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技術 補強板を用いた橋梁の補強方法

出願人 京橋工業株式会社
発明者 並木宏徳北田俊行
出願日 2000年3月2日 (20年10ヶ月経過) 出願番号 2000-057626
公開日 2001年9月14日 (19年3ヶ月経過) 公開番号 2001-248115
状態 特許登録済
技術分野 橋または陸橋 既存建築物への作業
主要キーワード 相対歪み 傾斜防止 固定点間 アーク溶接接合 ねじの呼び 補強範囲 楔挿入孔 局部的変形
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

橋梁の構成桁にプレストレスを導入補強し、さらに橋梁の剛性増し疲労強度を改善すると同時に、配管などの添架スペース犠牲にすることの無い橋梁の補強方法を提供する点にある。

解決手段

橋梁の被補強桁1の表面に沿ってポストテンション補強板2を配設し、前記被補強桁1とポストテンション補強板2との間に桁行方向の相互反力を生ぜしめるように両者間に4A,4B,4Cを圧入して、前記被補強桁1に対しポストテンション補強板2を所定量相対変位させ、相対変位した状態のポストテンション補強板2を被補強桁1に固定し、被補強桁1をポストテンション補強する工法である。

概要

背景

近年、交通量の増大や通過車両重量増加などにより、厳しい安全・耐久基準橋梁に求められており、新たな安全・耐久基準を満たさない古い橋梁などにも補強を施す必要が生じている。

従来から橋梁にプレストレスを導入して補強を施す手段として、ポストテンション工法が広く用いられている。図13に示すように、上部フランジ60a、下部フランジ60bおよびウェブ60cを有する橋桁60に死荷重活荷重が加わると、橋桁60はなりに変形し、その上部フランジ60aには圧縮応力61が作用し、下部フランジ60bには引張応力62が作用する。ポストテンション工法は、引張応力が作用する部材の耐荷力を向上させるために、下部フランジ60bに桁行方向の圧縮応力(プレストレス)を導入し前記引張応力を緩和する工法である。

従来のポストテンション補強工法としては、例えば、図14の概略断面図に示すように、橋桁70の下部フランジ70bの桁下において定着装置71,72を用い、取付具73,74で緊張状態にした外ケーブル75を張設して、下部フランジ70bにプレストレスを導入するというエクスターナルポストテンション補強工法が主流であった。この種の工法の有効性は、例えば、「既設鋼鈑桁橋プレストレス導入による補強」(橋梁と基礎,Vol30,No.3,平成8年3月号;株式会社建設図書発行)において報告されている。尚、「プレストレス」と「ポストテンション」とは同じ現象を被補強桁もしくは補強材の側から見た表現による差で本質的な違いはないので、この種の補強工法を「ポストテンション補強工法」と呼ぶ。

また、ケ−ブルストランドを用いたエクスターナルポストテンション補強工法はトラス桁の引張部材にも適用されており、本発明者(並木宏徳)により「老朽化したピントラスポストテンション方式による補強」(橋梁と基礎,Vol28,No.4,平成6年4月号;株式会社建設図書発行)において報告されている。この文献記載の工法は、ストランドを橋梁中心より引張荷重を受ける下弦材および斜材に沿って、トラス全体に直線または屈曲した扇形に設置し、油圧ジャッキを用いてストランドに引張力を導入して、当該下弦材などをポストテンション補強するものである。

概要

橋梁の構成桁にプレストレスを導入補強し、さらに橋梁の剛性増し疲労強度を改善すると同時に、配管などの添架スペース犠牲にすることの無い橋梁の補強方法を提供する点にある。

橋梁の被補強桁1の表面に沿ってポストテンション補強板2を配設し、前記被補強桁1とポストテンション補強板2との間に桁行方向の相互反力を生ぜしめるように両者間に4A,4B,4Cを圧入して、前記被補強桁1に対しポストテンション補強板2を所定量相対変位させ、相対変位した状態のポストテンション補強板2を被補強桁1に固定し、被補強桁1をポストテンション補強する工法である。

目的

本発明がこれら問題に鑑みて解決しようとするところは、従来のポストテンション工法とは異なる方法により橋梁の構成部材にプレストレスを導入し、橋梁の剛性を増して疲労強度を改善すると同時に、添架スペースや桁下空間を犠牲にすることのない橋梁の補強方法を提供する点にある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

橋梁の被補強桁の表面に沿ってポストテンション補強板を配設し、前記被補強桁とポストテンション補強板との間に桁行方向の相互反力を生ぜしめるように両者間に単または複数の圧入して、前記被補強桁に対してポストテンション補強板を所定量相対変位させ、相対変位した状態のポストテンション補強板を被補強桁に固定することにより、被補強桁をポストテンション補強することを特徴とする橋梁の補強方法

請求項2

前記被補強桁およびポストテンション補強板にそれぞれ楔挿入用の第1および第2作用孔を形成し、前記第1および第2作用孔に楔を圧入し、該楔の一側面を第1作用孔の壁面に作用させ且つ該楔の他側面を第2作用孔の壁面に作用させて、被補強桁を桁行方向に圧縮すると同時にポストテンション補強板を桁行方向に引張り、被補強桁とポストテンション補強板との間に桁行方向の相互反力を生ぜしめてなる請求項1記載の橋梁の補強方法。

請求項3

被補強桁との間で前記ポストテンション補強板を挟持するように、前記第1および第2作用孔に連通する第3作用孔を設けた傾斜防止板を配設し、第1、第2および第3作用孔に楔を圧入し、該楔の一側面を第1および第3作用孔に作用させ且つ該楔の他側面を第2作用孔の壁面に作用させて、被補強桁を桁行方向に圧縮すると同時にポストテンション補強板を桁行方向に引張り、被補強桁とポストテンション補強板との間に桁行方向の相互反力を生ぜしめてなる請求項2記載の橋梁の補強方法。

請求項4

前記ポストテンション補強板の相対変位量を楔の挿入量で制御してなる請求項1〜3の何れか1項に記載の橋梁の補強方法。

請求項5

前記楔が、ポストテンション補強板と被補強桁とに当接する複数の調整用楔と、該調整用楔間に圧入される圧入用楔とからなる請求項1〜4の何れか1項に記載の橋梁の補強方法。

請求項6

前記ポストテンション補強板および被補強桁に導入される応力をそれぞれσpおよびσfとし、当該補強区間の長さをL、被補強桁に対するポストテンション補強板の桁行方向相対変位量をΔL、被補強桁およびポストテンション補強板の弾性係数をそれぞれEfおよびEpとするとき、ΔL=L(σp/Ep−σf/Ef)の関係式を満たすようにポストテンション補強板を相対変位させてなる請求項1〜5の何れか1項に記載の橋梁の補強方法。

請求項7

ポストテンション補強後、ポストテンション補強板と被補強桁とを接着して一体となす請求項1〜6の何れか1項に記載の橋梁の補強方法。

技術分野

0001

本発明は、橋梁構成部材プレストレスを導入してポストテンション補強する橋梁の補強方法に関する。

背景技術

0002

近年、交通量の増大や通過車両重量増加などにより、厳しい安全・耐久基準が橋梁に求められており、新たな安全・耐久基準を満たさない古い橋梁などにも補強を施す必要が生じている。

0003

従来から橋梁にプレストレスを導入して補強を施す手段として、ポストテンション工法が広く用いられている。図13に示すように、上部フランジ60a、下部フランジ60bおよびウェブ60cを有する橋桁60に死荷重活荷重が加わると、橋桁60はなりに変形し、その上部フランジ60aには圧縮応力61が作用し、下部フランジ60bには引張応力62が作用する。ポストテンション工法は、引張応力が作用する部材の耐荷力を向上させるために、下部フランジ60bに桁行方向の圧縮応力(プレストレス)を導入し前記引張応力を緩和する工法である。

0004

従来のポストテンション補強工法としては、例えば、図14の概略断面図に示すように、橋桁70の下部フランジ70bの桁下において定着装置71,72を用い、取付具73,74で緊張状態にした外ケーブル75を張設して、下部フランジ70bにプレストレスを導入するというエクスターナルポストテンション補強工法が主流であった。この種の工法の有効性は、例えば、「既設鋼鈑桁橋プレストレス導入による補強」(橋梁と基礎,Vol30,No.3,平成8年3月号;株式会社建設図書発行)において報告されている。尚、「プレストレス」と「ポストテンション」とは同じ現象を被補強桁もしくは補強材の側から見た表現による差で本質的な違いはないので、この種の補強工法を「ポストテンション補強工法」と呼ぶ。

0005

また、ケ−ブルストランドを用いたエクスターナルポストテンション補強工法はトラス桁の引張部材にも適用されており、本発明者(並木宏徳)により「老朽化したピントラスポストテンション方式による補強」(橋梁と基礎,Vol28,No.4,平成6年4月号;株式会社建設図書発行)において報告されている。この文献記載の工法は、ストランドを橋梁中心より引張荷重を受ける下弦材および斜材に沿って、トラス全体に直線または屈曲した扇形に設置し、油圧ジャッキを用いてストランドに引張力を導入して、当該下弦材などをポストテンション補強するものである。

発明が解決しようとする課題

0006

しかしながら、上記のエクスターナルポストテンション工法では、以下の(1),(2)の問題点があった。(1)上記の補強材としてはケ−ブルやPC鋼棒が用いられるが、これらの材料は一般的に引張り強度は大であるが剛性が低いので橋桁の剛性増加に寄与することが少ないため橋桁の疲労強度があまり改善されず、(2)また、橋梁には配管などが添架されることが多いが、上記外ケーブルを用いた工法では、外ケーブルやサドルなどを取り付けるためにその添架スペース犠牲になったり、あるいは橋梁の下部に取り付けられて桁下空間が狭くなるという問題である。

0007

本発明がこれら問題に鑑みて解決しようとするところは、従来のポストテンション工法とは異なる方法により橋梁の構成部材にプレストレスを導入し、橋梁の剛性を増して疲労強度を改善すると同時に、添架スペースや桁下空間を犠牲にすることのない橋梁の補強方法を提供する点にある。

課題を解決するための手段

0008

前記課題を達成するために、本発明者らは、従来から補剛板として使用される板材と、梃子滑車とともに力を増幅する手段として広く使用されているとに着目した。楔は入力した力を増幅するだけでなく、部材同士摩擦を増大させて両者を強固につなぎ且つその状態を保持できる優れた能力を有する。本発明者らは、このような楔の特徴を橋梁のポストテンション補強工法に適用すべく鋭意研究を押し進めた結果、本発明に到達するに至った。

0009

本発明に係る橋梁の補強方法は、橋梁の被補強桁の表面に沿ってポストテンション補強板を配設し、前記被補強桁とポストテンション補強板との間に桁行方向の相互反力を生ぜしめるように両者間に単または複数の楔を圧入して、前記被補強桁に対してポストテンション補強板を所定量相対変位させ、相対変位した状態のポストテンション補強板を被補強桁に固定することにより、被補強桁をポストテンション補強することを特徴としたものである。すなわち、楔は被補強桁とポストテンション補強板とに桁行方向の相互反力を付与すると同時に、ポストテンション補強板に引張荷重を加え且つ被補強桁に圧縮荷重を加えるため、被補強桁はポストテンションを付与され且つ補剛されることとなる。同時に、楔は両者を強固につなぎつつその状態を保持するから、被補強桁に対するポストテンション補強板の相対変位量を正確に制御できる。

0010

より具体的な方法としては、前記被補強桁およびポストテンション補強板にそれぞれ楔挿入用の第1および第2作用孔を形成し、前記第1および第2作用孔に楔を圧入し、該楔の一側面を第1作用孔の壁面に作用させ且つ該楔の他側面を第2作用孔の壁面に作用させて、被補強桁を桁行方向に圧縮すると同時にポストテンション補強板を桁行方向に引張り、被補強桁とポストテンション補強板との間に桁行方向の相互反力を生ぜしめることが好ましい。

0011

また、上記ポストテンション補強工程中に楔が傾斜して作用孔に作用する荷重バラツキが生じるのを防ぐために、被補強桁との間で前記ポストテンション補強板を挟持するように、前記第1および第2作用孔に連通する第3作用孔を設けた傾斜防止板を配設し、第1、第2および第3作用孔に楔を圧入し、該楔の一側面を第1および第3作用孔に作用させ且つ該楔の他側面を第2作用孔の壁面に作用させて、被補強桁を桁行方向に圧縮すると同時にポストテンション補強板を桁行方向に引張ることが好ましい。すなわち、前記第1および第3作用孔により前記楔の一側面が2壁面で支持されるので、当該工程中の楔の姿勢が安定する。楔は、圧入される際に作用するせん断力に起因する曲げモーメントによって傾斜しようとするが、楔の一側面が前記2壁面で分担支持されるので、楔の傾斜は防止されるのである。そのため大きなポストテンション荷重を導入でき、ポストテンション補強板の相対変位量を正確に制御することが可能となる。

0012

また、上記したポストテンション補強板の相対変位量は、当該ポストテンション補強板と被補強桁との間に挿入する楔の挿入量で制御されるのが望ましい。

0013

更には、前記楔は、ポストテンション補強板と被補強桁とに当接する複数の調整用楔と、該調整用楔間に圧入される圧入用楔とからなることが好ましい。これによって圧入用楔はポストテンション補強板と被補強桁とに直接当接して食い込みなどの局部的な変形が生じることがないため、圧入用楔による反力を調整用楔を通して円滑に当該ポストテンション補強板と被補強桁に伝達することができる。

0014

また、前記ポストテンション補強板と被補強桁とに計画通りの荷重を正確に付与するため、前記ポストテンション補強板および被補強桁に導入される応力をそれぞれσpおよびσfとし、当該補強区間の長さをL、被補強桁に対するポストテンション補強板の桁行方向相対変位量をΔL、被補強桁およびポストテンション補強板の弾性係数をそれぞれEfおよびEpとするとき、ΔL=L(σp/Ep−σf/Ef)の関係式を満たすようにポストテンション補強板を相対変位させることが望ましい。

0015

また、上記したポストテンション補強後、ポストテンション補強板と被補強桁とを接着して一体となすことにより、ポストテンション補強板全体に亘り当該ポストテンション補強板から被補強桁へのせん断力が確実に伝達し、当該補強区間において橋梁に加わる活荷重に対して両者一体となって応答するという補強効果を確保できる。

発明を実施するための最良の形態

0016

以下、本発明に係る橋梁の補強方法の種々の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る橋梁の補強方法を説明するための被補強桁の概略側面図、図2は、図1に示した被補強桁の底面図、図3は、図1のA−A断面図である。これら各図において、符号1はI形断面形状を有する被補強桁(H形鋼)、1aは被補強桁1の上部フランジ、1bは下部フランジ(被補強フランジ)、1cはウェブ(腹板)、2はポストテンション補強板、3は傾斜防止板、4A,4B,4Cは楔、6は万力を示している。

0017

本実施形態の基本工程は次の通りである。先ず、ポストテンション補強板2を被補強桁たるH形鋼1の下部フランジ1bの下面に添設し、このポストテンション補強板2の一端部2aを下部フランジ1bに固定すると同時に、その他端部2bの下面に傾斜防止板3を添設し、当該他端部2bを桁行方向に伸縮自在の状態で下部フランジ1bに取り付ける。下部フランジ1b、ポストテンション補強板2および傾斜防止板3には、ウェブ1cの両側において、これらを貫通する作用孔が形成されており、後に詳述するようにその作用孔に楔4A〜4Cを挿入し、ポストテンション補強板2と下部フランジ1bとの間に桁行方向の相互反力を生ぜしめ、下部フランジ1bに対しポストテンション補強板2を桁行方向に所定量伸長させ相対変位させる。この状態でポストテンション補強板2の他端部2bを下部フランジ1bに固定した後に楔4A〜4Cを抜去することにより、被補強桁1はポストテンション補強される。

0018

以上の工程をより具体的に以下に詳説する。

0019

前記ポストテンション補強板2は、図1および図2に示すように下部フランジ1bの底面に桁行方向に沿って添設され、その一端部2aは高力ボルト7A,7A,…とナット7B,7B,…で下部フランジ1bに接合される。また、ポストテンション補強板2の他端部2bの底面において当該ポストテンション補強板2を挟む位置に傾斜防止板3が配設されており、仮ボルト8A,8Aとナット8B,8Bを用いて下部フランジ1bに取り付けられる。尚、ポストテンション補強板2は、前記傾斜防止板3と下部フランジ1bとの間で桁行方向に伸縮自在の状態にされる必要があるため、仮ボルト8A,8Aは、ポストテンション補強板他端部2bが下垂して下部フランジ1bと離れるのを防ぐ目的で配設するものであり、その恐れが無ければ不用である。

0020

前記ポストテンション補強板2としては、被補強桁の形状や所望のポストテンション荷重に相応した断面形状や剛性を有するものが適宜選択されて使用される。具体的には、入手のし易さという点では鋼材が好ましく、中でも鉄や炭素を含む合金、例えば引張強度が約490N/mm2以上の高張力鋼、引張強度が約588N/mm2以上の調質鋼もしくは溶接性が低いために橋梁に使用することが少ない更に高い引張強度を有する鋼材、銅やクロムなどの金属元素を添架した耐候性鋼材などが好適である。高強度の炭素繊維などを樹脂を用いてシ−ト状あるいは板状に成形した材料を用いることも有効である。

0021

前記傾斜防止板3の材質は、被補強桁1のものと同一とし、その断面寸法は被補強フランジのものと同一とすることが、強度などの照査は被補強フランジの場合と同様となり簡便なため好ましいが、これに限らず挿入する楔の反力を受け得るものであればどのような材質でもよい。

0022

また、本実施形態では、ポストテンション補強板2を下部フランジ1bに固定する手段として高力ボルトとナットを用いるが、この代わりにアーク溶接接合エポキシ樹脂などの接着剤を用いて接合してもよい。高力ボルトを用いる場合には、摩擦接合するのに適した高力六角ボルトトルシア形高力ボルトなどを用いるのが一般的である。ねじの呼び寸法は、M16、M20、M22、M24のものが好適で、その等級は、高力六角ボルトの場合、F8T、F10Tのもの、トルシア形高力ボルトの場合、S10Tのものが好適である。尚、ボルト締付には、トルクレンチ電動式もしくは油圧式締付け機を用いたり、1次締付け用に電動式のインパクトレンチを用いたりすればよい。

0023

次に、下部フランジ1bと傾斜防止板3との間にパッキング板9を介在させ、万力6,6を用いて傾斜防止板3の一端部3aを下部フランジ1bに固定する。これにより、傾斜防止板3に作用する桁行方向の荷重がパッキング板9を介して下部フランジ1bに伝達される。尚、万力6は、図6の概略図に示すように、下部フランジ1bの上面を押圧する締付部6aと、傾斜防止板3の下面を支持する支持顎部6bとを備えたものである。このような万力を用いる代わりに、高力ボルトとナットを用いて両者を固定してもよく、その固定手段は問われない。

0024

次に、ウェブ1cの両側において下部フランジ1b、ポストテンション補強板2および傾斜防止板3を貫通する各作用孔に楔4A,4B,4Cを挿入する。図4は、一方の作用孔に挿入した楔4A,4B,4Cを示す拡大断面図であり、同図(a)はその側面図、同図(b)は(a)に示すB−B断面図、同図(c)は楔を作用孔に圧入したときの荷重伝達を説明するための概略図である。

0025

下部フランジ1b、ポストテンション補強板2および傾斜防止板3には、それぞれ、楔挿入用で長円形状の第1作用孔1h、第2作用孔2hおよび第3作用孔3hが貫通形成されている。第1作用孔1hと第3作用孔3hは、桁行および桁行直角方向において略同じ位置に設けられているのに対し、第2作用孔2hは、これら第1作用孔1hおよび第3作用孔3hに対して桁行方向にずれた位置に設けられている。これら作用孔1h,2h,3hの壁面と桁行方向から当接する形で2本の調整用楔4A,4Cを当該作用孔に挿入配置するが、一方の調整用楔4Cの外側面4Caは、第1作用孔1hおよび第3作用孔3hの2壁面で当接支持され、その内側面は傾斜滑り面を形成する。また、他方の調整用楔4Aの外側面4Aaは、第2作用孔2hの壁面で当接支持され、その内側面は、前記一方の調整用楔4Cの内側面とともにV字形をなす傾斜滑り面を形成する。

0026

このような調整用楔4A,4Cの間に、ハンマーなどで頭部を打撃するなどして圧入用楔4Bを圧入する。このとき、圧入用楔4Bのテーパー形状の両側面は、前記調整用楔4A,4CのV字形をなす内側面を滑り面として圧接する。またこの時、図4(c)に示すように、矢印の向きに打ち込まれた圧入用楔4Bは、その挿入量に応じて両側の調整用楔4A,4Cの内側面に荷重を作用させ、これにより、一方の調整用楔4Cを介して、下部フランジ1bに矢印の向きに圧縮荷重が作用すると同時に傾斜防止板3に矢印の向きに荷重が作用し、また他方の調整用楔4Aを介して、ポストテンション補強板3に矢印の向きに引張荷重が作用する。右側の調整用楔4Cの外側面4Caは、第1および第3作用孔1h,3hの2壁面に支持されているので、楔4Bを圧入する間、当該作用孔壁面に対するその垂直姿勢崩れることが無い。

0027

また、圧入用楔4Bによる反力は、作用孔に直接接する調整用楔4A,4Cにより分散緩和されるため滑り面における面圧が平均化し、大きな反力を円滑に導入することが可能となる。また、作用孔1h,2h,3hの壁面と接触するのは調整用楔4A,4Cであるから、当該接触面において局部変形により調整用楔4A,4Cに作用孔壁面が陥入したとしても、滑り面は異なる面であるから圧入用楔4Bの挿入を妨げる恐れは無くなり、ポストテンション荷重を正確に導入し易い。尚、圧入用楔4Bの滑りを良くするには、その側面にオイルや、二硫化モリブデン粉末などの固体潤滑材を塗布することが望ましい。

0028

また図1に示したように前記傾斜防止板3の一端部3aは、パッキング板9を介して下部フランジ1bと固定されているから、傾斜防止板3に作用した荷重は下部フランジ1bに圧縮荷重として伝達する。このようにして、ポストテンション補強板2と下部フランジ1bとの間に桁行方向の相互反力が働き、調整用楔4Bの挿入量に応じて、下部フランジ1bに対するポストテンション補強板2の桁行方向の相対変位量が制御されることとなる。

0029

このようにしてポストテンション補強板2を所定量相対変位させた後は、この状態で、ウェブ1cの両側において上記仮ボルト8A,8Aとナット8B,8Bの代わりに高力ボルトとナットを用いてポストテンション補強板2の他端部2bを下部フランジ1bに摩擦接合し、次いで、楔4A,4B,4Cを作用孔1h,2h,3hから抜去し、補強板2から傾斜防止板3を取り除き、楔を抜去した後の作用孔に高力ボルトを挿入して固定するのが望ましい。

0030

尚、前述した例では、ポストテンション補強板2の相対変位量に十分に対処するために、図4(b)に示したように作用孔の形状は長円形状にしたが、これに限らず、図5(a),(b)に示すように第1〜第3作用孔1h’,2h’,3h’の形状を真円形にしても構わない。図5(a)は、これら作用孔1h’,2h’,3h’に挿入した調整用楔4A,4Cおよび圧入用楔4Bを示す概略断面図、同図(b)は、同図(a)のC−C断面図である。

0031

また、図7(a)〜(c)に、本発明に係る楔の他の構成例を示して説明する。図7(a)〜(c)の各図は、上記第1〜第3作用孔に挿入し得る各種楔を示す概略断面図である。

0032

図7(a)に示す例は、単独の圧入用楔20を用いてこれを第1〜第3作用孔1h,2h,3hに挿入したものである。圧入用楔20の両側面20a,20bは、テーパー形状をなし、第1〜第3作用孔1h,2h,3hの壁面と平行になり難いので両者の接触面積は小さく、大きな荷重の伝達には適さない。

0033

また、図7(b)に示す例では、2本の圧入用楔21A,21Bを用いている。一方の圧入用楔21Bの外側面は第1作用孔1hおよび第3作用孔3hの壁面と略平行に当接する形に形成され、他方の圧入用楔21Aの外側面は第2作用孔2hの壁面と略平行に当接する形で形成されており、圧入用楔21A,21Bの内側面には互いに滑り面となるべく傾斜平面が形成されている。

0034

そして、図7(c)に示す例は、2本の調整用楔22A,22Bと4本の圧入用楔23A,23B,23C,23Dを用いたものである。4本の圧入用楔23A,23B,23C,23Dには、互いに当接する側面に傾斜滑り面が形成されている。このような楔の構成例では、多数の圧入用楔を用いるためポストテンション荷重を微調整することができ、上下両方向から楔を圧入できるため偏心荷重が少ないバランスの良い荷重導入が可能である。

0035

次に、上述のポストテンション補強工法におけるポストテンション補強板や被補強桁に導入する荷重について定量的に詳説する。

0036

一般に、単独の楔により導入できる最大荷重は、楔および作用孔壁の耐荷重のうち何れか小さい方の値である。作用孔壁の耐荷重は、鋼材の支圧強度により決定され、次式の通りとなる。

0037

Sp=Apσp =tpBσp (1)

0038

上式(1)中、Apは作用孔壁の楔と接する面の断面積、tpはポストテンション補強板の板厚、Bは楔の幅、σpは用いる鋼材の支圧強度である。

0039

実用のボルトの直径は22mmが多数であるから、このサイズに適した楔として当該楔の幅Bを21mmとし、かかる場合の種々の板厚および鋼材材質における作用孔壁の耐荷重Sp(単位:kN)の値を計算した例を以下の表1に示す。耐荷重とは、被補強フランジおよび傾斜防止板の作用孔壁の荷重分担割合を考慮した耐荷重の合計量と、ポストテンション補強板の作用孔壁の耐荷重とのうち小さい方の値である。通常は後者の補強板作用孔壁の耐荷重の方が小さく、本例は後者について例示した。

0040

0041

楔の強度については、本発明者(並木宏徳)により「免震構造せん断キ−型トリガ−装置の破壊特性に及ぼす曲げの影響」(日本機械学会講演論文集,No.988−1.九州支部第51期総会講演会)において報告されている。これによると、せん断荷重を受ける楔の挙動曲げ変形拘束形と曲げ変形許容形とにより異なり、本例は曲げ変形許容形に該当する。しかし、本例のように楔の供用範囲がほぼ弾性領域にあると見なしうるならば、曲げ変形許容形では同一荷重に対する変位量が曲げ変形拘束形より大とはなるが、両者の弾性限界荷重に大差はないことが示されており、楔の供用荷重Skは次式で近似することができる。

0042

Sk=Akτk (2)

0043

上式(2)中、Akは楔の断面積、τkは楔に用いる鋼材の許容せん断応力である。楔の材質としては、機械構造用炭素鋼鋼材を用いるのが一般的であり、大きな供用荷重を要求される場合は焼き入れなどの熱処理を施して用いるのが望ましい。

0044

また、楔の供用荷重は、楔の断面積を増すこと、並びに熱処理などにより強度を上げることにより容易に増加させることができるのに対し、作用孔壁の耐荷重は補強板の材質および厚さにより決まるので、導入するポストテンション荷重Npに対し必要な楔本数nは次式により決定されることが望ましい。

0045

n ≧ Np/Sp (3)

0046

また、後に詳述するように、一般の鋼桁の場合、前記ポストテンション補強板および被補強桁に導入される応力をそれぞれσpおよびσfとし、当該補強区間の長さをL、被補強桁に対するポストテンション補強板の桁行方向相対変位量をΔL、被補強桁およびポストテンション補強板の弾性係数をそれぞれEfおよびEpとするとき、

0047

ΔL=L(σp/Ep−σf/Ef) (4)

0048

に相当する桁行方向相対変位量ΔLを与えるように楔を打ち込むことが好ましい。これより楔を圧入する際の作用孔の設定ずれ量Ghを計算することができる。これは、Geを組み立て誤差などに相当する余裕量としたときに、

0049

Gh=ΔL+Ge (5)

0050

で表現できる。作用孔壁および楔の変形量もこの設定ずれ量Ghの中に含める必要がある。

0051

更に、上記の楔の挿入量と導入予定のポストテンション荷重との関係につき以下に詳説する。

0052

今、ポストテンション補強板の断面積をAp、ポストテンション補強板に導入されたポストテンション荷重をNpとするとき、導入時のポストテンション補強板の応力度σpは次式で表現される。

0053

σp=Np/Ap (Ap:ポストテンション補強板の断面積) (6)

0054

また、被補強桁の被補強フランジ最外縁に作用する応力度σfは、ポストテンション荷重Npによる圧縮応力σcと、荷重Npが被補強桁に偏心して作用するため発生する偏心曲げモ−メントMpによる曲げ応力σbcとの和、すなわち次式(7)で表現される。

0055

σf=σc+σbc=−Np/As−Mpyf/Is (7)

0056

上式(7)中、Asは被補強桁の断面積、Mpは被補強桁に作用する曲げモーメント、Isは被補強桁の断面二次モーメント、yfは被補強桁の中立軸から被補強フランジ最外縁までの距離である。

0057

また、被補強桁に作用する曲げモーメントMpは、次式(8)で表現される。

0058

Mp=Np(yf +tp/2) (8)

0059

上式(8)中、tpはポストテンション補強板の板厚である。

0060

また、被補強フランジ最外縁に対するポストテンション補強板の相対歪みεは補強板の弾性係数をEp、被補強桁の弾性係数をEfとした時、次式(9)で表現される。

0061

ε=(σp/Ep−σf /Ef) (9−1)

0062

本実施形態ではポストテンション補強板と被補強桁はともに鋼からなるので、ポストテンション補強板と被補強桁の弾性係数Eは略等しくなり、(9−1)式は次のように変形される。

0063

ε=(σp−σf )/E (9−2)

0064

このとき、必要な相対変位量は次式(10)で表現される。

0065

ΔL=Lε=L(σp−σf )/E (10)

0066

従って、楔の側面の勾配を1/mとすると、相対変位量ΔLに相当する楔の打込み量(楔挿入量)Kは、

0067

K=mΔL (11)

0068

で示される。

0069

H形鋼(H400×200×8×13)を被補強桁とし、このH形鋼を、固定点間の長さL(220cm)をもつポストテンション補強板(208×13)を用いてポストテンション補強した場合の相対変位量ΔL、楔挿入量K、および導入される応力度σpとを計算した結果を、以下の表2に示す。尚、楔挿入位置とボルトなどで固定する位置とは桁行方向に僅かにずれることが多い。相対変位量ΔLを算定する際の補強板の長さLとしては、図2に示すように固定点間距離を取ると誤差が少ないので好ましくなる。

0070

0071

尚、表2中の値は、上式(6)〜(11)を用いて、固定点間の長さL=196cm、補強板の断面積Ap= 27.04 cm2;被補強桁の断面積As= 83.37 cm2;被補強桁の断面二次モーメントIs=23,500 cm4;被補強桁の中立軸から被補強フランジ最外縁までの距離yf =20 cm;鋼の弾性係数E= 2,100,000×9.806 N/cm2;楔の勾配1/m=1/53(実測値)として計算された。

0072

通常被補強フランジに導入されるポストテンション応力は−100N/mm2以下であると考えられるから、上に掲げた表2から本計算例の桁の場合、相対変位量が2mm程度、楔挿入量を100mm程度とすることで所定のポストテンション荷重を容易に得られることが判る。実際の橋桁におけるポストテンション補強板の長さは本例より長いことが多いと予想されるが、その長さは本例の10倍程度までの場合が多いと推定される。かかる場合、長い楔を用いたり、図7(c)に示したように多数の楔を用い、且つ楔挿入孔を長円形とすることで対処可能であり、本発明に係るポストテンション補強工法が実用的な方法であることが理解される。

0073

また、上記したように本発明に係るポストテンション補強工法により被補強桁にポストテンション荷重を導入した後は、被補強桁とポストテンション補強板とをエポキシ樹脂などの接着剤を用いて接着固定し両者一体となすことが好ましい。すなわち、上記実施形態の場合、ポストテンション補強後に、ポストテンション補強板2と下部フランジ1bとの境界面に接着剤を注入する。ポストテンション補強板2と下部フランジ1bとの間の固定度不足すると考えられるときはバネクリップなどを用いて両者を圧着し固定することも出来る。また被補強桁である橋桁にキャンバがあり両者の隙間が大きい時は、鋼材などで製作したパッキングを挿入したり、モルタルなどの安価な材料を注入したりしてせん断力の伝達を計っても良いが、両者一体とする場合はポストテンション補強板と被補強フランジ間のせん断強度を確保できる材料を用いる必要がある。こうした接着固定によりポストテンション補強板から被補強フランジへせん断力が確実に伝達し、活荷重に対する補強効果を確保できる。

0074

また、上記実施形態では直線桁をポストテンション補強した例を示したが、本発明に係る橋梁の補強方法を曲線桁に適用することも可能である。図8および図9に被補強桁たる曲線箱桁30を示す。図8は、ポストテンション補強された曲線桁30の概略側断面図であり、図9は、その曲線箱桁30の底面図である。各図において、符号30aは曲線箱桁30の上部フランジ、30bはその下部フランジ、30cはウェブ(腹板)、31は下部フランジ30bの底面に添接したポストテンション補強板、32Aはボルト、32Bはナット、を示している。

0075

図示した曲線箱桁30を曲線状のポストテンション補強板31を用いて補強する手順は、上記した直線桁の補強手順と略同様である。曲線箱桁30の下部フランジ30bは、桁行方向に亘り所定の曲率をもつ曲線に沿って湾曲している。そこで、先ず曲線箱桁30の曲率を規定する曲線を桁行方向に沿った折れ線33a,33b,33cで近似し、これら折れ線の折曲げ部を補強板31を曲線箱桁30に接合する固定部とし、各固定部で区画される領域S1,S2,S3にポストテンションを導入するのが好ましい。

0076

また、被補強桁の当該補強範囲を桁行直角方向に亘り複数の補強領域に分割し、補強領域毎にポストテンション補強してもよい。この補強方法は、箱桁などの幅広な被補強桁を補強する際に効果的である。具体的には、図10(a)に例示するように、被補強フランジ40の下部表面を桁行直角方向に亘って2領域41A,41Bに分割し、各領域にそれぞれポストテンション補強板42A,42Bを添接し、上記補強方法により被補強フランジ40にポストテンションを付与する。もしくは、図10(b)に例示するように、被補強フランジ45の下部表面を、桁行直角方向に亘り複数の帯状の領域46A,46B,…,46Fに6分割し、各領域にそれぞれポストテンション補強板47A,…,47Fを添接して上記補強方法を適用することもできる。

0077

このような補強工法により、各補強領域が小さくなるため、各補強領域へ付与するポストテンション荷重の調整が容易になり、また、複数枚のポストテンション補強板を用いるから、1枚当たりの補強板の重量が小さく済むため施工が極めて簡易になる。更には、各補強領域におけるポストテンション荷重を調整することにより被補強桁に加わる偏心荷重を簡易に低減させることができる。

0078

次に、上記した本発明に係る橋梁の補強方法の実験例について詳説する。

0079

実験方法図11に示すように被補強桁として橋桁の主桁1を用意した。図11(a)は、図1と同様にしてポストテンション補強板2で補強した主桁1の側面図、同図(b)は、主桁1の中央断面図(D−D断面図)である。図11中、図1図4に示した符号と同じ符号を示す部材は、略同構成を有するものとして詳細な説明を省略する。本実験で使用した主桁1は、全長3mのH形鋼(H400×200×8×13)であり、その両端部下面を単純支持されている。尚、上記表1であげた計算例の条件は本実験例のものと同じである。

0080

ポストテンション補強板2の材質はJIS規格SM570で、長さ2.2mの帯板(幅208mm×厚さ13mm)を用い、その桁行方向一端部を4本のボルト7A,7A,…とナット7B,7B,…とで固定する。また、図4に示したようにその他端部の下面に沿って傾斜防止板3を添設し、ウェブ1cの両側において当該他端部と傾斜防止板3とを楔4A,4B,4Cで下部フランジ1bに取り付た。

0081

実験は、ウェブ1bの両側において楔4B,4Bを打ち込み、その打ち込み量(楔挿入量)とポストテンション補強板2および被補強フランジ1bに作用する応力とを測定した。表1より、単独の作用孔壁の耐荷重は70.9kNであるので、導入予定荷重をその2倍の量よりもやや少ない110kNとした。

0082

また、ポストテンション補強板2および被補強フランジ1bの応力は電気抵抗線歪みゲージ50A,50B、51A、51Bを貼り付けて測定された。これら歪みゲージの自己温度補償は11×10-6/℃であった。また測定位置は桁中央点付近(D−D断面付近)とし、ポストテンション補強板2の応力はその下部フランジ端からウェブ側に40mm入った2個所平均値で代表し、被補強フランジの応力はフランジ内側同位置2箇所の平均値で代表した。

0083

(実験結果)本実験では、ウェブ1cの両側においてポストテンション補強板2に貼った歪みゲ−ジによる応力を計測しながら、これら歪みゲ−ジ51A,51Bの計測値がほぼ等しくなるようにウェブ1cの両側における圧入用楔4B,4Bを打ち込み、その間の計測点の歪みと楔の挿入量とを測定した。その実験結果を以下の表3に示す。

0084

0085

また、ポストテンション荷重導入完了時における補強板応力、被補強フランジ内面応力および楔挿入量について、実験値計算値とを比較して表4に示す。

0086

ここで、H形鋼の中立軸から被補強フランジの歪みゲージ張り付け位置までの距離は、y=200mm−13mm=187mmであるから、被補強フランジの歪みゲ−ジ貼付位置の内面応力σHは次式で計算される。

0087

σH=σf y/yf (12)

0088

図12は、実験開始からポストテンション導入完了までの「楔挿入量 K」とポストテンション「補強板応力σp」との対応関係を示すグラフである。尚、グラフ中のライン52は、楔挿入量が24mm以上の範囲における最小自乗法による直線である。

0089

図12のグラフによれば、実験開始時に楔と作用孔壁とは完全に密着していないので、楔打ち込みの初期においては楔挿入量の増大にポストテンション荷重の導入量追従していないが、楔挿入量が20mmを超えた付近からは、ポストテンション導入完了まで両者は略直線関係を維持している。楔と作用孔壁とが完全に密着するまでに要した楔挿入量を、図12のグラフから14mmと判断し、これを楔挿入量の零点補正値として算出した実験結果が表4記載の値であるが、零点補正してなお計算値との間に57%の差がある。この差の発生原因は、楔が中央集中荷重を受ける梁となって発生する曲げおよびせん断変形に、作用孔壁と楔の接触面不整に伴う局部的な変形に起因する変位が加わったものであると考えることが出来る。

0090

本発明者(並木宏徳)他により「免震構造のせん断キ−型トリガ−装置の破壊特性に及ぼす曲げの影響」(日本機械学会講演論文集,No.988−1.九州支部第51期総会講演会)において報告されている通り、曲げ変形許容形では同一荷重に対する変位量が曲げ変形拘束形より大となるが、弾性限界以内の領域では荷重−変位量は線形関係にあることが示されており、実験を通じてこの関係を求めることが出来る。本実験では110kNの荷重が作用した楔打ち込み完了時点で、補強板の相対変位量ΔLは、上式(11)より、(58mm−37mm)/53=0.4mm(楔側面の勾配:1/m=1/53)であったと推定できる。

0091

また、コントロ−ル値である補強板応力が計画量に達した時点でポストテンション荷重の導入は完了としているので、補強板応力における実験値と計算値は等しく、誤差は生じない。被補強フランジの内面応力における誤差も小さく、計画通りポストテンション荷重が導入されていることが示されている。

0092

この実験結果により、導入するポストテンション荷重の大きさのコントロ−ルは補強板応力を歪みゲ−ジなどにより計測することにより容易に且つ精度良く行うことができ、本工法の有効性が確認されたと考えることができる。

0093

本実験のように被補強フランジに対するポストテンション補強板の相対変位量が小さい場合、相対変位量や楔挿入量で導入するポストテンション荷重をコントロ−ルする利点は小さいが、実際の橋梁のように相対変位量が大きい場合、相対変位量を計測してポストテンション荷重をコントロ−ルすることができる。また、図12のグラフで示したように楔挿入量とポストテンション荷重とは線形関係を有するので、楔挿入量によりポストテンション荷重をコントロ−ルする方法も実用に供することが十分に可能である。

発明の効果

0094

以上の如く、請求項1記載の橋梁の補強方法によれば、被補強桁とポストテンション補強板との間に桁行方向の相互反力を生ぜしめるように両者間に単または複数の楔を圧入して、前記被補強桁に対してポストテンション補強板を所定量相対変位させ、この状態のポストテンション補強板を被補強桁に固定した後、前記楔を抜去するので、従来とは全く異なる方法により橋梁をポストテンション補強し、配管などの添架スペースを犠牲にすること無く橋梁の剛性を増して疲労強度を改善することが可能となる。更には、楔はポストテンション補強板と被補強桁とを強固につなぎつつその状態を保持するから、被補強桁に対するポストテンション補強板の相対変位量を正確に制御して、所望のポストテンション荷重を正確に被補強桁に付与することが可能となる。

0095

また、請求項2記載の橋梁の補強方法によれば、被補強桁およびポストテンション補強板にそれぞれ楔挿入用の第1および第2作用孔を形成し、これら第1および第2作用孔に楔を圧入し、該楔の一側面を第1作用孔の壁面に作用させ且つ該楔の他側面を第2作用孔の壁面に作用させて、被補強桁を桁行方向に圧縮すると同時にポストテンション補強板を桁行方向に引張るので、入力した力を増幅し、部材同士の摩擦を増大させて部材同士を強固につなぎ且つその状態を保持するという楔の特性を最大限に生かして、被補強桁とポストテンション補強板との間に桁行方向の相互反力を生ぜしめることが可能となる。

0096

また、請求項3記載の橋梁の補強方法によれば、被補強桁との間で前記ポストテンション補強板を挟持するように、前記第1および第2作用孔に連通する第3作用孔を設けた傾斜防止板を配設し、これら作用孔に楔を圧入し、該楔の一側面を第1および第3作用孔に作用させ且つ該楔の他側面を第2作用孔の壁面に作用させるので、第1および第3作用孔により楔の一側面が2壁面で支持されるので、圧入用楔を挿入する際にその姿勢が安定し、楔の傾斜が防止されることから、非常に大きなポストテンション荷重を導入でき、ポストテンション補強板の相対変位量を正確に制御することが可能となる。

0097

また、請求項4記載の橋梁の補強方法によれば、前記ポストテンション補強板の相対変位量を楔の挿入量で制御するので、楔挿入量により所望のポストテンション荷重を制御することが可能となる。

0098

また、請求項5記載の橋梁の補強方法によれば、前記楔が、ポストテンション補強板と被補強桁とに当接する複数の調整用楔と、該調整用楔間に圧入される圧入用楔とからなるので、圧入用楔はポストテンション補強板や被補強桁に直接当接せず食い込みなどの局部的変形が生じることがないことから、圧入用楔による反力を調整用楔を通して円滑に当該ポストテンション補強板と被補強桁とに伝達することが可能となる。

0099

また、請求項6記載の橋梁の補強方法によれば、ΔL=L(σp/Ep−σf/Ef)の関係式を満たすようにポストテンション補強板を相対変位させるので、ポストテンション荷重を高精度で且つ効率良く付与することが可能となる。

0100

そして、請求項7記載の橋梁の補強方法によれば、ポストテンション補強後、ポストテンション補強板と被補強桁とを接着して一体となすので、ポストテンション補強板全体に亘り当該ポストテンション補強板から被補強桁へのせん断力が確実に伝達し、当該補強区間において橋梁に加わる活荷重に対して両者一体となって応答するという補強効果を確保できる。。

図面の簡単な説明

0101

図1本発明に係る橋梁の補強方法を説明するための被補強桁の概略側面図である。
図2図1に示した被補強桁の底面図である。
図3図1に示した被補強桁のA−A断面図である。
図4長円形の作用孔に挿入した楔を示す拡大断面図であり、(a)はその側面図、(b)は(a)のB−B断面図、(c)は楔を作用孔に圧入したときの荷重伝達の概略説明図である。
図5真円形の作用孔に挿入した楔を示す拡大断面図であり、(a)はその側面図、(b)は(a)のC−C断面図である。
図6万力で固定された傾斜防止板を示す概略断面図である。
図7本発明に係る楔の他の実施形態を示す概略断面図である。
図8ポストテンション補強された曲線箱桁の概略側断面図である。
図9図8に示す曲線箱桁の底面図である。
図10(a)は、被補強フランジの下部表面を2領域に分割し、各々の領域をポストテンション補強した状態を示す概略図であり、(b)は、被補強フランジの下部表面を6領域に分割し、各々の領域をポストテンション補強した状態を示す概略図である。
図11(a)は、ポストテンション補強板で補強された被補強桁を示す概略側面図であり、(b)は、(a)のD−D断面図である。
図12楔挿入量とポストテンション補強板応力との対応関係を示すグラフである。
図13荷重により弓なりに変形した橋桁を示す概略側面図である。
図14従来のエクスタ−ナルポストテンション工法によりポストテンション補強された橋桁を示す概略側面図である。

--

0102

1 被補強桁(H形鋼)
1a上部フランジ
1b下部フランジ(被補強フランジ)
1cウェブ(腹板)
1h,1h’ 第1作用孔
2ポストテンション補強板
2a ポストテンション補強板一端部
2b ポストテンション補強板他端部
2h,2h’ 第2作用孔
3傾斜防止板
3a 傾斜防止板一端部
3h,3h’ 第3作用孔
4A,4C調整用楔
4B圧入用楔
6万力
6a締付顎部
6b 支持顎部
7A高力ボルト
7Bナット
8A仮ボルト
8B ナット
9パッキング板
20 圧入用楔
20a,20b 圧入用楔の側面
21A,21B 圧入用楔
22A,22B 調整用楔
23A〜23D 圧入用楔
30曲線箱桁
30a 上部フランジ
30b 下部フランジ
30c ウェブ
31 ポストテンション補強板
32Aボルト
32B ナット
33a,33b,33c折れ線
40 被補強フランジ
41A,41B帯状領域
42A,42B ポストテンション補強板
43 ボルト
45 被補強フランジ
46A〜46F 帯状領域
47A〜47F ポストテンション補強板
48 ボルト
50A,50B、51A、51B歪みゲージ
52最小自乗法によるライン
60橋桁
60a 上部フランジ
60b 下部フランジ
60c ウェブ(腹板)
61圧縮応力
62引張応力
70 橋桁
70a 上部フランジ
70b 下部フランジ
70c ウェブ(腹板)
71,72定着装置
73,74取付具
75 外ケーブル

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