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技術 動力出力装置の制御方法

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 金森彰彦川端康己衛藤仁郎
出願日 1999年10月7日 (21年2ヶ月経過) 出願番号 1999-287256
公開日 2001年4月20日 (19年8ヶ月経過) 公開番号 2001-112112
状態 特許登録済
技術分野 車両の推進装置の配置・取付け 動力伝達装置の配置~クラッチ,変速~ ハイブリッド電気車両 動力操作始動装置 車両用機関または特定用途機関の制御 内燃機関に供給する空気・燃料の電気的制御 内燃機関の始動装置 減速機2 車両の電気的な推進・制動 車両の電気的な推進・制動 複数電動機の制御
主要キーワード 可動ギヤ 省資源性 許容最大回転数 切り換え中 動力状態 滑り回転 オーバードライブクラッチ 動作線
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図面 (20)

課題

EV走行し続けている間に駆動軸動作点がUD領域からOD領域に入る場合などに、電動機の回転軸結合状態切り換えエンジン始動などを適切に行なうことができるようにする。

解決手段

車両が停止状態から発進した際には、制御ECU60は、UD結合でモータMG2のみにより車両をEV走行させる(ステップS102)。その後、駆動軸の動作点がUD/OD領域境界を越えてOD領域に入った場合(ステップS108)には、制御ECU60は、エンジン20への燃料供給を開始して、エンジン20を始動すると共に、切換クラッチ50を制御して、UD結合からOD結合への切り換えを行なう(ステップS110)。そして、制御ECU60は、OD結合で、エンジン20及びモータMG1,MG2を利用して、車両をHV走行させる。

概要

背景

近年、エンジン電動機とを動力源とする動力出力装置を搭載したハイブリッド車両が提案されている(例えば特開平9−47094に記載の技術等)。このようなハイブリッド車両では、搭載した動力出力装置によって、エンジンから出力された動力は、一部が動力調整装置により駆動軸に伝達され、残余の動力が電力として回生される。この電力はバッテリ蓄電されたり、エンジン以外の動力源としての電動機を駆動するのに用いられる。このような動力出力装置は、上述の動力の伝達過程において、動力調整装置および電動機を制御することによって、エンジンから出力された動力を任意の回転数およびトルクで駆動軸に出力することができる。駆動軸から出力すべき要求出力に関わらずエンジンは運転効率の高い運転ポイントを選択して運転することができるため、ハイブリッド車両はエンジンのみを駆動源とする従来の車両に比べて省資源性および排気浄化性に優れている。

このような動力出力装置において、電動機の回転軸結合先としては、駆動軸とエンジンの出力軸の2通りが考えられる。電動機の回転軸を駆動軸に結合した構成では、エンジンの回転数よりも駆動軸の回転数が高いオーバードライブ動作時(オーバードライブ走行時)に、動力が下流側から上流側に向かって伝達されるいわゆる動力循環が発生し、それにより、エンジンから出力された動力のうち、有効に駆動軸に伝達される動力が低減するため、そのようなオーバードライブ動作時に比較して、エンジンの回転数よりも駆動軸の回転数が低いアンダードライブ動作時(アンダードライブ走行時)に運転効率が高くなる特性がある。一方、電動機の回転軸をエンジンの出力軸に結合した構成では、逆に、アンダードライブ動作時に、上記した動力循環が発生し、それにより、有効に駆動軸に伝達される動力が低減するため、そのようなアンダードライブ動作時に比較して、オーバードライブ動作時に運転効率が高くなる特性がある。

そこで、従来では、電動機の回転軸の結合を、駆動軸とエンジンの出力軸とで切り換え可能に構成した動力出力装置が提案されている(例えば、特開平10−271749号公報)。かかる動力出力装置では、電動機の回転軸とエンジンの出力軸との結合及び解放を行う第1のクラッチと、電動機の回転軸と駆動軸との結合及び解放を行う第2のクラッチと、を備えている。そして、基本的に、駆動軸の回転数がエンジンの回転数がよりも低くなった場合(アンダードライブ動作時)には、第1のクラッチを解放すると共に、第2のクラッチを結合することによって、電動機の回転軸を駆動軸に結合し、逆に、駆動軸の回転数がエンジンの回転数よりも高くなった場合(オーバードライブ動作時)には、第1のクラッチを結合すると共に、第2のクラッチを解放することによって、電動機の回転軸をエンジンの出力軸に結合する。こうすることによってアンダードライブ動作時、オーバードライブ動作時の双方において、効率の高い運転を実現している。

なお、電動機の回転軸を駆動軸に結合した状態を以下アンダードライブ(UD)結合と言い、電動機の回転軸をエンジンの出力軸に結合した状態を以下オーバードライブ(OD)結合と言う。

以上のような動力出力装置を搭載したハイブリッド車両においては、電動機の回転軸の結合状態を、車両の走行状態に応じて、次のようにしている。

即ち、車両が停車している状態から発進する際には、駆動軸に大きな駆動トルクを発生させるために、車両は常にUD結合から発進するようにしている。UD結合では、エンジンからのトルクと電動機からのトルクの和が駆動軸に駆動トルクとして出力されるからである。

一方、車両が高速走行をしている際には、動力出力装置における損失(エンジン,電動機,動力調整装置等での損失)を低減させ、高速燃費の向上を実現させるために、車両はOD結合で走行するようにしている。

ところで、車両が停車している状態から発進する際には、前述したとおり、車両はUD結合で発進するが、この時、さらに、エンジンを始動せずに、電動機のみで走行するようしている。具体的には、バッテリに蓄えられた電力を用い、電動機によって、駆動軸に駆動トルクを発生させるようにしている。このようにすることによって、車両は、エンジンにおける低速領域、即ち、効率の悪い領域を使用せずに走行することができるため、燃費の向上を図ることができる。

なお、このように、エンジンを始動せずに、電動機のみで走行する場合を、EV走行と呼び、逆に、エンジンを始動して、エンジンと電動機の両方を用いて走行する場合をHV走行と呼ぶ。

図26はハイブリッド車両が停車している状態から発進する際の動作パターンを示す説明図である。図26において、縦軸はトルクであり、横軸は回転数である。図26はいわば動力出力装置の動作特性を示している。

また、曲線IMは、動力出力装置の最大出力線である。従って、トルク軸である縦軸と回転数軸である横軸とこの曲線LIMとで囲まれる領域が、駆動軸の動作点の採り得る範囲、即ち、動力出力装置の動作領域である。なお、動作点はトルクと回転数の組み合わせとして表現される。

曲線ELはエンジンの目標動作点を決定する際に用いる動作線である。この動作線ELは、エンジンの効率が最高となる動作線であり、この動作線ELに従ってエンジンの目標動作点を決定すると、エンジンの燃費は最適となる。

また、一般に、エンジンの動作線は、エンジンの回転数と駆動軸の回転数が等しくなる境界となる。従って、基本的に、動作線ELよりもトルクが低い側の領域では、電動機の回転軸の結合状態をOD結合にして動作させ、動作線ELよりもトルクが高い側の領域では、UD結合にして動作させるようにしている。なお、以下、動作線ELよりもトルクが低い側の領域をオーバードライブ領域(OD領域)と呼び、動作線ELよりもトルクが高い側の領域をアンダードライブ領域(UD領域)と呼ぶ。また、動作線ELをUD/OD領域境界と言う場合がある。

曲線ESUは、エンジンを始動させるか否かを判定するためのエンジン始動判定線である。一般には、駆動軸の動作点がこのエンジン始動判定線ESUよりも左下の領域にある場合には、エンジンは停止状態にあるが、駆動軸の動作点がこのエンジン始動判定線ESUを越えて右上の領域に入った場合には、エンジンに燃料を供給してエンジンを始動させるようにしている。従って、この場合、駆動軸の動作点がエンジン始動判定線ESUよりも右上の領域にあることが、エンジン始動条件となる。

曲線DL1または曲線DL2は、それぞれ、駆動軸の動作点の軌跡である。何れも、車両が停車している状態から発進して走行する場合の軌跡を示している。

その他、曲線DDは、走行抵抗0%を表す曲線であり、曲線P1〜P6は、それぞれ、動力が或る一定値となる曲線である。なお、曲線P1〜P6は、P1,P2,…,P5,P6の順に動力が高くなっている。

それでは、車両が停車している状態から発進して走行する場合の動作を、曲線DL1の場合と曲線DL2の場合とに分けて説明する。なお、何れの場合も、前述したように、車両が停車している状態から発進する際にはUD結合で発進する。また、車両が停車している状態から発進した場合、エンジンを始動せずに、電動機のみで走行(EV走行)する。

曲線DL1の場合は、車両が発進した後、車両の運転者アクセルを大きく踏み込むことによって、エンジンに対する要求動力増し、それにより、駆動軸の動作点がエンジン始動判定線ESUを越える(即ち、エンジン始動条件を満たす)と、エンジンに燃料を供給してエンジンを始動し、エンジンと電動機の両方を用いて走行(HV走行)する。そして、さらに、車両が加速して、駆動軸の動作点がUD領域からエンジンの動作線(即ち、UD/OD領域境界)ELを越えてOD領域に入ると、電動機の回転軸の結合状態をUD結合からOD結合に切り換える。このように、HV走行する間に、電動機の回転軸の結合状態をUD結合からOD結合に切り換える方法については、例えば、既述した特開平10−271749号公報などに開示されている。

一方、曲線DL2の場合は、車両が発進した後、緩やかな加速にて、電動機のみで走行(EV走行)するが、駆動軸の動作点がエンジン始動判定線ESUを越えないため、エンジンを停止状態にしたまま、EV走行し続ける。その後、車両が加速すると、駆動軸の動作点は、UD領域からエンジンの動作線(即ち、UD/OD領域境界)ELを越えてOD領域に入る。そして、車両がさらに加速すると、駆動軸の動作点は、OD領域内でエンジン始動判定線ESUを越える(即ち、エンジン始動条件を満たす)ことになる。

概要

EV走行し続けている間に駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入る場合などに、電動機の回転軸の結合状態の切り換えやエンジンの始動などを適切に行なうことができるようにする。

車両が停止状態から発進した際には、制御ECU60は、UD結合でモータMG2のみにより車両をEV走行させる(ステップS102)。その後、駆動軸の動作点がUD/OD領域境界を越えてOD領域に入った場合(ステップS108)には、制御ECU60は、エンジン20への燃料供給を開始して、エンジン20を始動すると共に、切換クラッチ50を制御して、UD結合からOD結合への切り換えを行なう(ステップS110)。そして、制御ECU60は、OD結合で、エンジン20及びモータMG1,MG2を利用して、車両をHV走行させる。

目的

従って、本発明は、このような、従来、考慮されていなかった点に鑑みなされたものであり、その目的は、EV走行し続けている間に駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入る場合や、その後にエンジン始動条件を満たす場合などに、電動機の回転軸の結合状態の切り換えやエンジンの始動などを適切に行なうことができる動力出力装置の制御方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
4件

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請求項1

出力軸を有する原動機と、動力を出力するための駆動軸と、第1の電動機を有し、前記出力軸及び前記駆動軸に結合されると共に、前記第1の電動機の作用によって少なくとも前記駆動軸に出力される動力を調整することが可能な動力調整装置と、回転軸を有する第2の電動機と、該第2の電動機の回転軸を前記駆動軸及び前記出力軸の少なくとも一方に結合させることが可能な結合手段と、を備え、トルク回転数との関係で表される動作領域が、所定の境界によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて動作させるべき第1の領域と前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第2の領域とに分割されている動力出力装置制御方法であって、(a)前記駆動軸の動作点が前記第1の領域にあって、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸が前記駆動軸に結合されている場合に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させる工程と、(b)前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動すると共に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を備える制御方法。

請求項2

請求項1に記載の制御方法において、前記工程(b)は、前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動する工程と、前記原動機を始動した後に、前記第1の電動機及び前記原動機によって前記出力軸の回転数及びトルクを前記駆動軸の回転数及びトルクにほぼ等しくなるように制御する工程と、前記出力軸の回転数及びトルクを前記駆動軸の回転数及びトルクにほぼ等しくした後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を含むことを特徴とする制御方法。

請求項3

請求項1に記載の制御方法において、前記工程(b)は、前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、前記第1の電動機によって前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御する工程と、前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数にほぼ等しくした後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記出力軸に切り換えた後に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動する工程と、を含むことを特徴とする制御方法。

請求項4

出力軸を有する原動機と、動力を出力するための駆動軸と、第1の電動機を有し、前記出力軸及び前記駆動軸に結合されると共に、前記第1の電動機の作用によって少なくとも前記駆動軸に出力される動力を調整することが可能な動力調整装置と、回転軸を有する第2の電動機と、該第2の電動機の回転軸を前記駆動軸及び前記出力軸の少なくとも一方に結合させることが可能な結合手段と、を備え、トルクと回転数との関係で表される動作領域が、所定の境界によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて動作させるべき第1の領域と前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第2の領域とに分割されている動力出力装置の制御方法であって、(a)前記駆動軸の動作点が前記第1の領域にあって、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸が前記駆動軸に結合されている場合に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させて、該第2の電動機によって前記駆動軸に駆動トルクを出力させる工程と、(b)前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、(c)前記第2の電動機の回転軸の結合を前記出力軸に切り換えた後に、前記第2の電動機に代えて、前記第1の電動機によって前記駆動軸に駆動トルクを出力させると共に、前記第1の電動機により前記出力軸に生じる反力トルクを、前記第2の電動機によってキャンセルする工程と、を備える制御方法。

請求項5

請求項4に記載の制御方法において、前記工程(b)は、前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、前記第1の電動機によって前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御する工程と、前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数にほぼ等しくした後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を含むことを特徴とする制御方法。

請求項6

出力軸を有する原動機と、動力を出力するための駆動軸と、第1の電動機を有し、前記出力軸及び前記駆動軸に結合されると共に、前記第1の電動機の作用によって少なくとも前記駆動軸に出力される動力を調整することが可能な動力調整装置と、回転軸を有する第2の電動機と、該第2の電動機の回転軸を前記駆動軸及び前記出力軸の少なくとも一方に結合させることが可能な結合手段と、を備え、トルクと回転数との関係で表される動作領域が、所定の境界によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて動作させるべき第1の領域と前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第2の領域とに分割されている動力出力装置の制御方法であって、(a)前記駆動軸の動作点が前記第1の領域にあって、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸が前記駆動軸に結合されている場合に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させる工程と、(b)前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、引き続き、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させると共に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させる工程と、(c)前記駆動軸から出力されるべき目標動力が所定の条件を満足した場合に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動すると共に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を備える制御方法。

請求項7

請求項6に記載の制御方法において、前記工程(c)は、前記目標動力が前記所定の条件を満足した場合に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動する工程と、前記原動機を始動した後に、前記第1の電動機及び前記原動機によって前記出力軸の回転数及びトルクを前記駆動軸の回転数及びトルクにほぼ等しくなるように制御する工程と、前記出力軸の回転数及びトルクを前記駆動軸の回転数及びトルクにほぼ等しくした後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を含むことを特徴とする制御方法。

請求項8

請求項6に記載の制御方法において、前記工程(c)は、前記目標動力が前記所定の条件を満足した場合に、前記第1の電動機によって前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御する工程と、前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数にほぼ等しくした後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記出力軸に切り換えた後に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動する工程と、を含むことを特徴とする制御方法。

請求項9

請求項6ないし請求項8のうちの任意の1つに記載の制御方法において、(d)前記第2の電動機の回転軸の回転数が予め設定された特定回転数を上回った場合に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程をさらに備える制御方法。

請求項10

請求項9に記載の制御方法において、前記工程(d)は、前記第2の電動機の回転軸の回転数が前記特定回転数を上回った場合に、前記第1の電動機によって前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御する工程と、前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数にほぼ等しくした後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を含むことを特徴とする制御方法。

請求項11

出力軸を有する原動機と、動力を出力するための駆動軸と、第1の電動機を有し、前記出力軸及び前記駆動軸に結合されると共に、前記第1の電動機の作用によって少なくとも前記駆動軸に出力される動力を調整することが可能な動力調整装置と、回転軸を有する第2の電動機と、該第2の電動機の回転軸を前記駆動軸及び前記出力軸の少なくとも一方に結合させることが可能な結合手段と、を備え、トルクと回転数との関係で表される動作領域が、所定の境界によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて動作させるべき第1の領域と前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第2の領域とに分割されている動力出力装置の制御方法であって、(a)前記駆動軸の動作点が前記第1の領域にあって、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸が前記駆動軸に結合されている場合に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させる工程と、(b)前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、引き続き、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させると共に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させる工程と、(c)前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、前記第1の電動機によって前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御する工程と、(d)前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数にほぼ等しくした後に、前記駆動軸から出力されるべき目標動力が所定の条件を満足した場合に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動すると共に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を備える制御方法。

請求項12

請求項11に記載の制御方法において、前記工程(d)は、前記目標動力が前記所定の条件を満足した場合に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動する工程と、前記原動機を始動した後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を含むことを特徴とする制御方法。

請求項13

請求項11に記載の制御方法において、前記工程(d)は、前記目標動力が前記所定の条件を満足した場合に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記出力軸に切り換えた後に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動する工程と、を含むことを特徴とする制御方法。

請求項14

請求項11ないし請求項13のうちの任意の1つに記載の制御方法において、(e)前記第2の電動機の回転軸の回転数が予め設定された特定回転数を上回った場合に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程をさらに備える制御方法。

請求項15

出力軸を有する原動機と、動力を出力するための駆動軸と、第1の電動機を有し、前記出力軸及び前記駆動軸に結合されると共に、前記第1の電動機の作用によって少なくとも前記駆動軸に出力される動力を調整することが可能な動力調整装置と、回転軸を有する第2の電動機と、該第2の電動機の回転軸を前記駆動軸及び前記出力軸の少なくとも一方に結合させることが可能な結合手段と、を備え、トルクと回転数との関係で表される動作領域が、所定の境界によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて動作させるべき第1の領域と前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第2の領域とに分割されている動力出力装置の制御方法であって、(a)前記駆動軸の動作点が前記第1の領域にあって、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸が前記駆動軸に結合されている場合に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させる工程と、(b)前記第2の電動機の回転軸の回転数が予め設定された特定回転数を上回った場合に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を備える制御方法。

請求項16

請求項1ないし請求項15のうちの任意の一つに記載の制御方法において、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える際に、前記結合出段によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させたまま、前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させ、その後、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸から切り離すことを特徴とする制御方法。

請求項17

請求項2または請求項7に記載の制御方法において、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える際に、前記結合出段によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸から切り離し、その後、前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させることを特徴とする制御方法。

請求項18

請求項1ないし請求項17のうちの任意の一つに記載の制御方法において、前記動力調整装置は、前記第1の電動機として、前記出力軸に結合された第1のロータと、前記駆動軸に結合された第2のロータとを有する対ロータ電動機を有することを特徴とする制御方法。

請求項19

請求項1ないし請求項17のうちの任意の一つに記載の制御方法において、前記動力調整装置は、前記第1の電動機の他、3つの回転軸を有し、各回転軸が前記出力軸、前記駆動軸、及び前記第1の電動機の回転軸にそれぞれ結合されたプラネタリギヤを有することを特徴とする制御方法。

技術分野

0001

本発明は、動力源としてエンジンなどの原動機電動機とを備える動力出力装置制御方法に関し、詳しくは、上記電動機の回転軸駆動軸及び上記原動機の出力軸の少なくとも一方に結合させることが可能な結合手段を備える動力出力装置の制御方法に関するものである。

背景技術

0002

近年、エンジンと電動機とを動力源とする動力出力装置を搭載したハイブリッド車両が提案されている(例えば特開平9−47094に記載の技術等)。このようなハイブリッド車両では、搭載した動力出力装置によって、エンジンから出力された動力は、一部が動力調整装置により駆動軸に伝達され、残余の動力が電力として回生される。この電力はバッテリ蓄電されたり、エンジン以外の動力源としての電動機を駆動するのに用いられる。このような動力出力装置は、上述の動力の伝達過程において、動力調整装置および電動機を制御することによって、エンジンから出力された動力を任意の回転数およびトルクで駆動軸に出力することができる。駆動軸から出力すべき要求出力に関わらずエンジンは運転効率の高い運転ポイントを選択して運転することができるため、ハイブリッド車両はエンジンのみを駆動源とする従来の車両に比べて省資源性および排気浄化性に優れている。

0003

このような動力出力装置において、電動機の回転軸の結合先としては、駆動軸とエンジンの出力軸の2通りが考えられる。電動機の回転軸を駆動軸に結合した構成では、エンジンの回転数よりも駆動軸の回転数が高いオーバードライブ動作時(オーバードライブ走行時)に、動力が下流側から上流側に向かって伝達されるいわゆる動力循環が発生し、それにより、エンジンから出力された動力のうち、有効に駆動軸に伝達される動力が低減するため、そのようなオーバードライブ動作時に比較して、エンジンの回転数よりも駆動軸の回転数が低いアンダードライブ動作時(アンダードライブ走行時)に運転効率が高くなる特性がある。一方、電動機の回転軸をエンジンの出力軸に結合した構成では、逆に、アンダードライブ動作時に、上記した動力循環が発生し、それにより、有効に駆動軸に伝達される動力が低減するため、そのようなアンダードライブ動作時に比較して、オーバードライブ動作時に運転効率が高くなる特性がある。

0004

そこで、従来では、電動機の回転軸の結合を、駆動軸とエンジンの出力軸とで切り換え可能に構成した動力出力装置が提案されている(例えば、特開平10−271749号公報)。かかる動力出力装置では、電動機の回転軸とエンジンの出力軸との結合及び解放を行う第1のクラッチと、電動機の回転軸と駆動軸との結合及び解放を行う第2のクラッチと、を備えている。そして、基本的に、駆動軸の回転数がエンジンの回転数がよりも低くなった場合(アンダードライブ動作時)には、第1のクラッチを解放すると共に、第2のクラッチを結合することによって、電動機の回転軸を駆動軸に結合し、逆に、駆動軸の回転数がエンジンの回転数よりも高くなった場合(オーバードライブ動作時)には、第1のクラッチを結合すると共に、第2のクラッチを解放することによって、電動機の回転軸をエンジンの出力軸に結合する。こうすることによってアンダードライブ動作時、オーバードライブ動作時の双方において、効率の高い運転を実現している。

0005

なお、電動機の回転軸を駆動軸に結合した状態を以下アンダードライブ(UD)結合と言い、電動機の回転軸をエンジンの出力軸に結合した状態を以下オーバードライブ(OD)結合と言う。

0006

以上のような動力出力装置を搭載したハイブリッド車両においては、電動機の回転軸の結合状態を、車両の走行状態に応じて、次のようにしている。

0007

即ち、車両が停車している状態から発進する際には、駆動軸に大きな駆動トルクを発生させるために、車両は常にUD結合から発進するようにしている。UD結合では、エンジンからのトルクと電動機からのトルクの和が駆動軸に駆動トルクとして出力されるからである。

0008

一方、車両が高速走行をしている際には、動力出力装置における損失(エンジン,電動機,動力調整装置等での損失)を低減させ、高速燃費の向上を実現させるために、車両はOD結合で走行するようにしている。

0009

ところで、車両が停車している状態から発進する際には、前述したとおり、車両はUD結合で発進するが、この時、さらに、エンジンを始動せずに、電動機のみで走行するようしている。具体的には、バッテリに蓄えられた電力を用い、電動機によって、駆動軸に駆動トルクを発生させるようにしている。このようにすることによって、車両は、エンジンにおける低速領域、即ち、効率の悪い領域を使用せずに走行することができるため、燃費の向上を図ることができる。

0010

なお、このように、エンジンを始動せずに、電動機のみで走行する場合を、EV走行と呼び、逆に、エンジンを始動して、エンジンと電動機の両方を用いて走行する場合をHV走行と呼ぶ。

0011

図26はハイブリッド車両が停車している状態から発進する際の動作パターンを示す説明図である。図26において、縦軸はトルクであり、横軸は回転数である。図26はいわば動力出力装置の動作特性を示している。

0012

また、曲線IMは、動力出力装置の最大出力線である。従って、トルク軸である縦軸と回転数軸である横軸とこの曲線LIMとで囲まれる領域が、駆動軸の動作点の採り得る範囲、即ち、動力出力装置の動作領域である。なお、動作点はトルクと回転数の組み合わせとして表現される。

0013

曲線ELはエンジンの目標動作点を決定する際に用いる動作線である。この動作線ELは、エンジンの効率が最高となる動作線であり、この動作線ELに従ってエンジンの目標動作点を決定すると、エンジンの燃費は最適となる。

0014

また、一般に、エンジンの動作線は、エンジンの回転数と駆動軸の回転数が等しくなる境界となる。従って、基本的に、動作線ELよりもトルクが低い側の領域では、電動機の回転軸の結合状態をOD結合にして動作させ、動作線ELよりもトルクが高い側の領域では、UD結合にして動作させるようにしている。なお、以下、動作線ELよりもトルクが低い側の領域をオーバードライブ領域(OD領域)と呼び、動作線ELよりもトルクが高い側の領域をアンダードライブ領域(UD領域)と呼ぶ。また、動作線ELをUD/OD領域境界と言う場合がある。

0015

曲線ESUは、エンジンを始動させるか否かを判定するためのエンジン始動判定線である。一般には、駆動軸の動作点がこのエンジン始動判定線ESUよりも左下の領域にある場合には、エンジンは停止状態にあるが、駆動軸の動作点がこのエンジン始動判定線ESUを越えて右上の領域に入った場合には、エンジンに燃料を供給してエンジンを始動させるようにしている。従って、この場合、駆動軸の動作点がエンジン始動判定線ESUよりも右上の領域にあることが、エンジン始動条件となる。

0016

曲線DL1または曲線DL2は、それぞれ、駆動軸の動作点の軌跡である。何れも、車両が停車している状態から発進して走行する場合の軌跡を示している。

0017

その他、曲線DDは、走行抵抗0%を表す曲線であり、曲線P1〜P6は、それぞれ、動力が或る一定値となる曲線である。なお、曲線P1〜P6は、P1,P2,…,P5,P6の順に動力が高くなっている。

0018

それでは、車両が停車している状態から発進して走行する場合の動作を、曲線DL1の場合と曲線DL2の場合とに分けて説明する。なお、何れの場合も、前述したように、車両が停車している状態から発進する際にはUD結合で発進する。また、車両が停車している状態から発進した場合、エンジンを始動せずに、電動機のみで走行(EV走行)する。

0019

曲線DL1の場合は、車両が発進した後、車両の運転者アクセルを大きく踏み込むことによって、エンジンに対する要求動力増し、それにより、駆動軸の動作点がエンジン始動判定線ESUを越える(即ち、エンジン始動条件を満たす)と、エンジンに燃料を供給してエンジンを始動し、エンジンと電動機の両方を用いて走行(HV走行)する。そして、さらに、車両が加速して、駆動軸の動作点がUD領域からエンジンの動作線(即ち、UD/OD領域境界)ELを越えてOD領域に入ると、電動機の回転軸の結合状態をUD結合からOD結合に切り換える。このように、HV走行する間に、電動機の回転軸の結合状態をUD結合からOD結合に切り換える方法については、例えば、既述した特開平10−271749号公報などに開示されている。

0020

一方、曲線DL2の場合は、車両が発進した後、緩やかな加速にて、電動機のみで走行(EV走行)するが、駆動軸の動作点がエンジン始動判定線ESUを越えないため、エンジンを停止状態にしたまま、EV走行し続ける。その後、車両が加速すると、駆動軸の動作点は、UD領域からエンジンの動作線(即ち、UD/OD領域境界)ELを越えてOD領域に入る。そして、車両がさらに加速すると、駆動軸の動作点は、OD領域内でエンジン始動判定線ESUを越える(即ち、エンジン始動条件を満たす)ことになる。

発明が解決しようとする課題

0021

上記したように、HV走行する間に、駆動軸の動作点がUD領域からUD/OD領域境界ELを越えてOD領域に入る場合の動作については、上記既提案例に開示されていたが、曲線DL2の場合のように、EV走行し続けている間に、車両が加速して、駆動軸の動作点がUD領域からUD/OD領域境界ELを越えてOD領域に入る場合の動作や、その後にエンジン始動条件を満たす場合の動作については、上記した既提案例には開示されておらず、従来においては、この点について何ら考慮されていなかった。

0022

従って、本発明は、このような、従来、考慮されていなかった点に鑑みなされたものであり、その目的は、EV走行し続けている間に駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入る場合や、その後にエンジン始動条件を満たす場合などに、電動機の回転軸の結合状態の切り換えやエンジンの始動などを適切に行なうことができる動力出力装置の制御方法を提供することにある。

0023

上記した目的の少なくとも一部を達成するために、本発明の第1の制御方法は、出力軸を有する原動機と、動力を出力するための駆動軸と、第1の電動機を有し、前記出力軸及び前記駆動軸に結合されると共に、前記第1の電動機の作用によって少なくとも前記駆動軸に出力される動力を調整することが可能な動力調整装置と、回転軸を有する第2の電動機と、該第2の電動機の回転軸を前記駆動軸及び前記出力軸の少なくとも一方に結合させることが可能な結合手段と、を備え、トルクと回転数との関係で表される動作領域が、所定の境界によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて動作させるべき第1の領域と前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第2の領域とに分割されている動力出力装置の制御方法であって、(a)前記駆動軸の動作点が前記第1の領域にあって、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸が前記駆動軸に結合されている場合に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させる工程と、(b)前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動すると共に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を備えることを要旨とする。

0024

このように、第1の制御方法では、原動機を停止させたまま、第2の電動機を動作させている間に、駆動軸の動作点が上記境界を越えて第2の領域に入った場合に、原動機への燃料供給を開始して、原動機を始動すると共に、結合手段によって、第2の電動機の回転軸の結合を駆動軸から原動機の出力軸に切り換える。

0025

従って、第1の制御方法によれば、第2の電動機のみを動作させて、駆動軸を回転させていたのが、駆動軸の動作点が第1の領域から第2の領域に入ったことによって、直ちに、第2の電動機の回転軸を原動機の出力軸に結合させると共に、原動機と第2の電動機の両方を動作させて、駆動軸を回転させることができるようになる。

0026

よって、例えば、上記境界線が原動機の動作線であり、第1の領域がUD領域であり、第2の領域がOD領域であるとし、また、上記した動力出力装置を用いて車両を走行させるものとすると、それまで、第2の電動機のみを動作させて車両を走行(EV走行)させていたのが、駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入ったことによって、第2の電動機の回転軸の結合状態をOD結合にして、原動機と第2の電動機の両方を動作させて車両を走行(HV走行)させることができるようになる。

0027

本発明の第1の制御方法において、前記工程(b)は、前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動する工程と、前記原動機を始動した後に、前記第1の電動機及び前記原動機によって前記出力軸の回転数及びトルクを前記駆動軸の回転数及びトルクにほぼ等しくなるように制御する工程と、前記出力軸の回転数及びトルクを前記駆動軸の回転数及びトルクにほぼ等しくした後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を含むことが好ましい。

0028

このように、原動機を始動した後の出力軸の回転数及びトルクを駆動軸の回転数及びトルクにほぼ等しくして、第2の電動機の回転軸の結合を切り換えているため、ショックの無い切り換えを実現することができる。

0029

なお、本明細書において、「出力軸の回転数及びトルクを駆動軸の回転数及びトルクにほぼ等しくする」には、出力軸の回転数と駆動軸の回転数との差が或る許容範囲内に入るようにし、かつ、出力軸の回転数と駆動軸の回転数との差が或る許容範囲内に入るようにする場合も含まれる。

0030

本発明の第1の制御方法において、前記工程(b)は、前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、前記第1の電動機によって前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御する工程と、前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数にほぼ等しくした後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記出力軸に切り換えた後に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動する工程と、を含むことが好ましい。

0031

このように、出力軸の回転数を駆動軸の回転数にほぼ等しくした後に、第2の電動機の回転軸の結合を切り換えているため、ショックの無い切り換えを実現することができる。また、出力軸の回転数は既に駆動軸の回転数まで上昇しているので、第2の電動機の回転軸を出力軸に結合した際に、原動機の回転数が急激に上昇することがなく、そのため、その急上昇に伴って発生するトルク変動振動を抑えることができる。また、駆動軸の回転数と出力軸の回転数との差が小さいため、第2の電動機の回転軸の結合を切り換える結合手段として、結合能力結合容量)の小さいもの(即ち、結合することが可能な最大の回転数差が小さい結合手段)を用いることができる。さらにまた、原動機を始動する前に、第2の電動機の回転軸の結合を切り換えているため、原動機の始動直後のトルク変動や回転数変動による影響を受けることなく、スムーズに切り換えることができる。

0032

なお、本明細書において、「出力軸の回転数を駆動軸の回転数にほぼ等しくする」には、出力軸の回転数と駆動軸の回転数との差が或る許容範囲内に入るようにする場合も含まれる。

0033

本発明の第2の制御方法は、出力軸を有する原動機と、動力を出力するための駆動軸と、第1の電動機を有し、前記出力軸及び前記駆動軸に結合されると共に、前記第1の電動機の作用によって少なくとも前記駆動軸に出力される動力を調整することが可能な動力調整装置と、回転軸を有する第2の電動機と、該第2の電動機の回転軸を前記駆動軸及び前記出力軸の少なくとも一方に結合させることが可能な結合手段と、を備え、トルクと回転数との関係で表される動作領域が、所定の境界によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて動作させるべき第1の領域と前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第2の領域とに分割されている動力出力装置の制御方法であって、(a)前記駆動軸の動作点が前記第1の領域にあって、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸が前記駆動軸に結合されている場合に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させて、該第2の電動機によって前記駆動軸に駆動トルクを出力させる工程と、(b)前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、(c)前記第2の電動機の回転軸の結合を前記出力軸に切り換えた後に、前記第2の電動機に代えて、前記第1の電動機によって前記駆動軸に駆動トルクを出力させると共に、前記第1の電動機により前記出力軸に生じる反力トルクを、前記第2の電動機によってキャンセルする工程と、を備えることを要旨とする。

0034

このように、第2の制御方法では、原動機を停止させたまま、第2の電動機を動作させて、第2の電動機によって駆動軸に駆動トルクを出力させている間に、駆動軸の動作点が上記境界を越えて第2の領域に入った場合に、第2の電動機の回転軸の結合を駆動軸から原動機の出力軸に切り換え、その後、第1の電動機によって駆動軸に駆動トルクを出力させると共に、第1の電動機により出力軸に生じる反力トルクを、第2の電動機によってキャンセルする。

0035

従って、第2の制御方法によれば、駆動軸の動作点が第1の領域から第2の領域に入った場合に、第2の電動機の回転軸の結合を駆動軸から出力軸に切り換えているので、駆動軸に駆動トルクを出力する電動機は第2の電動機から第1の電動機に交代するものの、原動機を停止させたまま、引き続き電動機によって駆動軸に駆動トルクを出力させることができる。

0036

よって、例えば、上記境界線が原動機の動作線であり、第1の領域がUD領域であり、第2の領域がOD領域であるとし、また、上記した動力出力装置を用いて車両を走行させるものとすると、第2の電動機によってEV走行させていた車両を、駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入っても、第1の電動機によって、引き続きEV走行させることができる。

0037

本発明の第2の制御方法において、前記工程(b)は、前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、前記第1の電動機によって前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御する工程と、前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数にほぼ等しくした後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を含むことが好ましい。

0038

このように切り換えることによって、ショックの無い切り換えを実現することができる。また、原動機の回転数が急激に上昇することがないため、トルク変動や振動を抑えることができる。また、結合手段として、結合能力の小さいものを用いることができる。

0039

本発明の第3の制御方法は、出力軸を有する原動機と、動力を出力するための駆動軸と、第1の電動機を有し、前記出力軸及び前記駆動軸に結合されると共に、前記第1の電動機の作用によって少なくとも前記駆動軸に出力される動力を調整することが可能な動力調整装置と、回転軸を有する第2の電動機と、該第2の電動機の回転軸を前記駆動軸及び前記出力軸の少なくとも一方に結合させることが可能な結合手段と、を備え、トルクと回転数との関係で表される動作領域が、所定の境界によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて動作させるべき第1の領域と前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第2の領域とに分割されている動力出力装置の制御方法であって、(a)前記駆動軸の動作点が前記第1の領域にあって、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸が前記駆動軸に結合されている場合に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させる工程と、(b)前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、引き続き、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させると共に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させる工程と、(c)前記駆動軸から出力されるべき目標動力が所定の条件を満足した場合に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動すると共に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を備えることを要旨とする。

0040

このように、第3の制御方法では、原動機を停止させたまま、第2の電動機を動作させている間に、駆動軸の動作点が上記境界を越えて第2の領域に入っても、引き続き、結合手段によって第2の電動機の回転軸を駆動軸に結合させると共に、原動機を停止させたまま、第2の電動機を動作させる。そして、その後、駆動軸から出力されるべき目標動力が所定の条件を満足した場合に、原動機への燃料供給を開始して、原動機を始動すると共に、結合手段によって、第2の電動機の回転軸の結合を駆動軸から前記出力軸に切り換える。

0041

従って、第3の制御方法によれば、原動機を停止させたまま、第2の電動機を動作させている間は、駆動軸の動作点が第1の領域から第2の領域に入っても、第2の電動機の回転軸の結合を切り換えないので、切り換えに伴うトルク変動や振動を一切発生させずに、広い回転数域にわたって滑らかに駆動軸を回転させることができる。また、その後、目標動力が所定の条件を満足した場合に、第2の電動機のみを動作させて、駆動軸を回転させていた状態から、直ちに、第2の電動機の回転軸を原動機の出力軸に結合させると共に、原動機と第2の電動機の両方を動作させて、駆動軸を回転させる状態に移行することができる。

0042

よって、例えば、上記境界線が原動機の動作線であり、第1の領域がUD領域であり、第2の領域がOD領域であるとし、また、上記した動力出力装置を用いて車両を走行させるものとすると、第2の電動機のみを動作させて車両をEV走行させている間は、駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入っても、第2の電動機の回転軸の結合状態をOD結合に切り換えないので、トルク変動や振動を発生させずに、広い車速域にわたって滑らかなEV走行を実現することができる。また、目標動力が所定の条件を満足した場合は、第2の電動機の回転軸の結合状態をOD結合に切り換えると共に、それまでEV走行させていた車両を、直ちに、HV走行に切り換えることができる。

0043

本発明の第3の制御方法において、前記工程(c)は、前記目標動力が前記所定の条件を満足した場合に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動する工程と、前記原動機を始動した後に、前記第1の電動機及び前記原動機によって前記出力軸の回転数及びトルクを前記駆動軸の回転数及びトルクにほぼ等しくなるように制御する工程と、前記出力軸の回転数及びトルクを前記駆動軸の回転数及びトルクにほぼ等しくした後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を含むことが好ましい。

0044

このように、原動機を始動した後の出力軸の回転数及びトルクを駆動軸の回転数及びトルクにほぼ等しくして、第2の電動機の回転軸の結合を切り換えているため、ショックの無い切り換えを実現することができる。

0045

本発明の第3の制御方法において、前記工程(c)は、前記目標動力が前記所定の条件を満足した場合に、前記第1の電動機によって前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御する工程と、前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数にほぼ等しくした後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記出力軸に切り換えた後に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動する工程と、を含むことが好ましい。

0046

このように切り換えることによって、ショックの無い切り換えを実現することができる。また、原動機の回転数が急激に上昇することがないため、トルク変動や振動を抑えることができる。また、結合手段として、結合能力の小さいものを用いることができる。さらにまた、原動機を始動する前に切り換えているため、始動直後のトルク変動や回転数変動による影響を受けずにスムーズに切り換えることができる。

0047

本発明の第3の制御方法において、(d)前記第2の電動機の回転軸の回転数が予め設定された特定回転数を上回った場合に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程をさらに備えることが好ましい。

0048

前述したように、第3の制御方法では、原動機を停止させたまま、第2の電動機を動作させている間は、駆動軸の動作点が第1の領域から第2の領域に入っても、第2の電動機の回転軸を駆動軸に結合したままで、結合を切り換えない。しかし、第2の電動機の回転数は許容最大回転数以下に制限されているため、第2の電動機の回転軸を駆動軸に結合したままでは、駆動軸の回転数は第2の電動機によって制約を受けて、駆動軸の回転数を許容最大回転数以上に上げることが難しい。そこで、例えば、上記した特定回転数を許容最大回転数以下に設定すれば、上記したように、第2の電動機の回転軸の回転数がその特定回転数を上回った場合に、第2の電動機の回転軸の結合を駆動軸から出力軸に切り換えることにより、駆動軸の回転数は第2の電動機による制約から解放されるので、駆動軸の回転数を許容最大回転数以上に上げることが可能になる。

0049

本発明の第3の制御方法において、前記工程(d)は、前記第2の電動機の回転軸の回転数が前記特定回転数を上回った場合に、前記第1の電動機によって前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御する工程と、前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数にほぼ等しくした後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を含むことが好ましい。

0050

このように切り換えることによって、ショックの無い切り換えを実現することができる。また、原動機の回転数が急激に上昇することがないため、トルク変動や振動を抑えることができる。また、結合手段として、結合能力の小さいものを用いることができる。

0051

本発明の第4の制御方法は、出力軸を有する原動機と、動力を出力するための駆動軸と、第1の電動機を有し、前記出力軸及び前記駆動軸に結合されると共に、前記第1の電動機の作用によって少なくとも前記駆動軸に出力される動力を調整することが可能な動力調整装置と、回転軸を有する第2の電動機と、該第2の電動機の回転軸を前記駆動軸及び前記出力軸の少なくとも一方に結合させることが可能な結合手段と、を備え、トルクと回転数との関係で表される動作領域が、所定の境界によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて動作させるべき第1の領域と前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第2の領域とに分割されている動力出力装置の制御方法であって、(a)前記駆動軸の動作点が前記第1の領域にあって、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸が前記駆動軸に結合されている場合に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させる工程と、(b)前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、引き続き、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させると共に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させる工程と、(c)前記駆動軸の動作点が前記境界を越えて前記第2の領域に入った場合に、前記第1の電動機によって前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御する工程と、(d)前記出力軸の回転数を前記駆動軸の回転数にほぼ等しくした後に、前記駆動軸から出力されるべき目標動力が所定の条件を満足した場合に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動すると共に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を備えることを要旨とする。

0052

このように、第4の制御方法では、原動機を停止させたまま、第2の電動機を動作させている間に、駆動軸の動作点が上記境界を越えて第2の領域に入った場合に、引き続き、結合手段によって第2の電動機の回転軸を駆動軸に結合させると共に、原動機を停止させたまま、第2の電動機を動作させるが、その一方で、第1の電動機によって出力軸の回転数を駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御する。そして、出力軸の回転数を駆動軸の回転数にほぼ等しくした後に、駆動軸から出力されるべき目標動力が所定の条件を満足した場合に、原動機への燃料供給を開始して、原動機を始動すると共に、結合手段によって、第2の電動機の回転軸の結合を駆動軸から出力軸に切り換える。

0053

従って、第4の制御方法によれば、原動機を停止させたまま、第2の電動機を動作させている間は、駆動軸の動作点が第1の領域から第2の領域に入っても、第2の電動機の回転軸の結合を切り換えないので、切り換えに伴うトルク変動や振動を一切発生させずに、広い回転数域にわたって滑らかに駆動軸を回転させることができる。また、駆動軸の動作点が第2の領域に入った場合に、出力軸の回転数を駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御するので、その後、目標動力が所定の条件を満足すると、瞬時に、原動機を始動し、第2の電動機の回転軸の結合を切り換えて、直ちに、原動機と第2の電動機の両方を動作させて、駆動軸を回転させることができる。

0054

よって、例えば、上記境界線が原動機の動作線であり、第1の領域がUD領域であり、第2の領域がOD領域であるとし、また、上記した動力出力装置を用いて車両を走行させるものとすると、第2の電動機のみを動作させて車両をEV走行させている間は、駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入っても、第2の電動機の回転軸の結合状態をOD結合に切り換えないので、トルク変動や振動を発生させずに、広い車速域にわたって滑らかなEV走行を実現することができる。また、駆動軸の動作点がOD領域に入った場合、原動機の出力軸の回転数が駆動軸の回転数とほぼ等しくなるようにしているので、目標動力が所定の条件を満足した際に、瞬時に、原動機を始動し、第2の電動機の回転軸の結合を切り換えて、直ちに、HV走行を行なうことができるため、運転者のアクセル操作に対する車両の駆動トルクのレスポンスが良くなる。

0055

本発明の第4の制御方法において、前記工程(c)は、前記目標動力が前記所定の条件を満足した場合に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動する工程と、前記原動機を始動した後に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を含むことが好ましい。

0056

駆動軸の動作点が第2の領域に入った後は、出力軸の回転数を駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御しているため、目標動力が所定の条件を満足した際には、原動機の出力軸の回転数は、既に、駆動軸の回転数とほぼ等しくなっている。従って、原動機を始動した後、直ちに、第2の電動機の回転軸の結合を切り換えても、ショックを起こすことなく切り換えを行なうことができる。

0057

本発明の第4の制御方法において、前記工程(d)は、前記目標動力が前記所定の条件を満足した場合に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記出力軸に切り換えた後に、前記原動機への燃料供給を開始して、該原動機を始動する工程と、を含むことが好ましい。

0058

駆動軸の動作点が第2の領域に入った後は、出力軸の回転数を駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御しているため、第2の電動機の回転軸の結合をいつ切り換えても、ショックの無い切り換えを行なうことができる。また、原動機の回転数が急激に上昇することがないため、トルク変動や振動を抑えることができる。また、結合手段として、結合能力の小さいものを用いることができる。さらにまた、原動機を始動する前に切り換えているため、始動直後のトルク変動や回転数変動による影響を受けずにスムーズに切り換えることができる。

0059

本発明の第4の制御方法において、(e)前記第2の電動機の回転軸の回転数が予め設定された特定回転数を上回った場合に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程をさらに備えることが好ましい。

0060

第4の制御方法においても、第3の制御方法と同様に、原動機を停止させたまま、第2の電動機を動作させている間は、駆動軸の動作点が第1の領域から第2の領域に入っても、第2の電動機の回転軸を駆動軸に結合したままで、結合を切り換えないため、駆動軸の回転数は第2の電動機によって制約を受けて、駆動軸の回転数を許容最大回転数以上に上げることが不可能となる。そこで、上記したように、第2の電動機の回転軸の回転数が特定回転数を上回った場合に、第2の電動機の回転軸の結合を駆動軸から出力軸に切り換えることにより、駆動軸の回転数を許容最大回転数以上に上げ得るようにしている。

0061

本発明の第5の制御方法は、出力軸を有する原動機と、動力を出力するための駆動軸と、第1の電動機を有し、前記出力軸及び前記駆動軸に結合されると共に、前記第1の電動機の作用によって少なくとも前記駆動軸に出力される動力を調整することが可能な動力調整装置と、回転軸を有する第2の電動機と、該第2の電動機の回転軸を前記駆動軸及び前記出力軸の少なくとも一方に結合させることが可能な結合手段と、を備え、トルクと回転数との関係で表される動作領域が、所定の境界によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させて動作させるべき第1の領域と前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させて動作させるべき第2の領域とに分割されている動力出力装置の制御方法であって、(a)前記駆動軸の動作点が前記第1の領域にあって、前記結合手段によって前記第2の電動機の回転軸が前記駆動軸に結合されている場合に、前記原動機を停止させたまま、前記第2の電動機を動作させる工程と、(b)前記第2の電動機の回転軸の回転数が予め設定された特定回転数を上回った場合に、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える工程と、を備えることを要旨とする。

0062

このように、第5の制御方法では、第2の電動機の回転軸が駆動軸に結合されている場合に、第2の電動機の回転軸の回転数が予め設定された特定回転数を上回わると、結合手段によって、第2の電動機の回転軸の結合を駆動軸から出力軸に切り換える。

0063

前述したように、第2の電動機の回転数は許容最大回転数以下に制限されているため、第2の電動機の回転軸を駆動軸に結合したままでは、駆動軸の回転数は第2の電動機によって制約を受けて、駆動軸の回転数を許容最大回転数以上に上げることが不可能となる。そこで、例えば、上記した特定回転数を許容最大回転数以下に設定すれば、第2の電動機の回転軸の回転数がその特定回転数を上回った場合に、第2の電動機の回転軸の結合を駆動軸から出力軸に切り換えることによって、駆動軸の回転数は第2の電動機による制約から解放されるので、駆動軸の回転数を許容最大回転数以上に上げることが可能になる。

0064

本発明の第1ないし第5の制御方法のいずれかにおいて、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える際に、前記結合出段によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸に結合させたまま、前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させ、その後、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸から切り離すことが好ましい。

0065

このように、第2の電動機の回転軸を駆動軸に結合させたまま、第2の電動機の回転軸を出力軸に結合させることにより、駆動軸と出力軸とを機械的に直接結合させた状態を作り出すことができるため、結合の切り換え中も、第2の電動機の回転軸か駆動軸から切り離されるまでは、第2の電動機によって駆動軸に駆動トルクを出力させ続けることができる。

0066

本発明の第1または第3の制御方法のうち、原動機を始動させた後、第2の電動機の回転軸の結合を切り換える制御方法において、前記結合手段によって、前記第2の電動機の回転軸の結合を前記駆動軸から前記出力軸に切り換える際に、前記結合出段によって、前記第2の電動機の回転軸を前記駆動軸から切り離し、その後、前記第2の電動機の回転軸を前記出力軸に結合させるようにしても良い。

0067

原動機を既に始動させている場合は、第2の電動機の回転軸を駆動軸から切り離しても、原動機によって動力調整装置を介して駆動軸に駆動トルクを出力させることができるので、このように、第2の電動機の回転軸を駆動軸より切り離してから、出力軸に結合させるようにしても構わない。

0068

本発明の第1ないし第5の制御方法のうちの何れかにおいて、前記動力調整装置は、前記第1の電動機として、前記出力軸に結合された第1のロータと、前記駆動軸に結合された第2のロータとを有する対ロータ電動機を有するようにしても良いし、また、前記第1の電動機の他、3つの回転軸を有し、各回転軸が前記出力軸、前記駆動軸、及び前記第1の電動機の回転軸にそれぞれ結合されたプラネタリギヤを有するようにしても良い。

0069

このように、動力調整装置としては、対ロータ電動機を用いて電気分配型の構成を採ることもできるし、プラネタリギヤなどを用いて機械分配型の構成を採ることもできる。

0070

以上で説明した本発明は、直接には、動力出力装置の制御方法に適用されている。しかし、その他、そのような制御方法が採られる動力出力装置自体、または、そのような動力出力装置を搭載した種々の装置、例えば、ハイブリッド車両として、本発明を構成することも可能である。

発明を実施するための最良の形態

0071

以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。

0072

(1)動力出力装置の構成:はじめに、本発明の制御方法が適用される動力出力装置の構成について図1を用いて説明する。図1は本発明の制御方法が適用される動力出力装置を搭載したハイブリッド車両の概略構成を示す構成図である。

0073

動力出力装置10は、エンジン20と、モータMG1と、モータMG2と、切換クラッチ50と、制御ECU60と、MG1インバータ70と、MG2インバータ72と、バッテリ74と、を主として備えている。

0074

このうち、制御ECU60は、ハイブリッド車両の運転状態を制御する。制御ECU60は、内部にCPU、ROM、RAM等を有するワンチップマイクロコンピュータであり、CPUがROMに記録されたプログラムに従い、後述する種々の制御処理を行うよう構成されている。これらの制御を可能とするために、制御ECU60には、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量を検出するためのアクセルペダルポジションセンサを初め、エンジン20、モータMG1,MG2の運転状態を検出するための種々のセンサ(図示せず)や、バッテリ74の状態を検出するためのセンサ(図示せず)など、が電気的に接続されている。

0075

一方、エンジン20は、通常のガソリンエンジンであり、出力軸であるクランクシャフト21を回転させる。

0076

エンジン20の運転は、制御ECU60により制御されている。制御ECU60は、主に、エンジン20におけるスロットルバルブ(図示せず)の開度制御燃料噴射量制御吸排気バルブ(図示せず)の進角制御、その他の制御を実行する。

0077

エンジン20のクランクシャフト21と、車軸85を駆動するための動力を出力する伝達軸82との間には、主として、対ロータ電動機であるモータMG1と、通常の電動機であるモータMG2と、そのモータMG2のロータ軸43の結合を切り換える切換クラッチ50と、が設けられている。

0078

これらのうち、モータMG1は、基本的には永久磁石を用いた同期電動機として構成されているが、磁界を発生させる三相コイル巻回された部材が、ケースに固定されたいわゆるステータではなく、回転可能なロータとして構成されている点で通常の電動機と異なる。即ち、モータMG1では、通常の電動機におけるロータに相当するインナロータ32のみならず、三相コイル36が巻回されたアウタロータ34も、自由に回転することができる。このように構成された電動機を前述したように対ロータ電動機と呼ぶ。このような対ロータ電動機では、三相コイル36が設けられたアウタロータ34も回転するから、回転するコイル36に対して電力を供給するための機構が必要になる。この動力出力装置10では、この機構としてスリップリング38を設けて、三相コイル36への電力を供給しているが、スリップリング38に代えて、差動トランスなど、他の構成を用いることも可能である。モータMG1では、インナロータ32に備えられた永久磁石による磁界とアウタロータ34に備えられた三相コイル36によって形成される磁界との相互作用により、両者は相対的に回転する。なお、かかる作用は、可逆的なものなので、モータMG1を発電機として動作させ、両ロータの回転数差に応じた電力を、モータMG1から回生することもできる。

0079

モータMG1のインナロータ32には、インナロータ軸33が結合されており、アウタロータ34には、駆動軸であるアウタロータ軸35が結合されている。インナロータ軸33は、図示しないダンパを介してクランクシャフト21に結合されている。アウタロータ軸35は、出力用ギヤ81を介して伝達軸82に結合されている。この伝達軸82は、更に減速機83およびディファレンシャルギヤ84を介して、駆動輪86R,86Lを備えた車軸85に結合されている。

0080

モータMG1はインナロータ32とアウタロータ34の双方が回転可能であるため、インナロータ軸33およびアウタロータ軸35の一方から入力された動力を他方に伝達することができる。モータMG1自体では、トルクは作用・反作用の関係にあるため変えられないが、モータMG1を電動機として力行運転すれば他方の軸の回転数は高くなり、結果的に他方の軸から出力する動力(=回転数×トルク)は高くなる。モータMG1を発電機として回生運転すれば他方の軸の回転数は低くなり、回転数差に対応した電力(=回転数差×トルク)が取り出される。即ち、モータMG1を用いることで、動力の一部を電力の形で取り出しつつ残余の動力を伝達することができる。また、力行運転も回生運転も行なわなければ、動力が伝達されない状態となる。この状態は機械的なクラッチを解放にした状態に相当することから、この対ロータ電動機を、別名、クラッチモータと呼ぶことがある。

0081

一方、モータMG2も、モータMG1と同様に、永久磁石を用いた同期電動機として構成されており、この動力出力装置10では、ロータ42側に永久磁石が、ステータ44側に三相コイル46が、それぞれ設けられている。モータMG2のステータ44はケースに固定され、ロータ42は中空のロータ軸43に結合されている。中空のロータ軸43の軸中心は、クランクシャフト21に結合されたインナロータ軸33が貫通している。

0082

上述したモータMG1およびモータMG2を駆動するために、バッテリ74に接続されたMG1インバータ70及びMG2インバータ72が設けられている。MG1インバータ70は、内部にスイッチング素子としてのトランジスタを複数備えたトランジスタインバータであり、制御ECU60と電気的に接続されている。制御ECU60がMG1インバータ70のトランジスタのオンオフの時間をPWM制御すると、バッテリ74とモータMG1のアウタロータ34に巻回された三相コイル36との間には、両者に接続されたMG1インバータ70及びスリップリング38を介して、三相交流が流れる。この三相交流によりアウタロータ34には回転磁界が形成され、モータMG1の回転は制御される。この結果、バッテリ74の電力を用いてモータMG1を力行する動作や、あるいはモータMG1から回生する電力をバッテリ74に蓄える動作などを行なうことができる。

0083

他方、モータMG2は、MG2インバータ72を介してバッテリ74に接続されている。MG2インバータ72もトランジスタインバータにより構成されており、制御ECU60に接続されて、その制御を受けて動作する。制御ECU60の制御信号によりMG2インバータ72のトランジスタをスイッチングすると、ステータ44に巻回された三相コイル46に三相交流が流れて回転磁界を生じ、モータMG2は回転する。モータMG2も、回生動作を行なうことができることは勿論である。

0084

切換クラッチ50は、モータMG2のロータ軸43を、モータMG1のアウタロータ軸35及びインナロータ軸33のうち、少なくとも一方の軸に結合させることが可能なクラッチである。この切換クラッチ50は、アンダードライブクラッチUDCと、オーバードライブクラッチODCと、を備えている。このうち、アンダードライブクラッチUDCが結合すると、モータMG2のロータ軸43はモータMG1のアウタロータ軸35に結合され、アンダードライブクラッチUDCが解放すると、ロータ軸43はアウタロータ軸35から切り離されることになる。一方、オーバードライブクラッチODCが結合すると、モータMG2のロータ軸43はモータMG1のインナロータ軸33に結合され、オーバードライブクラッチODCが解放すると、ロータ軸43はインナロータ軸33から切り離される。これらクラッチUDC,ODCは、図示しない油圧回路により動作するようになっている。

0085

アンダードライブクラッチUDCが結合して、モータMG2のロータ軸43がモータMG1のアウタロータ軸35に結合されると、前述したとおり、UD結合となる。また、オーバードライブクラッチODCが結合して、モータMG2のロータ軸43がモータMG1のインナロータ軸33に結合されると、ロータ軸43は、インナロータ軸33,ダンパを介してエンジン20のクランクシャフト21に結合されるため、OD結合になる。また、この切換クラッチ50では、アンダードライブクラッチUDC及びオーバードライブクラッチODCは、共に、結合状態になることも可能である。この場合、モータMG2のロータ軸43は、モータMG1のアウタロータ軸35及びインナロータ軸33の何れの軸にも結合されることになる。従って、この場合、モータMG1のアウタロータ軸35とエンジン20のクランクシャフト21(モータMG1のインナロータ軸33)とは、切換クラッチ50を介して機械的に直結されることになる。また、逆に、アンダードライブクラッチUDC及びオーバードライブクラッチODCは、共に、解放状態になることも可能である。この場合、モータMG2のロータ軸43は、モータMG1のアウタロータ軸35及びエンジン20のクランクシャフト21(モータMG1のインナロータ軸33)の何れの軸からも切り離されることになる。

0086

制御ECU60は、ハイブリッド車両の走行状態に応じて、後述するように、切換クラッチ50を制御して、モータMG2のロータ軸43の結合先を切り換える。

0087

図1に示す動力出力装置10は、エンジン20から出力された動力を電力のやりとりによって増減して伝達する動力調整装置として、対ロータ電動機であるモータMG1を適用しており、動力の分配をそのモータMG1のインナロータ32とアウタロータ34との滑りにより実現する。エンジン20からの動力の一部は、モータMG1を介して駆動軸であるアウタロータ軸35に機械的な形態で直接出力され、一部は、二つのロータ32,34の滑り回転によりモータMG1から電力の形態で取り出される。電気的に取り出されたエネルギは、バッテリ74に蓄積することもできるし、もう一つのモータであるモータMG2に出力し、駆動軸であるアウタロータ軸35のトルクアップに用いることもできる。即ち、この動力出力装置10は、動力を出力するエンジン20、滑り回転により動力をやり取りするモータMG1、力行・回生可能なモータMG2の三者により、アウタロータ軸35に出力する動力を自由に制御することができるのである。

0088

(2)基本的動作:次に、図1に示す動力出力装置の基本的動作として、エンジン20から出力された動力を要求された回転数およびトルクに変換して駆動軸であるアウタロータ軸35に出力する動作について説明する。図1に示す動力出力装置10では、エンジン20の回転数NeとモータMG1のアウタロータ軸35の回転数Ndとの大小関係、およびモータMG2のロータ軸43の結合状態に応じて、上記変換の経路が異なる。

0089

最初に、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン20の回転数Neよりも小さい場合について説明する。基本的に、アウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン20の回転数Neよりも小さいアンダードライブ動作時の場合、動力循環の発生によって動力出力装置10の運転効率が低下しないようにするために、制御ECU60は切換クラッチ50を制御して、アンダードライブクラッチUDCを結合にし、オーバードライブクラッチODCを解放にして、UD結合となるようにしている。

0090

かかる場合のトルクの変換の様子を図2に示す。図2は、横軸に回転数N、縦軸にトルクTを採り、エンジン20の動作点Eと駆動軸であるアウタロータ軸35の動作点Dを示した図である。図2中の曲線Pは動力、つまり回転数とトルクの積が一定の曲線である。回転数Ne、トルクTeでエンジン20から出力された動力Eを、Neよりも低い回転数Nd、Teよりも高いトルクTdの動力Dに変換してアウタロータ軸35から出力する場合を考える。

0091

図2に示した変換を行う場合、アウタロータ軸35の回転数Ndはエンジン20の回転数Neよりも小さい。モータMG1はアウタロータが回転数Ndで回転し、インナロータがそれよりも高い回転数Neで回転するから、モータMG1は、相対的に逆転することになり、モータMG1の回転数Nmg1は負の値となる。モータMG1のトルクTmg1は作用・反作用の原理からエンジン20の出力トルクTeと等しく、正の値である。つまり、モータMG1はエンジン20から出力された動力の一部を駆動軸であるアウタロータ軸35に伝達しつつ、残りを電力として回生する状態で運転される。このとき、回生される電力はモータMG1の回転数Nmg1とトルクTmg1の積に等しく、図2中のハッチングを施した領域GUの面積に等しい。

0092

一方、アウタロータ軸35のトルクTdはエンジン20のトルクTeよりも大きい。従って、モータMG2は正のトルクTmg2、正の回転数Nmg2で運転される。つまり、モータMG2は電力の供給を受け力行される。このとき供給される電力はモータMG2の回転数Nmg2とトルクTmg2の積に等しく、図2中のハッチングを施した領域AUの面積に等しい。両モータでの運転効率を100%と仮定すれば、モータMG1で回生される電力とモータMG2に供給される電力とは等しくなる。つまり、モータMG1で領域GUに相当する分のエネルギを電力の形で取り出し、領域AUに相当する分のエネルギとして供給することによりエンジン20の動作点Eで表される動力を、動作点Dの状態に変換する。実際には運転効率が100%になることはないため、バッテリ74からの電力の持ち出しを伴ったり、損失に相当する動力をエンジン20から余分に出力したりして、上記変換を実現する。かかる変換では、上流側に位置するモータMG1で回生された電力が下流側に位置するモータMG2に供給されるため、動力循環は発生せず、動力出力装置10の運転効率は低下しない。

0093

UD結合において、上述の変換を実現するための、モータMG1およびモータMG2の動作点は、それぞれ以下の通りとなる。

0094

モータMG1の回転数Nmg1=Nd−Ne
トルクTmg1=Te
モータMG2の回転数Nmg2=Nd
トルクTmg2=Td−Te ……(1)

0095

次に、アウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン20の回転数Neよりも大きい場合について説明する。基本的に、アウタロータ軸35の回転数Ndがエンジン20の回転数Neよりも大きいオーバードライブ動作時の場合、動力循環の発生によって動力出力装置10の運転効率が低下しないようにするために、制御ECU60は切換クラッチ50を制御して、アンダードライブクラッチUDCを解放にし、オーバードライブクラッチODCを結合にして、OD結合となるようしている。

0096

かかる場合のトルクの変換の様子を図3に示す。図3に示した変換を行う場合、アウタロータ軸35の回転数Ndはエンジン20の回転数Neよりも大きい。従って、モータMG1は、正の回転数Nmg1、正のトルクTmg1で回転する。つまり、モータMG1は電力の供給を受けて力行される。このとき、供給される電力はモータMG1の回転数Nmg1とトルクTmg1の積に等しく、図3中のハッチングを施した領域GOの面積に等しい。一方、アウタロータ軸35のトルクTdはエンジン20のトルクTeよりも小さい。従って、モータMG2は負のトルクTmg2、正の回転数Nmg2で運転される。つまり、モータMG2は回生運転される。このとき回生される電力はモータMG2の回転数Nmg2とトルクTmg2の積に等しく、図3中のハッチングを施した領域AOの面積に等しい。両モータでの運転効率を100%と仮定すれば、モータMG2で回生される電力とモータMG1に供給される電力とが等しくなる。かかる変換では、上流側に位置するモータMG2で回生された電力が下流側に位置するモータMG1に供給されるため、動力循環は発生せず、動力出力装置10の運転効率は低下しない。

0097

オーバードライブ結合において、上述の変換を実現するための、モータMG1およびモータMG2の運転ポイントは、次の通りとなる。

0098

モータMG1の回転数Nmg1=Nd−Ne
トルクTmg1=Td
モータMG2の回転数Nmg2=Ne
トルクTmg2=Td−Te ……(2)

0099

以上で説明した通り、図1に示す動力出力装置10は、エンジン20の回転数NeとモータMG1のアウタロータ軸35の回転数Ndとの大小関係、およびモータMG2のロータ軸43の結合状態に応じて、エンジン20から出力された動力を要求された回転数およびトルクからなる動力に変換して、駆動軸であるアウタロータ軸35から出力することができる。

0100

(3)動力出力装置の制御方法:それでは、次に、本発明である動力出力装置の制御方法について説明する。本発明の制御方法は、図1に示す動力出力装置10を搭載するハイブリッド車両が、停止している状態から発進して徐々に加速していく過程において適用される。具体的には、車両がUD結合でEV走行し続けている間に、駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入る場合や、その後にエンジン始動条件を満たす場合の制御が中心となる。

0101

前述したとおり、本発明の制御方法は、第1ないし第5の制御方法があり、それら方法の概略は以下の通りである。

0102

第1の制御方法:駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入った場合に、エンジンへの燃料供給を開始してエンジンを始動すると共に、UD結合からOD結合への切り換えを行なう。

0103

第2の制御方法:駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入った場合に、EV走行を行なったまま、UD結合からOD結合への切り換えを行なう。

0104

第3の制御方法:駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入っても、UD結合からOD結合への切り換えを行なわずに、UD結合のまま、EV走行を行なう。その後、エンジン始動条件を満たした場合に、エンジンへの燃料供給を開始してエンジンを始動すると共に、UD結合からOD結合への切り換えを行なう。

0105

第4の制御方法:駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入っても、UD結合からOD結合への切り換えを行なわずに、UD結合のまま、EV走行を行なうが、UD領域からOD領域に入った時に、エンジンの出力軸の回転数を駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御(エンジンの連れ回し制御)する。その後、エンジン始動条件を満たした場合に、エンジンへの燃料供給を開始してエンジンを始動すると共に、UD結合からOD結合への切り換えを行なう。

0106

第5の制御方法:駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入っても、UD結合からOD結合への切り換えを行なわずに、UD結合のまま、EV走行を行なう。モータMG2の回転数が特定回転数を上回った場合に、UD結合からOD結合への切り換えを行なう。

0107

それでは、本発明の第1ないし第5の制御方法について、それらの実施形態を実施例に基づいて、図面を参照しながら、順に説明していく。

0108

(4)第1の制御方法:図4は本発明の第1の制御方法にかかる第1の実施例としての制御手順を示すフローチャートである。また、図5は本発明の第1の制御方法を採った場合のEV走行領域とUD結合領域,OD結合領域とを示す説明図である。

0109

図5において、縦軸,横軸及び各種曲線の内容は、それぞれ、図26に示した内容と同じであるので、説明は省略する。その他、図5において、領域EVはEV走行領域である。また、領域udは実際にUD結合を行なうUD結合領域であり、領域odは実際にOD結合を行なうOD結合領域である。なお、前述したように、エンジンの動作線ELよりもトルクが高い側の領域をUD領域といい、動作線ELよりもトルクが低い側の領域をOD領域といい、エンジンの動作線EL自体をUD/OD領域境界というが、前述したUD結合領域とこのUD領域、及び、前述したOD結合領域とこのOD領域は、それぞれ、異なるものである。但し、この第1の制御方法においては、後述するように、それらの領域同士は互いに一致している。

0110

本実施例では、車両が停車している状態から発進して徐々に加速していく過程において、制御ECU60が図4に示す制御手順に従って制御を行なう。また、その過程おいて、駆動軸であるモータMG1のアウタロータ軸35の動作点は、図5の曲線DL2で示すような軌跡を描くものとする。

0111

制御ECU60は、車両が停車している状態から発進する際に、図4に示すように、まず、UD結合で発進させると共に、エンジン20を始動させずに、モータMG2のみでEV走行させる(ステップS102)。具体的には、制御ECU60が切換クラッチ50を制御して、アンダードライブクラッチUDCを結合し、モータMG2のロータ軸43を駆動軸であるモータMG1のアウタロータ軸35に結合して、UD結合とする。なお、オーバードライブクラッチODCの方は解放にする。

0112

制御ECU60は、エンジン20を制御せずに、停止させたままとする。また、制御ECU60は、MG1インバータ70を制御して、MG1インバータ70内のトランジスタを全てオフ状態にして、モータMG1のトルクTmg1がゼロとなるようにする。さらに、制御ECU60は、MG2インバータ72を制御して、モータMG2を動作させて、モータMG2のトルクTmg2が駆動軸の目標トルクTdとほぼ等しくなるようにする。

0113

即ち、エンジン20は停止しており、エンジン20のトルクTeは0であるため、UD結合時においては、前述の式(1)から明らかように、モータMG1のトルクTmg1及びモータMG2のトルクTmg2は、それぞれ、式(3)のようにする必要があるからである。

0114

Tmg1=0
Tmg2=Td ……(3)

0115

この結果、モータMG2で発生したトルクTmg2は、ロータ軸43,切換クラッチ50を介して、駆動軸であるアウタロータ軸35に伝達され、そのアウタロータ軸35からは、駆動軸の目標トルクTdとほぼ等しい駆動トルクが出力されることになる。そして、この駆動トルクは、出力用ギヤ81,伝達軸82,減速機83,ディファレンシャルギヤ84,車軸85を順次介して、駆動輪86R,86Lに伝達され、車両は、モータMG2のみによるEV走行を行なうことになる。

0116

なお、上記した駆動軸の目標トルクTdは、制御ECU60により、以下のようにして予め求められる。即ち、制御ECU60は、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量をアクセルペダルポジションセンサ(図示せず)から読み出し、その踏み込み量に基づいて運転者から要求された要求トルクを求め、その要求トルクからさらに駆動軸であるアウタロータ軸35に出力させるべき駆動軸の目標トルクTdを決定する。

0117

次に、制御ECU60は、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数Ndを駆動軸回転数センサ(図示せず)から読み出し、その駆動軸の回転数Ndと先に得られた駆動軸の目標トルクTdとを用いて、エンジン20から出力すべき動力(エンジン要求動力)Peを、式(4)によって求める(ステップS104)。

0118

Pe=Nd・Td/ηm+Pb …(4)

0119

但し、ηmは、モータMG1,MG2での効率を表すモータユニット効率である。ηmの値の範囲は0〜1であり、ηm=1の場合が効率100%となる。なお、ηmは、モータMG1,MG2の何れか一方の効率であっても良い。Pbは、バッテリ充放電要求値である。具体的には、バッテリ74の状態により、バッテリ74への充電、または、バッテリ74からの放電を行なうためのフィードバック値であって、プラス(+)の数値が充電を、マイナス(−)の数値が放電を表す。

0120

次に、制御ECU60は、ステップS104で算出したエンジン要求動力Peに基づいて、エンジン20を始動すべきか否かの判定、即ち、エンジン始動判定を行なう(ステップS106)。具体的には、制御ECU60は、エンジン要求動力Peを、予め設定されている判定閾値PeSTART(一定値)と比較し、エンジン要求動力Peの方が判定閾値PeSTARTよりも大きい場合に、エンジン20を始動すべきであると判定する。即ち、Pe>PeSTARTがエンジン始動条件となる。このように、エンジン20を始動すべきと判定した場合には、処理は後述する図9のAに進む。

0121

逆に、エンジン要求動力Peの方が判定閾値PeSTARTよりも小さい場合には、エンジン20を始動する必要はないと判定して、エンジン20を停止させたままとし、処理は次のステップS108に進む。

0122

なお、エンジン始動判定は、原則的には、エンジン要求動力Peと判定閾値PeSTARTとの比較によって行なうが、例外的に、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数がゼロの付近などにおいては、判定閾値PeSTARTを用いる代わりに、図5に示すエンジン始動判定線ESUを用いる。即ち、制御ECU60は、駆動軸の回転数Ndと駆動軸の目標トルクTdの組合せから、駆動軸であるアウタロータ軸35の動作点を求め、その動作点が、図5に示すエンジン始動判定線ESUよりも右上の領域にあれば、エンジン20を始動すべきと判定し、左下の領域にあれば、エンジン20を始動する必要はないと判定する。従って、エンジン始動判定線ESUを用いる場合は、駆動軸の動作点がエンジン始動判定線ESUよりも右上の領域にあることが、エンジン始動条件となる。

0123

例えば、今、駆動軸であるアウタロータ軸35の動作点が、図5における曲線DL2上の点aの位置にあるとすると、制御ECU60は、動作点がエンジン始動判定線ESUよりも左下の領域にあるので、エンジン20を始動する必要はないと判定することになる。

0124

このようにして、エンジン始動判定においては、判定閾値PeSTARTとエンジン始動判定線ESUとを用いて、二重に判定を行なうようにしている。

0125

なお、判定閾値PeSTARTとエンジン始動判定線ESUは、予め、実験的に求めて、制御ECU60内のROMにデータやマップとして記憶しておく。

0126

さて、ステップS106においてエンジン20を始動する必要がないと判定した場合、制御ECU60は、ステップS108においてUD/OD領域判定を行なう。具体的には、制御ECU60は、駆動軸であるアウタロータ軸35の動作点に基づいて、その動作点がエンジン20の動作線であるUD/OD領域境界ELを越えてOD領域に入ったか否かを判定する。

0127

例えば、今、駆動軸の動作点が前述と同様に点aの位置にあるとすると、動作点はUD/OD領域境界ELを越えておらず、未だUD領域にあるので、図4に示すように、再び、ステップS102に戻り前回と同様の処理を繰り返す。しかし、例えば、今、駆動軸の動作点が曲線DL2上の点bの位置にあるとすると、動作点はUD/OD領域境界ELを越えてOD領域にあるので、処理は次のステップS110に進む。

0128

なお、UD/OD領域境界(即ち、エンジン20の動作線)ELは、予め、実験的に求めて、制御ECU60内のROMにマップとして記憶しておく。

0129

ステップS110では、制御ECU60は、エンジン20を制御して、エンジン20への燃料供給を開始しエンジン20を始動すると共に、切換クラッチ50を制御して、UD結合からOD結合への切り換えを行なう。なお、ステップS110の処理の具体的な内容については、後ほど詳しく説明する。

0130

こうして、エンジン20を始動し、OD結合への切り換えを行なうと、続いて、制御ECU60は、OD結合で、エンジン20,モータMG1,MG2を利用してHV走行させる(ステップS112)。

0131

具体的には、制御ECU60は、改めてエンジン要求動力Peを算出した上で、そのエンジン要求動力Peが図5に示すエンジン20の動作線EL上のどこに当たるかを求めて、エンジン20の目標動作点を決定する。即ち、エンジン要求動力Peはエンジン20の目標回転数Neと目標トルクTeとの積として表されるため、回転数とトルクとの積がエンジン要求動力Peの値と等しくなるエンジン20の動作線EL上の点を求めれば、それがエンジン20の目標動作点となる。実際には、制御ECU60内のROMに記憶された動作線ELのマップから、エンジン要求動力Peに応じた動作点を読み込むことで、エンジン20の目標動作点を決定する。

0132

そして、制御ECU60は、駆動軸の動作点と決定したエンジン20の目標動作点とを基にして、OD結合における前述の式(2)に従い、モータMG1のトルクTmg1及びモータMG2のトルクTmg2をそれぞれ式(5)のように決定して、この式(5)を満足するような制御を行なう。

0133

Tmg1=Td
Tmg2=Td−Te ……(5)

0134

即ち、制御ECU60は、MG1インバータ70を制御して、モータMG1のトルクTmg1が駆動軸の目標トルクTdとなるようにすると共に、MG2インバータ72を制御して、モータMG2を動作させて、モータMG2のトルクTmg2が駆動軸の目標トルクTdとエンジン20の目標トルクTeとの差とほぼ等しくなるようにする。

0135

モータMG1,MG2の動作制御処理は、同期モータの制御として周知の処理を適用することができる。本実施例では、いわゆる比例積分制御による制御を実行している。つまり、各モータの現在のトルクを検出し、決定した目標トルクとの偏差および目標回転数に基づいて、各相印加する電圧指令値を設定する。印加される電圧値は上記偏差の比例項積分項、累積項によって設定される。それぞれの項にかかる比例係数は実験などにより適切な値が設定される。こうして設定された電圧は、MG1インバータ70及びMG2インバータ72を構成するトランジスタインバータのスイッチングのデューティ置換され、いわゆるPWM制御により各モータに印加される。

0136

また、制御ECU60は、エンジン20も制御して、エンジン20の動作点が決定した目標動作点となるようにする。

0137

以上の結果、エンジン20で発生したトルクTeは、クランクシャフト21を介してインナロータ軸33に伝達されるが、モータMG2において負の値として発生したトルクTmg2(<0)がロータ軸43,切換クラッチ50を介してインナロータ軸33に伝達されるため、モータMG1には、Te+Tmg2(但し、Tmg2<0)が伝達される。モータMG1に伝達されたトルクTe+Tmg2は、モータMG1のトルクTmg1(=Te+Tmg2)として、駆動軸であるアウタロータ軸35に伝達され、そのアウタロータ軸35からは、駆動軸の目標トルクTd(=Tmg1=Te+Tmg2)とほぼ等しい駆動トルクが出力されることになる。こうして、車両は、OD結合にて、エンジン20及びモータMG1,MG2を利用したHV走行を行なうことになる。

0138

このようにして、本実施例では、発進時、UD結合で、車両をEV走行させる。そして、駆動軸の動作点がUD/OD領域境界ELを越えてOD領域に入ると、エンジン20への燃料供給を開始してエンジン20を始動すると共に、UD結合からOD結合への切り換えを行なうため、その後は、OD結合で、車両をHV走行させることになる。

0139

従って、本実施例では、図5に示したように、動力出力装置10の動作領域のうち、UD領域であり、かつ、エンジン始動判定線ESUよりも左下の領域が、車両をEV走行させる領域EVとなる。そして、それ以外のUD領域と、全てのOD領域では、車両をHV走行させることになる。また、本実施例では、UD領域は、そのまま、実際にUD結合を行なうUD結合領域udとなり、OD領域も、そのまま、実際にOD結合を行なうOD結合領域odとなる。

0140

以上のようにして、本実施例においては、モータMG2のみを動作させて車両をEV走行させていたのが、駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入ったことによって、モータMG2のロータ軸43の結合をOD結合にして、エンジン20,モータMG1,MG2を利用して、車両をHV走行させることができるようになる。

0141

それでは、次に、図4におけるステップS110の処理の具体的な内容について、説明する。本実施例において、ステップS110の処理としては、次のような3種類の方式が考えられる。

0142

即ち、第1及び第2の方式は、先に、エンジン20への燃料供給を開始してエンジン20を始動し、その後、UD結合からOD結合に切り換える方式であり、第3の方式は、その逆で、先に、UD結合からOD結合に切り換え、その後、エンジン20への燃料供給を開始してエンジン20を始動する方式である。また、第1及び第2の方式のうち、第1の方式では、UD結合からOD結合への切り換えを行なう際、駆動軸(モータMG1のアウタロータ軸35)とエンジン20の出力軸(クランクシャフト21,モータMG1のインナロータ軸33)とを直結させた状態で切り換える方式であり、第2の方式では、モータMG2のロータ軸43を、駆動軸(モータMG1のアウタロータ軸35)及びエンジン20の出力軸(クランクシャフト21,モータMG1のインナロータ軸33)の何れの軸からも切り離した状態で切り換える方式である。

0143

図6図4におけるステップS110の処理として、第1の方式での処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、ステップS110の処理が開始されると、まず、制御ECU60は、エンジン20を制御して、エンジン20への燃料供給を開始させると共に、エンジン20のプラグ(図示せず)を点火させて、エンジン20を始動する(ステップS122)。このとき、制御ECU60は、同時に、MG1インバータ70を制御して、モータMG1により、エンジン20のクランクシャフト21につながるインナロータ軸33に、エンジン始動トルクを発生させ、エンジン20のクランクシャフト21を強制的に回転させることにより、エンジン20を始動させる。また、同時に、モータMG1によってアウタロータ軸35に生じる反力トルクをキャンセルするために、MG2インバータ72を制御して、モータMG2により、モータMG1のアウタロータ軸35に切換クラッチ50を介してつながるロータ軸43に、モータMG1の発生したエンジン始動トルクとほぼ等しいトルクを発生させる。

0144

こうして、エンジン20を始動した後、制御ECU60は、さらに、次のような制御を行なう。即ち、制御ECU60は、エンジン20の目標動作点を駆動軸の動作点とほぼ等しくなるように、エンジン20の目標回転数Ne及び目標トルクTeをそれぞれ式(6)のように決定すると共に、モータMG1のトルクTmg1及びモータMG2のトルクTmg2をそれぞれ同じく式(6)のように決定して、この式(6)を満足するような制御を行なう。

0145

Ne=Nd
Te=Td
Tmg1=(Ne−Ner)・k
Tmg2=Td+Tmg1 ……(6)

0146

但し、Nerはエンジン20の現在の回転数(即ち、現在のクランクシャフト21の回転数)であり、kは制御ゲインである。

0147

即ち、制御ECU60は、エンジン20を制御して、エンジン20スロットルバルブ(図示せず)の開度を調整することにより、エンジン20のトルクを駆動軸のトルクTdとほぼ等しくなるようにすると共に、MG1インバータ70を制御して、エンジン20の回転数が駆動軸の回転数Ndとほぼ等しくなるように、モータMG1のトルクTmg1を調整し、さらに、MG2インバータ72を制御して、モータMG2のトルクTmg2が駆動軸のトルクTdとモータMG1のトルクTmg1との和にほぼ等しくなるようにする。この結果、エンジン20の動作点は駆動軸の動作点にほぼ一致するようになる。

0148

ところで、上記した説明では、エンジン20を始動した後に、エンジン20の回転数を駆動軸の回転数に、エンジン20のトルクを駆動軸のトルクに、それぞれほぼ等しくなるように制御しているが、この代わりに、次のような制御を行なうようにしても良い。

0149

即ち、エンジン20を始動する前に、MG1インバータ70を制御して、モータMG1により、エンジン20の回転数を駆動軸の回転数にほぼ等しくなるようにし、その上で、エンジン20への燃料供給を開始してエンジン20を始動し、その後、エンジン20を制御して、エンジン20のトルクを駆動軸のトルクとほぼ等しくなるようにする。このような制御を行なうことにより、エンジン20を始動したときには、エンジン20の回転数の方は既に駆動軸の回転数とほぼ等しくなっているので、エンジン20を始動した後に、エンジン20の動作点を駆動軸の動作点により短時間で一致させることができる。

0150

さて、このようにして、エンジン20の動作点を駆動軸の動作点にほぼ一致させた後、制御ECU60は、切換クラッチ50を制御して、オーバードライブクラッチODCを結合にする(ステップS124)。この時、アンダードライブクラッチUDCも結合状態にあるため、モータMG2のロータ軸43は、モータMG1のアウタロータ軸35及びインナロータ軸33の何れの軸にも結合されることになる。従って、この場合、モータMG1のアウタロータ軸35とエンジン20のクランクシャフト21(モータMG1のインナロータ軸33)とは、切換クラッチ50を介して機械的に直結されることになる。

0151

続いて、制御ECU60は、ステップS126において、エンジン20の目標トルクTe、モータMG1のトルクTmg1及びモータMG2のトルクTmg2をそれぞれ式(7)のように決定し、この式(7)を満足するような制御を行なう。

0152

Te=Td
Tmg1=Tmg2=0 ……(7)

0153

即ち、アウタロータ軸35とクランクシャフト21とが直結している間、制御ECU60は、エンジン20を制御して、エンジン20のトルクを駆動軸のトルクTdとほぼ等しくなるようにすると共に、MG1インバータ70及びMG2インバータ72を制御して、MG1インバータ70及びMG2インバータ72内のトランジスタを全てオフ状態にして、モータMG1のトルクTmg1とモータMG2のトルクTmg2が共にほぼゼロとなるようにする。

0154

この結果、アウタロータ軸35とクランクシャフト21とが直結している間は、エンジン20で発生したトルクTeがクランクシャフト21,切換クラッチ50を介して、直接、駆動軸であるアウタロータ軸35に伝達され、そのアウタロータ軸35からは、駆動軸の目標トルクTd(=Te)とほぼ等しい駆動トルクが出力されることになる。また、モータMG1,MG2では何らトルクを発生しないため、モータMG1におけるロータ32,34と、モータMG2におけるロータ42は、それぞれ、クランクシャフト21の回転と共に連れ回されるだけとなる。こうして、この間、車両は、エンジン20のみによって走行することになる。

0155

続いて、制御ECU60は、切換クラッチ50を制御して、アンダードライブクラッチUDCを解放にする(ステップS128)。この結果、アウタロータ軸35及びインナロータ軸33に結合されていたモータMG2のロータ軸43は、アウタロータ軸35から切り離され、インナロータ軸33のみに結合されることになるため、OD結合となる。

0156

こうして、UD結合からOD結合への切り換えが完了すると、図6に示す処理ルーチンは終了し、図4に示した処理に戻る。

0157

このように、図6に示す第1の方式では、エンジン20の動作点と駆動軸の動作点とをほぼ一致させ、モータMG1のインナロータ軸33(エンジン20のクランクシャフト21)のトルク及び回転数を駆動軸であるアウタロータ軸35のトルク及び回転数にほぼ合わせた上で、モータMG2のロータ軸43をUD結合からOD結合へ切り換えているので、切り換える際にショックが無く、スムーズな切り換えを実現することができる。

0158

次に、図7図4におけるステップS110の処理として、第2の方式での処理手順を示すフローチャートである。図7に示すように、ステップS110の処理が開始されると、まず、制御ECU60は、図6に示したステップS122と同様の処理を行って(ステップS132)、エンジン20を始動すると共に、エンジン20の動作点を駆動軸の動作点にほぼ一致させる。

0159

次に、制御ECU60は、切換クラッチ50を制御して、アンダードライブクラッチUDCを解放にする(ステップS134)。この時、モータMG2のロータ軸43は、モータMG1のアウタロータ軸35及びエンジン20のクランクシャフト21(モータMG1のインナロータ軸33)の何れの軸からも切り離されることになる。

0160

続いて、制御ECU60は、ステップS136において、エンジン20の目標トルクTe、モータMG1のトルクTmg1及びモータMG2のトルクTmg2をそれぞれ式(8)のように決定し、この式(8)を満足するような制御を行なう。

0161

Tmg1=Te=Td
Tmg2=0 ……(8)

0162

即ち、モータMG2のロータ軸43が何れの軸からも切り離されている間、制御ECU60は、エンジン20を制御して、エンジン20のトルクを駆動軸のトルクTdとほぼ等しくなるようし、そして、MG1インバータ70を制御して、モータMG1のトルクTmg1をエンジン20の目標トルクTeとほぼ等しくなるようにすると共に、MG2インバータ72を制御して、MG2インバータ72内のトランジスタを全てオフ状態にして、モータMG2のトルクTmg2がほぼゼロとなるようにする。

0163

この結果、モータMG2のロータ軸43が何れの軸からも切り離されている間は、エンジン20で発生したトルクTeがクランクシャフト21,インナロータ軸33を介して、モータMG1に伝達される。モータMG1に伝達されたトルクTeは、モータMG1のトルクTmg1(=Te)として、駆動軸であるアウタロータ軸35に伝達される。一方、モータMG2は、ロータ軸43がアウタロータ軸35,インナロータ軸33から切り離されており、モータMG2のトルクTmg2はゼロであるため、モータMG2からアウタロータ軸35に伝達されるトルクはない。従って、アウタロータ軸35からは、駆動軸の目標トルクTd(=Tmg1=Te)とほぼ等しい駆動トルクが出力されることになる。こうして、この間、車両は、エンジン20及びモータMG1を利用して走行することになる。また、この間、モータMG2のロータ軸43は、慣性によって、そのままほぼ一定の回転数で回り続けている。

0164

続いて、制御ECU60は、切換クラッチ50を制御して、オーバードライブクラッチODCを結合にする(ステップS138)。この結果、アウタロータ軸35及びインナロータ軸33の何れの軸からも切り離されていたモータMG2のロータ軸43は、インナロータ軸33に結合されることになるため、OD結合となる。

0165

こうして、UD結合からOD結合への切り換えが完了すると、図7に示す処理ルーチンは終了し、図4に示した処理に戻る。

0166

このように、図7に示す第2の方式でも、図6に示す処理と同様に、モータMG1のインナロータ軸33(エンジン20のクランクシャフト21)のトルク及び回転数を駆動軸であるアウタロータ軸35のトルク及び回転数にほぼ合わせた上で、モータMG2のロータ軸43をUD結合からOD結合へ切り換えているので、切り換える際にショックが無く、スムーズな切り換えを実現することができる。

0167

次に、図8図4におけるステップS110の処理として、第3の方式での処理手順を示すフローチャートである。図8に示すように、ステップS110の処理が開始されると、まず、制御ECU60は、エンジン20の出力軸の回転数を駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御する(ステップS142)。具体的には、制御ECU60は、エンジン20の目標回転数Ne、モータMG1のトルクTmg1及びモータMG2のトルクTmg2をそれぞれ式(9)のように決定し、この式(9)を満足するような制御を行なう。

0168

Ne=Nd
Tmg1=(Ne−Ner)・k
Tmg2=Td+Tmg1 ……(9)

0169

即ち、制御ECU60は、MG1インバータ70を制御して、エンジン20の回転数が駆動軸の回転数Ndとほぼ等しくなるように、モータMG1のトルクTmg1を調整し、さらに、MG2インバータ72を制御して、モータMG2のトルクTmg2が駆動軸のトルクTdとモータMG1のトルクTmg1との和にほぼ等しくなるようにする。この結果、エンジン20の出力軸であるクランクシャフト21の回転数は駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数とほぼ等しくなるようになる。なお、このとき、エンジン20自体は燃料供給もなされておらず、停止状態にあるため、トルクは発生していない。

0170

次に、制御ECU60は、切換クラッチ50を制御して、オーバードライブクラッチODCを結合にする(ステップS144)。この時、図6におけるステップS124の場合と同様に、アンダードライブクラッチUDCも結合状態にあるため、モータMG2のロータ軸43は、モータMG1のアウタロータ軸35及びインナロータ軸33(エンジン20のクランクシャフト21)の何れの軸にも結合されることになる。

0171

続いて、制御ECU60は、ステップS146において、モータMG1のトルクTmg1及びモータMG2のトルクTmg2をそれぞれ式(10)のように決定し、この式(10)を満足するような制御を行なう。

0172

Tmg1=0
Tmg2=Td+Tef ……(10)
但し、Tefはエンジン20の摩擦トルクである。

0173

即ち、制御ECU60は、MG1インバータ70を制御して、MG1インバータ70内のトランジスタを全てオフ状態にし、モータMG1のトルクTmg1がほぼゼロとなるようにすると共に、MG2インバータ72を制御して、モータMG2のトルクTmg2が駆動軸の目標トルクTdとエンジン20の摩擦トルクTefとの和とほぼ等しくなるようにする。

0174

この時、エンジン20の出力軸であるクランクシャフト21は回転しているが、エンジン20自体は燃料供給がなされておらず、停止状態にある。また、モータMG2のロータ軸43、エンジン20のクランクシャフト21(モータMG1のインナロータ軸33)及びモータMG1のアウタロータ軸35はそれぞれ切換クラッチ50において互いに結合され、一体状態となっている。従って、モータMG2において、トルクTmg2として、駆動軸の目標トルクTdにエンジン20の摩擦トルクTefを上乗せしたトルクを発生させる(Tmg2=Td+Tef)ことにより、そのトルクTmg2がロータ軸43を介して切換クラッチ50に伝達されたときに、切換クラッチ50において、エンジン20の摩擦トルクTef分が減じられても、切換クラッチ50からアウタロータ軸35へは、モータMG2のトルクTmg2(=Td+Tef)からエンジン20の摩擦トルクTefを引いたトルクTdが伝達されるため、アウタロータ軸35からは、駆動軸の目標トルクTdと等しい駆動トルクが出力されることになる。また、モータMG1では何らトルクを発生しないため、モータMG1におけるロータ32,34は、それぞれ、モータMG2の回転によって連れ回されるだけとなる。こうして、この間、車両は、モータMG2のみによってEV走行することになる。

0175

続いて、制御ECU60は、切換クラッチ50を制御して、アンダードライブクラッチUDCを解放にする(ステップS148)。この結果、アウタロータ軸35及びインナロータ軸33に結合されていたモータMG2のロータ軸43は、アウタロータ軸35から切り離され、インナロータ軸33のみに結合されることになるため、OD結合となる。

0176

その後、制御ECU60は、エンジン20を制御して、エンジン20への燃料供給を開始させると共に、エンジン20のプラグ(図示せず)を点火させて、エンジン20を始動する(ステップS150)。この時、エンジン20のクランクシャフト21は既に回転しているので、エンジン20への燃料供給を開始するだけで、エンジン20は直ちに始動する。

0177

こうして、エンジン20の始動が完了すると、図8に示す処理ルーチンは終了し、図4に示した処理に戻る。

0178

このように、図8に示す第3の方式では、モータMG1のインナロータ軸33(エンジン20のクランクシャフト21)の回転数を駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数にほぼ合わせた上で、モータMG2のロータ軸43をUD結合からOD結合へ切り換えているので、切り換える際にショックが無く、スムーズな切り換えを実現することができる。

0179

また、エンジン20への燃料供給によるエンジン20の始動を行なう前に、UD結合からOD結合への切り換えを行なっているため、エンジン始動直後のトルク変動や回転数の変動の影響を受けることなく、結合の切り換えを行なうことができる。

0180

さらにまた、オーバードライブクラッチODCを結合してからアンダードライブクラッチUDCを解放するまでの間、モータMG2において、エンジン20の摩擦トルクTef分だけ駆動軸の目標トルクTdに加えて余分にトルクTmg2を発生させているので、その間に、駆動軸から出力される駆動トルクが変動するのを防止することができる。

0181

但し、この第3の方式では、エンジン20の始動を行なう前に、車両を走行するためのエネルギに加え、エンジン20の出力軸であるクランクシャフト21を回転させるためのエネルギ(エンジン回転エネルギ)も、バッテリ74に蓄えられた電力で賄うことになるため、バッテリ74に十分な電力が蓄えられていることが前提となる。

0182

また、この第3の方式では、UD結合からOD結合に切り換える際、エンジン20は始動しておらず、トルクを出力していないため、前述したように、駆動軸とエンジン20の出力軸とを直結させた状態で切り換える方式を用いることはできるが、モータMG2のロータ軸43を駆動軸及びエンジン20の出力軸の何れの軸からも切り離した状態で切り換える方式を採用することはできない。何故なら、後者の方式では、切換クラッチ50において、アンダードライブクラッチUDCが解放になった瞬間に、それまで、駆動トルクを出力していたモータMG2が駆動軸から切り離されて、駆動トルクが存在しなくなるため、UD結合からOD結合に切り換える際に、駆動トルクの急激な変化に伴う振動やショックが生じてしまうからである。

0183

次に、図4におけるステップS106において、エンジン20を始動すべきと判定した場合の処理について、図9を用いて説明する。図9図4におけるAからBの間の処理手順を示すフローチャートである。

0184

図9に示す処理が開始されると、制御ECU60は、まず、エンジン20を制御して、エンジン20への燃料供給を開始させると共に、エンジン20のプラグ(図示せず)を点火させて、エンジン20を始動する(ステップS162)。このとき、制御ECU60は、同時に、MG1インバータ70を制御して、モータMG1により、エンジン20のクランクシャフト21につながるインナロータ軸33に、エンジン始動トルクを発生させ、エンジン20のクランクシャフト21を強制的に回転させることにより、エンジン20を始動させる。また、同時に、モータMG1によってアウタロータ軸35に生じる反力トルクをキャンセルするために、MG2インバータ72を制御して、モータMG2により、モータMG1のアウタロータ軸35に切換クラッチ50を介してつながるロータ軸43に、モータMG1の発生したエンジン始動トルクとほぼ等しいトルクを発生させる。

0185

こうして、エンジン20を始動した後に、制御ECU60は、UD結合で、エンジン20,モータMG1,MG2を利用してHV走行させる(ステップS164)。

0186

具体的には、図4におけるステップS112の処理と同様に、制御ECU60は、改めてエンジン要求動力Peを算出した上で、そのエンジン要求動力Peが図5に示すエンジン20の動作線上のどこに当たるかを求めて、エンジン20の目標動作点を決定する。制御ECU60は、駆動軸の動作点と決定したエンジン20の目標動作点とを基にして、UD結合における前述の式(1)に従い、モータMG1のトルクTmg1及びモータMG2のトルクTmg2をそれぞれ式(11)のように決定して、この式(11)を満足するような制御を行なう。

0187

Tmg1=Te
Tmg2=Td−Te ……(11)

0188

即ち、制御ECU60は、MG1インバータ70を制御して、モータMG1のトルクTmg1がエンジン20の目標トルクTeとなるようにすると共に、MG2インバータ72を制御して、モータMG2のトルクTmg2が駆動軸の目標トルクTdとエンジン20の目標トルクTeとの差とほぼ等しくなるようにする。

0189

また、制御ECU60は、エンジン20も制御して、エンジン20の動作点が決定した目標動作点となるようにする。

0190

以上の結果、エンジン20で発生したトルクTeは、クランクシャフト21,インナロータ軸33を介してモータMG1に伝達される。モータMG1に伝達されたトルクTeは、モータMG1のトルクTmg1(=Te)として、駆動軸であるアウタロータ軸35に伝達されるが、モータMG2において発生したトルクTmg2(>0)もロータ軸43,切換クラッチ50を介してアウタロータ軸35に伝達されるため、アウタロータ軸35には、合わせて、Te+Tmg2が伝達される。従って、アウタロータ軸35からは、駆動軸の目標トルクTd(=Te+Tmg2)と等しい駆動トルクが出力されることになる。こうして、車両は、UD結合にて、エンジン20及びモータMG1,MG2を利用したHV走行を行なうことになる。

0191

次に、制御ECU60は、UD/OD領域判定を行なう(ステップS166)。具体的には、図4におけるステップS108の場合と同様に、制御ECU60は、駆動軸であるアウタロータ軸35の動作点に基づいて、その動作点がエンジン20の動作線であるUD/OD領域境界ELを越えてOD領域に入ったか否かを判定する。判定の結果、駆動軸の動作点が未だUD領域にある場合は、図9に示すように、再び、ステップS164に戻り、前回と同様の処理を繰り返す。しかし、駆動軸の動作点がUD/OD領域境界ELを越えてOD領域にある場合には、処理は次のステップS168に進む。

0192

ステップS168では、制御ECU60は、切換クラッチ50を制御して、モータMG2のロータ軸43をUD結合からOD結合に切り換える。なお、このように、HV走行中にUD結合からOD結合への切り換える方法としては、例えば、前述した特開平10−271749号公報に開示されている方法などを用いることができる。具体的には、エンジン20の出力軸の回転数と駆動軸の回転数との回転数差が所定の許容範囲に入ると共に、エンジン20の出力軸のトルクと駆動軸のトルクとのトルク差が所定の許容範囲に入ったときに、切換クラッチ50において、UD結合からOD結合に切り換えるようにする。

0193

こうして、UD結合からOD結合への切り換えが完了したら、図9に示す処理を終了し、図4に示したBに戻る。

0194

以上のようにして、図4におけるステップS106においてエンジン20を始動すべきと判定した場合の処理(即ち、図4におけるAからBの間の処理)は、実行される。

0195

(5)第2の制御方法:図10は本発明の第2の制御方法にかかる第2の実施例としての制御手順を示すフローチャートである。また、図11は本発明の第2の制御方法を採った場合のEV走行領域とUD結合領域,OD結合領域とを示す説明図である。

0196

図11において、縦軸,横軸及び各種曲線並びに領域の内容については、それぞれ、図5に示した内容と同じであるので、説明は省略する。

0197

本実施例では、車両が停車している状態から発進して徐々に加速していく過程において、制御ECU60が図10に示す制御手順に従って制御を行なう。また、その過程おいて、駆動軸であるモータMG1のアウタロータ軸35の動作点は、図11の曲線DL2で示すような軌跡を描くものとする。

0198

本実施例において、図10に示すように、ステップS202〜S208の処理は、図4に示したステップS102〜S108の処理と同じであるので、説明は省略する。

0199

さて、ステップS208において、例えば、今、駆動軸の動作点が図11に示す曲線DL2上の点bの位置にあるとすると、動作点はUD/OD領域境界ELを越えてOD領域にあるので、処理は次のステップS210に進み、制御ECU60は、切換クラッチ50を制御して、UD結合からOD結合への切り換えを行なう(ステップS210)。なお、ステップS210の処理の具体的な内容については、後ほど詳しく説明する。

0200

こうして、OD結合への切り換えを行なうと、次に、制御ECU60は、エンジン20を停止状態にしたまま、OD結合で、モータMG1,MG2を利用して、引き続きEV走行をさせる(ステップS212)。具体的には、制御ECU60は、モータMG1のトルクTmg1及びモータMG2のトルクTmg2をそれぞれ式(12)のように決定し、この式(12)を満足するような制御を行なう。

0201

Tmg1=Td
Tmg2=−Tmg1 ……(12)

0202

即ち、制御ECU60は、MG1インバータ70を制御して、モータMG1を動作させ、モータMG1のトルクTmg1を駆動軸であるアウタロータ軸35の目標トルクTdとほぼ等しくなるようにすると共に、MG2インバータ72を制御して、モータMG2のトルクTmg2を、モータMG1のトルクTmg1と同じ大きさで逆向きのトルク(−Tmg1)とほぼ等しくなるようにする。

0203

この結果、モータMG1は、駆動軸であるアウタロータ軸35にトルクTmg1を発生するため、アウタロータ軸35からは、駆動軸の目標トルクTd(=Tmg1)とほぼ等しい駆動トルクが出力されることになる。また、このとき、モータMG1は、インナロータ軸33に対して、作用・反作用の原理から、アウタロータ軸35に発生したトルクの反力として、同じ大きさで逆向きのトルク(−Tmg1)を発生することになる。そこで、モータMG2が、モータMG1のインナロータ軸33に切換クラッチ50を介してつながるロータ軸43に、モータMG1の発生したトルクTmgと同じ大きさで逆向きのトルク(−Tmg1)を発生することによって、上記した反力をキャンセルする。こうして、車両は、OD結合にて、モータMG1,MG2を利用してEV走行を行なうことになる。

0204

なお、エンジン20の出力軸であるクランクシャフト21の回転数Neは、ステップS210におけるUD結合からOD結合への切り換え時に、一旦、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数Ndに近づくものの、切り換え後は、再びゼロに戻って、クランクシャフト21は停止状態にある。

0205

次に、制御ECU60は、再び、ステップS204と同様に、エンジン要求動力Peの算出を行ない(ステップS214)、さらに、ステップS206と同様に、エンジン始動判定を行なう(ステップS216)。このとき、エンジン始動判定は、前述したように、判定閾値PeSTARTとエンジン始動判定線ESUとを用いて二重に行なわれている。従って、エンジン始動判定線ESUを用いて判定を行った場合、例えば、今、駆動軸の動作点が図11に示す曲線DL2上の点cの位置にあるとすると、動作点がエンジン始動判定線ESUよりも左下の領域にあるので、エンジン20を始動する必要はないと判定して、図10に示すように、再び、ステップS212に戻り、前回と同様の処理を繰り返す。しかし、例えば、運転者によってアクセルペダルが踏み込まれ、車両が加速して、駆動軸の動作点が曲線DL2上の点dの位置まで来ると、動作点はエンジン始動判定線ESUを越えて右上の領域に入るので、処理は次のステップS218に進む。

0206

ステップS218では、制御ECU60は、エンジン20を制御して、エンジン20への燃料供給を開始させると共に、エンジン20のプラグ(図示せず)を点火させて、エンジン20を始動する。このとき、制御ECU60は、同時にMG2インバータ72を制御して、モータMG2により、エンジン20のクランクシャフト21に切換クラッチ50を介してつながるロータ軸43に、エンジン始動トルクを発生させ、エンジン20の、停止していたクランクシャフト21を強制的に回転させることにより、エンジン20を始動させる。

0207

こうして、エンジン20を始動すると、次に、制御ECU60は、OD結合で、エンジン20,モータMG1,MG2を利用してHV走行させる(ステップS220)。OD結合でHV走行させる具体的な方法は、図4におけるステップS112で説明した方法と同じであるので、説明は省略する。

0208

このようにして、本実施例では、発進時、UD結合で、車両をEV走行させる。そして、駆動軸の動作点がUD/OD領域境界ELを越えてOD領域に入ると、UD結合からOD結合への切り換えを行なうが、第1の制御方法とは異なり、エンジン20は停止状態のまま、駆動軸の動作点がエンジン始動判定線ESUを越えるまでは、OD結合で、車両を引き続きEV走行させることになる。そして、駆動軸の動作点がさらにエンジン始動判定線ESUを越えて右上の領域に入ると、エンジン20への燃料供給を開始してエンジン20を始動するため、その後は、OD結合で、車両をHV走行させることになる。

0209

従って、本実施例では、図11に示したように、動力出力装置10の動作領域のうち、エンジン始動判定線ESUよりも左下の領域が、全て、車両をEV走行させる領域EVとなる。そして、それ以外の領域では、車両をHV走行させることになる。また、本実施例では、UD領域は、そのまま、実際にUD結合を行なうUD結合領域udとなり、OD領域も、そのまま、実際にOD結合を行なうOD結合領域odとなる。

0210

以上のようにして、本実施例においては、UD結合で、モータMG2のみによってEV走行させていた車両を、駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入っても、OD結合で、モータMG1,MG2を利用して、引き続きEV走行させることができる。

0211

それでは、次に、図10におけるステップS210の処理の具体的な内容について、説明する。本実施例において、ステップS210の処理としては、次のような2種類の方式が考えられる。

0212

即ち、第1の方式は、切換クラッチ50によってUD結合からOD結合の切り換えを行なう際、オーバードライブクラッチODCを直ちに結合にする方式であり、第2の方式は、オーバードライブクラッチODCを結合にするのに先だって、エンジン20の出力軸の回転数を駆動軸の回転数にほぼ等しくし、その状態で結合にする方式である。

0213

図12図11におけるステップS210の処理として、第1の方式での処理手順を示すフローチャートである。図12に示すように、ステップS210の処理が開始されると、まず、制御ECU60は、切換クラッチ50を制御して、オーバードライブクラッチODCを結合にする(ステップS232)。この時、図8におけるステップS144の場合と同様に、アンダードライブクラッチUDCも結合状態にあるため、モータMG2のロータ軸43は、モータMG1のアウタロータ軸35及びインナロータ軸33の何れの軸にも結合されることになる。従って、この場合、モータMG1のアウタロータ軸35とエンジン20のクランクシャフト21(モータMG1のインナロータ軸33)とは、切換クラッチ50を介して直結されることになる。

0214

但し、図12に示す第1の方式の場合、オーバードライブクラッチODCを結合にする際、エンジン20のクランクシャフト21(モータMG1のインナロータ軸33)は静止しており、回転数はゼロであるため、オーバードライブクラッチODCを徐々に結合させる必要がある。

0215

続いて、制御ECU60は、ステップS234において、モータMG1のトルクTmg1及びモータMG2のトルクTmg2をそれぞれ前述した式(10)のように決定して、その式(10)を満足するような制御を行なう。

0216

即ち、制御ECU60は、MG1インバータ70を制御して、MG1インバータ70内のトランジスタを全てオフ状態にし、モータMG1のトルクTmg1がほぼゼロとなるようにすると共に、MG2インバータ72を制御して、モータMG2のトルクTmg2が駆動軸の目標トルクTdとエンジン20の摩擦トルクTefとの和とほぼ等しくなるようにする。

0217

この時、エンジン20自体は燃料供給がなされておらず、停止状態にあり、また、モータMG2のロータ軸43、エンジン20のクランクシャフト21(モータMG1のインナロータ軸33)及びモータMG1のアウタロータ軸35はそれぞれ切換クラッチ50において互いに結合され、一体状態となっている。従って、モータMG2において、駆動軸の目標トルクTdにエンジン20の摩擦トルクTefを上乗せしたトルクTmg2(=Td+Tef)を発生させることにより、そのトルクTmg2が切換クラッチ50に伝達されたときに、切換クラッチ50において、エンジン20の摩擦トルクTef分が減じられても、アウタロータ軸35には、モータMG2のトルクTmg2からエンジン20の摩擦トルクTefを引いたトルクTdが伝達されるため、アウタロータ軸35からは、駆動軸の目標トルクTdとほぼ等しい駆動トルクが出力されることになる。また、モータMG1では何らトルクを発生しないため、モータMG1におけるロータ32,34は、それぞれ、モータMG2の回転によって連れ回されるだけとなる。こうして、この間、車両は、モータMG2のみによってEV走行することになる。

0218

続いて、制御ECU60は、切換クラッチ50を制御して、アンダードライブクラッチUDCを解放にする(ステップS236)。この結果、アウタロータ軸35及びインナロータ軸33に結合されていたモータMG2のロータ軸43は、アウタロータ軸35から切り離され、インナロータ軸33のみに結合されることになるため、OD結合となる。

0219

こうして、ステップS236の処理が完了すると、図12に示す処理ルーチンは終了し、図10に示した処理に戻る。

0220

このように、図12に示す第1の方式では、オーバードライブクラッチODCを結合してからアンダードライブクラッチUDCを解放するまでの間、モータMG2において、エンジン20の摩擦トルクTef分だけ駆動軸の目標トルクTdに加えて余分にトルクTmg2を発生させているので、その間に、駆動軸から出力される駆動トルクが変動するのを防止することができる。

0221

次に、図13図10におけるステップS210の処理として、第2の方式での処理手順を示すフローチャートである。図13に示すように、ステップS210の処理が開始されると、まず、制御ECU60は、図8におけるステップS142の場合と同様に、エンジン20の出力軸の回転数を駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御する(ステップS242)。具体的には、制御ECU60は、エンジン20の目標回転数Ne、モータMG1のトルクTmg1及びモータMG2のトルクTmg2をそれぞれ前述した式(9)のように決定し、その式(9)を満足するような制御を行なう。

0222

即ち、制御ECU60は、MG1インバータ70を制御して、エンジン20の回転数が駆動軸の回転数Ndとほぼ等しくなるように、モータMG1のトルクTmg1を調整し、さらに、MG2インバータ72を制御して、モータMG2のトルクTmg2が駆動軸のトルクTdとモータMG1のトルクTmg1との和にほぼ等しくなるようにする。この結果、エンジン20の出力軸であるクランクシャフト21の回転数は駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数とほぼ等しくなるようになる。

0223

次に、制御ECU60は、図12におけるステップS232の場合と同様に、切換クラッチ50を制御して、オーバードライブクラッチODCを結合にする(ステップS244)。この時、アンダードライブクラッチUDCも結合状態にあるため、モータMG2のロータ軸43は、モータMG1のアウタロータ軸35及びインナロータ軸33の両方に結合されるため、モータMG1のアウタロータ軸35とエンジン20のクランクシャフト21(モータMG1のインナロータ軸33)とは、切換クラッチ50を介して直結されることになる。

0224

続いて、制御ECU60は、ステップS246において、モータMG1のトルクTmg1及びモータMG2のトルクTmg2をそれぞれ前述した式(10)のように決定して、その式(10)を満足するような制御を行なう。

0225

即ち、制御ECU60は、MG1インバータ70を制御して、MG1インバータ70内のトランジスタを全てオフ状態にし、モータMG1のトルクTmg1がほぼゼロとなるようにすると共に、MG2インバータ72を制御して、モータMG2のトルクTmg2が駆動軸の目標トルクTdとエンジン20の摩擦トルクTefとの和とほぼ等しくなるようにする。

0226

この時の動作は、図12におけるステップS234の動作と同じとなるので、説明は省略する。

0227

続いて、制御ECU60は、切換クラッチ50を制御して、アンダードライブクラッチUDCを解放にする(ステップS248)。この結果、アウタロータ軸35及びインナロータ軸33に結合されていたモータMG2のロータ軸43は、アウタロータ軸35から切り離され、インナロータ軸33のみに結合されることになるため、OD結合となる。

0228

こうして、ステップS248の処理が完了すると、図13に示す処理ルーチンは終了し、図10に示した処理に戻る。

0229

このように、図13に示す第2の方式では、モータMG1のインナロータ軸33(エンジン20のクランクシャフト21)の回転数を駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数にほぼ合わせた上で、モータMG2のロータ軸43をUD結合からOD結合へ切り換えているので、切り換える際にショックが無く、スムーズな切り換えを実現することができる。

0230

ところで、前述したように、図12に示す第1の方式では、UD結合からOD結合の切り換えを行なう際、オーバードライブクラッチODCをすぐに結合にしていたが、この時、エンジン20のクランクシャフト21(モータMG1のインナロータ軸33)は静止しており、回転数は0rpmである。一方、駆動軸であるアウタロータ軸35は回転しており、この時の回転数が、例えば、1000rpmであるとすると、クランクシャフト21とアウタロータ軸35との回転数差は1000rpmになってしまう。従って、切換クラッチ50として、オーバードライブクラッチODCの結合能力(結合容量)が小さいクラッチを用いた場合には、回転数差が1000rpmもあると、結合ができない可能性がある。これに対し、図13に示す第2の方式では、オーバードライブクラッチODCを結合にするのに先だって、エンジン20のクランクシャフト21の回転数をアウタロータ軸35の回転数にほぼ等しくなるようにしているので、クランクシャフト21とアウタロータ軸35との回転数差はほぼ0rpmとなる。従って、切換クラッチ50として、オーバードライブクラッチODCの結合能力(結合容量)が小さいクラッチを用いた場合でも、容易に結合させることができる。よって、切換クラッチ50として結合能力(結合容量)が小さいクラッチを用いることができるので、切換クラッチ50の小型化,低コスト化を実現することができる。

0231

また、図12に示す第1の方式では、オーバードライブクラッチODCを結合にした時に、エンジン20のクランクシャフト21の回転数はゼロから急激に上昇するが、その上昇に伴ってトルク変動や振動が発生してしまうが、図13に示す第2の方式では、オーバードライブクラッチODCを結合するのに先だって、クランクシャフト21の回転数を駆動軸の回転数まで上昇させているので、オーバードライブクラッチODCを結合にした時に、クランクシャフト21の回転数を急上昇させる必要がないため、急上昇に伴って発生するトルク変動や振動を抑えることができる。

0232

さらにまた、第1の方式の場合と同様に、オーバードライブクラッチODCを結合してからアンダードライブクラッチUDCを解放するまでの間、モータMG2において、エンジン20の摩擦トルクTef分だけ駆動軸の目標トルクTdに加えて余分にトルクTmg2を発生させているので、その間に、駆動軸から出力される駆動トルクが変動するのを防止することができる。

0233

なお、図10において、AからBの間の処理は、図9に示した処理と同様であるので、これについての説明は省略する。

0234

(6)第3の制御方法:図14は本発明の第3の制御方法にかかる第3の実施例としての制御手順を示すフローチャートである。また、図15は本発明の第3の制御方法を採った場合のEV走行領域とUD結合領域,OD結合領域とを示す説明図である。

0235

図15において、縦軸,横軸及び各種曲線並びに領域の内容については、それぞれ、図5に示した内容と同じであるので、説明は省略する。

0236

本実施例では、車両が停車している状態から発進して徐々に加速していく過程において、制御ECU60が図14に示す制御手順に従って制御を行なう。また、その過程おいて、駆動軸であるモータMG1のアウタロータ軸35の動作点は、図15の曲線DL2で示すような軌跡を描くものとする。

0237

本実施例において、図14に示すように、ステップS302,S304の処理は、図10に示したステップS202,S204の処理と同じであるので、説明は省略する。

0238

次に、制御ECU60は、ステップS304で算出したエンジン要求動力Peに基づいて、エンジン20を始動すべきか否かの判定、即ち、エンジン始動判定を行なう(ステップS306)。具体的には、制御ECU60は、エンジン要求動力Peを、予め設定されている判定閾値PeSTART(一定値)と比較して、エンジン要求動力Peの方が判定閾値PeSTARTよりも小さい場合には、エンジン20を始動する必要はないと判定して、エンジン20を停止させたままとし、図14に示すように、再び、ステップS302に戻って、前回と同様の処理を繰り返す。逆に、エンジン要求動力Peの方が判定閾値PeSTARTよりも大きい場合には、エンジン20を始動すべきであると判定して、処理は次のステップS308に進む。

0239

なお、図4におけるステップS106の場合と同様に、エンジン始動判定は、原則的には、エンジン要求動力Peと判定閾値PeSTARTとの比較によって行なうが、例外的に、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数がゼロの付近などにおいては、図15に示すエンジン始動判定線ESUを用いる。即ち、制御ECU60は、駆動軸であるアウタロータ軸35の動作点が、図15に示すエンジン始動判定線ESUよりも右上の領域にあれば、エンジン20を始動すべきと判定し、左下の領域にあれば、エンジン20を始動する必要はないと判定する。

0240

従って、例えば、今、駆動軸であるアウタロータ軸35の動作点が、図15における曲線DL2上の点aの位置にあるとすると、制御ECU60は、動作点がエンジン始動判定線ESUよりも左下の領域にあるので、エンジン20を始動する必要はないと判定し、ステップS302に戻って同様の処理を繰り返すことになる。

0241

また、例えば、今、駆動軸であるアウタロータ軸35の動作点が、図15における曲線DL2上の点cの位置にあるとしても、制御ECU60は、動作点がエンジン始動判定線ESUよりも左下の領域にあるので、点aの場合と同様に、エンジン20を始動する必要はないと判定し、ステップS302に戻って同様の処理を繰り返すことになる。

0242

即ち、本実施例では、駆動軸の動作点がUD/OD領域境界ELを越えてOD領域に入った場合でも、UD結合からOD結合への切り換えは行なわず、UD結合のまま、モータMG2のみによって車両をEV走行させ続けることになる。

0243

しかし、その後、例えば、運転者によってアクセルペダルが踏み込まれ、車両が加速して、駆動軸の動作点が図15に示す曲線DL2上の点dの位置まで来ると、動作点はエンジン始動判定線ESUを越えて右上の領域に入るので、制御ECU60は、エンジン20を始動すべきであると判定して、処理は次のステップS308に進む。

0244

さて、ステップS308では、制御ECU60は、UD/OD領域判定を行なう。具体的には、制御ECU60は、駆動軸であるアウタロータ軸35の動作点に基づいて、その動作点がエンジン20の動作線であるUD/OD領域境界ELを越えてOD領域にあるか否かを判定する。判定の結果、駆動軸の動作点が、エンジン始動判定線ESUより右上の領域にあるが、UD/OD領域境界ELを越えておらず、未だUD領域にある場合には、図14に示すように、処理は前述した図9のAに進む。反対に、駆動軸の動作点が、エンジン始動判定線ESUより右上の領域にあり、さらに、UD/OD領域境界ELを越えてOD領域にある場合には、処理は次のステップS310に進む。従って、例えば、今、駆動軸の動作点が図15に示す曲線DL2上の点dの位置にあるとすると、動作点は、エンジン始動判定線ESUを越え、さらに、UD/OD領域境界ELを越えてOD領域にあるので、この場合は、ステップS310に進むことになる。

0245

ステップS310では、制御ECU60は、エンジン20を制御して、エンジン20への燃料供給を開始しエンジン20を始動すると共に、切換クラッチ50を制御して、UD結合からOD結合への切り換えを行なう。なお、ステップS310の処理の具体的な内容については、後ほど簡単に説明する。

0246

こうして、エンジン20を始動し、OD結合への切り換えを行なうと、続いて、制御ECU60は、OD結合で、エンジン20,モータMG1,MG2を利用してHV走行させる(ステップS312)。OD結合でHV走行させる具体的な方法は、図4におけるステップS112で説明した方法と同じであるので、説明は省略する。

0247

このようにして、本実施例では、発進時、UD結合で、車両をEV走行させる。そして、駆動軸の動作点がUD/OD領域境界ELを越えてOD領域に入っても、第2の制御方法とは異なり、UD結合からOD結合への切り換えを行なわず、UD結合のまま、車両をEV走行させ続ける。そして、駆動軸の動作点がさらにエンジン始動判定線ESUを越えて右上の領域に入ると、エンジン20への燃料供給を開始してエンジン20を始動すると共に、UD結合からOD結合への切り換えを行なうため、その後は、OD結合で、車両をHV走行させることになる。

0248

従って、本実施例では、図15に示したように、動力出力装置10の動作領域のうち、エンジン始動判定線ESUよりも左下の領域が、全て、車両をEV走行させる領域EVとなり、それ以外の領域では、車両をHV走行させることになる。そして、また、本実施例では、UD領域だけでなく、OD領域のうち、エンジン始動判定線ESUよりも左下の領域も、実際にUD結合を行なうUD結合領域udとなり、それ以外のOD領域が、実際にOD結合を行なうOD結合領域odとなる。

0249

以上のようにして、本実施例においては、モータMG2のみによって車両をEV走行させている間は、駆動軸の動作点がUD領域からOD領域に入っても、UD結合からOD結合への切り換えを行なわず、モータMG2によって駆動トルクを出力させ続けるので、結合の切り換えに伴うトルク変動や振動を発生させずに、広い車速域にわたって滑らかなEV走行を実現することができる。また、その後、エンジン始動条件を満たした場合は、UD結合からOD結合に切り換えると共に、それまでEV走行させていた車両を、直ちに、HV走行に切り換えることができる。

0250

それでは、次に、図14におけるステップS310の処理の具体的な内容について、簡単に説明する。本実施例において、ステップS310の処理としては、前述した図4におけるステップS110の処理と同様に、次のような3種類の方式が考えられる。

0251

即ち、第1及び第2の方式は、先に、エンジン20への燃料供給を開始してエンジン20を始動し、その後、UD結合からOD結合に切り換える方式であり、第3の方式は、その逆で、先に、UD結合からOD結合に切り換え、その後、エンジン20への燃料供給を開始してエンジン20を始動する方式である。また、第1及び第2の方式のうち、第1の方式では、UD結合からOD結合への切り換えを行なう際、駆動軸(モータMG1のアウタロータ軸35)とエンジン20の出力軸(クランクシャフト21,モータMG1のインナロータ軸33)とを直結させた状態で切り換える方式であり、第2の方式では、モータMG2のロータ軸43を、駆動軸(モータMG1のアウタロータ軸35)及びエンジン20の出力軸(クランクシャフト21,モータMG1のインナロータ軸33)の何れの軸からも切り離した状態で切り換える方式である。

0252

なお、第1の方式については、前述の図6で説明した内容と同じであり、第2の方式については、前述の図7で説明した内容と同じであり、第3の方式については、前述の図8で説明した内容と同じであるので、これらの説明については省略する。

0253

また、図15において、AからBの間の処理は、図9に示した処理と同様であるので、これについての説明も省略する。

0254

(7)第4の制御方法:図16は本発明の第4の制御方法にかかる第4の実施例としての制御手順を示すフローチャートである。また、図17は本発明の第4の制御方法を採った場合のEV走行領域とUD結合領域,OD結合領域とを示す説明図である。

0255

図17において、縦軸,横軸及び各種曲線並びに領域の内容については、それぞれ、図5に示した内容と同じであるので、説明は省略する。その他、領域EDは後述するようにエンジン連れ回し制御を行なう領域である。

0256

本実施例では、車両が停車している状態から発進して徐々に加速していく過程において、制御ECU60が図16に示す制御手順に従って制御を行なう。また、その過程おいて、駆動軸であるモータMG1のアウタロータ軸35の動作点は、図17の曲線DL2で示すような軌跡を描くものとする。

0257

本実施例において、図16に示すように、ステップS402〜S408の処理は、図4に示したステップS102〜S108の処理と同じであるので、説明は省略する。

0258

さて、ステップS408において、例えば、今、駆動軸の動作点が図17に示す曲線DL2上の点bの位置にあるとすると、動作点はUD/OD領域境界ELを越えてOD領域にあるので、処理は次のステップS410に進み、制御ECU60は、エンジン20の出力軸の回転数を駆動軸の回転数とほぼ等しくなるように制御(エンジンの連れ回し制御)する(ステップS410)。具体的には、制御ECU60は、エンジン20の目標回転数Ne、モータMG1のトルクTmg1及びモータMG2のトルクTmg2をそれぞれ前述した式(9)のように決定し、その式(9)を満足するような制御を行なう。

0259

即ち、制御ECU60は、MG1インバータ70を制御して、エンジン20の回転数が駆動軸の回転数Ndとほぼ等しくなるように、モータMG1のトルクTmg1を調整し、さらに、MG2インバータ72を制御して、モータMG2のトルクTmg2が駆動軸のトルクTdとモータMG1のトルクTmg1との和にほぼ等しくなるようにする。

0260

この結果、これ以降は、エンジン20の出力軸であるクランクシャフト21は、その回転数が、駆動軸であるアウタロータ軸35の回転数とほぼ等しくなるようになり、連れ回しされることになる。

0261

なお、このとき、エンジン20自体は燃料供給もなされておらず、停止状態にあるため、トルクは発生していない。また、UD結合からOD結合への切り換えもなされないため、これ以降も、UD結合のまま、モータMG2のみによって車両をEV走行させ続けることになる。

0262

次に、制御ECU60は、再び、ステップS404と同様に、エンジン要求動力Peの算出を行ない(ステップS412)、さらに、ステップS406と同様に、エンジン始動判定を行なう(ステップS414)。このとき、エンジン始動判定は、前述したように、判定閾値PeSTARTとエンジン始動判定線ESUとを用いて二重に行なわれている。従って、エンジン始動判定線ESUを用いて判定を行った場合、例えば、今、駆動軸の動作点が図17に示す曲線DL2上の点cの位置にあるとすると、動作点がエンジン始動判定線ESUよりも左下の領域にあるので、エンジン20を始動する必要はないと判定して、図17に示すように、再び、ステップS410に戻り、前回と同様の処理を繰り返す。しかし、例えば、運転者によってアクセルペダルが踏み込まれ、車両が加速して、駆動軸の動作点が曲線DL2上の点dの位置まで来ると、動作点はエンジン始動判定線ESUを越えて右上の領域に入るので、処理は次のステップS416に進む。

0263

ステップS416では、制御ECU60は、エンジン20を制御して、エンジン20への燃料供給を開始しエンジン20を始動すると共に、切換クラッチ50を制御して、UD結合からOD結合への切り換えを行なう。なお、ステップS416の処理の具体的な内容については、後ほど説明する。

0264

こうして、エンジン20を始動し、OD結合への切り換えを行なうと、続いて、制御ECU60は、OD結合で、エンジン20,モータMG1,MG2を利用してHV走行させる(ステップS418)。OD結合でHV走行させる具体的な方法は、図4におけるステップS112で説明した方法と同じであるので、説明は省略する。

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