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技術 施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マット

出願人 国土交通省国土技術政策総合研究所長旭化成株式会社太陽工業株式会社株式会社田中東洋紡株式会社東レ株式会社前田工繊株式会社三井化学産資株式会社三菱化学産資株式会社三菱樹脂株式会社ユニチカファイバー株式会社
発明者 藤田光一服部敦三浦信隆法貴貫志郎桝尾孝之杉山孝信田中雅敏倉本隆宏西田孝高砂武彦岡本敏雄南本政司前田英史福田諭吉鈴木実西村淳吉川進新谷秀人吉田宏彦小菅理宏河野正彦石田善一森口芳文迫部唯行
出願日 2000年2月24日 (20年4ヶ月経過) 出願番号 2000-047324
公開日 2001年8月31日 (18年9ヶ月経過) 公開番号 2001-234540
状態 特許登録済
技術分野 護岸 根切り,山留め,盛土,斜面の安定 護岸
主要キーワード 麻ロープ キンク状 管水路 糸状材 函体内 冷却溶媒 断面平均流速 試験強度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2001年8月31日)のものです。
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図面 (8)

課題

堤防のり面などを緑化しながら侵食を防止するシートマットであって、優れた強度、柔軟性および耐久性を有し、施工費用が嵩まず、施工した後は植物の流失の危険がなく、美観上も好ましいのり面とすることができる、施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットを提供すること。

解決手段

直径(d)が0.1〜5mmの熱可塑性樹脂製糸状材ネット状材テープ状材またはこれらの複合材で構成され、空隙率(λp)が80%以上の三次元構造多孔質のシート・マットであって、厚さが次の関係式、[20d/{1−(λp/100)}0.5]、で算出される値(mm)以下で、かつ、50mm以下である、施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットを要旨とする。

効果

上記課題が解決される。

概要

背景

河川などの堤防高水敷河岸などは、一般に、図1に示す断面構造とされている。すなわち、堤防a1の平坦な最頂上面である天端a2、この天端a2からなだらかに下方に傾斜する面からなるのり面a3、a3'、のり面a3、3'の途中に設けられた比較的狭い平坦面からなる小段a4、a4'、表のり面a3の麓に設けた比較的広い平坦部からなる高水敷a5、さらに高水敷a5の端部から下方に傾斜する河岸a6から構成される。河岸a6の高さは、河川が通常の流水量で流れている場合に、流水a7が河岸a6の端を超えないように設計されている。表のり面a3や表小段a4には、流水量が一時的に増加する非常増水時に、流水による侵食から堤防を守り堤防決壊による水害を防止できる機能を有することが求められているので、表のり面a3や表小段a4を保護するごとは極めで重要である。

従来、のり面や小段の保護には、表面にコンクリートコンクリート製ブロック石材張芝などの植生を敷き詰める方法が採用されている。しかし、コンクリート、コンクリート製ブロック、石材などを用いるときは、構築工事が大掛かりとなり、工事費用も嵩み、構築工事終了後の美観に劣るという欠点があった。これに対して張芝などの植生を敷き詰める方法は構築工事が容易で、工事費用も嵩まず、美観上も好ましいが、冠水時の流水により植生が流失し、流水による侵食から堤防を守れないという虞があった。このため、流水による侵食から堤防を守ることができ、構築工事費用も嵩まず、また美観上も好ましい堤防などの地面保護工法待ち望まれていた。

そのような地面保護工法として、堤防のり面などをシートマットによって被覆して地面を保護する方法が採用されている。この際使用されるシート・マットは、流水による地面の侵食を防止するシート・マットであって、これを地面保護の目的で施工する際、さらに新しいシート・マットに交換する目的で撤去する際に要求される構造、強度、柔軟性および耐久性などの特性を具備することが必要である。

切削または盛土してできるのり面などの地面を保護し、強化緑化する方法も従来から、例えば、特公昭45−5号公報、特公昭54−4167号公報、特開平2−47428号公報、特開平6−10324号公報、特開平10−317352号(特許第2963987号)公報など種々提案されている。

特公昭45−5号公報には、粗い空隙を有し、瀝青などで結合した繊維製板状物の空隙内に種子と土砂充填したマットを敷設し、草の生育によって土砂の崩壊を防止する技術が記載されている。しかしながら、このマットの繊維製板状物の空隙は、透かして見える程度の目の粗い構造のものであり、洪水などの場合に流水により繊維製板状物の空隙に充填した土壌の流失、および繊維製板状物が根ごと剥がされて流失する恐れがあった。

特公昭54−4167号公報には、隙間の多いマットをのり面に張設し、コンクリートなどを格子状に吹き付けた後、種子や肥料などを吹き付けることによって法面を緑化する方法である。この方法も、マットの隙間(目合)が2〜5cmと大きい構造のもので、これを堤防の保護に転用した場合には、洪水などの場合に流水により法面に吹き付けた種子や肥料などの流失、マットの隙間から土壌が流失する恐れがあった。

特開平2−47428号公報には、5〜20mm程度の透孔穿設された函体の内部に、繊維状体と土壌とを詰め、この函体をのり面に固定し、この土壌内に植物を育成してのり面を緑化保護する方法が記載されている。しかしここで提案の方法は、のり面を一般的に保護・緑化し、崩落や雨水による流失などを防止することを目的とするものであって、この函体を活用するのり面の緑化保護方法を堤防の保護に転用した場合には、函体の透孔が大きくかつ函体壁面間の間隔も大きいので、洪水などの場合に流水により函体内部の空隙部に詰めた土壌の流失、および函体が根ごと剥がされて流失する恐れがあった。

特開平6−10324号公報には、堤防の表面に敷いた繊維密度が10〜2000m/cm3 の不織布の層上に植生した植物の根を、不織布層を介して堤体土に張らせる方法が記載されている。しかしこの方法では、不織布の繊維密度が大きい構造であるために不織布の層上で植生した植物の根が、堤体土に達し難く、洪水などの場合に流水により不織布の層上で植生した植物の流失、および堤防の表面に敷いた不織布が剥がされて流失する恐れがあった。

特開平10−317352号(特許第2963987号)公報では、緑化可能な侵食防止シート・マットが提案されている。この刊行物に記載されている侵食防シート・マットは糸状材からなる多孔質構造体であり、流水による堤防のり面や河岸などの侵食と、植物の流失を防止することができる。また、この刊行物に記載のシート・マットをのり面などに施工する際には、シート・マットの端部同士を重ね合せたり、土中に巻き込む端部処理を行うとともに、固定具でのり面などに固定し、シート・マットの空隙部に土砂を充填し、客土層を形成して、植物を植生する地面保護工法も記載されている。

しかし、この侵食防止シート・マットを用いて実際に施工試験を行った結果、次のような2つの欠点があることが分かった。すなわち、1つは侵食防止シート・マットを施工する時に、侵食防止シート・マットに人力または機械力が作用すると破損する場合があり、この際に破損に至らなくても大きく変形することがあるなどのために、流水による河岸や堤防のり面などの侵食を防止する機能を著しく損なってしまうことであり、また、撤去する際に破損する場合があることである。

他の1つは、侵食防止シート・マットの空隙部への土砂充填を、効率的かつ良好に行なえない場合があることである。この侵食防止シート・マットを実際に効率的に施工するには、侵食防止シート・マットを構成する糸状材の直径、空隙率、厚さなどの構造を調節し、強度も同様に調節する必要があることが分かった。さらに、この侵食防止シート・マットを張り替える目的で撤去する際には、一定以上の強度と耐久性が必要であることが分かった。

概要

堤防のり面などを緑化しながら侵食を防止するシート・マットであって、優れた強度、柔軟性および耐久性を有し、施工費用が嵩まず、施工した後は植物の流失の危険がなく、美観上も好ましいのり面とすることができる、施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットを提供すること。

直径(d)が0.1〜5mmの熱可塑性樹脂製糸状材、ネット状材テープ状材またはこれらの複合材で構成され、空隙率(λp)が80%以上の三次元構造多孔質のシート・マットであって、厚さが次の関係式、[20d/{1−(λp/100)}0.5]、で算出される値(mm)以下で、かつ、50mm以下である、施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットを要旨とする。

上記課題が解決される。

目的

すなわち本発明の目的は、次のとおりである。
1.施工を効率化するのに適した構造を有し、優れた強度、柔軟性および耐久性などを有する、施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットを提供すること。
2.施工費用が嵩まず、美観上も好ましい、施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットを提供すること。
3.施工した後は流水による植物の流失の危険がなく、流水による河岸や堤防のり面などの侵食を防止し、施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットを提供すること。
4.張り替える目的で撤去する際にも破損し難い、緑化可能な侵食防止シート・マットを提供すること。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

直径(d)が1.2〜5mmの熱可塑性樹脂製糸状材ネット状材テープ状材またはこれらの複合材で構成され、空隙率(λp)が80%以上の三次元構造多孔質シートマットであって、厚さが次の関係式、[20d/{1−(λp/100)}0.5]、で算出される値(mm)以下で、かつ、50mm以下であることを特徴とする、施工撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マット。

請求項2

侵食防止シート・マットが、その表面に180kgf/m2の荷重圧縮した際に、その厚さの圧縮減少率が元の厚さの40%以下である、請求項1に記載の施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マット。

請求項3

侵食防止シート・マットが、引っ掛け試験の強度が15kgf以上のものであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マット。

請求項4

侵食防止シート・マットが、その長さ方向または幅方向のいずれかの方向にあっても、目付をω(kgf/m2)とするとき、次の関係式、{ω×2×(2/0.15)}、で算出される値の荷重(kgf/m)で引張った際の伸び率が10%以下である、請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マット。

請求項5

侵食防止シート・マットが、その長さ方向または幅方向のいずれの方向にあっても、50kgf/mの荷重で1分間引張った後、荷重を除去した場合の厚さが元の厚さの90%以上である、請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マット。

請求項6

侵食防止シート・マットが、引張り試験を行った際の最初の降伏点での伸び率が20%以上である、請求項1ないし請求項5のいずれか一項に記載の施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マット。

請求項7

侵食防止シート・マットが、重量が1.6kgの剣先スコップを1mの高さから落下させても破損しないものである、請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マット。

請求項8

侵食防止シート・マットが、固定具で法面に固定する際に固定具の周りで大きく変形せず、かつ、固定具から外れ難いものであることを特徴とする、請求項1ないし請求項7のいずれか−項に記載の施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マット。

技術分野

6.本発明に係る施工撤去可能で緑化可能な侵食防止シートマット堤防のり面などや小段を保護する場合には、従来のコンクリートコンクリート製ブロック石材などを使用した場合に較べて、美観上も好ましい保護面とすることができる。

背景技術

0001

本発明は、施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットに関する。さらに詳しくは、河川の堤防ののり面や河岸などの流水による侵食を防止する地面保護工として使用され、施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットに関する。

0002

河川などの堤防、高水敷、河岸などは、一般に、図1に示す断面構造とされている。すなわち、堤防a1の平坦な最頂上面である天端a2、この天端a2からなだらかに下方に傾斜する面からなるのり面a3、a3'、のり面a3、3'の途中に設けられた比較的狭い平坦面からなる小段a4、a4'、表のり面a3の麓に設けた比較的広い平坦部からなる高水敷a5、さらに高水敷a5の端部から下方に傾斜する河岸a6から構成される。河岸a6の高さは、河川が通常の流水量で流れている場合に、流水a7が河岸a6の端を超えないように設計されている。表のり面a3や表小段a4には、流水量が一時的に増加する非常増水時に、流水による侵食から堤防を守り堤防決壊による水害を防止できる機能を有することが求められているので、表のり面a3や表小段a4を保護するごとは極めで重要である。

0003

従来、のり面や小段の保護には、表面にコンクリート、コンクリート製ブロック、石材、張芝などの植生を敷き詰める方法が採用されている。しかし、コンクリート、コンクリート製ブロック、石材などを用いるときは、構築工事が大掛かりとなり、工事費用も嵩み、構築工事終了後の美観に劣るという欠点があった。これに対して張芝などの植生を敷き詰める方法は構築工事が容易で、工事費用も嵩まず、美観上も好ましいが、冠水時の流水により植生が流失し、流水による侵食から堤防を守れないという虞があった。このため、流水による侵食から堤防を守ることができ、構築工事費用も嵩まず、また美観上も好ましい堤防などの地面保護工法待ち望まれていた。

0004

そのような地面保護工法として、堤防のり面などをシート・マットによって被覆して地面を保護する方法が採用されている。この際使用されるシート・マットは、流水による地面の侵食を防止するシート・マットであって、これを地面保護の目的で施工する際、さらに新しいシート・マットに交換する目的で撤去する際に要求される構造、強度、柔軟性および耐久性などの特性を具備することが必要である。

0005

切削または盛土してできるのり面などの地面を保護し、強化緑化する方法も従来から、例えば、特公昭45−5号公報、特公昭54−4167号公報、特開平2−47428号公報、特開平6−10324号公報、特開平10−317352号(特許第2963987号)公報など種々提案されている。

0006

特公昭45−5号公報には、粗い空隙を有し、瀝青などで結合した繊維製板状物の空隙内に種子と土砂充填したマットを敷設し、草の生育によって土砂の崩壊を防止する技術が記載されている。しかしながら、このマットの繊維製板状物の空隙は、透かして見える程度の目の粗い構造のものであり、洪水などの場合に流水により繊維製板状物の空隙に充填した土壌の流失、および繊維製板状物が根ごと剥がされて流失する恐れがあった。

0007

特公昭54−4167号公報には、隙間の多いマットをのり面に張設し、コンクリートなどを格子状に吹き付けた後、種子や肥料などを吹き付けることによって法面を緑化する方法である。この方法も、マットの隙間(目合)が2〜5cmと大きい構造のもので、これを堤防の保護に転用した場合には、洪水などの場合に流水により法面に吹き付けた種子や肥料などの流失、マットの隙間から土壌が流失する恐れがあった。

0008

特開平2−47428号公報には、5〜20mm程度の透孔穿設された函体の内部に、繊維状体と土壌とを詰め、この函体をのり面に固定し、この土壌内に植物を育成してのり面を緑化保護する方法が記載されている。しかしここで提案の方法は、のり面を一般的に保護・緑化し、崩落や雨水による流失などを防止することを目的とするものであって、この函体を活用するのり面の緑化保護方法を堤防の保護に転用した場合には、函体の透孔が大きくかつ函体壁面間の間隔も大きいので、洪水などの場合に流水により函体内部の空隙部に詰めた土壌の流失、および函体が根ごと剥がされて流失する恐れがあった。

0009

特開平6−10324号公報には、堤防の表面に敷いた繊維密度が10〜2000m/cm3 の不織布の層上に植生した植物の根を、不織布層を介して堤体土に張らせる方法が記載されている。しかしこの方法では、不織布の繊維密度が大きい構造であるために不織布の層上で植生した植物の根が、堤体土に達し難く、洪水などの場合に流水により不織布の層上で植生した植物の流失、および堤防の表面に敷いた不織布が剥がされて流失する恐れがあった。

0010

特開平10−317352号(特許第2963987号)公報では、緑化可能な侵食防止シート・マットが提案されている。この刊行物に記載されている侵食防シート・マットは糸状材からなる多孔質構造体であり、流水による堤防のり面や河岸などの侵食と、植物の流失を防止することができる。また、この刊行物に記載のシート・マットをのり面などに施工する際には、シート・マットの端部同士を重ね合せたり、土中に巻き込む端部処理を行うとともに、固定具でのり面などに固定し、シート・マットの空隙部に土砂を充填し、客土層を形成して、植物を植生する地面保護工法も記載されている。

0011

しかし、この侵食防止シート・マットを用いて実際に施工試験を行った結果、次のような2つの欠点があることが分かった。すなわち、1つは侵食防止シート・マットを施工する時に、侵食防止シート・マットに人力または機械力が作用すると破損する場合があり、この際に破損に至らなくても大きく変形することがあるなどのために、流水による河岸や堤防のり面などの侵食を防止する機能を著しく損なってしまうことであり、また、撤去する際に破損する場合があることである。

発明が解決しようとする課題

0012

他の1つは、侵食防止シート・マットの空隙部への土砂充填を、効率的かつ良好に行なえない場合があることである。この侵食防止シート・マットを実際に効率的に施工するには、侵食防止シート・マットを構成する糸状材の直径、空隙率、厚さなどの構造を調節し、強度も同様に調節する必要があることが分かった。さらに、この侵食防止シート・マットを張り替える目的で撤去する際には、一定以上の強度と耐久性が必要であることが分かった。

0013

本発明者らは、特開平10−317352号(特許第2963987号)公報に開示された、侵食防止シート・マットについて、上記の2つの欠点を解消することを課題とし、植物の流失の危険がなく、施工費用も嵩まず、また美観上も好ましい堤防ののり面などを、緑化しながら侵食を防止する緑化可能な侵食防止シート・マットを提供すべく鋭意検討の結果、本発明に到達したものである。

課題を解決するための手段

0014

すなわち本発明の目的は、次のとおりである。
1.施工を効率化するのに適した構造を有し、優れた強度、柔軟性および耐久性などを有する、施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットを提供すること。
2.施工費用が嵩まず、美観上も好ましい、施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットを提供すること。
3.施工した後は流水による植物の流失の危険がなく、流水による河岸や堤防のり面などの侵食を防止し、施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットを提供すること。
4.張り替える目的で撤去する際にも破損し難い、緑化可能な侵食防止シート・マットを提供すること。

発明を実施するための最良の形態

0015

上記目的を達成するために、本発明では、直径(d)が0.1〜5mmの熱可塑性樹脂製の糸状材、ネット状材テープ状材またはこれらの複合材で構成され、空隙率(λp)が80%以上の三次元構造多孔質のシート・マットであって、厚さが次の関係式、[20d/{1−(λp/100)}0.5]、で算出される値(mm)以下で、かつ、50mm以下であることを特徴とする、施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットを提供する。

0016

以下、本発明を詳細に説明する。本発明に係る施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マット(以下、単に「侵食防止シート・マット」と略称する)は、三次元構造の多孔質なシート・マットであり、その一例として、図2部分拡大斜視図に示したような平板状の構造のものがある。図2において、blは三次元多孔質網状を呈する侵食防止シート・マットであり、b2は糸状材(線状体またはストランド同義である)、ネット状材、テープ状材またはこれらの複合材であり、b3は絡み点、b4は空隙部である。ネット状材から構成される侵食防止用の網状のシート・マットには連続した空隙部が形成されており、この空隙部が複雑な孔に見えるので三次元多孔質網状構造の侵食防止シート・マットと言うことができる。さらに、侵食防止シート・マットの構造の例として、立体編物立体織物などがある。

0017

本発明に係る侵食防止シート・マットを構成する熱可塑性樹脂製の糸状材(線状体またはストランド)、ネット状材、テープ状材は、その直径を0.1〜5mmの範囲で選ぶものとする。糸状材の直径が0.1mm未満であると、侵食防止シート・マットは曲げ強度などの強度が十分でなく、5mmを超えると強度は十分となるが柔軟性が低下するとともに、空隙率(単位体積当たりの空隙の占める割合)が小さくなり、いずれも好ましくない。上記範囲で特に好ましいのは、0.1〜2.0mmである。

0018

本発明に係る侵食防止シート・マットは、空隙率を80%以上とする。空隙率が80%未満であると、侵食防止シート・マットの空隙部分が不十分で、空隙部に土砂を充填することが困難となるばかりでなく、空隙部に土砂を充填することができても植物を植生する際に根が伸長する部分が不足し、植物の根が堤体土に達し難くなり、堤体土砂に達したあとも深部に根を張らせることが困難になり、好ましくない。空隙率は90%以上が好ましい。

0019

本発明に係る侵食防止シート・マットの厚さは、糸状材、ネット状材、テープ状材などの直径をd(mm)とし、空隙率をλp(%)とするとき、次の関係式、すなわち、[20d/{1−(λp/100)}0.5]、で算出される値(mm)以下で、かつ、50mm以下であることが必要である。厚さが、上の関係式で算出される値(mm)および50mmを超えると、空隙部への土砂の充填が困難となり、空隙部に土砂を充填できたとしても、植生した植物の根を堤体土砂に根を張らせるまでに時間がかかりすぎ、好ましくない。侵食防止シート・マットの厚さは、次の関係式、[15d/{1−(λp/100)}0.5]、で算出される値(mm)以下であって、30mm以下であるのが好ましい。

0020

本発明に係る侵食防止シート・マットは、その表面に180kgf/m2の荷重で1分間圧縮した際に、その厚さの減少率圧縮減少率)が元の厚さの40%以下のものが好ましい。侵食防止シート・マットを実際に堤防のり面などに施工する際には、シート・マットの空隙部に土砂を充填した後、その表面に土砂充填用振動加圧装置を重ねて振動を与える方法が採用される。この際の土砂充填用振動加圧装置による侵食防止シート・マットへの負荷は、180kgf/m2の荷重に相当する。侵食防止シート・マットの厚さの圧縮減少率が、元の厚さの40%を越えると侵食防止シート・マットの空隙が圧縮されて小さくなりすぎ、空隙部への土砂の充填効率が低下するので好ましくない。

0021

侵食防止シート・マットは、引っ掛け試験での強度が15kgf以上のものが好ましい。ここで「引っ掛け試験」とは、侵食防止シート・マットから切り取った幅100mm、長さ300mmの大きさの試験片につき、JIS L1043に準拠して測定した試験である。この引っ掛け試験での強度が15kgf未満であると、侵食防止シート・マットを施工する、また撤去する際、強度が不十分で破損することがあり好ましくない。

0022

さらに、本発明に係る侵食防止シート・マットは、その長さ方向または幅方向のいずれかの方向にあっても、その引張試験での伸び率が10%以下のものが好ましい。ここで「伸び率」とは、幅2mで長さが2mの大きさの侵食防止シート・マットの目付をω(kgf/m2)とするとき、荷重が次の関係式、{ω×2×(2/0.15)}、で算出される値の荷重(kgf/m)で引張った際の自重伸び率(自重伸び率)を意味する。複数の侵食防止シート・マットを実際に堤防のり面などに施工する際には、端部同士を重ね合せたあと作業者が侵食防止シート・マットに載りながら固定具で固定する。その際、端部同士の重ね合せ幅を所定の幅になるように修正する必要があるが、侵食防止シート・マットの自重伸び率が10%を超えると、修正を行なおうとしてシート・マットを引張ると、大きく伸びてしまい、そのためさらに引張る作業が必要となり、その作業を行うために侵食防止シート・マットに載った作業者が移動せざるを得ず、施工作業が繁雑になるので、好ましくない。

0023

さらにまた、本発明に係る侵食防止シート・マットは、その長さ方向または幅方向のいずれの方向であっても、50kgf/mの荷重で1分間引張った後、荷重を除去してからの厚さ(引張り厚さ復元率)が元の厚さの90%以上のものが好適である。引張り荷重を除去してからの引張り厚さ復元率が90%以上であると、作業者が侵食防止シート・マットを引張ったとしても、侵食防止シート・マットを堤防のり面などに敷設し固定具で固定するまでの間に、元の厚さに復元できるため、侵食防止機能に対して支障を及ぼさないが、引張り厚さ復元率が90%未満であると侵食防止シート・マットの厚さが薄くなってしまうものもあり、侵食防止機能が設計時よりも低下してしまうことがあるので好ましくない。

0024

侵食防止シート・マットは、また、引張り試験を行った際の最初の降伏点での伸び率が20%以上のものが好適である。ここで「引張試験」とは、侵食防止シート・マットから切り取った幅50mm、長さ300mmの試験片につき、JISL1096に準拠して、チャック間隔10cm、引張り速度100%/minで行なった試験である。ここで、「最初の降伏点での伸び率」は、強度一歪曲線に表れる最初の降伏点での伸び率を意味する。複数の侵食防止シート・マットを敷設する際には、侵食防止シート・マット端部を折り曲げて土中に巻き込むことがあるが、端部を折り曲げた際に破損が生じず、ある程度柔軟性を発揮することが必要であるが、この最初の降伏点での伸び率が20%以上であると柔軟性は良好であるが、20%未満であると柔軟性が不足して好ましくない。

0025

侵食防止シート・マットは、さらにまた、重量が1.6kgの剣先スコップを1mの高さから落下させても破損しないものが好ましい。この試験は、剣先スコップを1mの高さから落下させ、スコップの先端が当った箇所の侵食防止シート・マットの損傷の程度を目視観察する方法であり、破損しない場合は「合格」とし、破損した場合は「不合格」と判定する。侵食防止シート・マットを施工する際には、端部を重ね合せた後、作業者が侵食防止シート・マットに載りながらスハンマーなどで固定具を打設して侵食防止シート・マットを固定し、さらにスコップなどで侵食防止シート・マットの空隙部に充填するための土砂を配置するが、その際、侵食防止シート・マットを誤ってスコップやハンマーなどで叩くことがある。剣先スコップをlmの高さから落下させても破損しない「合格」のものであると、誤ってスコップやハンマーなどで侵食防止シート・マットを叩いた際に、損傷が生じ難く、侵食防止シート・マットが本来有する侵食防止機能が十分に発揮されるので好ましい。

0026

侵食防止シート・マットは、固定具で堤防のり面などに固定する際に、固定具の周りで大きく変形せず、固定具から外れ難いものが望ましい。堤防のり面などに施工する際には、侵食防止シート・マット端部同士を重ね合せ、固定具を堤防のり面などに打ち込んで固定される。固定具を打ち込む際に、侵食防止シート・マットが、固定具の周りで大きく変形したり、破損して固定具から外れたりすると、堤防のり面への固定が不十分で、侵食防止機能が発揮されなくなり、好ましくない。

0028

熱可塑性樹脂は、侵食防止シート・マットに付与する強度に応じて種類を選んだり、2種以上を混合した混合物であってもよい。例えば、オレフィン系樹脂とエチレン・プロピレン系熱可塑性エラストマーとを混合すると、オレフィン系樹脂によって強度が確保され、エラストマーによって柔軟性、弾性が確保されるので好ましい。これら熱可塑性樹脂は、一旦他の用途に使用された再生(または回収)された樹脂であってもよい。

0029

上記熱可塑性樹脂には、侵食防止シート・マットの強度などに悪影響を与えない種類および量の各種の樹脂添加剤類を配合することができる。樹脂添加剤としては、着色剤類発泡剤熱安定剤類、滑剤類、充填材類、光安定剤類、紫外線吸収剤類などが挙げられる。

0030

上記熱可塑性樹脂から侵食防止シート・マットを製造する方法は限定されるものではなく、例えば、(1) 捲縮した糸状材を不規則に絡ませて絡み点でバインダーによっで接着する方法、(2)熱可塑性樹脂製の糸状材を不規則に絡ませて絡み点で熱融着によっで固着する方法、(3)熱可塑性樹脂製の糸状材、テープ状材などを編んだ網を空隙率を高めて複数枚重ねて絡み点で固着する方法、(4)熱可塑性樹脂製の糸状材、テープ状材などを編んだ網の上に、糸状材、テープ状材などを配置して固着する方法、(5)上記(1)、(2)、(3)、(4)で得たものの表面にさらにネット状材を配置して固着する方法、などが挙げられる。

0031

以下、侵食防止シート・マットの製造例を説明する。上記(1)の一例としては、熱可塑性樹脂製の捲縮した糸状材を所定の長さに切断し、これら切断した複数本の糸状材を撚って束ね、これらをさらに撚ってこぶを形成してキンク状体とした糸状材の束をヒートセットする方法が挙げられる。すなわち、切断した糸状材を短繊維用のロープ加工機様の機械にかけて、麻ロープ状に撚りあげてからヒートセットする。次にこれを緩解することによって、捲縮(カール)した多数の糸状材が得られる。この多数の捲縮した糸状材を配列・交絡させ、これにバインダーを吹き付ける方法によって絡み点を付着させる方法である。バインダーに溶媒または分散媒が含まれている場合には、乾燥することによってこれを除去した後に熱処理することによって、侵食防止用のシート・マットを得ることができる。

0032

上記(1)の方法で延伸された糸状材を用いると、圧縮回復性の優れた侵食防止シート・マットが得られる。また、上記バインダーは、上記熱可塑性樹脂製の糸状材の材質適合する種類のものを適宜選択すればよく、例えば塩化ビニリデン系ラテックス、スチレン/ブタジエン系ラテックスアクリル系ラテックス、塩化ビニル系ラテックスポリウレタン系ラテックス、クロロプレンゴム系ラテックスニトリルゴム系ラテックスなどを挙げることがでさる。バインダーの使用量は特に制限がないが、好ましいのは糸状材に対して40〜70重量%の範囲である。

0033

上記(2)の一例としては、熱可塑性樹脂を溶融させる押出機、押出機の先端に多数の糸状材(ストランド)用のノズル複数列に配列されたダイを装着し、熱可塑性樹脂をダイから押出し、複数本のストランドを不規則に絡ませて絡み点で熱融着によって固着させ、成形ローラーによって一定の厚さとし、冷却溶媒中に配置した一対のプレスコンベアなどを備えた、図3に概略図を示した製造装置によって、製造する方法を挙げることができる。

0034

図3において、押出機c1となる原料の熱可塑性樹脂を溶融させるものであり、ダイc2は溶融させた樹脂をストランドとして吐出し、成形ローラ−c3は複数本のストランドを絡ませて任意の箇所で接着させて、任意に絡みあったストランドc5によって侵食防止用のシート・マットb1の厚さを調節し、プレスコンベアc6は任意に絡みあったストランドを冷却溶媒中に導き冷却する。

0035

押出機c1に特に制限はなく、熱可塑性樹脂を溶融可能なものであればよい。押出機c1は、単独の押出機で溶融させて一個のダイc2に導く方式、複数の押出機で複数種類の樹脂を溶融させて一個のダイc2に導く方式のいずれでもよい。ダイc2は円形、T字型ダイのいずれであってもよく、複数列配列されたノズル列を有するT字型ダイの場合は、相互に隣接するノズル列が相互に反対側に数ミリないし十数ミリ往復移動可能にされている構造のものとし、相互に隣接するノズル列を相互に反対側に往復移動させながらストランドc5を連続的に押出し可能とすると、ストランドc5を任意に絡み合せることができるので好ましい。なお、ノズルの直径は0.2〜5mmの範囲で選ぶのが好ましい。

0036

成形ローラc3は、ダイc2の先端とプレスコンベアc6との間に配置し、ダイc2のノズルから吐出されるストランドc5を成形ローラ−c3の間に滞留させて、ストランドc5が相互に付着し合う温度にある間に不規則に絡ませ、同時に侵食防止シート・マットb1の厚さを所定の厚さに調節する。成形ローラ−c3は、金属製のものでその内部が冷却媒体によって温度調節可能にされたものがよい。成形ローラーc3の表面に複数個の棒状または波型の突出部c4を設けておくと、成形ローラーc3の回転に応じて侵食防止シート・マットb1の表面に食い込ませた凹みを形成することができる。

0037

プレスコンベアc6は、成形ローラ−c3の下流に配置された図示していない冷却溶媒槽の冷却溶媒c7の中に、対にして配置されたコンベアで、成形ローラ−c3の間隔で決められた厚さの多孔質網状体b1を挟み、冷却溶媒c7の中を移送しつつ冷却する。このプレスコンベアc6は、金網または多数の穴が穿設された金属板で構成するのが好ましい。プレスコンベアc6は、成形ローラ−c3の下流に垂直に配置してもよく、斜めに傾斜させて配置してもよく、湾曲させて配置してもよい。成形ローラ−c3を湾曲させて配置する場合には、複数対を適宜の長さにして配置するのが好ましい。

0038

ダイから押出された複数本のストランドc5を不規則に絡ませるには、上に説明したように、複数列配列されたノズル列を有し、相互に隣接するノズル列が相互に反対側に数ミリから十数ミリ往復移動可能にされている構造としたT字型ダイを使用し、相互に隣接するノズル列を相互に反対側に往復移動させながらストランドc5を連続的に押出し方法が好適である。そのほか、複数列に配列されたノズルから複数本のストランドc5を押出し、一対の成形ローラ−c3の間に滞留させ、ストランドc5が相互に付着し合う温度にある間に成形ローラ−c3で押圧すればよい。絡ませる程度は、ストランドc5の吐出速度、ノズル列と成形ローラ−c3との間隔、一対の成形ローラ−c3の間隔、成形ローラ−c3間での滞留時間、などによって調節することができる。

0039

なお、侵食防止シート・マットを補強する目的で、裏面および/または厚さ方向の中央部付近補強ネット状物を配置することができる。補強ネット状物は、直径が0.2〜2mmの熱可塑性樹脂製の糸状材、テープ状材などを、網目の大きさを1〜10cmの範囲に編んだネット状材が好ましい。補強ネット状物を配置した侵食防止シート・マットを、上記(1)の方法により製造する時は、例えば、補強ネット上に多数の捲縮した糸状材を配列・交絡させ、これにバインダーを吹き付けて絡み点、および補強ネット状物を付着させ、熱処理することによって、一体化させることができる。

0040

上記(2)の方法により製造する時は、プレスコンベアc6積載して補強ネット状物を搬送させてストランドの押出し、ストランドの絡み合せ、厚さの調節操作などを行えばよい。補強ネット状物を三次元多孔質網状体の厚さ方向の中央部付近に配置する場合は、押出機を2台準備し、これら押出機に装備したダイのストランド吐出ノズルを接近させて配置し、双方のダイの間にネット状物を挿入移送可能とし、ネット状物の両側にストランドを押出し、これらストランドの絡み合せ、厚さの調節操作などを行えばよい。

0041

補強ネット状物は糸状材製造用の樹脂によって製造したものでよく、ネットは糸、延伸テープなどで隙間、穴開き率などを大きくして調整したものが好ましい。隙間、穴開き率などが小さすぎる補強ネット状物を、侵食防止シート・マットの厚さ方向の中央部付近に配置した場合には、これを堤体に敷設する際に空隙部に土砂を充填し難くなり、また、裏面に配置した場合には、植物の根が堤体土砂に達し難くなり、堤体土に達したあとも深部に根を張らせるごとが困難になり、いずれも好ましくない。

0042

以下、上記の本発明に係る侵食防止シート・マットを、堤防のり面に施工する手順を説明する。施工する方法としては、(1)施工現場の堤防のり面に侵食防止シート・マットを敷設し、侵食防止シート・マットの空隙部内に土砂を充填し、場合により客土を載せてから張り付けまたは播種して植生し、植物の根を侵食防止シート・マット層、およびその下の堤体土内に張らせる方法、(2)施工する堤防のり面とは別の場所において、他の地面に(1)と同様に敷設しで植物を植生した後、植生した植物とともに施工現場の堤防のり面に敷設し、植生した植物の根を侵食防止シート・マット層、およびその下の堤体土に張らせる方法、の2法が挙げられる。

0043

堤防の表のり面a3や表小段a4に、本発明に係る侵食防止シート・マットを施工した場合は、堤防が冠水した際に、流水による堤体土の侵食を防止するとともに植物の流失も防止できる。他方、裏のり面a3'や裏小段a4'や天端a2に施工した場合も同様に、万が一河川水が堤防を越流する場合にも、堤防が侵食され崩壊するのを防止できる。つまり、堤防表面全体に本発明に係る侵食防止シート・マットを施工し植生すれば、堤防が流水により侵食されるのを防止できる。本発明に係る侵食防止シート・マットは、堤防における表のり面a3や表小段a4と同様の状況にある河川、人工水路運河湖沼などの河岸の法面や小段や高水敷にも同様に使用することができる。

0044

以下、本発明に係る侵食防止シート・マットを、図面、製造例および植生の侵食試験に基づいて詳細に説明するが、本発明はその趣旨を超えない限り、以下の記載例に限定されるものではない。

0045

図4は、侵食防止シート・マットb1を堤体土a11の上に敷設し、侵食防止シート・マットb1の上に客土b5を載せ、植物b6を育成してその根b7を堤体土a11の中に張り巡らせた状態を模式的に示す部分拡大縦断面図である。図5は、河川用堤防の天端a2、のり面a3および小段a4を侵食防止シート・マットb1によって保護した状態を模式的に示す縦断面図である。すなわち、堤防a1の下方部分から順に侵食防止シート・マットb11、b12、b13およびb14を敷設するが、各侵食防止シート・マットを堤防土a11に載せる前に、堤体土表面に肥料を散布したり散水しておくのが好ましい。

0046

侵食防止シート・マットb11を施工した後、侵食防止シート・マットb11の上端部に侵食防止シート・マットb12の下端部を重ね合わせ、場合により端部同士を突合わせ、必要により木製または金属製の鋲などの適当な固定具b15で両者を固定し、続いてその上に侵食防止シート・マットb13を同様に施工する。さらに、侵食防止シート・マットの上に必要により客土(図示せず)を載せ、播種または張り付けを行い、植物を育成して根を堤体土a11内に張らせれば、堤防は緑化されるとともに保護される。

0047

[製造例1]
<侵食防止シート・マット−Iの製造>塩化ビニリデン系共重合体からなる捲縮糸(3300d)10kgを、長さ15cmに切断し、仮撚してキンク状態にした繊維束を、110℃で20分間ヒートセットし、これを緩解してカールした繊維を得た。このカールした繊維を、所定の空隙率にセットされたシート成形機によって配列・交絡させた後、バインダーとして塩化ビニリデン系共重合体ラテックスを、スプレー法によって10kg塗布し、侵食防止シート・マットを得た。

0048

<侵食防止シート・マット−Iの物性>得られた侵食防止シート・マット−Iは、図2に示した部分拡大斜視図として示したような外観を呈し、繊維直径が0.52mm、空隙率が97%、厚さが30mm、圧縮減少率は元の厚さの5%、引っ掛け試験強度が19kgf、自重伸び率が2%、引張り厚さ復元率が95%、最初の降伏点での伸び率が30%、剣先スコップ落下試験に合格であり、固定具によってのり面に固定する際の変形は小さく、固定具から外れることがなかった。

0049

[製造例2]
<侵食防止シート・マット−IIの製造>図3に示した装置を使用して、次のようにして侵食防止シート・マット(II)を製造した。L/Dが26で40m/mの単軸押出機を使用し、その先端部に、ノズルの直径が1.1mm、一列のノズル数が50で、ノズル列が5列のT字型ダイを装着した。使用した樹脂は、ポリプロピレン(JIS K7210に準拠して測定したメルトインデックスが5のもの)と、エチレン・プロピレン系熱可塑性エラストマー(ブレンド型で部分架橋したもの)とを、重量比で1:1に割合で混合した混合物である。押出機のシリンダー温度を230℃としてストランドを押出し、このストランドを、間隔を25mmとし表面温度を約50℃に調節した一対の成形ローラーc3の上に若干滞留させ、成形ローラーc3の上に滞留して任意に絡み合わせて、成形ローラーc3によって押圧して任意の絡み点で接着させた。任意の絡み点で接着させた侵食防止シート・マット−IIを、30℃とした水を入れた冷却溶媒槽に導き、この冷却溶媒槽の中に配置した金網製にプレスコンベアc6の間に挟んで移送しつつ冷却した。

0050

<侵食防止シート・マット−II>得られた侵食防止シート・マット−IIは、図2に示した部分拡大斜視図として示したような外観を呈し、ストランドの直径が0.5mm、空隙率93%、厚さが29mm、引っ掛け試験強度が18kgf、圧縮減少率は元の厚さの4%、自重伸び率が1.5%、引張り厚さ復元率が97%、最初の降伏点での伸び率が25%、剣先スコップ落下試験に合格であり、固定具によってのり面に固定する際の変形は小さく、固定具から外れることがなかった。

0051

<植生の侵食試験>長さが3m、幅が2m、深さが60cmの砂質土壌d1の表面に、上記の侵食防止シート・マット−I、侵食防止シート・マット−IIをそれぞれ別の試験区に隙間なく敷設し、これらの侵食防止シート・マットの空隙部に砂質土壌を充填し、さらに約1cmの高さで客土d2を載せ、野芝d3をべた張りにして約15カ月養生した。養生後の野芝d3の根は、侵食防止シート・マットb1の空隙部に充填した砂質土壌d1に伸長するとともに、侵食防止シート・マットb1の下の土壌にまで達していた{図6(A)参照}。

0052

続いて、図6(B)に示したように、長さが3m、幅が30cm、深さが30cmの製枠d4を、野芝d3を繁茂させた地表面に押し込み、その周囲を掘削して綱製枠d4を横に倒し、綱製枠d4に底板d5を取付け固定して、図7に示すような、侵食試験用の供試ブロックd6を得た。この供試ブロックd6を、図示しない管水路実験装置における水路d7(幅30cm、高さ50cm、長さ5m、図7参照)に設置した。ついで、断面平均流速1.0、2.0、3.0、3.5m/s、水深約50cmの条件で2〜4時間矢印の方向から通水し、地表面の侵食状況および野芝d3の流失状況を観察する侵食試験を行った。試験結果によれば、断面平均流速が速く、通水時間が長い試験条件下では、部分的に侵食が進行して侵食防止シート・マットb1が洗い出されるが、野芝d3の流失はほとんどなく、双方の侵食防止シート・マットとも、実用的には全く問題ないという結果であった。

0053

[比較例]
<植生の侵食試験>上記の侵食試験において、侵食防止シート・マットb1を使用しなかった他は、同例に記載したのと同様の手順で侵食実験を行った。実験結果によれば、広範囲にわたって野芝の根の層のめくれ上がりが観察され、実用性がないという結果であった。

0054

本発明は、以上詳細に説明したとおりであり、次の様な特別に有利な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
1.本発明に係る施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットは、空隙率が大きく軽量であり、空隙部に土砂を充填しやすくなるように構造を調節しているので、植生する植物の根も空隙部に充填した土砂をとおって堤防の堤体土に達し易く、堤防のり面などを緑化するのに好適に使用できる。
2.本発明に係る施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットは、空隙部が土砂によって充填されるので、流水による堤体土の侵食を防止できるとともに、植物の流失も防止できるので、堤防のり面などを保護することができる。
3.本発明に係る施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットは、空隙部に充填した土砂が植生する植物の根によって保持され、堤防の堤体土に達して堤体に張り巡らされるので、流水にさらされても容易に剥がれることがなく、流失の危険もない。

図面の簡単な説明

0055

4.本発明に係る施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットは、圧縮減少率、伸び率、引張り復元率、最初の降伏点の伸び率、剣先スコップの落下試験、引っ掛け試験強度などを特定の範囲に調節したときは、変形した際にも容易に復元し易く、施工の際や撤去の際に破損し難く、耐久性にすぐれている。
5.本発明に係る施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットによって堤防などの法面や小段を保護する場合には、従来のコンクリート、コンクリート製ブロック、石材などによって堤防などの法面や小段を保護する方法に較べて、構築工事が大掛かりとならず、工事費用も嵩まない。

--

0056

図1堤防の代表的な構造を模式的に示す縦断面図である。
図2本発明に係る施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットの一例の斜視図である。
図3図2に示した施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットを製造する装置の一例の概略図である。
図4本発明に係る施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットを敷設した状態を模式的に示す部分拡大縦断面図である。
図5河川用堤防の天端、のり面および小段を施工・撤去可能で緑化可能な侵食防止シート・マットによって保護した状態を模式的に示す縦断面図である。
図6実施例において侵食試験用の供試ブロックを得る手順を示す説明図である。
図7実施例において侵食試験の実施状況を示す斜視図である。

0057

a1:堤防
a2:天端
a3、a3´:のり面
a4、a4´:小段
a5:高水敷
a6:河岸
a11:堤体土
b1、b11、b12、b13、b14:侵食防止シート・マット
b2:ストランド
b3:絡み点
b4:空隙部
b5:客土
b6:植物
b7:根
b15:固定具
c1:押出機
c2:ダイ
c3:成形ローラー
c4:突出部
c5:ストランド
c6:プレスコンベア
c7:冷却溶媒
d1:砂質土壌
d2:客土
d3:野芝
d4:綱製枠
d5:底板
d6:供試ブロック
d7:水路

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