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技術 ロボットの力制御方法

出願人 福岡県
発明者 永田寅臣渡辺桂吾
出願日 1999年8月27日 (20年8ヶ月経過) 出願番号 1999-241771
公開日 2001年3月13日 (19年1ヶ月経過) 公開番号 2001-062763
状態 特許登録済
技術分野 マニプレータ・ロボット 数値制御 マニプレータ マニプレータの制御、安全及び主従型のもの 数値制御 位置、方向の制御
主要キーワード 被押圧物 スイッチ行列 臨界減衰 制御行列 ルンゲクッタ法 推論法 位置フィードバックゲイン ブロック線
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (20)

課題

煩雑な教示作業を行わないでもロボットアーム被押圧物体の表面に沿って移動させる倣い制御を行うことができるロボットの力制御方法を提供すること。

解決手段

ロボットのアームの先端で被押圧物体を押圧する際の押圧力を制御するための力制御方法において、被押圧物体をNC工作機械によって加工する際に用いられるCLデータに基づいてアームの位置及び姿勢を算出し、アームが被押圧物体の表面に沿って移動しながらアームの先端で被押圧物体を押圧すべく制御することとした。

概要

背景

従来、ロボットの位置を制御する方法としては、様々なものが考えられており、ロボットに塗装溶接シーリング等の各種作業を行わせるようにしている。

かかる塗装、溶接、シーリング等の作業においては、ロボットのアームの先端の軌跡を制御するだけでよく、アームの先端が被押圧物体を押圧する押圧力を制御する必要がなかった。

しかし、例えば、木質材料研磨作業等をロボットに行わせるためには、アーム先端の押圧力を高精度に制御する必要がある。

これまでに提案されている力制御方法としては、ロボットのアームの各軸の自由度単位で位置/コンプライアンス/力制御をハイブリッド化する制御方法川・五百井・久保田・野呂産業用ロボットにおけるハイブリッド・コンプライアンス/力制御、日本ロボット学会誌、12-6(1994)、893-898 )や、被押圧物体のダイナミクスを考慮した力制御方法(吉川・梅野、対象物体のダイナミクスを考慮した動的ハイブリッド制御、日本ロボット学会誌、11-8(1993),1229-1235.)等がある。

これらの力制御方法においては、被押圧物体の表面に沿ってロボットのアームを移動させる倣い制御を行っているが、被押圧物体の形状に関する情報が未知の場合には、オペレーターがロボットのアームを目標とする軌道に沿わせて移動し、各点の位置及びその位置でのアームの姿勢制御装置に順次入力して、予め目標軌道を生成しておくといった教示作業を行っていた。

概要

煩雑な教示作業を行わないでもロボットのアームを被押圧物体の表面に沿って移動させる倣い制御を行うことができるロボットの力制御方法を提供すること。

ロボットのアームの先端で被押圧物体を押圧する際の押圧力を制御するための力制御方法において、被押圧物体をNC工作機械によって加工する際に用いられるCLデータに基づいてアームの位置及び姿勢を算出し、アームが被押圧物体の表面に沿って移動しながらアームの先端で被押圧物体を押圧すべく制御することとした。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

ロボットアームの先端で被押圧物体を押圧する際の押圧力を制御するための力制御方法において、被押圧物体をNC工作機械によって加工する際に用いられるCLデータに基づいてアームの位置及び姿勢を算出し、アームが被押圧物体の表面に沿って移動しながらアームの先端で被押圧物体を押圧すべく制御することを特徴とするロボットの力制御方法。

請求項2

ロボットのアームの先端で被押圧物体を押圧する際の押圧力を制御するための力制御方法において、アームの先端に設けた力センサー検出値から目標とする押圧力との差である力偏差を算出し、サンプリング時間毎の力偏差と同力偏差の変化量とに基づいてアームの位置及び姿勢を算出し、アームが被押圧物体の表面に沿って移動しながらアームの先端で被押圧物体を押圧すべく制御することを特徴とするロボットの力制御方法。

請求項3

アームの先端に設けた力センサーの検出値に基づいてファジィ環境モデルを用いて被押圧物体の剛性係数推定し、同剛性係数からロボットと被押圧物体との間の目標とする粘性係数を算出し、同粘性係数に応じた押圧力でアームが被押圧物体を押圧すべく制御することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のロボットの力制御方法。

技術分野

0001

本発明は、ロボット力制御方法に関するものである。

背景技術

0002

従来、ロボットの位置を制御する方法としては、様々なものが考えられており、ロボットに塗装溶接シーリング等の各種作業を行わせるようにしている。

0003

かかる塗装、溶接、シーリング等の作業においては、ロボットのアームの先端の軌跡を制御するだけでよく、アームの先端が被押圧物体を押圧する押圧力を制御する必要がなかった。

0004

しかし、例えば、木質材料研磨作業等をロボットに行わせるためには、アーム先端の押圧力を高精度に制御する必要がある。

0005

これまでに提案されている力制御方法としては、ロボットのアームの各軸の自由度単位で位置/コンプライアンス/力制御をハイブリッド化する制御方法川・五百井・久保田・野呂産業用ロボットにおけるハイブリッド・コンプライアンス/力制御、日本ロボット学会誌、12-6(1994)、893-898 )や、被押圧物体のダイナミクスを考慮した力制御方法(吉川・梅野、対象物体のダイナミクスを考慮した動的ハイブリッド制御、日本ロボット学会誌、11-8(1993),1229-1235.)等がある。

0006

これらの力制御方法においては、被押圧物体の表面に沿ってロボットのアームを移動させる倣い制御を行っているが、被押圧物体の形状に関する情報が未知の場合には、オペレーターがロボットのアームを目標とする軌道に沿わせて移動し、各点の位置及びその位置でのアームの姿勢制御装置に順次入力して、予め目標軌道を生成しておくといった教示作業を行っていた。

発明が解決しようとする課題

0007

ところが、上記従来のロボットの力制御方法にあっては、力制御を行う際に、予め教示作業を行う必要があり、作業が煩雑なものとなっていた。

0008

しかも、教示作業には、オペレーターの熟練を要するとともに、入力されたアームの位置や姿勢のデータに誤差不備があると、正確な倣い制御を行うことができなかった。

0009

更には、安定的な力制御を行うためには、シミュレーションにより目標とする粘性係数絞り込まなければならなかったり、或いは、被押圧物体の剛性係数既知でなければならないといった欠点があった。

課題を解決するための手段

0010

そこで、本発明では、ロボットのアームの先端で被押圧物体を押圧する際の押圧力を制御するための力制御方法において、被押圧物体をNC工作機械によって加工する際に用いられるCLデータに基づいてアームの位置及び姿勢を算出し、アームが被押圧物体の表面に沿って移動しながらアームの先端で被押圧物体を押圧すべく制御することとした。

0011

また、アームの先端に設けた力センサー検出値から目標とする押圧力との差である力偏差を算出し、サンプリング時間毎の力偏差と同力偏差の変化量とに基づいてアームの位置及び姿勢を算出し、アームが被押圧物体の表面に沿って移動しながらアームの先端で被押圧物体を押圧すべく制御することとした。

0012

また、アームの先端に設けた力センサーの検出値に基づいてファジィ環境モデルを用いて被押圧物体の剛性係数を推定し、同剛性係数からロボットと被押圧物体との間の目標とする粘性係数を算出し、同粘性係数に応じた押圧力でアームが被押圧物体を押圧すべく制御することとした。

発明を実施するための最良の形態

0013

本発明に係るロボットの力制御方法は、ロボットのアームの先端で被押圧物体を押圧する際の押圧力を制御するための力制御方法において、被押圧物体をNC工作機械によって加工する際に用いられるCLデータに基づいてアームの位置及び姿勢を算出し、アームが被押圧物体の表面に沿って移動しながらアームの先端で被押圧物体を押圧すべく制御するものである。

0014

そのため、煩雑な教示作業を行わないでもロボットのアームを被押圧物体の表面に沿って移動させる倣い制御を行うことができる。

0015

また、アームの先端に設けた力センサーの検出値から目標とする押圧力との差である力偏差を算出し、サンプリング時間毎の力偏差と同力偏差の変化量とに基づいてアームの位置及び姿勢を算出し、アームが被押圧物体の表面に沿って移動しながらアームの先端で被押圧物体を押圧すべく制御することにより、被押圧物体を押圧する押圧力の偏差を抑制することができるものである。

0016

特に、アームの先端に設けた力センサーの検出値に基づいてファジィ環境モデルを用いて被押圧物体の剛性係数を推定し、同剛性係数からロボットと被押圧物体との間の目標とする粘性係数を算出し、同粘性係数に応じた押圧力でアームが被押圧物体を押圧すべく制御することにより、被押圧物体の物理特性が未知であっても、オーバシュート振動を抑えたロボットの力制御を行うことができ、これにより、ロボットに木質材料の研磨作業等のアームと被押圧物体とが所定の押圧力で接触した状態で行う作業を行わせることができるものである。

0017

また、遺伝的アルゴリズムを用いてファジィ環境モデルを学習させることにより、学習効果を得ることができ、汎用性を有する力制御を行うことができるものである。

0018

また、被押圧物体の剛性係数として推定した剛性係数を用いた場合に、ロボットと被押圧物体とで構成する系が臨界減衰条件を満足する粘性係数を算出することにより、力制御の応答が、オーバシュートや振動の抑えられた好ましい応答である臨界減衰応答となり、安定したロボットの力制御を行うことができるものである。

0019

以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。

0020

まず、位置指令インピーダンス制御法の導出を行う。

0021

図1に、6自由度を有するロボット1の模式図を示す。ロボット1は、アーム2の先端で被押圧物体3に当接しており、アーム2の先端には、力センサーを配設している。かかるロボット1のアーム2の先端の望ましいインピーダンス特性として次式を考える。

0022

また、

0023

式(1) は、HCC(桂川・五百井・久保田・野呂、産業用ロボットにおけるハイブリッド・コンプライアンス/力制御、日本ロボット学会誌、12-6(1994)、893-898 )の望ましいインピーダンス特性の目標剛性Kd にかかるスイッチ行列Sを省いた形となっている。対象物の特性が既知である場合には、目標位置も考慮することで応答を改善することができるので、力制御を行っている方向への位置制御も扱うものとする。但し、目標位置に現在の位置を入力すれば、この項の影響は相殺できる。

0024

式(1) は、S=Eのとき全方向コンプライアンス制御系となり、S=0のとき全方向力制御系となる。

0025

次に、作業座標系でのマニピュレータ運動方程式を次式とする。

0026

式(1) の望ましい応答において、加速度が安定性に影響しないとすることで実慣性項を無視できることから(桂川・五百井・久保田・野呂、産業用ロボットにおけるハイブリッド・コンプライアンス/力制御、日本ロボット学会誌、12-6(1994),893-898) 、X:=x−xd とおき、システム行列をA、制御行列をB、制御入力をuとすると式(3) に示す状態方程式が得られる。

0027

このとき、サンプリング幅△tを用いて式(4) の離散時刻kでの解を求める。

0028

まず、

0029

よって、X(k)=x(k) −xd (k) とすると次の離散時間の位置指令型操作量再帰式が得られる。

0030

次に、図1に示すように、アーム2の先端を傾斜角度θの被押圧物体3に垂直方向から目標力s fd で接触させる力制御を行う場合を考える。但し、添え字Sはセンサー座標系での値を示す。この場合、ロボットベース座標系もとづくセンサー座標系の回転行列B Rs は次のようになる。

0031

よって、ロボットベース座標系での目標力fd は次式のようになる。
fd = BRs s fd (8)

0032

例えば、s fd [0 0 sfdz][N]とすれば、fd =[−s f dZ sin( θ) 0 s fdZ cos( θ) ][N]となる。

0033

次に、被押圧物体3の物理特性として粘性係数Bm と剛性係数Km を考慮する。この場合、アーム2の先端が被押圧物体3との接触により次式の外力Fを受けるものとする。

0034

提案する位置指令型インピーダンス制御法は、オーバーシュートや振動を抑えた力制御を実現するために、目標粘性指針値としてこの

0035

次に、位置指令型インピーダンス制御法を用いて力制御を行う場合、被押圧物体3の粘性に関する情報が力制御特性にどのような影響を及ぼすかを検証する。

0036

まず、剛性と粘性がそれぞれ表1、表2のように異なる計16とおりの被押圧物体3で式(9) に示す外力を考え、図1の力制御実験を行う。

0037

但し、被押圧物体3のx、z方向の物理特性は等しい、つまりKm1=Km3、Bm1=Bm3、と仮定する。このとき、式(10)の目標粘性

0038

これにより、被押圧物体3の粘性係数が正確に推定されている場合とそうでない場合との力制御特性を比較する。シミュレーションは、PUMA560マニピュレータの運動学パラメータ動力学パラメータを用い(Corke,P. 、A Robotics Toolbox for MATLAB 、IEEE Robotics & Automation Magazine 、March(1996) 、24-32.) 、ルンゲクッタ法により行った。シミュレーション時間は2 s 、サンプリング間隔は10 ms である。

0039

図2図5はそれぞれ、表1の各Km に対するBm の組み合わせを表2のように4とおりに変えたときの力の応答を比較したものである。

0040

その結果、Bm の違いによる4とおりの力応答の差異はほとんど見当たらないことから、被押圧物体3の粘性が正確に推定されなくても、力制御系の安定性には影響ないことがわかる。これは、マニピュレータの力制御における不安定性の原因として、被押圧物体3の剛性の影響が非常に大きいというAnらの報告と一致している。

0041

以上の予備的実験結果から、被押圧物体3の剛性を推定することができれば、オーバーシュートや振動を抑えた安定な力制御を実現できることがわかった。

0042

そこで、以下では遺伝的アルゴリズム(GA)で学習したファジィ環境モデルを用いて被押圧物体3の剛性係数を推定する位置指令型インピーダンス制御法について考える。

0043

ファジィ環境モデルは、単一入出力の簡略化推論法で被押圧物体3の剛性の推定を行う。ここでは、図1の力制御問題を例にして、ファジィ環境モデルの構成法について述べる。

0044

まず、アーム2の先端に作用する力とアーム2の先端の位置をそれぞれ、fT=[fx(t) 0 fz(t)]、xT =[x(t) y(t) z(t)φ(t) θ(t) ψ(t) ]とし、x、z方向への推論を独立に行うものとする。但し、それぞれの推論入力は、次式のようにする。

0045

このとき、x方向のファジィ規則は以下のように構成する。

0046

図6に、ファジィ環境モデルを用いた位置指令型インピーダンス制御法のブロック線図を示す。ファジィ環境モデルは、力センサからのフィードバック情報をもとに被押圧物体3の剛性係数を推定し、この推定値

0047

従来、ファジィルールの設計や調整は、経験的に得られた知識を用いて、思考錯誤により行われていたため、設計者の大きな負担となっていた。これは、αj、βj 、γj の選定方法には確定的なものがないことを意味する。

0048

そこで、GAを用いてファジィ環境モデルを効率的に自動生成する方法を考える。

0049

まず、ファジィルールの表現型をαj 、βj 、γj とし、遺伝子コードはそれぞれの値を16ビット2値化する。1個体は、図7のように5ルール(L=5) で構成する。

0050

次に、各個体の評価は、図6提案手法図1に示した力制御問題に適用することで行う。各個体の適応度Ev は、式(16)に示すようにサンプリング間隔△tごとのアーム2の先端に作用する力fと目標の接触力fd との誤差の2乗和とする。

0051

力制御特性には被押圧物体3の剛性が大きく作用し、粘性の影響は非常に小さいことから、粘性をBm =diag(15,0,15,0,0,0) Ns /m に固定し、剛性のみを表4のように変える7とおりの条件で学習させた。

0052

図8は、実際の被押圧物体3の剛性係数Km1( またはKm3) と定常状態でのファジィ環境モデルの学習により得られた推定剛性係数

0053

図9実線グラフは、

0054

これらの学習結果から、次のことがいえる。被押圧物体3の剛性係数が1000 N/m付近までは系の臨界減衰応答を満足する目標粘性を用いることで、オーバーシュートや振動のない好ましい力制御応答を得ることができる。しかし、被押圧物体3の剛性係数がそれ以上になるとオーバーシュートや振動を抑えることができなくなり、より大きな目標粘性が必要となる。このため、被押圧物体3が硬くなるにつれて、ファジィ環境モデルから推定された剛性係数は真値よりも非常に大きくなっている。さらに、被押圧物体3の剛性係数の真値と望ましい粘性係数には、比例に近い関係があることがわかる。

0054

被押圧物体3の剛性変化に対してロバストな力制御機能を実現するために、ここでは汎化性を有するファジィ環境モデルの構築試みる。そのため、ファジィ環境モデルの後件定数値図8推定値を積極的に用いる方法を提案する。

0055

これら7とおりの条件における学習効果の具体例として、Km =diag(17500,0,17500,0,0,0) のときの各世代の平均適応度と最小適応度の変化を図10に示す。遺伝的操作により、世代交代とともにより優れた個体が深索されていることがわかる。

0056

図11と表5には、100 世代終了時の最小適応度をもつ個体の前件メンバシップ関数と後件部定数値をそれぞれ示す。

0057

図12は、この学習されたファジィ環境モデルから被押圧物体3の剛性係数を推定し、推定値を式(10)に代入することで得られる目標粘性を用いたときの力応答のシミュレーション結果である。確かにオーバーシュートや振動のない好ましい力制御特性が得られていることがわかる。尚、図13と図14には、このときの被押圧物体3の剛性係数の推定値と目標粘性の変化をそれぞれ示す。

0059

まず、前件部ファジィ集合は、ラベル数を6とするガウス型メンバシップ関数で構成する。それらを台集合[3500,21000]上に等間隔に配置するため、各メンバシップ関数の中心値は、表4(2)-(7) に示したKm1(またはKm3)とする。

0060

また、隣り合うメンバシップ関数同士が、適合度0.5 で交わるように標準偏差を1750とする。後件部の設計の際には、前件部のラベル数と同数の後件部モデルを作成する。後件部定数値は、前件部の各メンバシップ関数の中心値を図8横軸の値とすることで得られる推定剛性係数を用いる。

0061

図15と表6には、設計した前件部メンバシップ関数と後件部定数値をそれぞれ示す。

0062

次に、設計したファジィ環境モデルを用いて位置指令型インピーダンス制御法のロバスト性を評価した。ここでは、表7に示す4とおりの学習していない条件の下で力制御シミュレーション実験を行った。

0063

図16に、その結果を示す。アーム2の先端に作用する外力が、どの条件に対してもオーバーシュートや振動を伴うことなく、力の目標値の変化に対して良好に追従していることがわかる。このように、提案方法は学習していない条件の下でも有効であることが確認できる。

0064

以上のように、本実施例では、ロボット1のアーム2の先端に力センサーを設けておき、同力センサーの検出値に基づいてファジィ環境モデルを用いて被押圧物体3の剛性係数を推定し、同剛性係数からロボット1のアーム2の先端と被押圧物体3との間で目標とする粘性係数を算出し、同粘性係数に応じた押圧力でアーム2が被押圧物体3を押圧すべく制御するようにしている。

0065

そのため、被押圧物体3の物理特性が未知であっても、オーバシュートや振動を抑えたロボット1の力制御を行うことができる。

0066

しかも、遺伝的アルゴリズムを用いてファジィ環境モデルを学習させることにより、学習効果を得ることができ、汎用性を有する力制御を行うことができる。

0067

また、被押圧物体の剛性係数として推定した剛性係数を用いた場合に、ロボット1と被押圧物体3とで構成させる系が臨界減衰条件を満足する粘性係数を算出することにより、力制御の応答がオーバシュートや振動の抑えられた好ましい応答である臨界減衰応答となり、安定したロボット1の力制御を行うことができる。

0068

次ぎに、被押圧物体をNC工作機械によって加工する際に用いられるCLデータに基づいてアームの位置及び姿勢を算出し、アームが被押圧物体の表面に沿って移動しながらアームの先端で被押圧物体を押圧すべく制御する方法について説明する。

0069

まず、前述したと同様に、6自由度を有するロボット1のアーム2の先端の望ましいインピーダンス特性として式(1) を考える。

0070

式(1) の望ましい応答において、加速度は制御の対象としないものとして、実慣性項を無視し、サンプリング幅Δtを用いて離散時刻kでの解を求めると、次式の位置指令型操作量の再帰式が得られる。

0071

式(17)から得られる作業座標系での操作量x(k)を逆キネマティクスにより各関節角度θ(k) に変換し、サンプリング間隔毎にθ(k) をサーボ系への目標値として与えることで、アーム2と被押圧物体3との間に作用する接触力Fを目標値Fd に追従させることができる。

0072

一方、被押圧物体3がCADCAMシステムで設計され、NC工作機械で加工されている場合には、被押圧物体3の形状に関する情報としてCLデータが生成される。かかるCLデータのnステップ成分(CLn∈R6 )は、位置ベクトル[xn yn zn ]T とその点における法線ベクトル[vxn vyn vzn ]Tから構成され、次式のように与えられる。

0073

本実施例では、式(18)で与えられる位置・姿勢情報をもとにサンプリング間隔毎の目標とする軌道を生成可能な位置補償器を提案する。すなわち、式(18)で与えられる位置・姿勢情報を、力制御を行う方向のフィードフォワード量として、或いは、位置/姿勢制御を行う方向の目標軌道として用い、式(17)のx d (k) に入力することにより、教示作業を伴わない倣い制御を提供する。

0074

位置補償器は、ロボット1のアーム2を被押圧物体3の表面に法線方向から目標の力で接触させたまま移動させるために、CLデータを用いて目標軌道を算出する。

0075

本実施例では、アーム2のy方向への傾斜はなく(vy=0)、y方向における位置は一定(y=constant)と仮定し、操作量x(k)はCLデータの刻みに比べて非常に微少であることから、x方向の移動速度を基準として、直線近似により求める(図17参照)。

0076

z方向の目標の位置zd (k) は次式から求めることができる。

0077

目標とする姿勢ベクトル[vxn vyn vzn ]T も同様に求めることができる。この姿勢ベクトルは、逆キネマティクスへ入力するためにZ−Y−Zオイラー角[φ(k) θ(k) ψ(k) ]T に変換する。

0078

図18及び図19にこの位置補償器を用いた制御系のブロック線図を示す。ここでは、倣い制御を行うためにスイッチ行列S' =diag(S'1,....,S'6)を用いて位置・姿勢制御系と力制御系をハイブリッドに制御している。すなわち、対角成分が0の方向は力制御系となり、対角成分が1の方向は位置・姿勢制御系となる。

0079

図18において、力制御を行う方向では、力偏差(f−fd )に力フィードバックゲインKf と目標粘性Bd の逆数を乗じ、それに位置補償器からの補正量[x d (k) −x d (k-1) ]と

0080

また、位置・姿勢制御を行う方向では、位置補償器からの目標軌道との位置偏差(xd (k)-x)に位置フィードバックゲインKp を乗じたものを位置指令値としている。

0081

それぞれの方向の指令値を加えたx(k)は、逆キネマティクスにより各関節の角度ベクトルθ(k) に変換され、サーボへの目標値として入力される。

0082

このように、本実施例では、被押圧物体3をNC工作機械によって加工する際に用いられるCLデータに基づいてアーム2の位置及び姿勢を算出し、アーム2が被押圧物体3の表面に沿って移動しながらアーム2の先端で被押圧物体3を押圧すべく制御しているため、煩雑な教示作業を行わないでもロボット1のアーム2を被押圧物体3の表面に沿って移動させる倣い制御を行うことができる。

0083

しかも、位置指令型の力制御であることから、オープンアーキテクチャ型の産業用ロボットに広く容易に適用することができる。

0084

次ぎに、本実施例の位置補償器を用いた力制御方法を実際にオープンアーキテクチャ型の産業用ロボットに適用し、木質系の被押圧物体3に対して制御実験を行うことで、その有効性について検証する。尚、実験で使用した産業用ロボットは川崎重工業製のPUMA型マニピュレータJS−10であり、アーム2の取付位置に力センサー4としてニッタ製の6軸力トルクセンサ取付けている。また、実験システムはロボット本体、サーボコントローラ制御用コンピュータ(PCFMV−6266T6:富士通製)から構成し、プログラム開発はWindowsNT上で川崎重工業が提供するVisualC++用のAPI(Application Programming Interface )を用いて行った。このAPIを用いた場合、サーボコントローラには最短で4msec毎に関節角度指令で操作量を与えることができる。

0085

図20に、実験用のワークとして用いた被押圧物体3の断面図を示す。被押圧物体3としては、NC加工後の木材を用いており、表面に逆目が発生していて、指で触るとかなりざらざらした粗い表面となっている。

0086

ロボット座標系におけるワークの位置決めは、手作業で行って、意図的に人為的な位置決め誤差を発生させることとした。

0087

実験では、金属製のアーム2を被押圧物体3に衝突させた後、目標の接触力2[kgf]で接触させたままP点からQ点に移動させる倣い制御を行った。倣いの基準となるx方向の速度は、4[mm/s]とし、力制御は、目標粘性を0.1 [kgfs/mm ]、力フィードバックゲインを0.35又は1.5 とし、位置フィードバックゲインを0.001 として、式(17)を用いて行った。尚、サンプリング幅は10[msec]とした。

0088

実験は、以下の3とおりを行った。
Case1:位置補償器を用いない場合
Case2:位置補償器を用いる場合(但し、アーム2の姿勢は図20に示したようにZ軸方向で固定した)
Case3:位置補償器を用いる場合(但し、アーム2が被押圧物体3に法線方向から接触するように姿勢も制御した)

0089

図21は、Case1における力の応答を示す。このとき、姿勢を表すZ−Y−Zオイラー角は(0 π 0)に固定し、力のフィードバックのみで制御を行った。図21より、被押圧物体3の表面形状に応じて力の偏差が発生していることがわかる。

0090

図22は、Case2における力の応答を示す。このとき、Case1と同様に姿勢は固定されたままであるが、CLデータ(CLn=[xn yn zn ])に基づく位置補償器を用いた。

0091

図23は、Case3における力の応答を示す。この場合には、CLデータ( CLn=[xn yn zn vxn vyn vzn ])に基づく位置補償器を用いており、アーム2の姿勢も制御している。また、工具座標系におけるz方向の力フィードバックゲインをKf3=1.5 と大きくすることで、より敏感な特性が得られている。

0092

以上の実験結果から、本実施例に係る位置補償器を用いることで、力の応答を改善できるだけでなく、煩わしい教示作業を行うことなく倣い制御を実現できることを確認した。

0093

次ぎに、アーム2の先端に設けた力センサー4の検出値から目標とする押圧力との差である力偏差を算出し、サンプリング時間毎の力偏差と同力偏差の変化量とに基づいてアーム2の位置及び姿勢を算出し、アーム2が被押圧物体3の表面に沿って移動しながらアーム2の先端で被押圧物体3を押圧するロボット1の力制御方法について説明する。

0094

ロボット1が倣い制御に適用される場合には、材料の剛性や形状の変化よって力偏差が発生するが、かかる力偏差は、目標の接触力との誤差であり、倣い制御中は限りなくであることが望ましい。そこで、本実施例では、力偏差を抑制するためのファジィ補償器を提供する。

0095

ファジィ補償器は、サンプリング時間毎の力偏差とその変化量に応じて、フィードフォワードコマンドとしての位置の補正値を生成するようにしている。以下に、x方向の力制御を例にファジィ補償器の動きを説明する。

0096

力偏差ex (k) と力偏差の変化量Δex (k) を次式のように定義する。

0096

本実施例に係るファジィ補償器では、例えばロボット座標系においてx方向のみの情報を用いる場合、ファジィルールは次のようになる。

0097

i番目のルールにおける前件部の適合度は、次式から得られる。

0098

ファジィ補償器が生成する位置の補償値は、次式で計算する。尚、その他の方向についても同様に計算することができる。

0099

図24及び図25は、位置指令型インピーダンス制御法にファジィ補償器を適用した場合のブロック線図を示す。

0100

次ぎに、PUMA560マニピュレータを用いた倣い制御のシミュレーション実験によって、ファジィ補償器の有効性を検証する。

0101

倣い制御のシミュレーション実験は、図24及び図25に示す手法を用いて、図26に示すように、ロボット1のアーム2の先端で被押圧物体3を法線方向から目標とする力で押圧しながら点Pから点Qに移動させる。この場合に、被押圧物体3のロボット座標系におけるx方向及びz方向の剛性は、図27に示すように、時間とともに動的に変化するものとする。

0102

図28及び図29は、前件部のメンバーシップ関数をそれぞれ示している。また、表8は、後件部の定数値を示す。

0103

シミュレーションは、PUMA560マニピュレータの運動学と動力学パラメータを用いた次の運動方程式を、ルンゲクッタ法で数値積分することで行った。

0104

図30は、ファジィ補償器を用いていない場合の力の応答を示している。被押圧物体3の剛性の変化により、力の応答が振動していることがわかる。

0105

一方、図31は、制御開始1秒後にファジィ補償器をONにした場合の力の応答を示している。このときにファジィ補償器が生成した位置の補償値を図32に示す。

0106

これらの実験結果から、被押圧物体3の特性の変化に起因する力偏差を抑制するために、ファジィ補償器が有効であることが確認できる。尚、図33に示すように、ファジィ補償器と前記位置補償器とを併用することもでき、この場合には、教示作業を行わないでも、ロボット1のアーム2を被押圧物体3の表面に沿って移動させる倣い制御を行うことができる。

0107

以上に説明したように、本実施例では、ロボット1のアーム2の先端で被押圧物体3を押圧する際の押圧力を制御するための力制御方法において、被押圧物体3をNC工作機械によって加工する際に用いられるCLデータに基づいてアーム2の位置及び姿勢を算出し、アーム2が被押圧物体3の表面に沿って移動しながらアーム2の先端で被押圧物体を押圧すべく制御しているため、煩雑な教示作業を行わないでもロボット1のアーム2を被押圧物体3の表面に沿って移動させる倣い制御を行うことができる。

0108

また、アーム2の先端に設けた力センサー4の検出値から目標とする押圧力との差である力偏差を算出し、サンプリング時間毎の力偏差と同力偏差の変化量とに基づいてアーム2の位置及び姿勢を算出し、アーム2が被押圧物体3の表面に沿って移動しながらアーム2の先端で被押圧物体3を押圧すべく制御しているため、被押圧物体3を押圧する押圧力の偏差を抑制することができる。

発明の効果

0109

さらに、アーム2の先端に設けた力センサー4の検出値に基づいてファジィ環境モデルを用いて被押圧物体3の剛性係数を推定し、同剛性係数からロボット1と被押圧物体3との間の目標とする粘性係数を算出し、同粘性係数に応じた押圧力でアーム2が被押圧物体3を押圧すべく制御しているため、被押圧物体3の物理特性が未知であっても、オーバシュートや振動を抑えたロボット1の力制御を行うことができ、これにより、ロボット1に木質材料の研磨作業等のアーム2と被押圧物体3とが所定の押圧力で接触した状態で行う作業を行わせることができる。

0110

本発明は、以上説明したような形態で実施され、以下に記載されるような効果を奏する。

0111

(1)本発明では、ロボットのアームの先端で被押圧物体を押圧する際の押圧力を制御するための力制御方法において、被押圧物体をNC工作機械によって加工する際に用いられるCLデータに基づいてアームの位置及び姿勢を算出し、アームが被押圧物体の表面に沿って移動しながらアームの先端で被押圧物体を押圧すべく制御しているため、煩雑な教示作業を行わないでもロボットのアームを被押圧物体の表面に沿って移動させる倣い制御を行うことができる。

0112

(2)本発明では、アームの先端に設けた力センサーの検出値から目標とする押圧力との差である力偏差を算出し、サンプリング時間毎の力偏差と同力偏差の変化量とに基づいてアームの位置及び姿勢を算出し、アームが被押圧物体の表面に沿って移動しながらアームの先端で被押圧物体を押圧すべく制御しているため、被押圧物体を押圧する押圧力の偏差を抑制することができる。

図面の簡単な説明

0113

(3)本発明では、アームの先端に設けた力センサーの検出値に基づいてファジィ環境モデルを用いて被押圧物体の剛性係数を推定し、同剛性係数からロボットと被押圧物体との間の目標とする粘性係数を算出し、同粘性係数に応じた押圧力でアームが被押圧物体を押圧すべく制御しているため、被押圧物体の物理特性が未知であっても、オーバシュートや振動を抑えたロボットの力制御を行うことができ、これにより、ロボットに木質材料の研磨作業等のアームと被押圧物体とが所定の押圧力で接触した状態で行う作業を行わせることができる。

--

0114

図1シミュレーション時におけるロボットを示す模式図。
図2Km1=Km3=5000の場合のシミュレーション結果を示すグラフ。
図3Km1=Km3=10000 の場合のシミュレーション結果を示すグラフ。
図4Km1=Km3=15000 の場合のシミュレーション結果を示すグラフ。
図5Km1=Km3=20000 の場合のシミュレーション結果を示すグラフ。
図6ロボットを制御する制御装置のブロック図。
図7遺伝子コードに変換されたファジィルールを示す模式図。
図8実際の剛性係数と推定した剛性係数との関係を示すグラフ。
図9実際の剛性係数と目標粘性との関係を示すグラフ。
図10平均適応度と最小適応度の変化を示すグラフ。
図11前件部メンバシップ関数を示すグラフ。
図12力応答のシミュレーション結果を示すグラフ。
図13剛性係数の変化を示すグラフ。
図14粘性係数の変化を示すグラフ。
図15統合化された前件部メンバシップ関数を示すグラフ。
図16学習していない環境でのシミュレーション結果を示すグラフ。
図17CLデータとx d (k) との関係を示す説明図。
図18ロボットを制御する制御装置のブロック図。
図19ロボットを制御する制御装置のブロック図。
図20実験用のワークを示す説明図。
図21Case1の力の応答を示すグラフ。
図22Case2の力の応答を示すグラフ。
図23Case3の力の応答を示すグラフ。
図24ロボットを制御する制御装置のブロック図。
図25ロボットを制御する制御装置のブロック図。
図26シミュレーション実験の概略を示す説明図。
図27被押圧物体の剛性の変化を示すグラフ。
図28e x (k) のための前件部ファジィ集合を示すグラフ。
図29Δe x (k) のための前件部ファジィ集合を示すグラフ。
図30ファジィ補償器がない場合の力の応答を示すグラフ。
図31ファジィ補償器を用いた場合の力の応答を示すグラフ。
図32ファジィ補償器が生成した位置の補償値を示すグラフ。
図33ロボットを制御する制御装置のブロック図。

0115

1ロボット
2アーム
3被押圧物体
4 力センサー

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