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技術 白色腐朽菌の培養方法ならびに難分解性物質の処理方法および処理剤

出願人 栗田工業株式会社
発明者 内田敏仁近藤隆一郎
出願日 1999年8月2日 (20年7ヶ月経過) 出願番号 1999-218496
公開日 2001年2月20日 (19年1ヶ月経過) 公開番号 2001-046052
状態 未査定
技術分野 微生物、その培養処理 嫌気,嫌気・好気又は生物に特徴ある処理 汚泥処理
主要キーワード 温度上昇割合 裁断くず ヘミセルロース含有量 汚染地 回収古紙 回収状況 都市近郊 対古紙
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2001年2月20日)のものです。
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図面 (6)

課題

古紙を培養基材として用いて、低コストで簡単に白色腐朽菌を培養し、この白色腐朽菌を用いて難分解性物質を効率よく分解する。

解決手段

難分解性物質分解能を有する白色腐朽菌を、古紙を培養基材とする培地で培養し、増殖させた白色腐朽菌と難分解性物質とを接触させて難分解性物質を分解する。

概要

背景

わが国では年間3000万トンの紙・板紙が生産されており、増加傾向にある。このうち1600万トン強の古紙が回収リサイクルされており古紙利用率は平成8年で53.6%である。近年の自治体資源回収の取り組み推進有料化の実施、住民環境問題に対する意識の高まりなどによって、需給バランス崩れ余剰古紙の発生が問題となっている。現在の回収状況分別回収が行われていないため、印刷情報用紙などの利用可能な紙も雑誌古紙に入ってしまい、雑誌古紙の余剰化に拍車をかけている。またすべての古紙が回収可能なわけではなく、製紙業界の試算によれば回収可能率は65%といわれており、現在の回収率は回収可能率の約8割に達している。平成12年には容器包装リサイクル法が完全施行され、紙の回収は生産量の56%(約1680万トン)に引き上げられる見通しで、現状では100万トン以上の余剰古紙が発生すると予測されている。このような状況において、余剰古紙問題に対応する製紙以外の新規用途開発は今後ますます重要であり、古紙を製紙用途以外に再利用する方法が求められている。

木材腐朽菌の中でも白色腐朽菌リグニン分解能が最も高いことで知られており、セルロースヘミセルロース栄養源として生育し、蓄えたエネルギーリグニンを完全に分解し、最終的に二酸化炭素と水にする性質を有している。白色腐朽菌の中でもPhanerochaete chrysosporium(ファネロキークリソスポリウム)およびPhanerochaete sordida(ファネロキーテ ソルディダ)、ならびに食用として利用されているCoriolus versicolor(コリオラスバージコラー)(カワラタケ)およびPleurotus ostrealus(プロイロータスオストリアタス)(ヒラタケ)等を用いて難分解性物質を分解する事例が多く報告されており、高い分解率が得られている(BIO INDUSTRY, VOL. 14, NO. 10, 1997)。

従来の白色腐朽菌の培養は、一般的にカビなどと同様に、白色腐朽菌の分生子や菌子体の切片シャーレ等の容器に植えて行われている。またこのようにして培養した新鮮菌類液体培地植菌し、静地培養が行われている。従来の培養で使用されている培地は、天然においてリグニンが分解される場合と同じように窒素源が少ない培地(低窒素培地)が一般的に用いられている。

また白色腐朽菌は、パルプ化プロセスでのリグニン分解菌として検討されている。いわゆる微生物を使ってのパルプ化、漂白排液処理の研究である。バイオメカニカルパルプ(BMP)化法と呼ばれ、広葉樹針葉樹チップを処理し、パルプ強度増しリファイニングエネルギー節減できると報告されている。このような事例から、白色腐朽菌の培養はウッドチップを使うことが通例となり、研究されている(紙パ技協誌、第47巻第8号、1993年8月)。

このような状況において、環境問題に対する意識が高まっており、また白色腐朽菌のダイオキシン分解作用が報告(BIO INDUSTRY, Vol14, No.19, 5-12, 1997)されており、今後白色腐朽菌による難分解性物質の分解用途ニーズが拡大することが予想されるが、従来培地として使用されているウッドチップは成型、加工が必要であり、スラリー化が困難なため使用範囲が狭くなるなど、使用用途が制限されるという問題点がある。またウッドチップ内部への菌糸侵入に長期間を要し、菌糸を増殖させるのに数週間、時には数か月間かかり、特にマツスギヒノキ等の針葉樹のウッドチップを用いた場合には、材に菌糸成長阻害する物質が含まれているため培養期間が長期化し、場合によっては培養ができないこともある。

近年ゴミ焼却場周辺土壌不法投棄などによる汚染サイト、難分解性物質保管不備による周辺土壌への汚染等その修復には莫大設備工事が要求されるケースが発生している。これらの難分解性物質の浄化には、溶融炉焼却炉による熱によって分解する処理方法が検討されている。しかし汚染地電極を入れ溶融する以外は汚染地周辺土壌廃棄物等汚染源を溶融・焼却炉まで運搬して処理しなければならず、莫大なコストがかかる。

また、下水し尿生活排水汚泥処理、または食品等各種産業排水汚泥の処理において、難脱水性汚泥の脱水に古紙を使用し、その繊維質を利用して汚泥の含水率の低減、脱水機操業の安定化などを図る場合がある。汚泥を有効利用したり廃棄する場合、汚泥中に環境汚染物質などの難分解性物質が含有されている場合、そのままでは有効利用したり廃棄することはできないので、有効な浄化方法が必要である。

ところで、特表平6−505634号には、シュガービート砂糖大根パルプを用いて白色腐朽菌を培養する方法および土壌中の芳香族化合物を分解する方法が記載されている。しかし、上記方法では、シュガービートパルプ腐敗しやすいので保管にコストがかかり、またシュガービートパルプは生産地以外では入手が困難であるので、培養が高コストなものとなるほか、都市近郊汚染土壌の修復への使用は制限される。

概要

古紙を培養基材として用いて、低コストで簡単に白色腐朽菌を培養し、この白色腐朽菌を用いて難分解性物質を効率よく分解する。

難分解性物質分解能を有する白色腐朽菌を、古紙を培養基材とする培地で培養し、増殖させた白色腐朽菌と難分解性物質とを接触させて難分解性物質を分解する。

目的

本発明の課題は、古紙を培養基材として用いて、低コストで簡単に白色腐朽菌を培養することができる白色腐朽菌の培養方法を提案することである。本発明の他の課題は、古紙および白色腐朽菌を用いて難分解性物質を効率よく分解することができる難分解性物質の処理方法および処理剤を提供することである。

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

難分解性物質分解能を有する白色腐朽菌培養方法であって、古紙を培養基材とする培地で白色腐朽菌を培養することを特徴とする白色腐朽菌の培養方法。

請求項2

古紙が段ボールである請求項1記載の培養方法。

請求項3

難分解性物質分解能を有する白色腐朽菌および古紙の混合物と、難分解性物質とを接触させることを特徴とする難分解性物質の処理方法

請求項4

白色腐朽菌を含む古紙で、難分解性物質に汚染された土壌被覆することを特徴とする請求項3記載の処理方法。

請求項5

白色腐朽菌を含む古紙を、難分解性物質に汚染された土壌に混合することを特徴とする請求項3記載の処理方法。

請求項6

古紙と白色腐朽菌とを含む難分解性物質処理剤

技術分野

0001

本発明は、難分解性物質分解能を有する白色腐朽菌培養方法、ならびに白色腐朽菌を用いた難分解性物質の処理方法および処理剤に関する。

背景技術

0002

わが国では年間3000万トンの紙・板紙が生産されており、増加傾向にある。このうち1600万トン強の古紙が回収リサイクルされており古紙利用率は平成8年で53.6%である。近年の自治体資源回収の取り組み推進有料化の実施、住民環境問題に対する意識の高まりなどによって、需給バランス崩れ余剰古紙の発生が問題となっている。現在の回収状況分別回収が行われていないため、印刷情報用紙などの利用可能な紙も雑誌古紙に入ってしまい、雑誌古紙の余剰化に拍車をかけている。またすべての古紙が回収可能なわけではなく、製紙業界の試算によれば回収可能率は65%といわれており、現在の回収率は回収可能率の約8割に達している。平成12年には容器包装リサイクル法が完全施行され、紙の回収は生産量の56%(約1680万トン)に引き上げられる見通しで、現状では100万トン以上の余剰古紙が発生すると予測されている。このような状況において、余剰古紙問題に対応する製紙以外の新規用途開発は今後ますます重要であり、古紙を製紙用途以外に再利用する方法が求められている。

0003

木材腐朽菌の中でも白色腐朽菌はリグニン分解能が最も高いことで知られており、セルロースヘミセルロース栄養源として生育し、蓄えたエネルギーリグニンを完全に分解し、最終的に二酸化炭素と水にする性質を有している。白色腐朽菌の中でもPhanerochaete chrysosporium(ファネロキークリソスポリウム)およびPhanerochaete sordida(ファネロキーテ ソルディダ)、ならびに食用として利用されているCoriolus versicolor(コリオラスバージコラー)(カワラタケ)およびPleurotus ostrealus(プロイロータスオストリアタス)(ヒラタケ)等を用いて難分解性物質を分解する事例が多く報告されており、高い分解率が得られている(BIO INDUSTRY, VOL. 14, NO. 10, 1997)。

0004

従来の白色腐朽菌の培養は、一般的にカビなどと同様に、白色腐朽菌の分生子や菌子体の切片シャーレ等の容器に植えて行われている。またこのようにして培養した新鮮菌類液体培地植菌し、静地培養が行われている。従来の培養で使用されている培地は、天然においてリグニンが分解される場合と同じように窒素源が少ない培地(低窒素培地)が一般的に用いられている。

0005

また白色腐朽菌は、パルプ化プロセスでのリグニン分解菌として検討されている。いわゆる微生物を使ってのパルプ化、漂白排液処理の研究である。バイオメカニカルパルプ(BMP)化法と呼ばれ、広葉樹針葉樹チップを処理し、パルプ強度増しリファイニングエネルギー節減できると報告されている。このような事例から、白色腐朽菌の培養はウッドチップを使うことが通例となり、研究されている(紙パ技協誌、第47巻第8号、1993年8月)。

0006

このような状況において、環境問題に対する意識が高まっており、また白色腐朽菌のダイオキシン分解作用が報告(BIO INDUSTRY, Vol14, No.19, 5-12, 1997)されており、今後白色腐朽菌による難分解性物質の分解用途ニーズが拡大することが予想されるが、従来培地として使用されているウッドチップは成型、加工が必要であり、スラリー化が困難なため使用範囲が狭くなるなど、使用用途が制限されるという問題点がある。またウッドチップ内部への菌糸侵入に長期間を要し、菌糸を増殖させるのに数週間、時には数か月間かかり、特にマツスギヒノキ等の針葉樹のウッドチップを用いた場合には、材に菌糸成長阻害する物質が含まれているため培養期間が長期化し、場合によっては培養ができないこともある。

0007

近年ゴミ焼却場周辺土壌不法投棄などによる汚染サイト、難分解性物質保管不備による周辺土壌への汚染等その修復には莫大設備工事が要求されるケースが発生している。これらの難分解性物質の浄化には、溶融炉焼却炉による熱によって分解する処理方法が検討されている。しかし汚染地電極を入れ溶融する以外は汚染地周辺土壌廃棄物等汚染源を溶融・焼却炉まで運搬して処理しなければならず、莫大なコストがかかる。

0008

また、下水し尿生活排水汚泥処理、または食品等各種産業排水汚泥の処理において、難脱水性汚泥の脱水に古紙を使用し、その繊維質を利用して汚泥の含水率の低減、脱水機操業の安定化などを図る場合がある。汚泥を有効利用したり廃棄する場合、汚泥中に環境汚染物質などの難分解性物質が含有されている場合、そのままでは有効利用したり廃棄することはできないので、有効な浄化方法が必要である。

0009

ところで、特表平6−505634号には、シュガービート砂糖大根パルプを用いて白色腐朽菌を培養する方法および土壌中の芳香族化合物を分解する方法が記載されている。しかし、上記方法では、シュガービートパルプ腐敗しやすいので保管にコストがかかり、またシュガービートパルプは生産地以外では入手が困難であるので、培養が高コストなものとなるほか、都市近郊汚染土壌の修復への使用は制限される。

発明が解決しようとする課題

0010

本発明の課題は、古紙を培養基材として用いて、低コストで簡単に白色腐朽菌を培養することができる白色腐朽菌の培養方法を提案することである。本発明の他の課題は、古紙および白色腐朽菌を用いて難分解性物質を効率よく分解することができる難分解性物質の処理方法および処理剤を提供することである。

課題を解決するための手段

0011

本発明は次の難分解性物質分解能を有する白色腐朽菌の培養方法、ならびに難分解性物質の処理方法および処理剤である。
(1) 難分解性物質分解能を有する白色腐朽菌の培養方法であって、古紙を培養基材とする培地で白色腐朽菌を培養することを特徴とする白色腐朽菌の培養方法。
(2) 古紙が段ボールである上記(1)記載の培養方法。
(3) 難分解性物質分解能を有する白色腐朽菌および古紙の混合物と、難分解性物質とを接触させることを特徴とする難分解性物質の処理方法。
(4) 白色腐朽菌を含む古紙で、難分解性物質に汚染された土壌を被覆することを特徴とする上記(3)記載の処理方法。
(5) 白色腐朽菌を含む古紙を、難分解性物質に汚染された土壌に混合することを特徴とする上記(3)記載の処理方法。
(6) 古紙と白色腐朽菌とを含む難分解性物質処理剤。

0012

本発明で用いる白色腐朽菌は難分解性物質を分解することができるものであれば特に限定されない。白色腐朽菌の具体的なものとしては、ファネロキーテ(Phanerochaete)属、プロイロータス(Pleurotus)属、トラメテス(Trametes)属、コリオラス(Coriolus)属、ブジョルカンデラ(Bjerkandera)属などがあげられる。これらの中ではファネロキーテクリソスポリウム(Phanerochaete chrysosporium)、ファネロキーテ ソルディダ(Phanerochaete sordida)、プロイロータスオストリアタス(Pleurotus ostrealus)、コリオラスバージコラー(Coriolus versicolor)などがダイオキシンなどの難分解性物質分解能が高いことが報告されており、これらの菌を本発明に使用するのが好ましい。これらの白色腐朽菌は財団法人発酵研究所、ATCC(American Type Culture Collection)などから入手可能である。なお、植物防疫上の問題などにより、日本国内では食用キノコであるPleurotus ostrealus、またはCoriolus versicolorの使用が最も好ましい。白色腐朽菌は1種単独で使用することもできるし、2種以上を組み合せて使用することもできる。

0013

前記難分解性物質(persistent organic pollutants:POPs)としては難分解性の環境汚染物質が代表的なものであり、具体的にはPCB(ポリ塩化ビフェニル)、DDT(p,p’−ジクロロジフェニルトリクロロエタン)、ダイオキシン類クロルデンベンゼンヘキサクロリドクロロベンゼン類、2,4−ジクロロフェノールトリクロロフェノールペンタクロロフェノール、2,4−ジクロロフェノキシ酢酸、2,4,5−トリクロロフェノキシ酢酸エンドサルファン、アラクロールジベンゾパラジオキシン、2,7−ジクロロジベンゾパラジオキシン、2,4−ジニトロトルエン、2,4,6−トリニトロトルエン四塩化炭素クロロアニリンディルドリンフェナントレンベンゾピレン、ベンゼン、トルエンエチルベンゼンキシレンアントラセンアゾ色素アトラジンクリスタルバイオレット、その他の単環または多環芳香族炭化水素樹脂および未知化合物などがあげられる。これらの難分解性物質は、白色腐朽菌が生産する菌体外酵素である芳香族化合物分解酵素の働きにより分解されるものと推測される。

0014

本発明で培養基材として用いる古紙は特に限定されず、使用済みの紙または板紙、および紙または板紙の裁断くずなどが使用できる。古紙の具体的なものとしては、新聞紙OA用紙、雑誌チラシ、段ボールおよびこれらの混合物などがあげられる。これらの中では短繊維を多く含むので段ボールが好ましい。古紙の大きさ、破砕状態、セルロース含有量ヘミセルロース含有量リグニン含有量、含水率、複数の種類の古紙を用いる場合の配合割合など、紙の物理化学的状態は特に制限されない。

0015

例えば、回収古紙をそのまま使用することもできるし、雑誌等の背糊カットして2cm程度に破砕したもの(すなわち一次破砕したもの)、5mm程度に破砕したもの(すなわち二次破砕したもの)、解繊機にかけて繊維状まで解繊したものなど、いずれのものでも使用することができる。またこれらを任意の割合で混合して使用することもできる。このため回収古紙の種類、粉砕状態などに関係なく、回収古紙を用いて培養することができる。また紙の種類によっては、インク填料などの阻害剤が含まれている場合もあるが、そのまま使用することができ、この場合阻害の程度により菌の増殖速度が低下するが、時間の経過とともに増殖速度は増加する。

0016

本発明において白色腐朽菌を培養する培地は古紙および水だけでよいが、古紙として新聞、雑誌およびチラシ等の印刷物古紙やOA用紙等を用いる場合、インク等の菌体成長阻害剤が含まれているため、炭素原子窒素原子比が160〜10、好ましくは100〜50となるように窒素を添加するのが望ましい。添加する窒素源としては、硝酸アンモニウム酒石酸アンモニウム酵母抽出物麦芽抽出物などがあげられる。

0017

本発明の培養方法では、古紙を含む上記培地に白色腐朽菌を植菌し、白色腐朽菌の増殖に適した条件に維持することにより培養することができる。培養条件は、温度が15〜35℃、好ましくは20〜30℃、時間が7〜30日、好ましくは7〜21日、培地(古紙)含水率が50〜85重量%、好ましくは60〜65重量%、pHが3〜7、好ましくは4〜5とするのが望ましい。含水率の調整には殺菌水を使用するのが好ましい。また子実体形成を抑制して菌糸を成長させるために光照射を行わず、培養温度を一定に保つことが好ましい。また培地の含水率の低下、栄養物質の減少により子実体形成が開始される可能性があるため、3〜6日に一回程度水分および/または窒素源となる物質を添加し、子実体形成を防止するのが好ましい。

0018

本発明の難分解性物質の処理方法は、難分解性物質分解能を有する前記白色腐朽菌および古紙の混合物と、難分解性物質とを接触させて難分解性物質を分解する難分解性物質の処理方法である。上記白色腐朽菌および古紙の混合物は、前記培養方法で培養した培養物であってもよいし、培養する前のものであってもよい。培養物を使用する場合は、白色腐朽菌は既に増殖しているので、難分解性物質の分解は速い。一方培養前の混合物を使用する場合は、白色腐朽菌が増殖するまでの時間が必要であるが、増殖後は培養物を用いた場合と同様に分解が進行する。

0019

培養物を使用する場合、培養物をそのまま使用することもできるし、スラリー状にしたものを使用することもできる。例えば、白色腐朽菌を培養した古紙をそのまま使用することができる。

0020

本発明の処理方法の対象となる被処理物としては、難分解性物質に汚染されている土壌、汚泥、廃棄物、および最終処分場や各産業上発生する排水等があげられる。これらの被処理物中には難分解性物質が2種以上含まれていてもよいし、また未知の難分解性物質が含まれていてもよい。接触方法は特に限定されず、白色腐朽菌を含む古紙を被処理物と混合する方法、白色腐朽菌を含む古紙で被処理物を被覆する方法、白色腐朽菌を培養した古紙塊を排水ろ過体として使用し、このろ過体に難分解性物質含有水通水する方法などがあげられる。

0021

具体的には、白色腐朽菌を含む古紙を土壌と混合する方法、白色腐朽菌を含む古紙で土壌を被覆する方法、白色腐朽菌を含む古紙を難分解性物質含有汚泥に混合する方法、白色腐朽菌を含む古紙を難分解性物質含有水に混合する方法などがあげられる。このようにして白色腐朽菌および古紙の混合物と、難分解性物質とを接触させることにより、時間の経過とともに、白色腐朽菌により難分解性物質が分解される。

0022

本発明の処理方法において、白色腐朽菌を含む古紙で汚染土壌を被覆する場合は、難分解性物質の分解とともに汚染土壌の飛散を防止することもできる。また処分場浸出水排水処理工程において、排水に対して本発明の処理方法を適用することにより、難分解性物質が分解可能となり、排水処理設備負荷軽減になる。

0023

本発明の処理方法によれば、汚染が発生している地点で難分解性物質を分解することができるので、低コストでの処理が可能である。例えば、汚染土壌を浄化する場合には汚染土壌を別の場所に運搬することなく、汚染が発生している地点の土壌に白色腐朽菌を含む古紙を混合するかまたは被覆することにより汚染物質(難分解性物質)を分解することができるので、低コストで浄化することができる。

0024

本発明の難分解性物質処理剤は、古紙と白色腐朽菌とを含む処理剤であり、前記の難分解性物質の処理方法に使用される処理剤である。本発明の難分解性物質処理剤を難分解性物質を含む汚泥の処理に使用する場合は、脱水剤としても機能するので、脱水および難分解性物質の分解の両方を効率よく行うことができる。

0025

本発明の培養方法で、Coriolus versicolor(コリオラスバージコラー)(カワラタケ)およびPleurotus ostrealus(プロイロータスオストリアタス)(ヒラタケ)等のキノコを培養した場合、これらのキノコは食用にすることもできる。従って、本発明の培養方法は、食用キノコの栽培キノコ種菌の生産にも利用することができる。また、古紙に他の栄養素を添加することにより、リグニン分解能を持たない菌類(=担子菌以外。例えばペニシリンを生産する不完全菌子嚢菌など)の培養にも利用することができる。

0026

本発明の培養方法は古紙を培養基材として利用することができるので、回収古紙を製紙利用以外の用途に使用することができ、余剰古紙問題の解決策の一助となる。また古紙は都市部で多量に発生するので、古紙を輸送する点において、都市または都市近郊の汚染土壌の浄化を低コストで行うことができる。すなわち、本発明の培養方法は、培養に特別な施設は必要なく、一般的な古紙加工設備において容易に培養することができるので、古紙が多量に発生する都市部またはその近郊において培養を行うことができ、このため古紙の運搬費を削減して低コストで培養することができ、しかもこの培養物を使用することにより都市部または都市近郊の汚染土壌を低コストで浄化することができる。

0027

また、本発明の培養方法に従って培養した菌糸塊から難分解性物質(リグニン含む)の分解酵素を公知の方法により単離することにより、この酵素を有害汚染物質の分解や、パルプの漂白などに利用することもできる。

発明の効果

0028

本発明の白色腐朽菌の培養方法は、古紙を培養基材として用いて、低コストで簡単に難分解性物質分解能を有する白色腐朽菌を培養することができる。

0029

本発明の難分解性物質の処理方法は、難分解性物質分解能を有する白色腐朽菌および古紙の混合物と、難分解性物質とを接触させているので、回収古紙を再利用して難分解性物質を低コストで効率よく分解することができる。本発明の難分解性物質処理剤は、古紙と難分解性物質分解能を有する白色腐朽菌とを含んでいるので、回収古紙を再利用して難分解性物質を低コストで効率よく分解することができる。

発明を実施するための最良の形態

0030

次に本発明の実施例について説明する。使用した菌および培地は次の通りである。

0031

《Phanerochaete chrysosporium》
財団法人発酵研究所より入手
《Phanerochaete sordida YK-624》
ATCCより入手(ATCC 90872)

0032

《Kirk培地》
●Kirk液体培地(1 liter) pH4.5
10g :グルコース炭素源
0.221g:酒石酸アンモニウム(窒素源)
1g :Tween80(界面活性剤
1.64g :酢酸ナトリウム(pH緩衝剤)または2.92gの2,2−ジメチルコハク酸
100ml :下記Kirk salt solution(多量無機成分)
60ml :下記Kirk trace element solution(微量無機成分)
●Kirk salt solution(1 liter) pH4.5
20g :KH2PO4
5g :MgSO4・7H2O
1.3g :CaCl2・2H2O
10mg :チアミン塩酸塩
16.7ml:Kirk trace element solution
●Kirk trace element solution(1 liter) pH4.5
9g :ニトリロ三酢酸
3g :MgSO4・7H2O
2.73g :MnSO4
6g :NaCl
0.6g :FeSO4・7H2O
1.1g :CoSO4・7H2O
0.6g :CaCl2・2H2O
1.1g :ZnSO4・7H2O
60mg :CuSO4・7H2O
110mg :AlK(SO4)2・12H2O
60mg :H3BO3
70mg :Na2MoO4・2H2O

0033

《PDA培地》
ポテト抽出物:200g/l
グルコース:20g/l
寒天:15g/l
《PDB培地》
ポテト抽出物:200g/l
グルコース :20g/l
PD液体培地》
PDB培地 :24g/l
Tween80:0.1重量%

0034

実施例1
古紙を培養基材として用いて、白色腐朽菌の培養を行った。白色腐朽菌としては、Phanerochaete chrysosporiumまたはPhanerochaete sordida YK-624を使用した。培養基材となる古紙としては、新聞紙、OA用紙(コピー用紙)、チラシまたは段ボールを使用し、これらの古紙に水、Kirk培地またはPDB培地を添加したものを培地として使用した。各白色腐朽菌は、まずPDA培地にて前培養し、さらにPDB培地で10日間前培養した後、下記の培養に供した。

0035

200ml三角フラスコを複数用意し、各フラスコに新聞紙、OA用紙、チラシまたは段ボールを入れた。古紙の使用量は新聞紙、OA用紙およびチラシは2.63g(絶乾重量2.5g)、段ボールは3.09g(絶乾重量3.0g)とした。次に、各フラスコにKirk培地、PDB培地または純水を5ml加えた。このフラスコをオートクレーブを用いて殺菌した。

0036

前記の前培養した菌体滅菌水洗浄し、ミキサーにて懸濁液とし、これをガラス繊維ろ紙に1mlとり、乾燥させて、菌体濃度を測定した。この菌体懸濁液を、菌体重量対古紙3重量%になるように、前記オートクレーブで殺菌した培地に添加し、30℃で20日間培養した。

0037

目視による観察では、菌株の種類により菌糸成長に違いが見られた。菌糸の成長の目安として、古紙の重量減少率を測定した。Phanerochaete chrysosporiumの結果を図1、Phanerochaete sordida YK-624の結果を図2に示す。図1の結果からわかるように、Phanerochaete chrysosporiumではいずれの古紙培地においても重量減少が認められた。4種類の古紙の中では段ボールを培養基材とした場合の成長が最も良好であった。図2の結果からわかるように、Phanerochaete sordida YK-624では「新聞紙+PDB培地」の培地、「チラシ+Kirk培地」の培地で重量が増加したが、それ以外の培地では重量減少が認められた。新聞およびチラシで重量が増加したものは、インクや填料などが阻害物質として作用していると推測される。

0038

実施例2
《ダイオキシンの分解処理》古紙を用いて培養した白色腐朽菌を用いてダイオキシンの分解を行った。白色腐朽菌としては、Phanerochaete chrysosporiumを使用した。培養基材となる古紙としては、新聞紙、OA用紙(コピー用紙)、チラシまたは段ボールを使用し、これらの古紙にPDB培地を添加したものを培地として使用した。白色腐朽菌は、PDB培地で5日間前培養した後、下記の試験に供した。

0039

200ml三角フラスコを複数用意し、各フラスコに新聞紙、OA用紙、チラシまたは段ボールを入れた。古紙の使用量は新聞紙、OA用紙およびチラシは2.63g(絶乾重量2.5g)、段ボールは3.09g(絶乾重量3.0g)とした。次に、各フラスコにPDB培地を5ml加え、オートクレーブを用いて121℃で20分間殺菌した。

0040

この培地に菌体重量対古紙3重量%となるように、前記の前培養したPhanerochaete chrysosporiumの菌体懸濁液を添加し、30℃で10日間培養した。培養後、DMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に1mMの濃度で溶解した2,7−DCDD(2,7−ジクロロジベンゾ−p−ジオキシン)溶液を各フラスコに500μl添加し、30℃で7日間処理した。なお、前培養した菌体を120℃で5分間オートクレーブにより加熱処理して用いたものをコントロールとした。

0041

反応は、n−ヘキサンを60ml加えて一晩放置することにより停止し、2および3回目30ml、4回目20mlのn−ヘキサンで抽出した。抽出の際、n−ヘキサンを加える度にウルトラソニック超音波抽出を20分間ずつ行った。エバポレーターで約1mlまで濃縮後、パスツールピペットに高さ3cmとなるようにシリカゲル充填し、溶離液にn−ヘキサンを用いて30mlで溶出し、精製した。

0042

内部標準物質として1250μMのアントラセン(DMF溶液)を50μl添加し、約1mlまで濃縮した後、下記分析条件GC/MSで分析し、2,7−DCDDの減少率を算出した。結果を図3に示す。
カラム:GL Sciencces社製NEUTRA BOND-5 30×0.25mm i.d. 0.4μm film thichness
温度条件:160℃で2分間維持した後、20℃/分の温度上昇割合で250℃まで昇温し、次に25℃/分の温度上昇割合で320℃まで昇温し、320℃に達したところでこの温度を1分間維持した。

0043

図3の結果から、チラシまたは段ボールで培養したPhanerochaete chrysosporiumを2,7−DCDDと接触させることにより、2,7−DCDDが分解したことがわかる。

0044

実施例3
《ダイオキシンの分解処理》古紙を用いて培養した白色腐朽菌を用いてダイオキシンの分解を行った。白色腐朽菌としては、Phanerochaete chrysosporiumを使用した。培養基材となる古紙としては、新聞紙、OA用紙(コピー用紙)、チラシまたは段ボールを使用し、これらの古紙に米糠および純水を添加したものを培地として使用した。白色腐朽菌は、PD液体培地で3日間前培養した後、下記の試験に供した。

0045

100ml共栓付き三角フラスコを複数用意し、各フラスコに新聞紙、OA用紙、チラシまたは段ボールを入れた。古紙の使用量は新聞紙、OA用紙およびチラシは2.06g(絶乾重量2.0g)、段ボールは2.10g(絶乾重量2.0g)とした。次に、各フラスコに米糠0.55g(絶乾重量0.5g、古紙に対する絶乾重量比1/4)を入れ、ガラス棒でよくかき混ぜた。次に、各フラスコに純水を6ml加えた後、オートクレーブにより121℃で20分間殺菌した。

0046

この培地に菌体重量対古紙3重量%となるように、前記の前培養したPhanerochaete chrysosporiumの菌体懸濁液を添加し、30℃で7日間培養した。培養後、DMFに1mMの濃度で溶解した2,7−DCDD溶液を各フラスコに500μl添加し、30℃で7日間インキュベートした。なお、前培養した菌体を120℃で5分間オートクレーブにより加熱処理して用いたものをコントロールとした。

0047

反応は、n−ヘキサンを50ml加えて一晩放置することにより停止し、2および3回目40ml、4回目20mlのn−ヘキサンで抽出した。その後は実施例2と同じGC/MS法で分析し、2,7−DCDDの減少率を算出した。結果を図4に示す。

0048

加熱滅菌しないPhanerochaete chrysosporiumを培養したサンプルでは、いずれのサンプルでも2,7−DCDDの量は減少しており、それらの物質の分解がなされていると考えられる。

0049

実施例4
《菌糸成長試験》古紙を培養基材として用いて白色腐朽菌の培養を行い、菌糸の成長を観察した。白色腐朽菌としては、Phanerochaete chrysosporiumを使用した。培養基材となる古紙としては、新聞紙、OA用紙(コピー用紙)、チラシまたは段ボールを使用し、これらの古紙に米糠および純水を添加したものを培地として使用した。またコントロールとして、木粉に米糠および純水を添加した培地を使用した。古紙、木粉および米糠の含水率を測定したところ、次の通りであった。
新聞:3重量%
OA用紙:3重量%
チラシ :3重量%
段ボール:5重量%
木粉 :13重量%
米糠 :10重量%

0050

予めそれぞれの古紙または木粉と、米糠とを絶乾重量比4/1で混合し、含水率を65重量%に調整した。直径9cmのシャーレに、上記の調整した古紙を21gずつ、木粉は29g入れた。また直径4cm、深さ13cmの培養試験管に古紙を40gずつ、木粉は115g、高さ8cmになるように入れた。これらをオートクレーブにより121℃で20分間殺菌した。シャーレに蔓延したPhanerochaete chrysosporiumのディスクを中央に1つずつ置き、30℃で培養し、菌糸の成長を観察した。結果を図5および図6に示す。

0051

図5および図6の結果からわかるように、成長速度に若干の違いはあるものの、約7〜10日で、各古紙とも木粉とほぼ同等の成長になる。

図面の簡単な説明

0052

図1実施例1のPhanerochaete chrysosporiumの結果を示すグラフである。
図2実施例1のPhanerochaete sordida YK-624の結果を示すグラフである。
図3実施例2の結果を示すグラフである。
図4実施例3の結果を示すグラフである。
図5実施例4のシャーレの場合の結果を示すグラフである。
図6実施例4の試験管の場合の結果を示すグラフである。

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