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課題
解決手段
概要
背景
概要
工程のどの部分で断糸が発生したかを明らかにできる断糸位置が測定できる断糸位置測定装置。
走行糸条の所定区間での断糸の発生位置を検出する断糸位置測定装置において、該所定区間より下流の基準位置に設けられた走行糸条に接触して該所定区間での走行糸条の張力を検出する張力検出器と、該張力検出器の張力信号から断糸の発生時点を検出する断糸発生検出手段と、該張力信号から断糸端部の基準位置の通過時点を検出する断糸端部通過検出手段と、該断糸発生検出手段からの断糸発生時点と該断糸端部通過検出手段からの通過時点に基づいて基準位置からの断糸発生位置を測定する位置測定手段とからなることを特徴とする断糸位置測定装置。
目的
本発明の課題はかかる現状の解決にあり、断糸発生時の断糸要因を明確化する1手段を構築することにあり、これら工程のどの部分で断糸が発生したかを明らかにできる、断糸位置が測定できる断糸位置測定装置を提供することにある。
効果
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請求項1
走行糸条の所定区間での断糸の発生位置を検出する断糸位置測定装置において、該所定区間より下流の基準位置に設けられた走行糸条に接触して該所定区間での走行糸条の張力を検出する張力検出器と、該張力検出器の張力信号から断糸の発生時点を検出する断糸発生検出手段と、該張力信号から断糸端部の基準位置の通過時点を検出する断糸端部通過検出手段と、該断糸発生検出手段からの断糸発生時点と該断糸端部通過検出手段からの通過時点に基づいて基準位置からの断糸発生位置を測定する位置測定手段とからなることを特徴とする断糸位置測定装置。
請求項2
前記断糸発生検出手段が、この判断時点以前で張力信号がピーク値となる時点若しくはこの判断時点以前で張力信号が定常運転値より低下を開始した時点若しくはこれらの内の早い方を断糸発生時点とする請求項1記載の断糸位置測定装置。
請求項3
前記断糸端部通過検出手段が、張力検出器からの張力信号が所定値以下に低下した場合に断糸発生と判断し、判断後張力検出器の張力信号が予め設定した下限値以下になった時点、若しくは張力信号に固有振動が開始した時点、若しくはこれのうち早い方を断糸端部の張力検出器の検出部の通過時点とする請求項1又は2記載の断糸位置測定装置。
請求項4
前記位置測定手段が、断糸発生の時点から断糸端部の張力検出器の通過時点までの経過時間に走行糸条の走行速度を掛けて得られる糸長に基づいて基準位置からの断糸位置を求める請求項1〜3記載のいずれかの断糸位置測定装置。
請求項5
技術分野
背景技術
0002
合成繊維製造工程、具体的には長繊維の加工糸の製造工程では、周知の通り、延伸、仮撚り等の工程があり、これらの工程では全長8〜10mの区間の間に様々なガイド、ローラ、ヒータ、仮撚り加工ディスク等の処理機器が配置され、糸条を走行させて連続生産される。そして、このような工程では、通常、その各錘の巻取部直前に糸の断糸を検出する断糸検出器を設けて、断糸が発生した場合に当該錘の糸の供給停止等の適切な断糸処理を自動的に行う断糸管理装置を設けて、断糸を管理している。これにより、断糸した糸端がローラ等に巻き付いて巻き太り、隣接錘の断糸を誘発する等の問題が解消され、安定生産が行われている。
発明が解決しようとする課題
0003
ところで、これら工程では、配置された上述の処理機器が多く、このそれぞれが断糸発生の要因となる。従って、上述の断糸管理装置で断糸が多発する錘は特定できるが、錘においてその断糸発生原因がその要因が多くて早急に究明できず、これら各要因について順次対策を施すも解決せず、その間巻き量不足で製品にならないパッケージが多発し、挙句には、機台定期整備まで当該錘を休止することになり、生産性が低下するといった問題が生じていた。また、最近ではコスト削減が大きく叫ばれる中、かかる現状の解決が強く要請される状況にある。
0004
本発明の課題はかかる現状の解決にあり、断糸発生時の断糸要因を明確化する1手段を構築することにあり、これら工程のどの部分で断糸が発生したかを明らかにできる、断糸位置が測定できる断糸位置測定装置を提供することにある。
課題を解決するための手段
0005
上記課題は以下の本発明により達成される。すなわち、本発明は、走行糸条の所定区間での断糸の発生位置を検出する断糸位置測定装置において、該所定区間より下流の基準位置に設けられた走行糸条に接触して該所定区間での走行糸条の張力を検出する張力検出器と、該張力検出器の張力信号から断糸の発生時点を検出する断糸発生検出手段と、該張力信号から断糸端部の基準位置の通過時点を検出する断糸端部通過検出手段と、該断糸発生検出手段からの断糸発生時点と該断糸端部通過検出手段からの通過時点に基づいて基準位置からの断糸発生位置を測定する位置測定手段とからなることを特徴とする断糸位置測定装置である。
0006
本発明では、上述の構成から明らかのように、断糸の発生時点と、この断糸の際に予め定めた基準位置をその断糸端部具体的には断糸した糸の糸端が通過する通過時点とを検出し、この両時点に基づいて基準位置からの断糸発生位置を求めるようにしており、従来の断糸の有無のみでなく、断糸発生の位置が検出できるので、前述の工程においてどの処理機器で断糸が発生したかを特定できる。よって断糸の多発位置即ち多発する処理機器あるいは処理部位が特定でき、断糸発生原因並びにその対策が迅速に究明でき、前記課題を達成できる。
0007
その上、本発明は、上述の通り、断糸の発生時点と断糸端部の基準位置の通過時点の両方を張力検出器の張力信号から検出しているので、各錘には張力検出器を設置するのみでよく、構成が簡単で、加工処理域での糸条の接触部を最小限で実現できる効果がある。
0008
ところで、上述の本発明において、張力検出器としては、上述の点より、その検出した張力信号から断糸発生のみでなく断糸端部の通過を検出する必要があり、この点から処理される走行糸条に検出ガイド等を接触させて検出する接触式張力検出器を用いる。中でも、断糸端部が通過するまで確実に走行糸条との接触が保持できて、且つ糸条Yへの影響が小さいもの具体的には接触部の少ないものが好ましい。
0009
かかる張力計としては、接触点が1点の後述の片持ち式張力計が挙げられ、その検出ガイドとしては糸案内部をリング、或いはU字状等にしたものが挙げられる。その他、周知の糸ガイドと検出ガイドを糸道に沿って配して検出ガイドの変位或いは歪みを検出するガイド検出方式の張力検出器が市販品がそのまま適用できる点、断糸端部が通過するまで検出ガイド上に糸条を保持する保持安定性に優れている点で好ましく適用できる。
0010
さらに、検出ガイドをばねで支持してその変位を検出する構成が以下の点から好ましい。それは断糸の端部の基準位置具体的には検出ガイドの通過の検出に、断糸端部の通過後の張力信号に現れる特有の検出ガイド−ばね系の固有振動の波形の開始時点を検出して断糸端部の基準位置通過時点とすることにより、安定な検出ができるからである。
0011
また、位置検出手段も発生位置が目的に応じて適切に特定できるものであれば適用できるが、断糸発生時点から断糸の端部の基準位置の通過時点までの経過時間に走行糸条の走行速度を掛けて得られる糸長に基づいて基準位置からの断糸位置を求める演算手段からなるものが汎用性並びにコスト面から好ましい。
0012
なお、断糸位置を正確に検出できる点で、該糸長の測定値を断糸前の走行糸条の張力による糸の伸度で補正して走行時糸長を求め、この走行時糸長を基準位置からの断糸発生位置とする構成が好ましいが、前述の工程で断糸の発生した処理機器が特定できればよい場合は、それほど検出精度は必要なく、かかる構成は省略できる。
発明を実施するための最良の形態
0013
以下、本発明の詳細を仮撚り加工機に適用した実施例により図面に基づいて説明する。図1は実施例での断糸発生時の張力計の出力信号の経時変化を示すグラフである。図2は実施例の張力計の走査手段のフローチャートで、図3はこの実施例の断糸位置測定処理のフローチャートである。図4は実施例を適用した仮撚り加工機の説明図である。
0014
図4の仮撚り加工機は、特公昭62−12327号公報等で公知のもので、原糸パッケージ1からの糸条Yは、ガイドローラ2を経由して、フィードローラ3から糸条加工域に供給される。糸条加工域は第1のヒータ4、第2のヒータ5、撚糸作用と送り作用を併せ持つ摩擦仮撚り具6、デリベリーローラ7からなり、フィードローラ3とデリベリローラ7との送り速度比で糸条Yを延伸しつつ、第1、第2の両ヒータで加撚、熱セットし、摩擦仮撚り具6で解撚して所定の仮撚り加工を施す。デリベリローラ7からの糸条Yは2個のガイドローラ2で方向転換されて図示省略した巻取機で加工糸パッケージ8に形成される。なお、図示省略したが、本例には前述した従来の断糸管理装置が設けられている。
0015
そして、図示のように、本仮撚り加工機には、本発明の断糸位置測定装置の基本要素である所定範囲本例では糸条加工域の糸張力を測定する張力検出器11が、糸条加工域の最下流の摩擦仮撚り具6とデリベリローラ7の間に設けられている。なお、前述の通り、張力検出器11には走行糸条に接触してその張力が測定できるものであれば適用できる。
0016
本例では、図示のように糸条Yへの測定による影響が少ない片持ちの弾性体からなる検出糸ガイド11aの歪みを検出して糸条Yの張力を検出する市販の張力計を用いた。なお、検出糸ガイド11aの糸接触部にはガイド溝を設け、糸条Yとの接触を断糸の際にもその端部が通過するまで保持できるようにしている。この他前述の検出糸ガイドの前後にガイドを設けた3本ガイド方式の張力計、その1本を省略した2本ガイド方式の張力計等も適用できる。
0017
この張力検出器11による断糸発生時の張力の経時変化の実測結果である張力信号Tのグラフを図1に示す。図示のように張力検出器11からの張力信号Tは、断糸発生の時点Sから断糸端部が検出ガイド11aを通過する時点Dまでは、時点Sで定常運転値から一旦ピーク値となり、次いで急激に大きく低下し、また一旦少し上昇し低下するという変動パターンを示しているが、断糸端部の通過時点D以降次第に減衰する所定周期の周期信号を含み次第にゼロレベルに低下する。断糸発生以降の変化はその中心値で見ると図より全体として一次遅れ系で近似できる経時変化を示すことが判る。また、周期信号は検出ガイド系の固有振動によるものであった。なお、図のAは、後述の断糸発生の判断に用いる断糸設定値、Bは断糸端部の通過検出に用いる下限値である。
0018
この断糸時の張力挙動から、本例の断糸位置測定装置の断糸発生検出手段、断糸端部通過検出手段並びに位置測定手段は、図3に示すように構成されている。なお、本例では、これら各手段は、張力検出器11からの張力信号を低域通過フィルター(LPF)を介して高域ノイズをフィルタリングして読込み、ノイズ除去等の処理を行い、その結果を記憶する基本処理手段と共にコンピュータからなる本体部に収納している。
0019
基本処理手段は、図2に示すように、各錘の張力検出器11を順次走査して各錘の張力データを収集するデータ収集機能部と断糸発生を判断して必要な断糸処理を行う断糸処理機能部を有する。データ収集機能部は、本例では、図2に示すように錘Pの張力計からの張力信号Tpを読込み、移動平均を行い、その結果を記憶する。なお、この記憶は、記憶容量の節減のために少なくとも断糸位置検出に必要な最新の所定時間の間具体的にはその間のサンプリングされた所定個数のデータを順次記憶するスクロール記憶を行うようにしている。また、移動平均は本例では連続した3個のサンプリングデータを平均して求めるようにしている。
0020
次いで、下記の断糸処理機能部で断糸発生の判断を行い、断糸発生が無い場合は、錘番号Pを1だけ繰り上げ、全錘完了具体的には最終錘番号でなければ次錘のデータ収集を上述と同様にして行う。全錘完了の場合は、錘番号Pをリセットして第1錘からデータ収集を行うようになっている。
0021
断糸処理機能部は、先ず図示のように得られた張力信号Tp(n)の移動平均値と予め設定した断糸設定値Aと比較して断糸発生の判断を行い、前述の通り断糸発生がない場合具体的には図示の「NO」すなわち断糸設定値A以上の場合はそのまま各錘の張力データを収集するデータ収集機能部に戻り、これ以下になった時に以下の断糸処理を行う。すなわち、図の「YES」すなわち該移動平均値が予め設定した断糸設定値A未満の場合は断糸発生と判断し、当該錘の従来の断糸管理装置の給糸カッター等の断糸処理機器を作動させる断糸信号を出力すると共に、以下の断糸位置検出或いは保守管理等に必要な判断時点No、その時の張力値Tp(No)等のデータを記憶した後、断糸位置検出のルーチンを起動する。そして、次いで、データ収集機能部に戻り、次錘の張力データの収集を行う。
0022
起動された断糸位置検出のルーチンは、図3に示すように、先ず断糸発生検出手段に入る。断糸発生検出手段は、当該錘Pのスクロール記憶した張力信号Tp(n)に基づいてこれを断糸発生判断時点Noから遡及して以下のようにして断糸時点の検出を行う。本例では、図3に示すように定常値検出方式を基本とし、本例に特有の断糸時に生ずるピーク値を検出するピーク検出方法と組み合わせ、検出原理の異なる2方式で検出する二重検出方法として正確性、信頼性の向上を図っている。
0023
具体的には、先ず図のように連続遡及したTp(n−1)、 Tp(n)(ここでは、nの初期値はNoとなる。)を呼び出し、ピークの判断ステップに入り、ピーク値があるか否かを判断する。この判断は、本例では断糸発生判断時点Noから順次遡及して時点nの測定値Tp(n)とその前の走査時点(n−1)での測定値Tp(n−1)と比較し、Tp(n)≧Tp(n−1)が成立する時点をピーク値の時点として判断している。これが「YES」の場合すなわち上記式が成立した場合は、断糸発生時点S記憶のステップに進み、断糸発生時点Sとしてこの式が成立した時点nを記憶する。
0024
一方、図示のように「NO」すなわちピーク値が検出されない場合には、次に定常の判断ステップに入り、定常値か否かを判断する。この判断は、本例では具体的には|Tp(n)−Tp(n−1)|≦α(設定値)が所定時間mの間継続するか否かで判定するようにしている。そして、これが「NO」の場合は、nを(n−1)に一つ遡及させて、次の遡及値Tp(n−1)、Tp(n−2)を呼び出し、Tp(n−1)と Tp(n−2)についてピーク値の判断ステップ、定常値の判断ステップを行い、定常値になるまでこれを順次遡及して繰り返す。
0025
そして、定常の判断ステップで「YES」すなわち定常値となると、断糸発生時点S記憶のステップに入り、遡及において設定値α以下の継続の始まった時点、具体的には「YES」となった時点nから継続の所定時間mだけ後の(n+m)の時点を断糸発生時点Sとして記憶するようにしている。なお、換言すれば、この判断は定常値から設定値αを越える大きな低下が起こった時点を検出していることになる。
0026
以上、本例では、ピークの判断ステップで図1でのピーク点を断糸発生時点として検出するようにしてできる限り正確な検出ができるようにし、かかるピークが観察されない場合は、定常の判断ステップで定常運転の定常値から一定値α以上低下した時点を断糸発生時点として検出するようにして検出の安定性、信頼性を確保している。そして、検出すると、断糸発生時点Sとして記憶する。従って、図1の実測例に示すように、正確に断糸発生時点Sが検出できる。なお、後者の定常値検出方式のみでも、断糸発生部位の特定には充分であり、場合によりこれらの一方のみでも充分である。
0027
なお、この断糸発生時点の検出は、コンパレータ回路等の電子回路でも実行できるが、必要な断糸処理は走査手段で行っているので、この検出処理を急ぐ必要はなく、本例のコンピュータによるソフト処理が汎用性、操作性等の面で有利である。ソフト処理においても、実測例のように断糸発生時点では大きな張力低下が観察されることから、本例に代えて張力信号の微分値あるいは一定時間通常は走査周期での低下値が所定値以上になった時点を断糸発生時点とする方法等も適用できる。
0028
そして、断糸発生検出手段による断糸発生時点の検出が終了すると、断糸端部通過検出手段に入り、端部の基準位置の通過時点の検出を行う。本例では、検出の信頼性を高めるため、以下のように検出原理の異なる固有振動検出方法と下限値検出方法の二重検出方法で検出している。すなわち、検出ガイドが糸条Yに接触する張力検出器に特有の端部通過後に顕在化する図1に例示する検出ガイド系の固有振動で検出する方法を基本とし、これが見出されない場合には予め設定した端部通過検出用の下限設定値B以下になる時点を検出して通過時点を求める構成となっている。
0029
よって、本例の断糸端部通過検出手段は、図3に示すように、固有振動の開始を検出する固有振動の判断ステップと、下限値の判断ステップからなる。固有振動の判断ステップは、まず、断糸発生判定後実テストで定めた所定時間経過以降の張力信号Tp(n)と次のTp(n+1)を呼び出し、 Tp(n)≦ Tp(n+1)が成立するか否かを判断し、これが成立するとこのTp(n)をその局所的な最低値minとしてこの成立時点nと共に記憶し、最低値成立フラグを立てる。これが成立しない場合は判断ステップで「NO」となり、次の下限値の判断ステップに進む。
0030
判断ステップは、最低値成立フラグが立つと、その後はTp(n)≧ Tp(n+1)が成立するか否かを判断し、これが成立するとこの時のTp(n)を該最低値minに続く最高値maxとして検出する。これが成立しない場合は最低値の場合と同様に判断ステップで「NO」となり、次の下限値の判断ステップに進む。
0031
一方成立すると、その差(max-min)が実テストで定めた所定値以下であるか否かを判断し、所定値以下の場合は該最低値minの時点を端部通過時点として、次の端部通過時点D記憶のステップに進む。そして、この最低値minの時点を端部通過時点Dとして記憶する。所定値以上の場合は固有振動でないとして最低値成立フラグをリセットし、固有振動の判断ステップは「NO」で、次の下限値の判断ステップに進む。図1から判るように、この固有振動検出方法により本例では正確な検出が可能である。
0032
そして、固有振動の判断ステップが「NO」の場合は、図示の通り、下限値の判断ステップに入る。下限値の判断ステップは張力信号Tp(n)が断糸前の定常値の所定の%以下具体的には本例では25%以下に所定時間以上継続してなったか否かを判断し、「NO」の場合は、時点nを次の時点(n+1)にして固有振動の判断ステップに戻り、上述のステップを繰り返す。
0033
一方、図の「YES」すなわち下限値以下になると、端部通過時点D記憶のステップに進む。この場合は該設定値以下になった時点nを端部通過時点Dとして記憶する。これにより、固有振動が明瞭でない場合における端部通過検出の信頼性向上を図っている。図1の例では、固有振動方式で検出され、その断糸端部通過時点はDとなった。なお、この例では下限値検出ではdとなる。
0034
なお、断糸端部通過の検出には、本例の如く両方式を用いるのが好ましいが、いずれか一方のみでも場合により適用できる。要するに、断糸発生検出手段、端部通過検出手段とも、実験により用いる張力計の断糸発生時の出力信号の状況を把握し、それに適した検出方法を用いれば良い。
0035
断糸端部通過検出手段が処理を終わると、位置測定手段に入り、以下のようにして断糸位置が測定される。すなわち、以上により検出された断糸発生時点Sと端部通過時点Dからその差として断糸発生位置から基準位置までの断糸端部の走行時間Lが分かり、断糸端部すなわち糸条Yの走行速度Vは巻取速度で所定値に定まっているから、基準位置からの断糸発生位置Pまでの距離はその積L×Vとして測定できるのである。
0036
すなわち、糸条加工域等の所定区間での断糸の発生時点を検出し、次いでその断糸端部のこの所定区間より下流の基準位置の通過を検出し、発生時点から通過時点までの経過時間に基づいて断糸位置を測定することができる。
0037
ところで、断糸の直前までは、糸条Yは定常運転張力下にあり、正確にはこの張力で補正することが好ましい。かかる点から本例では、図3の演算ステップに示すように、両時点の差に基づいて予め設定した糸条Yの走行速度V、定常張力値Tsから下記の式(1)により基準位置からの糸長すなわち断糸位置Pを求めるようにしている。そして、求めた断糸位置Pは、後の利用に便利なように所定のフォーマットに断糸発生時点S、端部通過時点Dと共に記憶するようにしている。
0040
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明はかかる実施例に限定されるものでないことは、本発明の趣旨から明らかである。
発明の効果
0041
以上、本発明は、張力計を各錘に設置するのみの簡単な構成で従来の断糸の有無のみでなく断糸の発生位置をオンラインで測定できる断糸位置測定装置を実現したものであり、測定による糸品質への影響を最小限に止めつつ、益々工程直結により加工処理工程が長く複雑化している繊維製造プラントでのオンラインでの断糸要因解析に大きな寄与を為すものであり、更には早急な断糸軽減対策の実施による工程の早期安定化、生産性向上と工業生産上で大きな効果を奏するものである。
図面の簡単な説明
0042
図1図1は実施例での断糸発生時の張力計の出力信号の経時変化を示すグラフである。
図2図2は実施例の基本処理手段のフローチャートである。
図3図3はこの実施例の断糸位置測定部のフローチャートである。
図4図4は実施例を適用した仮撚り加工機の説明図である。