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技術 巻上ウインチの制御装置

出願人 日立建機株式会社
発明者 星野浩之
出願日 1999年7月29日 (20年9ヶ月経過) 出願番号 1999-215437
公開日 2001年2月13日 (19年2ヶ月経過) 公開番号 2001-039681
状態 未査定
技術分野 ウインチ
主要キーワード 速度選択スイッチ アンロードリリーフ弁 モータ圧力 最大ライン オフ式 過負荷防止 クラッチ力 巻上速度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2001年2月13日)のものです。
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図面 (8)

課題

解決手段

遊星減速機構20の第1のキャリア21に第1のブレーキドラム11を連結し、第2のキャリア22に第2のブレーキドラム12を連結する。ブレーキドラム11,12の回転は電磁比例減圧弁35,36の減圧度に応じて制御され、電磁比例減圧弁35,36の減圧度はコントローラ40からの制御信号Iにより制御される。速度切換スイッチ39を1速から2速または2速から1速に操作すると、コントローラ40では所定の処理が実行され、電磁比例減圧弁35,36の減圧度は徐々に増減される。これにより、ブレーキドラム11(12)の制動が徐々に解除されるとともに、ブレーキドラム12(11)が徐々に制動され、クラッチがスムーズに切り換えられる。

概要

背景

近年、クレーン作業においては、作業の高揚程化等によりウインチの駆動速度の高速化が望まれている。ウインチを高速で駆動する場合には例えば可変容量式油圧モータを用い、モータ容量を小さくすることが考えられる。しかしながら、この場合のウインチ速度は油圧モータの許容回転数によって制限され、ウインチの十分な高速化が果たせない。そこで、ウインチのさらなる高速化を果たすため、油圧モータからの回転を減速してウインチドラムに伝達する遊星減速機構を設け、その減速比可変とした装置が例えば特開平7−206384号公報に開示されている。

この公報記載の装置では、2組のクラッチを有する遊星減速機構の一方のクラッチを接続することで減速比を小さくしてドラムを高速で駆動し、他方のクラッチを接続することで減速比を大きくしドラムを低速で駆動する。また、双方のクラッチを接続することでドラムの駆動を停止し、双方のクラッチの接続を解除することでドラムを自由回転状態(フリーフォール状態)とする。

概要

遊星減速機構のクラッチ装置をスムーズに切り換える。

遊星減速機構20の第1のキャリア21に第1のブレーキドラム11を連結し、第2のキャリア22に第2のブレーキドラム12を連結する。ブレーキドラム11,12の回転は電磁比例減圧弁35,36の減圧度に応じて制御され、電磁比例減圧弁35,36の減圧度はコントローラ40からの制御信号Iにより制御される。速度切換スイッチ39を1速から2速または2速から1速に操作すると、コントローラ40では所定の処理が実行され、電磁比例減圧弁35,36の減圧度は徐々に増減される。これにより、ブレーキドラム11(12)の制動が徐々に解除されるとともに、ブレーキドラム12(11)が徐々に制動され、クラッチがスムーズに切り換えられる。

目的

本発明の目的は、ウインチをスムーズに変速することのできる巻上ウインチ制御装置を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

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請求項1

少なくとも第1および第2のクラッチ装置を有し、そのクラッチ装置のいずれか一つを係合することにより油圧モータからの入力トルクを所定の速度段減速してウインチドラムに出力する遊星減速機構を備えた巻上ウインチ制御装置において、複数の速度段のうちの一つを選択する速度選択手段と、前記速度選択手段により第1段が選択されると前記第1のクラッチ装置を徐々に解放させながら前記第2のクラッチ装置を徐々に係合し、前記速度選択手段により第2段が選択されると前記第1のクラッチ装置を徐々に係合させながら前記第2のクラッチ装置を徐々に解放するクラッチ制御手段とを備えたことを特徴とする巻上ウインチの制御装置。

請求項2

請求項1に記載の巻上ウインチの制御装置において、さらに、前記ウインチドラムに巻回された巻上ロープ張力相関関係を有する物理量を検出する検出手段を備え、前記クラッチ制御手段は、前記速度選択手段により第2段が選択されると、前記検出手段による検出値が第1の所定値より大きいときは前記速度選択手段による選択を無効化し、前記検出手段による検出値が前記第1の所定値以下のときは前記速度選択手段による選択を有効化して前記第1のクラッチ装置を徐々に係合させながら前記第2のクラッチ装置を徐々に解放することを特徴とする巻上ウインチの制御装置。

請求項3

請求項1または2に記載の巻上ウインチの制御装置において、前記遊星減速機構は、前記油圧モータで駆動される第1のサンギアの回転を第1のプラネタリギアを介して前記ウインチドラムの第1のリングギアへ伝達する第1の減速機構と、前記第1のプラネタリギアを支持する第1のキャリアにより駆動される第2のサンギアの回転を第2のプラネタリギアを介して第2のリングギアへ伝達する第2の減速機構とを有し、前記第1のクラッチ装置は前記第1のキャリアの回転を制御し、前記第2のクラッチ装置は前記第2のプラネタリギアを支持する第2のキャリアの回転を制御することを特徴とする巻上ウインチの制御装置。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項に記載の巻上ウインチの制御装置において、前記油圧モータは可変容量式であることを特徴とする巻上ウインチの制御装置。

請求項5

請求項4に記載の巻上ウインチの制御装置において、前記ウインチドラムに巻回された巻上ロープの張力と相関関係を有する物理量を検出する検出手段と、前記検出手段による検出値が第2の所定値を越えると前記油圧モータの容量を小さくすることを禁止し、前記検出手段による検出値が前記第2の所定値以下のときは前記油圧モータの容量を小さくすることを許容するモータ制御手段とを備えたことを特徴する巻上ウインチの制御装置。

請求項6

少なくとも第1および第2のクラッチ装置を有し、そのクラッチ装置のいずれか一つを係合することにより油圧モータからの入力トルクを所定の速度段で減速してウインチドラムに出力する遊星減速機構を備えた巻上ウインチの制御装置において、前記第1のクラッチ装置は前記遊星減速機構の第1のキャリアに連結された速度制御用油圧ポンプ負荷により前記第1のキャリアの回転を制御し、前記第2のクラッチ装置は前記遊星減速機構の第2のキャリアに連結されたブレーキドラムの回転を制御するバンド式であり、複数の速度段のうちの一つを選択する速度選択手段と、前記速度選択手段により第1段が選択されると前記速度制御用油圧ポンプに作用する負荷を徐々に小さくし、前記速度選択手段により第2段が選択されると前記速度制御用油圧ポンプに作用する負荷を所定値まで引き上げる第1のクラッチ制御手段と、前記速度選択手段により第1段が選択されると前記ブレーキドラムの回転を制動し、前記速度選択手段により第2段が選択されると前記ブレーキドラムの回転の制動を徐々に解除する第2のクラッチ制御手段とを備えることを特徴とする巻上ウインチの制御装置。

請求項7

少なくとも第1および第2のクラッチ装置を有し、そのクラッチ装置のいずれか一つを係合することにより油圧モータからの入力トルクを所定の速度段で減速してウインチドラムに伝達する遊星減速機構を備えた巻上ウインチの制御装置において、前記第1のクラッチ装置は前記遊星減速機構の第1のキャリアに連結された速度制御用油圧ポンプの負荷により前記第1のキャリアの回転を制御し、前記第2のクラッチ装置は前記遊星減速機構の第2のキャリアに連結されたブレーキドラムの回転を制御するバンド式であり、前記速度制御用油圧ポンプに作用する負荷がポンプリリーフ圧に相当する所定値未満のときは前記ブレーキドラムの回転を許容し、所定値以上になると前記ブレーキドラムの回転を制動するドラム制動装置を備えることを特徴とする巻上ウインチの制御装置。

技術分野

(7) 請求項7の発明によれば、第1のクラッチ装置を構成する速度制御用油圧ポンプに作用する負荷ポンプリリーフ圧に相当する所定値未満ときは第1のクラッチ装置のブレーキドラムの回転を許容し、所定値以上になるとブレーキドラムの回転を制動するようにしたので、ポンプに作用する負荷に応じて最適なタイミングでクラッチ切り換えることができるとともに、クラッチ切換時に速度制御用油圧ポンプに所定の負荷が作用するのでトルクの伝達切れのないスムーズな変速動作を得ることができる。

背景技術

0001

本発明は、遊星減速機構を有する巻上ウインチ制御装置に関する。

0002

近年、クレーン作業においては、作業の高揚程化等によりウインチの駆動速度の高速化が望まれている。ウインチを高速で駆動する場合には例えば可変容量式油圧モータを用い、モータ容量を小さくすることが考えられる。しかしながら、この場合のウインチ速度は油圧モータの許容回転数によって制限され、ウインチの十分な高速化が果たせない。そこで、ウインチのさらなる高速化を果たすため、油圧モータからの回転を減速してウインチドラムに伝達する遊星減速機構を設け、その減速比可変とした装置が例えば特開平7−206384号公報に開示されている。

発明が解決しようとする課題

0003

この公報記載の装置では、2組のクラッチを有する遊星減速機構の一方のクラッチを接続することで減速比を小さくしてドラムを高速で駆動し、他方のクラッチを接続することで減速比を大きくしドラムを低速で駆動する。また、双方のクラッチを接続することでドラムの駆動を停止し、双方のクラッチの接続を解除することでドラムを自由回転状態(フリーフォール状態)とする。

0004

上述した公報記載の装置では、切換弁を切り換えることでクラッチの接続が制御される。しかしながら、切換弁の切り換えにより減速比を小から大、または大から小に変更する場合、切換弁はその構成上、中立位置を通過するので、双方のクラッチが瞬間的に解除されるおそれがあり、その結果、ドラムは一瞬フリーフォール状態となって吊り荷の挙動が不安定となる。

課題を解決するための手段

0005

本発明の目的は、ウインチをスムーズに変速することのできる巻上ウインチの制御装置を提供することにある。

0006

一実施の形態を示す図面を参照して説明する。
(1) 請求項1の発明は、図2に示すように、少なくとも第1および第2のクラッチ装置を有し、そのクラッチ装置のいずれか一つを係合することにより油圧モータ9からの入力トルクを所定の速度段で減速してウインチドラム5に出力する遊星減速機構20を備えた巻上ウインチの制御装置に適用される。そして、複数の速度段のうちの一つを選択する速度選択手段39と、速度選択手段39により第1段が選択されると第1のクラッチ装置11,31を徐々に解放させながら第2のクラッチ装置12,32を徐々に係合し、速度選択手段39により第2段が選択されると第1のクラッチ装置11,31を徐々に係合させながら第2のクラッチ装置12,32を徐々に解放するクラッチ制御手段33〜36,40とを備えたことにより上述した目的は達成される。
(2) 請求項2の発明は、さらに、ウインチドラム5に巻回された巻上ロープ5aの張力Tと相関関係を有する物理量を検出する検出手段38を備え、速度選択手段39により第2段が選択されると検出手段38による検出値Tが第1の所定値T1より大きいときは、クラッチ制御手段33〜36,40が速度選択手段39による選択を無効化し、検出手段38による検出値Tが第1の所定値T1以下のときは、速度選択手段39による選択を有効化して第1のクラッチ装置11,31を徐々に係合させながら第2のクラッチ装置12,32を徐々に解放するものである。
(3) 請求項3の発明は、遊星減速機構20が、油圧モータ9で駆動される第1のサンギア25の回転を第1のプラネタリギア26を介してウインチドラム5の第1のリングギア23へ伝達する第1の減速機構と、第1のプラネタリギア26を支持する第1のキャリア21により駆動される第2のサンギア27の回転を第2のプラネタリギア28を介して第2のリングギア24へ伝達する第2の減速機構とを有し、第1のクラッチ装置11,31は第1のキャリア21の回転を制御し、第2のクラッチ装置12,32は第2のプラネタリギア28を支持する第2のキャリア22の回転を制御するものである。
(4) 請求項4の発明は、図5に示すように、油圧モータ51を可変容量式としたものである。
(5) 請求項5の発明は、ウインチドラム5に巻回された巻上ロープ5aの張力Tと相関関係を有する物理量を検出する検出手段38を備え、検出手段38による検出値が第2の所定値T2を越えると油圧モータ51の容量を小さくすることを禁止し、検出手段38による検出値が第2の所定値T2以下のときは油圧モータ51の容量を小さくすることを許容するモータ制御手段50,51aを備えたものである。
(6) 請求項6の発明は、図6に示すように、少なくとも第1および第2のクラッチ装置を有し、そのクラッチ装置のいずれか一つを係合することにより油圧モータ9からの入力トルクを所定の速度段で減速してウインチドラム5に出力する遊星減速機構を備えた巻上ウインチの制御装置に適用される。そして、第1のクラッチ装置は遊星減速機構20の第1のキャリア21に連結された速度制御用油圧ポンプ61の負荷により第1のキャリア21の回転を制御し、第2のクラッチ装置は遊星減速機構20の第2のキャリア22に連結されたブレーキドラム12の回転でバンド32を制御するものであり、複数の速度段のうちの一つを選択する速度選択手段67と、速度選択手段67により第1段が選択されると速度制御用油圧ポンプ61に作用する負荷を徐々に小さくし、速度選択手段67により第2段が選択されると速度制御用油圧ポンプ61に作用する負荷を所定値まで引き上げる第1のクラッチ制御手段62〜64と、速度選択手段67により第1段が選択されるとブレーキドラム12の回転を制動し、速度選択手段67により第2段が選択されるとブレーキドラム12の回転の制動を徐々に許容する第2のクラッチ制御手段34,65,66とを備えることにより上述した目的は達成される。
(7) 請求項7の発明は、図7に示すように、少なくとも第1および第2のクラッチ装置を有し、そのクラッチ装置のいずれか一つを係合することにより油圧モータ9からの入力トルクを所定の速度段で減速してウインチドラム5に伝達する遊星減速機構を備えた巻上ウインチの制御装置に適用される。そして、第1のクラッチ装置は遊星減速機構20の第1のキャリア21に連結された速度制御用油圧ポンプ61の負荷により第1のキャリア21の回転を制御し、第2のクラッチ装置は遊星減速機構20の第2のキャリア22に連結されたブレーキドラム12の回転をバンド32で制御するものであり、速度制御用油圧ポンプ61に作用する負荷がポンプリリーフ圧p1に相当する所定値未満のときはブレーキドラム12の回転を許容し、所定値以上になるとブレーキドラム12の回転を制動するドラム制動装置34,71,72を備えることにより上述した目的は達成される。

発明を実施するための最良の形態

0007

なお、本発明の構成を説明する上記課題を解決するための手段の項では、本発明を分かり易くするために発明の実施の形態の図を用いたが、これにより本発明が実施の形態に限定されるものではない。

0008

以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
−第1の実施の形態−
図1は、本発明が適用される油圧式クレーンの側面図である。図1に示すように、クレーン走行体1と、走行体1上に旋回装置2を介して旋回可能に搭載された旋回体3と、旋回体3に回動可能に軸支されるブーム4とを有し、旋回体3上には巻上ウインチ用の巻上ドラム5と起伏ウインチ用の起伏ドラム6が搭載されている。ブーム4の上端ペンダントロープ7を介し、起伏ドラム6に巻回された起伏ロープ6aに支持され、起伏ドラム6による起伏ロープ6aの繰り出しまたは巻き取りによってブーム4は起伏される。また、フック8は巻上ドラム5に巻回された巻上ロープ5aを介してブーム4の先端から懸吊され、巻上ドラム5による巻上ロープ5aの繰り出しまたは巻き取りによってフック8は昇降される。

0009

図2は、本発明の第1の実施の形態に係わる巻上ウインチの制御装置の構成を示す油圧回路図である。図2に示すように、巻上ウインチは、ウインチドラム(巻上ドラム)5と、油圧ポンプ18の吐出油で回転してウインチドラム5を駆動する油圧モータ9と、ウインチドラム5の内側に内蔵されて油圧モータ9の出力軸9aの回転を減速する遊星減速機構20と、遊星減速機構20の入力側を制動するブレーキ装置10と、キャリア軸21aを介して遊星減速機構20の第1のキャリア21に連結された第1のブレーキドラム11と、内部にキャリア軸21aの貫通するキャリア軸22aを介して第2のキャリア22に連結された第1のブレーキドラム11より大径の第2のブレーキドラム12とを有している。各ブレーキドラム11,12はウインチドラム5と同軸上に配置され、ブレーキドラム11,12の回転は後述するように制動装置30によって制御され、これによって、クラッチが切り換えられてウインチドラム5の駆動速度が変化する。油圧モータ9へ供給される圧油は後述するように制御弁15により制御され、制御弁15はパイロット弁16a,16bからのパイロット圧力によって制御される。

0010

ブレーキ装置10は、ネガブレーキ型のシリンダブレーキであり、シリンダ内ヘッド側油室には、シリンダ伸長方向に常時付勢力を作用させるバネ10aが配置され、シリンダ内のロッド側油室は切換弁13を介して油圧源14に接続されている。切換弁13および制御弁15のパイロットポートはパイロット弁16a,16bを介して圧源14に接続されている。パイロット弁16a,16bは操作レバー17の操作量に応じて駆動され、操作レバー17が巻上側または巻下側に操作されると、切換弁13が(イ)位置または(ロ)位置に切り換えられるとともに、制御弁15が操作レバー17の操作量に応じて(イ)位置側または(ロ)位置側に切り換えられる。これによって、ブレーキシリンダのロッド側油室に圧油が供給され、ブレーキ装置10の作動が解除されるとともに、油圧ポンプ18から油圧モータ9へ圧油が供給され、操作レバー17の操作量に応じた速度で油圧モータ9が駆動される。

0011

遊星減速機構20は、キャリア21,22の他に、ウインチドラム5の内側にドラム5と一体に形成された2組のリングギア、すなわち1段目リングギア23および2段目リングギア24と、油圧モータ9の出力軸9aに連結された1段目サンギア25と、このサンギア25と一段目リングギア23とを歯合する複数の1段目遊星ギア26と、第1のキャリア21に連結された2段目サンギア27と、このサンギア27と2段目リングギア24とを歯合する複数の2段目遊星ギア28とを備える。1段目遊星ギア26は第1のキャリア21で支持され、2段目遊星ギア28は第2のキャリア22で支持されている。このような構成により、遊星減速機構20はドラム5の内側にコンパクトに格納される。

0012

第1のキャリア21の軸21aと第1のブレーキドラム11および第2のキャリア22の軸22aと第2のブレーキドラム12はそれぞれスプラインで結合され、ブレーキドラム11,12はキャリア21,22と一体に回転する。各ブレーキドラム11,12の外側には制動装置30を構成するブレーキバンド31,32が設けられ、このブレーキバンド31,32の収縮によってブレーキドラム11,12が制動され、ブレーキバンド31,32の拡張によってブレーキドラム11,12の制動が解除される。ブレーキドラム11,12の制動,解除により、油圧モータ9の回転は遊星減速機構20を介してウインチドラム5に伝達,非伝達される。すなわち、ブレーキバンド31,32はクラッチバンドの機能を、ブレーキドラム11,12はクラッチドラムの機能をそれぞれ備えている。

0013

ここで、図示の如くブレーキバンド31の拡張によりブレーキドラム11の制動を解除し、ブレーキバンド32の収縮によりブレーキドラム12を制動すると、遊星減速機構20の減速比R1、すなわち油圧モータ9の回転数N9に対するウインチドラム5の回転数N5の比(N5/N9)は次式(I)のとおりとなる。
R1 ={(Z23/Z25)+1}×{(Z24/Z27)+1}-1 (I)
ただし、Z25:1段目サンギア25の歯数Z23:1段目リングギア23の歯数
Z27:2段目サンギア27の歯数 Z24:2段目リングギア24の歯数
また、これとは逆にブレーキバンド31の収縮によりブレーキドラム11を制動し、ブレーキバンド32の拡張によりブレーキドラム12の制動を解除すると、遊星減速機構20の減速比R2は次式(II)のとおりとなる。
R2 = Z23/Z25 (II)

0014

この場合R1>R2の関係があり、減速比R1では巻上ロープ5aの巻上速度は遅いが最大ラインプルLP1は大きくなり、減速比R2では巻上ロープ5aの巻上速度は速いが最大ラインプルLP2は小さくなる。ここで、最大ラインプルLP1,LP2とはウインチの駆動トルクに相当する巻上ロープ5aの最大張力を意味し、最大ラインプルLP1,LP2が大きいほどウインチの駆動トルクは大きくなり、より大重量の吊り荷を吊り上げることができる。なお、以下では減速比R1を1速状態、減速比R2を2速状態と定義する。

0015

ブレーキバンド31,32にはそれぞれブレーキシリンダ33,34が設けられ、ブレーキシリンダ33,34の伸縮によってブレーキバンド31,32が拡縮する。シリンダ33,34内のヘッド側油室には、シリンダの伸長方向に常時付勢力を作用させるバネ33a,34aが配置され、シリンダ33,34内のロッド側油室は電磁比例減圧弁35,36を介して油圧ポンプ37に接続されている。

0016

油圧ポンプ37からの1次圧p1は電磁比例減圧弁35,36で減圧され、減圧後の2次圧p2はロッド側油室に供給される。2次圧p2は電磁比例減圧弁35,36の減圧度に応じて増減される。2次圧p2が最大になるとシリンダ33,34が縮退してブレーキバンド31,32は拡張し、ブレーキドラム11,12に作用する制動力Fは最小(=0)となってドラム11,12の回転が許容される。2次圧p2が最小になるとシリンダ33,34が伸長してブレーキバンド31,32は収縮し、ブレーキドラム11,12に作用する制動力Fは最大(=Fmax)となってドラム11,12の回転が阻止される。なお、第1のブレーキドラム11に作用する制動力F1の最大値をF1max、第2のブレーキドラム12に作用する制動力F2の最大値をF2maxとする。

0017

コントローラ40には、過負荷防止用のモーメントリミッタ38と、遊星減速機構20の減速比を1速R1または2速R2のいずれかに切り換えるトグル式速度切換スイッチ39が接続されている。モーメントリミッタ38はブーム角度を検出する角度計38aとブーム起伏ロープ6aの張力を検出するロードセル38bからの信号に基づいてブーム4に作用する最大負荷を制限するものである。モーメントリミッタ38では、ロードセル38bからの信号とロープ掛け数などにより巻上ロープ5aの張力Tが演算される。コントローラ40では、これらからの入力信号に基づいて以下のような処理を実行し、電磁比例減圧弁35,36に制御信号Iを出力してその減圧度を制御する。

0018

図3は、コントローラ40で実行される処理を説明するためのフローチャートである。このフローチャートは例えばエンジンキースイッチ(不図示)のオンによってスタートし、まず、ステップS1でフラグfが0か1かを判定する。スタート直後においてはフラグf=0がセットされる。ステップS1でフラグf=0と判定されるとステップS2に進み、速度切換スイッチ39が1速側から2速側に切り換えられたか否かを判定する。

0019

ステップS2が肯定されるとステップS3に進み、モーメントリミッタ38で演算された巻上ロープ5aの張力Tが予め設定された所定値T1以下(T≦T1)か否かを判定する。この場合、2速状態における最大ラインプルLP2を所定値T1として設定しておく。ステップS3が肯定されるとステップS4に進み、ブレーキドラム11,12に作用するブレーキ力FがステップS4の関係に沿って変化するように、すなわち、第1のブレーキドラム11に作用するブレーキ力F1が0から徐々に増加して時間tでF1maxとなり、第2のブレーキドラム12に作用するブレーキ力F2がF2maxから徐々に減少して時間tで0となるように、電磁比例減圧弁35,36にそれぞれ制御信号Iを出力し、リターンする。これによって、ウインチドラム5の回転時に、第2のブレーキドラム12は徐々に回転を開始し、第1のブレーキドラム11の回転は徐々に停止する。その結果、遊星減速機構20の減速比はR1から徐々に減少して時間t後にR2となり、これに伴いウインチドラム5の回転も徐々に増速される。なお、ウインチドラム5の停止時にはブレーキドラム11,12は回転することなく、時間t後に第1のブレーキドラム11の回転が阻止され、第2のブレーキドラム12の回転が許容されて、遊星減速機構20の減速比はR1からR2となる。

0020

一方、ステップS2が否定されるとステップS5に進み、速度切換スイッチが2速側から1速側に切り換えられたか否かを判定する。ステップS5が肯定されるとステップS6に進み、ブレーキドラム11,12に作用するブレーキ力FがステップS6の関係に沿って変化するように、すなわち、第1のブレーキドラム11に作用するブレーキ力F1がF1maxから徐々に減少して時間tで0となり、第2のブレーキドラム12に作用するブレーキ力F2が0から徐々に増加して時間tでF2maxとなるように、電磁比例減圧弁35,36にそれぞれ制御信号Iを出力し、リターンする。これによって、ウインチドラム5の回転時に、第1のブレーキドラム11は徐々に回転を開始し、第2のブレーキドラム12の回転は徐々に停止する。その結果、遊星減速機構20の減速比はR2から徐々に増加して時間t後にR1となり、これに伴いウインチドラム5の回転も徐々に減速される。

0021

ステップS2、ステップS5がともに否定されると、すなわち速度切換スイッチ39が非操作と判定されるとステップS7に進み、速度切換スイッチ39の位置を判定する。スイッチ39が1速位置と判定されるとステップS8に進み、第1のブレーキドラム11に作用するブレーキ力F1が0となり、第2のブレーキドラム12に作用するブレーキ力F2がF2maxとなるように、電磁比例弁35,36にそれぞれ制御信号Iを出力してリターンする。これによって、第1のブレーキドラム11の回転が許容され、第2のブレーキドラム12の回転が阻止されて、遊星減速機構20の減速比はR1となる。

0022

また、ステップS7でスイッチ39が2速位置と判定されるとステップS9に進み、第1のブレーキドラム11に作用するブレーキ力F1がF1maxとなり、第2のブレーキドラム12に作用するブレーキ力F2が0となるように、電磁比例弁35,36にそれぞれ制御信号Iを出力してリターンする。これによって、第1のブレーキドラム11の回転が阻止され、第2のブレーキドラム12の回転が許容されて、遊星減速機構20の減速比はR2となる。

0023

ステップS3が否定されると、すなわち巻上ロープ5aの張力Tが所定値T1より大きいと判定されるとステップS10に進む。ステップS10では、フラグf=1をセットしてステップS8に進む。

0024

一方、ステップS1でフラグf=1と判定されるとステップS11に進み、速度切換スイッチ39が2速側から1速側に切り換えられたか否かを判定する。ステップS11が肯定されるとステップS12に進み、フラグf=1をフラグf=0にリセットしてステップS8に進む。ステップS11が否定されるとステップS12をパスしてステップS8に進む。

0025

次に、第1の実施の形態に係わるウインチの制御装置の動作をより具体的に説明する。操作レバー17を中立位置から巻上側に操作すると、その操作量に応じてパイロット弁16aが駆動され、油圧源14からのパイロット圧が切換弁13および制御弁15のパイロットポートにそれぞれ供給される。これにより、切換弁13と制御弁15はそれぞれ位置(イ)に切り換えられ、油圧源14からの圧油によりブレーキ装置10が解除されるとともに、油圧ポンプ18からの圧油によって油圧モータ9が回転する。このとき、遊星減速機構20は以下のように動作する。

0026

速度切換スイッチ39が1速位置に操作されていると、前述したコントローラ40での処理(ステップS8)によりブレーキドラム11の回転は許容され、ブレーキドラム12の回転は阻止されて、遊星減速機構20の減速比はR1となる。その結果、油圧モータ9の出力軸9aの回転は減速比R1で減速されて、ウインチドラム5が1速状態で巻上方向に駆動される。この場合、最大ラインプルLP1は大きく、より大重量の吊り荷を吊り上げることができる。なお、一速状態においてはウインチの駆動トルクが2速状態よりも大きいため、より大きなクラッチ力(制動力F)が必要とされる。この点、本実施の形態ではF1max(ドラム11側)<F2max(ドラム12側)であるため、各ドラム11,12に効率よくクラッチ力を付与することができる。

0027

速度切換スイッチ39を1速側から2速側へ切り換えると、ロープ張力Tが所定値T1以下のときは前述した処理(ステップS4)により第1のブレーキドラム11に作用するブレーキ力F1は徐々に増加し、第2のブレーキドラム12に作用するブレーキ力F2は徐々に減少する。したがって、変速の過程(時間0〜t)において各ブレーキドラム11,12に作用するブレーキ力の総和(F1+F2)が0になったり過大になったりすることはない。

0028

ここで、もし図4(a)に示すようにブレーキ力F1,F2が制御され、変速の過程(区間a)においてブレーキ力の総和(F1+F2)が0になると、ウインチドラム5は自由回転状態となり、瞬間的に吊り荷がフリーフォールする。また、もし図4(b)に示すようにブレーキ力F1,F2が制御され、変速の過程(区間b)においてブレーキ力の総和(F1+F2)が過大(=F1max+F2max)になると、ブレーキドラム11,12の回転がともに停止され、瞬間的にウインチドラム5が停止する。あるいは、ブレーキ力F1maxが著しく小さい場合にはブレーキドラム11の回転を停止させることができず、ブレーキバンド31が摩耗する。本実施の形態では、上述したようにブレーキ力F1,F2を徐々に増減させるのでクラッチは徐々に切り換えられ、スムーズな変速動作(クラッチ切換動作)を行うことができる。そして、時間t後にはクラッチは2速に切り換えられ、ウインチドラム5はより高速で駆動される。

0029

速度切換スイッチ39を1速側から2速側へ切り換えたときにロープ張力Tが所定値T1より大きいと、その切換操作は無効とされ、クラッチは切り換えられることなく遊星減速機構20の減速比は1速R1のままとされる(ステップS10,ステップS8)。したがって、ロープ張力Tが最大ラインプルLP1を越えることはなく、吊り荷の落下を防止することができる。この状態は切換スイッチ39を2速側から1速側に戻し操作することで解除される(ステップS11,ステップS12)。そして、再度切換スイッチ39を1速側から2速側へ切り換えた場合にロープ張力Tが所定値T1以下だと、前述したのと同様にブレーキドラム11,12のブレーキ力F1,F2が制御され(ステップS4)、クラッチが2速に切り換えられる。

0030

速度切換スイッチ39を2速側から1速側へ切り換えたときはロープ張力Tの値に拘わらず、前述した処理(ステップS6)により第1のブレーキドラム11に作用するブレーキ力F1は徐々に減少し、第2のブレーキドラム12に作用するブレーキ力F2は徐々に増加する。したがって、この場合も、変速の過程において各ブレーキドラム11,12に作用するブレーキ力の総和(F1+F2)が0になったり過大になったりすることはなく、スムーズな変速動作を行うことができる。そして、時間t後にはクラッチは1速に切り換えられ、ウインチドラム5は低速で駆動される。

0031

一方、操作レバー17を中立位置から巻下側に操作すると、その操作量に応じてパイロット弁16bが駆動され、油圧源14からのパイロット圧が切換弁13および制御弁15のパイロットポートにそれぞれ供給される。これにより、切換弁13と制御弁15は位置(ロ)に切り換えられ、油圧源14からの圧油によりブレーキ装置10が解除されるとともに、油圧ポンプ18からの圧油によって油圧モータ9が逆方向に回転する。このとき、遊星減速機構20は巻上時と同様に動作する。

0032

また、操作レバー17を巻上側または巻下側から中立位置に操作すると、切換弁13および制御弁15のパイロットポートへのパイロット圧の供給が停止され、切換弁13と制御弁15はそれぞれ中立位置に切り換えられる。その結果、油圧モータ9への圧油の供給が停止され、油圧モータ9の駆動が停止されるとともに、ブレーキ装置10が作動して油圧モータ9の回転が阻止される。このとき、切換スイッチ39の位置に応じてブレーキドラム11,12のいずれかの回転は阻止されており、これによって、ウインチドラム5の回転は停止し、吊り荷を空中で保持することができる。

0033

このように第1の実施の形態によると、2組のブレーキドラム11,12を有する遊星減速機構20において、クラッチの切換時に一方のブレーキドラム11(12)を徐々に制動し、他方のブレーキドラム12(11)の制動を徐々に解除するようにしたので、ウインチのスムーズな変速動作が可能となる。また、1速から2速への切り換えは、巻上ロープ5aの張力Tが所定値T1以下の場合にのみ許容するようにしたので、速度切換スイッチ39を2速に切り換えた場合に最大ラインプルが不足して吊り荷が落下することはない。さらに、ブレーキドラム11,12の外側にブレーキバンド31,32を設けるようにしたので、外部からのバンド31,32の摩耗等の点検が容易になる。

0034

−第2の実施の形態−
図5は、本発明の第2の実施の形態に係わる巻上ウインチの制御装置の構成を示す油圧回路図である。なお、図5において図2と同一の箇所には同一の符号を付し、以下ではその相違点を主に説明する。図5に示すように、第2の実施の形態における油圧モータは可変容量型油圧モータ51であり、そのモータ容量qはレギュレータ51aの駆動によって大小2段階qmax,qminに切り換えられる。遊星減速機構20の減速比は、第1の実施の形態と同様、2段階R1,R2に変更可能であり、したがって、ウインチドラム5の速度は油圧モータ51と遊星減速機構20とにより4段階に切換可能となっている。

0035

コントローラ50には速度切換スイッチ39の代わりに1速〜4速のうちのいずれかを選択する速度選択スイッチ52が接続されている。コントローラ50ではこの速度選択スイッチ52とモーメントリミッタ38からの信号に基づいて所定の処理を実行し、電磁比例減圧弁35,36とレギュレータ51aにそれぞれ制御信号Iを出力する。

0036

選択スイッチ52の操作位置に対応する遊星減速機構20の減速比Rとモータ容量qとの関係は以下に示すのとおりである。ただし、1速から2速、2速から3速、3速から4速への変速動作(加速動作)はロープ張力Tに応じて後述のように制限される。
1速:減速比R1,モータ容量qmax
2速:減速比R2,モータ容量qmax
3速:減速比R1,モータ容量qmin
4速:減速比R2,モータ容量qmin

0037

(1)1速から2速への切換
選択スイッチ52を1速から2速に操作すると、ロープ張力Tが所定値T1(最大ラインプルLP2に相当)以下の場合には、第1の実施の形態と同様、電磁比例減圧弁35,36への制御信号Iにより第1のブレーキドラム11は徐々に制動され、第2のブレーキドラム12の制動は徐々に解除される。このとき、レギュレータ51aへの制御信号によりモータ容量qは大(qmax)に設定される。これによって、油圧モータ51の最高回転数はN1、遊星減速機構20の減速比はR2となり、ウインチは2速状態で駆動される。

0038

1速から2速への切換指令時にロープ張力Tが所定値T1を越えている場合にはその変速操作は無効とされ、第1のブレーキドラム11の制動が解除され、第2のブレーキドラム12が制動された状態を保持する。これによって、油圧モータ51の最高回転数はN1、遊星減速機構20の減速比はR1となり、ウインチは1速のままとされる。
(2)2速から1速への切換

0039

選択スイッチ52を2速から1速に操作した場合には、ロープ張力Tの大きさに拘わらず第1のブレーキドラム11の制動は徐々に解除され、第2のブレーキドラム12が徐々に制動される。これによって、油圧モータ51の最高回転数はN1、遊星減速機構20の減速比はR1となり、ウインチは1速状態で駆動される。

0040

(3)2速から3速への切換
選択スイッチ52を2速から3速に操作すると、ロープ張力Tが所定値T2(<T1)以下の場合には、レギュレータ51aへの制御信号Iによりモータ容量qが小(qmin)に設定されるとともに、電磁比例減圧弁35,36への制御信号Iにより第1のブレーキドラム11の制動は徐々に解除され、第2のブレーキドラム12が徐々に制動される。これによって、油圧モータ51の最高回転数はN2(>N1)、遊星減速機構20の減速比はR1となり、ウインチは3速状態で駆動される。

0041

2速から3速への切換指令時にロープ張力Tが所定値T2を越えている場合にはその変速操作は無効とされ、モータ容量qが大(qmax)に設定され、第1のブレーキドラム11が制動され、第2のブレーキドラム12の制動が解除された状態を保持する。これによって、油圧モータ51の最高回転数はN1、遊星減速機構20の減速比はR2となり、ウインチは2速のままとされる。この場合の所定値T2は、次式(III)で決定される。
T2 = T1×(qmin/qmax)×(R1/R2) (III)
すなわち、ウインチを2速から3速に変速する際、モータ容量qが小さくなるとモータ圧力pは大きくなるが、モータ圧力pはリリーフ弁41の設定圧で上限が制限されるので、吊り荷を吊り上げるのに十分なモータ圧力pを得ることができなくなるおそれがある。その反面、遊星減速機構20の減速比がR2からR1に小さくなると、ウインチの駆動トルクが上昇する。そこで、T1に油圧モータ51の容量比(qmin/qmax)と遊星減速機構20の減速比R1,R2の割合(R1/R2)とを乗じた値を所定値T2とする。この場合、所定値T1>所定値T2となるように、すなわち(qmin/qmax)×(R1/R2)<1となるようにモータ容量比(qmin/qmax)と減速比R1,R2の割合(R1/R2)を設定する。

0042

(4)3速から2速への切換
選択スイッチ52を3速から2速に操作した場合には、ロープ張力Tの大きさに拘わらずモータ容量qが大(qmax)に設定されるとともに、第1のブレーキドラム11は徐々に制動され、第2のブレーキドラム12の制動が徐々に解除される。これによって、油圧モータ51の回転数はN1、遊星減速機構20の減速比はR2となり、ウインチは2速状態で駆動される。

0043

(5)3速から4速への切換
選択スイッチ52を3速から4速に操作すると、ロープ張力Tが所定値T3(<T2)以下の場合には、電磁比例弁35,36への制御信号により第1のブレーキドラム11は徐々に制動され、第2のブレーキドラム12の制動が徐々に解除される。これによって、油圧モータ51の最高回転数はN2、遊星減速機構20の減速比はR2となり、ウインチは4速状態で駆動される。

0044

3速から4速への切換指令時にロープ張力Tが所定値T3を越えている場合にはその変速操作は無効とされ、第1のブレーキドラム11の制動が解除され、第2のブレーキドラム12が制動された状態を保持する。これによって、油圧モータ51の最高回転数はN2、遊星減速機構20の減速比はR1となり、ウインチは3速のままとされる。この場合の所定値T3は、次式(IV)で決定される。
T3=T2×(R2/R1) (IV

すなわち、減速比のR1からR2への変更に伴うウインチの駆動トルクの減少分を考慮し、所定値T2に減速比R1,R2の割合(R2/R1)を乗じて所定値T3が決定される。

0045

(6)4速から3速への切換
切換スイッチ52を4速から3速に操作した場合には、ロープ張力Tの大きさに拘わらず第1のブレーキドラム11の制動は徐々に解除され、第2のブレーキドラム12が徐々に制動される。これによって、油圧モータ51の最高回転数はN2、遊星減速機構20の減速比はR1となり、ウインチは3速状態で駆動される。

0046

このように第2の実施の形態によると、2組のブレーキドラム11,12を有する遊星減速機構20に連結された油圧モータ51を可変容量式とし、モータ容量qを大小2段階qmax,qminに切り換えるようにしたので、ウインチを4速に変速することができ、使い勝手が向上する。この場合、ブレーキドラム11,12を徐々に制動または制動解除するようにしたので、ウインチのスムーズな変速動作が可能となる。また、1速から2速、2速から3速、3速から4速への切り換えは、巻上ロープの張力Tがそれぞれ所定値T1、T2、T3以下の場合にのみ許容するようにしたので、駆動トルクの不足による吊り荷の不所望な落下を防止することができる。

0047

−第3の実施の形態−
図6は、本発明の第3の実施の形態に係わる巻上ウインチの制御装置を構成する油圧回路図である。なお、図6において図2と同一の箇所には同一の符号を付し、以下ではその相違点を主に説明する。図6に示すように、キャリア軸21aには第1のブレーキドラム11の代わりに油圧ポンプ61が連結され、油圧ポンプ61はアンロードリリーフ弁62に接続されている。アンロードリリーフ弁62のパイロットポートはスローリターン弁63および電磁切換弁64を介してタンクに接続され、いわゆる無負荷回路が形成されている。ブレーキシリンダ34のロッド側油室はスローリターン弁65および電磁切換弁66を介してタンクまたは油圧ポンプ37のいずれかに接続可能とされている。各電磁切換弁64,66のソレノイドは、ウインチドラム5の駆動速度を1速または2速に切り換えるオン/オフ式の速度切換スイッチ67を介して電源68に接続されている。

0048

速度切換スイッチ67をオフ(開)すると、各電磁切換弁64,66のソレノイドが消磁され、電磁切換弁64,66はそれぞれ位置(ロ)に切り換えられる。電磁切換弁64が位置(ロ)に切り換えられると、アンロードリリーフ弁62のパイロットポートはスローリターン弁63の絞り63aを介してタンクに連通し、アンロードリリーフ弁62のリリーフ圧は徐々に小さくなる。そして、リリーフ圧が最小になると油圧ポンプ61に作用する負荷は最小(=0)となり、第1のキャリア21は自由回転状態となる。またこのとき、電磁切換弁66が位置(ロ)に切り換えられると、ブレーキシリンダ33のロッド側油室はタンクと連通し、シリンダ33が伸長してブレーキドラム11が制動される。このような動作によりクラッチは1速に切り換えられる。

0049

速度切換スイッチ67をオン(閉)すると、各電磁切換弁64,66のソレノイドが励磁され、電磁切換弁64,66はそれぞれ位置(イ)に切り換えられる。電磁切換弁64が位置(イ)に切り換えられると、アンロードリリーフ弁62のパイロットポートはタンクから遮断し、リリーフ弁62のリリーフ圧は設定圧p1となる。これにより、油圧ポンプ61には設定圧p1に応じた所定の負荷が作用し、第1のキャリア21にはポンプ負荷に応じた所定のブレーキ力(例えばF1max)が作用する。またこのとき、電磁切換弁66が位置(イ)に切り換えられると、ブレーキシリンダ34のロッド側油室はスローリターン弁65の絞り65aを介してポンプ37と連通し、シリンダ34が徐々に縮退してブレーキドラム12の制動が徐々に解除される。このような動作によりクラッチは2速に切り換えられる。

0050

このように第3の実施の形態によると、遊星減速機構20の一方のキャリア軸22aにブレーキドラム12を連結し、1速から2速への切換時にブレーキシリンダ34への圧油の供給をスローリターン弁65により遅らせてブレーキドラム12の制動を徐々に解除するようにした。また、他方のキャリア軸21aに油圧ポンプ61を連結し、2速から1速への切換時にアンロードリリーフ弁62およびスローリターン弁63により油圧ポンプ61に作用する負荷を徐々に小さくするようにした。これにより、1速から2速、または2速から1速へのウインチのスムーズな変速動作が可能となる。この場合、第1のキャリア21側にポンプブレーキを用いることで、クラッチ切換時に油圧ポンプ61の負荷に抗してキャリア21が回転しても、バンドブレーキ11におけるバンド31の摩耗等の心配がない。

0051

−第4の実施の形態−
図7は、本発明の第4の実施の形態に係わる巻上ウインチの制御装置を構成する油圧回路図である。なお、図7において図6と同一の箇所には同一の符号を付し、以下ではその相違点を主に説明する。図7に示すように、ブレーキシリンダ34のロッド側油室は油圧切換弁71を介してポンプ37またはタンクのいずれかに接続可能とされている。油圧切換弁71のパイロットポートは第1のキャリア21の軸21aに連結された油圧ポンプ61にリリーフ弁72を介して接続され、リリーフ弁72の設定圧は図6のアンロードリリーフ弁62の設定圧p1と等しくなっている。油圧ポンプ61からの吐出圧により油圧切換弁71のパイロットポートにリリーフ弁72の設定圧p1相当のパイロット圧が作用すると油圧切換弁71は位置(イ)に切り換えられ、ブレーキシリンダ34のロッド側油室はタンクに連通する。油圧切換弁71に設定圧p1相当のパイロット圧が作用しないときは、油圧切換弁71は位置(ロ)に切り換えられ、ブレーキシリンダ34のロッド側油室はポンプ37と連通する。

0052

第4の実施の形態では、操作レバー17を巻上または巻下操作するとウインチは2速状態で駆動を開始する。このとき、空のフック8を昇降させる場合等でウインチドラム5に作用する負荷が小さいと、第1のキャリア21に作用する駆動トルクは小さく、第1のキャリア21から油圧ポンプ61に作用する負荷はリリーフ弁72の設定圧p1より小さくなる。その結果、第1のキャリア21および油圧ポンプ61はともに停止したままであり、油圧ポンプ61からは圧油が吐出されず油圧切換弁71は位置(ロ)に切り換えられたままとされる。これによって、ブレーキドラム12の制動が解除され、ウインチは2速状態のまま駆動される。

0053

これに対し、大重量の吊り荷を昇降させる場合等でウインチドラム5に作用する負荷が大きくなると、第1のキャリア21に作用する駆動トルクは大きく、第1のキャリア21から油圧ポンプ61に作用する負荷はリリーフ弁71の設定圧p1以上となる。その結果、油圧ポンプ61は設定圧p1相当の負荷を及ぼしながら回転され、油圧ポンプ61からの吐出圧によって油圧切換弁71は位置(イ)に切り換えられる。これによって、ブレーキドラム12が制動され、ウインチは1速状態で駆動される。この1速状態においては、第3の実施の形態と異なり、ウインチドラム5には吊り荷の自重の他に油圧ポンプ61からの負荷が作用する。したがって、1速状態で第3の実施の形態と同等のウインチ性能を得たい場合には、油圧モータ91への供給圧力を制限するリリーフ弁73の設定圧を図6のリリーフ弁41の設定圧より高く設定し、ポンプ負荷の分だけ油圧モータ9に作用する駆動トルクを上乗せすればよい。

0054

このように第4の実施の形態によると、遊星減速機構20の各キャリア21,22にブレーキドラム12と油圧ポンプ61とをそれぞれ連結し、ウインチドラム5に作用する負荷がリリーフ弁72の設定圧p1相当以上になると、油圧ポンプ61の回転によるポンプ吐出圧によって油圧切換弁71を切り換えてブレーキドラム12の制動を制御するようにしたので、クラッチが自動的に切り換えられ、切換操作の手間が省けて作業性が向上するとともに、コントローラなどを必要としない簡易な構成により、ドラム5に作用する負荷に応じた最適なタイミングでクラッチを切り換えることができる。また、第1のキャリア21にリリーフ弁72の設定圧p1に応じた所定のブレーキ力が作用した状態でクラッチが切り換えられるので、トルクの伝達切れのないスムーズな変速動作を得ることができる。この場合、1速状態において第1のキャリア21はブレーキ力に抗して回転するが、油圧ポンプ61をブレーキとして用いているのでブレーキバンドの摩耗といった心配はない。

0055

なお、上記実施の形態においては、2組のブレーキドラム11,12を有する遊星減速機構20を用い、その減速比を2段階R1,R2に切り換えるようにしたが、さらに複数のブレーキドラムにより減速比を3段階以上に切り換えるようにしてもよい。また、上記実施の形態では、巻上ロープ5aの張力Tに基づいて1速から2速へのクラッチ切換操作を有効化または無効化したが、ロープ張力Tと相関関係を有するものならば、ロープ張力T以外のものであってもよい。

0056

以上の実施の形態と請求項との対応において、第1のブレーキドラム11とブレーキバンド31、あるいは油圧ポンプ61が第1のクラッチ装置を、第2のブレーキドラム12とブレーキバンド32が第2のクラッチ装置を、速度切換スイッチ39,67が速度選択手段を、ブレーキシリンダ33,34と電磁比例減圧弁35,36とコントローラ40がクラッチ制御手段を、モーメントリミッタ38が検出手段を、アンロードリリーフ弁62とスローリターン弁63と電磁切換弁64が第1のクラッチ制御手段を、ブレーキシリンダ34とスローリターン弁65と電磁切換弁66が第2のクラッチ制御手段を、ブレーキシリンダ34と油圧切換弁71とリリーフ弁72がドラム制動装置を、コントローラ50とレギュレータ51aがモータ制御手段をそれぞれ構成する。

図面の簡単な説明

0057

以上詳細に説明したように、本発明によれば次のような効果を奏する。
(1) 請求項1の発明によれば、複数のクラッチ装置を有する遊星減速機構を備えた巻上ウインチの制御装置において、速度選択手段により第1段が選択されると第1のクラッチ装置を徐々に解放させながら第2のクラッチ装置を徐々に係合し、第2段が選択されると第1のクラッチ装置を徐々に係合させながら第2のクラッチ装置を徐々に解放するようにしたので、クラッチのスムーズな切換が可能となる。
(2) 請求項2の発明によれば、速度選択手段により第2段が選択された際、巻上ロープの張力が第1の所定値より大きいときはその選択を無効化するようにしたので、最大ラインプルが不足して吊り荷が落下することはない。
(3) 請求項3の発明によれば、遊星減速機構が、油圧モータで駆動される第1のサンギアの回転を第1のプラネタリギアを介してウインチドラムの第1のリングギアへ伝達する第1の変速機構と、第1のプラネタリギアを支持する第1のキャリアにより駆動される第2のサンギアの回転を第2のプラネタリギアを介して第2のリングギアへ伝達する第2の変速機構とを有し、第1のクラッチ装置で第1のキャリアの回転を制御し、第2のクラッチ装置で第2のプラネタリギアを支持する第2のキャリアの回転を制御するようにしたので、遊星減速機構はウインチドラムの内側にコンパクトに格納される。
(4) 請求項4の発明によれば、油圧モータを可変容量式としたので、複数段の変速が可能となり、使い勝手が向上する。
(5) 請求項5の発明によれば、巻上ロープの張力が第2の所定値より大きいときは油圧モータの容量を小さくすることを禁止するようにしたので、変速操作がなされた際の最大ラインプルの不足による吊り荷の落下を防止することができる。
(6) 請求項6の発明によれば、第1のクラッチ装置を速度制御用油圧ポンプにより構成し、第2のクラッチ装置をバンド式とし、速度検出手段により第1段が選択されると第2のクラッチ装置のブレーキドラムの回転を制動するとともに速度制御用油圧ポンプに作用する負荷を徐々に小さくし、第2段が選択されるとドラムの回転の制動を徐々に許容するとともに速度制御用油圧ポンプに作用する負荷を所定値まで引き上げるようにしたので、クラッチの切換がスムーズになるとともに、一方をポンプブレーキとしたことでクラッチ切換時のブレーキバンドの摩耗を回避することができる。

--

0058

図1本発明が適用される油圧式クレーンの側面図。
図2本発明の第1の実施の形態に係わる巻上ウインチの制御装置の構成を示す油圧回路図。
図3第1の実施の形態に係わる巻上ウインチの制御装置を構成するコントローラで実行される処理の一例を示すフローチャート。
図4ブレーキドラムに作用するブレーキ力の推移を示す図であり、本発明の効果を説明するための図。
図5本発明の第2の実施の形態に係わる巻上ウインチの制御装置の構成を示す油圧回路図。
図6本発明の第3の実施の形態に係わる巻上ウインチの制御装置の構成を示す油圧回路図。
図7本発明の第4の実施の形態に係わる巻上ウインチの制御装置の構成を示す油圧回路図。

0059

5ウインチドラム5a巻上ロープ
9,51油圧モータ11 第1のブレーキドラム
12 第2のブレーキドラム 20遊星減速機構
21 第1のキャリア22 第2のキャリア
23 1段目リングギア24 2段目リングギア
25 1段目サンギア26 1段目遊星ギア
27 2段目サンギア 28 2段目遊星ギア
30制動装置31ブレーキバンド
32 ブレーキバンド 33,34ブレーキシリンダ
35,36電磁比例減圧弁38モーメントリミッタ
39,67 速度切換スイッチ 40,50コントローラ
51aレギュレータ62アンロードリリーフ弁
63,65スローリターン弁64,66電磁切換弁
71油圧切換弁 72 リリーフ弁

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