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技術 そば種子類処理物及びそれを用いる酒類の製造方法

出願人 宝ホールディングス株式会社
発明者 岩崎功藤田聡長友正弘垂水彰二川北貞夫
出願日 1999年9月27日 (21年3ヶ月経過) 出願番号 1999-271890
公開日 2001年4月10日 (19年8ヶ月経過) 公開番号 2001-095511
状態 特許登録済
技術分野 酒類 穀類誘導製品
主要キーワード 不飽和水蒸気 力学エネルギー 普通種 高温温水 吸水ムラ B型粘度計 玄そば 非ニュートン流体
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この項目の情報は公開日時点(2001年4月10日)のものです。
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課題

長時間の水浸漬や多量撒水等で吸水をさせても、粘りが発生しないそば種子類処理物及びそれを用いる新規酒類の製造方法を提供する。

解決手段

そば種子類をそのまま又は乾燥させて、加熱処理を行い、粘りを低下させたそば種子類処理物。該そば種子類処理物を用いる酒類の製造方法。前記の粘りは、粉末水懸濁液一定条件下で測定して、272cP未満の粘稠度であることが好ましい。

概要

背景

そば種子類は、麺類菓子などの食品素材として、古くから日本人なじみのある穀類であり、デンプン質アミノ酸バランスのよい良質のタンパク質豊富に含み、ミネラルを適度に含むことから健康食品としても親しまれてきた。ところが、米、麦を初め多くの穀類を原料として、そのデンプン質を糖化発酵させて得られる酒類は、世界中に多種多様なものがあるのに対し、そば種子類を原料とする酒類は、僅かに日本おいて、そば焼酎試験的に生産されているそば酒が認められるに過ぎない。そば焼酎にしても、崎県で昭和40年代後半に製造が開始されてから、わずか20年余り歴史しかないのが実状である。したがって、消費者嗜好多様化している現在、そば種子類を原料とする、従来にない酒質のそば焼酎を含め、新たな酒類が求められている。

しかしながら、そば種子類を酒類の製造原料として用いる場合、吸水及び糊化によって生じる粘りが問題となることが知られている。つまり、そば粉に含まれるタンパク質は、可溶性タンパク質であるグロブリンアルブミンが主成分で、そば粉に水を加えて練ると、水にふれた部分の該タンパク質が溶け、非常に高い粘性を示す〔そば・うどん技術教本[第1巻]そばの基本技術、第46頁〜第47頁、発行所(株)柴田書店、昭和59年1月20日初版発行〕。したがって、酒類の製造原料として用いられるそば種子類への吸水及び糊化方法としては、次の方法が知られている。そば種子類に対して30〜40%程度の撒水をして、1時間以上吸水させて、50分間程度蒸しを行う方法、及び水浸漬30分間、水切り2時間程度行って、40分間程度蒸す方法である。しかし、これらの限定吸水操作を誤るとそば種子類に粘りが発生し、その後の原料の輸送等の操作が極めて困難になるという問題点を有しており、撒水率の厳守や撒水時の吸水ムラの防止、水浸漬時間の厳守等細心の注意が求められる。更に、酒類を製造する方法において液化を行う場合には、高温温水中で長時間の酵素液化を行うのが常法であるため、その過程で粘りが発生し、かくはんが困難になるという問題が生じる。

概要

長時間の水浸漬や多量撒水等で吸水をさせても、粘りが発生しないそば種子類処理物及びそれを用いる新規な酒類の製造方法を提供する。

そば種子類をそのまま又は乾燥させて、加熱処理を行い、粘りを低下させたそば種子類処理物。該そば種子類処理物を用いる酒類の製造方法。前記の粘りは、粉末水懸濁液一定条件下で測定して、272cP未満の粘稠度であることが好ましい。

目的

本発明の目的は、上記従来技術にかんがみ、長時間の水浸漬や多量撒水等の吸水を行っても、その後糊化を行っても粘りが発生しないそば種子類処理物、及びそれを用いる酒類の製造方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

そば種子類をそのまま又は乾燥させて、焙炒処理を除く加熱処理を行うことにより、粘りを低下させたそば種子類処理物

請求項2

加熱処理が蒸気接触処理であることを特徴とする請求項1に記載のそば種子類処理物。

請求項3

請求項1又は2に記載の処理方法によって得られたそば種子類処理物の粉末水懸濁液となしたとき、該懸濁液の粘稠度が272cP(センチポアズ)未満であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のそば種子類処理物。

請求項4

請求項1、2又は3に記載のそば種子類処理物を用いることを特徴とする酒類の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、そば種子類に特殊な処理を施すことにより、吸水時の粘りを低下させたそば種子類処理物及びそれを用いる酒類の製造方法に関する。

背景技術

0002

そば種子類は、麺類菓子などの食品素材として、古くから日本人なじみのある穀類であり、デンプン質アミノ酸バランスのよい良質のタンパク質豊富に含み、ミネラルを適度に含むことから健康食品としても親しまれてきた。ところが、米、麦を初め多くの穀類を原料として、そのデンプン質を糖化発酵させて得られる酒類は、世界中に多種多様なものがあるのに対し、そば種子類を原料とする酒類は、僅かに日本おいて、そば焼酎試験的に生産されているそば酒が認められるに過ぎない。そば焼酎にしても、崎県で昭和40年代後半に製造が開始されてから、わずか20年余り歴史しかないのが実状である。したがって、消費者嗜好多様化している現在、そば種子類を原料とする、従来にない酒質のそば焼酎を含め、新たな酒類が求められている。

0003

しかしながら、そば種子類を酒類の製造原料として用いる場合、吸水及び糊化によって生じる粘りが問題となることが知られている。つまり、そば粉に含まれるタンパク質は、可溶性タンパク質であるグロブリンアルブミンが主成分で、そば粉に水を加えて練ると、水にふれた部分の該タンパク質が溶け、非常に高い粘性を示す〔そば・うどん技術教本[第1巻]そばの基本技術、第46頁〜第47頁、発行所(株)柴田書店、昭和59年1月20日初版発行〕。したがって、酒類の製造原料として用いられるそば種子類への吸水及び糊化方法としては、次の方法が知られている。そば種子類に対して30〜40%程度の撒水をして、1時間以上吸水させて、50分間程度蒸しを行う方法、及び水浸漬30分間、水切り2時間程度行って、40分間程度蒸す方法である。しかし、これらの限定吸水操作を誤るとそば種子類に粘りが発生し、その後の原料の輸送等の操作が極めて困難になるという問題点を有しており、撒水率の厳守や撒水時の吸水ムラの防止、水浸漬時間の厳守等細心の注意が求められる。更に、酒類を製造する方法において液化を行う場合には、高温温水中で長時間の酵素液化を行うのが常法であるため、その過程で粘りが発生し、かくはんが困難になるという問題が生じる。

発明が解決しようとする課題

0004

本発明の目的は、上記従来技術にかんがみ、長時間の水浸漬や多量撒水等の吸水を行っても、その後糊化を行っても粘りが発生しないそば種子類処理物、及びそれを用いる酒類の製造方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0005

本発明を概説すれば、本発明の第1の発明は、そば種子類をそのまま又は乾燥させて、焙炒処理を除く加熱処理を行うことにより、粘りを低下させたそば種子類処理物に関し、第2の発明は、第1の発明によるそば種子類処理物を用いることを特徴とする酒類の製造方法に関する。

0006

本発明者らは、長時間の吸水又は吸水後の糊化を行っても粘らないそば種子類処理物を提供すべく、鋭意検討した。その結果、そば種子類を吸水させずそのまま又は乾燥させて、加熱処理する方法により得られたそば種子類処理物は、吸水操作において長時間浸漬させても、更にその後に糊化を行っても粘りが発生しないこと、また、該そば種子類処理物を使用することによって新規な酒類を製造できることを見出し、本発明を完成させた。

発明を実施するための最良の形態

0007

以下、本発明について具体的に説明する。まず、そば種子類としては、ファゴピラムサギッタタム ギリブ(Fagopyrum sagittatum Gilib)[普通種F.エスクレンタム メンチ(F.esculentum Moench)]、F.エマルナタム メンチ(F.emarginatum Moench)、F.タタリカム(L.)ゲルト[F.tataricum(L.) Gaertn](ダッタン種)〔食品科学大事典、第430頁、発行所(株)講談社、昭和56年11月18日第1刷発行〕等が知られているが、本発明に用いるそば種子類はこれらの種類に限定されない。また、そば種子類には、そば殻のついたもの〔玄そば〕、そば殻を除去したもの〔抜きそば〕、玄そば又は抜きそばを2〜3分割したもの、玄そば又は抜きそばを粉状にしたもの等があるが、本発明に用いるそば種子類はこれらの形態に限定されない。

0008

そば種子類へ吸水させたときの粘りの程度を、抜きそば(普通種)を水浸漬した実験例1で詳しく述べる。
〔実験例1〕抜きそば(普通種、水分含量13.5%)を水浸漬時間を変えて、水浸漬(温度20℃)し、60分間水切りを行い、抜きそばの粘りの強さを手で触って確認した。

0009

水浸漬した抜きそばは、10分間(水分含量35.9%)では粘りを発生しないが、15分間(水分含量38.4%)を越えると粘りが発生し、その後の操作が極めて困難であった。

0010

次に、そば種子類をそのまま(吸水させることなく)加熱処理して得たそば種子類処理物へ吸水させたときの粘りの程度について、抜きそば(普通種)を用いた検討例1で詳しく述べる。
(検討例1)まず、原料の抜きそば(普通種、水分含量13.5%)をそのまま加熱処理を行った。加熱処理として、蒸気接触処理(100℃)を用い、原料表面の温度が100℃の時点を0分として蒸気接触処理の時間を変えて行った。得られた該抜きそば処理物及び抜きそばをそのまま該蒸気接触処理を行わない無処理のものを30分間水浸漬し、60分間水切りを行った後、直接手による触覚検査を行い、粘りの程度〔粒が互いに接着する程度に粘る:(++)、粒が互いに接着するがほぐすことができる程度に少し粘る:(+)、粘らない:(−)〕を調べた。蒸気接触処理条件とその結果を表1に示す。

0011

0012

表1に示したとおり、蒸気接触処理時間が1分間以下では、その後の水浸漬をしたときに粘りが生じた。すなわち、蒸気接触処理時間が1分間を超えると、その後の水浸漬をしたときに粘りが発生しないそば種子類処理物が得られた。

0013

次に、検討例1の結果を踏まえて、加熱処理を行った。そば処理物の粘りと粘稠度の関係を抜きそば(普通種)を用いた検討例2で更に詳しく述べる。
(検討例2)表1の結果を基に、抜きそば処理物を水浸漬しても粘りの発生が認められない加熱処理の条件として、、蒸気接触処理(100℃)を用い、原料表面の温度が100℃の時点を0分として、抜きそば(普通種、水分含量13.0%)をそのまま、0分間(試験区1)、1分間の蒸気接触処理(試験区2)、3分間の蒸気接触処理(試験区3)、5分間の蒸気接触処理(試験区4)、及び30分間の蒸気接触処理(試験区5)を行った。また、抜きそばをそのまま蒸気接触処理を行わない無処理のもの(対照区)を対照とした。

0014

次に、得られた抜きそばを吸水操作として30分間水浸漬し、60分間水切りを行った。これらの抜きそばを直接手による触覚検査を行い、粘りの程度〔粒が互いに接着する程度に粘る:(++)、粒が互いに接着するがほぐすことができる程度に少し粘る:(+)、粘らない:(−)〕を調べた。

0015

別途、上記の吸水操作を行う前の対照区、試験区の抜きそばを用い次の方法でその粘稠度を測定した。固形分含量として132g(加熱処理前の抜きそば150gに相当)となる量の抜きそばを粉砕して28メッシュ以下の粉末にした後、全重量が500gになるように水を混合し、均一に分散させた後、30℃、150rpm、30分間かくはんして抜きそば粉末の水懸濁液を調製した。該抜きそば粉末の水懸濁液の粘稠度を、B型粘度計〔(株)東京計器製、型式BL〕及び付属のNo.2ロータを使用して、回転数6、12、30及び60rpm、液温30℃で測定した。粘りの測定結果を表2に示す。

0016

0017

表2の結果より、加熱処理後に吸水操作(水浸漬、水切り)を行っても粘りが発生しない抜きそばは、前述した方法で測定したときのロータ回転数60rpmの時の粘稠度が、すべて272cP(センチポアズ)未満であった。すなわち、抜きそばを粉末の水懸濁液としたときの粘稠度が272cP(センチポアズ)未満になるように加熱処理条件選定して得られたそば種子類処理物は、該処理後に行う吸水操作における水浸漬を長時間行っても粘りが発生しないことが確認された。

0018

本発明でいうそば種子類をそのままとは、そば種子類を吸水させることなく用いることを言う。また、本発明でいうそば種子類を乾燥させる方法には、かげ干し、通風乾燥(60℃未満)、乾燥剤シリカゲル等)による乾燥、凍結乾燥等があるが、60℃未満の乾燥方法であればよい。

0019

本発明でいう加熱処理とは、力学エネルギー化学エネルギーガス石油等)及び電気エネルギー電熱等)等の熱源によって、そば種子類の表層部に加熱できれば良く、該熱源に関しては特に限定されない。例えば、具体的には蒸気接触処理〔常圧下(60℃〜100℃)又は加圧下(100℃超〜130℃)における飽和及び/又は不飽和水蒸気による処理〕、乾熱処理マイクロ波処理遠赤外線処理等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。また、バッチ法連続法等のいずれも採用することができるが、安定した品質のそば種子類処理物を効率良く得るには連続法が好ましい。そば種子類処理物を高温のまま放置すると、余熱の影響で表層部以外にも内部の物性が変化してしまうことがあるので、必要に応じて空冷等の冷却工程をとることができる。

0020

本発明でいう、加熱処理したそば種子類粉末の粘稠度とは、以下の方法で測定した値である。
〔粘稠度測定方法〕:固形分含量として132g(加熱処理前のそば種子類150gに相当)となる量のそば種子類を28メッシュ以下に必要に応じて粉砕(そば種子類の粉状のもので28メッシュ超のものは再粉砕する)して粉末にした後、全重量が500gになるように水を混合し、均一に分散させた後、30℃、150rpm、30分間かくはんしてそば種子類粉末の水懸濁液を調製する。該そば種子類粉末の水懸濁液の粘稠度を液温30℃にて、B型粘度計〔(株)東京計器製、型式BL〕及び付属のNo.2ロータを使用して、ロータ回転数60rpmで測定する。前述した表2の結果より、B型粘度計を用いて測定した各抜きそば粉末の水懸濁液の粘稠度は、ロータ回転数を変えると異なった値が得られることから、該粉末の水懸濁液は非ニュートン流体に属することが判明した。B型粘度計で非ニュートン流体の粘稠度を測定する場合、使用するロータの種類や測定時のせん断速度(回転数)を変えると、測定される粘稠度が異なってしまうので、一般的には、ロータの種類とせん断速度を特定して測定し、該測定条件と供に粘稠度を表示する。

0021

本発明でいう加熱処理の条件は、前述した条件で測定した粘稠度が272cP(センチポアズ)未満になるように設定することが最適である。、例えば、加熱処理が常圧100℃の蒸気接触処理であるならば、処理時間は1分間超、好ましくは粘稠度が272cP(センチポアズ)未満になるように使用するそばの種類や形態に応じて適宜設定できる。

0022

本発明でいうそば種子類処理物は、吸水及び吸水後の蒸きょうを行っても粘りが発生することがないので、長時間の水浸漬や多量撒水等により吸水させることが可能であり、操作性が良好である。特に、酒類製造用のそば種子類処理物として、その物性の適性が優れている。したがって、酒類、飲食品又は麹の製造に好適に用いることができる。なお、吸水方法としては制限がなく、水浸漬法、撒水法、噴霧法等適宜選択すればよい。

0023

本発明における酒類とは、焼酎(そば焼酎)、醸造酒(そば酒)である。焼酎の製造は原料処理、仕込み、発酵(糖化・発酵)、蒸留及び精製工程よりなる。醸造酒の製造は原料処理、仕込み、発酵(糖化・発酵)、上槽及び精製工程よりなる。なお、原料処理には、製麹工程、原料液化、液化・糖化工程も含むものとする。

0024

また、本発明の酒類の製造方法において、吸水後糊化をするための蒸きょう(常法又は加圧下で必要な時間)では、粘着固型化の発生がなく、焙炒(特開平3−183467号公報に記載されている、原料穀類を70℃〜400℃の熱風で、数秒〜5、6日間加熱)では、焙炒香味を更に付与でき、または酵素製剤による液化では、液化液及び醪に粘りが発生しない。

0025

以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例に限定されるものではない。

0026

実施例1
抜きそば(普通種、水分含量13.0%)をそのまま蒸気温度100℃、蒸気接触時間10分間の条件で蒸気接触処理を行い、抜きそば処理物を得た。得られた抜きそば処理物を45分間水浸漬、60分間水切りした後、更に、100℃、60分間の蒸きょうを行った(試験区)。対照として、蒸気接触処理を行わない抜きそばを、同様に水浸漬、水切りした後、更に、蒸きょうを行った(対照区)。蒸気接触処理と蒸きょう後の抜きそばの触覚検査による粘りの程度〔粒が互いに接着する程度に粘る:(++)、粒が互いに接着するがほぐすことができる程度に少し粘る:(+)、ほぐすことができて粘らない:(−)〕と消化率を調べた。また、該抜きそば処理物の粉末を水懸濁液となしたとき、該懸濁液の粘稠度は液温30℃にて、B型粘度計〔(株)東京計器製、型式BL〕及び付属のNo.2ロータを使用して、ロータ回転数60rpmで測定した。抜きそばの粘りの程度と粘稠度の結果を表3に示す。

0027

0028

表3の結果より、試験区の蒸気接触処理をした抜きそば処理物は、水浸漬、水切り後の水分含量が41.9%に達しても粘りは発生せず、また、水切り後に蒸きょうしても粘りは発生しなかった。また、該懸濁液の粘稠度は179cP(センチポアズ)であった。対照区は水浸漬、水切り後粘りが発生して操作性が悪く、また蒸きょう後において、実生産への適用が困難視される程度の粘着固形化が発生した。

0029

実施例2
そば焼酎の製造を行った。二次掛原料がそばである焼酎の小仕込み配合を表4に示す。

0030

0031

一次仕込みは、70%精白麦を常法により水浸漬、水切り、蒸きょう及び放冷して、白麹河内菌〔(株)河内源一郎商店製〕を接種し、麦麹を調製し、この麦麹222gに汲水267ml及び酵母を加え、25℃で7日間培養を行った。

0032

次に二次仕込み掛原料の調製を行った。抜きそば(普通種、水分含量13.0%)740gを蒸気接触処理(蒸気温度100℃、蒸気接触時間5分間)を行い、抜きそば処理物を得た。次に、得られた該抜きそば処理物を45分間水浸漬、60分間水切りした後、60分間蒸きょう(試験区1)、焙炒温度290℃、焙炒時間40秒間焙炒(試験区2)、及び液化(試験区3)を行って用いた。対照として、抜きそば(普通種、水分含量13.0%)を蒸気接触処理せずに45分間水浸漬、60分間水切りした後、60分間蒸きょうを行って用いた(対照区)。また、上記した試験区3の液化液配合を表5に示す。

0033

0034

液化は、汲水を45℃に昇温して、賦活剤硫酸カルシウム塩化ナトリウム)、少量の抜きそば処理物(あらかじめ酵素安定化のために投入)、酵素製剤、残りの抜きそば処理物の順に投入した。全量投入後、45℃に60分間保持して抜きそば処理物を吸水させ、その後毎分1℃昇温して60℃に到達後、1.5時間保持した。更に毎分1℃昇温して97℃に到達後、30分間保持後冷却して、液化液を調製した。蒸気接触処理をした抜きそば処理物の粉末を水懸濁液となしたとき、該懸濁液の粘稠度は176cP(センチポアズ)であるため、水浸漬や醪を調製する工程で、抜きそばの粘りが全く発生することなく、調製は良好に行われた。

0035

二次仕込みとして、14日間、25℃で糖化・発酵を行い、発酵終了醪を調製した。発酵終了醪の分析値を表6に示す。得られた発酵終了醪を減圧蒸留(−700mmHg、初留カット中留カットアルコール度数20v/v%)し、そば焼酎を得た。得られたそば焼酎の分析値と官能検査結果を表7に示す。官能検査は4点法(1:優、2:良、3:可、4:不可)で行い、パネラー13名の平均値で表した。

0036

0037

表6の結果より、すべての試験区においてアミノ酸度が低下した。

0038

0039

表7のそば焼酎の分析値の結果より、対照区と比較してすべての試験区において不快臭であるアセトアルデヒド及び酢酸エチルが低下していた。また、官能検査においても対照区は、くせのある香りや味及び雑味が多い酒質であるのに対し、試験区1はソフトな香りやや甘く、まるい味のする酒質であり、試験区2はスッキリとした香りや味を有する、雑味が低減された酒質であり、試験区3は甘い香りやなめらかな味のする酒質であると評価された。したがって、対照区と比較してすべての試験区において、不快臭が低減された、雑味の少ない、従来にない酒質であった。

発明の効果

0040

そば種子類をそのまま又は乾燥させて、加熱処理を行って得られるそば種子類処理物は、酒類の製造において、長時間の水浸漬や多量撒水等で吸水をさせても、糊化を行っても、粘りの発生がなく、すなわち、限定吸水させる必要がなく、吸水量を多くして糊化処理が行える。したがって、原料消化性の向上、収率の改善、経済性の向上、作業性の改善、及び酒類製造工程の簡便化が可能となった。また、官能的にも雑味や不快臭が低減された、新規な酒質の酒類の製造方法が提供できる。

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