

このため、高い脱塩および脱硫効果を有する排煙処理剤を従来よりも安価にしかも容易に製造することのできる排煙処理剤の製造方法の出現が望まれていた。そして、このような排煙処理剤として、特にカルシウム含有率が高く、しかも効率よくSO2を吸着することのできる排煙処理剤の出現が望まれていた。

課題を解決するための手段

0007

このため、この発明の排煙処理剤の製造方法によれば、生石灰50〜99.9重量部と、二酸化ケイ素0.01〜50重量部とを含む混合物100重量部に対して、生石灰を消石灰に変えるための化学量論的な水量の水と、混合物を分散させる溶媒10〜200重量部とを加える工程を含むことを特徴とする。

0008

上記混合物は、混合物100重量部のうち、生石灰を50〜99.9重量部および二酸化ケイ素を0.01〜50重量部含んでいる。そして、この混合物100重量部に対して、生石灰を消石灰に変える化学量論的な水量の水と、この混合物を分散させる溶媒10〜200重量部とを加える。

0009

また、上記混合物は、生石灰と二酸化ケイ素を含む二酸化ケイ素含有物とを混合して得たものを用いても良いし、予め混合されているものを用いてもよい。また、ここでいう溶媒とは、混合物を分散させる液体のことを指し、生石灰を消石灰に変える消化反応に使用される化学量論的な水量の水とは区別されるものである。そして、溶媒としては、水および有機溶媒との混合溶液添加剤が溶解された添加剤水溶液、上記混合溶液に添加剤が溶解された溶液、もしくは水のみが用いられる。

0010

これにより、消化不良が起きる心配のない状態で生石灰を消化させることができる。また、生石灰の消化時に生じる消化熱を用いて生石灰と二酸化ケイ素とを反応させてアモルファスカルシウムシリケートを生成させることができ、得られる消石灰中に、このカルシウムシリケートを含有させることができる。これにより、脱塩および脱硫効果の高い排煙処理剤が得られる。また、上記消化反応およびカルシウムシリケートを生成させる反応を、消化に必要な水と分散用の溶媒とを、生石灰と二酸化ケイ素含有物との混合物中に加えるだけで行うことができる。このため、従来のように反応系に外から熱を加えて養生させる必要はなくなる。よって製造にかかる費用および時間を従来よりも低減することができる。

0011

また、この発明の排煙処理剤の製造方法において好ましくは、二酸化ケイ素含有物を、二酸化ケイ素が混合物中に1〜20重量部含まれるように混合させるのがよい。

0012

この発明の方法によって製造される排煙処理剤は、生石灰と二酸化ケイ素含有物との混合物を出発材料としているため、この処理剤カルシウム含有率は、生石灰のみを消化して得られる消石灰よりも多少低い。このため、酸性ガスと反応するカルシウムの含有率を確保するためには、煙道中に噴霧する排煙処理剤の噴霧量を多くする必要があると考えられるが、二酸化ケイ素を混合物中に上記のような範囲内の割合で含有させることによって、排煙処理剤の噴霧量を増大させることなく、高い脱塩効果が得られ、かつ従来よりも高い脱硫効果を得ることができる。

0013

また、排煙処理剤の製造方法において、好ましくは、混合物を分解させる溶媒を、生石灰の消化熱により蒸発して反応終了時に排煙処理剤中に残存しない量だけ加えるのがよい。

0014

生石灰と二酸化ケイ素含有物との混合物を、溶媒に分散させた状態で反応させた結果、比較的細孔径の大きい消石灰およびカルシウムシリケートを生成させることができる。そして、細孔径の大きい排煙処理剤によって、より高い脱硫効果を得ることができる。また、分散用に用いる溶媒は消化熱により蒸発する量だけ加えているため、反応終了後に、処理剤を乾燥処理する必要がない。よって、排煙処理剤の製造工程にかかるコストおよび製造時間のさらなる低減が図れる。

0015

上記分散用の溶媒としては、水および有機溶媒の混合溶液を用いるのがよい。そして、この混合溶液の量を10重量部以上、100重量部以下とするのがよい。

0016

これにより、生石灰を効率よく分散させることができ、かつ消化反応中に消化熱によって水分および有機溶媒を蒸発させることができる。よって、乾燥処理を行うことなく、細孔径の大きい粉末の排煙処理剤を容易にかつ低コストで得ることができる。有機溶媒としては、例えば、エチレングリコールジエチレングリコールプロピレングリコールおよびグリセリン等のグリコール類モノエタノールアミンジエタノールアミンおよびトリエタノールアミン等のアミン類メチルアルコールエチルアルコールおよびイソプロピルアルコール等のアルコール類を用いることができる。

0017

また、有機溶媒の効果については、消化反応時に有機溶媒の蒸発が優先され、その結果水への生石灰の分散性を向上させる効果と、有機溶媒が直接的に水の蒸発を遅延させて水への分散性を向上させる効果との2通りの効果が考えられるが、グリコール類に関しては、後者の効果の影響が大きいと考えられる。また、アミン類による効果は、ほぼ後者であると考えられる。そして、アルコール類に関しては前者の効果の影響が大きいと考えられる。

0018

また、好ましくは、溶媒中の有機溶媒の量は、溶媒中の水の容量の2倍以下の容量とするのがよい。なお、溶媒中の水は、消化反応に使われる水が消化熱によって蒸発して消化不良が生じるのを防ぐ目的で加えられる。

0019

また、分散用の溶媒として、水に添加剤が溶解された添加剤水溶液を用いてもよい。そして、この水溶液の量を10重量部以上、100重量部以下とするのがよい。また、水溶液中の添加剤は、混合物100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲内で溶解されているのが好ましい。

0020

この水溶液は、消化反応に必要な化学量論的な水量の水の蒸発を遅延させる作用を有する。これにより、反応を円滑に進行させることができる。よって、乾燥処理を行うことなく、細孔径の大きい粉末の排煙処理剤を容易にかつ低コストで得ることができる。添加剤としては、例えばクエン酸、または蔗糖グルコースおよびソルビトール等の糖類を用いることができる。

0021

また、生石灰を分散させ、かつ水の蒸発を遅延させる溶媒として、上記の有機溶媒から選ばれる1種もしくは2種以上の有機溶媒と水との混合溶液に、上記の添加剤から選ばれる1種もしくは2種以上の添加剤を溶解させた溶液、あるいは有機溶媒および水の混合溶液と添加剤を溶解させた添加剤水溶液とを混合させた溶液を用いてもよい。これにより、溶媒を、上述した有機溶媒と水との混合溶液とした場合および添加剤水溶液とした場合と同様の作用効果が得られる。

0022

また、分散用の溶媒としては、水を用いてもよい。そして、この水の量を例えば混合物を100重量部としたときに、70重量部以上で200重量部未満とするのが好ましい。

0023

これにより、生石灰を十分な量の溶媒に分散することができる。よって消化不良のおそれはなく、生石灰を消石灰に変えることができる。ただし、この場合には消化反応の後に乾燥処理を行う必要がある。

0024

また、分散用の溶媒として水を用いる場合に、その量を混合物100重量部あたり10〜70重量部としてもよい。このとき、例えば、出発材料として用いる生石灰の粒径をより小さくすることによって、瞬間的な消化反応が起こるのを抑えることができる。これにより、消化反応により生じる熱の発生のタイミングが調節され、水の蒸発に要する時間を長くすることができる。よって消化不良の発生を抑制することができ十分な量の水で消化反応を行わせることができる。この結果、所望の性能を有する排煙処理剤を得ることができる。また、上記の水の量であれば、得られた反応生成物に対して乾燥処理を行う必要はなくなる。

発明を実施するための最良の形態

0025

以下、この発明の実施の形態につき説明する。

0026

この発明の排煙処理剤を製造する際の出発材料である生石灰は、市販のものを利用することができる。

0027

また、出発材料である二酸化ケイ素含有物としては、反応性の二酸化ケイ素を含有する化合物を用いることができる。このような化合物として、例えば、含水ケイ素メタケイ酸アルミニウムケイ酸カルシウム水ガラスが挙げられる。また、二酸化ケイ素含有物として、天然物を用いてもよい。天然物としては、例えばクリストバライトトリジマイトカオリンベントナイトタルクパーライトゼオライトシラス珪藻土火山灰、キラが挙げられる。また、二酸化ケイ素含有物として、副産物を用いてもよい。この副産物としては、例えば、高炉スラグ石炭灰使用済排煙処理剤、廃ガラスが挙げられる。

0028

この実施の形態の排煙処理剤の製造は、まず、生石灰と二酸化ケイ素含有物とを反応容器内に入れて混合する。次に、混合物に、生石灰を消石灰に変えるための化学量論的な水量の水と混合物を分散させる溶媒とを加える。

0029

生石灰と水とはモル比でいって1:1の割合で反応するため、生石灰を消石灰に変えるための化学量論的な水量は、生石灰の量を100重量部とした場合に32.1重量部である。また、分散用の溶媒は、混合物の量を100重量部とした場合に、10〜200重量部の範囲内で加える。溶媒としては、水、もしくは水とアルコールとの混合液を用いることができる。この実施の形態では、例えば、分散用の溶媒として、10〜100重量部の範囲内の量の、水および有機溶媒の混合溶液を用いる。

0030

反応容器内で、生石灰は水と反応して消石灰に変化する。そしてこの反応の際に消化熱を発生する。また、この消化熱で生石灰と二酸化ケイ素とが水熱反応してカルシウムシリケートが生成される。ここで、分散用の溶媒の量や生石灰の粒径を上述したように設定しているので、発生する消化熱の熱量を水熱反応が可能な程度に残存させることができる。したがって、外部から水熱反応のために加熱処理を行うことなく、生石灰と二酸化ケイ素とを良好に反応させて、カルシウムシリケートを生成することができる。また、この消化熱で分散用の溶媒を蒸発させることができる。これにより、一部分にアモルファスなカルシウムシリケートが形成された消石灰が、乾燥した粉末の状態で得られる。この粉末は、生石灰の消化を分散用の溶媒によって分散性良く行っているので、細孔径が大きい。また、得られる粉末は、そのまま排煙処理剤として使用することができる状態であるため、乾燥処理を行う必要はない。

0031

このようにして得られた排煙処理剤を、一般ゴミの焼却によって排出される排ガス中の有害なHClガスおよびSO2ガスの除去に用いる。まず、HClガスは消石灰およびカルシウムシリケートに吸着および反応してCaCl2を形成する。このため、上述した方法により製造された排煙処理剤においては、HClガスが吸着する比表面積が大きくなっているので脱塩性能は従来よりも高くなる。また、SO2ガスは、複雑な反応機構を経由して吸着する。簡単には、SO2は酸化されてCaSO4となって固定化される。そして、この酸化固定化にはNOxが必要で、NOxがSO2の酸化活性種となる。ここで、この実施の形態の排煙処理剤は、部分的にカルシウムシリケートを含んでいる。このカルシウムシリケートは特にNOxを吸収しやすい。このため、この排煙処理剤は、カルシウムシリケートを含まない消石灰よりも脱硫効果を格段に高くすることができる。

0032

以下、図を参照して、この発明の排煙処理剤の製造方法のいくつかの実施例について比較例と共に説明する。なお、各図は発明を理解できる程度に各構成成分の形状、大きさおよび配置関係を概略的に示してあるに過ぎず、したがってこの発明を図示例に限定するものではない。また、以下の説明中で挙げる使用材料、各材料の量等の数値的条件はこれら発明の範囲内の一例にすぎないことを理解されたい。

0033

以下の各実施例では、モルタルミキサを用いて400g程度の排煙処理剤を実験的に製造し、処理剤の特性を調べる。また、その性能評価を行う。実際に行われるこの発明の排煙処理剤の製造は、生石灰を消化して消石灰を製造する従来の製造装置を用いた、連続的な製造でかつ大量の処理剤が得られる製造である。実験的に得られる処理剤と、従来の装置を用いて製造される処理剤との特性または性能の違いはほとんどないものと考えられる。

0034

実施例1では、市販の生石灰と、二酸化ケイ素含有物としての石炭灰とを出発材料とする。そして、溶媒として水を、生石灰と石炭灰との混合物100重量部あたり192.3重量部用意して製造を行う。

0035

実施例2では、実施例1と同様に市販の生石灰と、石炭灰とを出発材料とし、溶媒としてはクエン酸水溶液を用いる。そして、実施例2−1〜2−3では、クエン酸水溶液の量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0036

実施例3では、実施例1と同様に市販の生石灰と、石炭灰とを出発材料とし、溶媒として蔗糖水溶液を用いる。そして、実施例3−1〜3−3では、蔗糖の濃度および蔗糖水溶液の量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0037

実施例4では、実施例1と同様に、市販の生石灰と石炭灰とを出発材料とし、溶媒としてグルコース水溶液を用いる。そして、実施例4−1〜4−3では、グルコースの濃度およびグルコース水溶液の量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0038

実施例5では、実施例1と同様に、市販の生石灰と石炭灰とを出発材料とし、溶媒としてソルビトール水溶液を用いる。そして、実施例5−1〜5−3では、ソルビトールの濃度およびソルビトール水溶液の量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0039

実施例6では、実施例1と同様に、市販の生石灰と石炭灰とを出発材料とし、溶媒としては、水とEG(エチレングリコール)との混合溶液を用いる。そして、実施例6−1〜6−3では、EGの量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0040

実施例7では、実施例1と同様に、市販の生石灰と石炭灰とを出発材料とし、溶媒としては、水とDEG(ジエチレングリコール)との混合溶液を用いる。そして、実施例7−1〜7−3では、DEGの量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0041

実施例8では、実施例1と同様に、市販の生石灰と石炭灰とを出発材料とし、溶媒としては、水とPG(プロピレングリコール)との混合溶液を用いる。そして、実施例8−1〜8−3では、PGの量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0042

実施例9では、実施例1と同様に、市販の生石灰と石炭灰とを出発材料とし、溶媒としては、水とMEA(モノエタノールアミン)との混合溶液を用いる。そして、実施例9−1〜9−3では、MEAの量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0043

実施例10では、実施例1と同様に、市販の生石灰と石炭灰とを出発材料とし、溶媒としては、水とDEA(ジエタノールアミン)との混合溶液を用いる。そして、実施例10−1〜10−3では、DEAの量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0044

実施例11では、実施例1と同様に、市販の生石灰と石炭灰とを出発材料とし、溶媒としては、水とTEA(トリエタノールアミン)との混合溶液を用いる。そして、実施例11−1〜11−3では、TEAの量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0045

実施例12では、実施例1と同様に、市販の生石灰と石炭灰とを出発材料とし、溶媒としては、水とMA(メチルアルコール)との混合溶液を用いる。そして、実施例12−1〜12−3では、MAの量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0046

実施例13では、実施例1と同様に、市販の生石灰と石炭灰とを出発材料とし、溶媒としては、水とEA(エチルアルコール)との混合溶液を用いる。そして、実施例13−1〜13−3では、EAの量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0047

実施例14では、実施例1と同様に、市販の生石灰と石炭灰とを出発材料とし、溶媒としては、水とIPA(イソプロピルアルコール)との混合溶液を用いる。そして、実施例14−1〜14−3では、IPAの量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0048

実施例15は、市販の生石灰と、二酸化ケイ素含有物としてのゼオライトとを出発材料とする。また、溶媒としては水を用意する。

0049

実施例16は、実施例15と同様に、市販の生石灰とゼオライトとを出発材料とする。また、溶媒として水とIPAとの混合溶液を用いる。そして、実施例16−1および16−2では、混合溶液中のIPA含有率が異なるようにして各々製造する。

0050

実施例17では、市販の生石灰と、二酸化ケイ素含有物としてのガラス粉とを出発材料とする。また、溶媒としては水を用意し、実施例17−1〜17−3では異なる水の量でそれぞれ製造を行う。

0051

実施例18は、実施例17と同様に、市販の生石灰とガラス粉とを出発材料とする。また、溶媒として水とIPAとの混合溶液を用いる。そして、実施例18−1および18−2では、混合溶液中のIPA含有率が異なるようにして各々製造する。

0052

実施例19では、市販の生石灰であって実施例1より粒径が小さいものと、二酸化ケイ素含有物としての石炭灰とを出発材料とする。そして、溶媒として水のみを用意する。この水の量は、生石灰と石炭灰との混合物100重量部あたり10〜70重量部の間の量とする。実施例19−1〜19−3では、溶媒としての水の量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0053

実施例20では、実施例1と同様に、市販の生石灰と、石炭灰とを出発材料とし、溶媒として、ソルビトール水溶液とトリエタノールアミン(TEA)とを混合させた溶液を用いる。そして、実施例20−1および20−2では、ソルビトール水溶液の濃度およびTEAの量を変化させて、それぞれ処理剤の製造を行う。

0054

また、比較例1として、従来より排煙処理剤として用いられている特号消石灰(北海共同石灰(株)社製)を用意する。比較例2としては、高反応性消石灰を用意する。

0055

<実施例1>まず、粒径が2〜4mmである市販の生石灰(上田石灰製造(株)社製)と、二酸化ケイ素含有物として例えば石炭灰と、水とを用意する。

0056

上記生石灰272g(約87.2重量部)と粉砕した石炭灰40g(二酸化ケイ素を約20g(約6.4重量部)含む)とをモルタルミキサ中で混合する。生石灰と石炭灰とが大体均一に混合された後、モルタルミキサ中に70℃の水688gを、混合物を攪拌しながら徐々に加える。水は、生石灰を消化させるための化学量論的な水量の水88gと、混合物を分散させる溶媒としての水600g(混合物の約192.3重量部)とを合わせて加える。

0057

これにより、生石灰は消化して消石灰となる。この消化の際、消化熱を発生する。また、この消化熱によって、生石灰の表面で生石灰と石炭灰とが水熱反応してカルシウムシリケートが形成される。また、この消化熱によって分散用に加えた水の一部が蒸発する。この例では、反応生成物は水気を多く含んでいるため、この反応生成物に対して、乾燥手段として熱風乾燥機を用いて、160℃の温度で3時間乾燥処理を行う。この結果、実施例1の排煙処理剤が約400g得られる。

0058

<実施例2>実施例2として、上記実施例1とは、混合物を分散させる溶媒が異なる例につき説明する。実施例2では、溶媒として添加剤としてのクエン酸を溶解したクエン酸水溶液を用いる。なお、実施例1と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0059

(2−1)実施例1と同様の生石灰(上田石灰製造(株)社製)272gと、粉砕した石炭灰40gとをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に70℃でかつクエン酸の濃度が0.25重量%のクエン酸水溶液160gを、混合物を攪拌しながら徐々に加える。そして、モルタルミキサ中にはクエン酸水溶液の他に生石灰を消化させるための化学量論的な水量の水88gを合わせて加える。

0060

これにより、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が約400g得られる。カルシウムシリケートは生石灰の消化の際に生じる消化熱を利用して生石灰と石炭灰中の二酸化ケイ素とが水熱反応することにより生成される。クエン酸水溶液は、消化反応に必要な化学量論的水量の水が生石灰の消化熱によって蒸発するのを遅延させる作用を有している。よって、消化反応が不十分になるおそれはない。また、最終的にクエン酸水溶液は消化熱によって蒸発する。このため、得られる反応生成物は粉末状となる。

0061

(2−2)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、クエン酸の濃度が10重量%のクエン酸水溶液180gとする以外は、上記(2−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0062

(2−3)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、クエン酸の濃度が20重量%のクエン酸水溶液200gとする以外は、上記(2−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0063

この実施例2の排煙処理剤の製造においては、カルシウムシリケートを生成するための水熱反応を、外部から熱を加えることなく行うことができる。また、消化熱によって、生石灰と石炭灰との混合物を分散させるために加えた溶媒(クエン酸水溶液)も蒸発してしまうので、得られるカルシウムシリケートを含む消石灰を乾燥手段を用いて乾燥させる必要はない。よって、非常に安価に、しかも容易に排煙処理剤を製造することが出来る。

0064

<実施例3>実施例3として、上記実施例2とは、添加剤が異なる例につき説明する。この例では、添加剤として蔗糖を用いる。よって、混合物を分散させる溶媒を蔗糖が溶解された蔗糖水溶液とする。なお、実施例1および実施例2と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0065

(3−1)実施例1と同様の生石灰(上田石灰製造(株)社製)272gと、粉砕した石炭灰40gとをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に70℃でかつ蔗糖の濃度が0.25重量%の蔗糖水溶液160gを、混合物を攪拌しながら徐々に加える。モルタルミキサ中には、この蔗糖水溶液の他に、生石灰を消化させるための化学量論的な水量の水88gを合わせて加える。

0066

これにより、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が約400g得られる。蔗糖水溶液は、消化反応に必要な化学量論的水量の水が生石灰の消化熱によって蒸発するのを遅延させる作用を有している。よって、消化反応が不十分になるおそれはない。また、最終的に蔗糖水溶液は消化熱によって蒸発する。このため得られる反応生成物は粉末状となる。

0067

(3−2)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、蔗糖の濃度が10重量%の蔗糖水溶液180gとする以外は、上記(3−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0068

(3−3)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、蔗糖の濃度が20重量%の蔗糖水溶液200gとする以外は、上記(3−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0069

<実施例4>実施例4として、混合物を分散させる溶媒として用いる添加剤水溶液に用いられる添加剤が、実施例2および3とは異なる例につき、説明する。この例では、添加剤としてグルコースを用いる。なお、実施例1〜実施例3と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0070

(4−1)実施例3の(3−1)の蔗糖水溶液の代わりに、グルコースの濃度が0.25重量%のグルコース水溶液160gを用いる。

0071

(4−2)実施例3の(3−2)の蔗糖水溶液の代わりに、グルコースの濃度が10重量%のグルコース水溶液180gを用いる。

0072

(4−3)実施例3の(3−3)の蔗糖水溶液の代わりに、グルコースの濃度が20重量%のグルコース水溶液200gを用いる。

0073

これにより、(4−1)、(4−2)および(4−3)の例では、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が、それぞれ約400g得られる。グルコース水溶液は、消化反応に必要な化学量論的水量の水が生石灰の消化熱によって蒸発するのを遅延させる作用を有している。よって、消化反応が不十分になるおそれはない。また、最終的にグルコース水溶液は消化熱によって蒸発する。このため得られる反応生成物は粉末状となる。

0074

<実施例5>実施例5として、混合物を分散させる溶媒として用いる添加剤水溶液に用いられる添加剤が、実施例2〜4とは異なる例につき、説明する。この例では、添加剤としてソルビトールを用いる。なお、実施例1〜実施例4と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0075

(5−1)実施例3の(3−1)の蔗糖水溶液の代わりに、ソルビトールの濃度が0.25重量%のソルビトール水溶液160gを用いる。

0076

(5−2)実施例3の(3−2)の蔗糖水溶液の代わりに、ソルビトールの濃度が10重量%のソルビトール水溶液180gを用いる。

0077

(5−3)実施例3の(3−3)の蔗糖水溶液の代わりに、ソルビトールの濃度が20重量%のソルビトール水溶液200gを用いる。

0078

これにより、(5−1)、(5−2)および(5−3)の例では、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が、それぞれ約400g得られる。ソルビトール水溶液は、消化反応に必要な化学量論的水量の水が生石灰の消化熱によって蒸発するのを遅延させる作用を有している。よって、消化反応が不十分になるおそれはない。また、最終的にソルビトール水溶液は消化熱によって蒸発する。このため得られる反応生成物は粉末状となる。

0079

<実施例6>実施例6として、混合物を分散させる溶媒を水と有機溶媒との混合溶液とする例につき説明する。この例では、有機溶媒としてEG(エチレングリコール)を用いる。なお、実施例1と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0080

(6−1)実施例1と同様の生石灰(上田石灰製造(株)社製)272gと、粉砕した石炭灰40gとをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に70℃の、水とEGとの混合溶液を、混合物を攪拌しながら徐々に加える。混合溶液は、生石灰を消化させるための化学量論的な水量の水88mlと、溶媒としての混合溶液160.4mlとを合わせたものとする。溶媒としての混合溶液は、水160mlとEG0.4ml(水:EG=1:0.0025(容積比))とを混合したものである。

0081

これにより、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が約400g得られる。カルシウムシリケートは生石灰の消化の際に生じる消化熱を利用して、生石灰と石炭灰中の二酸化ケイ素とが水熱反応することにより生成される。上記混合溶液は、この混合溶液中の化学量論的な水量の水が生石灰の消化熱によって蒸発するのを遅延する作用を有している。よって十分な水量の水によって消化反応を行うことができる。また、消化熱によって、混合物の分散用に加えた水とEGとの混合溶液は蒸発する。このため、得られる反応生成物は粉末状となる。

0082

(6−2)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、水160mlとEG40mlとの混合溶液(水:EG=1:0.25(容積比))とする以外は、上記(6−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0083

(6−3)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、水160mlとEG80mlとの混合溶液(水:EG=1:0.5(容積比))とする以外は、上記(6−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0084

<実施例7>実施例7として、混合物を分散させる溶媒として用いる混合溶液に用いられる有機溶媒が、実施例6とは異なるグリコール類とする例につき説明する。この例では、有機溶媒としてDEG(ジエチレングリコール)を用いる。なお、実施例1〜6と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0085

(7−1)実施例6の(6−1)の混合溶液中のEGの代わりに、DEG0.4mlを用いる。

0086

(7−2)実施例6の(6−2)の混合溶液中のEGの代わりに、DEG40mlを用いる。

0087

(7−3)実施例6の(6−3)の混合溶液中のEGの代わりに、DEG80mlを用いる。

0088

これにより、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が約400g得られる。カルシウムシリケートは生石灰の消化の際に生じる消化熱を利用して、生石灰と石炭灰中の二酸化ケイ素とが水熱反応することにより生成される。上記混合溶液は、この混合溶液中の化学量論的な水量の水が生石灰の消化熱によって蒸発するのを遅延する作用を有している。よって十分な水量の水によって消化反応を行うことができる。また、消化熱によって、混合物の分散用に加えた水とDEGとの混合溶液は蒸発する。このため、得られる反応生成物は粉末状となる。

0089

<実施例8>実施例8として、混合物を分散させる溶媒として用いる混合溶液に用いられる有機溶媒が、実施例6および7とは異なるグリコール類とする例につき説明する。この例では、有機溶媒としてPG(プロピレングリコール)を用いる。なお、実施例1〜7と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0090

(8−1)実施例6の(6−1)の混合溶液中のEGの代わりに、PG0.4mlを用いる。

0091

(8−2)実施例6の(6−2)の混合溶液中のEGの代わりに、PG40mlを用いる。

0092

(8−3)実施例6の(6−3)の混合溶液中のEGの代わりに、PG80mlを用いる。

0093

これにより、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が約400g得られる。カルシウムシリケートは生石灰の消化の際に生じる消化熱を利用して、生石灰と石炭灰中の二酸化ケイ素とが水熱反応することにより生成される。上記混合溶液は、この混合溶液中の化学量論的な水量の水が生石灰の消化熱によって蒸発するのを遅延する作用を有している。よって十分な水量の水によって消化反応を行うことができる。また、消化熱によって、混合物の分散用に加えた水とPGとの混合溶液は蒸発する。このため、得られる反応生成物は粉末状となる。

0094

<実施例9>実施例9として、混合物を分散させる溶媒を、水と実施例6〜8とは異なる有機溶媒との混合溶液とする例につき説明する。この例では、有機溶媒としてMEA(モノエタノールアミン)を用いる。なお、実施例1と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0095

(9−1)実施例1と同様の生石灰(上田石灰製造(株)社製)272gと、粉砕した石炭灰40gとをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に70℃の、水とMEAとの混合溶液を、混合物を攪拌しながら徐々に加える。混合溶液は、生石灰を消化させるための化学量論的な水量の水88mlと、溶媒としての混合溶液160.4mlとを合わせたものとする。溶媒としての混合溶液は、水160mlとMEA0.4ml(水:MEA=1:0.0025(容積比))とを混合したものである。

0096

これにより、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が約400g得られる。カルシウムシリケートは生石灰の消化の際に生じる消化熱を利用して、生石灰と石炭灰中の二酸化ケイ素とが水熱反応することにより生成される。上記混合溶液は、この混合溶液中の化学量論的な水量の水が生石灰の消化熱によって蒸発するのを遅延する作用を有している。よって十分な水量の水によって消化反応を行うことができる。また、消化熱によって、混合物の分散用に加えた水とMEAとの混合溶液は蒸発する。このため、得られる反応生成物は粉末状となる。

0097

(9−2)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、水160mlとMEA20mlとの混合溶液(水:MEA=1:0.125(容積比))とする以外は、上記(9−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0098

(9−3)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、水160mlとMEA40mlとの混合溶液(水:MEA=1:0.25(容積比))とする以外は、上記(9−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0099

<実施例10>実施例10として、混合物を分散させる溶媒として用いる混合溶液に用いられる有機溶媒が、実施例9とは異なるエタノールアミン類とする例につき説明する。この例では、有機溶媒としてDEA(ジエタノールアミン)を用いる。なお、実施例1〜9と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0100

(10−1)実施例9の(9−1)の混合溶液中のMEAの代わりに、DEA0.4mlを用いる。

0101

(10−2)実施例9の(9−2)の混合溶液中のMEAの代わりに、DEA20mlを用いる。

0102

(10−3)実施例9の(9−3)の混合溶液中のMEAの代わりに、DEA40mlを用いる。

0103

これにより、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が約400g得られる。カルシウムシリケートは生石灰の消化の際に生じる消化熱を利用して、生石灰と石炭灰中の二酸化ケイ素とが水熱反応することにより生成される。上記混合溶液は、この混合溶液中の化学量論的な水量の水が生石灰の消化熱によって蒸発するのを遅延する作用を有している。よって十分な水量の水によって消化反応を行うことができる。また、消化熱によって、混合物の分散用に加えた水とDEAとの混合溶液は蒸発する。このため、得られる反応生成物は粉末状となる。

0104

<実施例11>実施例11として、混合物を分散させる溶媒として用いる混合溶液に用いられる有機溶媒が、実施例9および10とは異なるエタノールアミン類とする例につき説明する。この例では、有機溶媒としてTEA(トリエタノールアミン)を用いる。なお、実施例1〜10と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0105

(11−1)実施例9の(9−1)の混合溶液中のMEAの代わりに、TEA0.4mlを用いる。

0106

(11−2)実施例9の(9−2)の混合溶液中のMEAの代わりに、TEA20mlを用いる。

0107

(11−3)実施例9の(9−3)の混合溶液中のMEAの代わりに、TEA40mlを用いる。

0108

これにより、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が約400g得られる。カルシウムシリケートは生石灰の消化の際に生じる消化熱を利用して、生石灰と石炭灰中の二酸化ケイ素とが水熱反応することにより生成される。上記混合溶液は、この混合溶液中の化学量論的な水量の水が生石灰の消化熱によって蒸発するのを遅延する作用を有している。よって十分な水量の水によって消化反応を行うことができる。また、消化熱によって、混合物の分散用に加えた水とTEAとの混合溶液は蒸発する。このため、得られる反応生成物は粉末状となる。

0109

<実施例12>実施例12として、混合物を分散させる溶媒を、水と実施例6〜11とは異なる有機溶媒との混合溶液とする例につき説明する。この例では、有機溶媒としてMA(メチルアルコール)を用いる。なお、実施例1と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0110

(12−1)実施例1と同様の生石灰(上田石灰製造(株)社製)272gと、粉砕した石炭灰40gとをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に70℃の、水とMAとの混合溶液を、混合物を攪拌しながら徐々に加える。混合溶液は、生石灰を消化させるための化学量論的な水量の水88mlと、溶媒としての混合溶液150mlとを合わせたものとする。溶媒としての混合溶液は、水60mlとMA90ml(水:MA=1:1.5(容積比))とを混合したものである。

0111

これにより、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が約400g得られる。カルシウムシリケートは生石灰の消化の際に生じる消化熱を利用して、生石灰と石炭灰中の二酸化ケイ素とが水熱反応することにより生成される。上記混合溶液中の有機溶媒は、水よりも先に蒸発する。これにより、消化反応に必要な水の蒸発を遅延させることができる。よって、十分な水量の水に生石灰を分散させることができ、これにより、消化不良を起こすことなく消化反応を行うことができる。また、消化熱によって、混合物の分散用に加えた水とMAとの混合溶液は蒸発する。このため、得られる反応生成物は粉末状となる。

0112

(12−2)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、水80mlとMA120mlとの混合溶液(水:MA=1:1.5(容積比))とする以外は、上記(12−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0113

(12−3)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、水120mlとMA180mlとの混合溶液(水:MA=1:1.5(容積比))とする以外は、上記(12−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0114

<実施例13>実施例13として、混合物を分散させる溶媒として用いる混合溶液に用いられる有機溶媒が、実施例12とは異なるアルコール類とする例につき説明する。この例では、有機溶媒としてEA(エチルアルコール)を用いる。なお、実施例1〜12と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0115

(13−1)実施例12の(12−1)の混合溶液中のMAの代わりに、EA90mlを用いる。

0116

(13−2)実施例12の(12−2)の混合溶液中のMAの代わりに、EA120mlを用いる。

0117

(13−3)実施例12の(12−3)の混合溶液中のMAの代わりに、EA180mlを用いる。

0118

これにより、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が約400g得られる。カルシウムシリケートは生石灰の消化の際に生じる消化熱を利用して、生石灰と石炭灰中の二酸化ケイ素とが水熱反応することにより生成される。上記混合溶液中の有機溶媒は、水よりも先に蒸発する。これにより、消化反応に必要な水の蒸発を遅延させることができる。よって、十分な水量の水に生石灰を分散させることができ、これにより、消化不良を起こすことなく消化反応を行うことができる。また、消化熱によって、混合物の分散用に加えた水とEAとの混合溶液は蒸発する。このため、得られる反応生成物は粉末状となる。

0119

<実施例14>実施例14として、混合物を分散させる溶媒として用いる混合溶液に用いられる有機溶媒が、実施例12および13とは異なるアルコール類とする例につき説明する。この例では、有機溶媒としてIPA(イソプロピルアルコール)を用いる。なお、実施例1〜13と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0120

(14−1)実施例12の(12−1)の混合溶液中のMAの代わりに、IPA90mlを用いる。

0121

(14−2)実施例12の(12−2)の混合溶液中のMAの代わりに、IPA120mlを用いる。

0122

(14−3)実施例12の(12−3)の混合溶液中のMAの代わりに、IPA180mlを用いる。

0123

(14−4)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、水140mlとIPA210mlとの混合溶液(水:IPA=1:1.5(容積比))とする以外は、上記(12−1)と同様にする。

0124

これにより、上記(14−1〜4)の各例においては、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰がそれぞれ約400g得られる。カルシウムシリケートは生石灰の消化の際に生じる消化熱を利用して、生石灰と石炭灰中の二酸化ケイ素とが水熱反応することにより生成される。上記混合溶液中の有機溶媒は、水よりも先に蒸発する。これにより、消化反応に必要な水の蒸発を遅延させることができる。よって、十分な水量の水に生石灰を分散させることができ、これにより、消化不良を起こすことなく消化反応を行うことができる。また、消化熱によって、混合物の分散用に加えた水とIPAとの混合溶液は蒸発する。このため、得られる反応生成物は粉末状となる。

0125

<実施例15>実施例15では、実施例1〜14とは、製造の出発材料である二酸化ケイ素含有物が異なる例について説明する。

0126

まず、実施例1と同様の生石灰272g(約87.2重量部)と、粉砕したゼオライト40g(二酸化ケイ素を約24g(約7.7重量部)含む)とをモルタルミキサ中で混合する。生石灰とゼオライトとが大体均一に混合された後、モルタルミキサ中に70℃の水688gを、混合物を攪拌しながら徐々に加える。水は、生石灰を消化するための化学量論的な水量の水88gと、混合物を分散させる溶媒としての水600g(混合物の約192.3重量部)とを合わせて加える。

0127

次に、得られた反応生成物に対して、熱風乾燥機を用いて、160℃の温度で3時間乾燥処理を行う。この結果、粉末状の実施例15の排煙処理剤が約400g得られる。

0128

<実施例16>実施例16として、上記実施例15とは、混合物を分散させる溶媒が異なる例につき説明する。実施例16では、溶媒として水とIPAとの混合溶液を用いる。なお、実施例15と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0129

(16−1)実施例15と同様の生石灰272gと、粉砕したゼオライト40gとをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に70℃でかつ水とIPAとの混合溶液238mlを、混合物を攪拌しながら徐々に加える。この混合溶液は、生石灰を消化させるための化学量論的な水量の水88mlと、溶媒としての水60mlおよびIPA90mlの混合溶液(水:IPA=1:1.5(容量比))とを含んでいる。

0130

これにより、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が約400g得られる。カルシウムシリケートは生石灰の消化の際に生じる消化熱を利用して生石灰とゼオライト中の二酸化ケイ素とが水熱反応することにより生成される。水とIPAとの混合溶液からなる溶媒は、この水溶液中の化学量論的水量の水が生石灰の消化熱によって蒸発するのを遅延させる作用および消化反応時の生石灰の分散性を向上させる作用を有している。これにより、消化反応が円滑に進行し、最終的に溶媒は消化熱によって蒸発する。このため、得られる反応生成物は乾燥処理を行わなくても粉末状となる。

0131

(16−2)生石灰とゼオライトとをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、水80mlとIPA120mlとの混合溶液(水:IPA=1:1.5(容積比))とする以外は、上記(16−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0132

(16−3)生石灰とゼオライトとをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、水120mlとIPA180mlとの混合溶液(水:IPA=1:1.5(容積比))とする以外は、上記(16−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0133

この実施例16の排煙処理剤の製造においては、カルシウムシリケートを生成するための水熱反応を、外部から熱を加えることなく行うことができる。また、消化熱によって、生石灰と石炭灰との混合物を分散させるために加えた溶媒(水とIPAとの混合溶液)も蒸発してしまうので、得られるカルシウムシリケートを含む消石灰を乾燥手段を用いて乾燥させる必要はない。よって、非常に安価に、しかも容易に排煙処理剤を製造することが出来る。

0134

<実施例17>実施例17では、実施例1〜16とは、製造の出発材料である二酸化ケイ素含有物が異なる例について説明する。

0135

(17−1)まず、実施例1と同様の生石灰272g(約87.2重量部)と、粉砕したガラス粉40g(二酸化ケイ素を約30g(約9.6重量部)含む)とをモルタルミキサ中で混合する。生石灰とガラス粉とが大体均一に混合された後、モルタルミキサ中に70℃の水408gを、混合物を攪拌しながら徐々に加える。水は、生石灰を消化するための化学量論的な水量の水88gと、混合物を分散させる溶媒としての水320g(混合物の約102.5重量部)とを合わせて加える。

0136

次に、得られた反応生成物に対して、熱風乾燥機を用いて、160℃の温度で3時間乾燥処理を行う。この結果、粉末状の実施例(17−1)の排煙処理剤が約400g得られる。

0137

(17−2)生石灰とガラス粉とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える水の量を488gとする以外は、上記(17−1)と同様にして排煙処理剤を製造する。上記水の量(488g)は、生石灰を消化させるための水88gと、溶媒としての水400g(混合物の約128.2重量部)とを合わせた量である。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0138

(17−3)生石灰とガラス粉とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える水の量を688gとする以外は、上記(17−1)と同様にして排煙処理剤を製造する。上記水の量(688g)は、生石灰を消化させるための水88gと、溶媒としての水600g(混合物の約192.3重量部)とを合わせた量である。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0139

<実施例18>実施例18では、実施例17と同様に、製造の出発材料である二酸化ケイ素含有物としてガラス粉を用い、このガラス粉と生石灰との混合物を分散させる溶媒として、水およびIPAの混合溶液を用いる。

0140

(18−1)実施例1と同様の生石灰272gと、粉砕したガラス粉40gとをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に70℃の水とIPAとの混合溶液を、混合物を攪拌しながら徐々に加える。混合溶液は、生石灰を消化させるために必要な水量の水88mlと、溶媒としての水とIPAとの混合溶液をさらに合わせたものとする。溶媒としての混合溶液は、水80mlとIPA120mlとを混合したもの(水:IPA=1:1.5(容積比))である。これにより、粉末状の実施例18−1の排煙処理剤が約400g得られる。

0141

(18−2)生石灰とガラス粉とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、水120mlとIPA120mlとの混合溶液(水:IPA=1:1(容積比))とする以外は、上記(18−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0142

これにより、(18−1)および(18−2)の例において、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰がそれぞれ約400g得られる。カルシウムシリケートは生石灰の消化の際に生じる消化熱を利用して生石灰とガラス粉中の二酸化ケイ素とが水熱反応することにより生成される。水とIPAとの混合溶液からなる溶媒は、この水溶液中の化学量論的水量の水が生石灰の消化熱によって蒸発するのを遅延させる作用および消化反応時の生石灰の分散性を向上させる作用を有している。これにより、消化反応が円滑に進行し、最終的に溶媒は消化熱によって蒸発する。このため、得られる反応生成物は乾燥処理を行わなくても粉末状となる。

0143

<実施例19>実施例19として、粒径が0.25mm以下である市販の生石灰(上田石灰製造(株)社製)と、二酸化ケイ素含有物としての石炭灰と、水とを用意する。実施例1と比べて水の量が少なく、乾燥処理を行う必要がない例につき説明する。

0144

(19−1)上記生石灰272g(約87.2重量部)と粉砕した石炭灰40g(二酸化ケイ素を約20g(約6.4重量部)含む)とをモルタルミキサ中で混合する。その後、モルタルミキサ中に70℃の水208gを、混合物を攪拌しながら徐々に加える。水は、生石灰を消化させるための化学量論的な水量の水88gと、混合物を分散させる溶媒としての水120g(混合物100重量部あたり約38.5重量部)とを合わせて加える。充分に攪拌した後、室温の大気雰囲気中で放熱して得られる反応生成物を、実施例19−1の処理剤とする。これにより、粉末状の、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が約400g得られる。

0145

(19−2)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える水の量を248gとする以外は、上記(19−1)と同様にする。上記水の量(248g)は、生石灰を消化させるための水88gと、溶媒としての水160g(混合物100重量部あたり51.3重量部)とを合わせた量である。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0146

(19−3)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える水の量を288gとする以外は、上記(19−1)と同様にする。上記水の量(288g)は、生石灰を消化させるための水88gと、溶媒としての水200g(混合物100重量部あたり64.1重量部)とを合わせた量である。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0147

<実施例20>実施例20として、混合物を分散させる溶媒を、有機溶媒および水の混合溶液と添加剤水溶液とを混合させた溶液とする例につき、説明する。この例では、有機溶媒としてトリエタノールアミン(TEA)を用い、添加剤としてソルビトールを用いる。なお、実施例1と同様の点については、その詳細な説明を省略する。

0148

(20−1)実施例1と同様の生石灰(上田石灰製造(株)社製)272gと、粉砕した石炭灰40gとをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に70℃で、かつ、ソルビトールの濃度が0.25重量%のソルビトール水溶液160gとTEA20mlとを混合させた溶液を、混合物を攪拌しながら徐々に加える。モルタルミキサ中には、この溶液の他に、生石灰を消化させるための化学量論的な水量の水88gを合わせて加える。

0149

これにより、カルシウムシリケートが一部に形成された消石灰が約400g得られる。カルシウムシリケートは生石灰の消化の際に生じる消化熱を利用して生石灰と石炭灰中の二酸化ケイ素とが水熱反応することにより生成される。溶媒として用いた溶液は、この溶液中の化学量論的水量の水が生石灰の消化熱によって蒸発するのを遅延させる作用を有している。よって、消化反応が不十分になるおそれはない。また、最終的に上記溶液は消化熱によって蒸発する。このため、得られる反応生成物は粉末状となる。

0150

(20−2)生石灰と石炭灰とをモルタルミキサ中で混合した後、このモルタルミキサ中に加える溶媒を、ソルビトールの濃度が10重量%のソルビトール水溶液180gとし、TEAの量を0.4mlとする以外は、上記(20−1)と同様にする。これにより、粉末状の反応生成物が得られる。

0151

<比較例1>比較例1として、特号消石灰(商品名:北海道共同石灰(株)社製)を用意する。

0152

<比較例2>比較例2として、高反応性消石灰を用意する。

0153

(排煙処理剤の性能試験)次に、上記実施例1〜20で得られた排煙処理剤について、それぞれ性能試験を行う。ここでは、排煙処理剤の脱硫性能について、図1に示す試験装置を用いて、脱脂綿を使用した粉体分散型充填ガス流通方式によって試験を行う。

0154

試験装置10は、電気炉12と、電気炉12内に設置された反応管14と、この反応管14内に詰められた脱脂綿16と、反応管14からの排気ガス中の各ガスの濃度を測定するガス濃度測定装置18と、それぞれ流量計20a〜20eを具えた複数のガスボンベ22a〜22eと、加湿器24と、加湿器24からの水蒸気と上記ガスボンベ22a〜22eからのガスとを混合する混合器26と、混合器26からの混合ガスを反応管14に供給するガス供給管28とを具えている(図1)。

0155

ここでは、ガスボンベ22a〜22eとして、SO2ガスのガスボンベ22a、NOガスのガスボンベ22b、CO2ガスのガスボンベ22c、O2ガスのガスボンベ22dおよびN2ガスのガスボンベ22eを用意する。そして、反応管14に供給する混合ガス中のそれぞれのガスの濃度が、以下のような濃度となるようにする。

0156

SO2:2250ppm、NO:700ppm、CO2:13%、O2:6%、H2O:10%。そして、これらのガス濃度の調整はN2ガスを用いて行う。

0157

また、この混合ガスのガス流量を1l(リットル)/minとし、反応管14への通ガス時間を40時間とする。また、電気炉12によって反応管14内の温度が130℃となるように加熱する。また、反応管14に詰められる脱脂綿16には排煙処理剤を25g分散させておく。

0158

上記のような条件で、混合ガスを反応管14に40時間通した後、脱脂綿に分散された処理剤を取り出す。この後、CS計によって、IR法を用いて処理剤中のS(硫黄)分の含有量を測定する。CS計としては、例えば、EMIA2000(商品名:堀場製作所社製)を用いる。混合ガス中のSO2は、排煙処理剤中のCa(カルシウム)分と反応して、CaSO4(硫酸カルシウム)を生成する。この硫酸カルシウムは脱脂綿16に付着しているため、SO2を吸収した処理剤中のS分を測定することによって、排煙処理剤のカルシウム利用率(%)を求めることができる。このカルシウム利用率が脱硫性能を示す。したがって、カルシウム利用率が高いほど脱硫性能が高いということができる。

0159

また、上記実施例1〜20の排煙処理剤の比表面積を測定し、さらに、いくつかの処理剤について、細孔容積および平均細孔径を測定する。ここでは、比表面積を、BET法により測定し、細孔容積および平均細孔径をBJH法によって測定する。

0160

脱硫性能試験の結果、比表面積、細孔容積および平均細孔径の値を、各実施例の製造条件(出発材料および溶媒)と合わせて、以下の表1〜表7に示す。

0161

0162

0163

0164

0165

0166

0167

0168

表1は、溶媒として水のみを用いた実施例1、および溶媒としてクエン酸水溶液を用いた実施例2の結果を示している。

0169

表1によれば、実施例1の処理剤のカルシウム利用率は66%、比表面積は25m2/g、細孔容積は0.163cm3/g、平均細孔径は13.5nmであった。

0170

また、溶媒としてクエン酸水溶液を用いた実施例2においては、表1によれば、実施例2−1の処理剤のカルシウム利用率は37%、比表面積は29m2/g、細孔容積は0.113cm3/g、平均細孔径は11.3nmであった。実施例2−2の処理剤のカルシウム利用率は38%で、比表面積は28m2/gであった。実施例2−3の処理剤のカルシウム利用率は36%、比表面積は28m2/g、細孔容積は0.124cm3/g、平均細孔径は11.5nmであった。

0171

表2は、溶媒として添加剤水溶液を用いた例であって、添加剤として糖類を用いた実施例3、4および5の結果を示す。

0172

溶媒として蔗糖水溶液を用いた実施例3においては、表2を参照すると、実施例3−1の処理剤のカルシウム利用率は34%、比表面積は26m2/g、細孔容積は0.075cm3/g、平均細孔径は10.2nmであった。実施例3−2の処理剤のカルシウム利用率は30%で、比表面積は23m2/gであった。実施例3−3の処理剤のカルシウム利用率は27%で、比表面積は20m2/gであった。

0173

また、溶媒としてグルコース水溶液を用いた実施例4においては、表2によれば、実施例4−1の処理剤のカルシウム利用率は33%、比表面積は24m2/g、細孔容積は0.069cm3/g、平均細孔径は10.5nmであった。実施例4−2の処理剤のカルシウム利用率は32%で、比表面積は19m2/gであった。実施例4−3の処理剤のカルシウム利用率は29%で、比表面積は18m2/gであった。

0174

また、溶媒としてソルビトール水溶液を用いた実施例5においては、表2によれば、実施例5−1の処理剤のカルシウム利用率は34%、比表面積は29m2/g、細孔容積は0.079cm3/g、平均細孔径は10.8nmであった。実施例5−2の処理剤のカルシウム利用率は30%、比表面積は20m2/gであった。実施例5−3の処理剤のカルシウム利用率は29%で、比表面積は19m2/gであった。

0175

表3は、溶媒として水と有機溶媒との混合溶液を用いた例であって、有機溶媒としてグリコール類を用いた実施例6、7および8の結果を示す。

0176

有機溶媒としてEGを用いた実施例6においては、表3を参照すると、実施例6−1の処理剤のカルシウム利用率は47%、比表面積は26m2/g、細孔容積は0.155cm3/g、平均細孔径は11.0nmであった。実施例6−2の処理剤のカルシウム利用率は50%、比表面積は26m2/g、細孔容積は0.157cm3/g、平均細孔径は11.2nmであった。実施例6−3の処理剤のカルシウム利用率は57%で、比表面積は26m2/g、細孔容積は0.175cm3/g、平均細孔径は11.4nmであった。

0177

また、有機溶媒としてDEGを用いた実施例7においては、表3によれば、実施例7−1の処理剤のカルシウム利用率は40%、比表面積は24m2/gであった。実施例7−2の処理剤のカルシウム利用率は44%、比表面積は23m2/g、細孔容積は0.151cm3/g、平均細孔径は11.8nmであった。実施例7−3の処理剤のカルシウム利用率は51%で、比表面積は23m2/gであった。

0178

また、有機溶媒としてPGを用いた実施例8においては、表3によれば、実施例8−1の処理剤のカルシウム利用率は38%、比表面積は23m2/gであった。実施例8−2の処理剤のカルシウム利用率は40%、比表面積は23m2/g、細孔容積は0.144cm3/g、平均細孔径は10.9nmであった。実施例8−3の処理剤のカルシウム利用率は46%で、比表面積は23m2/gであった。

0179

表4は、溶媒として水と有機溶媒との混合溶液を用いた例であって、有機溶媒としてエタノールアミン類を用いた実施例9、10および11の結果を示す。

0180

有機溶媒としてMEAを用いた実施例9においては、表4を参照すると、実施例9−1の処理剤のカルシウム利用率は43%、比表面積は35m2/gであった。実施例9−2の処理剤のカルシウム利用率は47%、比表面積は30m2/g、細孔容積は0.180cm3/g、平均細孔径は10.0nmであった。実施例9−3の処理剤のカルシウム利用率は50%で、比表面積は28m2/gであった。

0181

また、有機溶媒としてDEAを用いた実施例10においては、実施例10−1の処理剤のカルシウム利用率は41%、比表面積は44m2/gであった。実施例10−2の処理剤のカルシウム利用率は45%、比表面積は40m2/g、細孔容積は0.172cm3/g、平均細孔径は9.6nmであった。実施例10−3の処理剤のカルシウム利用率は49%で、比表面積は37m2/gであった。

0182

また、有機溶媒としてTEAを用いた実施例11においては、実施例11−1の処理剤のカルシウム利用率は40%、比表面積は40m2/g、細孔容積は0.155cm3/g、平均細孔径は8.2nmであった。実施例11−2の処理剤のカルシウム利用率は41%、比表面積は42m2/g、細孔容積は0.151cm3/g、平均細孔径は8.2nmであった。実施例11−3の処理剤のカルシウム利用率は48%で、比表面積は48m2/gであった。

0183

表5は、溶媒として水と有機溶媒との混合溶液を用いた例であって、有機溶媒としてアルコール類を用いた実施例12、13および14の結果を示す。

0184

有機溶媒としてMAを用いた実施例12においては、表5を参照すると、実施例12−1の処理剤のカルシウム利用率は59%、比表面積は31m2/gであった。実施例12−2の処理剤のカルシウム利用率は61%、比表面積は30m2/g、細孔容積は0.161cm3/g、平均細孔径は13.9nmであった。実施例12−3の処理剤のカルシウム利用率は63%で、比表面積は32m2/gであった。

0185

また、有機溶媒としてEAを用いた実施例13においては、実施例13−1の処理剤のカルシウム利用率は61%、比表面積は31m2/gであった。実施例13−2の処理剤のカルシウム利用率は62%、比表面積は30m2/g、細孔容積は0.175cm3/g、平均細孔径は14.2nmであった。実施例13−3の処理剤のカルシウム利用率は62%で、比表面積は30m2/gであった。

0186

また、有機溶媒としてIPAを用いた実施例14においては、実施例14−1の処理剤のカルシウム利用率は52%、比表面積は24m2/g、細孔容積は0.114cm3/g、平均細孔径は12.6nmであった。実施例14−2の処理剤のカルシウム利用率は62%、比表面積は35m2/gであった。実施例14−3の処理剤のカルシウム利用率は66%で、比表面積は34m2/gであった。実施例14−4の処理剤のカルシウム利用率は63%で、比表面積は32cm2/g、細孔容積は0.172cm3/g、平均細孔径は14.0nmであった。

0187

表6には、出発材料の1つである二酸化ケイ素含有物をゼオライトとする実施例15の結果、二酸化ケイ素含有物をゼオライトとし、さらに溶媒として水と有機溶媒との混合溶液を用い、この有機溶媒をIPAとした実施例16の結果、二酸化ケイ素含有物をガラス粉とする実施例17の結果、および二酸化ケイ素含有物をガラス粉とし、さらに溶媒として水と有機溶媒との混合溶液を用い、この有機溶媒をIPAとした実施例18の結果が示されている。

0188

表6によれば、実施例15の処理剤のカルシウム利用率は62%、比表面積は24m2/g、細孔容積は0.152cm3/g、平均細孔径は13.1nmであった。

0189

また、二酸化ケイ素含有物としてゼオライトを用い、かつ有機溶媒としてIPAを用いた実施例16においては、実施例16−1の処理剤のカルシウム利用率は56%、比表面積は30m2/gであった。実施例16−2の処理剤のカルシウム利用率は59%、比表面積は33m2/g、細孔容積は0.163cm3/g、平均細孔径は14.2nmであった。実施例16−3の処理剤のカルシウム利用率は62%で、比表面積は32m2/gであった。

0190

また、二酸化ケイ素含有物としてガラス粉を用いた実施例17においては、実施例17−1の処理剤のカルシウム利用率は37%、比表面積は15m2/gであった。実施例17−2の処理剤のカルシウム利用率は42%、比表面積は17m2/gであった。実施例17−3の処理剤のカルシウム利用率は48%で、比表面積は26m2/gであった。

0191

また、二酸化ケイ素含有物としてガラス粉を用い、かつ有機溶媒としてIPAを用いた実施例18においては、実施例18−1の処理剤のカルシウム利用率は57%、比表面積は27m2/gであった。実施例18−2の処理剤のカルシウム利用率は46%、比表面積は20m2/gであった。

0192

表7は、溶媒として水のみを用い、実施例1よりも水の量を少なくした実施例19の結果、溶媒として有機溶媒および水の混合溶液と添加剤水溶液とを混合させた溶液を用いた実施例20の結果、および比較例の処理剤の性能試験結果を示している。

0193

表7によれば、実施例19−1の処理剤のカルシウム利用率は37%、比表面積は27m2/g、細孔容積は0.115cm3/g、平均細孔径は9.2nmであった。実施例19−2の処理剤のカルシウム利用率は54%、比表面積は30m2/g、細孔容積は0.148cm3/g、平均細孔径は9.9nmであった。実施例19−3の処理剤のカルシウム利用率は57%、比表面積は31m2/g、細孔容積は0.158cm3/g、平均細孔径は11.0nmであった。

0194

また、実施例20−1の処理剤のカルシウム利用率は41%、比表面積は32m2/g、細孔容積は0.119cm3/g、平均細孔径は11.3nmであった。実施例20−2の処理剤のカルシウム利用率は45%、比表面積は33m2/gであった。

0195

また、比較例の特号消石灰および高反応性消石灰についても同様の試験を行ったところ、比較例1の特号消石灰のカルシウム利用率は20%、比表面積は10m2/gであった。また、比較例2の高反応性消石灰のカルシウム利用率は25%、比表面積は37m2/g、細孔容積は0.119cm3/g、平均細孔径は5.8nmであった(表7)。

0196

実施例1と実施例19とを比較すると、溶媒としての水の量が多い方が、細孔容積および平均細孔径の値が高く、脱硫性能も高いことが分かる。しかしながら、実施例19の結果より、溶媒としての水の量が、混合物100重量部に対して70重量部未満であっても、出発材料として用いる生石灰の粒径を小さくすることにより、排煙処理剤として使用することのできる程度の性能は達成できることが確認された。また、実施例19においては、消化反応の後、反応生成物は粉末となっているため、乾燥処理を行う必要はない。よって製造時間およびコストの面で実施例1よりも利点がある。

0197

また、生石灰を分散させる溶媒中に添加剤としてクエン酸、蔗糖、グルコースまたはソルビトール等を加えることにより、溶媒の量を減らしても、比較例2よりも比表面積、細孔容積および平均細孔径の大きい処理剤が得られ、かつ脱硫性能も高い。そして、添加剤としては、実施例で用いたクエン酸、糖に限らず、性状が同等なその他の糖類を用いることもできる。

0198

また、生石灰を分散させる溶媒として、水と有機溶媒との混合溶液を用いた例のうち、有機溶媒としてグリコール類を用いた実施例6〜8の結果によれば、いずれも、比較例2よりも比表面積を大きくすることができ、かつ脱硫性能が高い。また、有機溶媒として、エタノールアミン類を用いた実施例9〜11の結果によれば、いずれも極端に細孔容積が大きいものが得られている。また、比表面積も大きく、脱硫性能が高いものが得られる。また、有機溶媒としてアルコール類を用いた実施例12〜14の結果によれば、比表面積が大きく、細孔容積も平均細孔径も大きく、さらに脱硫性能も高いものが得られている。

0199

なお、有機溶媒としては、実施例で用いたエタノールアミン類およびアルコール類に限らず、性状が同等なその他のアミン類およびアルコール類を用いることもできる。

0200

また、実施例20の結果を見ると、有機溶媒および水の混合溶液と添加剤水溶液とを混合させた溶液を溶媒として用いても、脱硫性能が高く、比表面積が大きく、細孔容積も平均細孔径も大きいものが得られる。有機溶媒としては、上述した他の実施例で用いられた有機溶媒を用いることができる。また、これらの有機溶媒に限らず、性状が同等なその他の有機溶媒を用いてもよい。また、添加剤に関しても、上述した他の実施例で用いられた添加剤はもちろん、性状が同等なその他の添加剤を用いてもよい。また、実施例20では、溶媒中のトリエタノールアミンの含有量を20mlとした例(実施例20−1)およびTEAの量を0.4mlとした例(実施例20−2)を挙げているが、この含有量については、0.4〜20mlの範囲内であれば、表7に示した実施例20の実施例の処理剤の特性と同程度の特性が得られることは、この発明にかかる発明者等により確認されている。同様に、ソルビトール水溶液に関しては、0.25〜10重量%の範囲内の濃度で用いれば実施例20の処理剤と同程度の特性の処理剤が得られることが確認されている。

0201

また、出発材料としてゼオライトを用いて製造された実施例15および16の結果によれば、石炭灰を用いた場合と大体同等の性能の処理剤が得られることが分かる。また、溶媒として水のみを用いる場合には、水の量が多い方が処理剤としての性能は高くなる。また、溶媒としてアルコール(IPA)が含有されていることによって、得られる処理剤の比表面積が増大し、脱硫性能も向上することが分かる。

0202

また、出発材料としてガラス粉を用いて製造された処理剤(実施例17および18)は、排煙処理剤として使用可能な程度の脱硫性能は得られているが、出発材料として石炭灰を用いて製造された処理剤の方が脱硫性能が高いことが分かった。また、溶媒の水の量が多いほど脱硫性能は高くなっている。また、溶媒にアルコールが含有されていることによって、得られる処理剤の比表面積が増大し、脱硫性能も向上することが分かった。

0203

上記実施例1〜20の結果と比較例1および比較例2の結果とを比較すると、この発明の方法を用いて製造された排煙処理剤は、特号消石灰および高反応性消石灰よりも高い脱硫性能が得られる。

0204

また、高反応性消石灰よりも比表面積が小さい、例えば実施例1〜9、12〜20の処理剤は脱硫性能が高反応性消石灰よりも高い。また、その中で細孔容積および平均細孔径を測定した実施例については、細孔容積または平均細孔径のどちらか一方の値もしくは両方の値が、高反応性消石灰の値よりも高くなっている。このため、脱硫性能は、比表面積よりも、細孔容積および細孔径の両方もしくはいずれか一方に依存する値であることが示唆される。

0205

次に、上記実施例のうちの実施例17−3の排煙処理剤の脱塩および脱硫性能の評価実験を行う。この評価実験では、図2で示されるバグフィルタ試験装置を用いて、都市ゴミ焼却場の雰囲気再現した状態で排煙処理剤の脱塩および脱硫性能を調べる(図2)。

0206

バグフィルタ試験装置30は、縦1350mmで、横600mmで、かつ内容積が0.486m3の筺体32とこの筐体32の外壁に巻かれた断熱材(図示せず)とを具えている。筐体32内には直径150mmで長さが1050mmで表面積が0.945m2のバグフィルタCN5555(商品名:帝人株式会社製)34が2本設置してある。また、筐体32の外側から内側へ試料導入管36と水蒸気導入管38とがそれぞれ配管されている。この試料導入管36および水蒸気導入管38は内径35mmの鉄管とする。また、試料導入管36には試料投入口40が設けられており、この試料投入口40からバグフィルタ34までの距離は1000mmである。また、筐体32内へ導入させる水蒸気は、株式会社八光電気製作所製パン型加湿器を改造した加湿器42を用いて発生させる。また、試料導入管36には、排煙処理剤と共に、HClガス、SO2ガスおよびNOガスを導入する。そして、試料導入管36および水蒸気導入管38へは、バーナー44によって熱せられた熱風が吹き込まれるように設定してある。これにより、この試料導入管36はゴミ焼却場の煙道を再現している。また、筐体32にはバグフィルタ34を通過したガスの排出路46が設けられ、この排出路46から排出されたガスは排出管48を通る。そして、この排出管48には排出ガス中のHClガス濃度測定装置50と、SO2ガス濃度測定装置52がそれぞれ設置されている。HClガス濃度測定装置50として、この例では、STACKPROBE CONTROLLERMODEL200SPC(商品名:日本サーモエレクトロン株式会社製)とHCl ANALYZER MODEL15(商品名:日本サーモエレクトロン株式会社製)とを用いる。また、SO2ガス濃度測定装置52として、この例では、SO2自動分析計MODEL711P(商品名:日本サーモエレクトロン株式会社製)を用いる(図2)。

0207

次に、この性能試験では、試料として、上記実施例17−3で製造した排煙処理剤を用いる。そして、比較試料として上記比較例1の特号消石灰および比較例2の高反応性消石灰を用いる。

0208

試験条件を下記表8に示す。

0209

0210

表8によれば、上記試験装置の試料投入口40から投入させる試料の当量を3当量とする。ここでいう1当量とは、試料がすべてCa(OH)2であると仮定し、試料導入管36に導入されるHClガスおよびSO2ガスのすべてと化学量論的に反応してCaCl2とCaSO4となるCa(OH)2の量とする。よって、1当量の排煙処理剤(試料)を導入した場合に、HClガス濃度測定装置50およびSO2ガス濃度測定装置52で検出されるHClガスおよびSO2ガスの濃度がそれぞれ0(ppm)であれば、その試料の脱塩および脱硫効率は100%となる。従来の一般的なゴミ焼却場の排煙が通る煙道で、消石灰を用いて排煙処理を行った場合、排煙中のHClガスの濃度が1000ppm程度であると、約3当量の消石灰を投入することにより90%程度の脱塩効果が得られている。

0211

また、その他の試験条件として、ろ過速度を0.8m/分とし、試料導入管36内のHClガス濃度を1000ppmとし、SO2ガス濃度を200ppmとし、NOガス濃度を100ppmとする。また、水蒸気として筐体32内に導入させる水分濃度は、18容量%とする。また、装置内の温度は160〜170℃の間の温度に保持する。

0212

試験の結果を、図3および図4に示す。

0213

図3および図4は、脱塩効率および脱硫効率の特性図であり、縦軸に効率(%)をとり、横軸に時間(分)をとって示している。また、各図中、実線が実施例13で製造した排煙処理剤の特性曲線、一点破線が比較例1の特号消石灰の特性曲線、点線が比較例2の高反応性消石灰の特性曲線をそれぞれ示している。

0214

試料を3当量導入し、ろ過速度を0.8m/分とした場合の脱塩効率は、図3に示すように、80分経過してからは実施例13の処理剤の効率が特号消石灰および高反応性消石灰の効率より上回っている。また、実施例13の処理剤の脱硫効率は、30分経過する前から特号消石灰および高反応性消石灰よりもずっと高い値を示した(図4)。

0215

これにより、実施例17−3の排煙処理剤は、試料を3.0当量投入し、ろ過速度を0.8m/分とした場合には、脱塩効率および脱硫効率共に比較例の特号消石灰および高反応性消石灰よりも格段に優れた特性を示すことが分かった。また、実施例17−3の排煙処理剤の単位量当たりのカルシウム含有量と、特号消石灰および高反応性消石灰の単位量当たりのカルシウム含有量とを比較すると、処理剤の出発材料として含有される二酸化ケイ素含有物の分だけ、実施例17−3の処理剤中のカルシウム含有量は少ない。よって、実施例17−3の処理剤に含有されているカルシウムの単位重量当たりの脱塩および脱硫効率、すなわちカルシウム利用率は、図で示した結果から推察されるよりも、特号消石灰および高反応性消石灰のカルシウム利用率を上回っていると考えられる。

0216

また、経験的に、脱塩効率は試料の比表面積の増加に伴って高くなることが知られている。そして、この評価実験および上述した性能試験の結果から、脱硫効率は、細孔容積および/または細孔径に依存する性能であることが推察される。

0217

この発明の方法を用いて製造された排煙処理剤は、高反応性消石灰と同程度あるいはそれ以上の脱塩効果が得られ、かつ特号消石灰および高反応性消石灰以上の脱硫効果が得られる。このため、一般ゴミの焼却場から排出される排煙中の有害ガスであるHClガスおよびSO2ガスを効率よく除去することができる。そして、このような排煙処理剤を、容易な方法でしかも安価に製造することができる。

0218

なお、上述した実施例では、モルタルミキサを用いて実験的にこの発明の排煙処理剤を製造したが、実際に製品となる排煙処理剤を製造する場合には、従来より消石灰の製造に用いられている装置を用いることができる。

発明の効果

0219

上述した説明から明らかなように、この発明の排煙処理剤の製造方法によれば、生石灰50〜99.9重量部と、二酸化ケイ素0.01〜50重量部とを含む混合物100重量部に対して、生石灰を消石灰に変えるための化学量論的な水量の水と上記混合物を分散させる溶媒10〜200重量部とを加える工程を含むことを特徴とする。これにより、消化不良が起きる心配のない状態で生石灰を消化させることができる。また、生石灰の消化時に生じる消化熱を用いて生石灰と二酸化ケイ素とを反応させてアモルファスなカルシウムシリケートを生成させることができ、得られる消石灰中に、このカルシウムシリケートを含有させることができる。これにより、脱塩および脱硫効果の高い排煙処理剤が得られる。また、上記消化反応およびカルシウムシリケートを生成させる反応を、消化に必要な水と分散用の溶媒とを、生石灰と二酸化ケイ素含有物との混合物中に加えるだけで行うことができる。このため、従来のように反応系に外から熱を加えて養生させる必要はなくなる。よって、排煙処理剤の製造にかかる費用および時間を従来よりも低減することができる。

図面の簡単な説明

0220

図1排煙処理剤の性能試験の説明に供する、試験装置の概略的な構成図である。
図2排煙処理剤の脱塩および脱硫性能を調べるのに用いられる、バグフィルタ試験装置の概略的な構成図である。
図3バグフィルタを用いた評価実験における脱塩効率特性図である。
図4バグフィルタを用いた評価実験における脱硫効率特性図である。

--

0221

10:試験装置
12:電気炉
14:反応管
16:脱脂綿
18:ガス濃度測定装置
20a,20b,20c,20d,20e:流量計
22a:SO2ガスのガスボンベ
22b:NOガスのガスボンベ
22c:CO2ガスのガスボンベ
22d:O2ガスのガスボンベ
22e:N2ガスのガスボンベ
24:加湿器
26:混合器
28:ガス供給管
30:バグフィルタ試験装置
32:筐体
34:バグフィルタ
36:試料導入管
38:水蒸気導入管
40:試料投入口
42:加湿器
44:バーナー
46:排出路
48:排出管
50:HClガス濃度測定装置
52:SO2ガス濃度測定装置

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