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技術 磁気ディスクドライブ用部材

出願人 日本碍子株式会社
発明者 阿部真博高橋貴博竹矢文則
出願日 1999年11月19日 (21年1ヶ月経過) 出願番号 1999-329026
公開日 2001年5月29日 (19年7ヶ月経過) 公開番号 2001-148113
状態 未査定
技術分野 磁気記録担体 磁気ヘッドの位置調整,追随
主要キーワード スペーサーリング X線回折法 微細結晶粒子 ヘキサセルシアン 結晶析出温度 ポリッシュ盤 カンチレバ 精密研磨加工
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課題

ガラス製の磁気ディスクドライブ用部材において、十分な強度を有しており、表面の精密研磨の速度が速く、かつ表面を精密研磨した後に微細凹凸が発生しにくい材料を提供する。

解決手段

前記部材がガラスからなる。ガラスが少なくともアルミナシリカおよび核形成成分を含有し、この核形成成分が、酸化チタン酸化ジルコニウムおよび酸化リンからなる群より選ばれる。ガラスが実質的にガラス相ガラス相中に分散されている粒径80nm以下の結晶粒子とからなる。X線回折装置によって結晶相が実質的に検出されない。

概要

背景

ハードディスクドライブ記録密度を増大させるためには、ハードディスクドライブ動作時の、磁気ヘッドメディアとの距離(ヘッド浮上量)を小さくすることが不可欠である。ヘッド浮上量を小さくするためには、メディア表面平滑性突起物がないこと)が重要である。平滑なメディア表面を実現するために、近年、メディア用の磁気ディスク用基板には、アルミニウム合金に代って、化学強化ガラス結晶化ガラスが使用されている。

概要

ガラス製の磁気ディスクドライブ用部材において、十分な強度を有しており、表面の精密研磨の速度が速く、かつ表面を精密研磨した後に微細凹凸が発生しにくい材料を提供する。

前記部材がガラスからなる。ガラスが少なくともアルミナシリカおよび核形成成分を含有し、この核形成成分が、酸化チタン酸化ジルコニウムおよび酸化リンからなる群より選ばれる。ガラスが実質的にガラス相ガラス相中に分散されている粒径80nm以下の結晶粒子とからなる。X線回折装置によって結晶相が実質的に検出されない。

目的

本発明の課題は、ガラス製の磁気ディスクドライブ用部材において、十分な強度を有しており、表面のポリッシュ加工の速度が速く、かつ表面をポリッシュ加工した後に、ビットエラーにつながるような微細な凹凸が発生するおそれのない、磁気ディスクドライブ用部材用の材料を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

磁気ディスクドライブ内において磁性膜に対して接触する磁気ディスクドライブ用部材であって、前記磁気ディスクドライブ用部材がガラスからなり、このガラスが少なくともアルミナシリカおよび核形成成分を含有しており、この核形成成分が、酸化チタン酸化ジルコニウムおよび酸化リンからなる群より選ばれた一種以上の酸化物であり、前記ガラスが実質的にガラス相とこのガラス相中に分散されている粒径80nm以下の結晶粒子とからなることを特徴とする、磁気ディスクドライブ用部材。

請求項2

X線回折装置によって結晶相が実質的に検出されないことを特徴とする、請求項1記載の磁気ディスクドライブ用部材。

請求項3

磁気ディスクドライブ内において磁性膜に対して接触する磁気ディスクドライブ用部材であって、前記磁気ディスクドライブ用部材がガラスからなり、このガラスが少なくともアルミナ、シリカおよび核形成成分を含有しており、この核形成成分が、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化リンからなる群より選ばれた一種以上の酸化物であり、前記ガラスが実質的にガラス相とこのガラス相中に分散されている結晶粒子とからなり、X線回折装置によって結晶相が実質的に検出されないことを特徴とする、磁気ディスクドライブ用部材。

請求項4

前記ガラスが実質的にガラス相とこのガラス相中に分散されている粒径80nm以下の結晶粒子とからなることを特徴とする、請求項3記載の磁気ディスクドライブ用部材。

請求項5

前記ガラスの表面の前記ガラス相をエッチングによって除去した後に、前記ガラスの表面の縦0.1μm、横0.1μmの領域内に粒径5nm以上、80nm以下の結晶粒子が平均して1個以上、250個以下存在することを特徴とする、請求項1−4のいずれか一つの請求項に記載の磁気ディスクドライブ用部材。

請求項6

前記核形成成分が少なくとも酸化チタンを含んでいることを特徴とする、請求項1−5のいずれか一つの請求項に記載の磁気ディスクドライブ用部材。

請求項7

前記ガラスが酸化マグネシウム酸化バリウムおよび酸化カルシウムからなる群より選ばれた一種以上のアルカリ土類金属酸化物を含有していることを特徴とする、請求項1−6のいずれか一つの請求項に記載の磁気ディスクドライブ用部材。

請求項8

前記ガラスにおいて酸化マグネシウムが酸化バリウムよりも多く含有されており、酸化マグネシウムが酸化カルシウムよりも多く含有されており、前記ガラスが0.1重量%−9重量%の酸化カリウムを含有していることを特徴とする、請求項7記載の磁気ディスクドライブ用部材。

請求項9

前記ガラスがナトリウムおよびリチウムを実質的に含有していないことを特徴とする、請求項1−8のいずれか一つの請求項に記載の磁気ディスクドライブ用部材。

請求項10

磁気ディスクドライブ内において磁性膜に対して接触する磁気ディスクドライブ用部材を製造する方法であって、原ガラスが少なくともアルミナ、シリカおよび核形成成分を含有しており、この核形成成分が、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化リンからなる群より選ばれた一種以上の酸化物である原ガラスの成形体を準備し、この成形体をTn以上(Tnは、この原ガラスにおける核形成開始温度)、(Tc−10℃)以下(Tcは、この原ガラスにおいて示差熱分析法で測定した結晶成長開始温度)の温度で熱処理することを特徴とする、磁気ディスクドライブ用部材の製造方法。

請求項11

前記原ガラスのガラス相中に粒径5nm以上、80nm以下の結晶粒子が生成するまで前記熱処理を継続することを特徴とする、請求項10記載の磁気ディスクドライブ用部材の製造方法。

請求項12

磁気ディスクドライブ内において磁性膜に対して接触する磁気ディスクドライブ用部材を製造する方法であって、原ガラスが少なくともアルミナ、シリカおよび核形成成分を含有しており、この核形成成分が、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化リンからなる群より選ばれた一種以上の酸化物である原ガラスの成形体を準備し、この成形体を、前記原ガラスのガラス相中に粒径5nm以上、80nm以下の結晶粒子が生成するまで熱処理することを特徴とする、磁気ディスクドライブ用部材の製造方法。

請求項13

前記成形体をTn以上(Tnは、この原ガラスにおける核形成開始温度)、(Tc−10℃)以下(Tcは、この原ガラスにおいて示差熱分析法で測定した結晶成長開始温度)の温度で熱処理することを特徴とする、請求項12記載の磁気ディスクドライブの製造方法。

請求項14

前記ガラスからX線回折装置によって結晶相が実質的に検出されないことを特徴とする、請求項10−13のいずれか一つの請求項に記載の磁気ディスクドライブ用部材の製造方法。

請求項15

前記ガラスの表面の前記ガラス相をエッチングによって除去した後に、前記ガラスの表面の縦0.1μm、横0.1μmの領域内に粒径5nm以上、80nm以下の結晶粒子が平均して1個以上、250個以下存在することを特徴とする、請求項10−14のいずれか一つの請求項に記載の磁気ディスクドライブ用部材の製造方法。

請求項16

前記核形成成分が少なくとも酸化チタンを含んでいることを特徴とする、請求項10−15のいずれか一つの請求項に記載の磁気ディスクドライブ用部材の製造方法。

請求項17

前記原ガラスが酸化マグネシウム、酸化バリウムおよび酸化カルシウムからなる群より選ばれた一種以上のアルカリ土類金属酸化物を含有していることを特徴とする、請求項10−16のいずれか一つの請求項に記載の磁気ディスクドライブ用部材の製造方法。

請求項18

前記ガラスにおいて酸化マグネシウムが酸化バリウムよりも多く含有されており、酸化マグネシウムが酸化カルシウムよりも多く含有されており、前記ガラスが0.1重量%−9重量%の酸化カリウムを含有していることを特徴とする、請求項17記載の磁気ディスクドライブ用部材の製造方法。

請求項19

前記原ガラスがナトリウムおよびリチウムを実質的に含有していないことを特徴とする、請求項10−18のいずれか一つの請求項に記載の磁気ディスクドライブ用部材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、磁気ディスクドライブ内において磁性膜に対して接触するガラス製の磁気ディスクドライブ用部材、およびその製造方法に関するものである。

背景技術

0002

ハードディスクドライブ記録密度を増大させるためには、ハードディスクドライブ動作時の、磁気ヘッドメディアとの距離(ヘッド浮上量)を小さくすることが不可欠である。ヘッド浮上量を小さくするためには、メディア表面平滑性突起物がないこと)が重要である。平滑なメディア表面を実現するために、近年、メディア用の磁気ディスク用基板には、アルミニウム合金に代って、化学強化ガラス結晶化ガラスが使用されている。

発明が解決しようとする課題

0003

化学強化ガラスからなる磁気ディスク用基板を製造する際には、母材となるアモルファスガラス円盤形状に加工し、その表面を精密研磨加工し、この後で基板の表面領域のナトリウムイオンカリウムイオン置換する(化学強化工程)。しかし、化学強化工程前の段階では、ガラスの強度が低いので、ガラスを加工して円盤を製作する加工工程の歩留りが低い。また、化学強化工程中に、基板の表面が粗れ、凹凸が生ずる。従って、化学強化後に、再び精密研磨加工する必要がある。

0004

結晶化ガラスからなる磁気ディスク用基板を製造する際には、原ガラスからなる基板を製作した後に、この基板を結晶化し、次いで基板の表面をポリッシュ加工する。しかし、結晶化ガラス中には、ガラス相と、ガラス相中析出した結晶粒子とが存在しており、両者の硬度は大きく異なる。このため、ポリシッュ加工に際して、両者の硬度差によって、結晶粒子がガラス相から突出しやすく、このため表面に微細な凹凸が生成しやすい。また、結晶化ガラスをポリッシュするときの速度が、化学強化ガラスに比べて遅い。

0005

また、結晶化ガラスにはナトリウムリチウムを含有させることが多いが、これらのナトリウムやリチウムのイオンは、イオン半径が小さいことから移動し易く、特に高温高湿下では移動し易い。保護膜の厚さを薄くしたメディアでは、そのメカニズムは明確になっていないが、メディアの表面に移動してきたアルカリ金属イオンが、周囲の物質と反応して、水酸化物炭酸塩等、さまざまな化合物を形成し、メディア表面に突起物を形成する可能性がある。また、これらのイオンが磁性膜を腐食することにより、磁性膜の特性を劣化させる可能性がある。

0006

こうしたナトリウムイオンやリチウムイオン特有の問題を解決するために、無アルカリの結晶化ガラスも提案されている(米国特許第5,491,116号)。しかし、無アルカリの結晶化ガラスは、非常に硬度が高く、このためポリッシュ速度が著しく遅いので、工業的生産には向かない。

0007

本発明の課題は、ガラス製の磁気ディスクドライブ用部材において、十分な強度を有しており、表面のポリッシュ加工の速度が速く、かつ表面をポリッシュ加工した後に、ビットエラーにつながるような微細な凹凸が発生するおそれのない、磁気ディスクドライブ用部材用の材料を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明は、磁気ディスクドライブ内において磁性膜に対して接触する磁気ディスクドライブ用部材であって、磁気ディスクドライブ用部材がガラスからなり、このガラスが少なくともアルミナシリカおよび核形成成分を含有しており、この核形成成分が、酸化チタン酸化ジルコニウムおよび酸化リンからなる群より選ばれた一種以上の酸化物であり、ガラスが実質的にガラス相とこのガラス相中に分散されている粒径80nm以下の結晶粒子とからなることを特徴とする。

0009

また、本発明は、磁気ディスクドライブ用部材がガラスからなり、このガラスが少なくともアルミナ、シリカおよび核形成成分を含有しており、この核形成成分が、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化リンからなる群より選ばれた一種以上の酸化物であり、ガラスが実質的にガラス相とこのガラス相中に分散されている結晶粒子とからなり、X線回折装置によって結晶相が実質的に検出されないことを特徴とする。

0010

本発明者は、アルミナ、シリカおよび核形成成分を含有しており、この核形成成分が、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化リンからなる群より選ばれた一種以上の酸化物である原ガラス組成において、核形成は可能であるが、結晶化温度未満の温度で熱処理することで、原ガラスの強度が著しく向上することを確認した。こうして得られたガラスをX線回折法で研究した結果、いかなる結晶に該当するピーク観測されなかった。つまり、ガラス相中での結晶化は進行していないものと考えられる。

0011

ところが、このガラス片研磨して厚さを薄くした後、更にイオンビームエッチングして薄片化し、次いで透過型電子顕微鏡で観察したところ、ガラス相の中に、結晶核の周囲に薄い結晶相が付着しているものと思われる極めて微細な結晶粒子が、多数、均一に分散していた。これは、核形成は終了しているが、いまだ本格的な結晶成長を開始する前の段階にあるものと思われる。

0012

こうしたガラスからなる磁気ディスクドライブ用部材の表面は、容易に高速度で精密研磨加工することができ、かつ精密研磨加工後に、ビットエラーにつながるような微細な凹凸が残留しにくい。

0013

本発明において、X線回折装置によって結晶相が実質的に検出されないとは、以下の条件を意味する。
測定装置商標名: 理学電機製「ガイガーフレックス
X線の種類:Cu Kα線
測定条件管電圧30kV、管電流20mA

0014

前記ガラスは、実質的に、ガラス相と、ガラス相中に分散している粒径80nm以下の結晶粒子とからなる。これは、ガラスの基本的な微構造が、ガラス相と、粒径80nm以下の結晶粒子とからなることを示している。従って、このガラスからなる実際の磁気ディスクドライブ用部材中に、粒径80nmを超える粗大粒子が粒成長しているような場合も、粗大粒子の個数が極めて少なく、散発的であるとか、あるいは部材の一部領域のみに、粒径80nmを超える粒子局所的に集中しているような場合にも、磁気ディスクドライブ用部材は実質的に本発明のガラスからなっていると言える。

0015

本発明で使用するガラスの粒径については、以下の条件で測定する。寸法約5mm×5mmの試験片を透過型電子顕微鏡にセットし、試験片のうち顕微鏡による観測位置アルゴンイオンビームでエッチングし、観測位置の厚さを10nm−15nmにする。日本電子製の透過型電子顕微鏡「JEM−2000EX」を使用し、加速電圧200kVで、倍率100,000−400,000倍で、明視野または暗視野で観察する。

0016

結晶粒子の粒径は、写真を観察して得られる。この最大粒径は80nmであるが、更に70nmであることが好ましく、60nmであることが更に好ましい。

0017

また、ガラス相中には、粒径80nm以下の結晶粒子が多数均一に分散している。通常の透過型電子顕微鏡写真では、粒径5nm未満の結晶粒子を特定することが難しい。また、粒径5nm以下の粒子の多くは、いまだ結晶核の段階にあると考えられる。この際、結晶粒子と結晶核とを区別することは事実上困難である。このため、実際にはガラス相中に、粒径5nm未満の結晶核または結晶粒子が多数存在していることが確実である。

0018

このような測定上の限界から、ガラス相中の全結晶粒子平均粒径を算出することは困難である。また、粒径5nm以下の結晶粒子が存在していたととしても、前記したように事実上結晶核と区別できないものと考えられる。このため、本発明では、平均粒径を代用する指標として、ガラスの表面の縦0.1μm、横0.1μmの領域内における、粒径80nm以下、5nm以上の結晶粒子の個数を使用する。

0019

この観点に立ったときに、ガラスの表面の縦0.1μm、横0.1μmの領域内における、粒径80nm以下、5nm以上の結晶粒子の個数は、1個−250個であることが好ましく、15個−250個であることが一層好ましい。これによって、磁気ディスクドライブ用部材に十分に高い強度を付与することができ、かつ、部材の表面の精密研磨加工が著しく容易になる。

0020

また、本発明は、磁気ディスクドライブ内において磁性膜に対して接触する磁気ディスクドライブ用部材を製造する方法であって、原ガラスが少なくともアルミナ、シリカおよび核形成成分を含有しており、この核形成成分が、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化リンからなる群より選ばれた一種以上の酸化物である原ガラスの成形体を準備し、この成形体をTn以上(Tnは、この原ガラスにおける核形成開始温度)、(Tc−10℃)以下(Tcは、この原ガラスにおいて示差熱分析法で測定した結晶成長開始温度)の温度で熱処理することを特徴とする。

0021

また、本発明は、前記の成形体を、原ガラスのガラス相中に粒径5nm以上、80nm以下の結晶粒子が成長するまで熱処理することを特徴とする。

0022

原ガラスの結晶成長開始温度Tcは、言い換えると、原ガラスの結晶析出温度のことである。結晶成長開始温度は、示差熱分析(DTA)法によって測定する。この際には、原ガラスの温度を上昇させ、この過程における示差熱分析を行い、結晶析出に伴う発熱がピークになる温度を測定し、結晶成長開始温度とする。このピークは、原ガラスの組成と、原ガラスを製造する際の原料粉末粒度とによって変化することが知られている(「ガラスハンドブック」(作花済夫他、書店、1985年発行、第813頁)。

0023

示差熱分析を行う際の条件は、以下のとおりである。
使用機種マックサイエンス製「TG−DTA 2000」
試料粒子径:700−850μm
測定試料の重量:20mg
昇温速度:5℃/min

0024

熱処理温度は、核形成開始温度Tnよりも50℃以上高いことが更に好ましく、これによって磁気ディスクドライブ用部材の強度が一層向上する。また、熱処理温度は、(Tc−20℃)以下であることが更に好ましく、これによって、局所的な粒径0.1μmを超える結晶粒子の生成を抑制しやすい。

0025

熱処理の際には、上記の温度範囲内で、一定温度で熱処理を行うことができるが、最初に低い温度で熱処理し、次いで相対的に高い温度で熱処理することもできる。

0026

熱処理の際の保持時間は、特に限定されないが、材料に十分な強度をもたせるという観点からは、微細な結晶粒子を析出させる上で1時間以上であることが好ましい。この上限は特にないが、粗大粒子の生成を防止するという観点から20時間以下であることが好ましく、10時間以下であることが更に好ましい。

0027

本発明で使用するガラスは、少なくともアルミナ、シリカおよび核形成成分を含有する。シリカ(SiO2 )は、ガラスを形成する骨格成分である。ガラスを成形する際の粘性を増加させ、製品の強度を向上させ、かつ化学的耐久性を付与するために、シリカの割合は30重量%であることが好ましい。また、シリカの割合を60重量%以下とすることによって、ガラスの溶解温度を低くすることができ、成形時の失透も防止できる。

0028

アルミナ(Al2 O3 )は、ガラスを安定化させ、成形時の失透を防ぎ、かつ製品に強度を付与するために、8重量%以上とすることが好ましい。また、アルミナの量を25重量%以下とすることによって、ガラスの溶解が容易になる。

0029

本発明で使用するガラスは、酸化チタン、酸化ジルコニウムおよび酸化リンからなる群より選ばれた一種以上の核形成成分を含有している。これらは、前記した微細な結晶粒子の核を形成するために必要である。この核形成成分の量を原ガラスの2重量%以上とすることによって、微細な結晶粒子を多数均一に生成させることができ、粗大な結晶の生成を抑制できる。これを18重量%以下とすることによって、成形時の失透を防止できる。

0030

前記した三種類の核形成成分の中では、微細な結晶粒子を生成させる上で酸化チタンが最も効果的である。

0031

また、本発明で使用するガラスは、好ましくは、酸化マグネシウム酸化バリウムおよび酸化カルシウムからなる群より選ばれた一種以上のアルカリ土類金属酸化物を含有している。

0032

酸化マグネシウムを添加することによって、熱処理する前のガラスの強度と化学的耐久性とを増大させる効果がある。酸化マグネシウムの量を22重量%以下とすることによって、成形時の失透を防止できる。

0033

酸化バリウムは、熱処理する前のガラスの熱膨張係数を増大させ、成形時の失透を防止する効果がある。酸化バリウムの量を40重量%以下とすることによって、ガラスを成形しやすくなる。

0034

酸化カルシウムは、熱処理する前のガラスの強度を増大させ、熱膨張係数を大きくし、かつ成形時の失透を防止する効果がある。酸化カルシウムの量を30重量%以下とすることによって、ガラスの粘性の著しい低下を防止できる。

0035

本発明の好適な実施形態においては、ガラスが0.1重量%−9重量%の酸化カリウムを含有している。酸化カリウムは、ガラスの熱膨張係数を増大させる効果を有するので、磁気ディスクドライブ用部材用途、特に磁気ディスク基板用途に対して特に好適である。また、酸化マグネシウムを多く含む組成においては、酸化カリウムは、熱処理時に微細結晶粒子の生成を促進すると共に、ガラス相よりも熱膨張係数が高い結晶相の析出を促進する効果を有する。この観点から、酸化マグネシウムを、酸化バリウムや酸化カルシウムよりも多く含む組成の場合には、酸化カリウムの量は1重量%以上とすることが更に好ましい。また、酸化カリウムの量を9重量%以下とすることによって、成形時における失透を防止できる。

0036

酸化ナトリウムも酸化カリウムとほぼ同様の効果を有するので、本発明のガラスに添加してもよい。この場合には、酸化カリウムと酸化ナトリウムとの合計量を、0.1−9重量%とすることが、前記した理由から好ましい。

0037

ただし、磁気ディスクドライブ用部材においては、前述したようにナトリウムやリチウムの移動による突起物の生成という問題がある。この観点からは、酸化ナトリウムの量は、7重量%以下とすることが好ましく、5重量%以下とすることが更に好ましく、酸化ナトリウムを実質的に含有しないことが一層好ましい。

0038

また、この観点からは、ガラスがナトリウムおよびリチウムを実質的に含有していないことが特に好ましい。ここで、ガラスがナトリウムおよびリチウムを実質的に含有していないとは、他の酸化物の原料内に含まれる不可避的不純物までは許容することを意味している。

0039

本発明のガラスにおいては、ZnOを0〜3重量%含有させることができる。ZnOは、原ガラスの溶解温度を低下させる。ZnOの量が3重量%を超えると、ガラスが失透しやすい。更に好ましくは、ZnOの量は、1.5重量%以下である。

0040

また、Sb2 O3 を0−2重量%含有させることができる。Sb2O3 は、ガラスを脱泡させる。Sb2 O3 の量は2重量%では飽和する。更に好ましくは、Sb2 O3 の量は、0.1重量%以上、1重量%以下である。

0041

Nb2 O5 を0−6重量%含有させることができる。Nb2 O5 を添加すると、結晶化温度が変動したときに、熱膨張係数の変動が小さくなる。Nb2 O5 の量が6重量%を超えると、結晶粒子が粗大化する。更に好ましくは、Nb2 O5 の量は、2重量%以下である。

0042

また、As2 O3 を0〜2重量%含有させることができる。これはガラス溶融の際の清澄剤である。また、B2 O3 を0〜3重量%含有させることもできる。

0043

以上述べてきた一般的な組成範囲の中では、更に以下の組成範囲が好ましい。

0044

(1)酸化マグネシウムを多く含む組成。
この組成の原ガラスを結晶化開始温度以上で熱処理すると、エンスタタイトフォルステライトなど、酸化マグネシウムを含有する結晶の粒子が生成する。以下に典型的な組成を示す。
30重量%≦SiO2 ≦ 60重量%
(より好ましくは、37重量%≦SiO2 ≦ 50重量%)
8重量%≦Al2 O3 ≦ 25重量%
(より好ましくは、10重量%≦Al2 O3 ≦ 22重量%)
5重量%≦MgO ≦ 22重量%
(より好ましくは、 8重量%≦MgO ≦ 18重量%)
0重量%≦CaO ≦ 15重量%
(より好ましくは、 0重量%≦CaO ≦ 12重量%)
0重量%≦BaO ≦ 30重量%
(より好ましくは、 0重量%≦BaO ≦ 25重量%)
0.5重量%≦CaO+BaO≦ 30重量%
(好ましくは、 0.5重量%≦CaO+BaO≦ 25重量%)
0.1重量%≦K2 O ≦ 9重量%
(好ましくは、 0.1重量%≦K2 O ≦ 7重量%)
2重量%≦TiO2 ≦ 15重量%
(より好ましくは、 4重量%≦TiO2 ≦ 12重量%)

0045

(2)酸化カルシウムを多く含む組成。
この組成の原ガラスを結晶化開始温度以上で熱処理すると、アノーサイトウォラストナイトなど、酸化カルシウムを含有する結晶の粒子が生成する。以下に典型的な組成を示す。
30重量%≦SiO2 ≦ 60重量%
(より好ましくは、37重量%≦SiO2 ≦ 55重量%)
8重量%≦Al2 O3 ≦ 25重量%
(より好ましくは、11重量%≦Al2 O3 ≦ 22重量%)
0重量%≦MgO ≦ 8重量%
(より好ましくは、 0重量%≦MgO ≦ 5重量%)
8重量%≦CaO ≦ 30重量%
(より好ましくは、10重量%≦CaO ≦ 30重量%)
0重量%≦BaO ≦ 20重量%
8重量%≦CaO+BaO≦30重量%
(より好ましくは、10重量%≦CaO+BaO≦30重量%)
0.0重量%≦K2 O ≦ 9重量%
(好ましくは、 0.0重量%≦K2 O ≦ 7重量%)
2重量%≦TiO2 ≦ 18重量%
(より好ましくは、 5重量%≦TiO2 ≦ 15重量%)

0046

(3)酸化バリウムを多く含む組成。
この組成の原ガラスを結晶化開始温度以上で熱処理すると、ヘキサセルシアンなど、酸化バリウムを含有する結晶の粒子が生成する。以下に典型的な組成を示す。
30重量%≦SiO2 ≦ 50重量%
(より好ましくは、31重量%≦SiO2 ≦ 45重量%)
8重量%≦Al2 O3 ≦ 25重量%
(より好ましくは、10重量%≦Al2 O3 ≦ 18重量%)
0重量%≦MgO ≦ 15重量%
(より好ましくは、 1重量%≦MgO ≦ 12重量%)
0重量%≦CaO ≦ 10重量%
(より好ましくは、 0重量%≦CaO ≦ 8重量%)
8重量%≦BaO ≦ 40重量%
(より好ましくは、10重量%≦CaO ≦ 35重量%)
8重量%≦CaO+BaO≦40重量%
(より好ましくは、10重量%≦CaO+BaO≦35重量%)
0.0重量%≦K2 O ≦ 9重量%
(好ましくは、 0.0重量%≦K2 O ≦ 7重量%)
2重量%≦TiO2 ≦ 18重量%
(より好ましくは、 5重量%≦TiO2 ≦ 18重量%)

0047

本発明で使用するガラスの−50℃〜+70℃の範囲での熱膨張係数は、60〜90×10-7/k程度に調節することが好ましい。

0048

原ガラスを製造する際には、上記の各金属原子を含有する各原料を、上記の重量比率に該当するように混合し、この混合物を溶融させる。この原料としては、各金属原子の酸化物、炭酸塩、硝酸塩リン酸塩、水酸化物を例示することができる。また、原ガラスを熱処理して結晶化させる際の雰囲気としては、大気雰囲気還元雰囲気水蒸気雰囲気加圧雰囲気等を選択することができる。

0049

本発明は、磁気ディスク用基板、磁気ディスクドライブ用スペーサーリングおよび磁気ヘッド用スライダーなど、磁気ディスクドライブ用の各種部材に適用できる。

0050

上記の結晶化ガラスからなる素材を、砥粒によって精密研磨加工する工程では、いわゆるラッピングポリッシング等、公知の精密研磨加工方法によって研磨し、磁気ディスク用基板を作成できる。また、磁気ディスク用基板の主面上には、下地処理層、磁性膜、保護膜等を形成することができ、更に保護膜上に潤滑剤を塗布することができる。

0051

(親ガラスの製造)以下のような各種金属酸化物の重量比になるように、各金属を含む化合物を混合した。この混合物250gを容積200ccの白金ルツボに入れ、1400℃で5.5時間熱処理し、溶融した。炉の温度を1350℃に落として、1時間保持した後、カーボン製の型に原ガラスを流しだし、成形した。500℃で1時間アニールした後、徐冷して、円盤状の親ガラスを得た。

0052

SiO2 46.1重量%
Al2 O3 20.5重量%
MgO 13.4重量%
CaO 5.8重量%
BaO 0.0重量%
CaO+BaO 5.8重量%
K2 O 4.4重量%
TiO2 9.2重量%
Sb2 O3 0.2重量%
ZnO 0.6重量%

0053

この原ガラスの核形成開始温度Tnは、730℃であり、結晶成長開始温度Tcは870℃である。

0054

この原ガラスから、所定寸法の板状試料切り出した。板状試料の両面は、#400の砥石仕上げ加工した。板状試料を、窒素雰囲気中で、厚さ5mmのカーボン板に挟んだ状態で熱処理した。熱処理の際には、室温から650℃まで200℃/時間で昇温し、650℃で1時間保持し、次いで850℃まで100℃/時間で昇温し、850℃で5時間保持し、室温まで100℃/時間で降温した。

0055

(結晶相の同定)銅のKα線を用いた、X線回折装置(理学電機製「ガイガーフレックス」:管電圧30kV、管電流20mA)を使用して、板状の試験試料(寸法15mm×15mm×厚さ1.0mm)の表面の結晶相を同定した。その際、走査角度は、2θ=10〜40°とした。この結果、特定の結晶相に対応するピークは検出されなかった。

0056

(精密研磨加工後の平滑面におけるRaの測定)結晶相の同定の終わった平板状の試料(寸法15mm×15mm×厚さ1.0mm)を、#1500のSiC砥石を使って、試料の厚みが0.7mmになるまで、精密研磨加工した。次いで、両面ポリッシュ盤を使って、1.0μmの酸化セリウム砥粒を使って、試料の厚みが0.635mmになるまでポリッシュ加工した。さらに、0.02μmの酸化セリウム砥粒を使って2段階目のポリッシュ加工を行い、厚み0.635mmの精密研磨体を得た。

0057

シリコン製のカンチレバー(共振周波数300kHz)を用いた、原子間力顕微鏡(PSI製M5)のタッピングモードで、精密研磨体の表面の中心線平均表面粗さ(Ra)を測定したところ、1.5オングストロームであった。また、2段階目のポリッシュ加工時の速度は、0.8−1.0μm/分であった。これは、アモルファスガラスと同等の高速である。

0058

(微構造観察)前述のようにして観測した。ただし、試験片の観測位置の厚さは10nmとした。倍率は400,000倍であった。この写真を図1に示す。

0059

この結果、ガラス相中に分散されていた結晶粒子が、表面に多数露出してきた。この結晶粒子は極めて微細であり、その最大粒径は15nmであった。またほとんどの結晶粒子が、検出限界の粒径5nm程度であった。

0060

また、ガラスの表面の縦0.1μm、横0.1μmの領域内には、粒径80nm以下、5nm以上の結晶粒子が平均して100個存在していることがわかった。

0061

抗折強度の測定)結晶化の終わった平板状の試料(寸法100mm×100mm×厚さ3.0mm)を、前記と同じ手順で精密研磨した。その後、寸法2mm×30mm×厚さ1.5mmの試料を切り出し、下スパン15mm、上スパン5mm、クロスヘッドスピード0.5mm/minの条件で4点曲げ試験を行い、抗折強度を求めた。この結果、170MPaであった。

発明の効果

0062

以上述べたように、本発明によれば、ガラス製の磁気ディスクドライブ用部材において、十分な強度を有しており、表面の精密研磨加工の速度が速く、かつ表面を精密研磨加工した後に微細な凹凸が発生しにくい材料を提供できる。

図面の簡単な説明

0063

図1本発明の実施例において、ガラスの表面をイオンビームでエッチングした後の表面の微構造を示す透過型電子顕微鏡写真である。

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