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技術 グラウト注入工法およびグラウト注入材

出願人 有限会社シモダ技術研究所株式会社エルジー
発明者 下田一雄
出願日 2000年3月27日 (20年10ヶ月経過) 出願番号 2000-087356
公開日 2001年10月5日 (19年4ヶ月経過) 公開番号 2001-271337
状態 特許登録済
技術分野 地盤中に固結物質を施すことによる地盤強化 土壌改良剤および土壌安定剤
主要キーワード 水酸化アルミニウムゾル 充填注入 調合容器 ベントナイト粉末 モンモリロナイト粘土鉱物 硬化能力 正六面体 アルミナ重量
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この項目の情報は公開日時点(2001年10月5日)のものです。
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図面 (1)

課題

材料分離を防止でき、流動性充填性を保持する粘着性を有し、さらにブリージングが少なく、しかも硬化能力を失うことなく十分な強度を発揮することができるグラウトを得る。

解決手段

間隙もしくは空洞に、セメントをグラウト1m3あたり約200〜500kg含有したセメント懸濁液と、塩基性硫酸バン土溶液とを主材として、〔a〕硫酸バン土の塩基度が2以上であり、かつ、

数12

の値が1.33以上となるように、混合して流動性または可塑性グラウトとし、水酸化アルミニウムゾルを生成させる。

概要

背景

前記の空洞充填に用いるグラウトは、ブリージング離漿水)が少なく(通常2〜5%以下)、材料分離骨材を加えた場合、粒子の沈降)を防止し、注入ポンプでの圧送性ならびに充填性を良くするため、流動性が求められ、さらに一定以上(通常2〜30kgf/cm2程度)の強度が要求される。これらの目的で使用する充填用グラウトとしては、
(1)強度、耐久性ならびに経済的にも優れた材料としてセメントが用いられている。
(2)グラウトのブリージング、材料分離の防止ならびに流動性、充填性を保持するため、粘着性をもつ材料が用いられる。
以上のうち、本発明の対象とするのは(2)の粘着性の材料である。

粘着性材料として、従来から最も多く使われているのがモンモリロナイト粘土鉱物(一般にはベントナイトという)である。このベントナイト粉末は、水中(特に清水)では、分散、膨潤し粘着性(粘稠性ともいう)を有する粘性液が得られる。これにセメントを加えると、反応して一種ゲル化反応を起こし、ベントナイト特有膨潤性を失うが、急激に粘性が増大してブリージングの少ないグラウトが得られる。しかし、ベントナイトは粉末であるため、現場で水を加えて混合する必要があり、また水との接触時間によって膨潤度(長い程大となる)が異なるため施工、ならびに管理上問題がある。また、ベントナイトは清水以外の電解質イオンを含有した水(海水やセメントが混入したアルカリ水)では膨潤度が極端に低下することから(多量のベントナイトを必要とする)、施工性、経済性にも問題が生じる欠点がある。

一方、もう一つの粘着剤としてアルミニウム塩溶液があり、本願発明者によって既に出願され公表されている(特願昭48−88015号)。この粘着剤は、アルカリ性のセメント懸濁液に酸性のアルミニウム塩溶液を加えると、両者が反応を起こし、粘着性の水酸化アルミニウムゾルを生成し、ベントナイトと同様なグラウトが得られる。しかし、この反応はアルカリと酸の中和反応、すなわち、セメント中アルカリ分(主に水酸化カルシウム)を硫酸バン土硫酸アルミニウム)の酸性分が消費中和)することである。

一方、粘着性グラウトは、通常、目的の強度からセメントを1m3あたり200〜500kg(強度2〜30kgf/cm2程度)含有するようにして用いられる。このため、このセメント量に対して硫酸バン土を加えてブリージングが2〜5%以下のグラウトにするのに必要な硫酸バン土を加えると、セメントが硬化能力を失うという欠点がある。(前述の既先出願によれば、セメント懸濁液の初期pH値が11.5程度またはそれ以上であることが必要であると言っている。)このため、前述の既出願では、セメントに石灰炭酸ソーダ等のアルカリ分を加えることにより、対処しているのが実情である。

概要

材料分離を防止でき、流動性と充填性を保持する粘着性を有し、さらにブリージングが少なく、しかも硬化能力を失うことなく十分な強度を発揮することができるグラウトを得る。

間隙もしくは空洞に、セメントをグラウト1m3あたり約200〜500kg含有したセメント懸濁液と、塩基性硫酸バン土溶液とを主材として、〔a〕硫酸バン土の塩基度が2以上であり、かつ、

の値が1.33以上となるように、混合して流動性または可塑性グラウトとし、水酸化アルミニウムゾルを生成させる。

目的

この発明は、上述したような従来の課題を解決するためになされたもので、セメントを主材とし、これに塩基性の硫酸バン土を添加することにより、この塩基性の硫酸バン土を所望量加えることが可能となり、その結果、材料分離を防止でき、流動性と充填性を保持する粘着性を有し、さらにブリージングが少なく、しかも硬化能力を失うことなく十分な強度を発揮することができるグラウトを得ることを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

間隙もしくは空洞に、セメントグラウト1m3あたり約200〜500kg含有したセメント懸濁液と、塩基性硫酸バン土溶液とを主材として、下記の〔a〕および〔b〕の条件を満たすように混合して注入し、水酸化アルミニウムゾルを生成させることを特徴としたグラウト注入工法。〔a〕硫酸バン土の塩基度が2以上であること。

請求項

ID=000003HE=010 WI=098 LX=0560 LY=0550の値が1.33以上であること。

請求項2

セメントをグラウト1m3あたり約200〜5kg含有したセメント懸濁液と、塩基性硫酸バン土溶液とを、下記の〔a〕および〔b〕の条件を満たすように調整して主材とし、間隙もしくは空洞に注入することを特徴とするグラウト注入材。〔a〕硫酸バン土の塩基度が2以上であること。

請求項

ID=000004HE=010 WI=102 LX=0540 LY=0850の値が1.33以上であること。

--

0001

本発明は、地盤中の空洞や砂れき層等の大きな間隙、地盤と構造物との境界面の空洞(例えば、トンネル裏込め)などに充填するグラウト注入工法に関するものである。また、このために用いるグラウト注入材に関するものである。詳しくは、セメント主材とし、これに塩基性硫酸バン土硫酸アルミニウム)を加えて生成した沈澱物水酸化アルミニウム(以下、水酸化アルミニウムゾルという)の粘着性グラウトを用いたグラウト注入工法である。

背景技術

0002

前記の空洞充填に用いるグラウトは、ブリージング離漿水)が少なく(通常2〜5%以下)、材料分離骨材を加えた場合、粒子の沈降)を防止し、注入ポンプでの圧送性ならびに充填性を良くするため、流動性が求められ、さらに一定以上(通常2〜30kgf/cm2程度)の強度が要求される。これらの目的で使用する充填用グラウトとしては、
(1)強度、耐久性ならびに経済的にも優れた材料としてセメントが用いられている。
(2)グラウトのブリージング、材料分離の防止ならびに流動性、充填性を保持するため、粘着性をもつ材料が用いられる。
以上のうち、本発明の対象とするのは(2)の粘着性の材料である。

0003

粘着性材料として、従来から最も多く使われているのがモンモリロナイト粘土鉱物(一般にはベントナイトという)である。このベントナイト粉末は、水中(特に清水)では、分散、膨潤し粘着性(粘稠性ともいう)を有する粘性液が得られる。これにセメントを加えると、反応して一種ゲル化反応を起こし、ベントナイト特有膨潤性を失うが、急激に粘性が増大してブリージングの少ないグラウトが得られる。しかし、ベントナイトは粉末であるため、現場で水を加えて混合する必要があり、また水との接触時間によって膨潤度(長い程大となる)が異なるため施工、ならびに管理上問題がある。また、ベントナイトは清水以外の電解質イオンを含有した水(海水やセメントが混入したアルカリ水)では膨潤度が極端に低下することから(多量のベントナイトを必要とする)、施工性、経済性にも問題が生じる欠点がある。

0004

一方、もう一つの粘着剤としてアルミニウム塩溶液があり、本願発明者によって既に出願され公表されている(特願昭48−88015号)。この粘着剤は、アルカリ性のセメント懸濁液に酸性のアルミニウム塩溶液を加えると、両者が反応を起こし、粘着性の水酸化アルミニウムゾルを生成し、ベントナイトと同様なグラウトが得られる。しかし、この反応はアルカリと酸の中和反応、すなわち、セメント中アルカリ分(主に水酸化カルシウム)を硫酸バン土(硫酸アルミニウム)の酸性分が消費中和)することである。

0005

一方、粘着性グラウトは、通常、目的の強度からセメントを1m3あたり200〜500kg(強度2〜30kgf/cm2程度)含有するようにして用いられる。このため、このセメント量に対して硫酸バン土を加えてブリージングが2〜5%以下のグラウトにするのに必要な硫酸バン土を加えると、セメントが硬化能力を失うという欠点がある。(前述の既先出願によれば、セメント懸濁液の初期pH値が11.5程度またはそれ以上であることが必要であると言っている。)このため、前述の既出願では、セメントに石灰炭酸ソーダ等のアルカリ分を加えることにより、対処しているのが実情である。

発明が解決しようとする課題

0006

この発明は、上述したような従来の課題を解決するためになされたもので、セメントを主材とし、これに塩基性の硫酸バン土を添加することにより、この塩基性の硫酸バン土を所望量加えることが可能となり、その結果、材料分離を防止でき、流動性と充填性を保持する粘着性を有し、さらにブリージングが少なく、しかも硬化能力を失うことなく十分な強度を発揮することができるグラウトを得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

この発明のグラウト注入工法は、間隙もしくは空洞に、セメントをグラウト1m3あたり約200〜500kg含有したセメント懸濁液と、塩基性硫酸バン土溶液とを主材として、次の〔a〕および〔b〕の条件、すなわち、〔a〕硫酸バン土の塩基度が2以上であること。

0008

0009

の値が1.33以上であること。を満たすように混合して注入し、水酸化アルミニウムゾルを生成させることを特徴としたものである。

0010

また、この発明のグラウト注入材は、セメントをグラウト1m3あたり約200〜500kg含有したセメント懸濁液と、塩基性硫酸バン土溶液とを、次の〔a〕および〔b〕の条件、すなわち、〔a〕硫酸バン土の塩基度が2以上であること。

0011

0012

の値が1.33以上であること。を満たすように調整して主材とし、間隙もしくは空洞に注入することを特徴とするものである。

発明を実施するための最良の形態

0013

以下に、この発明の実施の形態について説明する。この発明は、セメントと硫酸バン土を組合せた粘着性グラウトに関する。硫酸バン土等(水溶性アルミニウム塩)のアルミニウムイオン(Al3+)は、他の鉄等のイオンと異なり、水溶液中では〔Al(OH2)6〕3+の形で存在しており、のAl3+は水溶液中には存在しない。アルミニウム塩水溶液アルカリ剤(本発明ではセメント)を加えると白色の膨状沈澱が生成する。

0014

0015

Al(OH)3(水酸化アルミニウム)は簡単な分子でなくAlの周囲に6個のOH-(水酸基イオン)を有する正六面体錯基がOH−を共有して多数重合した大きい分子で次のように示すべきである。

0016

0017

水酸化アルミニウム溶液が謬状溶液、すなわち水酸化アルミニウムゾルとなるのは、このような大きい分子ができるからである。

0018

これにより、硫酸バン土水溶液にアルカリ剤としてセメントを加えて粘着性の水酸化アルミニウムゾルを生成させ、ブリージングの少ないグラウトを作ることができる。しかしながら、本発明のようにセメントが1m3あたり200〜500kgの範囲では、一般の酸性硫酸バン土では酸の絶対量が多いため、ブリージングを2〜5%以下にするのに必要な量を加えると、セメントの硬化能力を失い、強度の発現が得られない。

0019

本願発明者は、この問題を解決すべき種々の実験を行った結果、酸性硫酸バン土の代わりに酸の絶対量が少ない塩基性の硫酸バン土を用いることにより従来の課題を解決(究明)することができた。すなわち、塩基性硫酸バン土を用いることにより、セメントのアルカリ分の消費(中和)が少なくて済み、この結果多くの量を加えることが可能となり、ブリージングの少ない、しかも硬化能力を失うことなく十分な強度を発揮することができるグラウトを完成した。

0020

本発明はセメントがグラウト1m3あたり約200〜500kg含有したグラウトにおいて、次の2つの条件を満たすことが必要である。
(1)セメントが硬化能力失うことなく、十分に強度を発揮すること。
(2)ブリージングが5%以下のグラウトが得られること。

0021

これらの条件を満たすには、硫酸バン土の塩基度の度合いとその量、およびセメント量により決まることが判明した。すなわち、〔a〕の条件:硫酸バン土の塩基度が約2以上であること。塩基度が約2以下で通常の酸性硫酸バン土に近づくと、酸性度が強くなるためセメントを硬化させるには少量の硫酸バン土しか加えることができないため、ブリージング(水酸化アルミニウムゾルの生成量反比例)が大となりグラウトとしては不適となる。なお、硫酸バン土の塩基度は、2以上あればよく、好ましくは2.5以上あればよい。

0022

0023

ここで、「セメント」はセメント重量を意味し、「Al2O3」は硫酸バン土中のAl2O3の重量を意味し、「塩基度」は硫酸バン土の塩基度を意味する。このような、硫酸バン土の塩基度の度合いとその量、およびセメント量の関係が、〔b〕式の条件の1.33以上であれば、セメントは十分に硬化することが判明した。

0024

すなわち、本発明では、セメントを1m3あたり約200〜500kg含有したグラウトにおいて、硫酸バン土の塩基度が約2以上という条件(〔a〕の条件)と、硫酸バン土の塩基度の度合いとその量、およびセメント量の関係の条件(〔b〕の条件)とを満たすことにより、ブリージングが2〜5%以下で、かつ、セメントの硬化が十分に発揮できる粘着性グラウトを得ることができる。なお、硫酸バン土の塩基度は、分析値から次式により求めた。

0025

0026

また、本発明でアルミニウム塩の中で硫酸バン土に特定したのは次の理由からである。すなわち、硫酸バン土とセメントとが反応すれば、不溶性中性硫酸カルシウムとなり、グラウトから溶出しない安全な物質となる。また、硫酸バン土は、アルミニウム塩の中で最も安価で多量に生産されている。

0027

これに対して、同様に多量に生産されているポリ塩化アルミニウムは、セメントとの反応により可溶性塩化ナトリウムを生成し、グラウト硬化体外に溶出し、コンクリート構造物等に悪影響を与えることになるため、本発明の範囲より除外した。

0028

本発明に用いるセメントは、一般にセメントと称されているもので、代表的には普通ポルトランドセメントである。また、本発明に加えることができる骨材(または、増量材)として、砂、フライアッシュ、石灰、一次鉱物微粉末岩石石英石灰石ドロマイトなど)、粘土鉱物(ベントナイト、陶土等)や、現場発生土シルト粉土分を含んだ土およびシールド泥水など)等をあげることができ、また、これらの骨材の一種または二種以上を組合せることができる。さらに、従来のグラウトに添加している発泡剤気泡剤等)、分散剤遅延剤早期強度発現材等を目的に合わせて、添加することができる。

0029

本発明のグラウトの施工は、次の2つの方法によって行われる。
(1)一液性方式
硫酸バン土が、比較的少なく、ブリージングが1〜5%程度で粘着(高粘性)度合いがあまり強くない場合、グラウトは流動性を保持している。本発明では、このような流動性を保持したグラウトを流動状グラウトという。この流動状グラウトの施工は、一液性方式で行う。すなわち、ミキサー等の調合容器に、水、セメント、硫酸バン土あるいは必要に応じて骨材、添加剤を加えて水酸化アルミニウムゾルとセメントを主成分とした粘着性グラウトを一度に調合して1台の注入ポンプで圧送し、目的の空洞等に注入する方法で行う。

0030

(2)二液性方式
一方、硫酸バン土を多く用い、ブリージングがなく(0%)、粘着(超高粘性)度合いが非常に強い場合、グラウトは非流動性を保持した状態となる。本発明では、このような非流動性を保持したグラウトを可塑状グラウトという。この可塑状グラウトとは、グラウト自体は流動しないが、加圧ポンプ等にて)すれば容易に流動化する性質をいう。可塑状グラウトの施工は、二液性方式で行う。すなわち、セメントあるいは必要に応じて骨材や添加剤を加えた懸濁液をA液とし、硫酸バン土溶液をB液とし、それぞれ別々の注入ポンプで圧送し、注入口付近でA,B液を合流混合することにより、前記セメントと硫酸バン土との反応により水酸化アルミニウムゾルとセメントを主成分とした可塑状グラウトに変質させたグラウトを目的の空洞等に注入する。

0031

なお、一液性の流動状から非流動性の可塑状に変質したか否かの判定は、グラウトの性質に若干左右されるが、本発明では円筒フローコン測定(アクリル板内径80mm、高さ80mmの円筒を置き、この中にグラウトを満たした後、円筒を静かに持ち上げ、そのときのグラウトの広がり、即ち直径を測定し、cmの単位をもって表した)に準じた目安として、グラウトの下部の広がりが約13cm以下の場合を可塑状グラウトとした。

0032

以上を要約すると、この発明の粘着性グラウト注入工法は、地盤中の間隙や空洞、あるいは地盤と構造物の境界面の大間隙や空洞の充填注入工法に用いるグラウトであって、セメントをグラウト1m3あたり約200〜500kg含有したセメント懸濁液と、塩基性硫酸バン土溶液とを、下記の〔a〕〔b〕の条件を満たすように混合して、水酸化アルミニウムゾルを生成させることに特徴を有するものである。
〔a〕硫酸バン土の塩基度が約2以上であること。

0033

0034

ただし、Al2O3は硫酸バン土中のアルミナ重量

0035

以下、この発明の実施例をあげて詳しく説明する。実験に用いた塩基性硫酸バン土は、表1に示すように、塩基度の異なる5種類、セメントは普通ポルトランドセメントである。硫酸バン土溶液1リットル中に含まれるAl2O3重量はおおよそ100g前後である。

0036

0037

実験−I
一定量のセメント(グラウト1m3あたり200kgに相当)に対して、表1に示した各塩基度の硫酸バン土を加えた場合のセメントの硬化を確認するための実験を行い、表2の結果を得た。実験は、グラウトをビニール袋(直径5cm、長さ30cm)内で調合し、3日後の硬化の状態を手触りで確認した。

0038

0039

表2に示すように、各実験(No.1〜18)では、セメント60g(重量を記号Cで表す)を水約200〜270mlに溶解し、塩基度(記号Bで表す)の異なる硫酸バン土をそれぞれ約3〜50ml添加した。水とセメントと硫酸バン土との混合物全体で300mlとなるようにした。添加した硫酸バン土中のAl2O3の重量(g単位の重量を記号Aで表す)は、約0.3〜5gとなる。表2の右から2番目の欄に、下記の[b]式の値を示す。

0040

0041

また、表2の最右欄に、グラウト(セメント)の硬化の判定結果を示す。

0042

表2の実験結果より、硫酸バン土の塩基度(B)が小さい程、硫酸バン土の量が少量でもセメントが硬化せず(比較例−2)、硬化させるためには硫酸バン土の量をさらに減らす必要があることが判った(比較例−1)。比較例−2のような場合には、セメントが硬化能力を失い、強度が発揮できないものとなる。これに対して、硫酸バン土の塩基度(B)が大きい程、多くの硫酸バン土を加えてもセメントが硬化することも判った。このセメントに硫酸バン土の塩基度(B)およびその量(Al2O3の添加量Aで表わす)を変化させて加えた時に、硬化するかどうかについて、実験結果を整理すると、次の[b]式を導きだすことができた。すなわち、セメント重量(C)、硫酸バン土の塩基度(B)およびAl2O3の添加重量(A)の関係は、

0043

0044

書き換えれば、

0045

0046

で表すことができる。この〔b〕式の値を基準として約1.33以下になるとセメントは硬化しないが、約1.35以上になるとセメントが十分に硬化することが確認できた。なお、〔b〕式は、セメントが増減しても硬化の判定ができる。なおまた附言すると、表2の実験において、硫酸バン土の塩基度(B)は、表1に示すとおり2.5から58.0の範囲のものを使用した。また、グラウトの硬化が良好と判定されたもの(表2中の○印)は、[b]式の値が1.33から2.74の範囲にわたっている。

0047

実験−II
表2よりセメントが十分に硬化するための〔b〕式の値が、約1.33以上の配合(グラウト1m3あたりセメント200〜500kgの範囲)の場合に、グラウトとして実用できるかについて、ブリージング、フロー値および一軸圧縮強度の測定を行い表3の結果を得た。

0048

0049

表3に示すように、各実験(No.19〜26)では、セメントを約60〜150g(記号C)の範囲で、水約240mlに溶解し、塩基度(記号B)の異なる硫酸バン土をそれぞれ約8〜50ml添加した。水とセメントと硫酸バン土との混合物全体で300mlとなるようにした。表3の中に、[b]式の値を示す。また、ブリージング、フロー値および一軸圧縮強度の測定結果を示す。

0050

表3の実験結果によると、実験No.19(比較例−11)では、表2(比較例−1)においてはセメントが十分に硬化する配合(グラウト1m3あたり、セメント500kg、〔b〕式の値 1.47)であるが、硫酸バン土(塩基度0.5%)の添加量が少なく、十分な水酸化アルミニウムゾルの生成ができないため、ブリージングが非常に多くなっている。このため、グラウトとしては不適であるので、本発明の範囲より除外した。

0051

これに対して、実験No.20〜26(実施例9〜15)に示すように、硫酸バン土の塩基度が約2以上で、かつ、〔b〕式の値が約1.33以上(実施例−9〜14でグラウト1m3あたりセメント200〜500kgの範囲)では、ブリージングが5%以下であり、固結強度も2〜25kgf/cm2と十分に期待できるグラウトであることがわかる。また、塩基性硫酸バン土の添加量が比較的少ない場合は、フロー値が約13以上で流動状グラウトであり(実施例9、11、13、15)、逆に多い場合は可塑状グラウトとなることがわかる(実施例10、12、14)。以上から、本発明では、ブリージングが約2〜5%以下であり、かつ、十分な強度が得られるのは硫酸バン土の塩基度が約2以上であることも確認された。なお、実験例には示さないが、表3の実施例に骨材および添加剤を加えた場合もブリージングが2〜5%以下で、かつ、セメントが十分に硬化する良好な流動状および可塑状グラウトが得られた。

発明の効果

0052

以上説明したとおり本発明によれば、地盤中の空洞や、地盤と構造物の境界の空洞等に充填注入するグラウトとして、セメントがグラウト1m3あたり約200〜500kg含有したセメント懸濁液と塩基性硫酸バン土とを〔a〕硫酸バン土の塩基度約2以上で、かつ、

0053

0054

になる様に調整することにより、ブリージングが2〜5%以下で、かつ、十分な強度が得られる粘着性グラウトを得ることが可能となった。また、この発明によれば、セメントを主材とし、これに塩基性の硫酸バン土を添加することにより、この塩基性の硫酸バン土を所望量加えることが可能となった。これにより、材料分離を防止でき、流動性と充填性を保持する粘着性を有し、さらにブリージングが少なく、しかも硬化能力を失うことなく十分な強度を発揮することができるグラウトを得ることができる。また、このようなグラウト注入材およびこれを用いたグラウト注入工法を得ることができる。

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