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技術 真空スイッチ用接点及びその製造方法

出願人 芝府エンジニアリング株式会社株式会社東芝東芝電子エンジニアリング株式会社
発明者 奥富功草野貴史大島巖山本敦史関経世関口薫旦
出願日 2000年3月27日 (20年9ヶ月経過) 出願番号 2000-086002
公開日 2001年10月5日 (19年2ヶ月経過) 公開番号 2001-273842
状態 特許登録済
技術分野 粉末冶金 スイッチの製造 消弧付高圧スイッチで吹付け手段のないもの 接点(1)
主要キーワード 材料状態 溶融点温度 許容温度上昇 機械的開閉 アーク損 変形現象 ロウ材料 接続一体化
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課題

しゃ断電流特性を一定のレベルに維持した上で、特に再点弧特性に優れた真空スイッチ用の接点材料及びその製造方法が望まれている。

解決手段

10〜33wt%Cu−W合金層(領域1)を被アーク面とし、35〜70wt%Cu−W合金層(領域2)を電極もしくは導電軸との接合面として(領域1)と(領域2)とを一体化する。

概要

背景

真空バルブ接点は、耐溶着特性耐電圧特性遮断電流特性(以下、遮断特性)で代表される基本三要件の他に電流裁断特性耐消耗性接触抵抗特性温度上昇特性等を維持向上させるために種々の素材から構成されている。しかし、上述要求特性は一般に互いに相反する材料物性を要求する場合が多いことから、1つの元素で十分満足させることは不可能とされている。そこで、材料の複合化、素材張合わせなどによって、大電流遮断用途、高耐電圧用途、低裁断用途などのように、特定用途別に接点材料の開発が行われそれなりに優れた特性を発揮している。真空バルブには、電流遮断後真空バルブ内閃絡が発生し接点間が再び導通状態になる現象誘起することがある。この現象を再点弧と呼び、その発生メカニズム未解明であるが、電気回路が一度電流遮断状態となった後に導電状態に急激に変化するため、異常過電圧が発生しやすい。特にコンデンサバンク遮断時に再点弧を発生させる実験によれば、極めて大きな過電圧の発生や、過大な高周波電流が流れるため、再点弧の発生抑制技術の開発が求められている。上記したように、再点弧現象の発生のメカニズムはいまだ知られていないが、本発明者らの実験観察によれば、再点弧は真空バルブ内の接点/接点間、接点/アークシールド間でかなり高い頻度で発生している。そのため本発明者らは、例えば接点がアークを受けた時に放出される突発性ガスの抑制技術、接点表面形態の最適化技術など、再点弧の発生抑制に極めて有効な技術を明らかにし、再点弧発生数を大幅に低減化した。しかし、近年の真空バルブに対する高耐電圧化の要求、大電流遮断化の要求、特に小型化の要求には、接点の一層の低再点弧化が必要となってきた。

すなわち近年では、需要家使用条件の過酷化と共に負荷多様化が進行している。近年の顕著な傾向として、リアクトル回路コンデンサ回路などへの適用拡大が挙げられ、それに伴う接点材料の開発、改良が急務となっている。コンデンサ回路では通常の2倍、3倍の電圧印加される関係上、電流遮断電流開閉時のアークによって接点の表面が著しく損傷し、その結果接点の表面荒れ脱落消耗を招き、再点弧発生の一因と考えられるが、しかし再点弧現象は、製品信頼性向上の観点から重要であるにもかかわらず、未だ防止技術はむ論のこと直接的な発生原因についても明らかにはなっていない。このように直接的な原因が不明にも拘らず、耐電圧特性が優れている関係でCu−W合金を採用している。しかしこのCu−W合金でも再点弧発生にはばバラツキが見られる。バラツキは接点素材中のガスの存在、接点の金属組織不均一性関与している場合があり、製造方法の違いに起因していると推測される。上記再点弧発生の抑制に対して本発明者らは、Cu−W合金の加熱過程で放出されるガス総量、ガスの種類ならびに放出形態について、再点弧発生との相関を詳細に観察したところ、溶融点近傍で極めて短時間ではあるがパルス状に突発的に放出されるガスが多い接点では、再点弧発生率も高くなることを見出した。そこでCuの溶融温度以上にて加熱するなど、あらかじめCu−W中の突発的ガス放出の一因を除去しておくことや、Cu−W合金の合金中ポア組織的編析を抑制するように焼結技術を改良することなどによって、再点弧現象の発生を低減させた。しかし近年の更なる再点弧発生抑制要求に対しては、尚改善の必要性を認めると共に他の施策の開発が重要となっている。

Cu−W合金は優れた高耐電圧接点材料として知られている。すなわちCu−W合金は、Wの高溶解性によって耐アーク消耗性を発揮すると共にCuとWとのは間に相互固溶度のない性質により優れた導電性を発揮し、ある程度の遮断特性も維持している。Cu−W合金の製造方法として、WとCuとの間の濡れ性を改善するために、最終的に必要とするCu量の内の一部のCuをあらかじめW中に予備配合させておき、ついでWスケルトンの中に残部のCuを溶浸する技術が行われる。Cuを予備配合的に配合する技術はCu−Cr合金を例として特公昭59−39761号に開示されている。このようにあらかじめW中に予備配合させておいたCuの効果によって、WとCuとの間には良好な濡れ性が生じ、優れた溶浸性を発揮したCu−W合金を得る。しかしこの方法によって得たCu−W合金では、W中に溶浸したCuとWとで形成されるWCu相の部分(粒子間隔又は粒子径が1~数μm級の微細組織)と、あらかじめ予備配合したCuの持つ巨大なCu相部分との2つの部分からなっている。接触面にはこの予備配合した巨大なCu相部分がそのまま存在することになり、このような組織を持つ接点面では、上記巨大な組織のCu相と上記微細加組織のWCu相とが混在することとなり、両組織の界面にアークが点弧することが多く、またWよりも溶融度の低い巨大なCu相の表面がアークによって表面荒れを引き起こすことも多く、接触面の凹凸などの損傷を招き再点弧の引き金となることが多く好ましくない。

概要

しゃ断電流特性を一定のレベルに維持した上で、特に再点弧特性に優れた真空スイッチ用の接点材料及びその製造方法が望まれている。

10〜33wt%Cu−W合金層(領域1)を被アーク面とし、35〜70wt%Cu−W合金層(領域2)を電極もしくは導電軸との接合面として(領域1)と(領域2)とを一体化する。

目的

高耐圧接点材料としては、前記したようにCu−W合金を選択し適用してきたが、組成的に同じ比率のCu−W合金であっても、金属組織的な変動によって再点弧特性が変動する。その金属組織的な変動は接点の製造条件、製造方法に強く依存する。すなわち遮断特性を維持した上での低再点弧化の要求に対しては、被アーク面に上記巨大組織のCu相と上記微細組織のWCu相とが混在する接点では、低再点弧化に対して十分な接点とはいえないことがわかった。すなわち今まで優先して使用してきたCu−W合金でも、その組織状態によっては、より過酷な高電圧領域及び突入電流を伴う回路ではやはり再点弧現象の発生を観察した、そこで上記遮断電流特性を一定のレベルに維持した上で、特に再点弧特性に優れた真空スイッチ用の接点材料の開発が望まれている。そこで本発明は、上記の事情を鑑みてなされたもので、Cu−W合金において、その被アーク面の冶金的諸条件を最適化することにより、再点弧特性を向上させることができる真空スイッチ用接点とその製造方法を提供することを目的としている。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

10〜33wt%Cu−W合金層を被アーク面とし、35〜70wt%Cu−W合金層を電極もしくは導電軸との接合面とした2層接点を備えたことを特徴とする真空スイッチ用接点。

請求項2

前記10〜33wt%Cu−W合金層は少なくとも0.3μmの厚さを有し、前記35〜70wt%Cu−W合金層は少なくとも0.5μmの厚さを有することを特徴とする請求項1記載の真空スイッチ用接点。

請求項3

前記10〜33wt%Cu−W合金層と前記35〜70wt%Cu−W合金層をCuで接続一体化したことを特徴とする請求項1乃至請求項2のいずれかに記載の真空スイッチ用接点。

請求項4

前記10〜33wt%Cu−W合金層は0.45〜16μmの平均粒度を有する原料W粉と、前記W粉と同等以下の平均粒度を有する原料Cu粉とで構成された微細均一組織相を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の真空スイッチ用接点。

請求項5

前記10〜33wt%Cu−W合金層は0.45〜16μmの平均粒度を有する原料W粉で製造されたWスケルトンとそのスケルトン空隙中に存在する微細Cu相よりなる微細均一組織相を有することを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の真空スイッチ用接点。

請求項6

前記35〜70wt%Cu−W合金層は0.45〜16μmの平均粒度を有する原料W粉で製造されたWスケルトンとそのスケルトン空隙中に存在する微細Cu相よりなる微細均一組織相と、前記W粉と同等以上の平均粒度を有する巨大Cu相とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の真空スイッチ用接点。

請求項7

前記10〜33wt%Cu−W合金層は0.45〜16μmの平均粒度を有する原料W粉と、前記W粉と同等以下の平均粒度を有する原料Cu粉とで構成された微細均一組織相を有し、前記35〜70wt%Cu−W合金層は0.45〜16μmの平均粒度を有する原料W粉で製造され0.1〜10μmの粒子間距離を保って存在するWスケルトンとそのスケルトン空隙中に存在するCu相よりなる微細均一組織相と、前記W粉と同等以上の平均粒度を有する巨大Cu相とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の真空スイッチ用接点。

請求項8

前記10〜33wt%Cu−W合金層または35〜70wt%Cu−W合金層中のWの一部にMoを5%以下含有することを特徴とする請求項1乃至請求項7にいずれかに記載の真空スイッチ用接点。

請求項9

前記10〜33wt%Cu−W合金層または35〜70wt%Cu−W合金層中のWがMoと一体化してWMo相を形成し、その大きさが平均粒度0.45〜16μmの範囲にあることを特徴とする請求項1乃至請求項8にいずれかに記載の真空スイッチ用接点。

請求項10

成形型の中に0.46〜16μmの平均粒度を有する原料W粉を充填し、これに重ねるように0.46〜16μmの平均粒度を有する原料W粉と前記W粉よりも粗大な平均粒度を有する原料Cu粉との混合粉を層状に充填する第1の工程と、前記W粉と前記混合粉との両者に対して均一の加圧力を与えて機械的に一体化する第2の工程と、前記第2の工程で得られる成形体を加熱燒結する第3の工程と、前記第3の工程で得られる燒結体の片面に溶浸材を接触させて少なくとも溶浸材の融点温度以上の温度で加熱処理する第4の工程とからなることを特徴とする真空スイッチ用接点の製造方法。

請求項11

成形型の中に0.46〜16μmの平均粒度を有する原料W粉と前記W粉よりも微細な平均粒度を有する原料Cu粉を[W/(W+Cu)]が0.95以上となるように混合した混合粉を充填し、これに重ねるように0.46〜16μmの平均粒度を有する原料W粉と前記W粉よりも粗大な平均粒度を有する原料Cu粉との混合粉を層状に充填する第1の工程と、前記第1の工程で充填した混合粉に対して均一の加圧力を与え機械的に一体化する第2の工程と、前記第2の工程で得られる成形体を加熱燒結する第3の工程と、前記第3の工程で得られる燒結体の片面に溶浸材を接触させて少なくとも溶浸材の融点温度以上の温度で加熱処理する第4の工程とからなることを特徴とする真空スイッチ用接点の製造方法。

請求項12

前記W粉よりも粗大な平均粒度を有する原料Cu粉と混合させる前記W粉の平均粒度が、前記W粉よりも微細な平均粒度を有する原料Cu粉と混合させる前記W粉の平均粒度以上の大きさであることを特徴とする請求項10乃至請求項11のいずれかに記載の真空スイッチ用接点の製造方法。

請求項13

前記W粉よりも微細な平均粒度を有する原料Cu粉の平均粒度が0.45〜16μmの範囲にあり、前記W粉よりも粗大な平均粒度を有する原料Cu粉の平均粒度が1.5〜150μmの範囲にあることを特徴とする請求項11乃至請求項12のいずれかに記載の真空スイッチ用接点の製造方法。

請求項14

前記10〜33wt%Cu−W合金層は、0.46〜16μmの平均粒度を有するW粉で製造されたWスケルトンと、前記Wスケルトン空隙中に侵入したCu相とで形成されたWCu微細均一組織相を有し、前記35〜70wt%Cu−W合金層は、0.46〜16μmの平均粒度を有するW粉で製造されたWスケルトンと、前記Wスケルトン空隙中に侵入したCu相とで形成されたWCu微細均一組織相と、1.5〜150μmの平均粒子直径を有するCuマトリックス相とで構成され、前記前記10〜33wt%Cu−W合金と前記35〜70wt%Cu−W合金層とをCuを使用した溶浸法で一体化して製造することを特徴とする請求項11乃至請求項13のいずれかに記載の真空スイッチ用接点の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、しゃ断電流特性を維持した上で、特に再点弧特性に優れた真空スイッチ接点及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

真空バルブの接点は、耐溶着特性耐電圧特性遮断電流特性(以下、遮断特性)で代表される基本三要件の他に電流裁断特性耐消耗性接触抵抗特性温度上昇特性等を維持向上させるために種々の素材から構成されている。しかし、上述要求特性は一般に互いに相反する材料物性を要求する場合が多いことから、1つの元素で十分満足させることは不可能とされている。そこで、材料の複合化、素材張合わせなどによって、大電流遮断用途、高耐電圧用途、低裁断用途などのように、特定用途別に接点材料の開発が行われそれなりに優れた特性を発揮している。真空バルブには、電流遮断後真空バルブ内閃絡が発生し接点間が再び導通状態になる現象誘起することがある。この現象を再点弧と呼び、その発生メカニズム未解明であるが、電気回路が一度電流遮断状態となった後に導電状態に急激に変化するため、異常過電圧が発生しやすい。特にコンデンサバンク遮断時に再点弧を発生させる実験によれば、極めて大きな過電圧の発生や、過大な高周波電流が流れるため、再点弧の発生抑制技術の開発が求められている。上記したように、再点弧現象の発生のメカニズムはいまだ知られていないが、本発明者らの実験観察によれば、再点弧は真空バルブ内の接点/接点間、接点/アークシールド間でかなり高い頻度で発生している。そのため本発明者らは、例えば接点がアークを受けた時に放出される突発性ガスの抑制技術、接点表面形態の最適化技術など、再点弧の発生抑制に極めて有効な技術を明らかにし、再点弧発生数を大幅に低減化した。しかし、近年の真空バルブに対する高耐電圧化の要求、大電流遮断化の要求、特に小型化の要求には、接点の一層の低再点弧化が必要となってきた。

0003

すなわち近年では、需要家使用条件の過酷化と共に負荷多様化が進行している。近年の顕著な傾向として、リアクトル回路コンデンサ回路などへの適用拡大が挙げられ、それに伴う接点材料の開発、改良が急務となっている。コンデンサ回路では通常の2倍、3倍の電圧印加される関係上、電流遮断電流開閉時のアークによって接点の表面が著しく損傷し、その結果接点の表面荒れ脱落消耗を招き、再点弧発生の一因と考えられるが、しかし再点弧現象は、製品信頼性向上の観点から重要であるにもかかわらず、未だ防止技術はむ論のこと直接的な発生原因についても明らかにはなっていない。このように直接的な原因が不明にも拘らず、耐電圧特性が優れている関係でCu−W合金を採用している。しかしこのCu−W合金でも再点弧発生にはばバラツキが見られる。バラツキは接点素材中のガスの存在、接点の金属組織不均一性関与している場合があり、製造方法の違いに起因していると推測される。上記再点弧発生の抑制に対して本発明者らは、Cu−W合金の加熱過程で放出されるガス総量、ガスの種類ならびに放出形態について、再点弧発生との相関を詳細に観察したところ、溶融点近傍で極めて短時間ではあるがパルス状に突発的に放出されるガスが多い接点では、再点弧発生率も高くなることを見出した。そこでCuの溶融温度以上にて加熱するなど、あらかじめCu−W中の突発的ガス放出の一因を除去しておくことや、Cu−W合金の合金中ポア組織的編析を抑制するように焼結技術を改良することなどによって、再点弧現象の発生を低減させた。しかし近年の更なる再点弧発生抑制要求に対しては、尚改善の必要性を認めると共に他の施策の開発が重要となっている。

0004

Cu−W合金は優れた高耐電圧接点材料として知られている。すなわちCu−W合金は、Wの高溶解性によって耐アーク消耗性を発揮すると共にCuとWとのは間に相互固溶度のない性質により優れた導電性を発揮し、ある程度の遮断特性も維持している。Cu−W合金の製造方法として、WとCuとの間の濡れ性を改善するために、最終的に必要とするCu量の内の一部のCuをあらかじめW中に予備配合させておき、ついでWスケルトンの中に残部のCuを溶浸する技術が行われる。Cuを予備配合的に配合する技術はCu−Cr合金を例として特公昭59−39761号に開示されている。このようにあらかじめW中に予備配合させておいたCuの効果によって、WとCuとの間には良好な濡れ性が生じ、優れた溶浸性を発揮したCu−W合金を得る。しかしこの方法によって得たCu−W合金では、W中に溶浸したCuとWとで形成されるWCu相の部分(粒子間隔又は粒子径が1~数μm級の微細組織)と、あらかじめ予備配合したCuの持つ巨大なCu相部分との2つの部分からなっている。接触面にはこの予備配合した巨大なCu相部分がそのまま存在することになり、このような組織を持つ接点面では、上記巨大な組織のCu相と上記微細加組織のWCu相とが混在することとなり、両組織の界面にアークが点弧することが多く、またWよりも溶融度の低い巨大なCu相の表面がアークによって表面荒れを引き起こすことも多く、接触面の凹凸などの損傷を招き再点弧の引き金となることが多く好ましくない。

発明が解決しようとする課題

0005

高耐圧接点材料としては、前記したようにCu−W合金を選択し適用してきたが、組成的に同じ比率のCu−W合金であっても、金属組織的な変動によって再点弧特性が変動する。その金属組織的な変動は接点の製造条件、製造方法に強く依存する。すなわち遮断特性を維持した上での低再点弧化の要求に対しては、被アーク面に上記巨大組織のCu相と上記微細組織のWCu相とが混在する接点では、低再点弧化に対して十分な接点とはいえないことがわかった。すなわち今まで優先して使用してきたCu−W合金でも、その組織状態によっては、より過酷な高電圧領域及び突入電流を伴う回路ではやはり再点弧現象の発生を観察した、そこで上記遮断電流特性を一定のレベルに維持した上で、特に再点弧特性に優れた真空スイッチ用の接点材料の開発が望まれている。そこで本発明は、上記の事情を鑑みてなされたもので、Cu−W合金において、その被アーク面の冶金的諸条件を最適化することにより、再点弧特性を向上させることができる真空スイッチ用接点とその製造方法を提供することを目的としている。

課題を解決するための手段

0006

上記目的を達成するために本発明においては、10〜33wt%Cu−W合金層を被アーク面とし、35〜70wt%Cu−W合金層を電極もしくは導電軸との接合面とした2層接点とする真空スイッチ用接点を提供する。10〜33wt%Cu−W合金層の微細均一の組織状態の寄与によって再点弧発生を抑制すると共に、35〜70wt%Cu−W合金層の巨大Cu相の寄与によって銀ロウ接合性を確保すると共に遮断性能を確保する。10〜33wt%Cu−W合金層は少なくとも0.3μmの厚さを有し、35〜70wt%Cu−W合金層は少なくとも0.5μmの厚さとする真空スイッチ用接点を提供する。10〜33wt%Cu−W合金層は少なくとも0.3μmの厚さとしたことにより電気的及び機械的開閉寿命を維持すると共に電流しゃ断を行っても所定回数アーク損傷(材料の蒸発飛散、脱落など)にも十分耐え、被アーク部には35〜70wt%Cu−W合金層が露出することなく安定した耐アーク性を発揮する。10〜33wt%Cu−W合金層の厚さが0.3μm未満では、上記効果が得られないのみならず電気的及び機械的開閉の経過と共に10〜33wt%Cu−W合金層表面は局部的な効果に損失し、耐アーク性の低い35〜70wt%Cu−W合金層が被アーク面に露出し、耐アーク性の低下や再点弧の誘因となる。35〜70wt%Cu−W合金層を少なくとも0.5μmの厚さとしたことにより、熱ひずみによる変形に耐えると共に接点の加工時の機械的応力による変形にも耐える。35〜70wt%Cu−W合金層の厚さが0.5μm未満では、上記効果が得られず接点全体の変形を招く。変形によるアークの集中を避け、再点弧の発生を制限する。

0007

10〜33wt%Cu−W合金層と35〜70wt%Cu−W合金層はCuで接続一体化する真空スイッチ用接点を提供する。Cuは10〜33wt%Cu−W合金層と35〜70wt%Cu−W合金層との共通部分であることから、10〜33wt%Cu−W合金層と35〜70wt%Cu−W合金層とを溶浸する工程において、領域を同時に連続一体化できるので製造が簡略される。10〜33wt%Cu−W合金層は0.45〜16μmの平均粒度を有する原料W粉と、W粉と同等以下の平均粒度を有する原料Cu粉とで構成された微細均一組織相を有する真空スイッチ用接点を提供する。10〜33wt%Cu−W合金層に巨大Cu相が存在していると、Cu部が集中的に表面荒れを示し、再点弧を誘発する一因となるが、微細均一化することで再点弧特性の改善(低再点弧化と再点弧発生のバラツキ幅圧縮の両方)される。10〜33wt%Cu−W合金層は0.45〜16μmの平均粒度を有する原料W粉で製造されたWスケルトンとそのスケルトン空隙中に存在する微細Cu相よりなる微細均一組織相とする真空スイッチ用接点を提供する。被アーク面となる10〜33wt%Cu−W合金層が、0.45〜16μmの平均粒度を有するWによって決定されるWスケルトンの効果によって、溶浸後の接点は微細均一な組織となるので、巨大なCu相の存在がなく、Wと巨大なCu相との界面へのアーク点弧や巨大Cu相そのものへのアーク点弧の確率が小となり、再点弧特性の改善(低再点弧化と再点弧発生のバラツキ幅の圧縮の両方)される。

0008

35〜70wt%Cu−W合金層は0.45〜16μmの平均粒度を有する原料W粉で製造されたWスケルトンとそのスケルトン空隙中に存在する微細Cu相よりなる微細均一組織相と、W粉と同等以上の平均粒度を有する巨大Cu相とする真空スイッチ用接点を提供する。巨大Cu相の存在によって一体化した10〜33wt%Cu−W合金層と35〜70wt%Cu−W合金層全体の導電率が改善する。更に、35〜70wt%Cu−W合金層では巨大Cu相の存在が、電極や導電軸との接合において銀ロウ付け性の改善に寄与する。10〜33wt%Cu−W合金層は0.45〜16μmの平均粒度を有する原料W粉と、W粉と同等以下の平均粒度を有する原料Cu粉とで構成された微細均一組織相を有し、35〜70wt%Cu−W合金層は0.45〜16μmの平均粒度を有する原料W粉で製造され0.1〜10μmの粒子間距離を保って存在するWスケルトンとそのスケルトン空隙中に存在するCu相よりなる微細均一組織相と、W粉と同等以上の平均粒度を有する巨大Cu相とする真空スイッチ用接点を提供する。10〜33wt%Cu−W合金層または35〜70wt%Cu−W合金層中のWの一部にMoを5%以下含有する真空スイッチ用接点を提供する。CuとWとの間の濡れ性を改良しW粒子とCuとの密着強度が向上する。

0009

10〜33wt%Cu−W合金層または35〜70wt%Cu−W合金層中のWがMoと一体化してWMo相を形成し、その大きさが平均粒度0.45〜16μmの範囲とする真空スイッチ用接点を提供する。アークを受けた後でも接点表面の溶解、飛散損傷が少なくなり、再点弧防止に重要な影響を及ぼす接点表面荒れを少なくし、耐アーク消耗性の向上も図れる。成形型の中に0.46〜16μmの平均粒度を有する原料W粉を充填し、これに重ねるように0.46〜16μmの平均粒度を有する原料W粉とW粉よりも粗大な平均粒度を有する原料Cu粉との混合粉を層状に充填する第1の工程と、W粉と混合粉との両者に対して均一の加圧力を与えて機械的に一体化する第2の工程と、第2の工程で得られる成形体を加熱燒結する第3の工程と、第3の工程で得られる燒結体の片面に溶浸材を接触させて少なくとも溶浸材の融点温度以上の温度で加熱処理する第4の工程とからなる真空スイッチ用接点の製造方法を提供する。成形型の中に0.46〜16μmの平均粒度を有する原料W粉とW粉よりも微細な平均粒度を有する原料Cu粉を[W/(W+Cu)]が0.95以上となるように混合した混合粉を充填し、これに重ねるように0.46〜16μmの平均粒度を有する原料W粉とW粉よりも粗大な平均粒度を有する原料Cu粉との混合粉を層状に充填する第1の工程と、第1の工程で充填した混合粉に対して均一の加圧力を与えて機械的に一体化する第2の工程と、第2の工程で得られる成形体を加熱燒結する第3の工程と、第3の工程で得られる燒結体の片面に溶浸材を接触させて少なくとも溶浸材の融点温度以上の温度で加熱処理する第4の工程とからなる真空スイッチ用接点の製造方法を提供する。

0010

W粉よりも粗大な平均粒度を有する原料Cu粉と混合させるW粉の平均粒度とW粉よりも微細な平均粒度を有する原料Cu粉と混合させるW粉の平均粒度以上の大きさとする真空スイッチ用接点の製造方法を提供する。W粉よりも微細な平均粒度を有する原料Cu粉の平均粒度が0.46〜16μmの範囲にあり、 W粉よりも粗大な平均粒度を有する原料Cu粉の平均粒度が1.5〜150μmの範囲にある真空スイッチ用接点の製造方法を提供する。0.46〜16μmの平均粒度を有するWで製造されたWスケルトンと、Wスケルトン空隙中に侵入したCu相とで形成されたWCu微細均一組織相を有する10〜33wt%Cu−W合金層と、0.46〜16μmの平均粒度を有するWで製造されたWスケルトンと、Wスケルトン空隙中に侵入したCu相とで形成されたWCu微細均一組織相と、1.5〜150μmの平均粒子直径を有するCuマトリックス相とで構成された35〜70wt%Cu−W合金層とをCuを使用した溶浸法で一体化する真空スイッチ用接点の製造方法を提供する。

発明を実施するための最良の形態

0011

以下に本発明の実施例を詳細に説明する。まず、遮断テスト用実験バルブ組立ての概要を示す。セラミックス絶縁容器として、その端面の平均表面粗さを約1.5μmに研磨したセラミックス製絶縁容器(主成分:Al2O3)を用意し、組立て前に1650℃の前加熱処理を施した。金属端板として厚さ1.5mmの銅円板を、封着金具として板厚さ2mmの42%Ni−Fe合金を、接点部としてCu−TiC、Ag−TiC、Cu−VC、Ag−WC接点材料などを、接合層として厚さ0.1〜0.2mmの72%Ag−Cu合金板、Ag−Cu−Mn合金板、Ag−Cu−Ti合金板などを用意した。接点部と磁界制御用電極との接続、接点部と通電軸との接続に際し、両者間に前記接合層を配置し接続一体化した。上記セラミックス容器内に上記用意した各部材を内蔵配置して、5×10—4Paの真空雰囲気で金属端板と封着金具とセラミックス製絶縁容器とを気密封着し、テスト用実験バルブを組立てた。以下に本発明の効果を明らかにするための評価条件評価方法等を示す。
(1)遮断特性
着脱式の遮断テスト用真空遮断装置に直径62mmの所定の接点電極を装着し、接点表面のベーキング、電流、電圧エージング開極速度条件を一定同一とした後、7.2kV、50Hz、16kAの遮断電流値を遮断させた。実施例1または実施例36の遮断限界電流値を100とし各条件下でのその値と対比し、その倍率遮断倍率として表示した。評価は5台のバラツキ幅で行った。

0012

(2)再点弧特性
径30mm、厚さ5mmの円盤状接点にディマウンタブル形真空バルブに装着し、7.2kV×500Aの回路を20000回開閉したときの再点弧発生数を求めた。実施例2または実施例36の最小値を1.00とし相対比較した。再点弧発生数が0.8倍以下を評価S、0.8〜0.9倍を評価A、0.9〜1.2倍を評価B、1.2〜2.5倍を評価C、2.5〜3.5倍を評価D、3.5倍以上を評価Xとして相対的比較で示した。なお接点の装着に際しては、ベーキング加熱(450℃×30分)のみを行い、ロウ材料の使用ならびにこれに伴う加熱は行わなかった。これらの評価条件を図1〜3、評価結果を図4〜6に示す。以下、本発明の実施例を説明する。
(実施例1〜3、比較例1〜2)Cu−W合金において、原料W粉の平均粒度を3μmとした。10〜33wt%Cu−W合金層(以下、(領域1)という。)のCuの量を5〜45wt%とした(実施例1〜3、比較例1〜2)。なおここで(領域1)中のCuの量とは、素材全体の最終組成を指す。これらの素材を所定の形状の接点試験片に加工後、接触面の表面粗さ3μmに仕上げ試験片とした。

0013

(領域1)は、接点素材として被アーク部に使用する。35〜70wt%Cu−W合金層(以下、(領域2)という。)は、一体化した(領域1)、(領域2)全体の導電率が低くならないように制御し、耐アーク性よりも導電率特性を優先し遮断特性を確保する。(領域1)の組成は、微細均一組織相中のWと微細均一組織相中のCu相とごく微量の巨大Cu相とで構成される。+の状態、++の状態でその特性を比較した。すなわち、図1〜2のWの比率[W/(W+Cu)]の値は、+または++中のW量の値を示すものである。 Wの比率[W/(W+Cu)]の値は、原料粉W、原料粉Cuの配合時の組成比率で、(領域1)の最終組成比率が、ほぼ決定される性質のものである。したがって(領域1)では、微細均一組織相中のWとCuとが主体となる。好ましくは巨大Cu相をごく少量の所定値以下に抑制するのがもっとも好ましい。(領域1)は、原料Wの平均粒度を3μmとし、Wの比率[W/(W+Cu)]の値を1.0、厚さを3mmとした。(領域2)は、Cu合計量を55%とし、Wの比率[W/(W+Cu)]の値0.65とし、巨大Cu相の大きさを37〜74μmとし、厚さを3.5mmとした。

0014

評価結果を図4に示す。まず、遮断特性では、Cuの合計量が10%(実施例1)の遮断特性を100とした。(領域1)のCuの合計量が5%では、遮断特性は35〜55を示し大幅に劣った。5%の場合遮断テスト中には大きな温度上昇が見れら遮断テスト後の接点間の接触抵抗値が著しく増加した。しかし(領域1)のCuの合計量が25〜45%では、比較対象とした(実施例1)の遮断特性100に対して、125〜145を示し、大幅に向上した(実施例2〜3、比較例2)。一方、再点弧特性では、(領域1)のCuの合計量が25%(実施例2)を比較対象とした。(領域1)のCuの合計量が10〜33%(実施例1〜3)では、比較対象とした(実施例2)の再点弧発生回数1.0に対して、0.8〜1.2倍の範囲で安定した。これに対して、(領域1)のCuの合計量が5%及び45%(比較例1〜2)では、最大値が2.5〜3.5倍に増大し著しく安定性が低下した。(領域1)のCuの合計量が45%(比較例2)は、遮断特性では115〜145と極めて良好な値を示しているが、再点弧特性においては、大幅に劣化し、遮断特性と再点弧特性との両立が得られないうえに遮断特性中に溶着事故を生じた。

0015

以上から、(領域1)と(領域2)とを一体化し(領域1)側を被アーク面として使用する構成において、Cuの合計量は10〜33%の場合に、良好な遮断特性と再点弧特性との両立が得られる。
(実施例4〜7、比較例3〜4)前記実施例1〜3、比較例1〜2では、(領域1)の原料W粉の平均粒径を3μmとした。しかし本発明技術での原料W粉の平均粒径は3μmに限ることなくその効果を発揮する。すなわち(領域1)のCu量を25%とし、原料W粉の平均粒度を0.2〜33μm(実施例4〜7、比較例3〜4)として、前記と同様の評価を実施した。まず遮断特性においては、原料W粉の平均粒度が0.45〜16μm(実施例4〜7)の場合、Cuの合計量が10%(実施例1)の遮断特性を100としたときの相対値は、115〜140に向上した。これに対して、原料W粉の平均粒度が0.2μm(比較例3)の場合では75〜115、原料W粉の平均粒度が33μm(比較例4)の場合では80〜100を示し、両者ともバラツキを見せ好ましくなかった。特に前者の場合ではWの凝集が著しく、また素材中の酸素ガスの残存量も多く接点としての品質再現性と安定性に欠ける。

0016

一方再点弧特性においては、原料W粉の平均粒度が0.45〜16μm(実施例4〜7)の場合、比較対象とする(実施例2)の再点弧発生数1.0に対して、いずれも0.8〜1.2倍の範囲で安定した。これに対して、原料W粉の平均粒度が0.2μm(比較例3)、33μm(比較例4)の両者とも2.5倍及び3.5倍以上の特性を示し著しい特性低下を示した。以上から、(領域1)と(領域2)とを一体化し(領域1)側を被アーク面として使用する構成において、原料W粉の平均粒径は0.45〜16μmの場合に良好な遮断特性と再点弧特性との両立が得られる。
(実施例8〜9、比較例5)前記実施例1〜7、比較例1〜4では、Wの比率[W/(W+Cu)]の値をほぼ1.0としたが、本発明技術でのWの比率を0.9、0.95、0.98として、前記と同様の評価を実施した(実施例8〜9、比較例5)。まず遮断特性では、Wの比率[W/(W+Cu)]値を0.95、0.98とした場合、Cuの合計量が10%(実施例1)の遮断特性を100とした時の相対値は、130〜140に向上した(実施例8〜9)。また、Wの比率[W/(W+Cu)]値が0.9の場合でも120〜130を維持し良好な特性を示した(比較例5)。

0017

一方再点弧特性では、Wの比率[W/(W+Cu)]値を0.95、0.98とした場合、比較対象とする(実施例2)の再点弧発生数1.0に対して、いずれも0.9倍以下で極めて安定した特性を発揮した(実施例8〜9)。これに対してWの比率[W/(W+Cu)]値が0.9の場合では3.5倍以上となり著しい特性低下を示した(比較例5)。(実施例8〜9)では良好な遮断特性と再点弧特性の両立が得られたが、(比較例5)では遮断特性と再点弧特性との両立が得られなかった。以上から、(領域1)と(領域2)とを一体化し(領域1)側を被アーク面として使用する構成において、Wの比率[W/(W+Cu)]値は、ほぼ0.95〜1.0の範囲において、良好な遮断特性と再点弧特性の両方が得られる。
(実施例10〜12、比較例6)前記実施例1〜9、比較例1〜5では、(領域1)において、微細Cuと共に微細均一組織相の一部を形成するWは、ほぼWのみを使用したが、本発明技術ではこれに限ることなくその効果を発揮する。すなわちWに所定量のMoを加えたCu−WMo合金としても同様の効果を得る(実施例10〜12)。すなわち微細均一組織相の一部を構成するW量に対するMo量を、0.001〜15%として前記と同様の評価を実施した。

0018

W量に対するMo量が0.001〜5%の範囲では、遮断特性は、Cuの合計量が10%(実施例1)の遮断特性を100としたときの相対値が、125〜140に向上すると共に再点弧特性も比較対象とする(実施例2)の再点弧発生数1.0に対して、0.8〜0.9倍にあり安定した再点弧特性を発揮した(実施例10〜12)。特にW量に対するMo量が5%以内の場合には、遮断、開閉経過に伴う接点表面荒れの進行が抑制され、遮断、開閉経過に対する再点弧特性の安定化に有益となる。一方W量に対するMo量が15%では、遮断特性は125〜140の良好な特性を発揮しているが、再点弧特性が1.2〜3.5倍を示し大幅に劣化した(比較例6)。W量に対するMo量が15%の場合には、Wの強度の増加によって接点引き外し時の接点表面荒れが大きくなり、逆に再点弧が高い頻度で発生する。以上から、(領域1)、(領域2)とを一体化し(領域1)側を被アーク面として使用する構成において、微細均一組織相の一部を構成するW量に対するMo量は、5%以下とすることが望ましい。
(実施例13〜14、比較例7)前記実施例10〜12、比較例6では、(領域1)の微細Cuと共に微細均一組織相の一部を形成するWに、所定量のMoを加え平均粒度が3μmのWMo相とした微細均一組織相について評価したが、本発明技術ではこれに限ることなくその効果を発揮する。すなわち微細均一組織相を構成するWMo相の平均粒度を1.5〜45μmとして同様の評価を実施した。

0019

WMo相の平均粒度が1.5〜16μm(実施例13〜14)の範囲では、遮断特性は、Cuの合計量が10%(実施例1)の遮断特性を100としたときの相対値で115〜125に向上すると共に、再点弧特性も比較対象とする(実施例2)に対して安定した再点弧特性を発揮した(実施例13〜14)。遮断、開閉経過に伴う接点表面荒れも少なく抑制された。一方、微細均一組織相の一部を構成するWMo相の平均粒度を45μmとしたときの遮断特性は80〜95に低下し、さらに再点弧特性も2.5倍以上を示し大幅に劣化した(比較例7)。特に最大値は3.5倍以上となりバラツキが大きくなった。(比較例7)では、巨大なWMo相部分へのアークの集中現象が見られ、それに伴う接点表面荒れが大きくなり、逆に再点弧特性が高い頻度で発生した。以上から、(領域1)と(領域2)とを一体化し(領域1)側を被アーク面として使用する構成において、微細均一組織相の一部を構成するWMo相の平均粒度は16μm以下とすることが好ましい。
(実施例15〜16、比較例8)前記実施例1〜14、比較例1〜7では、(領域1)に巨大Cu相は添加しないで評価をしたが、本発明技術では巨大Cu相を添加して前記と同様の評価を実施した(実施例15〜16、比較例8)。

0020

まず遮断特性では、(領域1)の巨大Cu相の平均粒度を3〜16μmとした場合、Cuの合計量が10%(実施例1)の遮断特性を100とした時の相対値は、125〜140に向上した(実施例15〜16)。また、(領域1)の巨大Cu相の平均粒度を55μmとした場合でも115〜130を維持し良好な特性を示した(比較例8)。一方再点弧特性では、(領域1)の巨大Cu相の平均粒度を3〜16μmとした場合、比較対象とする(実施例2)の再点弧発生数1.0に対して、いずれも0.9倍以下で極めて安定した特性を発揮した(実施例15〜16)。しかし(領域1)の巨大Cu相の平均粒度を55μm(比較例8)としたときには、3.5倍以上と大幅に特性の劣化が見られた。以上から、(領域1)と(領域2)とを一体化し(領域1)側を被アーク面として使用する構成において、(領域1)の巨大Cu相は、最大で16μmであることが望ましい。
(実施例17、比較例9)前記実施例1〜16、比較例1〜8では、(領域1)の厚さを3mm一定とした場合について評価したが、本発明技術ではこれに限ることなくその効果を発揮する。すなわち(領域1)の厚さを0.3mmとしてもCuの合計量が10%(実施例1)の遮断特性を100としたときの相対値は、125〜140の値を示し、比較対象とする(実施例2)の再点弧発生数1.0に対して、0.8〜0.9倍を示し良好であった。しかし(領域1)の厚さを0.1mmとした(比較例9)では、遮断特性が85〜140を示し、遮断特性は0.8〜0.9倍を示したり3.5倍以上を示したり著しくばらつくと共に特性の低下が見られた。テスト後の一部のスイッチの接点表面は、(領域1)の厚さが十分でないことにより(領域2)が露出する現象が見られた。

0021

なお、上述のテストは(領域1)と(領域2)とが連続一体化した試料についての評価結果であるが、(領域1)のみで接点を構成して同様なテストを供したが、(領域2)がないため(領域1)の厚さが少ないので、遮断、開閉動作中に接点が損傷するなどで厚さが少なく変化したときのように、接点全体に好ましくない変形現象が急速に進展すると共に遮断特性と再点弧特性も一定回数を経過すると、急速に特性低下が進展し実用には適さない。以上から、(領域1)と(領域2)とを一体化し(領域1)側を被アーク面として使用する構成において、(領域1)の厚さは、0.3mm(実施例17)以上が好ましい。前記実施例1〜17、比較例1〜9では、(領域2)のCu量の合計値を55%、(領域2)のWの比率[W/(W+Cu)]値を0.65、巨大Cu相の大きさを37〜74μm、(領域2)の厚さを3.5mmなど(領域2)の諸要因を各々一定としたときに、(領域1)のこれらの諸要因が遮断特性、再点弧特性に与える影響を最適化した。その結果実施例1〜17に示した如く、極めて重要な相関を得た。しかし本発明では(領域1)の諸要因のみ真空スイッチとしての遮断特性、再点弧特性が決定されるのではなく、(領域2)の諸要因も重要である。すなわち(領域1)のCu量の合計値を25%、(領域1)のWの比率[W/(W+Cu)]値をほぼ1.0、Wの平均粒度を3μm、(領域1)の厚さを3mmなど(領域1)中の諸要因を各々一定としたときに、(領域2)のこれらの諸要因が遮断特性、再点弧特性に与える影響を最適化した。その評価条件を図2に評価結果を図5に示す。

0022

(領域18〜20、比較例10〜11)(領域2)のCu量の合計が35〜70%の範囲では、遮断特性がCuの合計量が10%(実施例1)の遮断特性を100としたときの相対値で120〜140、再点弧特性が比較対象とする(実施例2)に対して0.8〜1.2倍となり両立に好ましい。(領域2)のCu量の合計が20%では、(領域1)と(領域2)とを一体化した全体として導電率が十分確保できず遮断特性が55〜75と劣化が著しく好ましくない(比較例10)。(領域2)中のCu量の合計が90%では、接点の材料の製造が困難となったため発明範囲から除外した。
(実施例21〜24、比較例12)前記実施例18〜20、比較例10〜11では、(領域2)のWの比率[W/(W+Cu)]値を0.65一定としたが、本発明の(領域2)のWの比率[W/(W+Cu)]値は、これに限ることなく効果を発揮する。すなわちWの比率[W/(W+Cu)]値が0.2〜1.0(実施例21〜24)の場合では、遮断特性がCuの合計量が10%(実施例1)の遮断特性を100としたときの相対値で100〜135、再点弧特性が比較対象とする(実施例2)に対して0.8〜1.2倍となり両立が可能となる。 Wの比率[W/(W+Cu)]値が0.0(比較例12)の場合では、遮断特性は100〜115で好ましいが、再点弧特性は2.5〜3.5倍となり劣化が見られた。

0023

(実施例25〜27、比較例13)前記実施例18〜24、比較例10〜12では、(領域2)において、微細Cuと共に微細均一組織相の一部を形成するWは、ほぼWのみを使用したが、本発明技術ではこれに限ることなくその効果を発揮する。すなわちWに所定量のMoを加えたCu−WMo合金としても同様の効果を得る(実施例25〜27)。すなわち微細均一組織相の一部を構成するW量に対するMo量を、0.001〜15%として前記と同様の評価を実施した。W量に対するMo量が0.001〜5%の範囲では、遮断特性はCuの合計量が10%(実施例1)の遮断特性を100としたときの相対値で125〜135に向上すると共に再点弧特性も比較対象とする(実施例2)に対して0.8〜1.2倍にあり安定した再点弧特性を発揮した(実施例25〜27)。一方W量に対するMo量が15%では、再点弧特性は0.8〜1.2倍の良好な特性を発揮しているが、遮断特性は85〜95を示し大幅に劣化した(比較例13)。
(実施例28、比較例14)前記実施例25〜27、比較例13では、(領域2)の微細Cuと共に微細均一組織相の一部を形成するWに、所定量のMoを加え平均粒度が3μmのWMo相とした微細均一組織相について評価したが、本発明技術ではこれに限ることなくその効果を発揮する。すなわち微細均一組織相を構成するWMo相の平均粒度を16〜55μmとして同様の評価を実施した。

0024

WMo相の平均粒度が16μm(実施例28)では、遮断特性はCuの合計量が10%(実施例1)の遮断特性を100としたときの相対値で105〜120に向上すると共に、再点弧特性は比較対象とする(実施例2)に対して0.8〜1.2倍と安定した特性を発揮した(比較例14)。一方、微細均一組織相の一部を構成するWMo相の平均粒度を55μmとしたときの再点弧特性は0.8〜1.2倍の良好な特性を発揮しているが、遮断特性は75〜85を示し大幅に劣化した(比較例14)。
(実施例29〜31、比較例15)前記実施例18〜28、比較例10〜14では、(領域2)の巨大Cu相の大きさを37〜74としたが、本発明の(領域2)の巨大Cu相の大きさはこれを限ることなく、その効果を発揮する。すなわち(領域2)の巨大Cu相の大きさが5〜37、44〜105、105〜150μmの場合には、遮断特性がCuの合計量が10%(実施例1)の遮断特性を100としたときの相対値で130〜140、再点弧特性が比較対象とする(実施例2)に対して0.8〜1.2倍となり両立を可能としている(実施例29〜31)。しかし(領域2)の巨大Cu相の大きさが210〜250μmの場合には、再点弧特性は0.8〜1.2倍と良好の範囲にあるものの遮断特性は40〜70と大幅に低下した(比較例15)。

0025

(実施例32〜33、比較例16)前記実施例18〜31、比較例10〜15では、(領域2)の厚さは3.5mmとしたが、本発明の(領域2)の厚さはこれに限ることなく、その効果を発揮する。すなわち(領域2)の厚さを0.3mm、4.5mmとした場合には、遮断特性がCuの合計量が10%(実施例1)の遮断特性を100としたときの相対値で125〜135、再点弧特性が比較対象とする(実施例2)に対して0.8〜1.2倍となり両立を可能としている(実施例32〜33)。しかし(領域2)の厚さを0.15mmとした場合には、再点弧特性は0.8〜1.2倍と良好の範囲にあるものの遮断特性が35〜135と大幅に低下し、バラツキも示した(比較例16)。次にこれらの製造方法について示す。これらの評価条件を図3に、評価結果を図6に示す。
(実施例34〜36、比較例17〜18)接触面から深さ方向に対して、組成の異なる(領域1)と(領域2)とを層状に配置してなる2層接点を溶浸法によって製造する。原料W粉として、0.3μm以下、0.46〜16μm、53〜76μmの平均粒度を有するW粉(W1)を準備する。(領域1)はW粉のみでWスケルトンを製作し、微細均一組織を持つように形成する。(領域2)はW粉(W2)のみでWスケルトンを製作し、微細均一組織を持つように形成した上で、W粉(W2)中に(W2)よりも粗大な平均粒度(37〜74μm)を有する銅(Cu2)を存在(混合)させて混合粉[(Cu2W2)]を形成させる。なお(Cu2)の平均粒度については、1.5〜150μmの範囲であればよく、好ましくは20〜150μmの範囲が良い。

0026

まず、(W1)を成形型中に充填する(この場合の(W1)中には(Cu1)は含んでいない)。ついでこれに重ねるようにして原料Cu粉(Cu2)と原料W粉(W2)とを混合した混合粉[(Cu2W2)]を成形型中に充填する。(W2)と混合粉[(Cu2W2)]を層状に充填した状態で、両者に対して、 0.5〜8トン/cm2の範囲(このときは2トン/cm2)の均一な加圧力を与えて、機械的に一体化した成形体[W1・Cu2W2]とする。真空中で800℃〜溶浸材の溶融温度の範囲(このときは900℃)で2時間加熱燒結し燒結体(D1)を得る。別途用意し十分に脱ガスした熱処理用容器中に燒結体(D1)の一面(このときは(領域2)の面)にCu板よりなる溶浸材(C0)の一面が密着して接触するように配置し、前記熱処理容器と共に、少なくともCuの溶融点温度以上の範囲(このときは1150℃)で1時間に加熱処理しながら、前記燒結体(D1)中の前記溶浸材(C0)を溶浸させる。溶浸材(C0)が(領域2)の内部を貫通し(領域1)の内部から表面まで侵入させた10〜33%Cu−Wよりなる(領域1)と35〜70%Cu−Wよりなる(領域2)とを一体化した接点素材(E1)を製造する。

0027

(領域1)中の(W1)の平均粒子直径が0.46〜16μm以下での遮断特性は、標準とした実施例36の100に対して、100〜145を示し安定した性能を示した。再点弧発生数は標準とした実施例36の1.00に対して、1.2以下の範囲で安定した(実施例34〜36)。遮断特性と再点弧特性との特性を好ましい範囲に両立させた実施例34〜36は、上記条件によれば、原料W粉(W1)と混合粉[(Cu2W2)]とを層状に充填して成型しているので、燒結後の燒結体(D1)は、微細均一な組織を持つ(W1)部分と[(Cu2W2)]との2つの層状を持って形成されている。溶浸後の接点素材(E1)は、(領域1)は前記微細均一(W1・Cu)相のみで構成される。(領域2)はこの微細均一(W1・Cu)相と、粗大Cu(Cu2)に相当する大きさのCu相とが存在する。すなわち(領域1)には微細均一組織(W1・Cu)相のみ、(領域2)には微細均一組織(W1・Cu)相と粗大Cu(Cu2)との混在組織とで構成される。さらに、第4の工程によって2つの層状を持ってCuによって同時に一体化させる。第4の工程において、前記(領域1)と前記(領域2)とを溶浸法によって接続一体化した。溶浸法によって(領域1)と(領域2)とを内部空孔のない完全状態で連続一体化することによって、接点全体の電気抵抗を低減させると共に溶浸法以外の方法により連続一体化した場合に生ずる両者の界面での熱抵抗の発生も抑制し、遮断特性の維持向上に貢献する。

0028

これに対して、(W1)の平均粒子直径を0.3μm以下とした場合では、遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、40〜75を示し大幅に劣化している上に、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、2.5以上と好ましくない結果を示した(比較例17)。金属組織的調査によれば、(領域1)中の(W1)部分が凝集している部分が点在し、組織的に不均一であったことが原因として考えられる。製造の観点からも(W1)の平均粒子直径が0.3μm以下では安定性に欠け、望ましくない。Wの凝集が著しく、また熱処理後の素材中には酸素ガスの残存量も多く接点としての品質の再現性と安定性に欠ける。一方(W1)の平均粒子直径を53〜74μmとした場合では、遮断特性は更に低下し、標準とした実施例36の100に対して、30〜55を示した。再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して3.5以上であり再点弧発生に大きなバラツキを示した(比較例18)。したがって、(領域1)と(領域2)とを一体化して接点素材を得る場合に選択すべき(W1)の平均粒子直径は0.46〜16μmの範囲と、溶浸法の採用との組み合わせによって、本発明目的の遮断特性と再点弧特性との両立を達成することが可能となる(実施例34〜36)。

0029

(実施例37〜38、比較例19〜20)前記実施例34〜36、比較例17〜18では、W粉(W1)中に銅が存在していない場合の((領域1)の製造例について示したが、本発明の方法ではこれに限ることなく発明の効果を発揮する。すなわちW粉(W1)中にあらかじめ所定条件の銅を存在させて(領域1)を形成した上で、W粉(W1)中に(W1)よりも粗大な平均粒子直径(37〜74μm)を有する銅(Cu2)を存在(混合)させて(領域2)を形成させ接点素材とするケースについて示す。例えば平均粒子直径2.0〜3.99μmの(W1)に対して、これより微細な平均粒子直径0.46〜1.49μmの(Cu1)を混合した時には、遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、105〜120に向上し、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、0.8〜1.2を示し、良好であった(実施例37)。一方、平均粒子直径2.0〜3.99μmの(W1)に対して、これより粗大な平均粒子直径53〜74μmの(Cu1)を混合した時には遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、85〜95に低下し、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、2.5〜3.5に低下し、好ましくなかった(比較例19)。顕微鏡的観察によれば、混合した粗大な(Cu1)に対応した巨大なCu相部分とW部分との界面でのアークの集中による異常消耗、巨大Cu相部分の異常溶解が見られる。

0030

同様に平均粒子直径8.0〜16.0μmの(W1)に対して、これより微細な平均粒子直径2.0〜3.99μmの(Cu1)を混合した時には、遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、95〜110に向上し、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、0.8〜1.2を示し、良好であった(実施例38)。一方、平均粒子直径8.0〜16μmの(W1)に対して、これより粗大な平均粒子直径53〜74μmの(Cu1)を混合した時には遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、55〜75に低下し、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、2.5以上と大幅に低下し、好ましくなかった(比較例20)。顕微鏡的観察によれば、混合した粗大な(Cu1)に対応した巨大なCu相部分とW部分との界面でのアークの集中による異常消耗、巨大Cu相部分の異常溶解が見られる。すなわち(実施例37)と(比較例19)、(実施例38)と(比較例20)の対比から明確なように、(Cu1)の平均粒子直径は(W1)のそれよりも微細であることが遮断特性と再点弧特性の両立を目的とした製造方法の提供に対して不可欠になる。

0031

(実施例39〜40、比較例21〜22)前記実施例34〜38、比較例17〜20では、接点素材を構成する(領域1)中のCu量を26wt%、(領域2)中のCu量を60wt%に一定とした場合についての製造方法を検討した。しかし本発明方法ではこれに限ることなく発明の効果を発揮する。すなわち(領域1)中のCu量を10〜33%の範囲に対しても発明の効果を発揮する。なお、ここで(領域1)のCuの合計量の制御は、W成型体を成型する時の成型圧力、もしくはWスケルトン製造時の温度、もしくはこれら両者を調整することによって、(領域1)中のCu合計量が5〜45%となるようにW成型体の空孔率、Wスケルトンの空隙率を調整する。例えば(領域1)中のCu量が10%とする接点素材のときには、遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、95〜115の良好な値を示し、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、0.8〜1.2を示し、好ましい結果となった(実施例39)。同様に(領域1)中のCu量を33%とする接点素材の時には、遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、115〜135の良好な値を示し、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、1.2以下を示し、好ましい結果となった(実施例40)。

0032

これに対して、(領域1)中のCu量を5%とする接点素材の時には、遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、35〜50と大幅に低下し、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、0.9〜2.5と大幅に低下し、好ましくなかった(比較例21)。遮断テスト中に著しい温度上昇が見られるとともに接触抵抗値も増大が激しかった。同様に(領域1)中のCu量を45%とする接点素材の時には、遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、75〜90と大幅に低下し、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、1.2〜3.5と大幅に低下し、好ましくなかった(比較例22)。すなわち(実施例39)と(比較例21)、(実施例40)と(比較例22)との対比から明確なように、(領域1)中のCu量は10〜33%の範囲であることが遮断特性と再点弧特性との両立を目的とした製造方法の提供に対して不可欠となる。(領域1)は、熱処理後の接点素材として被アーク部に使用する。(領域2)は、一体化した(領域1)(領域2)全体としての導電率を低くならないように制御し、耐アーク性よりも導電率特性を優先し遮断特性を確保する(表1の領域1または領域2のCuの%は接点として完成した素材全体の最終組成を示す)。(領域1)の組成は、微細均一組織相中のWと微細均一組織相中のCu相(Cu相は溶浸工程時にWスケルトン空隙に侵入して形成される)とごく微量の巨大Cu相(混合時に予備配合材として使用する原料Cu粉の一部、混合作業での凝集粉)とで構成される。

0033

以上から、(領域1)と(領域2)とを一体化し(領域1)側を被アーク面として使用する構成において、(領域1)部分のCuの合計量は10〜33%の場合に、良好な遮断特性と再点弧特性との両立が得られる。(実施例41〜42、比較例23〜24)前記実施例34〜40、比較例17〜22では、接点素材を構成する(領域2)のCu量を60wt%一定とした場合についての製造方法を検討した。しかし本願発明ではこれに限ることなく発明の効果を発揮する。すなわち(領域2)のCu量が35〜70%の範囲に対しても本願発明の製造方法の効果を発揮する。例えば(領域2)のCu量を35%とする接点素材のときには、遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、110〜115の良好な値を示し、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、1.2以下のの好ましい結果をとなった(実施例41)。同様に(領域2)のCu量を70%とする接点素材のときには、遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、115〜120の良好な値を示し、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、1.2以下のの好ましい結果をとなった(実施例42)。

0034

これに対して、(領域2)のCu量を17%とする接点素材の時には、遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、50〜70と大幅に低下し、再点弧特性は標準とした実施例36の1.00に対して、1.2以下であったが1.2以上となるときもあり好ましくなかった。(比較例23)。遮断テスト中に著しい温度上昇が見られた。(領域2)のCu量を85%とする接点素材は、良質な接点素材を特に溶浸法で製造することができなかったためテスト不能となった(比較例24)。(実施例41)と(比較例23)との対比から明確なように、(領域2)のCu量は35〜70%の範囲であることが遮断特性と再点弧特性との両立を目的とした製造方法の提供に対して不可欠となる。
(実施例43〜44)前記実施例34〜42、比較例17〜24では、溶浸後の接点素材を構成する(領域1)(領域2)のWを同じ平均粒子直径とするため、第2の工程において成形型中に投入する(W1)と(W2)とを同一のWを使用して平均粒子直径を(W1)=(W2)としたが、本願発明ではこれに限ることなく発明の効果を発揮する。すなわちWの平均粒子直径を実施例43では(W1)=2.0〜3.99μm、(W2)=8.0〜16.0μmすなわち(W1)<(W2)とし、実施例44では(W1)=2〜3.99μm、(W2)=2〜3.99μm、(ただし(W1)<(W2))としても、遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、100〜110の良好な値を示し、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、1.2以下のの好ましい結果をとなった(実施例43〜44)。

0035

(実施例45〜46、比較例25〜26)前記実施例34〜44、比較例17〜24では、接点素材を構成する(領域1)(領域2)の厚さを、(領域1)は2.5mm、(領域2)は3.0mmを選択して評価を行ったが、本願発明ではこれに限ることなく発明の効果を発揮する。すなわち(領域2)の厚さは3.0mm で(領域1)の厚さを0.3mmとしたときの遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、120〜140の良好な値を示し、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、1.2以下と好ましい結果となった(実施例45)。しかし(領域1)の厚さが0.1mmとしたときの遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、45〜135を示し著しくバラツキが大きくなった。遮断時のアーク損傷によって下層となっている(領域2)が露出しているのが確認された。特に巨大Cu相部分に集中的な溶解が観察されている。再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、0.9以上を示し、やはり測定の経過と共に再点弧頻度が増加する傾向にあり、バラツキが大きくなり好ましくない(比較例25)。これらから遮断特性と再点弧特性との両立を目的とした製造方法の提供に対して、(領域1)の厚さは0.3mmを下限とする必要がある。

0036

これに対して、(領域1)の厚さは4.0mmで、(領域2)の厚さを0.5mmとしたときの遮断特性は、標準とした実施例36の100に対して、125〜145の良好な値を示し、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、1.2以下の好ましい結果となった(実施例13)。しかし(領域2)の厚さが0.2mmとしたときの遮断特性は、標準とした実施例36の100に対して、65〜140を示し著しくバラツキが大きくなった。(領域2)の厚さが小さすぎたため、接点素材全体の厚さが十分確保できず、そのために機械的強度不足する結果となり、遮断テスト中の熱的、機械的外力によって、接点の変形が見られ、遮断特性、再点弧特性好ましくない影響を与えた。標準とした実施例36の1.00に対して、0.9以上を示し、やはり測定の経過と共に再点弧頻度が増加する傾向にあり、バラツキが大きくなり好ましい(比較例26)。これらから遮断特性と再点弧特性との両立を目的とした製造方法の提供に対して、(領域2)の厚さは0.5mmを下限とする必要がある。(領域1)(領域2)の厚さの下限は、スイッチとしての許容温度上昇値によって決定する。

0037

(比較例27〜31)前記実施例34〜46、比較例17〜26では、接点素材を構成する(領域1)と(領域2)との接続一体化の方法として、[(領域1)/(領域2)/溶浸材]の順に設置した後、溶浸材を(領域2)中へ溶浸若しくは溶浸材を(領域1)/(領域2)の両方に溶浸させ、更に(領域2)中の銅も(領域1)中へ溶浸させ、接続一体化させる方法(方法1)をとった。被アーク面に配置される(領域1)と(領域2)との区別は、(領域1)に被アーク面がくるように配置する方法(配置1)をとった。すなわち(方法1)×(配置1)の組み合わせとし安定した遮断特性と再点弧特性を発揮している。しかし、接続一体化させる方法は上記と同じ(方法1)とするが、(領域2)が被アーク面となるように配置する方法(配置2)、すなわち(方法1)×(配置2)の組み合わせでは、被アーク面に巨大なCu相が存在することになり、遮断後の接点面は大きく荒れを呈し、再点弧の発生に著しいバラツキが見られた。遮断特性は、標準とした実施例36の100に対して、30〜40を示し極端に特性が低下する結果となった。また、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、大きなバラツキを示し好ましくなかった。(比較例27)。

0038

一方、接続一体化する方法として、(領域1)と(領域2)とを別々に製造し、両方を銀ロウ材料で接合する方法(方法2)、被アーク面に(領域1)を配置したすなわち(方法2)×(配置1)の組み合わせをとった場合には、真空スイッチとして組み立てるときの銀ロウ付け工程及び遮断テスト中に銀ロウ成分が接点面に付着し、遮断特性は、標準とした実施例36の100に対して、85〜90を示し若干特性が低下し、また、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、バラツキが大きく、やはり測定の経過と共に再点弧頻度が増加する傾向にあり好ましくない(比較例28)。更に、接続一体化させる方法として、(領域1)と(領域2)とを別々に製造し、両方を銀ロウ材料で接合する方法(方法2)と、(領域2)が被アーク面となるように配置する方法(配置2)、すなわち(方法2)×(配置2)の組み合わせをとった場合では、遮断特性は、標準とした実施例36の100に対して、75〜100を示し若干特性が低下し、また、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、0.9以上を示し好ましくない結果となった。(比較例13)。上記(比較例28)と同様に真空スイッチとして組み立てる時の銀ロウ付け工程及び遮断テスト中に銀ロウ成分が接点面に付着している。

0039

接点全体を(領域1)で構成した(配置3)では、再点弧特性は標準とした実施例36の1.00に対して、0.8〜0.9を示し好ましい結果となったが、標準とした実施例36の100に対して、45〜65を示し極端に特性が低下し好ましくない結果となった(比較例30)。接点全体を(領域2)で構成した(配置4)では、遮断特性は標準とした実施例36の100に対して、60〜85を示し特性が低下し、また、再点弧特性も標準とした実施例36の1.00に対して、0.9以上とバラツキを示し好ましくない結果となった(比較例31)。以上から(領域1)の組成のみで接点素材(E1)全体を構成させると、導電性が十分確保できない。逆に(領域2)の組成のみで接点素材(E1)全体を構成させると、再点弧特性が低下する。また(領域1)に相当する素材と(領域2)に相当する素材とを別個に用意し両者を接続する方法では、接続界面接続信頼性の問題や接続界面の接触抵抗、熱抵抗の問題が懸念されるのみならず工程の増加による製造価格の増加の問題も発生して好ましくない。(領域1)のみで接点を構成して同様テストに供したが、(領域2)が不在のため、(領域1)の厚さが少ないとき、或いは遮断、開閉動作中に接点が損傷するなどで厚さが少なくなったときには、接点全体の好ましくない変形現象が急速に進展すると共に遮断特性と再点弧特性も一定回数を経過すると、特性低下が急速に進展し、実用には供し得ない。

0040

以上の評価結果から、(領域1)と(領域2)とを一体化した後の素材の導電率と熱伝導率の特性が低下すると、遮断特性は劣化する。(領域1)と(領域2)とを接続したときの接触抵抗の影響も受け、接触抵抗が大きくなったときにも遮断特性は劣化する。従って、設計上接点としての合計厚さがある値以上必要となるときには、(領域2)は全体の導電率と厚さが適切な範囲となるようにすれば、遮断特性は(領域2)のパラメータよりも、(領域1)の特性の影響を大きく受ける。再点弧特性も(領域2)よりも(領域1)の条件の影響を受ける。したがって、(領域2)の材料状態健全なときには、(領域2)のパラメータの特性の影響は極めて小さく、ほぼ(領域1)の特性の影響を受ける。

発明の効果

0041

本発明によれば、10〜33wt%Cu−W合金層を被アーク面とし、35〜70wt%Cu−W合金層を電極もしくは導電軸との接合面として10〜33wt%Cu−W合金層と35〜70wt%Cu−W合金層とを一体化してあるので、しゃ断特性と再点弧特性とを両立することができる。

図面の簡単な説明

0042

図1本発明の実施例の評価条件を表す図。
図2本発明の実施例の評価条件を表す図。
図3本発明の実施例の評価条件を表す図。
図4本発明の実施例の評価結果を表す図。
図5本発明の実施例の評価結果を表す図。
図6本発明の実施例の評価結果を表す図。

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