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図面 (4)

課題

癌性疼痛を評価するための癌性疼痛モデル動物及びそれを用いた癌性疼痛の強さの評価方法並びにそれらを用いた物質の癌性疼痛鎮痛効果を測定する方法を提供すること。

解決手段

癌又は腫瘍を有する、癌性疼痛の強さを評価するための癌性疼痛モデル動物、及びこの癌性疼痛モデル動物に侵害刺激を与え、該侵害刺激に対する逃避行動を観察することから成る癌性疼痛の強さの評価方法を提供した。

概要

背景

癌患者において最も頻度の高い症状は痛みであり、癌患者の38%が痛みを訴える(Foley,New Eng.J.Med.,313,84,1985)。末期患者だけを対象にすると約69%の患者が痛みを持っていると報告されている(Saunders,The Manag.Term.MalignantDis.,232,1984)。癌患者のQuality of Life(QOL)を保持しながら痛みを除去するには癌性疼痛発生機序の解明とその新しい鎮痛薬の開発が急務であるが、癌性疼痛の機序をヒトで研究することは困難である。これまで癌性疼痛を適切に評価できる動物モデルは無く、癌性疼痛の発生機序について本格的に取り組んだ基礎研究動物実験もない。また、癌性疼痛に有効な鎮痛薬の評価系もなかった。

このような評価系に近いものとして、これまでに座骨神経切断後のニューローマ形成時における動物活動度と体重変化を調べた報告(Chudler,Pain,17,341,1983)があるが、疑似手術群との差が体重変化で認められるのみで、疼痛との関連は全く調べられていない。また、DBA/2マウスリンフォーマ移植した報告(van Loo,Lab.Anima.,31,318,1997)もある。本報告では腫瘍細胞移植によると考えられる幾つかの行動学的変化がマウスに見られているが、疼痛との関連が明確ではない上に、通常用いられる鎮痛薬がこの行動学的指標の変化を改善しないことから、癌性疼痛動物モデルとしては充分ではない。また、マウスやラット脊髄に腫瘍細胞を移植した報告がある(Wu,Pain,56,203,1994)が、この報告ではこの移植により腫瘍細胞からのカテコラミン放出が原因と考えられる、疼痛反応とは逆の鎮痛効果が得られたと報告している。

癌による痛みには様々な原因があるといわれ、例えば癌組織による骨への転移末梢神経臓器への浸潤大血管への浸潤および圧迫、更に心因要因などが考えられている(Bonica,Adv.Pain Res.Ther.9,589,1985;Grond,Pain,64,107,1996)。しかし癌による痛みは単純な一つの原因で起こるのではなく、特に転移巣がある場合、非常に複雑で痛みが広範にわたる(花岡、痛みの概念の整理、82、1996)。また、癌の転移が進行した末期癌では多くの患者が疼痛を訴えることから、癌の転移・浸潤と疼痛には深い関連があると言われる。

ヒト以外の正常動物を用いて痛みを測定する方法は、主に、動物に外部から熱刺激電気刺激化学的刺激圧刺激など侵害刺激を与え、それらに対する動物の反射逃避反応を含む適応行動仮性疼痛反応として観察することで行われている(高ら、痛みの神経科学、245、1997)。しかしこれらの侵害刺激は癌による痛みの原因の一部でしかなく、癌性疼痛を反映する動物モデルとは言いがたい。また、近年、神経因性疼痛を含む慢性痛の動物モデルが数多く報告されている(G.J.Bennet&Y.K.Xie、Pain、33:87−107、1988:J.X.Hao、Pain、45:175−185、1991)が、これらも癌の転移・浸潤も包括した癌性疼痛モデルとしては充分なものではない。

一方、癌や腫瘍そのものの動物モデルは転移・浸潤のモデル動物も含め数多く報告されており(ヌードマウス抗癌剤評価,野ら編,1991:がんの浸潤・転移研究マニュアル,がん転移研究会編、1994)、既に抗腫瘍薬腫瘍転移抑制薬等の研究開発に用いられている。しかしながら、これら腫瘍動物モデルを痛みと関連づけ、更に癌性疼痛モデルとしたものは無い。

痛みの強い末期癌患者において、痛みの薬物治療主軸モルヒネであるが、モルヒネなどのオピオイド鎮痛薬依存性や多くの副作用を有するため、医師は臨床での使用において大きな制約を受ける。また、癌性疼痛の中で、モルヒネ抵抗性の痛みが一割あると言われている(Warncke,Pain,57,109,1994;Foley,Scientific America,275,164,1996)。従って、モルヒネに代わる癌性疼痛に有用な鎮痛薬の開発が望まれているが、いまだ実現には至っていない。

概要

癌性疼痛を評価するための癌性疼痛モデル動物及びそれを用いた癌性疼痛の強さの評価方法並びにそれらを用いた物質の癌性疼痛鎮痛効果を測定する方法を提供すること。

癌又は腫瘍を有する、癌性疼痛の強さを評価するための癌性疼痛モデル動物、及びこの癌性疼痛モデル動物に侵害刺激を与え、該侵害刺激に対する逃避行動を観察することから成る癌性疼痛の強さの評価方法を提供した。

目的

本発明の目的は、癌性疼痛を評価するための癌性疼痛モデル動物及びそれを用いた癌性疼痛の強さの評価方法並びにそれらを用いた物質の癌性疼痛鎮痛効果を測定する方法を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

癌又は腫瘍を有する、癌性疼痛の強さを評価するための癌性疼痛モデル動物

請求項2

移植された癌又は腫瘍を有する請求項1記載の癌性疼痛モデル動物。

請求項3

移植された皮膚癌を有する請求項2記載の癌性疼痛モデル動物。

請求項4

前記皮膚癌を足に移植された請求項3記載の癌性疼痛モデル動物。

請求項5

癌又は腫瘍移植後1週間以上経過した請求項1ないし4のいずれか1項に記載の癌性疼痛モデル動物。

請求項6

請求項1ないし5のいずれか1項に記載の癌性疼痛モデル動物に侵害刺激を与え、該侵害刺激に対する逃避行動を観察することから成る癌性疼痛の強さの評価方法

請求項7

請求項1ないし5のいずれか1項に記載の癌性疼痛モデル動物の、癌性疼痛に起因する行動を観察することから成る癌性疼痛の強さの評価方法。

請求項8

癌性疼痛の鎮痛効果を評価すべき物質を請求項1ないし5のいずれか1項に記載の癌性疼痛モデル動物に投与し、請求項6又は7記載の方法で癌性疼痛の強さを評価することにより該物質の癌性疼痛の鎮痛効果を測定することから成る、物質の癌性疼痛の鎮痛効果の評価方法。

請求項9

請求項8記載の評価方法により得られる物質。

技術分野

0001

本発明は、癌性疼痛を評価するための癌性疼痛モデル動物及びそれを用いた癌性疼痛の強さの評価方法並びにそれらを用いた物質の癌性疼痛の鎮痛効果測定方法に関する。

背景技術

0002

癌患者において最も頻度の高い症状は痛みであり、癌患者の38%が痛みを訴える(Foley,New Eng.J.Med.,313,84,1985)。末期患者だけを対象にすると約69%の患者が痛みを持っていると報告されている(Saunders,The Manag.Term.MalignantDis.,232,1984)。癌患者のQuality of Life(QOL)を保持しながら痛みを除去するには癌性疼痛の発生機序の解明とその新しい鎮痛薬の開発が急務であるが、癌性疼痛の機序をヒトで研究することは困難である。これまで癌性疼痛を適切に評価できる動物モデルは無く、癌性疼痛の発生機序について本格的に取り組んだ基礎研究動物実験もない。また、癌性疼痛に有効な鎮痛薬の評価系もなかった。

0003

このような評価系に近いものとして、これまでに座骨神経切断後のニューローマ形成時における動物活動度と体重変化を調べた報告(Chudler,Pain,17,341,1983)があるが、疑似手術群との差が体重変化で認められるのみで、疼痛との関連は全く調べられていない。また、DBA/2マウスリンフォーマ移植した報告(van Loo,Lab.Anima.,31,318,1997)もある。本報告では腫瘍細胞移植によると考えられる幾つかの行動学的変化がマウスに見られているが、疼痛との関連が明確ではない上に、通常用いられる鎮痛薬がこの行動学的指標の変化を改善しないことから、癌性疼痛動物モデルとしては充分ではない。また、マウスやラット脊髄に腫瘍細胞を移植した報告がある(Wu,Pain,56,203,1994)が、この報告ではこの移植により腫瘍細胞からのカテコラミン放出が原因と考えられる、疼痛反応とは逆の鎮痛効果が得られたと報告している。

0004

癌による痛みには様々な原因があるといわれ、例えば癌組織による骨への転移末梢神経臓器への浸潤大血管への浸潤および圧迫、更に心因要因などが考えられている(Bonica,Adv.Pain Res.Ther.9,589,1985;Grond,Pain,64,107,1996)。しかし癌による痛みは単純な一つの原因で起こるのではなく、特に転移巣がある場合、非常に複雑で痛みが広範にわたる(花岡、痛みの概念の整理、82、1996)。また、癌の転移が進行した末期癌では多くの患者が疼痛を訴えることから、癌の転移・浸潤と疼痛には深い関連があると言われる。

0005

ヒト以外の正常動物を用いて痛みを測定する方法は、主に、動物に外部から熱刺激電気刺激化学的刺激圧刺激など侵害刺激を与え、それらに対する動物の反射逃避反応を含む適応行動仮性疼痛反応として観察することで行われている(高ら、痛みの神経科学、245、1997)。しかしこれらの侵害刺激は癌による痛みの原因の一部でしかなく、癌性疼痛を反映する動物モデルとは言いがたい。また、近年、神経因性疼痛を含む慢性痛の動物モデルが数多く報告されている(G.J.Bennet&Y.K.Xie、Pain、33:87−107、1988:J.X.Hao、Pain、45:175−185、1991)が、これらも癌の転移・浸潤も包括した癌性疼痛モデルとしては充分なものではない。

0006

一方、癌や腫瘍そのものの動物モデルは転移・浸潤のモデル動物も含め数多く報告されており(ヌードマウス抗癌剤評価,野ら編,1991:がんの浸潤・転移研究マニュアル,がん転移研究会編、1994)、既に抗腫瘍薬腫瘍転移抑制薬等の研究開発に用いられている。しかしながら、これら腫瘍動物モデルを痛みと関連づけ、更に癌性疼痛モデルとしたものは無い。

0007

痛みの強い末期癌患者において、痛みの薬物治療主軸モルヒネであるが、モルヒネなどのオピオイド鎮痛薬依存性や多くの副作用を有するため、医師は臨床での使用において大きな制約を受ける。また、癌性疼痛の中で、モルヒネ抵抗性の痛みが一割あると言われている(Warncke,Pain,57,109,1994;Foley,Scientific America,275,164,1996)。従って、モルヒネに代わる癌性疼痛に有用な鎮痛薬の開発が望まれているが、いまだ実現には至っていない。

発明が解決しようとする課題

0008

本発明の目的は、癌性疼痛を評価するための癌性疼痛モデル動物及びそれを用いた癌性疼痛の強さの評価方法並びにそれらを用いた物質の癌性疼痛鎮痛効果を測定する方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0009

本願発明者らは、鋭意研究の結果、癌又は腫瘍を有するモデル動物を用いて癌性疼痛の強さを評価することが可能であることを見出し、本発明を完成した。

0010

すなわち、本発明は、癌又は腫瘍を有する、癌性疼痛の強さを評価するためのヒト以外の癌性疼痛モデル動物を提供する。また、本発明は、上記本発明の癌性疼痛モデル動物に侵害刺激を与え、該侵害刺激に対する反応を観察することから成る癌性疼痛の強さの評価方法を提供する。また、本発明は、上記本発明の癌性疼痛モデル動物の、癌性疼痛に起因する行動を観察することから成る癌性疼痛の強さの評価方法を提供する。さらに、本発明は、癌性疼痛の鎮痛効果を評価すべき物質を上記本発明の癌性疼痛モデル動物に投与し、上記本発明の方法で癌性疼痛を評価することにより該物質の癌性疼痛の鎮痛効果を測定することから成る、物質の癌性疼痛の鎮痛効果の評価方法を提供する。さらに本発明は、上記評価方法により得られる癌性疼痛に対する鎮痛効果を有する物質を提供する。

発明を実施するための最良の形態

0011

本発明における「癌性疼痛」とは、原発腫瘍、転移腫瘍をとわず、癌または腫瘍が関与する全ての痛みを包含するものである。

0012

本発明の癌性疼痛モデル動物の動物種としては、ヒト以外の哺乳動物であれば何ら限定されるものではなく、例えば、マウス、ラット、スナネズミモルモットウサギブタイヌサルなどがあげられるが、齧歯類が好ましく、特にマウスが好ましい。

0013

本発明に用いられる癌または腫瘍の形成は自然発生であっても人工的であっても良いが簡便な動物モデルとしては人工的なものであることが望ましい。また人工的に癌・腫瘍を形成させる方法は化学物質暴露を長期にわたって行う方法なども可能であるが、好ましくは可移植性の腫瘍細胞または腫瘍組織を移植する方法を用いる。さらに好ましくは可移植性の培養腫瘍細胞を移植する。

0014

癌又は腫瘍の由来は何ら限定されるものではなく、いずれの器官又は組織由来のものであってもよく、例えば気道食道、腸、肝臓腎臓膵臓脾臓膀胱乳房リンパ節卵巣精巣、脳、および皮膚由来の癌又は腫瘍を挙げることができる。これらのうち、癌性疼痛の強さの評価を容易かつ正確に行えることから、メラノーマ細胞等の、皮膚由来の癌又は腫瘍細胞を用いることが好ましい。また、癌又は腫瘍の由来動物は、特に限定されず、上記したモデル動物の動物種と同様な種由来の癌又は腫瘍を用いることができるが、移植・生着または転移を容易に成立させるために、モデル動物の種と同種の動物由来の癌又は腫瘍を移植することが好ましい。もっとも、ヌードマウスやSCIDマウス等の免疫不全動物を用いる場合は何ら限定されない。

0015

癌又は腫瘍細胞の移植は、皮内、皮下、静脈内、経気管的など様々な経路で、肺、脾臓、肝臓、腎臓、皮膚、四肢、脳など様々な部位に移植する方法がとられるが、癌性疼痛の強さの評価を容易かつ正確に行えることから足、特に足蹠、さらには後足蹠皮内に移植することが好ましい。また、移植・生着または転移を容易に成立させるために、癌又は腫瘍細胞の由来器官又は組織と同じ器官又は組織に移植することが好ましい。従って、最も好ましい態様では、皮膚癌細胞を足蹠皮下又は皮内に移植する。

0016

移植する癌又は腫瘍細胞の数は、特に限定されず、用いる動物種や癌又は腫瘍の種類等に基づき適宜選択されるが、例えばマウスの後足蹠にメラノーマ細胞を移植する場合には、通常、104〜106個、好ましくは1x105〜5x105個程度の細胞緩衝液中に浮遊させた液を皮下注射することが好ましい。

0017

癌細胞又は腫瘍細胞を移植した場合、移植された癌細胞又は腫瘍細胞が生着した後の方が癌性疼痛が大きくなり、疼痛に対して鋭敏になるので、鎮痛効果の評価等をより高感度かつ正確に行うことができるので好ましい。癌細胞又は腫瘍細胞の生着による疼痛の増大は、下記実施例において具体的に示されるように、移植後1週間程度から観察され始め、移植約2週間後には疼痛は大幅に増大する。従って、癌性疼痛モデル動物としては、癌又は腫瘍細胞移植後1週間以上、さらに好ましくは2週間以上経過したものが好ましい。

0018

上記本発明の癌性疼痛モデル動物の癌性疼痛の強さの評価は、癌性疼痛モデル動物に侵害刺激を与え、該侵害刺激に対する反応を観察することにより行うことができる。例えば、侵害刺激開始から逃避行動が起きるまでの時間(潜時)を測定することにより癌性疼痛の強さを評価することができる。すなわち、癌性疼痛が強い程、潜時が短くなるので、潜時を測定することにより、その癌性疼痛モデル動物の疼痛の強さを評価することができる。なお、侵害刺激としては、熱刺激、電気刺激、化学的刺激及び圧刺激等を挙げることができる。これらのうち、特に熱刺激が好ましい。

0019

癌性疼痛モデル動物の癌性疼痛の強さの評価はまた、癌性疼痛モデル動物の、癌性疼痛に起因する行動を観察することによっても行うことができる。例えば、癌性疼痛モデル動物が、癌又は腫瘍を移植された部位を舐める頻度を測定することにより癌性疼痛の強さを評価することができる。すなわち、癌性疼痛が強い程、移植部位を舐める頻度が高くなるので、舐める頻度を測定することにより癌性疼痛の強さを評価することができる。

0020

これらの方法により、癌性疼痛モデル動物の癌性疼痛の強さを測定することができるので、本発明の癌性疼痛モデル動物を用いて、物質の鎮痛効果の有無及び大きさを測定することができる。すなわち、複数の本発明の癌性疼痛モデル動物を2群に分け、一群に鎮痛効果を評価すべき物質を投与し、他の群を対照群として両群の癌性疼痛の強さを上記の方法により測定する。物質が鎮痛効果を有する場合には、投与群において癌性疼痛が弱くなるので、該物質が鎮痛効果を有するか否かを調べることができ、また、癌性疼痛がどの程度弱くなるかを調べることにより鎮痛効果の大きさを測定することができる。従って、本発明の方法により種々の物質について、その癌性疼痛に対する鎮痛効果を評価することにより、癌性疼痛に対する鎮痛薬として利用可能な物質をスクリーニングすることができ、癌性疼痛に対する鎮痛効果を有する物質を得ることができる。なお、本明細書において、「鎮痛効果の評価」とは、鎮痛効果を有するか否かを調べること及び鎮痛効果の大きさを調べることの両者が包含される。

0021

本発明により得られる癌性疼痛の鎮痛効果を有する物質を、癌性疼痛の治療に用いることができる。上記物質を癌性疼痛治療剤として使用する際には、一種のみならず数種を有効成分として使用できる。これらの化合物は、医薬品用途にまで純化され、必要な安定性試験合格した後、そのまま、または公知の薬理学的に許容される酸、担体賦形剤などと混合した医薬組成物として、経口または非経口的に投与することができる。投与形態として、例えば注射剤錠剤カプセル剤顆粒剤散剤シロップ剤などによる経口剤、座剤による経腸投与等を挙げることができる。上記医薬組成物は、有効成分を1〜90重量%、より好ましくは30〜70重量%含有することが望ましい。その使用量は症状、年齢、体重、投与方法等に応じて適宜選択されるが、成人に対して、注射剤の場合、有効成分量として1日0.0001 mg〜1gであり、経口剤の場合、0.005 mg〜10gであり、それぞれ1回または数回に分けて投与することができる。

0022

以下、本発明を実施例に基づきより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。

0023

実施例1
雄性C57BLマウス(約25g)は、1ケージ当たり1013匹の状態で、室温22±1℃、湿度55±10%、12時間明暗サイクル明期:午前7時午後7時)の環境下で飼育した。飼料(CE-2:日本クレア製)と水は自由に摂取させた。

0024

B16-BL6メラノーマ細胞(Sato,Jpn.J.Cancer Res.,83,1081,1992)は7.5%Fetal Bovine Serum、vitamin solution,sodium pyruvate、非必須アミノ酸およびL-glutamineを含んだEagles's minimal essential mediumで単層培養した(Hart,Am.Assoc.Pathologists,93,587,1979)。このメラノーマ細胞を、20mL phosphate-buffered saline中に2×105個となるように調整し、マウスの片側後肢の足蹠に、ディスポーザブル0.5mL注射筒を用いて皮下移植した。対側後足には、対照として20μlのPBSを投与した。メラノーマ細胞移植後経日的に後肢輻射熱刺激法(paw-radiant heat法)により、熱刺激に対する侵害受容(疼痛)反応を測定した。すなわち、熱刺激鎮痛検定装置(Ugo Basil,Milan,Italy)を用いて、拘束下にマウス後肢足蹠に一定の強度の輻射熱を当てて惹起される逃避行動を仮性疼痛反応の指標とし、刺激開始からの逃避行動が起こるまでの潜時を自動的に測定した。輻射熱の強度は無処置下での平均潜時が約13秒となるように設定し、cut off timeは21秒とした。反応潜時を3回測定し、それらの平均値測定値とした。結果を図1に示した。メラノーマ細胞移植後5日目から移植側後肢の侵害受容反応の潜時が短縮し始め、1週間後には反応潜時の短縮(侵害受容反応が増大)が軽度ながら有意になり、その後数日間比較的安定した反応を示した後、10日目頃から反応潜時が再び更に短縮し始め、2週間目には急速,顕著な反応潜時の短縮が見られた。PBSを注射した対側後足および無処置群の後足の侵害受容反応も図1に示したが、観察期間中明らかな変化は見られなかった。メラノーマ細胞移植後1週間目の反応潜時の変化は、カラゲニン炎症による反応潜時の変化とほぼ同程度であった(図1)が、2週間目の反応潜時の変化は、カラゲニン炎症による変化とは明らかに異なり、極めて著しいものであったことから、これまで知られている薬物誘発痛過敏モデルとは、全く異なる癌性疼痛モデルであることが明らかとなった。

0025

実施例2
癌組織中の液性因子生体の疼痛反応を増大する可能性をしらべるため、癌組織抽出液を調製した。すなわち、メラノーマ細胞移植後8日目および16日目に、癌移植部位の組織を摘出し、組織重量の9倍の超純水を加えて、ホモジナイズ(2500 rpm, 10 stroke)した。ホモジネート遠心分離(25000×g, 20 min)し上清を得た。ここまでの抽出操作は全て4 ℃で行ない、上清は凍結乾燥後実験に使用するまで-80 ℃で保存した。凍結乾燥前の上清の容量に対して10分の1量のsalineに溶解したものをマウスの後肢足蹠に20μL投与した。その結果、移植後8日目の癌移植部組織抽出液は、反応潜時に有意な影響を及ぼさなかったが、移植後16日目の癌移植部組織抽出液が反応潜時を有意に短縮した(図2)。反応潜時短縮は、投与後30分がピークで、1時間後にほぼ投与前のレベル回復した。このことから癌組織中の液性因子が生体の疼痛反応を引き起こす、あるいは増大することが確認された。

0026

実施例3
実施例1に示した同様の方法を用い、雄性C57BLマウスの片側後肢の足蹠にB16-BL6メラノーマ細胞を皮下移植した。侵害受容反応の反応潜時が軽度で安定していた移植後8日目、および反応潜時の著しい短縮が安定して観察された移植後16日目にモルヒネ(三共)を単回投与して鎮痛効果を調べた。モルヒネは生理食塩水(大塚製薬製)に溶解し、皮下に投与した。図3に結果を示した。メラノーマ細胞移植により短縮した反応潜時は、移植後8日目、16日目ともにモルヒネの投与用量に依存して延長し、8日目では1mg/kgで、16日目では5mg/kgで反応潜時をほぼ健常値のレベルにまで回復させた。

0027

このことから当該モデルを用いて癌性疼痛の除痛を目的とした医薬品のスクリーニング、評価が可能であることが確認された。

0028

実施例4
実施例1に示した方法と同様に、雄性C57BLマウスの片側後肢の足蹠にB16-BL6メラノーマ細胞を皮下移植した。対側後足には,対照として20μlのPBSを投与した。メラノーマ細胞移植後経日的に本モデル自発痛の指標として、マウスの後肢の舐め行動を測定した。足舐め行動の観察はマウスを、四つに仕切ったアクリル製観察ケージ(22cm×22cm×24cm)に入れ、ビデオカメラを用いてケージの下からマウスの行動を無人環境下に1時間撮影し、ビデオ再生により行った。なお、マウスは実験環境順応させるために、実験前に少なくとも1時間観察ケージ中に放置した。その結果を図4に示した。メラノーマ細胞移植後足の舐め行動は、移植後18日目から、PBSを注射した対側後足に比較して有意に増加した。このことから本モデルが、腫瘍を移植した部位への自発的仮性疼痛反応を指標にすることでも癌性疼痛を評価できる動物モデルであることが示された。

0029

以上の結果から、癌または腫瘍に関連した疼痛反応を発現させることを特徴とするモデル動物が作成可能であることが明らかとなった。また、当該モデル動物を用いて、物質の癌性疼痛に対する鎮痛効果の評価が可能であることが判明した。

発明の効果

0030

本発明により、癌性疼痛を評価するために用いられる癌性疼痛モデル動物及びそれを用いた癌性疼痛の強さの評価方法が初めて提供された。本発明の癌性疼痛モデル動物およびその動物を用いた鎮痛薬の評価方法によって、癌または腫瘍に関連する痛みに対する薬物の鎮痛効果を判定し、それらの痛みを治療するための医薬品、またはそれら痛みにともなう疾患(精神疾患心疾患等)を予防もしくは治療するための医薬品を開発する目的で薬剤のスクリーニングが可能となり、更に癌性疼痛の発生機序についての基礎的研究を行うモデル動物を提供することとなり、癌性疼痛に対する鎮痛薬の開発にきわめて大きな貢献を果たすことができる。

図面の簡単な説明

0031

図1実施例1で調べた、メラノーマをマウスに移植した後の疼痛閾値の変化を示す図である。
図2実施例2で調べた、癌組織中の液性因子による生体疼痛反応への影響を示す図である。
図3実施例3で調べた、癌移植による疼痛閾値低下に対するモルヒネの効果を示す図である。
図4実施例4で調べた、メラノーマを移植した後肢への足舐め行動の変化を示す図である。

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