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※この項目の情報は公開日時点(2001年5月8日)のものです。
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課題
解決手段
概要
背景
繊維構造体とみられない動物性材料は、綿糸などの植物性天然繊維などとともに古来より人間の衣料、寝具用材料として用いられてきた。特に中世ヨーロッパで高級品と位置付けられてきた羽毛も日本では昭和40年代後半から一般的に普及し、布団の中綿代り、羽毛入りベストなどとして用いられるようになり、その優れた保温性と水分蒸散性が快適な安眠、・防寒グッズとして我々の生活に定着しつつある。しかしながら、動物組織に関してはその構造上の特長でもあるところの皮脂および蛋白成分が経時的に異臭を発生することがままある。
もちろん、これらの動物臭といわれる異臭は製品化前の洗浄などによりある程度除去されるが、基本価値であるところの風合い、肌触りなどを損なうことなく商品化するにはある程度の量の皮脂および蛋白成分を残存しておく必要があった。しかしながら、このわずかな残存皮脂類が生活条件下で様々な外的要因により経時的に異臭を発生している状況がしばしば見受けられる。
一方、茶(Camellia sinensis L.)の葉および種子から得られる成分、特にポリフェノール成分については、様々な薬理効果のほか、消臭や収斂作用についての作用の報告がなされている。例えば、消臭作用については特開平9−38138号公報、特開平10−212221号公報に報告があり、収斂についても特開平7−150200号公報で報告されている。しかしながら、衣料・生活用品として利用される動物性材料の消臭ならびに風合い向上に関する報告はされていない。
概要
動物性材料の基本価値であるところの風合い、手触り、肌触りを損なうことなく、むしろより該基本価値を高め、またある気候条件下では異臭となりうるところの動物臭のマスキングをも兼ねたこれらの動物性材料の処理法および人体に対して安全性の高いお茶に含まれる抽出物で処理された動物性材料を有する個人用品または家庭用品を提供すること。
個人用品または家庭用品用の動物性材料を茶抽出物で処理する、動物性材料の品質劣化を抑制ないし防止する方法および茶抽出物で処理された動物性材料を有する個人用品または家庭用品。
目的
本発明の目的は、動物性材料の基本価値であるところの風合い、手触り、肌触りを損なうことなく、むしろより該基本価値を高め、またある気候条件下では異臭となりうるところの動物臭のマスキングをも兼ねたこれらの動物性材料の処理法を提供することにある。本発明の他の目的は、例えば汗などの人体由来の分泌物等による雑菌増殖を抑制ないし阻止する動物性材料の処理法を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、風合い、手触り、肌触りといった物理的な快適さの向上と嗅覚的な快適さを併せ持つ動物性材料を備えた個人用品または家庭用品を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、人体に対して安全性の高いお茶に含まれる抽出物(主にはポリフェノール成分)で処理した、本発明の上記個人用品または家庭用品を提供することにある。本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 2件
- 牽制数
- 1件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
技術分野
背景技術
0002
繊維構造体とみられない動物性材料は、綿糸などの植物性天然繊維などとともに古来より人間の衣料、寝具用材料として用いられてきた。特に中世ヨーロッパで高級品と位置付けられてきた羽毛も日本では昭和40年代後半から一般的に普及し、布団の中綿代り、羽毛入りベストなどとして用いられるようになり、その優れた保温性と水分蒸散性が快適な安眠、・防寒グッズとして我々の生活に定着しつつある。しかしながら、動物組織に関してはその構造上の特長でもあるところの皮脂および蛋白成分が経時的に異臭を発生することがままある。
0003
もちろん、これらの動物臭といわれる異臭は製品化前の洗浄などによりある程度除去されるが、基本価値であるところの風合い、肌触りなどを損なうことなく商品化するにはある程度の量の皮脂および蛋白成分を残存しておく必要があった。しかしながら、このわずかな残存皮脂類が生活条件下で様々な外的要因により経時的に異臭を発生している状況がしばしば見受けられる。
0004
一方、茶(Camellia sinensis L.)の葉および種子から得られる成分、特にポリフェノール成分については、様々な薬理効果のほか、消臭や収斂作用についての作用の報告がなされている。例えば、消臭作用については特開平9−38138号公報、特開平10−212221号公報に報告があり、収斂についても特開平7−150200号公報で報告されている。しかしながら、衣料・生活用品として利用される動物性材料の消臭ならびに風合い向上に関する報告はされていない。
発明が解決しようとする課題
0005
本発明の目的は、動物性材料の基本価値であるところの風合い、手触り、肌触りを損なうことなく、むしろより該基本価値を高め、またある気候条件下では異臭となりうるところの動物臭のマスキングをも兼ねたこれらの動物性材料の処理法を提供することにある。本発明の他の目的は、例えば汗などの人体由来の分泌物等による雑菌増殖を抑制ないし阻止する動物性材料の処理法を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、風合い、手触り、肌触りといった物理的な快適さの向上と嗅覚的な快適さを併せ持つ動物性材料を備えた個人用品または家庭用品を提供することにある。
0006
本発明のさらに他の目的は、人体に対して安全性の高いお茶に含まれる抽出物(主にはポリフェノール成分)で処理した、本発明の上記個人用品または家庭用品を提供することにある。本発明のさらに他の目的および利点は以下の説明から明らかになろう。
課題を解決するための手段
0007
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、個人用品または家庭用品用の動物性材料を茶抽出物で処理することを特徴とする動物性材料の品質劣化を抑制ないし防止する方法によって達成される。また、本発明によれば、本発明の上記および利点は、第2に、茶抽出物で処理された動物性材料を有する個人用品または家庭用品によって達成される。
0009
しかしながらこれらは、食品としての比較的短い期間での消臭効果や頻繁に洗濯する衣料や各種カバー類が対象であり、長い期間使用し尚且つ洗濯頻度が少ない布団の中綿やベストやコートなどへの消臭および既存臭のマスキング効果についての応用事例報告はなされていない。また、収斂作用については革なめしなどの工業技術が周知の事実となっているが、鳥類由来の羽毛の嵩高を上げ、保温性およびソフト感を向上させるといった報告はなされていない。
0010
発明者らは、茶抽出物で前処理を施した動物性材料を製造し、高い消臭性と風合い向上の可能性を見出し、より快適な生活を送れることのできる動物性材料を供給できることを確認し本発明に到達した。本発明の動物性材料の品質劣化を抑制ないし防止する方法は、これまでの動物性材料にさらなる付加価値をもたらすことのできる前処理法ともいえる。
0011
本発明における茶抽出物とは茶種子または茶葉の抽出物をいう。本発明における茶抽出物としては、ツバキ科の茶(Camellia sinensis L.)由来であるところの日本茶(緑茶)、中国茶(烏龍茶、ジャスミン茶)、紅茶、プアール茶の少なくとも1種の茶葉を水または親水性有機溶媒もしくはこれらの混合物で抽出された抽出物またはこれらを吸着樹脂によりさらに精製した抽出物またはクロロフォルム、酢酸エチル、メチルイソブチルケトンなどの疎水性有機溶剤により抽出、精製されたものを使用することができる。
0012
本発明において使用される動物性材料は、繊維構造体として見られない組織を有し、そして個人用品または家庭用品用の動物性材料である。個人用品としては例えば衣類、頭部着用品、履物、財布、カバン、スーツケースおよびブラシ等を挙げることができる。また、家庭用品としては、例えばクッション、いす、ソファーまたは寝具等を挙げることができる。動物性材料としては、具体的には牛馬の皮革、ガチョウ・アヒルなどの羽毛全般(ダウン、フェザーなど)、他の動物の皮革、ウサギの毛皮、馬のタテガミ、タヌキの毛などの毛髪類などが挙げられる。
0013
個人用品としては、より具体的に、例えば羽毛を詰めたダウンジャケットや毛皮製コート等の衣類、毛髪を用いたカツラなどの頭部着用品、皮革製のスリッパ等の履物、同様に皮革製の財布、カバン、スーツケース等あるいはタヌキの毛を用いたブラシ等を挙げることができる。家庭用品としては、例えば皮革製のいず、ソファー、羽毛詰めのクッションあるいはふとんの如き寝具等を挙げることができる。
0014
本発明によれば、動物性材料は、常法であるところの洗浄、選別の各段階において茶ポリフェノールを添加した水溶液に接触または浸漬する方法のみならず、新たに工程を設けてさらに強固に茶抽出物を吸着させる方法により実施することができる。
0015
まず、動物性材料由来の臭気のマスキングにおいて、茶抽出物である茶ポリフェノールを含有する水溶液を40〜100℃に加温し、加温した水溶液に5〜120分間連続的に接触させるかもしくは浸漬させる。その際の茶ポリフェノールの使用量は、動物性材料に対して1〜100重量%とするのが好ましい。
0016
また、動物性材料を、カチオン化剤とアルカリ助剤を含有する水溶液に浸漬させる方法により動物性材料を活性化させた後、茶抽出物で処理することにより、さらに強固に茶抽出物を固着させることができる。これにより、動物性材料の風合いを向上させ、抗菌・消臭効果をもたらすことができる。
0017
茶ポリフェノールを強固に固着させる際のカチオン化剤としては市販のものを使用することができる。使用量は動物性材料に対して1〜100重量%とするのが好ましい。
0018
この場合、固着させる茶ポリフェノールは、動物性材料に対して、好ましくは0.1〜20重量%使用し、より好ましくは1〜10重量%を使用する。茶ポリフェノール投入時のpHは、浸漬すべき水溶液を動物性材料にあったpHであるところのpH3〜11に調整しておくことが望ましい。また、浸漬条件としては、常温〜90℃の温度帯で1〜100分間浸漬または接触させる。
0019
また、動物性原料をアルカリ条件下で活性化した場合は茶抽出物(茶ポリフェノール)を固着した後に中和処理することが望ましい。その際に用いられる中和用酸としては、例えば酢酸、クエン酸、酒石酸およびリンゴ酸などが挙げられる。
0020
本発明によれば、上記の如く、茶抽出物で処理された動物性材料を有する個人用品および家庭用品が同様に提供される。このような用品、例えば衣類のように度々洗濯による洗浄を行わない布団類に懸念される雑菌の増殖をも抑制できる利点があり、さらに処理段階で加えるカテキン量の差異により、院内感染菌であるところのMRSAなどに対しての抗菌・制菌力をも期待できる。
0021
次に、実施例により本発明をさらに説明する。
実施例1
テアフラン30A(株式会社伊藤園製:茶ポリフェノール40%含有)1kgを水1,000Lに溶解させ、そこに羽毛原毛20kgを投じ、攪拌しながら該水溶液を加温する。該水溶液温度が80℃になったら、その温度を保持しながら20分間浸漬または接触させる。その後、加水しながらすすぎを行い、脱水、乾燥を経て茶ポリフェノール処理による消臭羽毛を得た。
0022
実施例2
水酸化ナトリウム500gを水1,000Lに溶解し、カチオン化剤(株式会社イオンテック製)3kgを加えた水溶液に実施例1で得られた消臭羽毛を投じ、80℃まで昇温保持し10分間攪拌しながら該水溶液に接触させた。加温処理後、加水しながらすすぎを行い、そこにテアフラン30A500gを溶解させて加え、再度80℃まで昇温し、10分間攪拌しながら固着処理をした。固着処理後は、先程と同様に加水しながらすすぎを行い、脱水、乾燥を行い茶抽出物(茶ポリフェノール)を固着せしめた抗菌・消臭加工の羽毛を得た。
0023
実施例3
中性洗剤1,200ccを水1,000Lに溶解させ、そこに羽毛原毛20kgを投じ、60℃まで昇温した後該温度を保持し、10分間攪拌しながら接触させた。その後、加水しながらすすぎを行い、脱水を経て洗浄羽毛を得た。実施例2と同様のカチオン化処理により、抗菌・消臭加工の羽毛を得た。
0024
表1〜3に実施例1、2の各試験区の消臭試験、抗菌試験および嵩高試験による結果を示す。試験方法は、消臭試験が官能による評価、抗菌試験は統一試験法に基づき、嵩高試験はJIS L 1903に基づくB法にて測定した。
0028
ID=000003HE=035 WI=104 LX=0530 LY=1000
カチオン化処理を経て茶抽出物(茶ポリフェノール)を固着させたものは、抗菌効果が認められた。
0029
[試験項目]嵩高(風合い)に関する検査
[試験方法]JIS L 1903に基づくB法。結果を表3に示す。
[サンプルの組成]
ダウン…89.2〜91.9%
ダウンファイバー…1.4〜2.8%
フェザーファイバー …0.5〜1.4%
スモールフェザー…4.5〜6.8%
0030
ID=000004HE=020 WI=080 LX=0200 LY=1950
洗浄のみのものに対して、茶抽出物(茶ポリフェノール)処理を施したものは嵩高が10〜21mm増加した。すなわち、茶ポリフェノール処理により風合いの向上が図られた。
発明の効果
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