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技術 記録装置、磁気記録媒体および光記録媒体

出願人 株式会社東芝
発明者 市原勝太郎喜々津哲彦坂和志荻原英夫
出願日 1999年12月28日 (20年11ヶ月経過) 出願番号 1999-375031
公開日 2001年7月10日 (19年5ヶ月経過) 公開番号 2001-189001
状態 拒絶査定
技術分野 磁気記録担体 光学的記録担体およびその製造 光学的記録再生1 磁気記録再生1
主要キーワード メタルリング 空間的間隔 平均ドメインサイズ 自己組織化プロセス デジタル信号系列 リング開口 揺らぎ量 Ptメッキ
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (8)

課題

自己組織化規則性媒体ドメイン構造に起因するノイズの影響を解消した、記録媒体記録装置を提供する。

解決手段

複数の粒子規則的に配列したドメインを複数有する記録媒体と、記録媒体の駆動手段と、記録・再生手段とを具備した記録装置において、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの下限値をDdmin(μm)、データ帯域の下限をFmin(MHz)、前記記録媒体の線速度をV(m/s)とおく時、2Fmin≧V/Ddminを満足する。

概要

背景

記録媒体とそれを搭載する記録装置は、情報化社会において重要な役割を果たしており、今後もその高密度化が期待されている。主な記録媒体と記録装置としては、磁気的に情報の記録再生を行う磁気記録媒体磁気記録装置、および光学的に情報の記録再生を行う光記録媒体光学式記録装置が挙げられる。

磁気的に情報の記録再生を行う磁気記録媒体とそれを搭載する磁気記録装置は、数10Gb/in2以上の高記録密度化が可能なこと、数100Mbps以上のデータ転送速度が実現可能であるという利点を有する。このため、磁気ディスク装置の形態で、主にパーソナルコンピューター用データファイル通信サーバ、大型計算機ファイルなどに、また磁気テープ装置の形態で、個人向け放送局向けの画像・音声ファイルなどに幅広く普及している。今後もマルチメディア時代へ向けて情報量の飛躍的増加が続く中で、さらなる高密度化・高速転送化が期待されている。

固定型磁気ディスク装置(HDD)の面記録密度は、過去5年以上に亘り平均年率で60%以上の向上を示してきており、現在では製品レベルで既に10Gb/in2を超えている。面密度の向上は、磁気抵抗効果再生ヘッドの採用、記録磁極材料の高飽和磁束密度化、狭トラックヘッド加工技術の向上、磁気ヘッドの狭ギャップ化スライダーの小型化・高精度加工化、サーボ高精度化、PRML,ECCなど変復調技術の改良など、様々な要素技術改革と改良に依っている。媒体技術に着目すると、表面平滑化平坦化によるヘッド浮上量低下、磁性層高保磁力化薄膜化による磁化転移幅の短縮、磁性粒子間交換相互作用低減(孤立化)と磁性粒子サイズ微細化による媒体ノイズ低減などの要素技術の進展が進んでいる。

近年、媒体磁性粒子の孤立化が進んだ結果、磁性粒子の熱擾乱問題が顕在化し、これが磁気記録装置、特にHDDの記録密度限界を規定するという危機感が出てきている。

記録密度の向上は、記録セルサイズの縮小と、それに伴う媒体信号磁界の低下をもたらす。したがって、システムが要求するS/Nを満足する上では、信号量の低下に対応してノイズを低下させなければならない。媒体ノイズは主に磁化転移の揺らぎに起因しており、揺らぎ量は磁性粒子の磁化反転単位に比例する。したがって、媒体ノイズを低下する上では、磁性粒子間の交換相互作用を断ち切って粒子を孤立化させ、さらに磁性粒子サイズを微細化する必要がある。磁性粒子を孤立化させた場合、粒子1つが持つ磁気的なエネルギーは、粒子の磁気異方性エネルギー密度と粒子の体積との積で与えられる。低ノイズ化の要求を満たすために粒子サイズを微細化すると、粒子の持つ磁気エネルギーが著しく低下する。磁気エネルギーが、磁気メモリーとしての動作温度(通常室温付近)での熱エネルギーの100倍程度以上有れば、熱擾乱耐性は十分にあると考えられるが、100倍を切ると熱擾乱により情報が失われる可能性が出てくる。以上が熱擾乱問題である。

熱擾乱問題を解決する目的で、単純に磁気異方性の高い磁性材料を使うことはできない。なぜならば磁気異方性を高くすると媒体の保磁力が大きくなり、記録しにくくなるからである。記録ヘッド磁極材料をさらに高飽和磁束密度化するアプローチも考えられるが、軟磁性膜材料の飽和磁束密度の増大は高々現行の2.5倍程度が限界であり、記録磁極サイズが縮小して記録磁界が低減することも考慮に入れると、単純に媒体に磁気異方性の高い磁性材料を用いるのは実用的ではない。

熱擾乱問題を解決するための最有力候補が規則性媒体である。従来より磁気記録媒体には、磁性結晶粒子集合体からなる薄膜、すなわち多粒子系磁性膜が用いられている。しかし、多粒子系磁性膜では、粒径分散が大きく、粒子の配列もランダムである。このため多粒子ランダム媒体では、たとえ平均粒径が媒体ノイズと熱擾乱を両立する値に調整されていたとしても、平均粒径より小さい粒子群はノイズの原因にはならないが熱擾乱耐性に劣り、平均粒径よりも大きい粒子群は熱擾乱耐性は高いがノイズの原因になる、という問題がある。また、多粒子ランダム媒体では粒子充填率が低く媒体信号が制限されるとともに、配列の不規則性に起因して磁化転移部の揺らぎが大きい。規則化媒体は、これらの問題を解決するために提案されたものであり、磁性粒子の粒径分散を低減し、かつ配列を規則化している。このため、同一の平均粒子サイズで比較した場合、規則性媒体は多粒子ランダム媒体よりも格段に記録密度の向上が期待できる。

規則性磁気記録媒体の提案例としては、例えばJ.Appl.Phys.76(10)6673,1994を挙げることができる。これはSiウェファー上にAuシード層レジストをコートした試料電子ビーム(EB)直描露光し、現像して微小孔群を形成した後、微小孔群中にNiをメッキ成長させて、直径35nmのNiピラーアレーを100nm間隔で規則的に形成したものである。しかしながらEB直描は研究室ベルで1つの試料を作製する上では問題がないが、工業的に磁気媒体を製造するプロセスとしてはコスト、生産性の観点から不適切であることはいうまでもない。

低コストで作製できる規則性媒体は例えばJpn.J.Appl.Phys.30(2)282,1991およびJ.Electrochem.Soc.122(1)32,1975に提案されている。これらは自己組織化したポーラスアルマイト中に磁性体をメッキ成長した例である。Alを陽極酸化すると、Al表面の原子的欠陥転移など)を核として自己組織化したポーラスアルマイト群が成長する。このメカニズムは、核に電流が集中して1つのポアを含むアルマイト柱が形成されると、柱の周囲に規則的な電流密度分布ができ、この分布に起因して最初にできた柱の隣に新たな柱が規則的に成長するというものである。核の分布は欠陥の分布なので、規則的な配列のできる距離は、欠陥と欠陥の間の距離に等しい。欠陥と欠陥の間の規則的に配列した領域がドメインである。ドメイン内部では粒子配列はほぼ完全に規則的だが、ドメイン間での規則性に相関はない。ポーラスアルマイト以外に、ブロックコポリマーを用いるなど、幾つかの自己組織化の手法が提案されているが、いずれもドメイン構造を呈する。

しかし、本発明者らの実験によれば、ドメイン構造を有する規則性磁気媒体に記録を行うと、ドメインに起因する周期的なノイズを発生することが明らかになった。

一方、光学的に情報の記録再生を行う光記録媒体と光学式記録装置は、記録密度、データ転送速度、アクセス時間という指標では磁気記録装置に劣るものの、特有の非接触アクセス性から、媒体可搬、長寿命という大きな利点がある。記録装置1台当りの記憶容量は実質的に無限大でありかつ信頼性が極めて高い。用途としては再生専用形を中心とするパッケージメディア記録再生用を中心とするバックアップファイルアーカイバルファイルなどが挙げられる。光記録媒体のうち相変化媒体は、光強度変調オーバライトが容易なこと、原理的に反射率変化を検出して再生するのですでに普及しているCD−ROM、今後普及が期待されるDVD−ROMとの再生互換が取り易い。したがって、相変化媒体は今後光記録の主流になると見込まれている。相変化媒体は多結晶中に非晶質のマークを形成することにより記録を行う。このため、結晶粒径が大きいとマークエッジのノイズが問題となり、また結晶の粒径分散が大きいとバックグラウンドノイズが問題となる。そこで、相変化媒体も自己組織化プロセスで作製する試みがなされている。自己組織的に作製した相変化媒体は、結晶粒径が制御されかつ分散量が少ないため極めて低ノイズであり、記録密度を高くする上で好適である。

しかし、本発明者らの実験によれば、ドメイン構造を有する規則性相変化媒体に記録を行った場合にも、規則性磁気記録媒体の場合と同様に、ドメインに起因する周期的なノイズを発生することが明らかになった。

概要

自己組織化規則性媒体のドメイン構造に起因するノイズの影響を解消した、記録媒体と記録装置を提供する。

複数の粒子が規則的に配列したドメインを複数有する記録媒体と、記録媒体の駆動手段と、記録・再生手段とを具備した記録装置において、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの下限値をDdmin(μm)、データ帯域の下限をFmin(MHz)、前記記録媒体の線速度をV(m/s)とおく時、2Fmin≧V/Ddminを満足する。

目的

本発明の目的は、自己組織化規則性媒体のドメイン構造に起因するノイズの影響を解消した、記録媒体と記録装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

複数の粒子規則的に配列したドメインを複数有する記録媒体と、この記録媒体の駆動手段と、前記記録媒体上でデータの記録もしくは再生を行う記録・再生手段とを具備した記録装置において、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの下限値をDdmin(μm)、データ帯域の下限をFmin(MHz)、前記記録媒体の線速度をV(m/s)とおく時、下記式2Fmin≧V/Ddminを満足することを特徴とする記録装置。

請求項2

全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの上限値をDdmax(μm)、サーボサンプリング周波数をFs(MHz)とおく時、下記式Fs≦V/Ddmaxを満足することを特徴とする請求項1記載の記録装置。

請求項3

前記記録媒体が多粒子系磁気記録媒体であり、磁気的にデータの記録もしくは再生を行うことを特徴とする請求項1または2記載の記録装置。

請求項4

前記記録媒体が多結晶相変化媒体であり、光学的にデータの記録もしくは再生を行うことを特徴とする請求項1または2記載の記録装置。

請求項5

複数の磁性粒子が規則的に配列したドメインを複数有する磁気記録媒体において、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの下限値をDdmin(μm)、磁化転移間隔の最大値Bmax(μm)とおく時、下記式Ddmin≧Bmaxを満足することを特徴とする磁気記録媒体。

請求項6

全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの上限値をDdmax(μm)、サーボデータ間隔をBs(μm)とおく時、下記式Bs≧Ddmaxを満足することを特徴とする請求項5記載の磁気記録媒体。

請求項7

複数の結晶粒子が規則的に配列したドメインを複数有する光記録媒体において、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの下限値をDdmin(μm)、マーク長の最大値をBmax(μm)とおく時、下記式Ddmin≧Bmaxを満足することを特徴とする光記録媒体。

請求項8

全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの上限値をDdmax(μm)、サーボデータ間隔をBs(μm)とおく時、下記式Bs≧Ddmaxを満足することを特徴とする請求項7記載の光記録媒体。

技術分野

0001

本発明は、情報の記録再生を行う記録装置および記録媒体高密度化技術に関する。

背景技術

0002

記録媒体とそれを搭載する記録装置は、情報化社会において重要な役割を果たしており、今後もその高密度化が期待されている。主な記録媒体と記録装置としては、磁気的に情報の記録再生を行う磁気記録媒体磁気記録装置、および光学的に情報の記録再生を行う光記録媒体光学式記録装置が挙げられる。

0003

磁気的に情報の記録再生を行う磁気記録媒体とそれを搭載する磁気記録装置は、数10Gb/in2以上の高記録密度化が可能なこと、数100Mbps以上のデータ転送速度が実現可能であるという利点を有する。このため、磁気ディスク装置の形態で、主にパーソナルコンピューター用データファイル通信サーバ、大型計算機ファイルなどに、また磁気テープ装置の形態で、個人向け放送局向けの画像・音声ファイルなどに幅広く普及している。今後もマルチメディア時代へ向けて情報量の飛躍的増加が続く中で、さらなる高密度化・高速転送化が期待されている。

0004

固定型磁気ディスク装置(HDD)の面記録密度は、過去5年以上に亘り平均年率で60%以上の向上を示してきており、現在では製品レベルで既に10Gb/in2を超えている。面密度の向上は、磁気抵抗効果再生ヘッドの採用、記録磁極材料の高飽和磁束密度化、狭トラックヘッド加工技術の向上、磁気ヘッドの狭ギャップ化スライダーの小型化・高精度加工化、サーボ高精度化、PRML,ECCなど変復調技術の改良など、様々な要素技術改革と改良に依っている。媒体技術に着目すると、表面平滑化平坦化によるヘッド浮上量低下、磁性層高保磁力化薄膜化による磁化転移幅の短縮、磁性粒子間交換相互作用低減(孤立化)と磁性粒子サイズ微細化による媒体ノイズ低減などの要素技術の進展が進んでいる。

0005

近年、媒体磁性粒子の孤立化が進んだ結果、磁性粒子の熱擾乱問題が顕在化し、これが磁気記録装置、特にHDDの記録密度限界を規定するという危機感が出てきている。

0006

記録密度の向上は、記録セルサイズの縮小と、それに伴う媒体信号磁界の低下をもたらす。したがって、システムが要求するS/Nを満足する上では、信号量の低下に対応してノイズを低下させなければならない。媒体ノイズは主に磁化転移の揺らぎに起因しており、揺らぎ量は磁性粒子の磁化反転単位に比例する。したがって、媒体ノイズを低下する上では、磁性粒子間の交換相互作用を断ち切って粒子を孤立化させ、さらに磁性粒子サイズを微細化する必要がある。磁性粒子を孤立化させた場合、粒子1つが持つ磁気的なエネルギーは、粒子の磁気異方性エネルギー密度と粒子の体積との積で与えられる。低ノイズ化の要求を満たすために粒子サイズを微細化すると、粒子の持つ磁気エネルギーが著しく低下する。磁気エネルギーが、磁気メモリーとしての動作温度(通常室温付近)での熱エネルギーの100倍程度以上有れば、熱擾乱耐性は十分にあると考えられるが、100倍を切ると熱擾乱により情報が失われる可能性が出てくる。以上が熱擾乱問題である。

0007

熱擾乱問題を解決する目的で、単純に磁気異方性の高い磁性材料を使うことはできない。なぜならば磁気異方性を高くすると媒体の保磁力が大きくなり、記録しにくくなるからである。記録ヘッド磁極材料をさらに高飽和磁束密度化するアプローチも考えられるが、軟磁性膜材料の飽和磁束密度の増大は高々現行の2.5倍程度が限界であり、記録磁極サイズが縮小して記録磁界が低減することも考慮に入れると、単純に媒体に磁気異方性の高い磁性材料を用いるのは実用的ではない。

0008

熱擾乱問題を解決するための最有力候補が規則性媒体である。従来より磁気記録媒体には、磁性結晶粒子集合体からなる薄膜、すなわち多粒子系磁性膜が用いられている。しかし、多粒子系磁性膜では、粒径分散が大きく、粒子の配列もランダムである。このため多粒子ランダム媒体では、たとえ平均粒径が媒体ノイズと熱擾乱を両立する値に調整されていたとしても、平均粒径より小さい粒子群はノイズの原因にはならないが熱擾乱耐性に劣り、平均粒径よりも大きい粒子群は熱擾乱耐性は高いがノイズの原因になる、という問題がある。また、多粒子ランダム媒体では粒子充填率が低く媒体信号が制限されるとともに、配列の不規則性に起因して磁化転移部の揺らぎが大きい。規則化媒体は、これらの問題を解決するために提案されたものであり、磁性粒子の粒径分散を低減し、かつ配列を規則化している。このため、同一の平均粒子サイズで比較した場合、規則性媒体は多粒子ランダム媒体よりも格段に記録密度の向上が期待できる。

0009

規則性磁気記録媒体の提案例としては、例えばJ.Appl.Phys.76(10)6673,1994を挙げることができる。これはSiウェファー上にAuシード層レジストをコートした試料電子ビーム(EB)直描露光し、現像して微小孔群を形成した後、微小孔群中にNiをメッキ成長させて、直径35nmのNiピラーアレーを100nm間隔で規則的に形成したものである。しかしながらEB直描は研究室ベルで1つの試料を作製する上では問題がないが、工業的に磁気媒体を製造するプロセスとしてはコスト、生産性の観点から不適切であることはいうまでもない。

0010

低コストで作製できる規則性媒体は例えばJpn.J.Appl.Phys.30(2)282,1991およびJ.Electrochem.Soc.122(1)32,1975に提案されている。これらは自己組織化したポーラスアルマイト中に磁性体をメッキ成長した例である。Alを陽極酸化すると、Al表面の原子的欠陥転移など)を核として自己組織化したポーラスアルマイト群が成長する。このメカニズムは、核に電流が集中して1つのポアを含むアルマイト柱が形成されると、柱の周囲に規則的な電流密度分布ができ、この分布に起因して最初にできた柱の隣に新たな柱が規則的に成長するというものである。核の分布は欠陥の分布なので、規則的な配列のできる距離は、欠陥と欠陥の間の距離に等しい。欠陥と欠陥の間の規則的に配列した領域がドメインである。ドメイン内部では粒子配列はほぼ完全に規則的だが、ドメイン間での規則性に相関はない。ポーラスアルマイト以外に、ブロックコポリマーを用いるなど、幾つかの自己組織化の手法が提案されているが、いずれもドメイン構造を呈する。

0011

しかし、本発明者らの実験によれば、ドメイン構造を有する規則性磁気媒体に記録を行うと、ドメインに起因する周期的なノイズを発生することが明らかになった。

0012

一方、光学的に情報の記録再生を行う光記録媒体と光学式記録装置は、記録密度、データ転送速度、アクセス時間という指標では磁気記録装置に劣るものの、特有の非接触アクセス性から、媒体可搬、長寿命という大きな利点がある。記録装置1台当りの記憶容量は実質的に無限大でありかつ信頼性が極めて高い。用途としては再生専用形を中心とするパッケージメディア記録再生用を中心とするバックアップファイルアーカイバルファイルなどが挙げられる。光記録媒体のうち相変化媒体は、光強度変調オーバライトが容易なこと、原理的に反射率変化を検出して再生するのですでに普及しているCD−ROM、今後普及が期待されるDVD−ROMとの再生互換が取り易い。したがって、相変化媒体は今後光記録の主流になると見込まれている。相変化媒体は多結晶中に非晶質のマークを形成することにより記録を行う。このため、結晶粒径が大きいとマークエッジのノイズが問題となり、また結晶の粒径分散が大きいとバックグラウンドノイズが問題となる。そこで、相変化媒体も自己組織化プロセスで作製する試みがなされている。自己組織的に作製した相変化媒体は、結晶粒径が制御されかつ分散量が少ないため極めて低ノイズであり、記録密度を高くする上で好適である。

0013

しかし、本発明者らの実験によれば、ドメイン構造を有する規則性相変化媒体に記録を行った場合にも、規則性磁気記録媒体の場合と同様に、ドメインに起因する周期的なノイズを発生することが明らかになった。

発明が解決しようとする課題

0014

本発明の目的は、自己組織化規則性媒体のドメイン構造に起因するノイズの影響を解消した、記録媒体と記録装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

本発明の記録装置は、複数の粒子が規則的に配列したドメインを複数有する記録媒体と、この記録媒体の駆動手段と、前記記録媒体上でデータの記録もしくは再生を行う記録・再生手段とを具備した記録装置において、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの下限値をDdmin(μm)、データ帯域の下限をFmin(MHz)、前記記録媒体の線速度をV(m/s)とおく時、下記式
2Fmin≧V/Ddmin (1)
を満足することを特徴とする。

0016

本発明の記録装置においては、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの上限値をDdmax(μm)、サーボサンプリング周波数をFs(MHz)とおく時、下記式
Fs≦V/Ddmax (2)
を満足することが好ましい。

0017

ここで、式(1)および式(2)についてさらに詳しく説明する。磁気記録光記録においては、所定のデジタル信号系列媒体面に形成することで記録を実施する。記録するデジタル信号系列は変復調方式に依存するが、基本的には記録システムのクロック周期Tを基準として信号系列が作成され、例えば光記録系のDVD−RAMに用いられている8/16変調方式においては、最短ビット長は3T、最長ビット長は11Tである。全ての信号は、この3Tから11Tの間に含まれる自然数×Tで表現される。式(1)のFminは、上記の最長ビット長相当の周波数に対応し、1/Fminの時間間隔に2つの最長ビットが存在することを意味する。一方、右辺のV/Ddmaxは、最小ドメインに起因するノイズ周波数に相当するものである。発明の基本的考えは、最長ビット1つよりも最小ドメイン長が長いことなので、この考えを周波数領域で記述すると、式(1)のようになる。Fminの係数2は、前記のように1/Fminの中に2つの最長ビットが含まれることを表している。

0018

一方、式(2)ではFsの係数は1である。これはサーボサンプリングは1/Fsの時間間隔で1回行われるためであり、本発明の第2の基本的考えは、最長ドメインがサンプリングの空間的間隔よりも短く設定されていることなので、この考えを周波数帯域で表すと式(2)のようになる。

0019

ここで後述する式(3)において、Bmax=V/2Fminなる関係式を適用すれば式(1)と等価になり、式(4)において、Bs=V/Fsなる関係式を適用すれば式(2)と等価になる。

0020

本発明の記録装置は、多粒子系磁気記録媒体を用いる磁気記録装置、または多結晶相変化媒体を用いる光記録装置である。

0021

本発明の磁気記録媒体は、複数の磁性粒子が規則的に配列したドメインを複数有する磁気記録媒体において、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの下限値をDdmin(μm)、磁化転移間隔の最大値をBmax(μm)とおく時、下記式
Ddmin≧Bmax (3)
を満足することを特徴とする。

0022

本発明の磁気記録媒体においては、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの上限値をDdmax(μm)、サーボデータ間隔をBs(μm)とおく時、下記式
Bs≧Ddmax (4)
を満足することが好ましい。

0023

本発明の光記録媒体は、複数の結晶粒子が規則的に配列したドメインを複数有する光記録媒体において、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの下限値をDdmin(μm)、マーク長の最大値をBmax(μm)とおく時、下記式
Ddmin≧Bmax (3)
を満足することを特徴とする。

0024

本発明の光記録媒体においては、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの上限値をDdmax(μm)、サーボデータ間隔をBs(μm)とおく時、下記式
Bs≧Ddmax (4)
を満足することが好ましい。

発明を実施するための最良の形態

0025

以下、本発明をより詳細に説明する。

0026

本発明は自己組織化媒体のドメインサイズを所定の条件を満たすように調整することにより、ドメインに起因する周期的なノイズを解消しようとするものである。ドメイン構造を呈する自己組織化媒体は、ポーラスアルマイトやブロックコポリマーなどの自己組織化プロセスを利用して形成することができる。そして、ドメインサイズは自己組織化プロセスとそれに用いる基板、及びプロセス条件によって制御できる。

0027

本発明において用いられる記録媒体はドメイン構造を呈し、そのドメインサイズは最頻値を中心とする分布を呈する。本発明において、ドメインサイズ分布における全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズを指標としているのは、残りの20%に含まれる小さいドメインまたは大きいドメインは存在確率が低く、ノイズに及ぼす影響が小さいためである。

0028

本発明の記録装置を規定する(1)式の意味は以下の通りである。ドメインサイズ分布において、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの下限値をDdmin(μm)、データ帯域の下限をFmin(MHz)、媒体の線速度をV(m/s)とする。このときV/Ddminはドメインノイズの最高周波数に相当する。この最高ドメインノイズ周波数よりも2Fminを大きく設定すれば、データ帯域をドメインノイズ帯域よりも高い周波数領域に位置させることができ、データに対するドメインノイズの影響を回避することが可能となる。

0029

ここでデータ帯域とは、磁気記録装置の場合には、ユーザデータ帯域とサーボデータ帯域の両方を意味する。通常、各セクターの冒頭部に記録されるサーボ情報の周波数は、サーボ情報の間の領域に記録されるユーザデータ情報の周波数よりも低く設定されるので、その場合にはFminはサーボデータの記録周波数の下限に相当する。ただし、サーボデータにドメインノイズが重畳しても安定してサーボを実施できる場合には、Fminとしてユーザデータ帯域の下限を用いてもよい。また、光記録装置ではグルーブを利用した連続サーボが主流であるので、ユーザデータ帯域の下限がFminに相当する。

0030

本発明の記録装置を規定する(2)式の意味は以下の通りである。ドメインサイズ分布において、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれるドメインサイズの上限値をDdmax(μm)、サーボサンプリング周波数をFs(MHz)、媒体の線速度をV(m/s)とする。このとき、V/Ddmaxはドメインノイズの最低周波数に相当する。この最低ドメインノイズ周波数よりもFsを小さくすれば、サーボに対するドメインノイズの影響を回避することが可能となる。

0031

ここでサーボサンプリング周波数はサーボデータが記録される間隔、すなわちセクター長に対応するものである。サンプルサーボを用いる光記録装置の場合には、磁気記録装置と同様にサーボサンプリング周波数が存在するので、上記(2)の条件式を適用できる。

0032

本発明の磁気記録媒体または光記録媒体を規定する(3)式、すなわちDdmin≧Bmaxという関係は、ドメインサイズが磁化転移間隔またはマーク長の最大値より大きいことを意味し、データに対するドメインノイズの影響を回避することが可能となる。

0033

本発明の磁気記録媒体または光記録媒体を規定する(4)式、すなわちBs≧Ddmaxという関係は、ドメインサイズがサーボデータ間隔より小さいことを意味し、サーボに対するドメインノイズの影響を回避することが可能となる。

0034

以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。

0035

(実施例1)図1は本発明に係る磁気記録媒体の一例を示す断面図である。図1において、基板1上に、シード層2、磁気記録層3、保護層4、および潤滑層5が順次形成されている。シード層2から潤滑層5までの薄膜は基板1の片面にだけ設けられていても両面に設けられていてもよい。

0036

図2は磁気記録層を上方から見込んだSEM像の一例である。図2(a)は高倍率で観察した1つのドメイン中の磁性粒子の配列を示す図、図2(b)は低倍率で観察した複数のドメイン中の磁性粒子の配列を示す図、図2(c)は図2(b)中にドメイン境界を書き込んだ図である。図2(a)〜(c)において、31が磁性粒子、32がマトリックス、33がドメインを各々示している。

0037

本発明の磁気記録媒体は例えば以下の方法で作製することができる。基板1(ガラス、Alなど)上に例えばCr合金またはV合金からなるシード層2を30〜200nmの厚さで形成する。シード層2の役割はその上に設けられる磁性粒子の結晶性制御にある。シード層2上にマトリックスとして例えばSiO2膜を5〜50nmの厚さで形成する。シード層とSiO2層の形成には例えばマグネトロンスパッタ法を適用することができる。

0038

その後、所定の組成に調整された例えばポリメチルメタアクリレートPMMA)−ポリスチレン(PS)のブロックコポリマーをスピンコートアニールする。PMMA分子間及びPS分子間には引力、PMMA−PS間には斤力が作用するので、徐々にPMMAはPMMAどうしで、PSはPSどうしで会合し、自己組織的なパターンを形成する。例えばブロックコポリマー中のPMMAの含有比を40mol%程度に調整すると、粒径7〜20nm程度のPMMA球がPSマトリックス中に規則的に配列した構造(海島構造)が得られる。このPMMA−PS自己組織化パターン電子線を照射して現像するとPMMAのみが選択的に除去され、PSマトリックスからなるマスクがSiO2層上に形成される。これを例えばCHF4系ガスを用いた反応性イオンエッチングRIE)に供し、SiO2層にブロックコポリマーの自己組織化パターンを転写し、SiO2層に微細孔群を形成する。次に、SiO2層に形成された微細孔群中に例えばCo系磁性粒子を埋め込む。Co系磁性粒子の形成にはスパッタ法またはメッキ法を用いることができる。スパッタ法の場合には形成可能な磁性粒子材料の選択の幅は広いが、SiO2孔以外の部分にも膜が形成されるので平坦化処理が必要となる。メッキ法を用いる場合には材料選択の幅は狭いが、電解メッキ法によりシード層上にのみすなわち孔中にのみ磁性粒子が成長するので特に平坦化処理の必要はない。ここではCoPtをスパッタ形成した後、SiO2の孔以外の部分の上に形成されたCoPtをCMP法で除去(平坦化)して、CoPt磁性粒子31とSiO2マトリックス32からなる磁気記録層3を作製した。磁気記録層3上に通常のマグネトロンスパッタ法によりカーボン保護層4を形成し、最後に潤滑層5をディップコートにより形成して、図1および図2に示されるような本発明の磁気記録媒体を得た。

0039

ドメインサイズは自己組織化プロセス条件に依存して変化する。本実施例に用いたブロックコポリマープロセスの場合、ドメインサイズは、塗布液のPMMA−PSブロックコポリマーの濃度が高いほど、塗布後のアニール温度が低いほど、アニール時間が短いほど、小さくなる。また、ドメインサイズの分散は、コポリマー塗布時のスピンコータ回転数が早いほど、アニール時の昇温速度が早いほど、大きくなる。本実施例では、自己組織化プロセス条件を変えて本発明の磁気記録媒体と比較例の磁気記録媒体を幾つか形成した。

0040

このようにして得た記録層のSEM像を観察場所を変えながら複数撮影し、画像処理に供してドメインサイズ分布を求めた結果の一例を図3に示す。図3には図2に示した本発明の磁気記録媒体が例示してある。画像処理によるドメインサイズ分布の導出は例えば以下の手法を行うことができる。まず磁性粒子が規則的に配列している部分を選び、その部分の配列パターンを読み込んで、規則的配列部に隣接する部分にあるべき粒子の位置を予測させる。実際の粒子の位置と予測位置とが粒径の±30%以内のズレ量で一致した場合及び粒径自体も予測粒径と±30%以内のズレ量で一致した場合は、その部分もドメイン内部と判定する。実際の粒子の位置と予測位置とが粒径の±30%以上のズレを生じた場合または粒径が予測粒径から±30%以上のズレを生じた場合は、ドメイン境界と判定する。また、±30%以内のズレ量であっても、さらに隣接する粒子が±30%以上のズレ量をズレが積算する方向に生じていた場合には、やはりドメイン境界と判定する。このようにしてドメイン並びにドメイン境界を画像処理で決定する。そして、各ドメインの長径短径を測長して平均値として1つのドメインサイズを導出する。このドメインサイズ分布から全ドメイン中のN%のドメインが含まれるドメイン範囲を特定することができる。例えば図3に例示するように、Nとして80を選んだ場合、全ドメイン中の80%以上のドメインが含まれる最小ドメインサイズがDdmin、最大ドメインサイズがDdmaxと定義される。図3では矢印で示したように、Ddmin=0.6μm、Ddmax=1.45μmである。本発明の実施においては、前記したように自己組織化プロセス条件を調整して平均ドメインサイズの他に分布の分散量も制御し、実質的にドメインノイズの影響がないN値の検討も行った。

0041

表1に作製した磁気記録媒体の平均ドメインサイズとドメインサイズ分散をまとめて示す。表1には参考のため、磁性粒子の平均粒径と粒径分散も併記した。粒径分散は粒径分布の全半値幅で示し、ドメインサイズ分散はDdminとDdmaxで示した。Ddmin,maxの後のかっこ内の数字は、前記したNに相当する。

0042

0043

表1において、P1,P2,P3が本発明の要件を満足するドメイン構造を有する規則性磁気記録媒体、C1,C2,C3が本発明の要件を満たさないドメイン構造を有する規則性磁気記録媒体、C4は比較のために作製した従来構造の多粒子ランダム媒体である。C4の媒体は、記録磁性膜の形成に自己組織化プロセスを用いずに、例えば単純な通常のマグネトロンスパッタ法で得ることができる。これらのドメイン構造を有する規則性磁気媒体を、データ部最低記録周波数(データ帯域の下限)Fmin=20MHz、データ部最高記録周波数(データ帯域の上限)Fmax=100MHz、サーボサンプリング周波数Fs=20kHzの磁気記録装置に搭載して線速V=10m/sで記録再生動作を行った。

0044

図4は本発明の効果を実証するために使用した本発明の磁気記録装置の一実施例の構成を示すブロック図である。図4において、Iは入力信号、Oは出力信号である。デジタル入力信号IにECC付加回路41で誤り訂正コードを付加した後、変調回路42を通じて、本発明を特徴付けるFmin条件を満足するように信号変調する。記録補正回路43を通じて予測可能な磁化転移シフト補正し、記録ヘッド44への信号電流を発生する。記録ヘッド44は信号電流にしたがって記録磁界を発生し、記録ヘッド44に対して移動する媒体45に磁化転移パターンを形成する。磁化転移部から発生する媒体磁界は、再生ヘッド46により検知される。再生ヘッド46は典型的にはスピンバルブタイプのGMR素子からなり、媒体磁界による検知膜磁化回転により電気抵抗が変化して出力電圧変化として信号を再生する。再生信号のうちユーザデータ信号等価回路47を通じて波形等価され、典型的にはビタビ符号からなる復号回路48を通過し、復調回路49でデジタル信号系列に復調される。最後に誤り訂正回路50により誤り訂正されて出力信号を得る。

0045

また、再生信号のうちサーボデータ信号は、サンプルホールド回路51を通じてサンプリングされる。サーボサンプリング周波数Fsは本発明の規定する条件式にしたがって設定される。サンプリングされた信号はコントローラ52を通じてサスペンション54に取付けられたボイスコイルモータ駆動信号を発生し、VCMドライバー53を駆動する。ドライバー53によりVCMが駆動して磁気ヘッドを媒体上の所定のトラックに保持する。

0046

上記の磁気記録装置において、本発明に関わるFmin,Fs,Vは例えば各々、20MHz,20kHz、及び10m/sに設定することができる。そのような設定をして、周波数をパラメータ単一周波数記録信号試験的に媒体に記録し、再生信号の規格化媒体ノイズNm/S0を評価用に取付けたスペクトラムアナライザー55を用いて測定した。ここで規格化媒体ノイズは、各記録周波数で得られたrms媒体ノイズNmを孤立波再生出力S0で除したもので、記録トラック幅1μm当りに規格化したものである。

0047

図5は表1に示した磁気媒体を対象に調べた規格化媒体ノイズの周波数依存性を示す図である。各データ曲線引出し線で示した媒体符号は表1と同一である。

0048

図5から以下のようなことがわかる。図5で規則性媒体P1〜P3,C1〜C3と従来技術の媒体C4の差異に着目すると、従来媒体C4は全周波数領域に亘り規則性媒体よりもノイズレベルが高く、特にデータ帯域でノイズレベルが高いため高密度記録に適さないことが明らかである。一方、規則性媒体P1〜P3,C1〜C3は全周波数帯、特に高周波のデータ帯域でノイズレベルが低く、粒径分散を小さく調整しかつドメイン内部の粒子配列を規則化した効果が顕著に顕れている。ただし、ドメインサイズに対応する周波数帯では規則性媒体のノイズレベルはスパイク状に上昇し、従来媒体C4と同等のレベルになっている。

0049

ノイズが上昇している周波数帯域は、表1に示した各ドメインサイズのDdmin(80)からDdmax(80)までの領域であり、Ddmin(>80),Ddmax(>80)の帯域ではノイズ上昇は僅かである。Ddmin(80)とDdmax(80)の領域がFmin未満、Fs以上であれば、通常の信号処理によってデータ信号にもサーボ信号にもドメインノイズの影響は実質的にはない。したがって、本発明の媒体P1〜P3は本発明の磁気記録装置の動作条件のFmin,Fs,Vとの組合せにおいて実質的に全帯域で極めて低ノイズの動作が可能となる。一方、本発明の磁気媒体P1〜P3と同じく規則性媒体ではあるが、本発明の規定条件から外れるC1〜C3は、データ帯域またはサーボサンプリング周波数においてドメインノイズが顕著に発生するので、データ信号品質、サーボ品質を損ねる。

0050

また、確認のために線速Vを変えたところ、線速を速くするとドメインノイズ周波数は高周波側にシフトし、遅くすると低周波数にシフトした。したがって本発明の磁気記録媒体は本発明の磁気記録装置の動作条件との関連で効果を発現するものであることが確認された。

0051

(実施例2)図6は本発明に係る相変化記録媒体の一例を示す断面図である。図6において、基板61上に、第1干渉層62、相変化記録層63、第2干渉層64、反射層65が順次形成されている。基板としてはトラッキンググルーブの設けられたポリカーボネート(PC)またはPMMAが代表的である。干渉層としてはZnS−SiO2,Ta2O5,Si3N4,AlNなど誘電体の中から広く選ぶことができる。記録層としてはGeSbTe,AgInSbTeが代表的である。反射層としてはAl合金、Ag合金、Auなどが代表的である。相変化記録層の微細構造図2に示した磁気記録媒体と同様であり、例えばGeSbTe結晶粒子がSiO2マトリックス中に規則的に配列した構造を呈する。

0052

本発明の相変化記録媒体は例えば以下のように形成することができる。基板61上に第1干渉層62としてZnS−SiO2をスパッタし、相変化記録層63のマトリックス材料であるSiO2をスパッタした後、スパッタ装置から取出す。次に、ポーラスアルマイトの自己組織化プロセスによって形成したPtマスクをSiO2上に配置し、イオンビームミリングまたはCHF3系RIEに供してSiO2をエッチング加工する。GeSbTeをスパッタしてSiO2中に形成された孔中に埋め込み、表面をCMP法またはイオンポリッシング法で平滑化する。その後、第2干渉層64としてZnS−SiO2、反射層65としてAl合金膜をスパッタ形成する。必要に応じて、Al膜上に樹脂保護コートを施すか、対向基板を貼り合せる。

0053

上記の製造方法において用いたPtマスクは、自己組織化ポーラスアルマイトの作製、レジストネガパターン作製、ネガパターン中へのPtメッキ成長の順で実施した。自己組織化ポーラスアルマイトは、4Nまたは5Nグレード高純度Alを鏡面研磨し、過塩素酸化学研磨または水酸化ナトリウム溶液アルカリ研磨した後に中和し、数%〜10数%の陽極酸化溶液中に浸漬し、Pt,Cなどを負極にしてAlに正の電圧印加して所定の時間陽極酸化することで形成することができる。陽極酸化に用いられる溶液としては、蓚酸燐酸硫酸クロム酸及びそれらの混酸水溶液である。陽極酸化により、Al表面に連続膜状のAl2O3バリア層、その上に微小孔と微小孔の周囲を連結するポーラスAl2O3が規則的に配列する(自己組織化)。自己組織化ポーラスアルマイトの形成機構は、陽極酸化溶液にAlとAl2O3の両方が溶解することに起因する。すなわちAlを酸化液に浸漬して電圧を印加するとAl表面が溶解しながらAl2O3を形成するが、形成されたAl2O3の一部も溶解する。溶解部には電界が集中して電流密度が増加しAl2O3の溶解をさらに促進するため微小孔を形成する。これと同時に、孔周囲に溶解した余剰のAlまたはAl2O3が供給されてAl2O3壁の成長を促進する。Al2O3の局部溶解はAlまたは表面に残存する自然酸化Alの欠陥部で選択的に発生するが、局部溶解が発生し始めるとその極く近傍に余剰AlまたはAl2O3を供給して壁を成長し電界は弱まる。この電界が弱まった部分の隣は全電界強度を保持するため、電界の強い部分が形成されて孔を形成する。陽極酸化初期の段階ではランダムに分布する欠陥部から微小孔の形成が開始されるが、孔が形成されることによってその周りに周期的かつ規則的な電界の空間分布が生じるため、自己組織的に微小孔が規則的な配列をなすものと考えられる。

0054

この方法では、バリア層とAl板の界面に単位セルに対応する凹面が形成される点が1つの特徴である。このためポーラスアルマイトを1回成長させた後に、比較的高濃度の燐酸、クロム酸でポーラスアルマイトを除去し、規則的に配列した凹面を有するAlを得た後、再度陽極酸化を施すと、凹面部境界突起部が前述した欠陥部の役割を果たすので、1回目の陽極酸化よりもさらに規則性のよいポーラスアルマイトの自己組織パターンを得ることができる。

0055

ポーラスアルマイトの成長速度は陽極酸化条件に依存するが典型的には数〜100nm/minであり、主に陽極酸化電圧によって制御可能である。また、孔の深さは陽極酸化時間で調整することができる。微小孔サイズと間隔及び本発明に関連するドメインサイズとドメインサイズ分布は陽極酸化に使用する酸の種類、陽極酸化電圧、陽極酸化バス温度に依存する。

0056

次に、得られたポーラスアルマイトにレジストを埋め込んでネガパターンを形成し、ポーラスアルマイトを除去した後、Ptをネガパターン中にメッキ成長させてレプリカを形成する。レプリカの材料としては、Pt以外にもSiC,SiO2,a−C:HなどのCVD成長材料を用いてもよい。レプリカを形成する方法は、ポーラスアルマイト自体をマスクとして用いる場合に比べて、マスクの耐エッチング性機械強度を向上する上で好ましい。なお、ポーラスアルマイトパターン自体をそのままマスクとして用いる場合でも、メタルリング内にポーラスアルマイトのハニカムパターンを配置してマスクを作製すると、マスクの機械強度、ハンドリング性が著しく向上する。

0057

本実施例では、Ptレプリカ成長時にレジストパターンをCuリングの開口部に配置し、Cuリング上に連続的にPtを成長させ、Cuリング開口部ではレジストパターン通りのハニカム状にPtを成長させてマスクを形成した。得られたマスクの開口形状は、ポーラスアルマイトパターンと1nm以内の誤差で一致した。

0058

このようにして得られたPtマスクを記録層のSiO2マトリックス層の上に配置してイオンミリングを行い、Ptマスクの貫通孔を通じてSiO2膜にドメイン構造を有する自己組織化パターンを形成した。その後の作製手法は前記の通りである。ポーラスアルマイトを形成する際の条件を変えて、本発明の光記録媒体および比較例の光記録媒体を試作した。得られた各光記録媒体のドメインサイズ分布を実施例1と同様の手法で調べた。結果を表2にまとめて示す。

0059

0060

表2において、P4とC5はドメイン構造を有する規則性媒体であるが、P4は本発明の条件を満足する媒体、C5は本発明の条件を満足しない媒体である。C6は従来のランダムな結晶粒子の集合体からなる媒体である。C6の媒体の記録層は従来技術にしたがって通常のマグネトロンスパッタ法にて形成した。記録層中のGeSbTe粒子濃度を合せるため、従来技術による記録層の成膜はGeSbTeとSiO2を同時スパッタし、GeSbTeの含有比を本発明の規則性媒体と同じレベルになるように調整した。表2において、Ddmin,Ddmaxはドメインサイズ分布において全ドメイン中の80%以上のドメインが属する部分の最小値と最大値である。

0061

本発明及び比較例の光記録媒体を、線速度6m/sで、最長記録マーク長(11Tマーク)が3.08μmの相変化記録試験に供した。この試験条件で、Fminは0.975MHzに相当する。表2からわかるように、P4は本発明の条件を満足し、C5は規則性媒体だが本発明の条件は満足しない。C6は不規則ランダム媒体なのでドメイン構造は有しておらず、結晶粒子のサイズと配列はいたるところでランダムである。

0062

これらの光記録媒体について、記録周波数(マーク長)を変えながら記録した後、CNRを調べた結果を図7に示す。従来の不規則ランダム媒体では、8/12変調の11Tから3T(マーク長:0.84μm、3.57MHz相当)の範囲において、CNR値は58dB(11T)、57dB(5T)、52dB(3T)であった。また、規則性媒体であるが本発明の条件から外れているC5の媒体では、60dB(11T)、53dB(3T)と優れたCNRが得られたが、マーク長がドメイン平均サイズとほぼ等しい5Tマーク付近においてドメインに起因するノイズの影響によりCNRが57dBと従来の不規則ランダム媒体のレベルに低下した。一方、本発明の条件を満足する規則性媒体P4では、CNR値は62dB(11T),55dB(3T)かつ中間のマーク長領域でもノイズ上昇は皆無であり、本発明の効果が検証された。

発明の効果

0063

以上詳述したように本発明によれば、媒体ノイズが著しく低くかつ低価格な自己組織化・規則性媒体におけるドメインノイズの問題を解決することができるので、規則性媒体が有している本来の高密度記録能力を発現することができ、磁気記録および相変化光記録の高密度化を達成できる。

図面の簡単な説明

0064

図1本発明に係る磁気記録媒体の一例を示す断面図。
図2本発明の磁気記録媒体の微細構造を示す図。
図3本発明の磁気記録媒体のドメインサイズ分布を示す図。
図4本発明の磁気記録装置の構成を示すブロック図。
図5本発明に係る磁気記録媒体及び磁気記録装置の規格化媒体ノイズの周波数依存性を示す図。
図6本発明に係る光記録媒体の一例を示す断面図。
図7本発明に係る光記録媒体における記録マーク長とCNRとの関係を示す図。

--

0065

1…基板
2…シード層
3…磁性層
4…保護層
5…潤滑層
31…磁性粒子
32…マトリックス
33…ドメイン
41…誤り訂正付加回路
42…変調回路
43…記録補正回路
44…記録ヘッド
45…媒体
46…再生ヘッド
47…等価回路
48…復号回路
49…復調回路
50…誤り訂正回路
51…サンプルホールド回路
52…コントローラ
53…VCMドライバー
54…サスペンション
55…スペクトラムアナライザー
61…基板
62…第1干渉層
63…相変化記録層
64…第2干渉層
65…反射層

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