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技術 鋳ぐるみ用鋳鉄部材、それを用いた鋳ぐるみ製品、及び鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法

出願人 TPR工業株式会社TPR株式会社
発明者 斎藤儀一郎
出願日 1999年12月15日 (20年4ヶ月経過) 出願番号 1999-356352
公開日 2001年6月26日 (18年10ヶ月経過) 公開番号 2001-170755
状態 特許登録済
技術分野 内燃機関のシリンダブロック、ケーシング ピストン、ピストンリング、シリンダ 鋳ぐるみ鋳造 遠心鋳造 鋳型又は中子の材料
主要キーワード アルミ材質 摺動面材 ダイカスト後 抜け穴 鋳鉄部材 ライナ素材 砂型鋳造法 ライナ内
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課題

ダイカストした際のアルミ材充填性及びアルミ材との密着性に優れた鋳ぐるみ鋳鉄部材、それを用いた鋳ぐるみ製品、及び鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法を提供する。

解決手段

塗型材として、平均粒径0.05〜0.5mmの珪砂を20〜45質量%、平均粒径0.1mm以下のシリカフラワを10〜30質量%、粘結剤を2〜10質量%及び水を30〜60質量%混合した懸濁液を用い、表面粗さの最大高さRyが65〜260μm、凹凸平均間隔Smが0.6〜1.5mm、より好ましくは前記Ryが75〜250μm、前記Smが0.7〜1.4mmである鋳ぐるみ面を有する鋳ぐるみ用鋳鉄部材を得る。この鋳鉄部材の外周にアルミ材をダイカストして鋳ぐるみ製品を得る。

概要

背景

自動車用エンジンにおけるアルミシリンダブロック(以下、シリンダブロックという)では、摺動面の耐焼き付き性、耐摩耗性などに対応するために鋳鉄製のシリンダライナ(以下、ライナともいう)が用いられている場合が多い。このようなライナ入りシリンダブロックの製造方法の1つとして、シリンダブロックの鋳型内にライナをセットし、該ライナの外周部をアルミニウム又はその合金(以下、アルミ材という)で鋳ぐるむ方法が知られている。

このようなライナにおいては、鋳ぐるみ後のライナ内周加工時のライナ回転防止、及びボア変形縮小熱伝導性の向上によるエンジン性能の向上のために、ライナ外周とアルミ材との密着性が重要である。従来、アルミ材との密着性の高いライナを得るために以下のような方法が知られている。

ライナ外周にショットピーニングを行ない、外周面凹凸を設け、密着性の向上を図る方法(特公平2−29426号)。
ライナ外周にスパイニィ(針状の特殊鋳肌)を形成し、密着性の向上を図る方法(特公昭43−4842号)。
ライナ外周に加工により、軸方向の溝を形成し、ブロックの鋳造性の向上と密着性の向上を図る方法(特開平8−290255号)。
その他、ライナ外周の鋳肌面にブラストをする方法。この場合の鋳肌面は、平均粒径0.1mm以下の珪藻土を20〜40質量%、ベントナイトを2〜10質量%及び水を65〜80質量%混合した懸濁液を鋳型に噴霧塗布し、乾燥後に鋳鉄を鋳込金型遠心鋳造法等により得られることが知られている。

図1には、ライナを鋳ぐるんで製造したライナ入りシリンダブロックの一例が示されている。図において、1はライナ入りシリンダブロック、2はライナ、3はアルミ材、4はボア間最小距離を示す。このように、ボア間には、2つのライナ2の壁部と、それに挟まれたアルミ材3の部分がある。従来、このボア間の最小距離4は9mm以上あったが、最近はボアアップや軽量化のために狭ボア間化が進み、8mm以下とすることが求められている。

概要

ダイカストした際のアルミ材の充填性及びアルミ材との密着性に優れた鋳ぐるみ用鋳鉄部材、それを用いた鋳ぐるみ製品、及び鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法を提供する。

塗型材として、平均粒径0.05〜0.5mmの珪砂を20〜45質量%、平均粒径0.1mm以下のシリカフラワを10〜30質量%、粘結剤を2〜10質量%及び水を30〜60質量%混合した懸濁液を用い、表面粗さの最大高さRyが65〜260μm、凹凸の平均間隔Smが0.6〜1.5mm、より好ましくは前記Ryが75〜250μm、前記Smが0.7〜1.4mmである鋳ぐるみ面を有する鋳ぐるみ用鋳鉄部材を得る。この鋳鉄部材の外周にアルミ材をダイカストして鋳ぐるみ製品を得る。

目的

したがって、本発明の目的は、ダイカストした際のアルミ材の充填性及びアルミ材との密着性に優れた鋳ぐるみ用鋳鉄部材、それを用いた鋳ぐるみ製品、及び鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
3件
牽制数
10件

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請求項1

表面粗さの最大高さRyが65〜260μm、凹凸平均間隔Smが0.6〜1.5mmである鋳ぐるみ面を有することを特徴とする鋳ぐるみ用鋳鉄部材

請求項2

前記Ryが75〜250μm、前記Smが0.7〜1.4mmである鋳ぐるみ面を有することを特徴とする鋳ぐるみ用鋳鉄部材。

請求項3

鋳ぐるみ面が鋳肌である請求項1又は2記載の鋳ぐるみ用鋳鉄部材。

請求項4

シリンダライナに適用される請求項1〜3のいずれか1つに記載の鋳ぐるみ用鋳鉄部材。

請求項5

ブレーキドラムインサートに適用される請求項1〜3のいずれか1つに記載の鋳ぐるみ用鋳鉄部材。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1つに記載の鋳鉄部材をアルミニウム又はその合金で鋳ぐるんだことを特徴とする鋳ぐるみ製品

請求項7

前記鋳鉄部材がシリンダライナであり、前記鋳ぐるみ製品がシリンダブロックである請求項6記載の鋳ぐるみ製品。

請求項8

前記シリンダブロック完成時のボア間最小距離が5.0〜8.0mmである請求項7記載の鋳ぐるみ製品。

請求項9

前記鋳鉄部材がインサートであり、前記鋳ぐるみ製品がブレーキドラムである請求項6記載の鋳ぐるみ製品。

請求項10

加熱された鋳型内面塗型材を塗布し、乾燥させた後、この鋳型内に鋳鉄溶湯鋳込んで成形する鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法において、前記塗型材として、平均粒径0.05〜0.5mmの珪砂を20〜45質量%、平均粒径0.1mm以下のシリカフラワを10〜30質量%、粘結剤を2〜10質量%、及び水を30〜60質量%混合した懸濁液を用いることを特徴とする鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法。

請求項11

前記鋳型を回転させた状態で、前記塗型材の塗布及び前記鋳鉄溶湯の鋳込みを行う請求項10記載の鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、例えばシリンダライナブレーキドラムインサートなどに好適な鋳ぐるみ鋳鉄部材、それを用いた鋳ぐるみ製品、及び鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法に関する。

背景技術

0002

自動車用エンジンにおけるアルミシリンダブロック(以下、シリンダブロックという)では、摺動面の耐焼き付き性、耐摩耗性などに対応するために鋳鉄製のシリンダライナ(以下、ライナともいう)が用いられている場合が多い。このようなライナ入りシリンダブロックの製造方法の1つとして、シリンダブロックの鋳型内にライナをセットし、該ライナの外周部をアルミニウム又はその合金(以下、アルミ材という)で鋳ぐるむ方法が知られている。

0003

このようなライナにおいては、鋳ぐるみ後のライナ内周加工時のライナ回転防止、及びボア変形縮小熱伝導性の向上によるエンジン性能の向上のために、ライナ外周とアルミ材との密着性が重要である。従来、アルミ材との密着性の高いライナを得るために以下のような方法が知られている。

0004

ライナ外周にショットピーニングを行ない、外周面凹凸を設け、密着性の向上を図る方法(特公平2−29426号)。
ライナ外周にスパイニィ(針状の特殊鋳肌)を形成し、密着性の向上を図る方法(特公昭43−4842号)。
ライナ外周に加工により、軸方向の溝を形成し、ブロックの鋳造性の向上と密着性の向上を図る方法(特開平8−290255号)。
その他、ライナ外周の鋳肌面にブラストをする方法。この場合の鋳肌面は、平均粒径0.1mm以下の珪藻土を20〜40質量%、ベントナイトを2〜10質量%及び水を65〜80質量%混合した懸濁液を鋳型に噴霧塗布し、乾燥後に鋳鉄を鋳込金型遠心鋳造法等により得られることが知られている。

0005

図1には、ライナを鋳ぐるんで製造したライナ入りシリンダブロックの一例が示されている。図において、1はライナ入りシリンダブロック、2はライナ、3はアルミ材、4はボア間最小距離を示す。このように、ボア間には、2つのライナ2の壁部と、それに挟まれたアルミ材3の部分がある。従来、このボア間の最小距離4は9mm以上あったが、最近はボアアップや軽量化のために狭ボア間化が進み、8mm以下とすることが求められている。

発明が解決しようとする課題

0006

例えば、図1に示したようなライナ入りアルミシリンダブロックをダイカストすると、通常、ボア間の最も肉薄のアルミ材部が最初に凝固し、続いて周辺部が凝固する。しかし、狭ボア間化した場合、ボア間におけるライナとアルミ材の密着性(アンカー効果)が不十分であると、この周辺部の凝固収縮時に最も肉薄のアルミ材部が引っ張られ、熱間割れを発生することがある。また、ボア間は最初に凝固するため、ライナ外周面の凹部にアルミ材が充填されにくい。したがって、狭ボア間に対応する鋳ぐるみ用ライナとしては、ライナとアルミ材との密着性が良いこと、ボア間においてもライナ外周面の凹部へのアルミ材の充填性が良いこと、及びライナ肉厚薄肉であることが要求される。

0007

しかしながら、上記〜の方法には以下のような問題があった。例えば、上記におけるショットピーニングは、密着性が不十分で、また、柔らかいフェライト組織が2.0mm以上必要なため厚肉になる。上記におけるスパイニィは、密着性は良いが、外周凹凸が約1.0mmあり、厚肉になり、また、アルミ材のスパイニィ凹部への充填性も悪い。上記における溝加工は、溝底の強度を確保するために全体として厚肉になり、かつ、コスト高である。上記における鋳肌面にブラストしたものはアルミ材の充填性は良く、安価であるが、密着性が悪い等の問題があった。

0008

したがって、本発明の目的は、ダイカストした際のアルミ材の充填性及びアルミ材との密着性に優れた鋳ぐるみ用鋳鉄部材、それを用いた鋳ぐるみ製品、及び鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0009

上記目的を達成するため、本発明の鋳ぐるみ用鋳鉄部材(以下、単に「鋳鉄部材」という)は、表面粗さの最大高さRyが65〜260μm、凹凸の平均間隔Smが0.6〜1.5mmである鋳ぐるみ面を有することを特徴とする。

0010

本発明の鋳鉄部材においては、前記Ryが75〜250μm、前記Smが0.7〜1.4mmの範囲内であることが好ましく、また、鋳ぐるみ面が鋳肌であることがより好ましい。また、本発明の鋳鉄部材は、特にシリンダライナや、ブレーキドラムのインサートに好適である。

0011

また、本発明の鋳ぐるみ製品は、前記鋳鉄部材をアルミニウム又はその合金で鋳ぐるんだことを特徴とする。

0012

本発明の鋳ぐるみ製品は、特にシリンダブロックや、ブレーキドラムに好適である。また、該鋳ぐるみ製品がシリンダブロックである場合、シリンダブロック完成時のボア間最小距離が5.0〜8.0mmであるものに特に好適である。

0013

更に、本発明の鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法は、熱された鋳型内面塗型材を塗布し、乾燥させた後、この鋳型内に鋳鉄溶湯を鋳込んで成形する鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法において、前記塗型材として、平均粒径0.05〜0.5mmの珪砂を20〜45質量%、平均粒径0.1mm以下のシリカフラワを10〜30質量%、粘結剤を2〜10質量%、及び水を30〜60質量%混合した懸濁液を用いることを特徴とする。

0014

本発明の鋳ぐるみ用鋳鉄部材の製造方法においては、前記鋳型を回転させた状態で、前記塗型材の塗布及び前記鋳鉄溶湯の鋳込みを行うことが好ましい。

0015

本発明の鋳鉄部材によれば、表面粗さの最大高さRyが65〜260μm、凹凸の平均間隔Smが0.6〜1.5mmである鋳ぐるみ面を有することにより、その外周に例えばアルミ材をダイカストした際に、上記凹凸部へのアルミ材の充填性がよく、かつ、アルミ材との密着性に優れた鋳ぐるみ製品を得ることができる。したがって、例えば、シリンダライナに適用した場合、ライナとアルミ材とが強固に密着して、狭いボア間におけるアルミ材の熱間割れ等を防止することができる。

0016

また、本発明の鋳鉄部材の製造方法によれば、塗型材として、平均粒径0.05〜0.5mmの珪砂を20〜45質量%、平均粒径0.1mm以下のシリカフラワを10〜30質量%、粘結剤を2〜10質量%、及び水を30〜60質量%混合した懸濁液を用いることにより、表面粗さの最大高さRyが65〜260μm、凹凸の平均間隔Smが0.6〜1.5mmである鋳肌面を容易に得ることができる。したがって、この鋳肌面をそのまま鋳ぐるみ面とすることにより、上記のように鋳鉄部材とその外周のアルミ材との密着性に優れた鋳ぐるみ製品を得ることができる。

発明を実施するための最良の形態

0017

本発明の鋳鉄部材に用いられる鋳鉄の組成としては、特に限定されないが、例えばT.C:2.9〜3.6(質量%、以下同じ)、Si:1.6〜2.8、Mn:0.5〜1.0、P:0.05〜0.4であることが好ましい。また、その他、必要に応じて、Cr:0.1〜0.4、B:0.03〜0.08、Cu:0.3〜0.5を添加してもよい。

0018

また、本発明の鋳ぐるみ製品における、鋳鉄部材の外周に鋳込まれる金属としては、アルミ材、すなわちアルミニウム又はアルミニウム合金が用いられる。アルミニウム合金としては、ADC10(類似合金AA B380.0)、ADC12(類似合金AA 383.0)等を用いることができる。

0019

本発明において規定する表面粗さの測定においては、その表面粗さの大きさが標準階級をまたがることから、測定条件は、便宜上、基準長さを2.5mm、評価長さを12.5mmとした。また、カットオフ値は、うねり成分をできるだけ除去するため、2.5mmとした(後述する実施例においても同じ)。

0020

本発明の鋳鉄部材においては、その鋳ぐるみ面の表面粗さの最大高さRyが65〜260μm、凹凸の平均間隔Smが0.6〜1.5mmであることが好ましく、前記Ryが75〜250μm、前記Smが0.7〜1.4mmであることがより好ましい。上記範囲内とすることにより、ダイカストの際に鋳ぐるみ面の凹凸部へのアルミ材の充填性を良くし、かつ、該鋳鉄部材とアルミ材の密着性を強固にすることができる。

0021

ここで、Ryが65μm未満では、アルミ材とのアンカー効果による接合強度が充分に得られず、密着性が不足するため好ましくない。また、Ryが260μm超では、アルミ材等の充填性が悪くなり、鋳鉄部材とアルミ材との間に空隙が生じ、放熱性に劣るため好ましくない。更に、Ryが260μm超では、特に鋳鉄部材がライナ又はインサートである場合、その肉厚を薄くする上で、摺動面材質の均一性外径精度保証できないため好ましくない。

0022

一方、Smが0.6mm未満では、アルミ材の充填性が悪化し、ダイカスト条件の管理が困難になるため好ましくない。また、Smが1.5mm超では鋳鉄部材外周とアルミ材との間のアンカー効果が落ち、密着性が不十分となり、アルミ材の凝固時の熱間割れが発生し易くなるため好ましくない。

0023

本発明の鋳鉄部材は、外周に段差や溝部を形成させず、マクロ的に見て外周をストレートにすると、より効果的に薄肉化が達成できる。

0024

本発明の鋳鉄部材は、自動車等のエンジン用、又は圧縮機用のシリンダライナや、ブレーキドラムのインサート等として好適に用いられる。特に自動車エンジンのシリンダブロックのライナに用いた場合、ダイカストの際に狭ボア間のアルミ材の熱間割れを防止することができる。また、シリンダブロック完成時のライナ肉厚を2.5mm以下、ボア間のアルミ材肉厚を3mm以下にすることが可能なため、ボア間が8mm以下である狭ボア間のシリンダブロックの鋳ぐるみ用ライナに特に適している。

0025

また、本発明の鋳鉄部材を鋳ぐるんだ鋳ぐるみ製品としては、自動車等のエンジン用、又は圧縮機用のシリンダブロックや、ブレーキドラムが挙げられる。

0026

本発明の鋳鉄部材の製造方法においては、塗型材として、平均粒径0.05〜0.5mmの珪砂を20〜45質量%、平均粒径0.1mm以下のシリカフラワを10〜30質量%、粘結剤を2〜10質量%及び水を30〜60質量%混合した懸濁液が用いられる。

0027

一般に塗型材には、溶湯が鋳型へ焼き付く(溶着する)のを防止する耐火材離型材)の役目と、適正な材質を得るために冷却速度を制御する断熱材の役目がある。

0028

珪砂、シリカフラワは塗型材の基材となるもので、通常、それぞれ単独で使用されるが、本発明で使用される塗型材においては、珪砂の平均粒径が鋳肌粗さの大きさを決める要素となり、シリカフラワは塗型の均一性を得る役割を果たす。また、粘結剤はそれらをつなぎ合わせ塗型材の強度を確保する役割を果たし、本発明で用いられる粘結剤としては、ベントナイト、糖蜜、けい酸ソーダ水ガラス)、でん粉等が挙げられる。そして、水分量は鋳肌粗さの大きさや間隔に影響する蒸気発生量を調整する役割がある。本発明においては、上記各成分を特定の割合で混合して使用することにより、本発明で規定する鋳肌粗さを得ることができる。

0029

本発明において、表面粗さの最大高さRyは、珪砂とシリカフラワの混合比により決まる。すなわち、珪砂の比率が高いほど前記Ryは大きくなる。また、凹凸の平均間隔Smは水分量が多いほど大きくなり、珪砂の比率が高いほど小さくなる。

0030

したがって、本発明においては、例えば、珪砂とシリカフラワの比が一定の場合、珪砂の平均粒径が0.5mm超であるとRyが過大となり、0.05mm未満であるとRyが過小となるため好ましくない。また、粘結剤の配合量が2質量%未満であるとRyが過大となり、10質量%超であるとRyが過小となるため好ましくない。そして、水分量が60質量%超であるとSmが過大となり、30質量%未満であるとSmが過小となるため好ましくない。

0031

さらに、珪砂とシリカフラワの配合量については、珪砂が45質量%超であるとSmが過小となり、20質量%未満であるとSmが過大となるため好ましくない。また、シリカフラワが10質量%未満であると塗型が不均一になり、30質量%超であるとRyが過小となるため好ましくない。

0032

本発明の鋳鉄部材の製造方法は、加熱された鋳型内面に塗型材を塗布し、乾燥させた後、この鋳型内に鋳鉄溶湯を鋳込んで成形する方法である。この場合、鋳型を回転させた状態で、塗型材の塗布及び鋳鉄溶湯の鋳込みを行う方法、いわゆる遠心鋳造法が好ましく採用される。その他に、砂型鋳造法やその他の鋳造法加工法を採用することもできる。

0033

鋳型の温度及び塗型材の塗布厚さは特に限定されず、適宜設定することできるが、鋳型の温度が200〜350℃、塗型材の厚さが0.5〜2.0mmであることが特に好ましい。

0034

本発明の鋳鉄部材の製造方法によれば、上記組成の塗型材を塗布することにより、鋳型の熱で乾燥する際に塗型材から発生する蒸気の抜け穴によって無数微細くぼみが生じる。そして、そこに鋳鉄の溶湯を鋳造することにより、上記所定の表面粗さの鋳ぐるみ面を有する鋳鉄部材を、鋳造するだけで後加工等を必要とせずに得ることができる。すなわち、鋳肌面がそのまま本発明で規定する表面粗さ及び凹凸の平均間隔を有する面となるため、特別な加工等を行うことなく、鋳肌面をそのまま鋳ぐるみ面として利用することができる。

0035

以下、実施例、比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。なお、各例において、ライナ材質はFC230相当を用い、ライナ素材肉厚は8mmとした。

0036

実施例1〜4
下記表1に示す組成の各塗型材を用いて金型遠心鋳造法により各ライナを製造した。具体的には、200〜350℃に加熱した鋳型(金型)の内面に各塗型材を厚さが0.5〜2.0mmとなるように噴霧塗布し、乾燥させた後、鋳鉄の溶湯を注入して鋳込み成形を行った。

0037

0038

比較例1〜3
下記表2に示す組成の各塗型材を用いた以外は、実施例と同様にして各ライナを製造した。

0039

0040

試験例1
直列気筒総排気量1.5リッターガソリンエンジンのシリンダブロックにおいて、上記実施例1〜4及び比較例1〜3、更にはそれらに準じた方法で得られた外周粗さの異なる各種のライナの外周にアルミ材をダイカストし、ライナとアルミ材の密着性、及びライナ外周の凹凸部へのアルミ材の充填性を調べた。なお、アルミ材質はADC12を使用し、ダイカスト条件は、鋳込み圧力65Mpa、鋳込み速度0.3m/s、溶湯温度670℃とした。また、ブロック完成時のライナ肉厚は2mm、ボア間肉厚は7mmとした。

0041

密着性の評価は、ダイカスト後の、ライナが鋳ぐるまれたシリンダブロックを小さく切断し、ライナとアルミ材が5mm角まで剥離しないものを○、20mm角まで剥離しないものを△、それ以上のサイズで剥離するものを×として評価した。また、アルミ材の充填性については、ダイカスト後のライナとアルミ材の境界部分(以下、境界部分という)を研磨した後、顕微鏡観察し、空隙の大小で評価した。この結果を表3に示す。なお、密着性の試料ゲートより一番遠い位置で、充填性を観察した試料はボア間から採取した。

0042

0043

表3から、ライナ外周の粗さが、最大高さRy65〜260μm、凹凸の平均間隔Sm0.6〜1.5mmの範囲内であれば良好な密着性及び充填性が得られることが分かる。そして、特に、Ryが75〜250μm、Smが0.7〜1.4mmの範囲内にあるときに良好であることが分かる。

0044

また、図2には、実施例1のライナを用いてアルミ材をダイカストして得たシリンダブロックの上記境界部分における顕微鏡写真が示されている。同様に、図3には、比較例3のライナを用いて得たシリンダブロックの上記と同様な顕微鏡写真が示されている。これらの図から、実施例1のライナを用いた場合には、アルミ材がライナ外周の凹凸に充填されてアンカー効果による接合強度向上が図られることがわかる。

発明の効果

0045

以上説明したように、本発明の鋳鉄部材によれば、その外周にアルミ材をダイカストする際に、鋳鉄部材外周の凹凸部へのアルミ材の充填性がよく、かつ、アルミ材との密着性が向上するので、両者の接合強度、熱伝導性等に優れた鋳ぐるみ製品を得ることができる。したがって、例えば、シリンダライナに適用した場合、ライナとアルミ材とが強固に密着して、狭いボア間におけるアルミ材の熱間割れ等を防止することができる。

0046

また、本発明の鋳鉄部材の製造方法によれば、塗型材として、特定組成のものを用いることにより、本発明で規定する特定の表面粗さ及び凹凸の平均間隔を有する鋳肌面を形成することができる。したがって、この鋳肌面をそのまま鋳ぐるみ面とすることにより、後加工等を必要とせずに、上記のような優れた特性を有する鋳鉄部材を製造できる。

図面の簡単な説明

0047

図1ライナ入りシリンダブロックの断面の概略図である。
図2実施例1のライナの鋳ぐるみ面の断面の顕微鏡写真である。
図3比較例3のライナの鋳ぐるみ面の断面の顕微鏡写真である。

--

0048

1ライナ入りシリンダブロック
2シリンダライナ
3アルミ材
4ボア間の最小距離

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