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課題

解決手段

下記の式(I)で示されるN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン及びその製造方法、並びに前記物質を有効成分として含有するアシル化2-アミノ-γ-ブチロラクトン結合タンパク質阻害剤

化1

概要

背景

グラム陰性細菌においては、オートインデューサーと呼ばれる物質対数増殖期後期から急激に産生され、これがタンパク質との複合体を形成して、遺伝子の転写が開始されるという機構広範囲に存在する。これまでに知られているオートインデューサーの化学構造としてはN-アシル-2-アミノ-γ-ブチロラクトンがほとんどを占める。例えば、人工透析の際、カテーテル内に発生し、患者に対して重篤感染症を引き起こすシュードモナスアエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)はN-(3-オキソドデカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンを産生することが知られている。この物質はN-(3-オキソドデカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン結合タンパク質(LasR)と結合して病原性タンパク質産生遺伝子(LasB)の転写を開始することが知られている。また、海洋発光細菌であるビブリオハーベイ(Vibrio harveyi)はアシル化2-アミノ-γ-ブチロラクトン誘導体としてN-(3-ヒドロキシブチリル) 2-アミノ-γ-ブチロラクトンを産生することが知られている。当該物質はホモセリンラクトン結合タンパク質と結合して、発光の遺伝子の転写を開始させている。

既に、ジアステレオマー混合物としてのN-(3-ヒドロキシヘプタノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンが化学合成され、海洋細菌ビブリオ・ハーベイの発光を抑制する効果が示されている(バイオケミカルジャーナル(Biochemical Journal)誌1995年312巻pp.439-444)。すなわち、N-(3-ヒドロキシヘプタノイル) -2-アミノ-γ-ブチロラクトンがN-((3R)-3-ヒドロキシブチリル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン結合タンパク質に対するアンタゴニストであることが示されている。また、別の細菌ゼノラブドゥス・ネマトフィルス(Xenorhabdus nematophilus)もN-(3-ヒドロキシブチリル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンの存在下、毒素を産生することが知られている(ジャーナル・オブバクテリオロジー (Journalof Baceteriology)誌 1997年179巻pp.5288-5291)。 したがって、N-(3-ヒドロキシヘプタノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンは当該菌の毒素産生抑制の効果が期待できる。

また、オートインデューサー結合タンパク質に対するアンタゴニストの研究については植物病原菌アグロバクテリウム・テュメフェイシェンス(Agrobacterium tumefaciens) (ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(Journal of Bacteriology)誌1998年180巻pp.5398-5405)、界面活性剤生菌セラチア・リケフェイシェンス(Serratia liquefaciens) (マイクロバイオロジー(Microbiology)誌 1999年145巻pp.283-291)、発光細菌ビブリオ・フィシェリ(Vibrio fischeri) (ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(Journal of Bacteriology)誌1996年178巻pp.2897-2901)及び上記のビブリオ・ハーベアイについて行われているのみで、シュードモナス・アエルギノーサのような人体に直接影響を及ぼす病原性因子直接制御しているオートーインデューサー結合タンパク質に対するアンタゴニストの研究についても報告があるが(ジャーナル・オブ・バクテリオロジー誌1996年178巻pp.5995-6000)、炭素鎖が4〜14のN-(3-オキソアルカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン、炭素鎖が4〜15のN-アルカノイル-2-アミノ-γ-ブチロラクトン、及びジアステレオマー混合物のN-(3-ヒドロキシドデカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンについて検討されているのみで、他の炭素鎖を有するN-(3-ヒドロキシアルカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンやその光学的に純粋な異性体の作用については未解明のままであった。

概要

光学的に純粋なN-(3-ヒドロキシヘプタノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンを提供する。

下記の式(I)で示されるN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン及びその製造方法、並びに前記物質を有効成分として含有するアシル化2-アミノ-γ-ブチロラクトン結合タンパク質阻害剤

目的

本発明は、このようにオートインデューサーの阻害物質などとして有用性の高い光学的に純粋なN-(3-ヒドロキシヘプタノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンを提供することを目的とするものである。

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

下記の式(I)で示されるN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン

請求項

ID=000003HE=025 WI=054 LX=0330 LY=0550

請求項2

スフィンゴモナス属に属し、下記の式(I)で示されるN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン産生能を有する微生物を培養し、培養液から前記化合物採取することを特徴とするN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンの製造方法。

請求項

ID=000004HE=025 WI=054 LX=0330 LY=1150

請求項3

スフィンゴモナス属に属する微生物が、スフィンゴモナス sp. AJ1株又はその変異株であることを特徴とする請求項2記載のN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンの製造方法。

請求項4

3-オキソヘプタン酸エステル不斉還元して光学活性な(R)-3-ヒドロキシヘプタン酸エステルとし、これを加水分解して得られる光学活性(R)-3-ヒドロキシヘプタン酸を光学活性な(S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンと脱水縮合して製することを特徴とするN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンの製造方法。

請求項5

下記の式(I)で示されるN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンを有効成分として含有するアシル化2-アミノ-γ-ブチロラクトン結合タンパク質阻害剤

請求項

ID=000005HE=025 WI=054 LX=0330 LY=2250

技術分野

0001

本発明は、バクテリア情報伝達物質として知られるアシル化2-アミノ-γ-ブチロラクトン結合タンパク質に対する新規阻害物質、及びその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

グラム陰性細菌においては、オートインデューサーと呼ばれる物質対数増殖期後期から急激に産生され、これがタンパク質との複合体を形成して、遺伝子の転写が開始されるという機構広範囲に存在する。これまでに知られているオートインデューサーの化学構造としてはN-アシル-2-アミノ-γ-ブチロラクトンがほとんどを占める。例えば、人工透析の際、カテーテル内に発生し、患者に対して重篤感染症を引き起こすシュードモナスアエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)はN-(3-オキソドデカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンを産生することが知られている。この物質はN-(3-オキソドデカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン結合タンパク質(LasR)と結合して病原性タンパク質産生遺伝子(LasB)の転写を開始することが知られている。また、海洋発光細菌であるビブリオハーベイ(Vibrio harveyi)はアシル化2-アミノ-γ-ブチロラクトン誘導体としてN-(3-ヒドロキシブチリル) 2-アミノ-γ-ブチロラクトンを産生することが知られている。当該物質はホモセリンラクトン結合タンパク質と結合して、発光の遺伝子の転写を開始させている。

0003

既に、ジアステレオマー混合物としてのN-(3-ヒドロキシヘプタノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンが化学合成され、海洋細菌ビブリオ・ハーベイの発光を抑制する効果が示されている(バイオケミカルジャーナル(Biochemical Journal)誌1995年312巻pp.439-444)。すなわち、N-(3-ヒドロキシヘプタノイル) -2-アミノ-γ-ブチロラクトンがN-((3R)-3-ヒドロキシブチリル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン結合タンパク質に対するアンタゴニストであることが示されている。また、別の細菌ゼノラブドゥス・ネマトフィルス(Xenorhabdus nematophilus)もN-(3-ヒドロキシブチリル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンの存在下、毒素を産生することが知られている(ジャーナル・オブバクテリオロジー (Journalof Baceteriology)誌 1997年179巻pp.5288-5291)。 したがって、N-(3-ヒドロキシヘプタノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンは当該菌の毒素産生抑制の効果が期待できる。

0004

また、オートインデューサー結合タンパク質に対するアンタゴニストの研究については植物病原菌アグロバクテリウム・テュメフェイシェンス(Agrobacterium tumefaciens) (ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(Journal of Bacteriology)誌1998年180巻pp.5398-5405)、界面活性剤生菌セラチア・リケフェイシェンス(Serratia liquefaciens) (マイクロバイオロジー(Microbiology)誌 1999年145巻pp.283-291)、発光細菌ビブリオ・フィシェリ(Vibrio fischeri) (ジャーナル・オブ・バクテリオロジー(Journal of Bacteriology)誌1996年178巻pp.2897-2901)及び上記のビブリオ・ハーベアイについて行われているのみで、シュードモナス・アエルギノーサのような人体に直接影響を及ぼす病原性因子直接制御しているオートーインデューサー結合タンパク質に対するアンタゴニストの研究についても報告があるが(ジャーナル・オブ・バクテリオロジー誌1996年178巻pp.5995-6000)、炭素鎖が4〜14のN-(3-オキソアルカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン、炭素鎖が4〜15のN-アルカノイル-2-アミノ-γ-ブチロラクトン、及びジアステレオマー混合物のN-(3-ヒドロキシドデカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンについて検討されているのみで、他の炭素鎖を有するN-(3-ヒドロキシアルカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンやその光学的に純粋な異性体の作用については未解明のままであった。

発明が解決しようとする課題

0005

このように、これまでに用いられたN-(3-ヒドロキシヘプタノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンはジアステレオマー及びエナンチオマーの4種の混合物であり、アンタゴニスト活性を測定するには不十分であり、光学的に純粋なN-(3-ヒドロキシヘプタノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンの供給が望まれていた。

0006

本発明は、このようにオートインデューサーの阻害物質などとして有用性の高い光学的に純粋なN-(3-ヒドロキシヘプタノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンを提供することを目的とするものである。

課題を解決するための手段

0007

発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、スフィンゴモナス(Sphingomonas)属の微生物培養液中に光学的に純粋なN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンが含まれていること、また、3-ケトヘプタン酸誘導体の不斉水素化反応により当該化合物のアシル側鎖部分を光学的に純粋に合成し、光学的に純粋な2-アミノ-γ-ブチロラクトンと縮合させることにより、当該化合物が容易に得られること、更に当該化合物が、アシル化2-アミノ-γ-ブチロラクトン結合タンパク質阻害剤であることを見い出し、本発明を完成するに至った。

0008

即ち、本発明は、式(I)で示されるN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンである。また、本発明は、スフィンゴモナス属に属し、式(I)で示されるN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン産生能を有する微生物を培養し、培養液から前記化合物を採取することを特徴とするN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンの製造方法である。

0009

さらに、本発明は、式(I)で示されるN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンを有効成分として含有するアシル化-2-アミノ-γ-ブチロラクトン結合タンパク質阻害剤である。

発明を実施するための最良の形態

0010

以下、本発明を詳細に説明する。本発明の新規化合物、即ち、N-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン(以下、「本物質」という)は、下記の式(I)で表される。

0011

0012

また、本物質は、以下の性状を有する。
外観:無色非晶質
比旋光度:〔α〕D−32°(c 2.3,メタノール
HPLCでの保持時間:36分(カラムCosmosil 5C18-ARII;カラム径4.6mm;カラム長150 mm;流速0.5 mL/min,;20%-メタノール)
MR(500MHz,CDCl3)δ6.44(1H,br),4.55(1H,m), 4.30(1H,ddd,J=9,9,1Hz), 4.23(1H,m),4.01(1H,m),2.97(1H,br),2.81(1H,m),2.45(1H,dd,J=15,2Hz),2.32(1H,dd,J=15,9Hz), 2.16(1H,m), 1.56-1.28(4H,m), 0.89(3H,t,J=7Hz)
本物質は、微生物を利用して製造することもでき、また、合成法によっても製造することができる。以下、微生物法及び合成法についてそれぞれ説明する。

0013

(A)微生物法
本物質は、微生物の培養液から製造することができる。微生物としては、スフィンゴモナス属に属し、本物質を産生する能力を有するものであれば特に限定されず、例えば、スフィンゴモナスsp.AJ1株又はその変異株を使用することができる。ここで、スフィンゴモナスsp.AJ1株の変異株とは、スフィンゴモナスsp.AJ1株に由来する菌株であって、本物質産生能を有する点では前記菌株と同様であるが、他の一以上の性質において前記菌株とは異なる菌株をいう。

0014

スフィンゴモナスsp.AJ1株は、以下のような菌学的性質を有する。
(1)形態学的性
a.全長1.2〜2.0μm、全幅0.4〜0.8μmの桿菌
b.長さ約3.0〜5.0μmの1本の鞭毛を持ち、それは極毛である。
(2)生理学的性状
a.グラム染色グラム陰性である。
b.糖発酵発酵しない。
c.菌体色素黄橙色の色素を産生する。
d.好塩性0.5〜3.0%のNaCl濃度で生育する。
e.ゼラチン液化能 有さない。
f.菌体外DNA分解酵素の産生 産生する。
g.G+Cモル% 66%
h.至適生育温度25℃
i.至適生育pH 8
j.至適生育NaCl濃度 2%
k.呼吸鎖キノンユビキノン10
l.スフィンゴ糖脂質産生 産生する。

0015

以上の菌学的性質から、この菌株の分類学上の位置をマイクロバイオロジカルイムノロジー(Microbiological Immunology)誌1990年34巻99頁の記載にしたがって検索した。また、本菌株の16S rDNA配列遺伝子データバンクデータベースにしたがって検索した。その結果、この菌株はスフィンゴモナス属に属するものであることが明らかとなった。この菌株は、工業技術院生命工学工業技術研究所受託番号FERM P-13008として寄託されている(寄託日:平成4年6月17日)。

0016

本物質を培養により産生せしめる際の培地は、培養する微生物が生育し、本物質を産生する培地であれば特に限定されるものではないが、マリンブロスまたはLB培地を好ましく例示することができる。本物質を培養により産生せしめる際の培養時間は特に限定されるものではないが、好ましくは当該菌の定常期前期に達するまでの時間とする。培養温度は当該菌が生育し、本物質を産生する温度であれば特に限定されるものではないが、好ましくは20〜30℃を例示できる。より好ましくは25℃を挙げることができる。

0017

本物質を培養液から採取する方法は、溶媒抽出及び溶媒分配及び各種クロマトグラフィー及びこれらの組み合わせの如き一般的な物質精製法に準じて行えばよいが、本物質は培養上清に主として存在することから、遠心分離等の方法で菌体を除去した後、培養上清を有機溶媒にて抽出することにより採取は容易となる。有機溶媒としては酢酸エチルクロロホルムが好ましく例示される。有機溶媒にて抽出された当該物質をさらに精製するためには溶媒分配及び各種クロマトグラフィー及びこれらの組み合わせの如き一般的な物質精製法に準じて行えばよい。例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィー逆相カラムクロマトグラフィー逆相HPLCをこの順で組み合わせる精製法を好ましく挙げることができる。このようにして本発明のN−((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンを製造することができる。

0018

(B)合成法
本物質は、3-オキソヘプタン酸エステル不斉還元して光学活性な(R)-3-ヒドロキシヘプタン酸エステルとし、これを加水分解して得られる光学活性(R)-3-ヒドロキシヘプタン酸を光学活性な(S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンと脱水縮合して製造することも可能である。

0019

本発明で用いる3-オキソヘプタン酸エステルは特に限定されるものではないが、入手が容易な低級アルキルエステルを例示することができ、なかでも次段階における加水分解の容易さから、メチルエステルエチルエステルを好ましく例示できる。不斉還元の方法は、高い光学純度(例えば、98%e.e.以上)を与える方法であれば特に限定されるものではないが、簡便さの点からBINAPの如き不斉配位子ルテニウムの如き金属から調製される不斉金属触媒を用いて常圧で水素添加を行う方法が好ましく例示される。このようにして得られたキラルな3-ヒドロキシエステルは常法にしたがって加水分解し、カルボン酸とする。加水分解時の条件は特に限定されるものではなく、一般に用いられている水酸化ナトリウムナトリウムメトキシドを適当な溶媒中作用させる方法を例示できる。このようにして得られたカルボン酸は高い光学純度(例えば、99%e.e.以上)を持つ(S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンと脱水縮合させる。脱水縮合の方法は特に限定されるものではないが、一般に用いられているアミド結合生成反応が適用できる。具体的には脱水縮合剤としてジシクロヘキシルカルボジイミド、あるいは、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドまたはその塩を用いることができ、必要に応じて、N-ヒドロキシスクシンイミド、あるいは1-ヒドロキシベンゾトリアゾールなどの活性化剤を加えてもよい。溶媒はジクロロメタンジメチルホルムアミドを好ましく例示できる。反応混合物からN−((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンの採取は、通常行われる後処理方法をそのまま適用することができる。すなわち、必要に応じて水洗浄、酸、アルカリによる洗浄、乾燥、濃縮の工程を行うことで粗精製物が得られる。最終精製通常用いられている精製法が適用可能であり、具体的にはシリカゲルカラムクロマトグラフィー、分配クロマトグラフィー、HPLCを独立してまたは必要に応じて用いることができる。

0020

本物質をアシル化2-アミノ-γ-ブチロラクトン結合タンパク質に対する阻害剤として用いる際には、阻害の対象とする菌が生育する培地に本物質を添加して用いることができる。阻害の対象となる菌はアシル化2-アミノ-γ-ブチロラクトンを産生する菌で、アシル鎖炭素数が4または10以上であることが望ましい。具体的にはN-(3-オキソドデカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンを産生するシュードモナス・アエルギノーサを例示することができる。添加量としては、阻害の対象となる菌に応じて決定されるが、シュードモナス・アエルギノーサの場合は概ね0.1〜1 mMの濃度で50%の阻害効果が期待できる。

0021

以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)N-((3R)-3-ヒドロキシブチリル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンの製造法
マリンブロス培地10mLに無菌条件下でスフィンゴモナスsp. AJ1株を植菌し、30℃で24時間振盪培養を行った。培養液を1.5Lのマリンブロスに加え、30℃で67時間振盪培養を行った。遠心分離にて菌体と上清に分離し、上清をろ過後、2倍量の酢酸エチルで2回抽出した。有機層硫酸マグネシウムで乾燥・ろ過後、濃縮した。かくして得られた油状物質をシリカゲルカラムクロマトグラフィー、ODSカラムクロマトグラフィー、ODS-HPLCで順次精製し、約1mgの標記化合物を得た。

0022

(実施例2) N-((3R)-3-ヒドロキシブチリル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンの製造法
LB培地20mLに無菌条件下でスフィンゴモナスsp. AJ1株を接種し、30℃で24時間振盪培養を行った。遠心分離にて菌体と上清に分離し、上清をろ過後、2倍量の酢酸エチルで2回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥・ろ過後、濃縮した。かくして得られた油状物質をODS薄層クロマトグラフィーにて展開し(溶媒:60%−メタノール水溶液)、Rf値0.6付近をかきとり、メタノールにて溶出させた。濃縮後、約1μgの標記化合物を得た。

0023

(実施例3) N-((3R)-3-ヒドロキシブチリル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンの製造法
第一段階)(3R)-3-ヒドロキシヘプタン酸メチルの製造法
(R)-BINAP(16mg)、ルテニウム(IV)ビスシクロオクタジエニル)ビス(2-メチルアリル)(8mg)、アセトン(4mL)の混合物に0.29M臭化水素酸メタノール溶液(0.22mL)を添加し、室温で30分撹拌した。溶媒を留去した後、メタノール(4mL)及び3-オキソヘプタン酸メチル(206mg)を加え、50℃、30分間水素添加を行った。混合物をセライトでろ過し、ろ液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製して200mgの(3R)-3-ヒドロキシヘプタン酸メチルを無色液体として得た(収率96%、光学純度98%e.e.以上)。

0024

(第二段階)(3R)-3-ヒドロキシヘプタン酸の製造法
上記(3R)-3-ヒドロキシヘプタン酸メチル(124mg)、テトラヒドロフラン(1.7mL)、1M-NaOH水溶液(0.85mL)の混合物を室温で30分間撹拌した。クエン酸水溶液中性とした後、ジエチルエーテルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、減圧下濃縮後、標記化合物114mgを無色油状物質として得た(収率100%)。

0025

(第三段階) N−((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンの製造法
上記(3R)-3-ヒドロキシヘプタン酸(114mg)、(2S)-2-アミノ−γ−ブチロラクトン塩酸塩(128mg)を乾燥ジクロロメタン(3mL)に懸濁させ、トリエチルアミン(0.13mL)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(222mg)、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール1水和物(178mg)を順次加えた。室温で48時間撹拌した後、酢酸エチルで希釈し、クエン酸水溶液、炭酸水素ナトリウム飽和水溶液食塩水で順次洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過、減圧下濃縮後得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、標記化合物125mgを無色固体として得た(収率70%)。

0026

(実施例4)シュードモナス・アエルギノーサのアシル化2-アミノ−γ−ブチロラクトン結合タンパク質に対する阻害効果
シュードモナス・アエルギノーサの遺伝子の一部を以下のように改変したプラスミドpKDT17を含有するエスケチアコリ(Escherichia coli) MG4(pKDT17)株(プロシーディングス・オブ・ザ・ナシナルアカデミー・オブ・サイエンス・オブ・ザ・ユナイテッド・ステーツ・オブ・アメリカ(Proceedings of the National Academy of Science of the United States of America)誌1995年92巻pp.1490-1494に記載)を被検菌とした。

0027

(1)病原性タンパク質産生遺伝子lasBの直後にβ-ガラクトシダーゼ産生遺伝子lacZを結合している。
(2)lacプロモーターの支配下にN-(3-オキソドデカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン結合タンパク質をコードする遺伝子(lasR)が結合している。この菌はシュードモナス・アエルギノーサのオートインデューサーであるN-(3-オキソドデカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンが存在して、LasRと結合すれば、その量に応じてlacZが発現され、β-ガラクトシダーゼが産生される。そこで、このβ-ガラクトシダーゼの量を測定することによりN-(3-オキソドデカノイル)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンがLasRに結合する際の阻害効果を判定した。

0028

エスケリチア・コリMG4(pKDT17)株を0.4%グルコース、0.05%酵母抽出物、1mM硫酸マグネシウムを含有するA培地に0.1μMのN-(3-オキソドデカノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン(以下「3OC12」という)、100μMのN-((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトン(以下「3OHC7」という)のそれぞれを添加したもの、添加していないものの4群を、30℃で6時間培養した。この培養液中のβ-ガラクトシダーゼ活性ミラー(Miller)の方法(エクスペリメンツ・インモレキュラー・ジェネティックス(Experiments in Molecular Genetics)1976年pp.352-355)で測定した。その結果、
3OC12及び3OHC7:1983単位
3OC12のみ:3575単位
3OHC7のみ:123単位
3OC12及び3OHC7とも無添加:90単位
のβ-ガラクトシダーゼ活性を得た。

発明の効果

0029

本発明により、光学的に純粋なN−((3R)-3-ヒドロキシヘプタノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンが提供される。この物質はビブリオ・ハーベイ、ゼノラブドゥス・ネマトフィルスの如きN-((3R)-3-ヒドロキシブチリル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンを情報伝達物質として用いている細菌及びシュードモナス・アエルギノーサの如き、 N-((3R)-3-ヒドロキシドデカノイル)-(2S)-2-アミノ-γ-ブチロラクトンを情報伝達物質として用いている細菌の情報伝達物質結合タンパク質の強力な阻害剤として利用することができる。

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