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技術 ハイブリッド型薄膜光電変換装置とその製造方法

出願人 株式会社カネカ
発明者 中島昭彦
出願日 2000年3月23日 (21年9ヶ月経過) 出願番号 2000-082386
公開日 2001年10月5日 (20年2ヶ月経過) 公開番号 2001-274429
状態 特許登録済
技術分野 光起電力装置 光起電力装置
主要キーワード スウィープ DC電圧源 シングル型 TCO電極 プラズマ反応室 出力電流密度 前方ユニット 反応室圧力
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (5)

課題

測定方法に依存することなくほぼ一定の光電変換特性値を示す信頼性の高いハイブリッド型薄膜光電変換装置を提供する。

解決手段

ハイブリッド型薄膜光電変換装置は、透明絶縁基板1上に順次積層された透明電極2、非晶質光電変換ユニット3、結晶質光電変換ユニット4、および裏面電極5を含み、結晶質ユニット4はプラズマCVD法によって順次堆積されたp型層4p、結晶質i型光電変換層4i、およびn型層4nを含み、結晶質ユニット4に含まれるp型層4pは結晶質i型光電変換層4iとの界面において85%より大きな結晶化分率を有し、結晶質i型光電変換層4iはその厚さ方向に沿って延びる柱状晶を含む結晶構造を有し、その柱状晶は〈110〉優先結晶方向に沿って伸びていることを特徴としている。

概要

背景

半導体薄膜光電変換装置は、一般に、少なくとも表面が絶縁性基板上に順次積層された第1電極、1以上の半導体薄膜光電変換ユニット、および第2電極を含んでいる。そして、1つの光電変換ユニットは、p型層とn型層でサンドイッチされたi型層を含んでいる。光電変換ユニットの厚さの大部分を占めるi型層は実質的に真性半導体層であって、光電変換作用は主としてこのi型層内で生じる。

したがって、光電変換ユニットは、それに含まれるp型とn型の導電型層が非晶質か結晶質かにかかわらず、i型の光電変換層が非晶質のものは非晶質ユニットと称され、i型層が結晶質のものは結晶質ユニットと称される。なお、本願明細書内で、「結晶質」の用語は、薄膜光電変換装置の技術分野で一般に用いられているように、部分的に非晶質状態を含むものをも意味するものとする。

他方、p型やn型の導電型層は光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役割を果たし、その拡散電位の大きさによって光電変換装置の重要な特性の1つである開放端電圧の値も左右される。しかし、これらの導電型層は光電変換に直接寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は発電に寄与しない損失となる。したがって、導電型層は、必要な拡散電位を生じさせることを前提として、できるだけ薄い厚さにすることが望まれる。

ここで、ガラス板のような透明絶縁基板上に薄膜光電変換装置が形成される場合、その基板は光電変換装置の表面保護用カバーガラスの役割を果たさせることができ、一般に、ガラス基板上には透明電極を介して比較的大きなバンドギャップのp型層、i型光電変換層、および比較的小さなバンドギャップのn型層の順に積層されることが多い。

また、薄膜光電変換装置の変換効率を向上させる方法として、2以上の光電変換ユニットを積層してタンデム型にする方法がある。この方法においては、光電変換装置の光入射側に大きなバンドギャップを有する光電変換層を含む前方ユニットを配置し、その後ろに順に小さなバンドギャップを有する(たとえばSi−Ge合金の)光電変換層を含む後方ユニットを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を可能にし、これによって装置全体の変換効率の向上が図られる。タンデム型薄膜光電変換装置の中でも、非晶質光電変換ユニット結晶質光電変換ユニットを積層したものはハイブリッド型薄膜光電変換装置と称される。

たとえば、i型非晶質シリコンが光電変換し得る光の波長長波長側において約800nm程度までであるが、i型結晶シリコンはそれより長い約1100nm程度の波長の光までを光電変換することができる。したがって、ガラス基板上にハイブリッド型薄膜光電変換装置が形成される場合、通常は、そのガラス基板上に透明電極、非晶質ユニット、結晶質ユニット、および裏面電極がこの順に積層される。

概要

測定方法に依存することなくほぼ一定の光電変換特性値を示す信頼性の高いハイブリッド型薄膜光電変換装置を提供する。

ハイブリッド型薄膜光電変換装置は、透明絶縁基板1上に順次積層された透明電極2、非晶質光電変換ユニット3、結晶質光電変換ユニット4、および裏面電極5を含み、結晶質ユニット4はプラズマCVD法によって順次堆積されたp型層4p、結晶質i型光電変換層4i、およびn型層4nを含み、結晶質ユニット4に含まれるp型層4pは結晶質i型光電変換層4iとの界面において85%より大きな結晶化分率を有し、結晶質i型光電変換層4iはその厚さ方向に沿って延びる柱状晶を含む結晶構造を有し、その柱状晶は〈110〉優先結晶方向に沿って伸びていることを特徴としている。

目的

本発明者が見出して確認したこのような課題に鑑み、本発明は、測定方法に依存することなくほぼ一定の光電変換特性値を示す信頼性の高いハイブリッド型薄膜光電変換装置を提供することを目的としている。

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
1件

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請求項1

透明絶縁基板上に順次積層された透明電極非晶質光電変換ユニット結晶質光電変換ユニット、および裏面電極を含み、前記結晶質光電変換ユニットはプラズマCVD法によって順次堆積されたp型層結晶質型光電変換層、およびn型層を含み、前記結晶質ユニットに含まれるp型層は前記結晶質i型光電変換層との界面において85%より大きな結晶化分率を有し、前記結晶質i型光電変換層はその厚さ方向に沿って延びる柱状晶を含む結晶構造を有し、前記柱状晶は〈110〉優先結晶方向に沿って伸びていることを特徴とする、ハイブリッド型薄膜光電変換装置

請求項2

前記結晶質ユニットに含まれるp型層は前記結晶質i型光電変換層との界面において95%以上の結晶化分率を有していることを特徴とする、請求項1に記載のハイブリッド型薄膜光電変換装置。

請求項3

請求項1または2に記載のハイブリッド型薄膜光電変換装置を製造するための方法であって、前記結晶質ユニットに含まれるp型層と前記結晶質i型層は少なくともシラン系原料ガス水素希釈ガスを含む混合ガスを用いたプラズマCVDによって堆積され、前記結晶質ユニットに含まれるp型層は400Pa(3Torr)未満のガス圧のもとで堆積され、前記結晶質i型層は667Pa(5Torr)以上のガス圧のもとで堆積されることを特徴とする製造方法。

請求項4

前記結晶質ユニットに含まれるp型層の堆積の間はシラン系原料ガスに対する水素希釈ガスの混合比が100倍より大きくされていることを特徴とする請求項3に記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は半導体薄膜光電変換装置に関し、特に、ハイブリッド型シリコン系薄膜光電変換装置信頼性向上に関するものである。

背景技術

0002

半導体薄膜光電変換装置は、一般に、少なくとも表面が絶縁性基板上に順次積層された第1電極、1以上の半導体薄膜光電変換ユニット、および第2電極を含んでいる。そして、1つの光電変換ユニットは、p型層とn型層でサンドイッチされたi型層を含んでいる。光電変換ユニットの厚さの大部分を占めるi型層は実質的に真性半導体層であって、光電変換作用は主としてこのi型層内で生じる。

0003

したがって、光電変換ユニットは、それに含まれるp型とn型の導電型層が非晶質か結晶質かにかかわらず、i型の光電変換層が非晶質のものは非晶質ユニットと称され、i型層が結晶質のものは結晶質ユニットと称される。なお、本願明細書内で、「結晶質」の用語は、薄膜光電変換装置の技術分野で一般に用いられているように、部分的に非晶質状態を含むものをも意味するものとする。

0004

他方、p型やn型の導電型層は光電変換ユニット内に拡散電位を生じさせる役割を果たし、その拡散電位の大きさによって光電変換装置の重要な特性の1つである開放端電圧の値も左右される。しかし、これらの導電型層は光電変換に直接寄与しない不活性な層であり、導電型層にドープされた不純物によって吸収される光は発電に寄与しない損失となる。したがって、導電型層は、必要な拡散電位を生じさせることを前提として、できるだけ薄い厚さにすることが望まれる。

0005

ここで、ガラス板のような透明絶縁基板上に薄膜光電変換装置が形成される場合、その基板は光電変換装置の表面保護用カバーガラスの役割を果たさせることができ、一般に、ガラス基板上には透明電極を介して比較的大きなバンドギャップのp型層、i型光電変換層、および比較的小さなバンドギャップのn型層の順に積層されることが多い。

0006

また、薄膜光電変換装置の変換効率を向上させる方法として、2以上の光電変換ユニットを積層してタンデム型にする方法がある。この方法においては、光電変換装置の光入射側に大きなバンドギャップを有する光電変換層を含む前方ユニットを配置し、その後ろに順に小さなバンドギャップを有する(たとえばSi−Ge合金の)光電変換層を含む後方ユニットを配置することにより、入射光の広い波長範囲にわたって光電変換を可能にし、これによって装置全体の変換効率の向上が図られる。タンデム型薄膜光電変換装置の中でも、非晶質光電変換ユニット結晶質光電変換ユニットを積層したものはハイブリッド型薄膜光電変換装置と称される。

0007

たとえば、i型非晶質シリコンが光電変換し得る光の波長長波長側において約800nm程度までであるが、i型結晶シリコンはそれより長い約1100nm程度の波長の光までを光電変換することができる。したがって、ガラス基板上にハイブリッド型薄膜光電変換装置が形成される場合、通常は、そのガラス基板上に透明電極、非晶質ユニット、結晶質ユニット、および裏面電極がこの順に積層される。

発明が解決しようとする課題

0008

このようなハイブリッド型薄膜光電変換装置は、単一の非晶質光電変換ユニットまたは単一の結晶質光電変換ユニットのいずれかを含むシングル型薄膜光電変換装置に比べて、顕著に高い光電変換効率を発揮し得るものである。

0009

しかし最近において、本発明者は、現時点において原因不明ではあるが、ハイブリッド型薄膜光電変換装置について測定して得られる光電変換特性値がその測定方法に依存して変動することを見出した。このことは、ある測定方法によって得られた光電変換特性値を公称性能として表示されたハイブリッド型薄膜光電変換装置がその実際の使用状態において公称どおりの性能を発揮し得るものかについて信頼し得ないことを意味する。このように測定方法に依存して得られる光電変換特性値が変動するということは、シングル型薄膜光電変換装置や複数の非晶質ユニットのみを含むタンデム型薄膜光電変換装置では起こらなかったことである。

0010

一般に、光電変換装置の光電変換特性値は図3の簡略化された回路図で示されているような方法によって測定される。この図3において、薄膜光電変換装置11はそれに含まれるpin半導体接合に基づくダイオードとしての性質を有しており、光Lを受けたときにはそのダイオードの整流作用の方向である順方向に反する逆方向の出力電流を生じる。光電変換装置11は外部電圧源12および電流計13と直列接続されており、これらは閉ループを構成している。従来では、外部電圧源12はダイオード11に対して順方向に任意の値の電圧印加し得る可変DC(直流電圧源が用いられている。

0011

そして、一般に、光電変換装置11にソーラシミュレータからの光Lを照射した状態で外部DC電圧源12からダイオード11の順方向の電圧を0電位から正電位の方へスウィープしてDC電圧を印加するか、または予想される開放端出力電圧より大きな正電位から0電位の方へスウィープしてDC電圧を印加することによって、0電位のときの光電変換装置11の出力電流値短絡電流値Jscとして測定し、開放端電圧値Vocは出力電流を0にするのに釣り合う外部印加電圧から測定される。ところが、本発明者は、ハイブリッド型薄膜光電変換装置に関しては、外部印加電圧をスウィープする方向、その電圧スウィープの速度、さらには電圧スウィープ開始前プレバイアス電圧などに依存して、測定値として得られる光電変換特性値が変動することを見出したのである。

0012

そこで、本発明者は、外部DC電圧源12としてダイオード11に対して順方向と逆方向のいずれにおいても任意の電圧を印加し得るものを用い、系統的に測定方法を変化させることによって従来の1つのハイブリッド型薄膜光電変換装置における光電変換特性値の変動を調べた。その結果が、図4グラフに示されている。

0013

図4のグラフにおいて、横軸は光電変換装置11の出力電圧(V)を表わし、縦軸出力電流密度(mA/cm2)を表わしている。グラフ中の実線曲線は、−2.5V(ダイオードに対する逆方向電圧)のプレバイアス電圧を5分以上印加した後に、100msec以内にソーラシミュレータからAM1.5のスペクトル分布と100mW/cm2のエネルギ密度を有する擬似太陽光の照射を開始するとともに、+2.5V(ダイオードに対する順方向電圧)から−2.5Vまで1.5secで外部印加電圧をスウィープしたときの測定結果を示している。

0014

同様に、点線の曲線は、−2.5Vのプレバイアス電圧を5分以上印加した後に+2.5Vから−2.5Vまで20secで電圧スウィープしたときの測定結果を示している。また、破線の曲線は、−2.5Vのプレバイアス電圧を5分以上印加した後に−2.5Vから+2.5Vまで20secで電圧スウィープしたときの測定結果を示している。さらに、一点鎖線の曲線は、+2.5Vのプレバイアス電圧を5分以上印加した後に+2.5Vから−2.5Vまで1.5secで電圧スウィープしたときの測定結果を示している。

0015

図4からわかるように、短絡電流密度値Jscとしては測定方法に依存することなくほぼ10mA/cm2が得られているが、開放端電圧値Vocは測定方法に依存して1.22Vから1.34Vまで変動している。これに伴って、最大出力時の光電変換効率値も、8.2%から9.1%まで変動している。

0016

本発明者が見出して確認したこのような課題に鑑み、本発明は、測定方法に依存することなくほぼ一定の光電変換特性値を示す信頼性の高いハイブリッド型薄膜光電変換装置を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0017

本発明によれば、ハイブリッド型薄膜光電変換装置は、透明絶縁基板上に順次積層された透明電極、非晶質光電変換ユニット、結晶質光電変換ユニット、および裏面電極を含み、その結晶質ユニットはプラズマCVD法によって順次堆積されたp型層、結晶質i型光電変換層、およびn型層を含み、結晶質ユニットに含まれるp型層は結晶質i型光電変換層との界面において85%より大きな結晶化分率を有し、結晶質i型光電変換層はその厚さ方向に沿って延びる柱状晶を含む結晶構造を有し、その柱状晶は〈110〉優先結晶方向に沿って伸びていることを特徴としている。なお、結晶質ユニットに含まれるp型層は、結晶質i型光電変換層との界面において95%以上の結晶化分率を有していることがより好ましい。

0018

このようなハイブリッド型薄膜光電変換装置の製造方法においては、結晶質ユニット含まれるp型層と結晶質i型層は少なくともシラン系原料ガス水素希釈ガスを含む混合ガスを用いたプラズマCVDによって堆積され、結晶質ユニットに含まれるp型層は400Pa(3Torr)未満のガス圧のもとで堆積され、結晶質i型層は667Pa(5Torr)以上のガス圧のもとで堆積されることを特徴としている。なお、結晶質ユニットに含まれるp型層の堆積の間には、シラン系原料ガスに対する水素希釈ガスの混合比が100倍より大きくされることが好ましい。

発明を実施するための最良の形態

0019

以下の種々の実験例に基づいて、本発明の効果を発揮し得る実施の形態を明らかにする。

0020

まず、種々の実験を開始するに際してし、ハイブリッド型薄膜光電変換装置に含まれる結晶質光電変換ユニットの形成方法として参考になる特開平11−145499は、プラズマ反応室内の圧力が400Pa(3Torr)以上のもとで、シラン系ガスとその50倍以上の混合比の水素希釈ガスを用いることによって、高品質結晶質シリコン系光電変換ユニット高速度で堆積され得ることを開示している。そして、その反応室の圧力は667Pa(5Torr)以上であることがより好ましい旨を述べている。

0021

そこで、本発明者は、以下に述べる方法と条件のもとで、図1の模式的な断面図により示されているようなハイブリッド型薄膜光電変換装置を作製した。

0022

すなわち、まず最初の実験例において、厚さ約600nmのTCO(透明導電性酸化物)電極2が1主面上に形成されたガラス基板1が用意された。TCO電極2上には、厚さ約300nmの非晶質シリコン系光電変換ユニット3がプラズマCVDによって堆積された。非晶質光電変換ユニット3はp型層3p、非晶質光電変換層3i、およびn型層3nを含み、これらの層は非晶質ユニットを形成する場合の周知慣用的条件のもとで堆積された。

0023

非晶質ユニット3上には、150℃の基板温度、667Pa(5Torr)の反応室内圧力、および100mW/cm2のRF(高周波パワーのもとで、結晶質光電変換ユニット4がプラズマCVDによって形成された。この結晶質ユニット4に含まれるp型層4pは、シランの20sccmと、水素の8000sccmと、5000ppmに水素希釈されたジボランを含むジボラン含有ガスの30sccmを用いて、20nmの厚さに堆積された。結晶質i型光電変換層4iは、シランの20sccmと、水素の1500sccmを用いて、2.5μmの厚さに堆積された。こうして形成された結晶質i型光電変換層4iは、その厚さ方向に沿って延びる柱状晶を含む結晶構造を有し、その柱状晶は〈110〉優先結晶方向に沿って伸びていた。そして、n型層4nは、シランの20sccmと、水素の6000sccmと、5000ppmに水素希釈されたホスフィンを含むホスフィン含有ガスの80sccmを用いて、30nmの厚さに堆積された。

0024

結晶質光電変換ユニット4上には、裏面電極5として、厚さ80nmのTCO層5tと厚さ400nmの銀層5mが、それぞれスパッタリング蒸着によって堆積された。このTCO層5tは、銀層5mの光反射性を高く維持するとともに、銀原子が光電変換ユニット4,3内へ拡散することを防止するように作用し得るものである。

0025

こうして作製された最初の実験例によるハイブリッド型薄膜光電変換装置に関して、図4の場合と同様な測定において+2.5Vのプレバイアス電圧を10分以上印加した後に+2.5Vから−2.5Vまで1.5secの電圧スウィープを行なった場合に、1.22Vの開放端電圧値が得られた。他方、−2.5Vのプレバイアス電圧を10分以上印加した後に+2.5Vから−2.5Vまで1.5secで電圧スウィープした場合には、1.36Vの開放端電圧値が得られた。すなわち、この最初の実験例によるハイブリッド型薄膜光電変換装置は、測定方法に依存して0.14Vも変化する開放端電圧値を示し、信頼性に乏しいものと言わざるを得ない。

0026

そこで、本発明者は、図1に示されているようなハイブリッド型薄膜光電変換装置をさらに多数作製するに際して、非晶質光電変換ユニット3の厚さを0.2〜0.4μmの範囲で、結晶質光電変換ユニット4の厚さを1.0〜5.0μmの範囲で、さらに結晶質ユニット4に含まれるp型層4pの堆積時におけるプラズマ反応室の圧力を133〜1330Pa(1〜10Torr)の範囲で種々に変化させ、その他の条件は最初の実験例と同じにした多くの実験を行なった。

0027

これらの実験において得られたハイブリッド型薄膜光電変換装置について、図4の場合と同様にして光電変換特性値が測定された。その結果、ハイブリッド型薄膜光電変換装置に含まれる非晶質ユニット3と結晶質ユニット4との厚さの変化に関して、測定方法に依存する光電変換特性値の変動が系統的な関係を有することは観察されなかった。また、いずれの結晶質ユニット4に含まれるi型光電変換層4iも、その厚さ方向に沿った柱状晶の結晶構造を有していた。

0028

しかし、結晶質ユニット4に含まれるp型層4pの堆積時における反応室の圧力の変化に関しては、測定方法に依存する光電変換特性値の変動が系統的な関係を有することが見出された。この結果が、図2に示されている。

0029

図2のグラフにおいて、横軸は結晶質ユニット4に含まれるp型層4pの堆積時における反応室の圧力(×133Pa:Torr)を表わしている。他方、このグラフの縦軸は、+2.5Vのプレバイアス電圧を10分以上印加の後10秒経過する前に+2.5Vから−2.5Vまで1.5secで電圧スウィープした場合の測定Voc値から、−2.5Vのプレバイアス電圧印加後に+2.5Vから−2.5Vまで1.5secで電圧スウィープした場合の測定Voc値を差し引いた開放端電圧変動値ΔVoc(V)を表わしている。

0030

このグラフから明らかなように、結晶質ユニット4に含まれるp型層4pの成膜時の反応室圧力が400Pa(3Torr)以上の場合にハイブリッド型薄膜光電変換装置の開放端電圧変動値ΔVocの絶対値が大きくなり、その信頼性が低下することがわかる。他方、p型層4pの成膜圧力が400Pa(3Torr)未満の場合には、開放端電圧変動値ΔVocがほとんど0である0.002V以下(測定誤差範囲と考えられる)となり、信頼性の高いハイブリッド型薄膜光電変換装置が得られることがわかる。

0031

本発明者は、ハイブリッド型薄膜光電変換装置の開放端電圧変動値ΔVocに対して結晶質ユニット4に含まれるp型層4pが重大な影響を及ぼすことに鑑み、さらに以下のような実験を試みた。すなわち。結晶質ユニット4に含まれるp型層4pについての前述の堆積条件と同じ条件のもとで、直接ガラス基板上に厚さ20nmのp型層を堆積した。

0032

このガラス基板上のp型層について、250〜1200μmの波長範囲で分光エリプソメータを用いて非晶質シリコンと結晶質シリコン成分比、すなわち結晶化分率(結晶化度ともいう)を測定した。その結果、p型層は、ガラス基板側10nmの厚さ部分と成長表面側10nmの厚さ部分とで結晶化度が種々に異なることが判明した。このような結果が、表1に示されている。

0033

0034

表1からわかるように、p型層の成膜圧力が1.0〜13.0(×133Pa:Torr)の範囲で変化しても、そのp型層のガラス基板側における結晶化度は65〜80%の比較的狭い範囲内で変動しているが、成長表面側の結晶化度は遥かに大きな範囲で変動している。すなわち、p型層の成長面側において、その成膜圧力が約400Pa(3Torr)以下の場合には結晶化度が約95%以上であり、667Pa(5Torr)前後では結晶化度が70〜80%程度であり、そして約1333Pa(10Torr)以上では結晶化度が約40%以下になっている。

0035

このような事実と図2の結果とを照らし合わせて考えれば、測定方法に依存する開放端電圧変動値ΔVocが小さくて信頼性の高いハイブリッド型薄膜光電変換装置を得るためには、結晶質ユニット4に含まれるp型層4pが結晶質i型光電変換層4iとの界面において85%より大きな結晶化度を有することが望まれ、95%以上の結晶化度を有することがより好ましいと考えられる。

0036

なお、一般に、プラズマCVDで堆積されたシリコン層の結晶化度はその下地の影響をも受けるので、結晶質ユニット4に含まれるp型層4pの結晶化度は、その下地となる非晶質ユニット3に含まれるn型層3nの結晶化度の影響をも受けると考えられる。しかし、一般に、非晶質ユニット3に含まれるn型層3nの結晶化度がそんなに高いとは考えられないので、結晶質ユニット4に含まれるp型層4pにおける成膜圧力とその結晶化度の関係も、ガラス基板上に堆積されたp型層におけるのと同様な傾向にあるものと推定される。

発明の効果

0037

以上のように、本発明によれば、測定方法に依存することなくほぼ一定の光電変換特性値を示す信頼性の高いハイブリッド型薄膜光電変換装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0038

図1本発明の実施の形態によるハイブリッド型薄膜光電変換装置の一例を示す模式的な断面図である。
図2ハイブリッド型薄膜光電変換装置において、結晶質ユニットに含まれるp型層の成膜圧力と測定方法に依存する開放端電圧変動値との関係を示すグラフである。
図3光電変換装置の光電変換特性値を測定する方法を説明するための簡略化された回路図である。
図4先行技術によるハイブリッド型薄膜光電変換装置における光電変換特性値の測定方法依存性を示すグラフである。

--

0039

1ガラス基板、2TCO電極、3非晶質光電変換ユニット、3p p型層、3i 非晶質i型光電変換層、3n n型層、4結晶質光電変換ユニット、4p p型層、4i結晶質i型光電変換層、4n n型層、5裏面電極、5tTCO層、5m金属層

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