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技術 高分子化合物、その製造方法、成形体及び古紙の再資源化方法

出願人 キヤノン株式会社
発明者 菊池良彦
出願日 2000年2月18日 (21年6ヶ月経過) 出願番号 2000-040893
公開日 2001年8月21日 (20年0ヶ月経過) 公開番号 2001-226406
状態 特許登録済
技術分野 微生物による化合物の製造 多糖類及びその誘導体 固体廃棄物の処理 高分子組成物 ポリエステル、ポリカーボネート 生分解性ポリマー
主要キーワード 廃資源 再生紙化 シート状物品 袋状部材 セルロース長繊維 ボトル状容器 部分アセチル メイセラーゼ
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図面 (2)

課題

古紙のような植物系廃資源原料として活用し、成形性、柔軟性に優れた環境負荷の低い高分子化合物およびその成形体を提供する。

解決手段

グルコース脂肪族ジカルボン酸とのエステルを主鎖に含む高分子化合物であって、該グルコースはその第1位及び第6位において該脂肪族ジカルボン酸とエステル結合を形成し、また該グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基のうちの少なくとも1つはアセチル化されている高分子化合物およびその成形体。

概要

背景

近年、合成プラスチック廃棄物の量は増大し、その処理が大きな社会問題となっている。廃棄プラスチック焼却においては、有害ガスを発生する場合や、大きな燃焼熱により焼却炉の損傷を招くこともある。また、土壌中などに廃棄、放置された場合には自然環境に悪影響を及ぼす恐れがある。合成プラスチック製消耗品についても、装置の普及に伴って使用後における消耗品の廃棄処理の問題が環境問題等の関連から重要となってきている。

一方、廃棄物の問題としては、余剰古紙の増大も挙げられる。近年、複写機プリンタ飛躍的な普及に伴い、紙ゴミはますます増大する傾向にある。旧来より、新聞紙段ボール紙などは、再生紙として再利用されるシステム定着しているが、古紙全体としては需要限界があり、問題となっている。従って、再生紙以外の形態に古紙を活用することは極めて有意義であり、特に、プラスチック材料へ変換することは、利用可能範囲を拡大する望ましい形態である。

また、古紙以外の天然高分子由来廃資源としては、製糖醸造における圧搾滓や精製後に残る廃糖蜜がある。廃糖蜜は難消化性の糖を含むなどの理由で食用には必ずしも適さない。

概要

古紙のような植物系の廃資源を原料として活用し、成形性、柔軟性に優れた環境負荷の低い高分子化合物およびその成形体を提供する。

グルコース脂肪族ジカルボン酸とのエステルを主鎖に含む高分子化合物であって、該グルコースはその第1位及び第6位において該脂肪族ジカルボン酸とエステル結合を形成し、また該グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基のうちの少なくとも1つはアセチル化されている高分子化合物およびその成形体。

目的

本発明は、上記の様な技術的背景に鑑みなされたものであり、その目的は、古紙のような植物系の廃資源を原料として活用し、成形性、柔軟性に優れた環境負荷の低い高分子化合物、その製法およびその物性を活かした成形体等のプラスチック製品を提供すること、更には古紙の再資源化方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

グルコース脂肪族ジカルボン酸とのエステルを主鎖に含む高分子化合物であって、該グルコースはその第1位及び第6位において該脂肪族ジカルボン酸とエステル結合を形成し、また該グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基のうちの少なくとも1つはアセチル化されていることを特徴とする高分子化合物。

請求項2

該グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基の1つまたは2つがアセチル化されている請求項1に記載の高分子化合物。

請求項3

該脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸またはセバシン酸である請求項1に記載の高分子化合物。

請求項4

該グルコースが紙を分解して得られたものである請求項1または2に記載の高分子化合物。

請求項5

該グルコースが澱粉を分解して得られたものである請求項1または2に記載の高分子化合物。

請求項6

主鎖が、更にオリゴ糖と脂肪族ジカルボン酸とのエステルを含む請求項1乃至5のいずれかの項に記載の高分子化合物。

請求項7

該オリゴ糖がグルコースの2〜6量体部分アセチル化体である請求項6に記載の高分子化合物。

請求項8

該オリゴ糖が紙を分解して得られたものである請求項6または7に記載の高分子化合物。

請求項9

該オリゴ糖が澱粉を分解して得られたものである請求項6または7に記載の高分子化合物。

請求項10

グルコースと脂肪族ジカルボン酸とのエステルを主鎖に含む高分子化合物の製造方法であって、(i)グルコースの第1位および第6位の水酸基を脂肪族ジカルボン酸でエステル化せしめ、グルコースと脂肪族ジカルボン酸とのエステルを含む高分子鎖を形成する工程;および(ii)該グルコースの第2位、第3位及び第4位の少なくとも1箇所の水酸基をアセチル化せしめる工程、とを有することを特徴とする高分子化合物の製造方法。

請求項11

該工程(i)および該工程(ii)とを同一の反応容器内で行なう請求項10記載の高分子化合物の製造方法。

請求項12

グルコースと脂肪族ジカルボン酸とのエステルを主鎖に含み、該グルコースはその第1位及び第6位において該脂肪族ジカルボン酸とエステル結合を形成し、また該グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基のうちの少なくとも1つはアセチル化されている高分子化合物を含み、加熱によつて所定の形状に成形されていることを特徴とする成形体

請求項13

グルコースと脂肪族ジカルボン酸とのエステルを主鎖に含み、該グルコースはその第1位及び第6位において該脂肪族ジカルボン酸とエステル結合を形成し、また該グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基のうちの少なくとも1つはアセチル化されている高分子化合物を含み、加圧によつて所定の形状に成形されていることを特徴とする成形体。

請求項14

該脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸またはセバシン酸である請求項12または13に記載の成形体。

請求項15

該主鎖が、更にオリゴ糖と脂肪族ジカルボン酸とのエステルを含む請求項12乃至14のいずれかの項に記載の成形体。

請求項16

該オリゴ糖がグルコースの2〜6量体の部分アセチル化体である請求項15に記載の成形体。

請求項17

請求項1乃至9の何れかに記載の高分子化合物を含むことを特徴とするシート状物品

請求項18

請求項1乃至9の何れかに記載の高分子化合物を含むことを特徴とするフィルム状物品

請求項19

請求項1乃至9の何れかに記載の高分子化合物を含むことを特徴とする容器

請求項20

請求項1乃至9の何れかに記載の高分子化合物を発泡成形せしめたことを特徴とする発泡成形体

請求項21

古紙の再資源化方法であって、(i)古紙の分解糖化を行なってグルコースを得る工程;および(ii)該グルコースと脂肪族ジカルボン酸とを反応せしめて、グルコースと脂肪族ジカルボン酸とのエステルを主鎖に含み、該グルコースはその第1位及び第6位において該脂肪族ジカルボン酸とエステル結合を形成し、また該グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基のうちの少なくとも1つはアセチル化されている高分子化合物を得る工程、を有することを特徴とする古紙の再資源化方法。

技術分野

0001

本発明は高分子化合物、その製造方法、成形体及び古紙の再資源化方法に関し、特に廃資源活用可能で、環境負荷の低い高分子化合物、その製造方法およびその物性を活かした成形体等のプラスチック製品に関する。

背景技術

0002

近年、合成プラスチック廃棄物の量は増大し、その処理が大きな社会問題となっている。廃棄プラスチック焼却においては、有害ガスを発生する場合や、大きな燃焼熱により焼却炉の損傷を招くこともある。また、土壌中などに廃棄、放置された場合には自然環境に悪影響を及ぼす恐れがある。合成プラスチック製消耗品についても、装置の普及に伴って使用後における消耗品の廃棄処理の問題が環境問題等の関連から重要となってきている。

0003

一方、廃棄物の問題としては、余剰古紙の増大も挙げられる。近年、複写機プリンタ飛躍的な普及に伴い、紙ゴミはますます増大する傾向にある。旧来より、新聞紙段ボール紙などは、再生紙として再利用されるシステム定着しているが、古紙全体としては需要限界があり、問題となっている。従って、再生紙以外の形態に古紙を活用することは極めて有意義であり、特に、プラスチック材料へ変換することは、利用可能範囲を拡大する望ましい形態である。

0004

また、古紙以外の天然高分子由来の廃資源としては、製糖醸造における圧搾滓や精製後に残る廃糖蜜がある。廃糖蜜は難消化性の糖を含むなどの理由で食用には必ずしも適さない。

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、上記の様な技術的背景に鑑みなされたものであり、その目的は、古紙のような植物系の廃資源を原料として活用し、成形性、柔軟性に優れた環境負荷の低い高分子化合物、その製法およびその物性を活かした成形体等のプラスチック製品を提供すること、更には古紙の再資源化方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0006

即ち、本発明にかかる高分子化合物の一実施態様は、グルコース脂肪族ジカルボン酸とのエステルを主鎖に含む高分子化合物であって、該グルコースはその第1位及び第6位において該脂肪族ジカルボン酸とエステル結合を形成し、また該グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基のうちの少なくとも1つはアセチル化されていることを特徴とするものである。

0007

該グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基の1つまたは2つがアセチル化されているのが好ましい。該脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸またはセバシン酸であるのが好ましい。該グルコースが紙または澱粉を分解して得られたものであるのが好ましい。主鎖が、更にオリゴ糖と脂肪族ジカルボン酸とのエステルを含むものが好ましい。該オリゴ糖がグルコースの2〜6量体部分アセチル化体であるものが好ましい。該オリゴ糖が紙または澱粉を分解して得られたものであるのが好ましい。

0008

また、本発明にかかる高分子化合物の製造方法の一実施態様は、グルコースと脂肪族ジカルボン酸とのエステルを主鎖に含む高分子化合物の製造方法であって、(i)グルコースの第1位および第6位の水酸基を脂肪族ジカルボン酸でエステル化せしめ、グルコースと脂肪族ジカルボン酸とのエステルを含む高分子鎖を形成する工程;および(ii)該グルコースの第2位、第3位及び第4位の少なくとも1箇所の水酸基をアセチル化せしめる工程、とを有することを特徴とする高分子化合物の製造方法である。該工程(i)および該工程(ii)とを同一の反応容器内で行なうのが好ましい。

0009

また、本発明にかかる成形体の一実施態様は、グルコースと脂肪族ジカルボン酸とのエステルを主鎖に含み、該グルコースはその第1位及び第6位において該脂肪族ジカルボン酸とエステル結合を形成し、また該グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基のうちの少なくとも1つはアセチル化されている高分子化合物を含み、加熱によつて所定の形状に成形されてなることを特徴とするものである。

0010

また、本発明にかかる成形体の一実施態様は、グルコースと脂肪族ジカルボン酸とのエステルを主鎖に含み、該グルコースはその第1位及び第6位において該脂肪族ジカルボン酸とエステル結合を形成し、また該グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基のうちの少なくとも1つはアセチル化されている高分子化合物を含み、加圧によつて所定の形状に成形されてなることを特徴とするものである。

0011

該脂肪族ジカルボン酸がアジピン酸またはセバシン酸であるのが好ましい。該主鎖が、更にオリゴ糖と脂肪族ジカルボン酸とのエステルを含むのが好ましい。該オリゴ糖がグルコースの2〜6量体の部分アセチル化体であるものが好ましい。

0012

また、本発明は、上記の高分子化合物を含むことを特徴とするシート状物品である。また、本発明は、上記の高分子化合物を含むことを特徴とするフィルム状物品である。また、本発明は、上記の高分子化合物を含むことを特徴とする容器である。

0013

また、本発明は、上記の高分子化合物を発泡成形せしめたことを特徴とする発泡成形体である。

0014

さらに、本発明は、古紙の再資源化方法であって、(i)古紙の分解糖化を行なってグルコースを得る工程;および(ii)該グルコースと脂肪族ジカルボン酸とを反応せしめて、グルコースと脂肪族ジカルボン酸とのエステルを主鎖に含み、該グルコースはその第1位及び第6位において該脂肪族ジカルボン酸とエステル結合を形成し、また該グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基のうちの少なくとも1つはアセチル化されている高分子化合物を得る工程、を有することを特徴とする古紙の再資源化方法である。

発明を実施するための最良の形態

0015

本発明にかかる高分子化合物は、グルコースと脂肪族ジカルボン酸とのエステルを主鎖に含む高分子化合物であって、該グルコースはその第1位及び第6位において該脂肪族ジカルボン酸とエステル結合を形成し、また該グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基のうちの少なくとも1つはアセチル化されている。

0016

具体的には、例えば下記の一般式(I)で表されるユニットを有してなる高分子化合物である。

0017

ID=000002HE=035 WI=090 LX=0600 LY=0300
(式中、n=4〜8、R1〜R3は水素原子もしくはCH3CO−であって、R1〜R3の少なくとも1つはCH3CO−である。)

0018

また、グルコースの第2位、第3位および第4位の水酸基の1つまたは2つがアセチル化されているものが、特に熱成形性や柔軟性等の特性に優れているので好ましい。また、グルコースはα型でもβ型でもよい。

0019

また、本発明にかかる高分子化合物は、上記一般式(I)に示すユニットのみからなるホモポリマーであってもよく、また上記一般式(I)に示すユニットとオリゴ糖と脂肪族ジカルボン酸とのエステルのユニットとのコポリマーであってもよい。そしてコポリマーの場合のオリゴ糖としては、グルコースの2〜6量体の部分アセチル化体等が挙げられる。

0020

当該高分子化合物の重量平均分子量は通常500〜700万であり、好ましくは1〜100万が望ましい。

0021

紙の主成分であるセルロースや澱粉の主成分であるアミロースアミロクチンなどが、グルコースの多量体であることに注目すれば、これらの化学的分解で得られる糖類化合物(グルコース、オリゴ糖など)を糖環と同程度の炭素数を有する脂肪族ジカルボン酸(以下、脂肪酸と省略)またはその誘導体と共重合させることにより、高分子化合物に変換することが可能である。この方法は、原料である糖多量体の主鎖構造改変してしまうため、その物性を大きく変えることができる。また、原料である糖多量体の化学的分解を伴う方法は、水に不溶夾雑物を分離しながら単糖、オリゴ糖を選択的に得ることができるので、再生紙化が難しい低質古紙やを植物系の圧搾滓などを活用する場合には極めて有効である。

0022

上記のような、糖を主鎖内に有する高分子化合物に関して検討を重ねていった結果、上記の一般式(I)で表されるユニットをもつ高分子化合物が、熱成形性、柔軟性に特に優れ、かつ、容易な合成過程で製造できることを見出した。

0023

上記の本発明にかかる高分子化合物の製造方法としては、例えば、(i)グルコースの第1位および第6位の水酸基を脂肪族ジカルボン酸でエステル化せしめ、グルコースと脂肪族ジカルボン酸とのエステルを含む高分子鎖を形成する工程、および、(ii)該グルコースの第2位、第3位及び第4位の少なくとも1箇所の水酸基をアセチル化せしめる工程を有するものである。

0024

以下に本発明にかかる高分子化合物の合成方法について具体的に説明する。まず、グルコースのみを原料糖とする場合について述べる。工程(i)として、グルコースをジメチルホルムアミドのような溶媒中において、脂肪酸ジクロリドとの反応によりオリゴマーとする。この際、グルコース過剰で穏和な条件で行えば、煩雑な保護、脱保護過程を特に行わなくとも、グルコースの1位と6位にほぼ選択的に脂肪酸部分が導入されることを見出した。

0025

次に、工程(ii)として、引き続く高分子量化無水酢酸によるアセチル化を並行して行わせる。これにより、脂肪酸部分がグルコースの1位、6位以外を攻撃することを抑制し、糖環上における高分子鎖の分岐架橋を抑制しながら該高分子鎖の一次元的な伸長を図ることが可能である。以上の工程(i)及び(ii)は、一つの反応容器内で並行して行なわせることができ、極めて簡単に目的とする高分子化合物を得ることができる。

0026

アセチル基の導入は、分岐や架橋を抑制するだけでなく、高分子化合物の熱安定性耐水性を向上させるものである。グルコース単位のすべての残りの水酸基をアセチル化した場合は、溶融粘度が上昇する。従って、成形性を考慮すると該アセチル基の数は、糖環1個あたり1〜2個に留めることが望ましい。

0027

なお、上述の脂肪酸ジクロリドや無水酢酸は、反応試薬の一つの例であり、これに限定されるものではない。例えば、主鎖伸長は脂肪酸との脱水縮合でもよく、また、無水酢酸の代わりに塩化アセチルを使用してもよい。また、前段のあとに精製や溶媒交換を行ってから後段を行ってもよい。

0028

前記した様に、本発明にかかる高分子化合物中の糖は、グルコース以外にオリゴ糖が含まれていてもよい。オリゴ糖については、グルコースの2〜6量体からなる6糖以下のものを使用することが望ましい。7糖以上のものでは、水溶性が低いため後述する分解糖化における分取が容易でなく、また、目的とする高分子化合物の主鎖中に含有された場合に溶融粘度が上昇し過ぎる懸念がある。グルコースに対するオリゴ糖含有率は、特に限定されないが、オリゴ糖含有率が高い場合は、合成される高分子化合物がより硬くなるので、用途に応じて決定される。

0029

オリゴ糖が混在する場合についても、合成操作はほば同様であり、抑制すべき水酸基の数に応じて、無水酢酸の量を調節すればよい。すなわち、オリゴ糖では一次元的な高分子合成に不必要な水酸基が増えるため、その量に見合った無水酢酸の増量を行う。

0030

脂肪酸としては、1〜6糖のハードセグメント(硬い主鎖部分)とバランスがとれ、かつ、入手容易なものとして、アジピン酸またはセバシン酸が望ましい。これらは目的とする用途に要求される物性、例えば硬さ、伸びなどに応じて選択される。

0031

本発明の高分子化合物は、一次元的な高分子鎖が特徴であり、これまで本発明者が検討を重ねてきた同様な組成の高分子化合物の中で、特に、高い分子量でも柔軟性が維持されている点に特徴を有する。従って、本発明の高分子化合物は、成形体そのものあるいは成形中に張力や伸びが要求される場合に適している。すなわち、Tダイ法などによるフィルム状またはシート状部材インフレーション成形による筒状または袋状部材ブロー成形によるボトル状容器、発泡成形による緩衝材などに適している。

0032

なお、上述の成形体、成形法は好適な例であって、これらだけに限定されるものではない。その他の射出成形押出し成形圧縮成形などを適用し、厚手の部材とすることもできる。

0033

本発明の高分子化合物の重量平均分子量は、特に限定されるものではないが、強度や寸法安定性の点から、重量平均分子量1万未満の成分が可能な限り含まれないことが望ましい。

0034

また、本発明の高分子化合物には、色材、安定剤、可塑剤フィラーなどが添加されていてもよい。特にフィラーに関しては、古紙を原料とする場合、分解時の未反応残査中のセルロース長繊維を活用することが極めて有意義である。

0035

また、本発明の高分子化合物および成形体は、全部、あるいはその大部分が生分解性を有しているため、自然環境に廃棄されてしまった場合においても、環境に与える悪影響を最小限に抑制することが可能である。

0036

本発明の高分子化合物の製造方法において、紙(古紙)や植物系の圧搾滓などを原料として活用する場合、それらを化学的に分解することにより、構成成分として含まれるセルロースのβl→4結合を切断して、グルコース(単糖)、セロオリゴ糖(2〜6糖)を水溶性成分として得ることができる。このような分解糖化の方法としては、希塩酸希硫酸などの希酸による分解、セルラーゼなどの酵素による分解、高温高圧水による分解等が挙げられる。これらの過程において、水に不溶な充填剤、色材、未分解長繊維などは残査として容易に分離することができる。

0037

澱粉あるいは澱粉系の糖蜜などを原料として活用する場合も同様である。但し、酵素による分解には、アミラーゼなどを用いる。

0038

また、本発明の高分子化合物は、ポリエステルであるため、加水分解によるエステル結合の切断によって解重合を行うことができ、糖と脂肪酸を分解生成物として生成する。すなわち、本発明の高分子化合物からなる成形品の廃棄物を原料として再利用することが可能である。この加水分解には、水酸化ナトリウム水溶液、またはリパーゼエステラーゼなどの酵素を用いることが望ましい。

0039

以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。但し、「部」は特に説明のない限り「重量部」を示す。

0040

実施例1
(グルコース/アジピン酸系)の実施例を示す。グルコース50部、ジメチルホルムアミド200部、ピリジン100部を、室温、窒素雰囲気下で撹拌し、ここへアジピン酸クロリド20部をジメチルホルムアミド100部で希釈した溶液を徐々に滴下し、lh(時間)撹拌した。lh後、アジピン酸クロリド20部を滴下し、lh撹拌した。次のlh後、無水酢酸30部を溶媒のジメチルホルムアミド100部で希釈した溶液を徐々に滴下し、lh撹拌した。次のlh後、アジピン酸クロリド20部をジメチルホルムアミド100部で希釈した溶液を徐々に滴下し、lh撹拌した。次のlh後、ピリジン20部を追加し、アジピン酸クロリド20部を滴下し、6h撹拌した。溶媒を一部留去した後、水中に注いで再沈殿させ、生成した沈殿メタノールで3回洗浄し高分子化合物を得た。高分子化合物の重量平均分子量は約450万であった。

0041

その高分子化合物の 1H−NMRスペクトル図1に示す。図1より、グルコースの置換位置が主に1位(5.7〜6.2ppm、lH)と6位(3.8〜4.2ppm、2H)であること、グルコースとアジピン酸部分の構成比が約1:1であること、アセチル基(l.9〜2.lppm、3H)はグルコース1個あたりほぼ1個であることを確認した。

0042

実施例2、
(グルコース/セバシン酸系)の実施例を示す。グルコース50部、ジメチルホルムアミド200部、ピリジン100部を、室温、窒素雰囲気下で撹拌し、ここへ、セバシン酸クロリド20部をジメチルホルムアミド100部で希釈した溶液を徐々に滴下し、lh撹拌した。lh後、セバシン酸クロリド30部を滴下し、lh撹拌した。次のlh後、無水酢酸30部を溶媒のジメチルホルムアミド100部で希釈した溶液を徐々に滴下し、lh撹拌した。次のlh後、セバシン酸クロリド20部をジメチルホルムアミド100部で希釈した溶液を徐々に滴下し、lh撹拌した。次のlh後、ピリジン20部を追加し、セバシン酸クロリド20部を滴下し、6h撹拌した。溶媒を一部留去した後、水中に注いで再沈殿させ、生成した沈殿をメタノールで3回洗浄し高分子化合物を得た。高分子化合物の重量平均分子量は約615万であった。

0043

その高分子化合物の 1H−NMRスペクトルを図2に示す。図2より、グルコースの置換位置が主に1位(5.6〜6.2ppm、lH)と6位(3.9〜4.3ppm、2H)であること、グルコースとアジピン酸部分の構成比が約1:1であること、アセチル基(1.9〜2.lppm、3H)はグルコース1個あたりほぼ1個であることを確認した。

0044

実施例3
古紙からの合成の実施例を示す。使用済段ボール紙(両面、Aフルート)を5mm角裁断し、その100gを酵素溶液リットル投入し、45℃で6h撹拌した。酵素溶液は、セルラーゼ(メイセラーゼTP60、明治製菓社製)10gを酢酸酢酸ナトリウム水溶液(pH4.5)3リットルに溶解したものを用いた。反応後、メタノール200mlを加えた後、不溶性残査を濾別し、さらにイオン交換樹脂カラムアンバライトIR−120B、オルガノ社製)50cmを通過させ、溶媒留去と乾燥を行い、グルコース(78%)、セロビオース(19%)、セロトリオース(3%)を主成分とする微黄色粉末64gを得た。

0045

この糖混合物50gを実施例2と同様の方法で、セバシン酸クロリドと共重合させ高分子化合物を得た。高分子化合物の重量平均分子量は約81万であった。

0046

実施例4
(グルコース/マルトース/セバシン酸系)の実施例を示す。グルコース25部、澱粉由来マルトース(ファイントースF、林原社製)25部の混合物を実施例2と同様の方法で、セバシン酸クロリドと共重合させ高分子化合物を得た。但し、無水酢酸の量は45部(実施例2の量比の1.5倍)とした。高分子化合物の重量平均分子量は約580万であった。

0047

実施例5〜8
フィルム状部材の作製の実施例を示す。実施例1および2で合成した高分子化合物の粉体から、Tダイ押出し成形により0.2mm厚のフィルム状部材を作製した。また、実施例3および4で合成した高分子化合物の粉体から、プレス成形によりlmm厚のシート状部材を作製した。樹脂温度はいずれも100〜120℃とした。いずれも透明で柔軟な成形体が得られた。

0048

実施例9〜11
各種成形体の作製の実施例を示す。各種形状の成形体を表1に示す条件で作製した。インフレーション成形、ブロー成形における押出しは、いずれも100〜120℃で行った。いずれも良好な成形体が得られた。

0049

発明の効果

0050

以上説明した様に、本発明によれば、古紙のような天然物系の廃資源を原料として活用し、成形性、柔軟性に優れた環境負荷の低い高分子化合物およびその物性を活かしたプラスチック製品を提供することができる。

図面の簡単な説明

0051

図1実施例1のグルコース/アジピン酸系高分子化合物の 1H−NMRスペクトルを示す図である。
図2実施例2のグルコース/セバシン酸系高分子化合物の 1H−NMRスペクトルを示す図である。

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