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技術 光触媒活性を有するフィルター

出願人 阿波製紙株式会社日本エクスラン工業株式会社
発明者 高麗寛紀中秀雄
出願日 2000年3月17日 (20年9ヶ月経過) 出願番号 2000-077196
公開日 2001年9月25日 (19年3ヶ月経過) 公開番号 2001-259012
状態 特許登録済
技術分野 空気の消毒,殺菌または脱臭 濾過材 触媒による排ガス処理 触媒 触媒 不織物
主要キーワード ポリエステル未延伸繊維 比較繊維 銀系化合物 熱圧加工 イオン交換性基 kg含有 空調機用 低融点ポリエステル繊維
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

繊維に含有させる抗菌活性金属化合物の量を増やすことなく、光照射により抗菌性を高める。

解決手段

光触媒活性を有するフィルターは、繊維を立体的集合して、繊維の間に空気または水等の液体が通過できる濾過空隙を設けている。フィルターは繊維として、抗菌活性金属化合物を含有するアクリロニトリル系繊維を、pHl〜6の範囲内で熱処理をしてなる光触媒活性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維を使用する。

概要

背景

空気を濾過するフィルターとして、空気清浄機用、室内用エアコン用、空調機用自動車車内空気用等の用途に使用される。また、水を濾過するフィルターは、飲料水用食品工業用農業用水耕栽培用、RO、NF、UF、MF用等の多種多様な用途に使用される。

これ等の用途に使用されるフィルターは、空気や水に含まれる異物を除去して綺麗に濾過する。フィルターに濾過された異物は、細菌が発生しやすい環境となることがある。また、フィルターは、特殊な用途のものを除いて、空気や水に含まれる異物を除去する空隙に設計されるので、細菌を除去できない。

抗菌性のあるフィルターは、通過する空気や水を清澄に濾過できると共に、細菌をも除去できる特長がある。抗菌性のあるフィルターは、抗菌性の繊維を使用して実現できる。合成樹脂の抗菌性を実現する方法として、銀イオン又は銅イオンが知られている。これら金属イオンの特性を利用して、繊維に抗菌性を付与する方法は知られている。例えば、アクリル系繊維に銀イオンを付与する方法が、特開昭52−92000号公報と特開平3−199418号公報に記載される。この公報は、スルホン酸基カルポン酸基水酸基等のイオン交換性基を有するアクリル繊維に、イオン交換性基の一部もしくは全部に、錯イオンまたは銅イオンを結合して金属銀、銅または該金属の化合物として残存させる抗菌性アクリロニトリル系繊維が記載される。

この公報に記載される繊維でフィルターを製作して、ある程度の抗菌性を実現できる。ただ、抗菌性に対する要求に充分応えられるものは実現できず、抗菌性を高めるに、抗菌性アクリロニトリル系繊維に含有させる、銀または銅イオンの量を増加しなければならない問題があった。

概要

繊維に含有させる抗菌活性金属化合物の量を増やすことなく、光照射により抗菌性を高める。

光触媒活性を有するフィルターは、繊維を立体的集合して、繊維の間に空気または水等の液体が通過できる濾過空隙を設けている。フィルターは繊維として、抗菌活性金属化合物を含有するアクリロニトリル系繊維を、pHl〜6の範囲内で熱処理をしてなる光触媒活性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維を使用する。

目的

本発明は、この欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明の大切な目的は、繊維に含有させる抗菌活性金属化合物の量を増やすことなく、光照射により抗菌性を高めることのできる光触媒活性を有するフィルターを提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

繊維を立体的集合して、繊維の間に空気または水等の液体が通過できる濾過空隙を設けてなるフィルターにおいて、繊維が、抗菌活性金属化合物を含有するアクリロニトリル系繊維を、pHl〜6の範囲内で熱処理をしてなる光触媒活性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維を含むことを特徴とする光触媒活性を有するフィルター。

請求項2

抗菌性アクリロニトリル系繊維の抗菌活性金属化合物が、銀系化合物である請求項1に記載の光触媒活性を有するフィルター。

請求項3

抗菌活性金属化合物のアクリロニトリル系繊維がアニオン性官能基を有するものである請求項2に記載の光触媒活性を有するフィルター。

請求項4

抗菌性アクリロニトリル系繊維が、アクリロニトリル系繊維を100〜160℃の湿熱又は乾熱で熱処理してなるものである請求項1〜3のいずれかに記載の光触媒活性を有するフィルター。

請求項5

抗菌性アクリロニトリル系繊維を10重量%以上含む請求項1に記載の光触媒活性を有するフィルター。

請求項6

繊維が抗菌性アクリロニトリル系繊維とバインダー繊維を含む請求項1に記載の光触媒活性を有するフィルター。

請求項7

バインダー繊維が未延伸ポリエステル繊維で、バインダー繊維の含有率が20〜90重量%である請求項6に記載の光触媒活性を有するフィルター。

技術分野

0001

本発明は、空気や水等に含まれる異物を除去して清澄濾過すると共に、優れた抗菌性のあるフィルターに関し、とくに、光が照射される環境において抗菌性が著しく向上する、いわゆる光触媒活性を有するフィルターに関する。

背景技術

0002

空気を濾過するフィルターとして、空気清浄機用、室内用エアコン用、空調機用自動車車内空気用等の用途に使用される。また、水を濾過するフィルターは、飲料水用食品工業用農業用水耕栽培用、RO、NF、UF、MF用等の多種多様な用途に使用される。

0003

これ等の用途に使用されるフィルターは、空気や水に含まれる異物を除去して綺麗に濾過する。フィルターに濾過された異物は、細菌が発生しやすい環境となることがある。また、フィルターは、特殊な用途のものを除いて、空気や水に含まれる異物を除去する空隙に設計されるので、細菌を除去できない。

0004

抗菌性のあるフィルターは、通過する空気や水を清澄に濾過できると共に、細菌をも除去できる特長がある。抗菌性のあるフィルターは、抗菌性の繊維を使用して実現できる。合成樹脂の抗菌性を実現する方法として、銀イオン又は銅イオンが知られている。これら金属イオンの特性を利用して、繊維に抗菌性を付与する方法は知られている。例えば、アクリル系繊維に銀イオンを付与する方法が、特開昭52−92000号公報と特開平3−199418号公報に記載される。この公報は、スルホン酸基カルポン酸基水酸基等のイオン交換性基を有するアクリル繊維に、イオン交換性基の一部もしくは全部に、錯イオンまたは銅イオンを結合して金属銀、銅または該金属の化合物として残存させる抗菌性アクリロニトリル系繊維が記載される。

0005

この公報に記載される繊維でフィルターを製作して、ある程度の抗菌性を実現できる。ただ、抗菌性に対する要求に充分応えられるものは実現できず、抗菌性を高めるに、抗菌性アクリロニトリル系繊維に含有させる、銀または銅イオンの量を増加しなければならない問題があった。

発明が解決しようとする課題

0006

本発明は、この欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明の大切な目的は、繊維に含有させる抗菌活性金属化合物の量を増やすことなく、光照射により抗菌性を高めることのできる光触媒活性を有するフィルターを提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明の光触媒活性を有するフィルターは、繊維を立体的集合して、繊維の間に空気または水等の液体が通過できる濾過空隙を設けている。フィルターは繊維として、抗菌活性金属化合物を含有するアクリロニトリル系繊維を、pHl〜6の範囲内で熱処理をしてなる光触媒活性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維を使用する。

0008

抗菌性アクリロニトリル系繊維は、抗菌活性金属化合物を、好ましくは銀系化合物とし、さらに、アクリロニトリル系繊維としてアニオン性官能基を有するものとする。

0009

さらに、抗菌性アクリロニトリル系繊維は、アクリロニトリル系繊維を、たとえば、100〜160℃の湿熱又は乾熱で熱処理してなるもので、この抗菌性アクリロニトリル系繊維の含有量は、好ましくは10重量%以上としている。

0010

フィルターは、抗菌性アクリロニトリル系繊維にバインダー繊維を添加し、このバインダー繊維として、未延伸ポリエステル繊維を使用し、さらに、バインダー繊維の含有率を20〜90重量%とする。このフィルターは、バインダー繊維でもって、繊維の交点を連結できる。

発明を実施するための最良の形態

0011

以下、本発明の実施例を説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するためのフィルターを例示するものであって、本発明はフィルターを下記のものに特定しない。

0012

フィルターは、繊維を湿式あるいは乾式で立体的に集合して繊維の交点を結合した不織布である。繊維の交点を結合した不織布は、強靭で繊維が分離し難い特長がある。ただ、本発明のフィルターは、必ずしも繊維の交点を結合する必要はない。それは、フィルターが、強度の要求されない状態で使用できる用途もあるからである。

0013

繊維の交点を結合する不織布は、未硬化で液状のバインダーを繊維に塗布してこれを硬化させる方法と、主体繊維とバインダー繊維を混合して両繊維を立体的に集合して不織布とした後、バインダー繊維を溶融する方法とがある。

0014

液状のバインダーで繊維の交点を結合する方法は、不織布に液状のバインダーを噴霧して塗布し、あるいは、不織布を液状のバインダーに浸漬した後、余分のバインダーを絞りとってバインダーを硬化させる。バインダー繊維を使用する方法は、バインダー繊維を熱風で溶融し、あるいは、不織布を熱圧してバインダー繊維を溶融して主体繊維の交点を結合する。

0015

不織布は、乾式、湿式等の各種製法で製造される。バインダー繊維を混合して製造される不織布は、主体繊維とバインダー繊維とを混合し、両繊維を立体的に集合して製造される。この不織布は、バインダー繊維の添加量を、0〜90重量%、好ましくは10〜80重量%、さらに好ましくは15〜80重量%とする。不織布は、バインダー繊維を添加しないで製造することもできる。ただ、バインダー繊維を添加して製作した不織布を加熱してバインダー繊維で溶着したフィルターは、強度を向上できる。バインダー繊維が主体繊維の交点を溶着するからである。

0016

不織布は、光触媒活性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維を含んでいる。抗菌性アクリロニトリル系繊維の混合量は、たとえば、10〜100重量%とするが、一般的には10〜90重量%、好ましくは20〜70重量%、さらに好ましくは30〜60重量%、最適には40〜60重量%とする。

0017

不織布に含まれる抗菌性アクリロニトリル系繊維は、混合量が少なすぎると抗菌性能が低下する。ただ、抗菌性アクリロニトリル系繊維の添加量を多くすると、原料コストが高くなる。また、バインダー繊維で繊維の交点を結合するフィルターは、抗菌性アクリロニトリル系繊維の添加量を多くすると、バインダー繊維の添加量が少なくなって強度が低下する。不織布に含まれる抗菌性アクリロニトリル系繊維の混合量は、用途に要求される抗菌性能とコストと強度とを考慮して、用途に最適な前述の範囲とする。

0018

不織布は、抗菌性アクリロニトリル系繊維に加えて、主体繊維またはバインダー繊維として、ポリエステル繊維ポリオレフィン繊維ナイロン繊維アラミド繊維ポリフェニレンサルファイド繊維等の合成繊維を、単独であるいは複数を混合して添加することもできる。ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ナイロン繊維、アラミド繊維、ポリフェニレンサルファイド繊維等の熱可塑性繊維は、バインダー繊維として使用することができる。これ等のバインダー繊維を含む不織布は、熱圧加工して繊維を交点で結合して強靭にできる。

0019

フィルターは、抗菌性アクリロニトリル系繊維に、ポリエステル繊維を添加したものが、機械的強度耐薬品性熱加工適性、コスト等の総合的な見地から最適である。抗菌性アクリロニトリル系繊維に添加するポリエステル繊維は、低融点ポリエステル繊維あるいは未延伸ポリエステル繊維をバインダー繊維として使用できる。

0020

不織布を構成する繊維は、長さをたとえば、1〜25mm、好ましくは、3〜15mmとするものが適している。

0021

不織布は、好ましくは、湿式法で製造される。それは湿式法が、全体的に均一な不織布を製造できるからである。ただし、乾式その他の方法で製造した不織布もフィルターとして使用できるのはいうまでもない。

0022

フィルターは、不織布を構成する繊維の間に多くの濾過空隙を有する。濾過空隙は、空気や水を透過させて、これを清澄に濾過する。したがって、濾過空隙の大きさは、フィルターの用途に最適に設定される。濾過空隙の小さいフィルターは、より小さい異物を除去できるが、空気や水の通過抵抗が大きくなる。したがって、濾過空隙は除去する異物の大きさと、通過抵抗とを考慮して最適値に設定される。

0023

フィルターは、太さをたとえば0.1〜20デニール、好ましくは0.3〜6デニールとする繊維を、60重量%以上含む不織布で構成する。

0024

フィルターは、面積当たりの重量を同じとして、太い繊維を使用すると、面積当り繊維本数が減少して、濾過空隙が大きくなる。反対に細い繊維を使用すると濾過空隙が小さくなる。

0025

フィルターの均一性を得るためには、不織布を構成する繊維は、太さを0.1〜20デニールとするものを60重量%以上含む。不織布の繊維を、0.1デニールよりも細かくすると、濾過空隙が小さくなって通過抵抗が大きくなる。反対に不織布を構成する繊維が20デニールよりも太くなると、フィルターとして異物を濾過して除去する性能が低下する。

0026

繊維を立体的に集合している不織布を熱圧加工してフィルターとする方法は、熱圧加工の条件を調整して、目的とする濾過空隙とする。熱可塑性繊維をバインダー繊維として添加している不織布は、熱加工して、繊維の交点を結合してシート状に結合される。不織布は、熱圧加工するときの圧力と温度と時間を変更して、用途に最適な濾過空隙のフィルターとする。フィルターは、不織布を熱圧加工する圧力と温度を高くして、押圧時間を長くすると、繊維が密に集合されて、濾過空隙が小さくなって通過抵抗が大きくなり強度は向上する。反対に、熱圧加工する圧力と温度を低くして押圧時間を短くすると、繊維の集合が粗になって、濾過空隙が大きく通過抵抗が小さくなって強度が低下する。

0027

フィルターに使用される光触媒活性を有する抗菌性アクリロニトリル系繊維は、アクリロニトリル系重合体から形成された繊維であって、抗菌活性金属化合物を含有するものである限り特に制約はない。アクリロニトリル系重合体は、好ましくは60重量%以上、更に好ましくは80%重量以上のアクリロニトリルと公知のモノマーとの共重合体を用いることができる。

0028

重合に用いられるコモノマーとしては、他の重合性不飽和ビニル化合物など、アクリロニトリルと共重合するものであれば特に制限はなく、例えば、酢酸ビニル等のビニルエステル類塩化ビニル、臭化ビニル塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル又はビニリデン類、アクリル酸メチルメタアクリル酸メチル等の(メタアクリル酸級アルキルエステル類(以下、(メタ)アクリルの記載はアクリルとメタアクリルの両方を表現するものとする)、アクリルアミドスチレンメタアリルスルホン酸ソーダ、2−アクリルアミドー2−メチルプロパンスルホン酸、パラスチレンスルホン酸ソーダ、ビニルスルホン酸ソーダ等のスルホン酸基含有単量体、(メタ)アクリル酸、マレイン酸等のカルポン酸基含有単量体等を使用することができるが、抗菌活性金属化合物を効率的に含有させるため、スルホン酸基あるいはカルポン酸基含有単量体等のアニオン性官能基含有単量体を0.1〜20重量%含有することが望ましい。

0029

抗菌活性金属化合物としては、抗菌活性を有する金属化合物である限り特に制約はないが、光触媒活性を有効に付与するために銀系化合物であることが好ましい。ここで、本発明において繊維に含有せしめるべき抗菌活性金属化合物の量は、特に限定はないが、より好ましくは、繊維に対して金属イオンとして1〜200m・mol/kg含有させるのが良い。即ち金属化合物の含有量は要求される抗菌性のレベルにより異なるのであり、係る範囲の下限に満たない場合は生活環境での見るべき光触媒活性やこれに伴う充分な抗菌性能が得られにくく、上限を越える場合は、繊維が乾燥等の熱処理工程で著しく着色する問題が生じ易い。さらに係る範囲内で生活用途或いは工業用途への充分な光触媒活性に伴う抗菌性能が恒久的に得られることから、上述した範囲を越えてまで含有せしめることは、不必要にコストが高くなり工業的に有利でない。

0030

かかる抗菌活性金属化合物をアクリロニトリル系繊維に含有せしめる方法としては特に制約はない。例えば、特開平3−199418号公報に開示されている方法、すなわちアクリロニトリル系繊維を製造するに際し、乾燥、熱緩和工程前のゲル構造繊維を抗菌活性金属塩水溶液で連続的に処理し、繊維に抗菌活性金属化合物を含有させる方法。特開昭52−92000号公報や特開平7−243169号公報に開示されている方法、すなわち通常の方法によりアクリロニトリル系繊維を製造した後、後加工により抗菌活性金属化合物を含有させる方法をあげることができる。

0031

抗菌性アクリロニトリル系繊維は、かくして得られた抗菌活性金属化合物を含有するアクリロニトリル系繊碓に、pHl〜6好ましくはpH2〜4の範囲内で熱処理を施すことが必要である。かかる熱処理の方法としては特に限定されるものではないが、100〜160℃の湿熱又は乾熱で処理する方法が好ましく、例えば、抗菌活性金属化合物を含有するアクリロニトリル系繊維をpHl〜6の酸性水溶液に浸漬し水切りした繊維を、オートクレープ中でスチームにより湿熱処理する方法、あるいは水切りした繊維をそのまま熱風乾燥機にて乾熱処理する方法などが挙げられる。なお処理時間は処理温度により設定される。

0032

ここで熱処理時のpHが1未満の場合には、繊維物性が著しく阻害されるため、又pHが6を超える場合には、光触媒活性が付与されないため本発明が達成されない。また、熱処理温度が100℃未満の場合は、処理時間が長くなり工業的に有利な方法ではなく、又160℃を超えるとアクリロニトリル系繊維の物性を阻害するため好ましくない。

0033

フィルターの繊維に使用する抗菌性アクリロニトリル系繊維は、具体的には以下の方法で製造される。ただ、以下の方法は、抗菌性アクリロニトリル系繊維の製造方法を例示するものであって、抗菌性アクリロニトリル系繊維を以下の方法で製造したものに特定しない。なお、以下の製造方法において、部及び百分率は特に断りのない限り重量基準で示す。さらに、以下の製造方法において記述する金属イオン含有量および抗菌性能は下記の方法で測定したものである。
(1)金属イオン含有量
0.1grの繊維を、95%の濃硫酸と62%の濃硝酸溶液湿式分解した溶液を日本ジャールアッシュ(株)製原子吸光分析装置AA855型を用いて原子吸光度を測定して求めた。

0034

(2)抗菌性
本発明のフィルターは、繊維に抗菌性アクリロニトリル系繊維を使用することを特徴とする。抗菌性アクリロニトリル系繊維の抗菌性能は、フィルターの抗菌性能を決定する。したがって、最初に繊維の抗菌性能を測定する。抗菌性能は、黄色ブドウ球菌菌数が1.5〜3.0×106個/mlとなるように菌懸濁液を調整し、試験菌液とした。三角フラスコに、繊維0.2g、試験菌液20mlを加え、30℃で30分振盪した後、生菌数を測定し、残存生菌率(LogS(%))を求めた。ここで、残存生菌率とは加えた試験菌液の菌数をA、30分振盪後の菌数をBとして次式で算出する。
残存生菌率(LogS(%))=Log[(B/A)×100]
残存生菌率が2の場合は、B=Aとなって全く抗菌性がないことを示し、残存生菌率が−2はB/Aが1/10000となって強い抗菌性(99.99%の菌が死滅)があることを示している。

0035

なお、抗菌性アクリロニトリル系繊維の光触媒活性を調べるため、上述の30℃での振盪は、光照射下(タングステンランプ100V、100W)及び暗室下で行い、暗室下の残一存生菌率から光照射下の残存生菌率を減じた値を残存生菌率差とした。該残存生菌率差の値は、光触媒活性能を表すパラメーターであり、この値が大きいほど光触媒活性能力が高いといえる。

0036

抗菌活性金属を含有するアクリロニトリル系繊維の製造例1
常法に従って重合して得られたアクリロニトリル91.1%、アクリル酸メチルエステル8.6%、メタアリルスルホン酸ソーダ0.3%からなるアクリロニトリル系重合体を、濃度45%のロダンソーダ水溶液に溶解し、重合体濃度が12%である紡糸原液を作成した。該原液を10%、−3℃のロダンソーダ水溶液中に公知である口金を用いて押し出し、水洗延伸、熱処理を行い、アクリロニトリル系繊維(繊維A)を作成した。次いで、抗菌活性金属である銀を該繊維に導入するため、20m・mol/1に調整した硝酸銀水溶液1000mlを1%の硝酸水溶液でpH3に調整した溶液中に繊維Aを100g投入して、98℃で10分間処理を行い、水洗、乾燥した後、10m・mol/1に調整したシュウ酸ナトリウム水溶液1000mlに投入して、98℃で10分間処理を行い、水洗、乾爆を行い、抗菌活性金属を含有するアクリロニトリル系繊維(繊維B)を作成した。

0037

抗菌活性金属を含有するアクリロニトリル系繊維の製造例2
AN95%、酢酸ビニル5%からなるアクリロニトリル系重合体を用い、硝酸銀水溶液での処理時間を30分とした以外は、抗菌活性金属を含有するアクリロニトリル系繊維の製造例1と同様にして、抗菌活性金属を含有するアクリロニトリル系繊維(繊維C)を作成した。

0038

上述の如くして得られた抗菌活性金属を含有するアクリロニトリル系繊維(繊維B、C)を、硝酸でpHを調整した水溶液に浸漬した後、水切りして、オートクレープ(熱処理温度が100℃を超える場合)もしくは熱風乾燥機(熱処理温度が100℃以下の場合)に入れ、表1に示したpH、温度で熱処理し、抗菌性アクリロニトリル系繊維No1〜5、比較繊維3の繊維の6種類の繊維を作成した。比較繊維1、2は、夫々抗菌活性金属を含有するアクリロニトリル系繊維の製造例1のアクリロニトリル系繊維(繊維A、B)であって熱処理されないアクリロニトリル系繊維である。

0039

0040

かくして得られた抗菌性アクリロニトリル系繊維例No1〜5及び比較繊維1〜3の繊維について、金属含有量並びに光照射下及び暗室下で残存生菌率で表される抗菌性能及び残存生菌率差で表される光触媒活性能を測定、算出した結果を表2に示す。

0041

0042

表2から、抗菌性アクリロニトリル系繊維No1〜5は、残存生菌率差の値が1.2以上と光照射下での残存生菌率が暗室下での残存生菌率に較べ優れており、光触媒活性の有ること、すなわち光を当てることにより抗菌性能が向上すること、また光照射時の残存生菌率も−2以下であり、優れた抗菌性能を有していることがわかる。特に抗菌性アクリロニトリル系繊維1及び2は残存生菌率差が1.8以上と極めて優れた光触媒活性能を持ち、残存生菌率も−2.4以下と極めて優れた抗菌性能を有している。

0043

これに対し、抗菌活性金属を含まない比較繊維1は、全く抗菌性能、光触媒活性能を示さず、抗菌活性金属を含んだ比較繊維2及びpH7で熱処理した比較繊維3は、ある程度の抗菌性能は有するものの、光触媒活性能は認められなかった。

0044

[実施例1]抗菌性アクリロニトリル系繊維を使用したフィルターは、以下の方法で製造する。
不織布の製造工程
湿式で不織布を製造する。不織布を構成する繊維として、50重量%の抗菌性アクリロニトリル系繊維と、50重量%のポリエステル繊維を用いる。抗菌性アクリロニトリル系繊維は、表1のNo1に示す繊維であって平均長さは5mmとするものである。ポリエステル繊維は、10重量%の主体繊維と、40重量%のバインダー繊維を混合する。バインダー繊維には、ポリエステル未延伸繊維を使用する。さらに、主体繊維は、1.5デニールと3デニールの繊維を同じ重量に混合したものである。バインダー繊維の太さは1デニールである。ポリエステル繊維の加重平均密度は1.39g/cm3、抗菌性アクリロニトリル系繊維の加重平均密度は1.15g/cm3である。

0045

湿式法による不織布の製造においては、製紙機械としてすでに湿式の不織布製造装置に使用されている長網抄紙機、傾斜金網等を利用する。繊維の分散が良いこと、配向性の調整が容易であること等の点からすると、傾斜金網を使用する装置が最適である。以上の装置と繊維を使用して、単位面積に対する重量を76.1g/m2とする不織布を製造する。

0046

不織布繊維の交点を結合する工程
抄紙機で製造した不織布に、バインダーを塗布して繊維の交点を結合する。バインダーには、未硬化で液状のもの、たとえばウレタン系の接着剤を使用する。バインダーは、スプレーノズルから霧状に噴霧して、不織布に塗布する。バインダーは不織布の両面から塗布する。不織布は、液状のバインダーに浸漬し、ローラーで余分なバインダーを絞りとって乾燥することもできる。

0047

この実施例で製造したフィルターは、表3に示すように、極めて優れた抗菌性能を実現した。表3は、前述の表2と同じ条件で測定した。

0048

0049

[実施例2]不織布を構成する繊維を、10重量%の抗菌性アクリロニトリル系繊維と、90重量%のポリエステル繊維を用い、ポリエステル繊維には、50重量%の主体繊維と、40重量%のバインダー繊維を使用する以外、実施例1と同様にして、フィルターを製造した。抗菌性アクリロニトリル系繊維は、表1のNo2に示す繊維であり、ポリエステル繊維は、実施例1に使用した繊維と同じものを使用した。この実施例で製造したフィルターは表3に示すように優れた抗菌性能を実現した。

0050

[実施例3]不織布を構成する繊維を、60重量%の抗菌性アクリロニトリル系繊維と、40重量%のポリエステル繊維を用い、全てのポリエステル繊維をバインダー繊維とする以外、実施例1と同様にして、表1に示す物性のフィルターを製造した。抗菌性アクリロニトリル系繊維F、表1のNo3に示す繊維であり、ポリエステル繊維には実施例1に使用した繊維と同じものを使用した。この実施例で試作したフィルターは、表3に示すように、実施例1のフィルターを卓越する極めて優れた抗菌性能を実現した。

0051

[実施例4]不織布を構成する繊維を、80重量%の抗菌性アクリロニトリル系繊維と、20重量%のポリエステル繊維を用い、全てのポリエステル繊維をバインダー繊維とする以外、実施例1と同様にして、表1に示す物性のフィルターを製造した。抗菌性アクリロニトリル系繊維F、表1のNo4に示す繊維であり、ポリエステル繊維には実施例1に使用した繊維と同じものを使用した。この実施例で試作したフィルターも、表3に示すように、実施例1のフィルターを卓越する極めて優れた抗菌性能を実現した。

0052

[実施例5]不織布を構成する繊維を、70重量%の抗菌性アクリロニトリル系繊維と、30重量%のポリエステル繊維を用い、全てのポリエステル繊維をバインダー繊維とする以外、実施例1と同様にして、表1に示す物性のフィルターを製造した。抗菌性アクリロニトリル系繊維F、表1のNo5に示す繊維であり、ポリエステル繊維には実施例1に使用した繊維と同じものを使用した。この実施例で試作したフィルターも、表3に示すように、実施例1のフィルターを卓越する極めて優れた抗菌性能を実現した。

0053

[比較例1]実施例1の抗菌性アクリロニトリル系繊維に代わって、比較繊維1を使用する以外、実施例1と同様にして、フィルターを製造した。このフィルターは、表3に示すように、本発明のフィルターに比較して抗菌性能が著しく低下した。

0054

[比較例2]実施例1の抗菌性アクリロニトリル系繊維に代わって、比較繊維2を使用する以外、実施例1と同様にして、フィルターを製造した。このフィルターは、表3に示すように、抗菌性を示さなかった。

0055

[比較例3]実施例1の抗菌性アクリロニトリル系繊維に代わって、比較繊維3を使用する以外、実施例1と同様にして、フィルターを製造した。このフィルターは、表3に示すように、ほとんど抗菌性を示さなかった。

発明の効果

0056

本発明のフィルターは、光照射により抗菌性を高めることのできる光触媒活性を有し、光が照射される用途に使用されて、極めて優れた抗菌性能を実現する特長がある。それは、本発明のフィルターが、光触媒活性のある抗菌性アクリロニトリル系繊維を繊維として使用し、さらに、この抗菌性アクリロニトリル系繊維には、抗菌活性金属化合物を含有するアクリロニトリル系繊維を、pHl〜6の範囲内で熱処理を施すことにより、抗菌活性金属化合物の量を増やすことなく、光照射により抗菌性を高めることの出来る繊維を使用しているからである。

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