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技術 リチウム二次電池

出願人 日本碍子株式会社
発明者 根本宏
出願日 1999年12月7日 (20年2ヶ月経過) 出願番号 1999-347526
公開日 2001年6月22日 (18年8ヶ月経過) 公開番号 2001-167800
状態 特許登録済
技術分野 二次電池(その他の蓄電池) 電気的推進車両の電源 車両の電気的な推進・制動 車両の電気的な推進・制動
主要キーワード 金属ゴミ 通常使用温度 材料塊 不活性ガス圧力 デュワー瓶 使用部材 電気良導体 モータ駆動電源
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課題

内部短絡外部短絡等による電池エネルギーの急激な開放に伴って電池温度が上昇した場合であっても、爆発や火事等の災害につながらないように、電池最高上昇温度が制限された安全性に優れるリチウム二次電池を提供する。

解決手段

正負各電極板2・3をセパレータ4を介して捲回若しくは積層してなる電極体1を備え、非水電解液を用いたリチウム二次電池であり、電池は、E0/Cp+T1=T2<t、の関係を満足する。但し、E0(J/g)は電池の満充電時における単位重量当たりエネルギー量、Cp(J/℃・g)は電池の比熱、T1(℃)は電池の通常使用温度、T2(℃)は電池の最高上昇温度、t(℃)は電池が熱により不安全な状態となる最低温度とする。

概要

背景

近年、リチウム二次電池は、携帯電話VTRノート型コンピュータ等の携帯型電子機器電源用電池として、広く用いられるようになってきている。また、リチウム二次電池は、単電池電圧が4V程度と、従来の鉛蓄電池等の二次電池よりも高く、しかもエネルギー密度が大きいことから、前記携帯型電子機器のみならず、最近の環境問題背景に、低公害車として積極的に一般への普及が図られている電気自動車EV)或いはハイブリッド電気自動車HEV)のモータ駆動電源としても注目を集めている。また、自動車ヘッドライトパワーウインドウ等の電装品電源としても、適用が検討されている。

リチウム二次電池には、一般的に、正極活物質リチウム遷移金属複合酸化物が、負極活物質炭素質材料が、電解液Liイオン電解質を有機溶媒に溶解した非水電解液が用いられる。電池反応を行う部分である電極体としては、サンドイッチ型、捲回型、積層型といった種々の形態のものがあるが、いずれの構造もセパレータ正極板と負極板を隔てた構造を有している。

ここで、EV・HEV用電池については、モータ駆動等に大きなパワーを必要とすることから、1本当たりに、ある程度大きな容量が必要とされる。そこで、このような用途には捲回型若しくは積層型の電極体を用いることが好ましく、これらの電極体の形成には、一般的に金属からなる集電基板の表面に電極活物質層を形成してなる電極板(正極板及び負極板を指す。)が用いられる。

ここで、捲回型や積層型の電極体を用いたリチウム二次電池に、内部短絡外部短絡過充電等が起きた場合には、電極体の有する内部抵抗に起因して生ずるジュール熱によって電池温度が上昇する。このとき、電極体に大電流が急激に流れた場合には当然に温度上昇が著しいものとなり、電池の爆発事故、更には災害へと発展する危険性がある。

電池の温度上昇には、内的原因と外的原因とが考えられる。例えば、内的原因としてはセパレータに破れ等の損傷箇所があった場合、電気良導体である金属ゴミが捲回体等の製造中に混入してセパレータを貫通した場合等が考えられ、いずれの場合でも電池内で電極板間短絡することとなるために大電流が流れることとなる。このときの発生したジュール熱は非水電解液を加熱、蒸発させるために電池内圧が上昇し、電池の発火爆発が起こる危険性がある。

一方、外的原因としては、電池内部を等の電気良導体が貫通した場合が考えられるが、この場合は内部短絡と同様の現象が起こる。また、電池の正負極端子間が短絡した場合が想定されるが、この場合には外部短絡時の負荷抵抗)の大きさによって発熱の程度が異なることとなる。その他にも、充電装置故障によって過充電が生じた場合、エンジン等の発熱装置の近くに載置されて加熱された場合等が考えられる。

発明者らは、このような種々の電池の温度上昇原因について検討し、Journal of Power Sources 81−82(1999)887−890において、25Ahの容量を有するリチウム二次電池について、釘刺し試験、外部短絡試験過充電試験外部加熱試験を行ったときの電池の温度変化を調べた結果を公表している。この中で、最も温度上昇の大きいものは釘刺し試験、即ち内部短絡が生じた場合であり、約400℃に至る温度上昇を確認している。

概要

内部短絡や外部短絡等による電池エネルギーの急激な開放に伴って電池温度が上昇した場合であっても、爆発や火事等の災害につながらないように、電池の最高上昇温度が制限された安全性に優れるリチウム二次電池を提供する。

正負各電極板2・3をセパレータ4を介して捲回若しくは積層してなる電極体1を備え、非水電解液を用いたリチウム二次電池であり、電池は、E0/Cp+T1=T2<t、の関係を満足する。但し、E0(J/g)は電池の満充電時における単位重量当たりエネルギー量、Cp(J/℃・g)は電池の比熱、T1(℃)は電池の通常使用温度、T2(℃)は電池の最高上昇温度、t(℃)は電池が熱により不安全な状態となる最低温度とする。

目的

効果

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請求項1

正負各電極板セパレータを介して捲回若しくは積層してなる電極体を備え、非水電解液を用いたリチウム二次電池であって、当該電池満充電時における単位重量当たりエネルギー量をE0(J/g)、当該電池の比熱をCp(J/℃・g)、当該電池の通常使用温度をT1(℃)、当該電池の最高上昇温度をT2(℃)とし、また、当該電池が熱により不安全な状態となる最低温度をt(℃)としたときに、当該電池が、下記式、E0/Cp+T1=T2<t ・・・式の関係を満足することを特徴とするリチウム二次電池。

請求項2

前記最高上昇温度T2が、前記非水電解液の沸点以下であることを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電池。

請求項3

前記最高上昇温度T2が、前記非水電解液の主要成分の各沸点中の最も低い温度以下であることを特徴とする請求項1記載のリチウム二次電池。

請求項4

前記最高上昇温度T2が、前記セパレータの主要構成材料融点中で最も高い温度以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。

請求項5

満充電時の電池容量が2Ah以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。

請求項6

電気自動車若しくはハイブリッド電気自動車用の電源として用いられることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のリチウム二次電池。

技術分野

0001

本発明は、内部短絡外部短絡等による電池エネルギーの急激な開放に伴って電池温度が上昇した場合であっても、爆発や火事等の災害につながらないように、電池最高上昇温度が制限された安全性に優れるリチウム二次電池に関する。

背景技術

0002

近年、リチウム二次電池は、携帯電話VTRノート型コンピュータ等の携帯型電子機器電源用電池として、広く用いられるようになってきている。また、リチウム二次電池は、単電池電圧が4V程度と、従来の鉛蓄電池等の二次電池よりも高く、しかもエネルギー密度が大きいことから、前記携帯型電子機器のみならず、最近の環境問題背景に、低公害車として積極的に一般への普及が図られている電気自動車EV)或いはハイブリッド電気自動車HEV)のモータ駆動電源としても注目を集めている。また、自動車ヘッドライトパワーウインドウ等の電装品電源としても、適用が検討されている。

0003

リチウム二次電池には、一般的に、正極活物質リチウム遷移金属複合酸化物が、負極活物質炭素質材料が、電解液Liイオン電解質を有機溶媒に溶解した非水電解液が用いられる。電池反応を行う部分である電極体としては、サンドイッチ型、捲回型、積層型といった種々の形態のものがあるが、いずれの構造もセパレータ正極板と負極板を隔てた構造を有している。

0004

ここで、EV・HEV用の電池については、モータ駆動等に大きなパワーを必要とすることから、1本当たりに、ある程度大きな容量が必要とされる。そこで、このような用途には捲回型若しくは積層型の電極体を用いることが好ましく、これらの電極体の形成には、一般的に金属からなる集電基板の表面に電極活物質層を形成してなる電極板(正極板及び負極板を指す。)が用いられる。

0005

ここで、捲回型や積層型の電極体を用いたリチウム二次電池に、内部短絡や外部短絡、過充電等が起きた場合には、電極体の有する内部抵抗に起因して生ずるジュール熱によって電池温度が上昇する。このとき、電極体に大電流が急激に流れた場合には当然に温度上昇が著しいものとなり、電池の爆発事故、更には災害へと発展する危険性がある。

0006

電池の温度上昇には、内的原因と外的原因とが考えられる。例えば、内的原因としてはセパレータに破れ等の損傷箇所があった場合、電気良導体である金属ゴミが捲回体等の製造中に混入してセパレータを貫通した場合等が考えられ、いずれの場合でも電池内で電極板間短絡することとなるために大電流が流れることとなる。このときの発生したジュール熱は非水電解液を加熱、蒸発させるために電池内圧が上昇し、電池の発火、爆発が起こる危険性がある。

0007

一方、外的原因としては、電池内部を等の電気良導体が貫通した場合が考えられるが、この場合は内部短絡と同様の現象が起こる。また、電池の正負極端子間が短絡した場合が想定されるが、この場合には外部短絡時の負荷抵抗)の大きさによって発熱の程度が異なることとなる。その他にも、充電装置故障によって過充電が生じた場合、エンジン等の発熱装置の近くに載置されて加熱された場合等が考えられる。

0008

発明者らは、このような種々の電池の温度上昇原因について検討し、Journal of Power Sources 81−82(1999)887−890において、25Ahの容量を有するリチウム二次電池について、釘刺し試験、外部短絡試験過充電試験外部加熱試験を行ったときの電池の温度変化を調べた結果を公表している。この中で、最も温度上昇の大きいものは釘刺し試験、即ち内部短絡が生じた場合であり、約400℃に至る温度上昇を確認している。

発明が解決しようとする課題

0009

さて、このような容量の大きいリチウム二次電池には、電池内圧が上昇したときに所定の圧力で電池内圧を外気圧に開放する放圧弁が設けられており、電池の温度上昇に基づく爆発を防止している。しかしながら、電池の内圧上昇が急速で放圧が追いつかない場合、放圧弁の作動不良が生じた場合等には、電池の爆発は避けられない。また、電池が満充電に近い状態にあるほど、より放出されるエネルギーも大きくなることから、短絡等による電池の温度上昇は大きなものとなる。

0010

そこで発明者らは、上述のように電池の温度が上昇する原因は数多くあるが、詰まるところ、電池に蓄積されているエネルギーによって電池自体が加熱されることとなっている場合が殆どであり、また、内部短絡時に最も電池温度が上昇することに着目した。即ち、電池に蓄積可能なエネルギー量と電池自体の比熱(若しくは熱容量)との間に所定の条件を満足させることにより、電池温度の上昇を一定温度以下に抑制することができると考え、本発明に到達した。

課題を解決するための手段

0011

即ち、本発明によれば、正負各電極板をセパレータを介して捲回若しくは積層してなる電極体を備え、非水電解液を用いたリチウム二次電池であって、当該電池の満充電時における単位重量当たりのエネルギー量をE0(J/g)、当該電池の比熱をCp(J/℃・g)、当該電池の通常使用温度をT1(℃)、当該電池の最高上昇温度をT2(℃)とし、また、当該電池が熱により不安全な状態となる最低温度をt(℃)としたときに、当該電池が、下記式、E0/Cp+T1=T2<t ・・・式、の関係を満足することを特徴とするリチウム二次電池、が提供される。

0012

ここで、最高上昇温度T2は、非水電解液の沸点以下とすることが好ましい。また、最高上昇温度T2は、非水電解液の主要成分の各沸点中の最も低い温度以下としてもよい。更に、最高上昇温度T2を、セパレータの主要構成材料融点中で最も高い温度以下とすることも好ましい。

0013

本発明のリチウム二次電池は、満充電時の電池容量が2Ah以上の電池に好適に用いられる。また、本発明のリチウム二次電池は、電気自動車若しくはハイブリッド電気自動車用の電源として、好適に用いられる。

発明を実施するための最良の形態

0014

本発明のリチウム二次電池(電池)は、正負各電極板をセパレータを介して捲回若しくは積層してなる電極体を備え、非水電解液を用いたものである。但し、各1枚の正極板と負極板でセパレータを挟み込んだ電極体を備えたコイン型電池ではあるが、その電池容量が大きなものに適用することを妨げるものではない。

0015

図1は捲回型電極体(以下「捲回体」という。)1の概略構造を示した斜視図である。捲回体1は、集電用タブタブ)5・6が複数取り付けられた電極板2・3(正極板2、負極板3)をセパレータ4を介して巻芯13の外周に捲回した構造を有している。

0016

ここで、正極板2は集電基板の両面に正極活物質を塗工して、正極活物質層を形成することによって作製される。集電基板としては、アルミニウム箔チタン箔等の正極電気化学反応に対する耐蝕性が良好である金属箔が好適に用いられる。なお、箔の代わりにパンチングメタル或いはメッシュ(網)を用いることもできる。また、正極活物質としては、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMn2O4)等のリチウム遷移金属複合酸化物を用いることができる。

0017

これら各種の正極活物質の集電基板(金属箔)への塗工は、正極活物質粉末溶剤バインダ等を添加して作製したスラリー或いはペーストを、ドクターブレード法ロールコータ法等を用いて、集電基板に塗布・乾燥することで行われる。なお、正極活物質層の形成に当たっては、通常、これら正極活物質粉末にアセチレンブラック或いはカーボンブラック等の炭素微粉末導電助材として加えられる。

0018

負極板3は、正極板2と同様にして作製することができる。負極板3の集電基板としては、銅箔若しくはニッケル箔等の負極電気化学反応に対する耐蝕性が良好な金属箔が好適に用いられる。勿論、パンチングメタルやメッシュを用いてもよい。負極活物質としては、ソフトカーボンハードカーボンといったアモルファス系炭素質材料や、人造黒鉛天然黒鉛等の高黒鉛化炭素質粉末が用いられる。

0019

セパレータ4としては、マイクロポアを有するLiイオン透過性ポリエチレンフィルムPEフィルム)を、多孔性のLiイオン透過性のポリプロピレンフィルムPPフィルム)で挟んだ3層構造としたものが好適に用いられる。これは、捲回体1の温度が上昇した場合に、PEフィルムが約130℃で軟化してマイクロポアが潰れ、Liイオンの移動即ち電池反応を抑制する安全機構を兼ねたものである。そして、このPEフィルムをより軟化温度の高いPPフィルムで挟持することによって、PEフィルムが軟化した場合においても、PPフィルムが形状を保持して正極板2と負極板3の接触・短絡を防止し、電池反応の確実な抑制と安全性の確保が可能となる。

0020

電極板2・3とセパレータ4を巻芯13周りに捲回する作業の際に、電極板2・3において電極活物質が塗工されていない集電基板の露出した部分にタブ5・6がそれぞれ取り付けられる。このため、電極板2・3は、集電基材幅方向の少なくとも一端に活物質層が形成されていないストライプ構造とすることが好ましい。なお、巻芯13は、金属、樹脂セラミック等種々の材質のものを用いることができ、導電性材料を用いる場合には、電極板2・3との絶縁を確保しなければならない。

0021

タブ5・6としては、それぞれの電極板2・3の集電基板と同じ材質からなる箔状のものが好適に用いられる。タブ5・6の電極板2・3への取り付けは、超音波溶接スポット溶接等を用いて行うことができる。このとき、図1に示されるように、捲回体1の一端面に一方の電極のタブが配置されるようにタブ5・6をそれぞれ取り付けると、タブ5・6間の接触を防止することができ、好ましい。

0022

上述の通りにして作製された捲回体1を用いて、電池を組み立てるに当たっては、先ず、電流を外部に取り出すための正負極端子とタブ5・6との導通をそれぞれ確保しつつ、作製された捲回体1を電池ケースに挿入して安定な位置にホールドする。その後、捲回体1に非水電解液を含浸させた後に、電池ケースを封止することで電池を作製することができる。本発明において、電池ケースの形状や構造、或いは捲回体1におけるタブ5・6と正負極端子との接続の形態には何ら制限がないことはいうまでもない。

0023

なお、非水電解液としては、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)やホウフッ化リチウム(LiBF4)等のリチウム錯体フッ素化合物、或いは過塩素酸リチウム(LiClO4)といったリチウムハロゲン化物等から選ばれた1種類若しくは2種類以上の電解質を、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネートDMC)、プロピレンカーボネート(PC)といった炭酸エステル系溶媒γ−ブチロラクトンテトラヒドロフランアセトニトリル等の単独溶媒若しくは混合溶媒に溶解してなるものが好適に用いられる。

0024

次に、図2積層型電極体(以下「積層体」という。)7の斜視図を示す。積層体7は、正極板8と負極板9とを、セパレータ10を介しながら交互に積層した構造を有しており、電極板8・9の1枚1枚にタブ11・12が取り付けられている。図2では電極板8・9等の面形状は四角形であるが、円形楕円形等種々の形状とすることができる。

0025

なお、電極板8・9の作製には、前述した捲回体1に用いられる電極板2・3と同様の方法を用いることが可能である。また、積層体7を収容する電池ケースの形状や電池の端子位置、電池の外形について制限がないことはいうまでもなく、セパレータや非水電解液についても、捲回体1を用いた場合と同様のものを用いることができる。

0026

さて、本発明においては、上述した捲回体1又は積層体7を用いて、下記式、
E0/Cp+T1=T2<t ・・・式
但し、E0(J/g):電池の満充電時における単位重量当たりのエネルギー量、
Cp(J/℃・g):電池の比熱、
T1(℃):電池の通常使用温度、
T2(℃):電池の最高上昇温度、
t(℃):電池が熱により不安全な状態となる最低温度、
の関係が満足されるように、電池を構成する。

0027

ここで、実際に電池に充填された単位重量当たりのエネルギー量をE(J/g)とすると、E≦E0の関係が成り立つから、式は充電状態には依存せずに成立することとなる。電池の比熱Cp(J/℃・g)は、電池全体の比熱を指し、電極体のみの比熱を指すものではない。なお、E0の代わりに電池全体のエネルギー量E0’(J)を、Cpの代わりに電池全体の熱容量C(J/℃)を用いても、式は同様に成立することは明らかである。電池に蓄えられるエネルギー量は、電池の充電容量放電可能容量)から求めることができる。

0028

電池の比熱Cpは、恒温乾燥器等の中に載置することにより電池内部まで一定の所定温度保持された電池を、デュワー瓶中に蓄えられた水の中へ投下して、その上昇水温を測定する方法等により求めることができる。なお、比熱公知の材料塊を用いて、デュワー瓶からの放熱による熱損失を予め求めておけば、より正確な電池の比熱を測定することができる。

0029

通常使用温度T1(℃)は、多くの場合は室温であるが、例えば、自動車等のヘッドライト、パワーウインドウ等の電装品用電源として用いられる場合には、エンジンが載置されているボンネット内に置かれる場合が多いことから、ボンネット内での載置される部分における温度と定めることができる。

0030

最高上昇温度T2(℃)は、式から明らかなように、電池に蓄積されたエネルギーによって、電池自体が温められて到達する電池温度を指している。また、電池が熱により不安全な状態となる最低温度t(℃)とは、例えば、非水電解液が蒸発する温度、セパレータが溶融することによって正極板と負極板が短絡する温度、電池構成成分の発熱反応により反応が急激に開始する温度等をいう。ここで、非水電解液の沸点は、非水電解液を形成する溶媒の種類や混合比率等によって異なり、また、使用するセパレータも材質が異なれば溶融する温度も異なることから、tは電池の設計(構造や使用材料等)によって異なるものとなる。

0031

次に、式を満足するように電池を設計する方法について、以下に説明する。先ず、使用される非水電解液等の電池の不安全性に関与する材料の熱的特性を考慮してtを定める。次に、T2を安全係数等を考慮して任意に定める。T1は使用方法や配設位置により決定される。

0032

Cpを決定するに当たっては、先ず、電池ケースや電池端子等の電極体を除いた他の部分のみの比熱を、先に述べたデュワー瓶を用いた方法等によって求め、次に、電極体のみの比熱を同様の方法により求める。更に、電極体が捲回体の場合には、巻芯の比熱も単独で求めておくと好ましく、これにより、正極板と負極板並びにセパレータからなる部分の比熱を求めることができる。

0033

次に、試験的に、上述したように比熱が公知である材料を用い、また、各部材の重量を記録して電池を作製し、実際にできあがった電池(第1試験品)のCp及びE0を求める。求められた各値からE0/Cpを算出し、更にT1を考慮すると、第1試験品の理論的な電池の最高上昇温度(以下、「T2’」と表す。)が求められる。このT2’が先に定めたT2よりも高くなる場合には、大きくは次の2通りの少なくともいずれかの方法を用いることにより、T2’をT2との差を許容範囲内に納めることができる。

0034

このときの1つの方法は、E0は電極体における正極板の面積に比例すると考えることができるから、E0が小さくなるように、使用する電極板の面積を小さくする、つまり電極体を小型化する方法である。例えば、電池ケース等の電極体以外の部品について第1試験品と同じものを用いるならば、電極体の重量が減少すること、電極体の重量の減少に伴って充填される非水電解液の量が減少すること、電極体を電池ケース内で安定に保持するために巻芯の径を大きくする場合には巻芯の重量増に伴って熱容量が変化すること等を考慮して、予め計算により好適な正極板の面積を算出し、再び電池(第2試験品)を作製する。

0035

なお、第1試験品を作製するに当たって使用した部材から求められる平均的なCpと作製された第1試験品から求められた実際の電池のCpとを比較して、前述した第2試験品を作製するに当たって行う計算の補正をすることも好ましい。

0036

別の方法は、電池の温度上昇が起こり難くなるように電池の熱容量を大きくする方法であり、具体的には、電池ケースを大型化する、使用部材(材質)を変更する、電池内空間或いは電池外周に適度な熱伝導性を有する材料を付加する等の方法である。しかしながら、このような方法は、電池自体の重量増、即ち重量エネルギー密度の低下につながることも多く、従って、試験品のT2’とT2の差が小さい場合にのみ用いることが好ましい。なお、上述した2つの方法を併用することも、当然に可能である。

0037

このような方法により再び作製した電池(第2試験品)のCp、E0を測定してT2’を求め、予め定められたT2と比較し、条件に適合しているか否かを判断する。このような作業は、先の正極板の面積見直しの際の計算等の精度によっても異なるが、少なくとも数回行えば、電池の正確な設計条件を得ることができる。なお、電池ケース等のサイズを変更する場合には、サイズ変更に伴う熱容量の変化をも考慮することが好ましい。

0038

ところで、第1試験品におけるT2’が定めたT2よりも低い場合には、電極体を大型化することも可能であり、このときに、電池ケース等を大型化する必要がある場合には、電池ケース等の大型化に伴う熱容量の変化を考慮すればよい。

0039

次に、最高上昇温度T2の決定の形態について説明する。1つの方法は、最高上昇温度T2を非水電解液の沸点以下に設定することである。例えば、非水電解液に用いられる溶媒の沸点は、前述したPCで241℃、ECで248℃、DECで127℃、DMCで90℃である。このような溶媒を混合した場合には、分子間相互作用によって沸点が上昇する場合があるが、それぞれの成分が沸点で蒸発を始める場合も起こり得る。

0040

従って、本発明で定義する非水電解液の沸点とは、非水電解液から、少なくとも非水電解液を構成する一成分が蒸発を始める温度を指すものとする。沸点は外圧によって変化するが、電池内の非水電解液にかかる外圧とはいうまでもなく電池内圧であり、通常は1気圧である。但し、電池外温度、電池封止時の不活性ガス圧力等により変化し得る。

0041

別の形態は、最高上昇温度T2を、非水電解液の主要成分の各沸点中で最も低い温度以下に設定する方法である。これは、微量成分の蒸発が、直ちに電池の破裂等に至るような内圧上昇を引き起こすとは考え難いことよる。なお、非水電解液の主要成分とは、具体的に何%以上含まれる成分のことを指すものではない。例えば、溶媒Aと溶媒Bの等量混合物では両溶媒A・Bが主要成分であることはいうまでもなく、溶媒Aが20%、溶媒Bが80%の場合にも溶媒Aは主要成分と考えることができる。これに対して、溶媒Aが98%であり、溶媒Bが2%といった混合溶媒では、主要成分は溶媒Aのみと考えることができる。主要成分であるか否かについては、他のどの成分に対しても相対的に1/20以下の含有量しか含まれていな成分は主要成分でないとし、この条件を判断基準とすることができる。

0042

さて、更に別の形態は、最高上昇温度T2の基準を、セパレータの主要構成材料の融点中で最も高い温度以下とする方法である。例えば、前述した3層構造を有するPP/PE/PPフィルムからなるセパレータでは、融点が高く、セパレータの骨格をなすPPフィルムが溶融すると、正極板と負極板の直接接触の危険性が高くなることから、T2をPPフィルムの溶融温度以下とすれば、電池の安全性が確保され、好ましい。

0043

ところで、上述した式は、電池が外部環境に対して断熱状態にあることを前提としているが、実際には電池温度が上昇したときには電池表面から外部へ熱が放出されることとなるから、もし、電池に蓄積されたエネルギーによって電池自体が加熱されても、電池の温度が設定されたT2に達することは現実には起こり得ないと言ってもよい。このことは、逆に言えば、電池の上昇温度がT2よりも低い温度に抑えられるということを示していることから、式の条件を満たす電池は、より安全性が高められた状態となっていることを示している。

0044

上記式を満足する本発明のリチウム二次電池の構成は、満充電時の電池容量が2Ah以上、特には5Ah以上の大容量電池に好適に用いられるが、2Ah以下の容量の電池に用いることも、勿論可能である。そして、電池の用途に制限はないことはいうまでもないが、安全性の確保が要求される電気自動車若しくはハイブリッド電気自動車用のモータ駆動用電源或いは電装品用電源として、特に好適に用いられる。

発明の効果

0045

以上、本発明のリチウム二次電池によれば、短絡事故等により電池が自己発熱した場合であっても、蓄積エネルギーが電池の比熱との関係で制限されているために、電池温度が所定温度以上に上昇することがない。従って、電池の爆発、発火等が回避されて安全性が確保されるという優れた効果が得られる。

図面の簡単な説明

0046

図1捲回型電極体の概略構造を示す斜視図である。
図2積層型電極体の概略構造を示す斜視図である。

--

0047

1…捲回型電極体、2…正極板、3…負極板、4…セパレータ、5・6…タブ、7…積層型電極体、8…正極板、9…負極板、10…セパレータ、11・12…タブ、13…巻芯。

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    【課題】車体の中央、かつ底面に設置するバッテリーを交換する場合、専門家や特定の場所でしか作業できず、また時間かかっていたため、速やかに交換可能なバッテリー搭載構造を提供する【解決手段】車載用蓄電池を車... 詳細

  • パナソニックIPマネジメント株式会社の「 非水電解質二次電池」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題・解決手段】正極と、負極と、非水電解質とを備え、前記非水電解質は、含フッ素環状カーボネートを含む非水溶媒と、N−エチルマレイミド等のマレイミド化合物と、ジグリコール酸無水物等の環状カルボン酸無水... 詳細

  • 三洋電機株式会社の「 非水電解質二次電池用電極及び非水電解質二次電池」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題・解決手段】本開示は安定した開放電圧を有する非水電解質二次電池を提供する。実施形態の一例である非水電解質二次電池用電極は、帯状の集電体と、集電体の両面に形成された合材層と、集電体の両面が露出した... 詳細

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