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技術 分光スペクトル帰属同定方法および分光スペクトル帰属同定装置

出願人 株式会社半導体先端テクノロジーズ
発明者 鳥海実遠藤政孝岡部一朗佐藤功渡辺裕之
出願日 1999年11月30日 (21年0ヶ月経過) 出願番号 1999-341221
公開日 2001年6月12日 (19年6ヶ月経過) 公開番号 2001-159603
状態 特許登録済
技術分野 各種分光測定と色の測定 光学的手段による材料の調査、分析
主要キーワード エネルギー積分 積分エネルギー 出力データメモリ 推定曲線 分子軌道間 観測スペクトル モデル波形 装置関数
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2001年6月12日)のものです。
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課題

本発明は、スペクトル幅がなくピーク高だけで比較する従来の分光スペクトル方法よりも容易に分光スペクトルの帰属を同定でき、可視分光スペクトルや紫外分光スペクトル真空紫外分光スペクトルに限らず赤外分光スペクトルラマン分光スペクトル核磁気共鳴分光スペクトルなど広い分野の分光スペクトルに適用できる分光スペクトルの帰属を同定できる分光スペクトル帰属同定方法および分光スペクトル帰属同定装置を得る。

解決手段

帰属同定すべき分光スペクトルに対して、分子軌道法で計算した遷移エネルギーを中心エネルギーとするとともに、振動子強度積分エネルギーとして、ガウス関数を当てはめることにより分光スペクトルを帰属同定する。

概要

背景

通常、材料計測で得られる分光スペクトルのような観測波形の多くは、特定の成分に特有の幾つかの孤立ピーク波形の重なりとして現れる。したがって、このような波形を基に各成分の同定や定量などが盛んに行われている。例えば、試料に関する分光スペクトルを測定し、分光スペクトル中の各スペクトル成分の波長および強度を基に、試料に含まれる物質を同定し、物質の量を測定することは広く行われている。既知の物質であれば、その波長や強度は既に知られており、同定に利用される。

この一方で、理論計算による同定も行われている。例えば、物質の分子構造を基に分子軌道法により遷移エネルギーおよび振動子強度を計算し、測定された分光スペクトルと比較することで、スペクトル同定が行われる。この場合、遷移エネルギーと各スペクトル成分の分光波長を比較し、振動子強度と各スペクトル成分の吸収強度を比較することになる。理論計算から予想できる分光スペクトルはスペクトル幅を持たない単なる線スペクトルの並びである。

概要

本発明は、スペクトル幅がなくピーク高だけで比較する従来の分光スペクトル方法よりも容易に分光スペクトルの帰属を同定でき、可視分光スペクトルや紫外分光スペクトル真空紫外分光スペクトルに限らず赤外分光スペクトルラマン分光スペクトル核磁気共鳴分光スペクトルなど広い分野の分光スペクトルに適用できる分光スペクトルの帰属を同定できる分光スペクトル帰属同定方法および分光スペクトル帰属同定装置を得る。

帰属同定すべき分光スペクトルに対して、分子軌道法で計算した遷移エネルギーを中心エネルギーとするとともに、振動子強度を積分エネルギーとして、ガウス関数を当てはめることにより分光スペクトルを帰属同定する。

目的

この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、スペクトル幅がなくピーク高だけで比較する従来の分光スペクトル方法よりも容易に分光スペクトルの帰属を同定ができ、可視分光スペクトルや紫外分光スペクトル、真空紫外分光スペクトルに限らず赤外分光スペクトルやラマン分光スペクトル、核磁気共鳴分光スペクトルなど広い分野の分光スペクトルに適用できる分光スペクトル帰属同定方法および分光スペクトル帰属同定装置を得ることを目的とする。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

この技術が所属する分野

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請求項1

帰属同定すべき分光スペクトルに対して分子軌道法理論値を用いて帰属を同定する分光スペクトル帰属同定方法であって、分子軌道法で計算した遷移エネルギーを中心エネルギーとして、振動子強度積分エネルギーとしたピーク波形関数を当てはめてモデル関数を作成する工程を有することを特徴とする分光スペクトル帰属同定方法。

請求項2

前記ピーク波形の関数としてガウス関数を当てはめてモデル関数を作成する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の分光スペクトル帰属同定方法。

請求項3

帰属同定すべき分光スペクトルに対して、分子軌道法で計算した遷移エネルギーを中心エネルギーとするとともに、振動子強度を積分エネルギーとして、ガウス関数を当てはめてモデル関数を作成する工程を有することを特徴とする請求項2に記載の分光スペクトル帰属同定方法。

請求項4

前記ピーク波形の関数としてローレンツ関数を当てはめてモデル関数を作成する工程を有することを特徴とする請求項1に記載の分光スペクトル帰属同定方法。

請求項5

分子軌道法の計算結果を、観測値と類似したスペクトル幅を有した前記ピーク波形で表現する工程を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の分光スペクトル帰属同定方法。

請求項6

通常の測定された少なくとも分光波長吸光度を含む分光スペクトルを入力データとし入力する第1処理工程と、分子軌道法で対応する分子構造を基に計算された遷移エネルギーと振動子強度を入力データとする第2処理工程と、前記ピーク波形の関数を選択し、モデル関数を作成する第3処理工程と、分光スペクトルとの残差平方和を最小化し、パラメータを決定する第4処理工程と、前記第4処理工程で計算して得られたパラメータを用いてモデル関数を計算し、同定の様子を表示する第5処理工程を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の分光スペクトル帰属同定方法。

請求項7

分光スペクトルが入力データとして入力され、出力データを画面上に表示して同定を可能にする端末入出力工程と、前記第1処理工程乃至前記第5処理工程を実行するプログラムを格納する記憶工程と、前記残差平方和を最小にして最適化する前記第4処理工程を実行する演算工程と、分子軌道計算値および前記ピーク波形の関数を入力データとして記憶する入力データメモリ工程と、パラメータベクトルが格納される出力データメモリ工程を有し、当該パラメータベクトルを用いてモデル関数を計算し、出力データとして前記端末入出力工程で用いる入出力端末の画面上に表示して分光スペクトルの帰属同定を行うことを特徴とする請求項6に記載の分光スペクトル帰属同定方法。

請求項8

帰属同定すべき分光スペクトルに対して分子軌道法の理論値を用いて帰属を同定する分光スペクトル帰属同定装置であって、分子軌道法で計算した遷移エネルギーを中心エネルギーとして、振動子強度を積分エネルギーとしたピーク波形の関数を当てはめてモデル関数を作成する手段を有することを特徴とする分光スペクトル帰属同定装置。

請求項9

前記ピーク波形の関数としてガウス関数を当てはめてモデル関数を作成する手段を有することを特徴とする請求項8に記載の分光スペクトル帰属同定装置。

請求項10

帰属同定すべき分光スペクトルに対して、分子軌道法で計算した遷移エネルギーを中心エネルギーとするとともに、振動子強度を積分エネルギーとして、ガウス関数を当てはめてモデル関数を作成する手段を有することを特徴とする請求項9に記載の分光スペクトル帰属同定装置。

請求項11

前記ピーク波形の関数としてローレンツ関数を当てはめてモデル関数を作成する手段を有することを特徴とする請求項8に記載の分光スペクトル帰属同定装置。

請求項12

少なくともガウス関数、ローレンツ関数を含む所定の関数群の中から、前記ピーク波形の関数を分光スペクトルに応じて最適に選択して設定する手段を有することを特徴とする請求項8乃至11のいずれか一項に記載の分光スペクトル帰属同定装置。

請求項13

通常の測定された少なくとも分光波長、吸光度を含む分光スペクトルを入力データとし入力する第1処理工程を実行する手段と、分子軌道法で対応する分子構造を基に計算された分子軌道計算値と分子軌道計算値を入力データとする第2処理工程を実行する手段と、前記ピーク波形の関数を選択し、モデル関数を作成する第3処理工程を実行する手段と、分光スペクトルとの残差平方和を最小化し、パラメータを決定する第4処理工程を実行する手段と、前記第4処理工程で計算して得られたパラメータを用いてモデル関数を計算し、同定の様子を表示する第5処理工程を実行する手段を有することを特徴とする請求項8乃至12のいずれか一項に記載の分光スペクトル帰属同定装置。

請求項14

分光スペクトルが入力データとして入力され、出力データを画面上に表示して同定を可能にするための入出力端末と、前記第1処理工程乃至前記第5処理工程を実行するプログラムが格納されている記憶装置と、前記残差平方和を最小にして最適化する前記第4処理工程を実行する演算手段と、分子軌道計算値および前記ピーク波形の関数を入力データとして記憶する入力データメモリと、パラメータベクトルが格納される出力データメモリを有し、当該パラメータベクトルを用いてモデル関数を計算し、出力データとして前記入出力端末の画面上に表示して分光スペクトルの帰属同定を行うように構成されていることを特徴とする請求項13に記載の分光スペクトル帰属同定装置。

技術分野

0001

この発明は、分光スペクトルの同定技術に係り、特に分光分析を行う装置等により試料に関する分光スペクトルを測定して得られた分光スペクトルデータを基にスペクトル成分を同定するための分光スペクトル帰属同定方法および分光スペクトル帰属同定装置に関するものである。

背景技術

0002

通常、材料計測で得られる分光スペクトルのような観測波形の多くは、特定の成分に特有の幾つかの孤立ピーク波形の重なりとして現れる。したがって、このような波形を基に各成分の同定や定量などが盛んに行われている。例えば、試料に関する分光スペクトルを測定し、分光スペクトル中の各スペクトル成分の波長および強度を基に、試料に含まれる物質を同定し、物質の量を測定することは広く行われている。既知の物質であれば、その波長や強度は既に知られており、同定に利用される。

0003

この一方で、理論計算による同定も行われている。例えば、物質の分子構造を基に分子軌道法により遷移エネルギーおよび振動子強度を計算し、測定された分光スペクトルと比較することで、スペクトル同定が行われる。この場合、遷移エネルギーと各スペクトル成分の分光波長を比較し、振動子強度と各スペクトル成分の吸収強度を比較することになる。理論計算から予想できる分光スペクトルはスペクトル幅を持たない単なる線スペクトルの並びである。

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、実測される分光スペクトルは線スペクトルの並びでなく、より広い幅を持った帯スペクトルの並びである。そのために、実測される分光スペクトルの実測値と理論計算との形態の違いが大きく、同定できない場合が多いという問題点があった。

0005

この発明は上記のような問題点を解消するためになされたもので、スペクトル幅がなくピーク高だけで比較する従来の分光スペクトル方法よりも容易に分光スペクトルの帰属を同定ができ、可視分光スペクトルや紫外分光スペクトル真空紫外分光スペクトルに限らず赤外分光スペクトルラマン分光スペクトル核磁気共鳴分光スペクトルなど広い分野の分光スペクトルに適用できる分光スペクトル帰属同定方法および分光スペクトル帰属同定装置を得ることを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

この発明の請求項1記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定方法は、帰属同定すべき分光スペクトルに対して分子軌道法の理論値を用いて帰属を同定する分光スペクトル帰属同定方法であって、分子軌道法で計算した遷移エネルギーを中心エネルギーとして、振動子強度を積分エネルギーとしたピーク波形の関数を当てはめてモデル関数を作成する工程を有するものである。

0007

また、請求項2記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定方法は、上記請求項1記載の発明において、前記ピーク波形の関数としてガウス関数を当てはめてモデル関数を作成する工程を有するものである。

0008

また、請求項3記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定方法は、上記請求項2記載の発明において、帰属同定すべき分光スペクトルに対して、分子軌道法で計算した遷移エネルギーを中心エネルギーとするとともに、振動子強度を積分エネルギーとして、ガウス関数を当てはめてモデル関数を作成する工程を有するものである。

0009

また、請求項4記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定方法は、上記請求項1記載の発明において、前記ピーク波形の関数としてローレンツ関数を当てはめてモデル関数を作成する工程を有するものである。

0010

また、請求項5記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定方法は、上記請求項1乃至4のいずれか一項に記載の発明において、分子軌道法の計算結果を、観測値と類似したスペクトル幅を有した前記ピーク波形で表現する工程を有するものである。

0011

また、請求項6記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定方法は、上記請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発明において、通常の測定された少なくとも分光波長、吸光度を含む分光スペクトルを入力データとし入力する第1処理工程と、分子軌道法で対応する分子構造を基に計算された遷移エネルギーと振動子強度を入力データとする第2処理工程と、前記ピーク波形の関数を選択し、モデル関数を作成する第3処理工程と、分光スペクトルとの残差平方和を最小化し、パラメータを決定する第4処理工程と、前記第4処理工程で計算して得られたパラメータを用いてモデル関数を計算し、同定の様子を表示する第5処理工程を有するものである。

0012

また、請求項7記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定方法は、上記請求項6に記載の発明において、分光スペクトルが入力データとして入力され、出力データを画面上に表示して同定を可能にする端末入出力工程と、前記第1処理工程乃至前記第5処理工程を実行するプログラムを格納する記憶工程と、前記残差平方和を最小にして最適化する前記第4処理工程を実行する演算工程と、分子軌道計算値および前記ピーク波形の関数を入力データとして記憶する入力データメモリ工程と、パラメータベクトルが格納される出力データメモリ工程を有し、当該パラメータベクトルを用いてモデル関数を計算し、出力データとして前記端末入出力工程で用いる入出力端末の画面上に表示して分光スペクトルの帰属同定を行うものである。

0013

また、請求項8記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定装置は、帰属同定すべき分光スペクトルに対して分子軌道法の理論値を用いて帰属を同定する分光スペクトル帰属同定装置であって、分子軌道法で計算した遷移エネルギーを中心エネルギーとして、振動子強度を積分エネルギーとしたピーク波形の関数を当てはめてモデル関数を作成する手段を有するものである。

0014

また、請求項9記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定装置は、上記請求項8記載の発明において、前記ピーク波形の関数としてガウス関数を当てはめてモデル関数を作成する手段を有するものである。

0015

また、請求項10記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定装置は、上記請求項9に記載の発明において、帰属同定すべき分光スペクトルに対して、分子軌道法で計算した遷移エネルギーを中心エネルギーとするとともに、振動子強度を積分エネルギーとして、ガウス関数を当てはめてモデル関数を作成する手段を有するものである。

0016

また、請求項11記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定装置は、上記請求項8に記載の発明において、前記ピーク波形の関数としてローレンツ関数を当てはめてモデル関数を作成する手段を有するものである。

0017

また、請求項12記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定装置は、上記請求項8乃至11のいずれか一項に記載の発明において、少なくともガウス関数、ローレンツ関数を含む所定の関数群の中から、前記ピーク波形の関数を分光スペクトルに応じて最適に選択して設定する手段を有するものである。

0018

また、請求項13記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定装置は、上記請求項8乃至12のいずれか一項に記載の発明において、通常の測定された少なくとも分光波長、吸光度を含む分光スペクトルを入力データとし入力する第1処理工程を実行する手段と、分子軌道法で対応する分子構造を基に計算された分子軌道計算値と分子軌道計算値を入力データとする第2処理工程を実行する手段と、前記ピーク波形の関数を選択し、モデル関数を作成する第3処理工程を実行する手段と、分光スペクトルとの残差平方和を最小化し、パラメータを決定する第4処理工程を実行する手段と、前記第4処理工程で計算して得られたパラメータを用いてモデル関数を計算し、同定の様子を表示する第5処理工程を実行する手段を有するものである。

0019

また、請求項14記載の発明にかかる分光スペクトル帰属同定装置は、上記請求項13に記載の発明において、分光スペクトルが入力データとして入力され、出力データを画面上に表示して同定を可能にするための入出力端末と、前記第1処理工程乃至前記第5処理工程を実行するプログラムが格納されている記憶装置と、前記残差平方和を最小にして最適化する前記第4処理工程を実行する演算手段と、分子軌道計算値および前記ピーク波形の関数を入力データとして記憶する入力データメモリと、パラメータベクトルが格納される出力データメモリを有し、当該パラメータベクトルを用いてモデル関数を計算し、出力データとして前記入出力端末の画面上に表示して分光スペクトルの帰属同定を行うように構成されているものである。

発明を実施するための最良の形態

0020

本発明の特徴は、帰属同定すべき分光スペクトルに対して、分子軌道法で計算した遷移エネルギーを中心エネルギーとするとともに、振動子強度を積分エネルギーとしたガウス関数をピーク波形の関数として当てはめる点にある。これにより、スペクトル幅がなくピーク高だけで比較する従来の分光スペクトル方法よりも容易に分光スペクトルの帰属を同定ができるようになるといった効果を奏する。その理由は、分子軌道法の計算結果を、観測値と類似したスペクトル幅を有したピーク波形で表現できるからである。さらに加えて、可視分光スペクトルや紫外分光スペクトル、真空紫外分光スペクトルに限らず、赤外分光スペクトルやラマン分光スペクトル、核磁気共鳴分光スペクトルなど広い分野の分光スペクトルに適用できるようになるといった効果を奏する。その理由は、ピーク波形の関数を分光スペクトルに合わせてガウス関数やローレンツ関数などに自由に設定することができるからである。以下、この発明の一実施の形態を詳細に説明する。

0021

初めに、本発明の分光スペクトル帰属同定方法の原理を説明する。分光スペクトル計測においては、分光スペクトルの分析対象領域に含まれる孤立ピーク波形を同定することを目的としている。本実施の形態では、分子軌道法に基づいて得られた遷移エネルギーおよび振動子強度を利用して測定分光スペクトルにおける孤立ピーク波形の幅および強度の推定を行う。

0022

まず、m点からなる分光スペクトルの測定値I(j);j=1,2,…,m(自然数)がn個のピーク波形fi(j;p);i=1,2,…,n(自然数)を含み観測されたとすると、分光スペクトルの測定値I(j)は、下記の式(1)で表現される。

0023

0024

上記式(1)において、pは各ピークに含まれるパラメータを要素とするベクトルであり、n(j)は雑音を表す。もちろん、観測値にベースラインの寄与が含まれていたり、装置関数の寄与が含まれることはあるが、以下の議論は同様に成り立つので、ここではベースラインや装置関数は無視できるとして説明を進める。

0025

分光スペクトルの帰属同定のための推定を行うためには、測定値から推定曲線への残差二乗和R(p)を最小化すれば良い。

0026

0027

ここで、Wjは重み係数であって、観測値に含まれる誤差(雑音)の影響を最小限に抑え、高い精度を得るような適合を行えば良い。

0028

例えば、各ピーク波形を表す関数をガウス関数とすれば、下記の式(3)となる。

0029

0030

すなわち、ピーク波形の中心波長λmaxとして、当てはめ因子pは定数aとwになる。

0031

分子軌道法により得られた遷移エネルギーを中心波長λmaxとし、また振動子強度を式(4)に示すエネルギー積分値になるという拘束条件のもとで、上記測定値から推定曲線への残差の二乗和R(p)を最小化することにより、当てはめ因子aとwが定まる。

0032

0033

このパラメータ推定は非線型最小二乗法であるから、一般的なシンプレックス法やGauss−Newton(ガウスニュートン)法、共役勾配法などの公知の最適化法が適用できる。

0034

本発明では、線スペクトルでなく、スペクトル線広がりを考慮してあるために、実測のスペクトルとの対応がつきやすく、容易に分光スペクトルの帰属を同定できる。

0035

以上説明したように本実施の形態によれば、以下に掲げる効果を奏する。まず第1の効果は、分子軌道法の計算結果を、観測値と類似したスペクトル幅を有したピーク波形で表現できるので、スペクトル幅がなくピーク高だけで比較する従来の分光スペクトル方法よりも容易に分光スペクトルの帰属を同定ができることである。

0036

また第2の効果は、ピーク波形の関数を分光スペクトルに合わせてガウス関数やローレンツ関数などに自由に設定することができるので、可視分光スペクトルや紫外分光スペクトル、真空紫外分光スペクトルに限らず、赤外分光スペクトルやラマン分光スペクトル、核磁気共鳴分光スペクトルなど広い分野の分光スペクトルに適用できることである。

0037

以下、この発明の一実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本発明の分光スペクトル帰属同定方法を説明するためのフローチャートである。本実施の形態では、一例として、ポリヒドロキシスチレン)の真空紫外分光スペクトルを帰属同定した実施例について記す。本発明の分光スペクトルの同定方法のフローチャートを図1に示す。

0038

図1を参照すると、本実施例では、まず、通常の測定された分光スペクトル(分光波長、吸光度等)を入力データとし入力する(処理1(第1処理工程))。続いて、分子軌道法で対応する分子構造を基に計算された遷移エネルギー(分子軌道計算値)と振動子強度(分子軌道計算値)を入力データとする(処理2(第2処理工程))。続いて、ピーク波形の関数を選択し、モデル関数を作成する(処理3(第3処理工程))。続いて、分光スペクトルとの残差平方和を最小化し、パラメータを決定する(処理4(第4処理工程))。続いて、この処理4(第4処理工程)で計算して得られたパラメータを用いてモデル関数を計算し、同定の様子を表示する(処理5(第5処理工程))。

0039

次に、図1に示した分光スペクトル帰属同定方法を実行する本発明の分光スペクトル帰属同定装置を図2に示す。図2は本発明の分光スペクトル帰属同定装置10の構成を説明するためのブロック図である。図2において、1は入出力端末、2は入力データ、3は記憶装置、4はCPU、5は出力データ、6は入力データメモリ、7は出力データメモリ、10は分光スペクトル帰属同定装置を示している。図2を参照すると、本実施の形態の分光スペクトル帰属同定装置10は、分光スペクトルが入力データとして入力され、出力データ5を画面上に表示して同定を可能にするための入出力端末1と、上記処理1(第1処理工程)乃至処理5(第5処理工程)を実行するプログラム(例えば、非線型最小二乗法プログラム)が格納されている記憶装置3と、前記残差平方和を最小にして最適化する処理4(第4処理工程)を実行するCPU4(演算手段)と、分子軌道計算値およびピーク波形関数を入力データ2として記憶する入力データメモリ6と、パラメータベクトルが格納される出力データメモリ7を備えている。このパラメータベクトルを用いてモデル関数を計算し、出力データ5として入出力端末1の画面上に表示し、同定を可能にする。

0040

次に分光スペクトル帰属同定装置10の動作(分光スペクトル帰属同定方法)について説明する。図2を参照すると、本実施の形態の分光スペクトル帰属同定装置10は、まず最初に、入出力端末1により入力された分光スペクトル、分子軌道計算値およびピーク波形関数を入力データ2とし、入力データメモリ6へ記憶する。記憶装置3には、上記処理1(第1処理工程)乃至処理5(第5処理工程)を実行するプログラムが格納されている。処理4(第4処理工程)を実行するために記憶装置3に格納されている非線型最小二乗法プログラム(計算手段の一例)を用いてCPU4(演算手段)により前記残差平方和を最小にして最適化する(処理4(第4処理工程))ことによりパラメータベクトルを出力データメモリ7へ出力する。このパラメータベクトルを用いてモデル関数を計算し、出力データ5として入出力端末1の画面上に表示し、同定を可能にする。

0041

実施例1.以下、この発明の実施例1を図面に基づいて詳細に説明する。本実施例では、図2に示す分光スペクトル帰属同定装置10を用いた分光スペクトルの帰属同定の例について示す。本実施例では、まず、通常の測定された分光スペクトルを入力データとする(処理1(第1処理工程))。すなわち、弗化マグネシウム基板上にポリ(ヒドロキシスチレン)溶液回転塗布し、90℃程度で1分間程度乾燥させ、厚さ90nm程度のポリ(ヒドロキシスチレン)薄膜の試料を作成し、真空紫外分光光度計によりポリ(ヒドロキシスチレン)の分光スペクトルを測定し、入力データとする(処理1(第1処理工程))。その分光スペクトルを図3に示す。

0042

続いて、分子軌道法で対応する分子構造を基に遷移エネルギーと振動子強度を計算して求める(処理2(第2処理工程))。具体的には半経験的分子軌道計算プログラムMOPACを用いて、分子軌道法によりポリ(ヒドロキシスチレン)の遷移エネルギーと振動子強度を計算する。すなわち、ポリ(ヒドロキシスチレン)のモデル分子として、エチルフェノールの分子構造を入力ファイルとして、Z−matrixを作成し、その分子構造を最適化し、当該最適化した分子構造における分子軌道エネルギーおよび分子軌道間積分値を基に、遷移エネルギーおよび振動子強度を求める。その結果の主な値を表1に示す。表1はポリ(ヒドロキシスチレン)の分子軌道法により計算された分光波長と振動子強度を示す表である。

0043

0044

続いて、ピーク波形のモデル関数を選択し、最適化法によりパラメータを決定する。すなわち、表1に示す各遷移エネルギーに対応するピーク波形を、遷移エネルギーを中心波長λmaxとし、式(5)に示すエネルギー積分値を振動子強度とするガウス分布(式(6))でモデル化する(処理3(第3処理工程))。

0045

0046

0047

続いて、130nm程度(nm:10億分の1メートル)から300nm程度まで2nm間隔で85点測定した分光スペクトルI(j);j=1,2,…,85との上記モデル波形との残差平方和(式(7))をシンプレックス法で最適化し、パラメータベクトルpを求める(処理4(第4処理工程))。

0048

0049

続いて、当該処理4(第4処理工程)で計算して得られたパラメータを用いてモデル波形(式(8))を表示し、観測値と比較し、同定の様子を表示する(処理5(第5処理工程))。

0050

0051

以上の処理により得られたモデル波形を図4に示す。図4はポリ(ヒドロキシスチレン)の分光スペクトルのモデル波形を示す図である。本実施例では、図4に示すように、容易に観測スペクトルと分子軌道計算とを対応づけることが可能になり、各ピーク波形の帰属が容易にできるようになる。すなわち、200nm前後の吸収スペクトルは分子軌道法で良く再現されており、同定可能である。一方、150nmよりも短波長側ではスペクトルを再現することができず、計算による振動子強度が小さく、計算が不適当であることが分かった。

0052

参考として、従来の振動子強度を線スペクトルで示した同定を図5に示す。図5に示すように、計算値はスペクトル幅のない線で表されるため、観測値との対応が取り難く、同定が難しいことが分かる。

0053

実施例2.以下、この発明の実施例2を図面に基づいて詳細に説明する。以下では、ポリ(メチルメタクリレート)に適用した実施例を示し、本発明の手法が、スペクトル同定法として有効であることを示す。

0054

本実施例では、まず、弗化マグネシウム基板上にポリ(メチルメタクリレート)溶液を回転塗布し、180℃程度で1分間程度乾燥させ、厚さ100nm程度のポリ(メチルメタクリレート)薄膜の試料を作成し、真空紫外分光光度計によりポリ(メチルメタクリレート)の分光スペクトルを測定する。その分光スペクトルを図6に示す。

0055

続いて、半経験的分子軌道計算プログラムMOPACを用いて、分子軌道法によりポリ(メチルメタクリレート)の遷移エネルギーと振動子強度を計算する。すなわち、ポリ(メチルメタクリレート)のモデル分子として、メチルメタクリレートの分子構造を入力ファイルとして、Z−matrixを作成し、構造最適化し、当該最適化した分子構造における分子軌道エネルギーおよび、分子軌道間の積分値を基に、遷移エネルギーおよび振動子強度を求める。当該各遷移エネルギーに対応するピーク波形を、遷移エネルギーを中心波長λmaxとし、エネルギー積分値を振動子強度とするローレンツ分布でモデル化する。

0056

続いて、130nm程度から300nm程度まで2nm間隔で85点測定した分光スペクトルI(j);j=1,2,…,85との上記モデル波形との残差平方和をGauss−Newton(ガウス−ニュートン)法で最適化し、パラメータベクトルpを求めた。その結果から得られたモデル波形を図7に示す。

0057

これより、本実施例では、容易に観測スペクトルと分子軌道計算とを対応づけることが可能になり、各ピーク波形の帰属が容易にできた。以上の本発明の方法で分光スペクトルの同定を行うことができるようになるといった効果を奏する。

0058

なお、本発明が上記各実施の形態に限定されず、本発明の技術思想の範囲内において、各実施の形態は適宜変更され得ることは明らかである。また上記構成部材の数、位置、形状等は上記実施の形態に限定されず、本発明を実施する上で好適な数、位置、形状等にすることができる。また、各図において、同一構成要素には同一符号を付している。

発明の効果

0059

本発明は以上のように構成されているので、以下に掲げる効果を奏する。まず第1の効果は、分子軌道法の計算結果を、観測値と類似したスペクトル幅を有したピーク波形で表現できるので、スペクトル幅がなくピーク高だけで比較する従来の分光スペクトル方法よりも容易に分光スペクトルの帰属を同定ができることである。

0060

また第2の効果は、ピーク波形の関数を分光スペクトルに合わせてガウス関数やローレンツ関数などに自由に設定することができるので、可視分光スペクトルや紫外分光スペクトル、真空紫外分光スペクトルに限らず、赤外分光スペクトルやラマン分光スペクトル、核磁気共鳴分光スペクトルなど広い分野の分光スペクトルに適用できることである。

図面の簡単な説明

0061

図1本発明の分光スペクトル帰属同定方法を説明するためのフローチャートである。
図2本発明の分光スペクトル帰属同定装置の構成を説明するためのブロック図である。
図3ポリ(ヒドロキシスチレン)の分光スペクトルの測定データを示す図である。
図4ポリ(ヒドロキシスチレン)の分光スペクトルのモデル波形を示す図である。
図5ポリ(ヒドロキシスチレン)の分光スペクトルの従来の同定を示す説明図である。
図6ポリ(メチルメタクリレート)の分光スペクトルの測定データを示す図である。
図7ポリ(メチルメタクリレート)の分光スペクトルのモデル波形を示す図である。

--

0062

1入出力端末、 2 入力データ、 3記憶装置、 4 CPU、 5出力データ、 6入力データメモリ、 7出力データメモリ、 10分光スペクトル帰属同定装置。

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