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技術 魚釣り用リールのドラグ座金及びそれを用いた魚釣り用リール

出願人 株式会社シマノ東洋炭素株式会社
発明者 片山仁志長谷川弘近藤照久楠山寿己
出願日 2000年1月19日 (20年2ヶ月経過) 出願番号 2000-014045
公開日 2001年7月31日 (18年7ヶ月経過) 公開番号 2001-204327
状態 特許登録済
技術分野 魚釣り(3)釣用リール
主要キーワード 定量タンク 凹入空間 配合タンク 中間移 ステンレス合金製 精砕機 サクションポンプ ハイドロパルパー
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2001年7月31日)のものです。
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図面 (10)

課題

黒鉛製ドラグ座金と同等若しくはそれ以上のドラグ力を長期にわたり発揮することができ、安価に且つ容易に作製が可能な魚釣り用リールのドラグ座金及びそれを用いた魚釣り用リールを提供する。

解決手段

膨張黒鉛40〜80質量%と、耐熱性補強繊維5〜25質量%と、耐熱性バインダー10〜40質量%とからなる混在物シート状に成形し、硬化してシート状とし、打ち抜き加工によって、ドラグ座金を成形し、ドラグ座金8乃至10の少なくとも一部に使用する。

概要

背景

従来、魚釣り用リールドラグ機構は、とのやり取りの際に釣り糸に切断を生じないよう、釣り糸に所定値以上の張力が作用した場合にはドラグ機構を滑らせて釣り糸の繰り出しを許すように、ドラグ機構の制動力の値を設定している。このようなドラグ機構に用いられる制動摩擦板としてのドラグ座金には、アスベストフェノール樹脂成形体可燃性織布に油グリースを塗布、含浸したもの、あるいは炭素繊維の織布に樹脂含浸硬化したもの等が採用されている。

しかし、これらドラグ座金は、海水混入による摩擦抵抗の変動、摩擦熱による摩擦抵抗の変動、締付力による厚み方向の耐久性に起因する摩擦抵抗の変動等、環境変化により摩擦抵抗が変動しやすいという問題点を有していた。

このようなドラグ座金の問題点を解消するために、黒鉛製のドラグ座金が最近になり開発された。黒鉛製のドラグ座金は、前述したような環境変化によって摩擦抵抗が変動することが少なく、長期間にわたって、優れたドラグ力を発揮する。しかしながら、黒鉛製の場合、製法上、ドラグ座金とするためには、ある程度の大きさの黒鉛質ブロックから、機械加工により任意の大きさのドラグ座金に削り出す必要がある。そのため、黒鉛製のドラグ座金を使用した魚釣り用のリールは製造コストが高くなり、一部高級品にのみにしか使用されないという問題がある。また、一般的な魚釣りの場合には、黒鉛製のドラグ座金を使用した場合、前述したように非常に長期間に渡り、優れたドラグ力を発揮し、快適な操作性を提供することができる。しかしながら、カジマグロ等の大型魚用のリールに用いた場合、ドラグ機構の制動力を比較的大きい値に設定するため、ドラグ座金には、大きな制動力が作用し、黒鉛材料の欠点の一つである脆さによって、割れてしまうことがある。

概要

黒鉛製のドラグ座金と同等若しくはそれ以上のドラグ力を長期にわたり発揮することができ、安価に且つ容易に作製が可能な魚釣り用リールのドラグ座金及びそれを用いた魚釣り用リールを提供する。

膨張黒鉛40〜80質量%と、耐熱性補強繊維5〜25質量%と、耐熱性バインダー10〜40質量%とからなる混在物シート状に成形し、硬化してシート状とし、打ち抜き加工によって、ドラグ座金を成形し、ドラグ座金8乃至10の少なくとも一部に使用する。

目的

そこで、本発明は黒鉛製のドラグ座金と同等若しくはそれ以上のドラグ力を長期にわたり発揮することができ、安価に且つ容易に製造可能であり、小型魚から大型魚まで対応可能な魚釣り用リールのドラグ座金を提供することを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
2件

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請求項1

請求項2

前記シートの厚みが0.7〜1.2mmである請求項1に記載の魚釣り用リールのドラグ座金。

請求項3

前記シートのかさ密度が、0.8〜1.2g/cm3 である請求項1又は2に記載の魚釣り用リールのドラグ座金。

請求項4

膨張黒鉛40〜80質量%と、耐熱性補強繊維5〜25質量%と、耐熱性バインダー10〜40質量%と、を混合し、熱処理によって前記耐熱性バインダーを硬化してなるシートより成形されてなる魚釣り用リールのドラグ座金。

請求項5

前記シートの厚みが0.7〜1.2mmである請求項4に記載の魚釣り用リールのドラグ座金。

請求項6

前記シートのかさ密度が、0.8〜1.2g/cm3 である請求項4又は5に記載の魚釣り用リールのドラグ座金。

請求項7

請求項1乃至6のいずれかに記載の魚釣り用リールのドラグ座金を用いた魚釣り用リール。

技術分野

0001

本発明は魚釣り用ドラグ機構に用いられるドラグ座金及びそれを用いた魚釣り用リールに関する。

背景技術

0002

従来、魚釣り用リールのドラグ機構は、とのやり取りの際に釣り糸に切断を生じないよう、釣り糸に所定値以上の張力が作用した場合にはドラグ機構を滑らせて釣り糸の繰り出しを許すように、ドラグ機構の制動力の値を設定している。このようなドラグ機構に用いられる制動摩擦板としてのドラグ座金には、アスベストフェノール樹脂成形体可燃性織布に油グリースを塗布、含浸したもの、あるいは炭素繊維の織布に樹脂含浸硬化したもの等が採用されている。

0003

しかし、これらドラグ座金は、海水混入による摩擦抵抗の変動、摩擦熱による摩擦抵抗の変動、締付力による厚み方向の耐久性に起因する摩擦抵抗の変動等、環境変化により摩擦抵抗が変動しやすいという問題点を有していた。

0004

このようなドラグ座金の問題点を解消するために、黒鉛製のドラグ座金が最近になり開発された。黒鉛製のドラグ座金は、前述したような環境変化によって摩擦抵抗が変動することが少なく、長期間にわたって、優れたドラグ力を発揮する。しかしながら、黒鉛製の場合、製法上、ドラグ座金とするためには、ある程度の大きさの黒鉛質ブロックから、機械加工により任意の大きさのドラグ座金に削り出す必要がある。そのため、黒鉛製のドラグ座金を使用した魚釣り用のリールは製造コストが高くなり、一部高級品にのみにしか使用されないという問題がある。また、一般的な魚釣りの場合には、黒鉛製のドラグ座金を使用した場合、前述したように非常に長期間に渡り、優れたドラグ力を発揮し、快適な操作性を提供することができる。しかしながら、カジマグロ等の大型魚用のリールに用いた場合、ドラグ機構の制動力を比較的大きい値に設定するため、ドラグ座金には、大きな制動力が作用し、黒鉛材料の欠点の一つである脆さによって、割れてしまうことがある。

発明が解決しようとする課題

0005

そこで、本発明は黒鉛製のドラグ座金と同等若しくはそれ以上のドラグ力を長期にわたり発揮することができ、安価に且つ容易に製造可能であり、小型魚から大型魚まで対応可能な魚釣り用リールのドラグ座金を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

本発明者らは、黒鉛材料同様に優れた摺動特性を有する膨張黒鉛シートに着目し、鋭意研究を続けた。しかしながら、従来の膨張黒鉛シートは優れた摺動特性を有する反面、魚釣り用リールのドラグ座金として必要な強度、硬度等が備わっておらず、魚釣り用リールのドラグ座金として使用することができなかった。そこで、本発明者らは、膨張黒鉛補強材として繊維パルプ等の耐熱性補強繊維を加え、これらを熱硬化性樹脂等の耐熱性バインダーを用いて結合することで、硬度を高めることができることを見出した。更には、魚釣り用リールのドラグ座金として使用でき得る強度及び摺動特性を併せ持ったシートとできるような膨張黒鉛、耐熱性補強繊維、耐熱性バインダーの3成分の配合割合を見出し、本発明を完成させた。

0007

即ち、本発明の魚釣り用リールのドラグ座金は、膨張黒鉛と耐熱性補強繊維との混在物が、耐熱性バインダーにより固化されてなるシートより成形されてなることを特徴とする。また、前記シートの厚みが0.7〜1.2mm、かさ密度が0.8〜1.2g/cm3 であることが好ましい。また、膨張黒鉛40〜80質量%と、耐熱性補強繊維5〜25質量%と、耐熱性バインダー10〜40質量%と、を混合し、熱処理によって前記耐熱性バインダーが硬化してなることを特徴とする。

0008

本発明の魚釣り用リールのドラグ座金に使用される膨張黒鉛は、例えば、燐状黒鉛硫酸酸化剤を用いて酸処理黒鉛とし、1000℃前後に急熱して、100〜300倍に膨張させた後、造粒装置を用いて粉末状にする。また、膨張黒鉛をかさ密度0.05〜1.5g/cm3 のフェルト状又はシート状に成形後、高速ミルタイプ等の任意の粉砕機で粉末状にする。何れの粉末もかさ密度0.05〜0.5g/cm3 、平均粒子径が150〜250μmとしたものが好ましい。なお、造粒法で粉末状にしたものは層間の分離がよく、後述の耐熱性補強材や耐熱性バインダーと均一に混合しやすくなる。一方、かさ密度が0.05g/cm3 未満のフェルト等を粉砕したものは嵩が高く、取り扱いが難しくなる。また、かさ密度が1.5g/cm3 以上のシートを粉砕したものは粒状となり膨張黒鉛の特性を損なってしまう。

0009

この耐熱性補強繊維は、耐熱性のみならず、膨張黒鉛粉体補強する上で、パルプ状であり、かつ、比表面積の大きいことが好ましい。繊維としては、無機繊維有機繊維金属繊維のいずれでもよいが、実用的には、比表面積を比較的大きくとれる有機繊維が好ましい。具体的に例示すれば、パラ系又はメタ系のアラミド繊維パルプを使用することができる。また、不融性セルロースパルプ等も限定されるが使用することができる。

0010

前述の耐熱性補強繊維としてのパラ系アラミド繊維パルプは、比表面積が3.0m2 /g以上、好ましくは5〜20m2 /gであるものが好ましい。また、繊維長は0.9〜2.0mmで分散性も良く、フィラー保持率も50〜70%と高い。なお、比表面積が3.0m2 /g未満では膨張黒鉛の補強効果が不十分で得られたシートの強度が低くなる。

0011

また、これら膨張黒鉛と耐熱性補強繊維を結合する耐熱性バインダーには、熱硬化性樹脂が好ましく、特に、フェノール樹脂ポリエステル樹脂エポキシ樹脂等が好ましい。中でも、摺動特性が優れる平均分子量が5000以上、平均粒子径が20μm以下の微粒子状のフェノール樹脂が好ましい。これによって、溶剤にも溶けやすく、混合時に、膨張黒鉛粉末と繊維パルプ間に均等に分散させることができる。

0012

また、摺動特性を向上させることを目的に、場合によっては、摺動材として二硫化モリブデンの粉末等を4〜5質量%添加することで、摺動特性を制御することもできる。

0013

本発明における魚釣り用リールのドラグ座金に使用されるシートは、前述の各材料を混合して固化することで製造される。混合時の各材料の配合比率は、膨張黒鉛粉末40〜80質量%、好ましくは50〜70質量%、耐熱性補強繊維5〜25質量%、好ましくは10〜20質量%、耐熱性バインダー10〜40質量%、好ましくは20〜30質量%であることが好ましい。膨張黒鉛が40質量%未満であると、膨張黒鉛としての特性が得られず、また、80質量%を越えると十分な強度が発現しない。また、耐熱性補強繊維が5質量%未満であると、十分な耐熱性が得られず、25質量%を越えると分散性が悪くなる。また、耐熱性バインダーが10質量%未満であると、十分な摺動性が発現せず、40質量%を越えると、硬度が高くなり、膨張黒鉛の特性を損なってしまう。また、場合によっては、前述のように摺動材として二硫化モリブデンの粉末等を4〜5質量%添加してもよい。

0014

以上の配合比率に各材料を混合したものを原料として、魚釣り用リールのドラグ座金に使用されるシートを製造する。その製造方法は、乾式法湿式法に大別される。次に、これら乾式法、湿式法それぞれに分けて説明する。

0015

まず、乾式法による製造方法について説明する。予め、耐熱性バインダーをメタノール等の溶媒に溶かしておき、ニーダー等の任意の混合機で、これと前述の耐熱性補強繊維や膨張黒鉛とを均一に分散、混合する。次にこのように混合された原料を、ジョイントシート等を製造する装置のカレンダーロールに供給して均一な厚さに圧延してシート化する。加熱されたカレンダーロールに巻きつけることにより耐熱性バインダーを溶かした溶媒が蒸発するとともに、耐熱性バインダーが溶融、固化し、所望のシートとすることが可能となる。

0016

次に、湿式法による製造方法について説明する。前述の膨張黒鉛の粉末状のものも使用できるが、湿式法ではかさ密度0.05〜1.5g/cm3 のフェルト状の膨張黒鉛成形物を多量の水とハイドロパルパー型等の混合機を用いて粗砕する。そこへ、耐熱性補強繊維を添加し、均一に分散させる。これをレファイナー型等の精砕機に通し、膨張黒鉛の平均粒子径が180〜230μmとなるように調整する。この時フェルトのかさ密度が0.05g/cm3 より低いと膨張黒鉛粒子空洞中膨張ガスが抜けにくく、水中で攪拌を行い、粉砕しても原料が浮いた状態のようになる。また、かさ密度が1.5g/cm3 より高くなると、粉砕された原料が粒状となり、シートの強度が小さくなる。次いで、耐熱性バインダーを添加し、均一に分散させる。分散時には、分散性をよくするためにアニオン系の分散剤やNBR系のラテックスを添加しておくことが好ましい。その後、カチオン性凝集剤水溶液を添加し、耐熱性バインダーを完全に定着させる。この混合液中の膨張黒鉛、耐熱性補強繊維、耐熱性バインダー等の原料の濃度は1.0〜2.0%であることが好ましい。

0017

前述の膨張黒鉛、耐熱性補強繊維、耐熱性バインダー等の原料の濃度が1.0〜2.0%の混合液を、所定寸法の抄き網が設けられたタンクに一定量注入し、この混合液と同量の水で希釈し、均一に分散させる。その後、水切り脱水工程)を行い、含水率50〜60%のシートを得る。このシートをフェルトで挟み、プレス圧縮してさらに、脱水を行い、100〜120℃のオーブンに入れ乾燥する。そして、カレンダーロールに通し、150〜250℃で0.5〜1.0時間熱処理し、耐熱性バインダーを硬化して、厚み0.7〜1.2mm、好ましくは0.7〜1.0mmとし、かさ密度0.8〜1.2g/cm3 、好ましくは0.9〜1.1g/cm3 となるように調整する。ここで、厚みが0.7mmよりも薄い場合、ドラグ座金として十分な強度が発現しない。また、1.2mmよりも厚くなると、摩擦抵抗が大きくなり、適度なドラグ力にならない。また、かさ密度を0.8g/cm3 未満とすると、厚みを薄くした場合と同様にドラグ座金として十分な強度が発現しない。また、かさ密度を1.2g/cm3 を越えるものは、動摩擦係数の変動が大きくなり、時間の経過とともに摩擦係数が大きくなる傾向にあり、ドラグ座金として長時間の使用が困難となる。そして、かさ密度をこのような範囲内に納めることで、適度な気孔を有することとなり、魚釣り用リールに装着した場合に、グリス等の潤滑剤を用いることで、これら潤滑剤が、気孔内充填され、使用時に海水等の浸透による潤滑性の低下を防止することにもなる。なお、この方法は、単葉のシートを製造する場合に適している。

0018

また、連続シートを製造する場合は、前述の膨張黒鉛、耐熱性補強繊維、耐熱性バインダー等の原料の濃度が1.0〜2.0%の混合液を、一定量タンク注入し、この原料混合液と同量の水で希釈し、均一に分散させる。この水懸濁液長網式の上下ダブルワイヤーを通し、抄いて70%前後の水分を含むシートとする。さらにフェルトプレスを通し、含水率を50%前後に脱水した後に、多筒式ドライヤーを通し乾燥する。このシートを室温のカレンダーロールに通し、厚み0.7〜1.2mm、好ましくは0.7〜1.0mmとし、かさ密度0.8〜1.2g/cm3 、好ましくは0.9〜1.1g/cm3 となるように調整する。カレンダーロールを加熱せずに、室温の状態で通すことで、面粗度が大きくなり、ドラグ力の向上につながる。その後、150〜250℃の乾燥炉で0.5〜1.0時間熱処理を行い、耐熱性バインダーを硬化させる。

0019

以上のようにして形成されたシートから、任意の大きさ、形状に打ち抜き加工することで、小型魚から大型魚のあらゆる魚釣り用リールに対応可能となる。そして、従来のドラグ座金に使用されていたものに比して安価に魚釣り用リールのドラグ座金とすることができる。

発明を実施するための最良の形態

0020

以下、図面を参照しつつ本発明によるドラグ座金を用いた魚釣り用リールの実施形態例を示す。図1に本発明のドラグ座金を採用したスピニングリールの一例を、図2図1のスピニングリールのドラグ機構の側面断面図を示す。図1及び図2において、スピニングリールは、釣り糸巻取用ハンドル1と、この釣り糸巻取用ハンドル1につながる巻取伝動系介装したリール本体2と、リール本体2の前端に回転不能に取り付けられたスプール軸3を配設するとともに、このスプール軸3に相対回転可能にスプール4と、スプール4周りを回転する回転枠5及び回転枠5に取り付いたベールアーム6とで構成されている。

0021

そして、スプール4はその前端に、内部に凹入する凹入空間を形成し、スプール4に対するドラグ機構7を配置して設けるとともに、このドラグ機構7の外側にドラグ機構7に作用してドラグ力を発生するドラグ操作具22が設けられている。このドラグ操作具22を操作することにより、ドラグ座金にドラグ力が作用し、魚釣り用リールのスプール4の糸繰り出し方向の回転を可変に制動可能となる。なお、ドラグ機構7には、ハンドル軸螺合するスタードラグ回転操作によりドラグ力を調整するものや、リール本体に揺動自在に装着されたドラグレバー揺動操作によりドラグ力を調整するものや、スプール軸に螺合し、その回転操作によりドラグ力を調整できるもの等が例示できる。

0022

図2において、ドラグ機構7は、スプール軸3に相対回転不能にかつスプール軸3の軸心方向スライド移動自在に設けられたドラグ座金8と、このドラグ座金8間にスプール4と一体回転するドラグ座金9と、それらの間及びスプール4の受け止め壁面4aとの間に設けられたドラグ座金10とで構成されている。ここで、ドラグ座金8乃至10の少なくとも一部に、本発明における膨張黒鉛と耐熱性補強繊維との混在物が、耐熱性バインダーにより固化されてなるシートから成形されたものを使用することが好ましい。即ち、ドラグ座金10に本発明におけるドラグ座金10を用い、そして、ドラグ座金8及び9にはステンレス合金等の金属製の座金を使用することが好ましい。また、ドラグ座金10にステンレス合金等の金属製の座金を、ドラグ座金8及び9に本発明におけるシートから成形されたものを使用することもできる。また、これらドラグ座金8乃至10全てを本発明におけるシートから成形されたものを使用することもできる。

0023

ドラグ機構7には、ドラグ操作具22の内断面が接当作用するように設けられている。このドラグ操作具22の内部空間には、スプール軸3に装着される固定部材11と、この固定部材11に対して相対回転及び相対移動自在な中間移動部材12とが配置されている。この中間移動部材12の中心部にスプール軸3と螺合する第1ネジ部13を設けるとともに、前記中間移動部材12の中間部にドラグ操作具22を螺合する第2ネジ部14が設けられている。ここで、第2ネジ部14のネジピッチを第1ネジ部13のネジピッチより大きくすることが好ましいが、逆の場合でもよい。

0024

また、固定部材11と、中間移動部材12と、ドラグ操作具22とは、スプール軸3の軸心に直交する方向に移動するスライド式係合ピン15によって係合される。

0025

ここで、スライド式係合ピン15を、ドラグ操作具22と、中間移動部材12とに係合すると、ドラグ操作具22と中間移動部材12とを一体でスプール軸3の軸心周りに回転させ、スプール軸3の軸心方向に第1ネジ部13のネジピッチで移動させることができる。また、スライド式係合ピン15を、軸心方向に進めて、ドラグ操作具22と、中間移動部材12と、固定部材11とに係合させると、中間移動部材12を固定部材11を介してスプール軸3に固定でき、ドラグ操作具22を中間移動部材12に対して第2ネジ部14のネジピッチで相対移動させることができる。したがって、第2ネジ部14のネジピッチで移動させることによって、第1ネジ部13のネジピッチで移動させるより、ドラグ操作具22の単位操作量当たりの移動量を大きくすることができ、釣り対象の魚の大きさに合わせてドラグ力を任意の大きさに調整することができる。

0026

以上のようにして、釣り対象の魚に合わせてドラグ力を調整することで、例えば、魚の引きが弱ければ、スプール3は回転せず、釣り糸が引き出されることもない。また、魚の引きが強くなり、スプール3の回転力が大きくなると、伝達される回転力が設定された値を越える。すると、ドラグ機構7で、ドラグ座金8〜10間で、滑りが生じ、スプール3は回転を始める。このとき、スプール3には常に一定のドラグ力が作用する。このドラグ力が作用するとき、ドラグ座金10に本発明における膨張黒鉛と耐熱性補強繊維との混在物が、耐熱性バインダーにより固化されてなるシートから成形されたドラグ座金を使用することで、非常にスムーズに糸が繰り出されるようになり、糸の切断等が少なくなる。また、膨張黒鉛の有する優れた熱伝導性により、長時間使用しても温度変化によるドラグ特性の劣化を抑制するとともに長期間にわたり、一定のドラグ力を提供することができる。なお、本実施形態例では、スピニングリールのフロントドラグ形式について説明してきたが、スピニングリールのリアドラグ形式のドラグ座金としても使用することもできる。

0027

(他の実施形態)
前記実施形態では、スピニングリールを例に説明したが、図3に示すレバードラグ型の両軸受リールや、図4に示す片軸受リ−ル等のドラグ機構を有する全ての釣り用リールに本発明を適用することができる。

0028

例えば、図3において、レバードラグ型の両軸受リールは、スプール105とスプール軸106とがクラッチ機構107を介して連結されたリールである。スプール105を制動するドラグ機構100は、ドラグレバー101の揺動操作によりスプール軸106が軸方向に移動してドラグ力が調整される。ドラグ機構100は、ハンドル102の回転を伝達する回転伝達機構103の途中に配置されている。ドラグ機構100は、スプール軸106に回転不能に装着された第1ドラグ部110と、回転伝達機構103に連結された第2ドラグ部111とを有している。回転伝達機構103は、糸繰り出し方向の回転が禁止されている。両ドラグ部110、111は圧接可能に対向して配置されており、ドラグレバー101を操作すると第1ドラグ部110がスプール軸106とともに軸方向に移動し、第2ドラグ部111との圧接力が変化しドラグ力が調整される。この第2ドラグ部110には、本発明における膨張黒鉛と繊維パルプとの混在物が、熱硬化性樹脂により固化されてなるシートから成形されたドラグ座金110aが固着されており、第2ドラグ部111にはドラグ座金110aに対向してステンレス合金製のドラグ座金111aが固着されている。

0029

このような構成のドラグ機構100でも、設定されたドラグ力を超える魚の引きによりスプール105が糸繰り出し方向に回転して第2ドラグ部111に対して第1ドラグ部110が回転すると、前記実施形態と同様な効果が得られる。なお、レバードラグ型の両軸受リールにおいて、スプールに直接ドラグディスクを固着した形態のものにおいても同様な効果が得られる。

0030

また、図4において、片軸受リールは、ハンドル120によりスプール121を直接回転させるリールである。スプール121を制動するドラグ機構122は、ドラグつまみ123の揺動操作によりドラグ力が調整される。ドラグ機構122は、スプール121内部に配置されている。ドラグ機構122は、スプール軸130にワンウェイクラッチ124を介して連結された筒状のホルダ125と、ドラグ座金126と、ドラグ座金126を押圧するための押圧機構127とを備えている。ホルダ125の一端面は、2枚のワッシャ128、129を介してスプール121の内側端面に当接している。ワンウェイクラッチ124は、ホルダ125がスプール軸130に対して糸巻上げ方向に回転するのは許容するが、糸繰り出し方向に相対回転するのは禁止する。ドラグ座金126は本発明における膨張黒鉛と繊維パルプとの混在物が、熱硬化性樹脂により固化されてなるシートから成形されたリング状の部材であり、ホルダ125の他端面と押圧機構127との間に両者に接触可能に配置されている。

0031

このような実施形態においても、手で釣り糸を引っぱり出すときや魚の引きにより釣り糸が繰り出されるときには前記と同様な効果が得られる。

0032

以上の実施形態では、膨張黒鉛と耐熱性補強繊維との混在物が、耐熱性バインダーにより固化されてなるシートから成形されたドラグ座金に回り止め部を設けていないが、図5に示すように、ドラグ座金160の外周部にスプール等の他の部材との回り止めを行う窪みで形成された回り止め部161を設けてもよい。また、図6に示すように、回り止め部163を突起で形成してもよい。本発明における膨張黒鉛と耐熱性補強繊維との混在物が、耐熱性バインダーにより固化されてなるシートは、打ち抜き加工が可能であるため、このように、リール種類に合わせて回り止め部161、163を有したドラグ座金160、162を容易に得ることができる。

0033

以下、実施例により本発明におけるドラグ座金の特性を具体的に説明する。

0034

(実施例1)200倍に膨張させた鱗状黒鉛を造粒装置を用いて、かさ密度0.08g/cm3 の粉末状にした。この膨張黒鉛粉末78gを水1000gと共に混合機で約10分間攪拌して、更に細かく粉砕する。この時点で、膨張黒鉛は水に均一に分散し、懸濁された状態となる。また、耐熱性補強繊維としてアラミドパルプ20gを水1000gと一緒に混合機に投入して、5〜7分間攪拌し、アラミドパルプをほぐすと同時に水に均一に分散させる。使用したアラミドパルプの比表面積は14m2 /gであった。これらを、配合タンクで均一に混合することにより、アラミドパルプに膨張黒鉛粉末が凝集した状態になる。さらに、これらを結合する耐熱性バインダーとして使用する平均分子量が5000以上のフェノール樹脂粉末混合分散しやすいように、NBRラテックスを10g加えた後に、フェノール樹脂粉末を40gを加え、3〜4分攪拌して均一に懸濁させた。さらに、このフェノール樹脂をアラミドパルプ及び膨張黒鉛の凝集体に定着させるために、カチオン性の凝集剤の水溶液を添加し、水が透明状態になるまで攪拌し、混合液とした。次に、この混合液を抄き網を設けた底面が360×360mmのタンクに入れ、同量の水を更に加えて、膨張黒鉛、アラミドパルプ、フェノール樹脂の濃度を0.5%前後になるように希釈すると共に、これらを均一に分散させた後に、水切りを行いシート化した。さらに、サクションポンプで水切りを行い、フェルトに挟みプレスで圧縮して脱水を行い、シートとした。このシートを120℃の乾燥機で完全に乾燥した後で、カレンダーロールを通してシートの厚みを1.0mm、かさ密度を1.0g/cm3 に調整した。次いで、フェノール樹脂を架橋させるために200℃で1時間熱処理を行い、ドラグ座金用のシートとした。得られたシートは、引張強度7.4MPa、35MPaの圧縮応力を付加した時の圧縮率が17.5%、その時の復元率が63.0%、表面の粗度が18〜22μmであった。

0035

(比較例1)シートの厚みを0.6mm、かさ密度を1.3g/cm3 に調整した以外、実施例1と同様にして、シートを作製し、ドラグ座金用のシートとした。

0036

実施例1及び比較例1によるドラグ座金用シートから、φ30mmのディスク切り出し、このディスクにピン状の相手材押しつけて行う、いわゆるピンオンディスク法により、動摩擦係数を測定した。ピンオンディスク法による測定条件は以下の通りである。
ピン :SUS 304
ピン径 :5mm
荷重:1kg
回転速度 :250mm/s
回転半径:12.6mm
測定時間 :3600s
測定温度:室温

0037

以上の動摩擦係数の測定結果図7及び図8に示す。図7は実施例1、図8は比較例1の試料の動摩擦係数測定結果である。

0038

図7及び図8より、比較例1の試料の動摩擦係数の変動が大きいことがわかる。従って、ドラグ座金として使用した場合でも、時間の経過に従って、ドラグ力が異なることになる。

0039

また、実施例1の試料について、実際に魚釣り用リールに装着し、ドラグ締付力、即ちスタードラグの回転数とドラグ力との関係を求めた。その結果を図9に示す。図9より判るように、本発明に係るドラグ座金は、スタードラグの回転数の略比例的に増加していることが判る。即ち、スタードラグの回転でドラグ力の微妙な調整ができることを示しており、釣り人に快適な操作性を提供することができる。また、この時のドラグ力は、従来の黒鉛製のドラグ座金と同等以上であった。また、一定の引張力で定期的に釣り糸を引き出して行う耐久性の結果でも、本発明に係るドラグ座金は、従来の黒鉛製のドラグ座金の同等以上の結果であった。以上のように、本発明に係るドラグ座金は、動摩擦係数がほぼ一定であるとともに、そのドラグ力や、耐久性等が、長期にわたり安定しており、釣り人に快適な操作性を長期にわたり提供することができる。

発明の効果

0040

本発明における膨張黒鉛と耐熱性補強繊維との混在物が、耐熱性バインダーにより固化されてなるシートから成形された魚釣り用リールのドラグ座金は、ドラグ機構を有する全ての種類の魚釣り用リールに適用することが可能であり、従来の一部高級品に用いられていた黒鉛製のものと同様、動摩擦係数が、温度や締付力に影響されず、また、海水などに影響されることなく、ほぼ一定となる。そして、打ち抜き加工することで容易に座金とすることが可能となることから、製造コストを大幅に低減できるとともに、魚釣り用リールのドラグ力が長時間安定して維持する事が可能となり、快適な魚釣りを行うことができる。

図面の簡単な説明

0041

図1本発明のドラグ座金を採用した一実施形態例のスピニングリールの側面図である。
図2本発明のドラグ座金を採用した一実施形態例のスピニングリールのドラグ機構の側面断面図である。
図3本発明のドラグ座金を採用した一実施形態例のレバードラグ型の両軸受リールの側面断面図である。
図4本発明のドラグ座金を採用した一実施形態例の片軸受リールの側面断面図である。
図5本発明のドラグ座金の変形例の一例を示す図である。
図6本発明のドラグ座金の変形例の一例を示す図である。
図7本発明の実施例1におけるシートの動摩擦係数の測定結果を示す図である。
図8本発明の比較例1におけるシートの動摩擦係数の測定結果を示す図である。
図9本発明の実施例1におけるシートより成形したドラグ座金のドラグ力とスタードラグの回転数の関係を示す図である。

--

0042

1釣り糸巻取用ハンドル
2 リール本体2
3、106、130スプール軸
4、105、121スプール
5回転枠5
6ベールアーム
7、100、122ドラグ機構
8、9、10、110a、111a、126ドラグ座金
11固定部材
12中間移動部材
13 第1ネジ部
14 第2ネジ部
15スライド式係合ピン
22ドラグ操作具
101ドラグレバー
102 ハンドル
103回転伝達機構
107クラッチ機構
123ドラグつまみ
124ワンウェイクラッチ
125ホルダ
127押圧機構
128、129 ワッシャ

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