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課題
解決手段
概要
背景
液晶表示パネル等の液晶製品の品質においては、液晶基板の配向方向や基板間厚さ、内部構成材料の凝集等に起因する液晶の配置不良に伴う、色ムラや色分布状態等の視覚的な不良は、製品の表示状態に直接関連する欠陥である。また、液晶配向方向と基板に貼り付ける偏光板(偏光素子)との相対角度、一組の偏光素子間の相対角度の調整も表示状態の品質にとって重要であり、特異な波長吸収帯を持つ液晶構成材料に関して、これらの相対角度が変化することによりコントラストばかりでなく表示部分の色も変化する。
現在、ガラス基板を用いた大きなサイズの液晶製品が多く出回っているが、ポリマー素材等、ガラスに変わる材料を基板とした製品も多数生産され、ポリマー基板を用いたもの等ではその加工の容易さにより様々な形状の液晶製品の製造が可能となっている。例えば、円形あるいは曲面を有する液晶製品を考慮した場合は何らかの目印を施さなければ、基板と偏光素子との相対角度を規定することは困難である。また、目視による色や明るさの表示状態の許容範囲を製品に反映するためには、製品自体の相対角度等を規定する方法の他に、規定範囲内の角度に組み付けできるような生産時の検出が重要である。
従来の液晶製品の色ムラ、色分布状態の検出方法としては、カラーカメラを用い、その撮像から得られる赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色出力(RGB信号)を組み合わせて新たな画像信号とし、この信号に空間フィルタを施してそのエッジ部分を顕在化する方法が提案されている。また、偏光素子の改良や光軸の設定によって色味の補正等を行い、色度の視野角依存特性を改善する方法も提案されている。
この種の装置あるいは方法として関連するものには、特開平5−187920号公報、特開平10−213797号公報がある。
概要
カラー撮像手段を用い、表示ムラ(色ムラ等)を定量的な特性として把握し、これによって表示ムラを効率的に検出することが可能な表示ムラ検査装置及び表示ムラ検査方法を提供する。
液晶セル基板7に偏光板3、4を貼付する前に、カラー撮像手段(カラーCCDエリアセンサ1、レンズ2、等)によって液晶セル基板7の画像を取得し、その画像中の各画素のRGB値を比較する。すなわち、その画像中の各画素のRGB値に基づき、そのRGB値の強度、各座標でのRGB値のばらつき、座標間のRGB値のばらつき、色分布の空間周波数状態、等を検出し、定性的な官能検査で検出していた表示ムラ(色ムラ等)を定量的な特性として把握することによって、表示ムラを精度よく効率的に検出する。
目的
本発明の目的は、このような問題点を改善し、従来は定性的な官能検査で検出していた表示ムラ(色ムラや色分布状態不良)を、カラー撮像手段を用いて定量的な特性として把握し、これによって表示ムラを効率的に検出することが可能な表示ムラ検査装置及び表示ムラ検査方法を提供することにある。
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 3件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
透明基板間に液晶を注入し、注入液晶をシールして形成した液晶セル基板の表示ムラ検査を、該液晶セル基板に対する偏光板の貼付け前に行う表示ムラ検査装置であって、液晶セル基板を保持する保持手段と、液晶セル基板と同一光軸上で該液晶セル基板の上方及び下方に配置された一組の偏光板と、下側の偏光板の下方に配置され、該偏光板を通して液晶セル基板を投射する照明手段と、上側の偏光板の上方に配置され、該偏光板を通して液晶セル基板への投射光を入射して該液晶セル基板の画像を取得するカラー撮像手段と、を備え、液晶セル基板の画像中の各画素のRGB値を比較することによって表示ムラを検出することを特徴とする表示ムラ検査装置。
請求項2
前記上側の偏光板を回転させる上側偏光板回転手段と、前記下側の偏光板を回転させる下側偏光板回転手段と、前記液晶セル基板を水平移動する液晶セル基板移動手段と、を備え、液晶セル基板を光軸上から退避させた状態で、偏光板を回転させながら前記照明手段からの投射光を前記撮像手段に入射させて画像を取得し、取得画像の各画素のRGB値を比較することによって、上側と下側の偏光板の相対角度を検出することを特徴とする請求項1に記載の表示ムラ検査装置。
請求項3
前記液晶セル基板を回転させる液晶セル基板回転手段を備え、上側と下側の偏光板が所定の相対角度をもって配置された状態で、液晶セル基板を同一光軸上に復帰させた後、該液晶セル基板を回転させながら前記照明手段からの投射光を前記撮像手段に入射させて該液晶セル基板の画像を取得し、取得画像の各画素のRGB値を比較することによって、前記偏光板と液晶セル基板の相対角度を検出することを特徴とする請求項2に記載の表示ムラ検査装置。
請求項4
前記上側の偏光板を液晶セル基板上面に貼り付ける上側偏光板貼付手段と、前記下側の偏光板を液晶セル基板下面に貼り付ける下側偏光板貼付手段と、を備え、偏光板と液晶セル基板が正しい相対角度をもって配置された状態で、該偏光板と液晶セル基板を貼り付けることを特徴とする請求項3に記載の表示ムラ検査装置。
請求項5
透明基板間に液晶を注入し、注入液晶をシールして形成した液晶セル基板に一対の偏光板を貼付けた液晶製品の表示ムラを検出する表示ムラ検査装置であって、液晶製品を保持する保持手段と、液晶製品の下方に配置され、該液晶製品を投射する照明手段と、液晶製品の上方に配置され、該液晶製品への投射光を入射して該液晶製品の画像を取得するカラー撮像手段と、を備え、液晶製品の画像中の各画素のRGB値を比較することによって表示ムラを検出することを特徴とする表示ムラ検査装置。
請求項6
透明基板間に液晶を注入し、注入液晶をシールして形成した液晶セル基板を保持する保持手段と、該液晶セル基板と同一光軸上で該液晶セル基板の上方及び下方に配置された一組の偏光板と、下側の偏光板の下方に配置され、該偏光板を通して液晶セル基板を投射する照明手段と、上側の偏光板の上方に配置され、該偏光板を通して液晶セル基板への投射光を入射して該液晶セル基板の画像を取得するカラー撮像手段と、を備えた装置を用い、液晶セル基板に偏光板を貼り付ける前の状態で表示ムラを検出する表示ムラ検査方法であって、前記照明手段が偏光板を通して液晶セル基板を投射した状態で、前記撮像手段により偏光板を通して液晶セル基板の画像を取得する画像取得工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、該RGB値の強度を検出する強度検出工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、各座標でのRGB値のばらつきを検出するばらつき検出工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、座標間のRGB値のばらつきを検出する座標間ばらつき検出工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、色分布の空間周波数状態を検出する空間周波数状態検出工程と、を有することを特徴とする表示ムラ検査方法。
請求項7
透明基板間に液晶を注入し、注入液晶をシールして形成した液晶セル基板に一対の偏光板を貼付けた液晶製品を保持する保持手段と、該液晶製品の下方に配置され、該液晶製品を投射する照明手段と、該液晶製品の上方に配置され、該液晶製品への投射光を入射して該液晶製品の画像を取得するカラー撮像手段と、を備えた装置を用い、液晶セル基板に偏光板を貼り付けた後の状態で表示ムラを検出する表示ムラ検査方法であって、前記照明手段が液晶製品を投射した状態で、前記撮像手段により該液晶製品の画像を取得する画像取得工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、該RGB値の強度を検出する強度検出工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、各座標でのRGB値のばらつきを検出するばらつき検出工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、座標間のRGB値のばらつきを検出する座標間ばらつき検出工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、色分布の空間周波数状態を検出する空間周波数状態検出工程と、を有することを特徴とする表示ムラ検査方法。
技術分野
0001
本発明は、液晶表示パネル等の液晶製品の自動生産(特に多種少量生産)において画像処理技術を応用して表示ムラ検査や偏光板の貼付作業を行う際、光軸に垂直な面内での素子の回転による色ムラを検出し、目視による定性的な品質を定量的に把握して品質を確保するために色状態を検出する表示ムラ検査装置及び表示ムラ検査方法に関する。
背景技術
0002
液晶表示パネル等の液晶製品の品質においては、液晶基板の配向方向や基板間厚さ、内部構成材料の凝集等に起因する液晶の配置不良に伴う、色ムラや色分布状態等の視覚的な不良は、製品の表示状態に直接関連する欠陥である。また、液晶配向方向と基板に貼り付ける偏光板(偏光素子)との相対角度、一組の偏光素子間の相対角度の調整も表示状態の品質にとって重要であり、特異な波長吸収帯を持つ液晶構成材料に関して、これらの相対角度が変化することによりコントラストばかりでなく表示部分の色も変化する。
0003
現在、ガラス基板を用いた大きなサイズの液晶製品が多く出回っているが、ポリマー素材等、ガラスに変わる材料を基板とした製品も多数生産され、ポリマー基板を用いたもの等ではその加工の容易さにより様々な形状の液晶製品の製造が可能となっている。例えば、円形あるいは曲面を有する液晶製品を考慮した場合は何らかの目印を施さなければ、基板と偏光素子との相対角度を規定することは困難である。また、目視による色や明るさの表示状態の許容範囲を製品に反映するためには、製品自体の相対角度等を規定する方法の他に、規定範囲内の角度に組み付けできるような生産時の検出が重要である。
0004
従来の液晶製品の色ムラ、色分布状態の検出方法としては、カラーカメラを用い、その撮像から得られる赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色出力(RGB信号)を組み合わせて新たな画像信号とし、この信号に空間フィルタを施してそのエッジ部分を顕在化する方法が提案されている。また、偏光素子の改良や光軸の設定によって色味の補正等を行い、色度の視野角依存特性を改善する方法も提案されている。
0005
この種の装置あるいは方法として関連するものには、特開平5−187920号公報、特開平10−213797号公報がある。
発明が解決しようとする課題
0006
前記特開平5−187920号公報に開示された技術では、カラーカメラにより取得されたRGB信号を組み合わせて新たな色データ画像を作成し、その画像に空間フィルタを施して色変化のエッジ部分を顕在化しているが、これでは微小な色ムラを安定して検出できても、シェーディングのような全体的に大きな傾向を抽出することはできない。
0007
また、特開平10−213797号公報に開示された技術では、偏光素子と液晶の光軸の角度を規定することによって視角特性を改善しようとしているが、円形等、任意形状の液晶製品に適用することは難しく、また、目視による表示状態の許容度を公差や外形基準等の組付け精度に反映させるのは困難で、精度及び効率に問題があり、無駄なコストが生じる恐れがある。
0008
本発明の目的は、このような問題点を改善し、従来は定性的な官能検査で検出していた表示ムラ(色ムラや色分布状態不良)を、カラー撮像手段を用いて定量的な特性として把握し、これによって表示ムラを効率的に検出することが可能な表示ムラ検査装置及び表示ムラ検査方法を提供することにある。
課題を解決するための手段
0009
請求項1記載の発明は、透明基板間に液晶を注入し、注入液晶をシールして形成した液晶セル基板の表示ムラ検査を、該液晶セル基板に対する偏光板の貼付け前に行う表示ムラ検査装置であって、液晶セル基板を保持する保持手段と、液晶セル基板と同一光軸上で該液晶セル基板の上方及び下方に配置された一組の偏光板と、下側の偏光板の下方に配置され、該偏光板を通して液晶セル基板を投射する照明手段と、上側の偏光板の上方に配置され、該偏光板を通して液晶セル基板への投射光を入射して該液晶セル基板の画像を取得するカラー撮像手段と、を備え、液晶セル基板の画像中の各画素のRGB値を比較することによって表示ムラを検出することに特徴がある。
0010
請求項2に記載の発明は、請求項1において前記上側の偏光板を回転させる上側偏光板回転手段と、前記下側の偏光板を回転させる下側偏光板回転手段と、前記液晶セル基板を水平移動する液晶セル基板移動手段と、を備え、液晶セル基板を光軸上から退避させた状態で、偏光板を回転させながら前記照明手段からの投射光を前記撮像手段に入射させて画像を取得し、取得画像の各画素のRGB値を比較することによって、上側と下側の偏光板の相対角度を検出することに特徴がある。
0011
請求項3に記載の発明は、請求項2において前記液晶セル基板を回転させる液晶セル基板回転手段を備え、上側と下側の偏光板が所定の相対角度をもって配置された状態で、液晶セル基板を同一光軸上に復帰させた後、該液晶セル基板を回転させながら前記照明手段からの投射光を前記撮像手段に入射させて該液晶セル基板の画像を取得し、取得画像の各画素のRGB値を比較することによって、前記偏光板と液晶セル基板の相対角度を検出することに特徴がある。
0012
請求項4に記載の発明は、請求項3において前記上側の偏光板を液晶セル基板上面に貼り付ける上側偏光板貼付手段と、前記下側の偏光板を液晶セル基板下面に貼り付ける下側偏光板貼付手段と、を備え、偏光板と液晶セル基板が所定の相対角度をもって配置された状態で、該偏光板と液晶セル基板を貼り付けることに特徴がある。
0013
請求項5に記載の発明は、透明基板間に液晶を注入し、注入液晶をシールして形成した液晶セル基板に一対の偏光板を貼付けた液晶製品の表示ムラを検出する表示ムラ検査装置であって、液晶製品を保持する保持手段と、液晶製品の下方に配置され、該液晶製品を投射する照明手段と、液晶製品の上方に配置され、該液晶製品への投射光を入射して該液晶製品の画像を取得するカラー撮像手段と、を備え、液晶製品の画像中の各画素のRGB値を比較することによって表示ムラを検出することに特徴がある。
0014
請求項6に記載の発明は、透明基板間に液晶を注入し、注入液晶をシールして形成した液晶セル基板を保持する保持手段と、該液晶セル基板と同一光軸上で該液晶セル基板の上方及び下方に配置された一組の偏光板と、下側の偏光板の下方に配置され、該偏光板を通して液晶セル基板を投射する照明手段と、上側の偏光板の上方に配置され、該偏光板を通して液晶セル基板への投射光を入射して該液晶セル基板の画像を取得するカラー撮像手段と、を備えた装置を用い、液晶セル基板に偏光板を貼り付ける前の状態で表示ムラを検出する表示ムラ検査方法であって、前記照明手段が偏光板を通して液晶セル基板を投射した状態で、前記撮像手段により偏光板を通して液晶セル基板の画像を取得する画像取得工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、該RGB値の強度を検出する強度検出工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、各座標でのRGB値のばらつきを検出するばらつき検出工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、座標間のRGB値のばらつきを検出する座標間ばらつき検出工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、色分布の空間周波数状態を検出する空間周波数状態検出工程と、を有することに特徴がある。
0015
請求項7に記載の発明は、透明基板間に液晶を注入し、注入液晶をシールして形成した液晶セル基板に一対の偏光板を貼付けた液晶製品を保持する保持手段と、該液晶製品の下方に配置され、該液晶製品を投射する照明手段と、該液晶製品の上方に配置され、該液晶製品への投射光を入射して該液晶製品の画像を取得するカラー撮像手段と、を備えた装置を用い、液晶セル基板に偏光板を貼り付けた後の状態で表示ムラを検出する表示ムラ検査方法であって、前記照明手段が液晶製品を投射した状態で、前記撮像手段により該液晶製品の画像を取得する画像取得工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、該RGB値の強度を検出する強度検出工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、各座標でのRGB値のばらつきを検出するばらつき検出工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、座標間のRGB値のばらつきを検出する座標間ばらつき検出工程と、該画像中の各画素のRGB値に基づき、色分布の空間周波数状態を検出する空間周波数状態検出工程と、を有することに特徴がある。
発明を実施するための最良の形態
0016
以下、本発明の実施の一形態を図面を用いて説明する。
[第1の実施の形態]図1は、本発明の第1の実施の形態における表示ムラ検査装置の構成を示す。液晶セル基板7の表示ムラを検査する表示ムラ検査装置100には、カラーCCDエリアセンサ1、レンズ2、上側偏光板3、上側偏光板回転モータ6、ハンド19、下側偏光板4、下側偏光板回転モータ8、バックライト照明5、制御部9を備える。
0017
カラーCCDエリアセンサ1、レンズ2、等からなるカラー撮像手段は、上側偏光板3の上方に配置され、このレンズ2は多種少量生産における検査対象の最大サイズに撮像範囲を固定してカラーCCDエリアセンサ1に設置されている。このカラー撮像手段は、上側偏光板3を通して液晶セル基板7の画像を取得し、制御部9へ赤(R)、緑(G)、青(B)の3原色出力(RGB信号)を送出するように構成されている。
0018
上側偏光板3、下側偏光板4は、光軸上で液晶セル基板7の上下方にあって、ハンド19によって保持された液晶セル基板7を挟むように配置されている。
0021
バックライト照明5は、蛍光ランプ等で構成され、表示ムラ検査時に液晶セル基板7の背面から投射するものである。このバックライト照明5の点灯時に、前記カラー撮像手段によって液晶セル基板7の画像を取得する。
0022
制御部9は、CPU、必要データを格納し、画像メモリあるいはワークエリアとして使用されるRAM、CPUの制御プログラム(表示ムラ検査プログラムを含む)及びデータを格納したROM、入力表示部、等からなり、前記カラー撮像手段からの3原色出力を入力してR、G、Bの明暗信号に変換する信号変換手段、この各色の明暗信号をA/D変換し、ディジタルデータとして画像メモリに格納するA/D変換手段、こうして得られたディジタルデータを基にRGB値(例えば、0〜255の数値範囲に分かれた輝度レベル値)の平均値、ばらつき値、標準偏差、空間分布状態、等を算出するための画像処理手段、を構成する。
0023
なお、液晶セル基板7は、偏光板貼付け前の液晶セル基板(透明電極パターンが形成された2枚の透明基板間に液晶が注入されたもの)であって、液晶表示を行うための表示エリア、2枚の透明基板を接着すると共に注入液晶をシールするためのシール剤塗布部、を有する。このシール剤はエポキシ樹脂等からなり、透明基板上にスクリーン印刷等の方法で塗布される。また、2枚の透明基板の間隔を均一にするためにスペーサが各基板間に散布されている。さらに、各基板自体あるいは内面上には液晶を均一に配列するための配向膜が被着されており、この配向膜に対して所定方向に予めラビング処理が施されている。なお、ラビング処理による液晶分子の配向方向に対して、完成後の液晶パネルの上下両側に貼付された偏光板と同じ状態に偏光板3、4を配置した状態を基準状態とすると、この基準状態で偏光板3、4の偏光軸は直交する方向に指向する。
0024
次に、本実施形態の表示ムラ検査方法について説明する。本実施形態では、透明電極(ITO膜)等が形成された透明基板からなる液晶セル基板あるいは偏光板貼付け後の液晶製品の表示ムラ検査を偏光板の貼付け前あるいは貼付け後に行う。液晶セル基板7の表示ムラ検査は、この基準状態からバックライト照明5を点灯して、全色(白色)あるいは3原色(R、G、B)を表示させ、偏光板3、4を光軸中心に回転駆動手段(偏光板回転モータ6、8)の駆動で回転させながら、前記カラー撮像手段により得られた液晶セル基板7の画像を画像処理することによって行う。
0025
特に、限度見本の画像を目視によって確認し、前記カラー撮像手段によって得られた画像から各座標のRGB値の平均値範囲、ばらつき範囲を限定し、良/不良の曖昧な対象に関しては、さらに空間周波数状態とその振幅を組み合わせることにより、視角性を官能検査に対応させる。なお、液晶セル基板7と偏光素子(偏光板3、4)が相対的に回転し、相対角度を変化させることによって、図2、図3に示すような特性を有するRGB値(画素値=輝度レベル)が得られる。図2は全体的に高いRGB値が得られたことを示し、図3は全体的にRGB値が低く、しかもばらついていることを示している。
0026
本実施形態では、全画面の画素数をn×m画素とすると、まず、数式(1)に示すようにRGB値の平均Iが全画面に関して設定閾値T1より大きい場合、画面の明るさ(RGB値の強度)においては「良」と判定する。また、RGB値の平均Iが全画面に関して設定閾値T1より小さい場合には、画面の明るさにおいて「不良」と判定し、偏光板3、4を回転して補正作業を行う。
0027
次いで、数式(2)に示すように画像中の明るさIのばらつきSを求め、このばらつきSが設定閾値T2より小さい場合は明るさばらつき(座標間のRGB値のばらつき)において「良」と判定する。また、T2≒Sの場合には、画像面内の有効画素数による折り返し誤差を考慮し、高速フーリエ変換(FFT)によって明るさIの空間分布状態(色分布の空間周波数状態)を得る。この空間分布状態から低周波成分のみの画像である場合は「良」と判定する。
0028
次いで、数式(3)に示すようにRGB値の各座標での標準偏差U(各座標でのRGB値のばらつき)を求め、この標準偏差Uが設定閾値T3より大きい場合は、前記平均Iと標準偏差Uから、白色から離れた色ばらつき欠陥と判定する。また、T3≒Uの場合には、画像面内の有効画素数による折り返し誤差を考慮し、高速フーリエ変換(FFT)によって明るさIの空間分布状態(色分布の空間周波数状態)を得る。この空間分布状態から低周波成分のみの画像である場合は「良」と判定する。
0029
次いで、数式(4)に示すように画像中のRGB値の各平均Vを求め、その各2色間の差が設定閾値T4より大きい場合は、白色から離れた液晶セル基板7と偏光板3、4との相対角度欠陥と判定する。そして、偏光板の回転時間を短縮するため、回転方向は平均V1の符号に基づいて決定し、相対角度の補正作業を行う。
0030
なお、設定閾値T1〜T4は、予め限度見本の画像を目視によって確認し、その画像から限定された値である。
0031
本実施形態では、前記カラー撮像手段によって取得した画像中の各画素のRGB値に基づき、そのRGB値の強度(RGB値の平均I=画面の明るさ)、各座標でのRGB値のばらつき(各座標でのRGB値の標準偏差U)、座標間のRGB値のばらつき(IのばらつきS)、色分布の空間周波数状態(明るさIの空間分布状態)、等を算出し、予め限度見本の目視で設定された閾値に基づいて判定するので、表示ムラを人間の視覚特性に近い定量的な特性として把握できる。
0032
[第2の実施の形態]図4は、本発明の第2の実施の形態における表示ムラ検査装置の構成を示す。なお、第1の実施形態と同様の構成には同一符号を付与して説明を省略する。
0033
本実施形態では、液晶セル基板7を把持して、水平方向にスライド移動させ、あるいは光軸中心に回転させる液晶セル回転移動スライダ10を備える。また、制御系11は前述の信号変換手段、A/D変換手段、画像処理手段、等を構成するとともに、この液晶セル回転移動スライダ10のスライド用モータ及び回転用モータを駆動制御するように構成されている。
0034
ここで、液晶セル基板7及び偏光板3、4の相対角度補正方法について説明する。これは、第1の実施形態における表示ムラ検査結果が液晶セル基板7と偏光板3、4との相対角度欠陥である場合の処理を示す。
0035
まず、液晶セル回転移動スライダ10を駆動して液晶セル基板7を光軸上から退避させるとともにバックライト照明5を点灯し、上側偏光板回転モータ6あるいは下側偏光板回転モータ8を駆動することによって、上側偏光板3あるいは下側偏光板4を回転させながら、前記カラー撮像手段によってその画像を取得する。そして、前述の画像処理を施し、RGB値のばらつきが設定閾値以下であって強度(輝度レベル)において全体に設定閾値以下の画像が得られるような偏光板同士の正しい相対角度を検出する。この正しい相対角度に偏光板3、4を設定した場合の各色の明るさは図5に示す通りである。
0036
次いで、偏光板3、4が正しい相対角度に固定された状態で、液晶セル回転移動スライダ10を駆動して液晶セル基板7を光軸上に移動させ、その偏光板3、4間で液晶セル基板7を回転させながら、前記カラー撮像手段によってその画像を取得する。そして、前述の画像処理を施し、偏光板3、4と液晶セル基板7の正しい相対角度を検出する。
0037
[第3の実施の形態]図6は、本発明の第3の実施の形態における表示ムラ検査装置の構成を示す。なお、第1の実施形態と同様の構成には同一符号を付与して説明を省略する。
0038
本実施形態では、上側偏光板3を光軸中心に回転させるととも垂直方向に昇降させる上側偏光板昇降回転スライダ12と、下側偏光板4を光軸中心に回転させるとともに垂直方向に昇降させる下側偏光板昇降回転スライダ18と、を備える。また、制御系17は前述の信号変換手段、A/D変換手段、画像処理手段、等を構成するとともに、この上側偏光板昇降回転スライダ12及び下側偏光板昇降回転スライダ18の回転用モータ及び昇降用モータを駆動制御するように構成されている。
0039
このような構成により、前述のように偏光板同士の正しい相対角度を検出した後に液晶セル基板7と偏光板3、4との正しい相対角度を検出した時点で、上側偏光板昇降回転スライダ12を下降させ、下側偏光板昇降回転スライダ18を上昇させることによって、液晶セル基板7の上下面に上側偏光板3及び下側偏光板4を貼り付ける。
0040
次いで、こうして得られた液晶製品(偏光板貼付け後の液晶セル基板7)に対する色ムラ検査あるいは色分布状態検出を行う。すなわち、液晶セル回転移動スライダ10に把持された液晶製品から前記カラー撮像手段によってその画像を取得し、これに対して第1の実施形態で示した一連の画像処理を施して表示ムラ検査を行う。
0041
この場合、第1の実施形態(図1)から上側偏光板3、上側偏光板回転モータ6、下側偏光板4、及び下側偏光板回転モータ8を除去あるいは取り外し、液晶セル基板7に替えて前記液晶製品をハンド19で把持するように構成してもよい。
0042
また、前述の各実施形態において、前記カラー撮像手段によって取得した画像を制御部9、11、17の入力表示部にモニタ表示し、偏光板3、4あるいは液晶セル基板を回転して相対角度を変化させながら、検査者がその画像を目視して変化する色状態を確認し、許容される画像を選択してその許容範囲を決定し、その画像に対して制御部9、11、17が画像処理機能によって画面中の座標ごとの明るさばらつき、色ばらつき、等を計算し、その値(許容範囲)を液晶セル基板あるいは液晶製品検査の指標として反映するように構成してもよい。
0043
このように定性的な目視による画像確認に基づき、官能検査において画像の色ムラ、色分布状態を定量的な値で規定し、色ムラ、色分布状態の指標とすることによって、人間の視覚特性に近い表示ムラ検査を液晶セル基板あるいは液晶製品の生産時に実施することができる。当然ながら、ポリマー・フィルム基板等による任意形状の液晶製品の生産時にも適用可能である。
0044
前述の各実施形態では、ハンド19あるいは液晶セル回転移動スライダ10が保持手段を構成し、バックライト照明5が照明手段を構成し、カラーCCDエリアセンサ1、レンズ2、等がカラー撮像手段を構成し、上側偏光板回転モータ6あるいは上側偏光板昇降回転スライダ12が上側偏光板回転手段を構成し、上側偏光板昇降回転スライダ12が上側偏光板貼付手段を構成し、下側偏光板回転モータ8あるいは下側偏光板昇降回転スライダ18が下側偏光板回転手段を構成し、下側偏光板昇降回転スライダ18が下側偏光板貼付手段を構成し、液晶セル回転移動スライダ10が液晶セル基板移動手段あるいは液晶セル基板回転手段を構成する。
発明の効果
0045
請求項1、6に記載の発明によれば、液晶セル基板に偏光板を貼付する前に、カラー撮像手段(カラーCCDエリアセンサ、等)によって液晶セル基板の画像を同一光軸上に配置された偏光板を通して取得し、その画像中の各画素のRGB値を比較するので、従来は定性的な官能検査として曖昧だった色ムラや色分布状態を、定量的な特性として把握し、この特性によって表示ムラを検出することができる。よって、生産時に表示ムラの検出を効率的に行い、液晶製品の品質を向上させることができる。
0046
請求項2に記載の発明によれば、請求項1において液晶セル基板を光軸上から退避させた状態で、偏光板を回転させながら前記カラー撮像手段によって画像を取得し、取得画像の各画素のRGB値を比較することによって上側と下側の偏光板の正しい相対角度を検出するので、液晶セル基板に偏光板を貼付する前に、前記表示ムラの検出結果に従って偏光板(偏光素子)の相対角度を正しく補正することができる。
0047
請求項3に記載の発明によれば、請求項2において前記偏光板が正しい相対角度となるように配置された状態で、液晶セル基板を光軸上に復帰させた後、その液晶セル基板を回転させながら画像を取得し、随時得られる各画素のRGB値を比較することによって、偏光板と液晶セル基板の正しい相対角度を検出するので、液晶セル基板に偏光板を貼付する前に、前記表示ムラの検出結果に従って偏光板と液晶セル基板の相対角度を正しく補正することができる。
0048
請求項4に記載の発明によれば、請求項3において前記偏光板と液晶セル基板が正しい相対角度にあるように配置された状態で、その偏光板と液晶セル基板を貼り付けるので、液晶セル基板に偏光板を貼付する前に、前記表示ムラの検出結果に従って偏光板同士及び偏光板と液晶セル基板の相対角度を正しく補正し、その状態を保持したまま液晶製品を生産することができる。
0049
請求項5、7に記載の発明によれば、カラー撮像手段によって取得した液晶製品(一組の偏光板で挟んだ液晶セル基板)の画像中の各画素のRGB値を比較することによって表示ムラを検出するので、色ムラや色分布状態を定量的な特性として把握し、この特性によって偏光板貼付け後に表示ムラを検出し、その結果を液晶製品の生産時検査に反映することができる。
0050
このように本発明によれば、定性的な官能検査で検出していた表示ムラ(色ムラ等)を、カラー撮像手段を用いて定量的な特性として把握し、これによって表示ムラを効率的に検出することが可能である。
図面の簡単な説明
0051
図1本発明の第1の実施の形態における表示ムラ検査装置の構成を示す図である。
図2液晶セル基板と偏光板の角度変化による各色の明るさ(高輝度でばらつき小)を示す図である。
図3液晶セル基板と偏光板の角度変化による各色の明るさ(低輝度でばらつき大)を示す図である。
図4本発明の第2の実施の形態における表示ムラ検査装置の構成を示す図である。
図5液晶セル基板と偏光板の角度変化による各色の明るさ(低輝度でばらつき小)を示す図である。
図6本発明の第3の実施の形態における表示ムラ検査装置の構成を示す図である。
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0052
1カラーCCDエリアセンサ
2レンズ
3 上側偏光板
4 下側偏光板
5バックライト照明
6 上側偏光板回転モータ
7液晶セル基板
8 下側偏光板回転モータ
9、11、17 制御部
10スライダ
12 上側偏光板昇降回転スライダ
18 下側偏光板昇降回転スライダ
19ハンド
100表示ムラ検査装置
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