図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2000年1月25日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (9)

課題・解決手段

本発明は、バクテリアデリバリーステムを用いて細胞に機能的核酸を導入する方法に関する。このデリバリー システムは、感染症治療及び阻止のためのワクチンに用いることができる。本発明は、変性株Shigellaなどの望むバクテリアのいずれにも適用することができる。

概要

背景

概要

本発明は、バクテリアデリバリーステムを用いて細胞に機能的核酸を導入する方法に関する。このデリバリー システムは、感染症治療及び阻止のためのワクチンに用いることができる。本発明は、変性株Shigellaなどの望むバクテリアのいずれにも適用することができる。

目的

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
3件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

細胞内に入ることができ、いったん細胞内に入ると死滅する、弱毒化赤痢菌株。

請求項2

菌株は、フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )である、請求の範囲第1項に記載の弱毒化赤痢菌株。

請求項3

菌株は、ATCC受け入れ番号ATCC55710を与えられた15Dである、請求の範囲第2項に記載の弱毒化赤痢菌株。

請求項4

赤痢菌内に存在するアスパラギン酸b−セミアルデヒド脱水素酵素遺伝子を不活性化することからなる、弱毒化赤痢菌株の製造方法。

請求項5

不活性化は突然変異によるものである、請求の範囲第4項に記載の弱毒化赤痢菌株の製造方法。

請求項6

弱毒化赤痢菌は、細胞内に入ることができるが、いったん細胞内に入ると死滅する、請求の範囲第4項に記載の弱毒化赤痢菌株の製造方法。

請求項7

ワクチンは、(i)弱毒化赤痢菌、と(ii)薬剤学的許容される賦形剤、とからなる、個体中の赤痢菌が引き起こす病状を軽減するためのワクチン。

請求項8

赤痢菌はフレクスナー赤痢菌(S.flexneri )である、請求の範囲第7項に記載の個体中の病状を軽減するためのワクチン。

請求項9

弱毒化したフレクスナー赤痢菌(S.flexneri )は、ATCC受け入れ番号ATCC55710を与えられた15Dである、請求の範囲第8項に記載の個体中のフレクスナー赤痢菌(S.flexneri )が引き起こす病状を軽減するためのワクチン。

請求項10

赤痢菌はさらに不活性化される、請求の範囲第7項に記載のフレクスナー個体中の赤痢菌(S.flexneri )が引き起こす病状を軽減するためのワクチン。

請求項11

薬剤学的に許容される賦形剤中の免疫学的に有効な量の弱毒化赤痢菌を、個体に投与することからなる、個体中の赤痢菌が引き起こす病状を軽減するための方法。

請求項12

赤痢菌はフレクスナー赤痢菌(S.flexneri )である、請求の範囲第11項に記載の個体中の赤痢菌が引き起こす病状を軽減するための方法。

請求項13

赤痢菌はさらに不活性化される、請求の範囲第11項に記載の個体中の赤痢菌が引き起こす病状を軽減するための方法。

請求項14

DNAが導入される弱毒化赤痢菌を含むビヒクルである、細胞にDNAを送達するための送達ビヒクル

請求項15

赤痢菌はフレクスナー赤痢菌(S.flexneri )である、請求の範囲第14項に記載の、細胞にDNAを送達するための送達ビヒクル。

請求項16

細胞は小腸粘膜上皮細胞の細胞である、請求の範囲第14項に記載の、細胞にDNAを送達するための送達ビヒクル。

請求項17

赤痢菌はフレクスナー赤痢菌(S.flexneri )である、請求の範囲第14項に記載の、細胞にDNAを送達するための送達ビヒクル。

請求項18

フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )はATCC受け入れ番号ATCC55710を与えられた15Dである、請求の範囲第17項に記載の、細胞にDNAを送達するための送達ビヒクル。

請求項19

弱毒化赤痢菌はさらに不活性化される、請求の範囲第14項に記載の、細胞にDNAを送達するための送達ビヒクル。

請求項20

抗原が導入される弱毒化赤痢菌からなる、細胞に抗原を送達するための送達ビヒクル。

請求項21

赤痢菌はフレクスナー赤痢菌(S.flexneri )である、請求の範囲第20項に記載の、細胞に抗原を送達するための送達ビヒクル。

請求項22

フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )は15Dである、請求の範囲第21項に記載の、細胞に抗原を送達するための送達ビヒクル。

請求項23

弱毒化赤痢菌はさらに不活性化される、請求の範囲第20項に記載の、細胞に抗原を送達するための送達ビヒクル。

請求項24

薬剤学的に許容される賦形剤中の免疫学的に有効な量の弱毒化赤痢菌を、個体に経口投与することからなる、赤痢菌に対して個体を経口免疫化するための方法。

請求項25

赤痢菌はフレクスナー赤痢菌(S.flexneri )である、請求の範囲第24項に記載の赤痢菌に対して個体を経口免疫化するための方法。

請求項26

フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )は15Dである、請求の範囲第25項に記載の赤痢菌に対して個体を経口免疫化するための方法。

請求項27

弱毒化赤痢菌はさらに不活性化される、請求の範囲第24項に記載の赤痢菌に対して個体を経口免疫化するための方法。

請求項28

細胞にDNAを送達するための方法であって、(i)弱毒化赤痢菌にDNAを導入し、そして(ii)この赤痢菌を細胞に投与する、ことからなる上記方法。

請求項29

赤痢菌はフレクスナー赤痢菌(S.flexneri )である、請求の範囲第28項に記載の細胞にDNAを送達するための方法。

請求項30

フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )は15Dである、請求の範囲第29項に記載の細胞にDNAを送達するための方法。

請求項31

細胞は粘膜上皮の細胞である、請求の範囲第28項に記載の細胞にDNAを送達するための方法。

請求項32

粘膜上皮は小腸粘膜上皮である、請求の範囲第28項に記載の細胞にDNAを送達するための方法。

請求項33

弱毒化赤痢菌はさらに不活性化される、請求の範囲第28項に記載の細胞にDNAを送達するための方法。

請求項34

細胞に抗原を送達するための方法であって、(i)弱毒化赤痢菌に抗原を導入し、そして(ii)この赤痢菌を細胞に投与する、ことからなる上記方法。

請求項35

赤痢菌はフレクスナー赤痢菌(S.flexneri )である、請求の範囲第34項に記載の細胞に抗原を送達するための方法。

請求項36

フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )はATCC受け入れ番号ATCC55710を与えられた15Dである、請求の範囲第35項に記載の細胞に抗原を送達するための方法。

請求項37

細胞は粘膜上皮の細胞である、請求の範囲第34項に記載の細胞に抗原を送達するための方法。

請求項38

粘膜上皮は小腸粘膜上皮である、請求の範囲第37項に記載の細胞に抗原を送達するための方法。

請求項39

弱毒化赤痢菌はさらに不活性化される、請求の範囲第34項に記載の細胞に抗原を送達するための方法。

請求項40

赤痢菌感染症検出方法であって、(i)表面を弱毒化赤痢菌またはその成分でコーティングし、(ii)コーティング表面に、感染を有することが疑われる個体からの血清または組織試料を接触させ、そして(iii) 赤痢菌と試料中に存在するその特異的免疫応答の間で形成される複合体の有無を検出することにより、感染の有無を検出する、ことからなる上記方法。

請求項41

弱毒化赤痢菌と、試料中の赤痢菌に対する免疫応答の存在の検出に使用するのに適した付属試薬、とからなる、赤痢菌感染の検出のための診断キット

請求項42

赤痢菌はフレクスナー赤痢菌(S.flexneri )である、請求の範囲第41項に記載の赤痢菌の検出のための診断キット。

請求項43

フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )はATCC受け入れ番号ATCC55710を与えられた15Dである、請求の範囲第42項に記載の診断キット。

請求項44

細菌を用いて細胞に機能性核酸を送達するための方法であって、(i)弱毒化した細菌に核酸を導入し、そして(ii)細胞にこの細菌を投与する、ことからなる、上記方法。

--

0001

本発明は、細菌送達系(bacterial delivery system )を用いて機能性核酸
細胞中に導入する方法に関する。細胞に機能性核酸を送達することができる細菌
ベクターは、細胞に侵入することができるか、または細胞により取り込まれる
ことができるか、または細胞に取り込まれるように核酸を放出することができる
細菌中に、プロモーターと、真核生物細胞により認識される他の指令を含む細菌
プラスミドを、導入することにより作成することができる。この送達系に使用
される細菌は、選択した核酸を送達するために生きている必要はない。このよう
に細胞に送達される核酸は、真核生物細胞に指令を出して抗原または他の機能性
分子を産生させることができる。

0002

したがってこのユニークな細菌送達系は、感染症および癌を予防または治療
るため、移植における組織拒絶の場合には免疫系をダウンレギュレーションする
ため、自己免疫疾患および免疫系の調節不全に関連する他の疾患を予防または治
療するための、ワクチンとして使用することができる。さらに、本細菌送達系は
遺伝性遺伝病、癌およびウイルス感染症のような疾患の治療または改善のた
めの、遺伝子治療または遺伝子置換のために使用することができる。

0003

直接DNA介在免疫化は、機能性核酸の導入およびワクチン開発への別のアプ
ローチである。ウイルスプロモーターの制御下で目的のタンパク質発現する高
度に精製した細菌性プラスミドDNAは、従来の針とシリンジにより、またはD
NA被覆金微粒子によるバイオリスティック(biolistic )トランスフェクシ
ンのような他のより新しい方法により、主に筋肉または皮膚に注射される(総説
については、ジェイ・ジェイ・ドネリー(Donnelly,J.J.)ら,J.Immunol.Me
thods(1994)176: 145を参照のこと)。この方法を用いて研究者らは、中和
体、細胞毒性Tリンパ球、およびインフルエンザからマラリアにわたる感染のい
くつかの動物モデルにおける抗原刺激に対する防御を、誘発することができた。
本発明に記載される送達系としての細菌の使用は、哺乳動物細胞にDNAを送達
するユニークな方法であり、そして、DNA免疫化を局所免疫系に拡大し、かつ
経口および他の粘膜経路の免疫化より優れた、単純で費用のかからない方法を提
供する可能性を有する。

0004

従来は、後の感染に対して防御するためのワクチンとして生きた細菌を利用し
てきた。弱毒化したかまたは病原性の小さい赤痢菌(Shigella)、サルモネラ
Salmonella)、リステリア(Listeria)、および他の細菌が、これらの細菌のよ
り病原性の強い型によるその後の感染に対して免疫化するために、経口投与され
てきた。同様に、弱毒化した細菌、およびカルメットゲラン菌(BCG)のよ
うなマイコバクテリアは、結核菌(M.tuberculosis )のような関連生物に対し
て防御するために非経口的に投与されてきた。細菌、ウイルスおよび寄生生物
遺伝子は、その細菌が外来抗原を発現するように指令するか、または生ワクチン
として使用するためのいくつかの望ましい性質を細菌に付与する目的で、種々の
細菌およびマイコバクテリア中にクローン化されてきた。例としては、通常は非
侵入性大腸菌(E.coli )中に赤痢菌の侵入遺伝子をクローン化して大腸菌を
侵入性にし、こうしてワクチン株としての使用にさらに適切なものにすること、
またはネズミチフス菌(Salmonella typhimurium)中に熱帯熱マラリア原虫(P.
falciparum malaria )遺伝子をクローン化して、次にチフス菌がこれらのマラ
リアタンパク質を発現させ、そしてこの細菌の経口投与により、マウスにおいて
マラリア抗原刺激に対して特異的な細胞毒性T細胞免疫および防御を誘導するこ
とを含む(サドフ(Sadoff)ら,Science(1988)240: 336-338 ;アグラウォ
(Aggrawal)ら,J.Exp.Med.(1990)172: 1083-1090)。これらの全ての細菌
送達系は、抗原または機能性分子を産生するために細菌そのものを必要とし、そ
してヒトで使用するのに安全であるように十分に弱毒化されているが、なお防御
応答を誘導することができる細菌に依存している。本発明の細菌送達系は、真核
生物細胞に指令して抗原および他の機能性分子を産生させる機能性核酸を送達す
るように設計される。この場合、プラスミドにコードされる遺伝子発現が、細胞
機能の提示または指令のための抗原の適正な折り畳みを可能にする、真核生物
胞の機構に依存するため、担体に対する毒性は排除されている。さらに、必要で
あれば、原核生物により産生された抗原および機能性分子を送達するために使用
することができる。

0005

本発明は、目的の任意の細菌に適用することができる。真核生物細胞の細胞に
侵入し、ファゴソームから逃れ、そして細胞質入り込む赤痢菌の能力のため、
細菌送達系の一例として赤痢菌を選択した。これらの性質は、本発明の適用のた
めに選択される細菌に必要なものではないが、これらが実験系を単純化した。赤
痢菌は、ワクチンとしての有用性を有する、核酸送達および細菌性抗原の送達の
両方の例として機能する。赤痢菌は、ヒト結腸上皮に侵入して細胞内で増殖して
細菌性赤痢を引き起こす、腸内病原体である。細菌性赤痢は、赤痢菌属の全ての
メンバーにより引き起こされる(ボイド赤痢菌(S.boydii )、志賀赤痢菌(S.
dysenteriae)、フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )、およびソンネ赤痢菌
S.sonnei ))。細菌性赤痢は、開発途上国に多いが、先進国でも特に施設環境
で見られる。細菌性赤痢は、年間50万人(主として子供)の死亡の原因である
推定されており、このため安全で有効な赤痢菌ワクチンの開発が重要である(
ビー・ジェイ・ストール(Stole,B.J.)ら,J.Infect.Dis.(1982)146: 17
7 )。本明細書の前記または後記の全ての引用文献は、参考のため本明細書に組
み込まれる。

0006

赤痢を引き起こすためには、赤痢菌株は結腸上皮細胞を認識し、侵入して細
胞内で増殖できることが必要である(イー・エイチ・ラブレック(LaBrec,E.H.
)ら,J.Bacteriol.(1964)88: 1503)。細菌と宿主細胞の両方が、侵入過程
において役割を果たしており、この過程で、宿主細胞は活発に細菌を飲み込み
次に細菌はファゴソーム膜の細菌介在性消化によりファゴソームから逃れる(ピ
ー・ジェイ・サンソネッティ(Sansonetti,P.J.)ら,Infect.Immun.(1981)
34: 75)。いったん細胞に入ると、細菌が増殖して宿主細胞の壊死を引き起こす

0007

以前の研究により、赤痢菌の生菌または死菌による非経口的免疫化は、感染を
防御しないことが証明されている(エス・ビー・フォーマル(Formal,S.B.)ら
,Proc.Soc.Exp.Bio.Med.(1967)25: 347 ;エイ・アール・ヒギンズ(Hig
gins,A.R.)ら,Am.J.Trop.Med.Hyg.(1955)4: 281;エイチ・ジェイ・
ショーグネシー(Shaugnessy,H.J.)ら,JAMA(1946)132: 362)。近年の努力
は、粘膜性免疫を誘導するための弱毒化赤痢菌ワクチンの開発に焦点を合わ
せてきた(エイ・エイ・リンドバーグ(Lindberg,A.A.)ら,Vaccine(1988)6
: 146 ;ジェイ・ダブリュー・ニューランド(Newland,J.W.)ら,Vaccine(1
992)10: 766)。いくつかの候補が有望であることを示したが、安全かつ有効な
ワクチンは見い出されていない。これまでに作成された赤痢菌ワクチン候補は、
以後の抗原刺激を防御することができる防御性免疫応答を誘発しないか、または
その株が、ヒトに使用するのに十分には弱毒化されていなかった。

0008

したがって、上記の観点から、赤痢菌感染症に対するワクチン候補として、さ
らには異種および同種の抗原の送達、およびDNA介在免疫化、および遺伝子送
達のための、細菌ベクターとして役立つ、赤痢菌の適正に弱毒化された株に対す
ニーズが存在する。
要約

0009

本発明では、機能性核酸を細胞に送達し、かつ異種および同種抗原を送達する
ことができる弱毒化赤痢菌株が記載される。本明細書には具体的な細菌が記載さ
れており、細菌が生存していても不活化されていても、核酸を真核生物細胞に送
達することが示されるが、本発明は、全ての細菌およびマイコバクテリアに適用
可能である。植物細胞のような他の細胞に導入されたプラスミドもまた、これら
の細胞が核酸を送達できるようにすることができる。

0010

具体的には、本発明の弱毒化赤痢菌株は、機能性核酸を送達することができ、
かつ赤痢菌感染症に対してそれ自体ワクチン候補として作用する。本発明の弱毒
化赤痢菌株は、細胞に入り込むが、いったん宿主細胞の中に入れば、死滅してそ
の内容物を放出する。本明細書に記載の弱毒化赤痢菌株は、疾患を引き起こさな
いよう十分に弱毒化されているが、なお哺乳動物細胞に入り込む能力を維持して
いる。この株は、赤痢菌による角膜上皮の侵入が、ヒトまたは霊長類宿主小腸
上皮において見られるプロセスを模倣している動物モデルであるモルモットの角
結膜炎モデルにおいて、フレクスナー赤痢菌(Shigella flexneri )2a株24
57Tの抗原刺激に対して防御性であることが証明されている(マッケル(Mack
el)ら,Am.J.Hyg.(1961)73: 219-223;ビー・セレニー(Sereny,B.),Ac
ta Microbiol.Acad.Sci.Hung.(1962)9: 55-60)。

0011

我々は、抗原提示のためのタンパク質合成およびプロセシングのために宿主細
胞の細胞質にDNAを導く方法として、上皮細胞に入り込み、そして食細胞の液
胞から逃れる赤痢菌の能力を利用した(エヌ・ハイ(High,N.)ら,EMBO J.(19
92)11: 1991)。腸の粘膜上皮細胞にDNAを送達する特定の目的のために、ア
スパラギン酸b−セミアルデヒド脱水素酵素ASD)をコードする遺伝子の突
然変異を、フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )2a株2457Tに導入した。
これにより、グラム陰性細菌細胞壁を構成する必須ペプチドグリカン成分であ
ジアミノピメリン酸(DAP)の非存在下では増殖できない株が生じた。DA
Pは、哺乳動物組織には存在せず、したがって感染細菌による捕捉に利用される
ことはない。赤痢菌のこの変異体株は、非常に弱毒化された細菌性ベクターであ
り、哺乳動物細胞に侵入して、株特異的な赤痢菌感染に対する防御免疫を提供し
、さらに経口および他の粘膜DNA免疫化のためおよび遺伝子治療方策のための
送達ビヒクルとして作用することができる。

0012

したがって本発明の1つの目的は、細胞に入り込む能力は保持しているが、い
ったん細胞に入ると死滅する、赤痢菌の弱毒化株を提供することである。赤痢菌
の弱毒化株は、赤痢菌により引き起こされる疾患の重篤度または症状の治療また
は軽減のため、または赤痢菌感染に対する防御のためのワクチンとして使用する
ことができる。

0013

本発明の別の目的は、細胞に入り込む能力は保持しているが、いったん細胞に
入ると死滅する赤痢菌の弱毒化かつ不活化株を提供することである。赤痢菌の弱
毒化かつ不活化株は、赤痢菌により引き起こされる疾患の重篤度または症状の治
療または軽減のため、または赤痢菌感染症に対する防御のためのワクチンとして
使用することができる。

0014

本発明のさらに別の目的は、感染に対する防御ワクチンとしての使用、または
赤痢菌感染により引き起こされる疾患を改善するための、赤痢菌の異なる株を弱
毒化する方法を提供することである。

0015

本発明のさらに別の目的は、細胞に入り込む能力は保持しているが、いったん
細胞に入ると死滅する弱毒化赤痢菌、および薬剤学的許容しうる賦形剤を含む
、個体において赤痢菌により引き起こされる症状を軽減するためのワクチンを提
供することである。

0016

本発明のさらなる目的は、粘膜表面へのDNAの送達のための送達ビヒクルを
提供することである。目的の遺伝子または抗原をコードするDNAは、哺乳動物
細胞に入り込むことが可能であるようにした、上述の本発明の弱毒化赤痢菌株ま
たは弱毒化/不活化赤痢菌株、および組換え弱毒化赤痢菌株に導入することがで
きる。弱毒化株に導入される突然変異により、組換え弱毒化赤痢菌は、いったん
細胞に入ると死滅して、哺乳動物細胞に機能性外来DNAをうまく送達すること
ができる。このような送達ビヒクルは、経口および他の粘膜免疫化、および遺伝
子治療方策のために使用することができる。

0017

本発明のさらに別の目的は、外来抗原に対する免疫応答を個体において誘導す
るために、または外来抗原が見つからないか少量しか見い出せない疾患の治療の
ために、弱毒化赤痢菌により発現される異種外来抗原を送達することである。

0018

本発明のさらに別の目的は、その細胞を移植および遺伝子治療に使用するため
に、インビトロで細胞にDNAおよび抗原を送達するための送達ビヒクルを提供
することである。

0019

本発明のさらに別の目的は、フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )感染症に対
するワクチンとして使用するための、フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )の弱
毒化および弱毒化/不活化株を提供することである。

0020

本発明のさらに別の目的は、フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )による感染
に対するワクチンとして使用するため、個体においてそのような感染により引き
起こされる症状を軽減するため、または異種抗原またはDNAの送達ビヒクルと
して、asd遺伝子の変異体であるフレクスナー赤痢菌(S.flexneri )の弱毒
化株を提供することである。

0021

本発明のさらに別の目的は、DNA送達ビヒクルとしての細菌の新規な種を使
用するために、赤痢菌の侵入遺伝子を他の細菌種に導入する方法を提供すること
である。

0022

本発明のさらなる目的は、赤痢菌がき起こす疾患を検出するため、または個体
において赤痢菌への暴露を測定するための診断測定法において使用することがで
きるより安全な株、およびそのためのキットを提供することである。

0023

本発明のさらに別の目的は、試料中の赤痢菌の検出のための診断測定法に使用
する抗体を産生するための、赤痢菌の成分を提供することである。

0024

本発明のさらに別の目的は、ワクチンとして防御性免疫を誘導するため、腫瘍
の予防および治療のため、自己免疫病の治療および予防のため、免疫系の機能不
全に関連する症状の治療のため、移植のため、遺伝子置換、および遺伝子治療の
ために、細菌送達系を使用して、機能性核酸を細胞中に導入するための一般的な
方法を提供することである。

図面の簡単な説明

0025

本発明のこれらおよび他の特徴、面および利点は、以下の説明、請求の範囲お
よび添付図面から、より一層理解されるであろう。

0026

図1は、フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )2a株2457TのΔasd誘
導体の作成を示す。

0027

図2は、哺乳動物のDNA発現プラスミドであるpCMVβをBHK細胞に送
達するための担体として、15D株を使用した結果である。(a)生きている1
5D(○)と15D(pCMVβ)(Σ)の数は、48時間にわたって測定した
。(b)β−ガラクトシダーゼ活性/mgタンパク質の単位もまた、BHK単独(
○)、15Dで感染させたBHK細胞(●)、および15D(pCMVβ)で感
染させたBHK細胞(−)について測定した。セミコンフルエントなBHK細胞
フラスコは、約0.5〜1×107細胞から構成される。β−ガラクトシダ
ゼ活性は、予測される0.5×107細胞について測定した。

0028

図3は、15Dと15D(pCMVβ)で感染させたBHK細胞中のβ−ガラ
クトシダーゼの発現を検出するために、細胞内免疫染色の結果を示す。(A)ゲ
タマシン含有培地の添加の30分後の、ロイコスタット(Leukostat )で染
色した、15D(pCMVβ)で感染させたBHK単層(100×油浸レンズ
ゲンタマイシン含有培地の添加後の免疫染色した感染させたBHK細胞:(B
)15D(pCMVβ)30分、(C)15D 4時間、(D)15D(pCM
Vβ) 4時間、(E)15D(pCMVβ) 24時間、(F)15D(pC
MVβ) 48時間、(G)15D 24時間、および(H)BHK細胞単独;

0029

(B−H 10×蛍光位相レンズ)。

0030

図4は、濃縮細菌懸濁液内に投与したマウスの、ConA(図4A)、大
腸菌LPS図4B)、熱死滅2457T(図4C)、および精製β−ガラクト
シダーゼ(図4D)により誘導されたリンパ増殖性応答を示す。脾臓細胞(1×
105/ウェル)を、10μg/mlのポリミキシンB(バローズウェルカム(Burro
ugs Wellcome )、リサーチトライアングルパーク(Research Triangle Park)
ノースカロライナ州)とともに、5μg/mlのConA、2.5μg/mlの大腸菌
LPS、5μg/mlの熱死滅2457T、および2.5μg/mlのβ−ガラクトシダ
ーゼの存在下で、3日間培養した。増殖のレベルは、セルタイター(Cell Titer
)96(登録商標)AQueous非放射性細胞増殖キット(プロメガ(Promega)、
マジソンウィスコンシン州)を使用して測定した。報告したOD490値は、
刺激した細胞の平均値から刺激していない細胞の平均値を引いて算出した。

0031

図5は、鼻内に接種したマウスのβ−ガラクトシダーゼに対する抗体応答を示
ウェスタンである。マウスの群に、50μg/mlのDAPを含有する15D、1
5D(pCMVβ)、または15D(pCMVβ)のいずれかを投与した。β−
ガラクトシダーゼに対する反応性について、血清試験した。レーンAは、クマ
シーで染色したSDS−PAGEゲルである。免疫ブロットB〜Gは、B、10
615D;C、10715D;D、10715D(pCMVβ);E、10615D
(pCMVβ);F、10715D(pCMVβ)+DAP;およびG、1061
5D(pCMVβ)+DAPを接種したマウスのプール血清の1:50希釈物
暴露した。免疫ブロット対照レーンは;H、1:10,000抗β−ガラクトシ
ダーゼ(プロメガ(Promega ));I、食塩水を接種したマウスのプール血清の
1:50希釈物;およびJ、1:500のアルカリ性ホスファターゼが結合した
2次ウサギ抗マウス、である。
詳細な説明

0032

本発明は、赤痢感染症に対する防御用の免疫原として使用するための、かつ異
種抗原の送達用の担体として使用するための、粘膜表面にDNAを送達するため
の、または診断測定法で使用するための、弱毒化赤痢菌株および弱毒化赤痢菌株
を製造する方法を記載する。本方法は一般に、すべての細菌およびマイコバクテ
リウア(Mycobacteria)に適用される。

0033

具体的には本発明は、細菌細胞壁の構成成分であるジアミノピメリン酸(DA
P)の合成に必要な必須の酵素であるアスパラギン酸b−セミアルデヒド脱水素
酵素(ASD)をコードする遺伝子内に、欠失を含むフレクスナー赤痢菌(S.f
lexneri)の単離体の作成を記載する。理論には拘されないが、この突然変異
株は、哺乳動物細胞に入る能力を保持しているが、いったん細胞内に入ると、D
APが存在せずこれを哺乳動物から利用できないため複製できず、その結果菌は
死滅し、菌体内のすでに存在する完全なDNAや抗原を含む内容物を放出する。

0034

さらに詳しくは、フレクスナー赤痢菌(S.flexneri )2a株2457Tは、
染色体への、構造遺伝子の439位〜991位の553塩基対の欠失(配列番
1)を含有する、欠失のある大腸菌asd遺伝子の組み込みにより、突然変異さ
れた。完全なTn5カナマイシン遺伝子を含有するカナマイシン耐性カセット
、突然変異asd遺伝子の両側の配列の間にクローン化した。

0035

本発明において、任意の赤痢菌株を、弱毒化株としてのasd突然変異体を提
供するように、突然変異させることができる。菌株は病原性である必要はないが
標的細胞に入るかまたはこれに摂取される能力を有することが好ましい。細菌
がいったん細胞内に入れば、asd突然変異は細菌の破壊を促進するであろう。
さらに、asd以外の任意の遺伝子を突然変異させて、細菌に対して同じ作用を
有するように、すなわち、細胞内に入りいったん細胞内に入ったら死滅するか、
または臨床症状が許容される程度まで弱毒化される、ことができる。このような
遺伝子の例には、thyA、LPS産生のための遺伝子、htrAおよびhtr

0036

B、およびdutがあるが、これらに限定されない。

0037

asd遺伝子内で突然変異を作成する1つの方法を以下の例に記載する。ある
いは、選択した遺伝子の突然変異は、遺伝子産物の機能が失われるかまたは変化
を受けて、細菌が宿主細胞内で生存できなくなるように遺伝的性質に変化を引き
起こす、DNAの任意の化学的変化であってよい。DNAの化学的変化には、単
一のまたは複数の欠失、単一のまたは複数の点突然変異、別の1つもしくは複数
の遺伝子もしくは遺伝子の一部の、突然変異を受ける遺伝子の構造的部分への組
み込み、およびトランスポゾンの付加または欠失があるが、これらに限定されな
い(クロックナー(Klockner)ら、J.Mol.Bio.(1977)116: 125 の総説を参
照されたい)。asd突然変異以外の突然変異を含む株が考えられるが、これら
も本発明の範囲に包含される。異なる突然変異およびこれらの突然変異を導入す
るための方法は、当業者に公知である(アール・ダブリュー・デービス(Davis,
R.W.)ら、Advanced Bacterial Genetics.A Manual for Genetic Engineerin
g 、コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Laborator
y)、ニューヨーク州、1980を参照されたい)。

0038

具体的には、弱毒化赤痢菌15D株は、以下のように調製した。クローニング
に必要な制限部位をベクターに取り込むために、大腸菌のasdをコードする遺
伝子をPCRを使用して増幅した。本発明において、任意の相同性のあるasd
遺伝子を使用して、赤痢菌にasd欠失を作成することができる。相同性のある
遺伝子には、コリネバクテリウムグルタミカム(Corynebacterium glutamicum
)、枯草菌(Bacilluss ubtilis )、マイコバクテリウムスメグマティス(My
cobacterium smegmatis )、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、レプトスピラ
インテロガンス(Leptospira interrrogans )、百日咳菌(Bordetella pertu
ssis)、コリネバクテリウム・フラブム(Corynebacterium flavum)、髄膜炎菌
(Neisseria meningitidis)、コレラ菌(Vibrio cholera)、マイコバクテリウ
ム・ボビス(Mycobacterium bovis )、ストレプトミセススキヨシエンシス(
Streptomyces skiyoshiensis)、ストレプトコッカスミュータンス(Streptoc
occus mutans)、ビブリオ・ミミカス(Vibrio mimicus)およびブルセラ(Bruc
ella)種、から得られるasd配列があるが、これらに限定されない。選択され
たベクターにクローニングに必要な制限部位を取り込むための任意の方法、例え
リンカーまたはアダプターの使用、ポリリンカーへの平滑末端クローニング、
および他の当業者に公知の任意のDNAクローニング法、が使用できる。総説に
ついては、Current Protocols in Molecular Biology、エフエム・アウスベル
(F.M.Ausubel)ら編、グリーンパブリッシングアソーシエーツ・アンド・ウィ
リーインターサイエンス(Greene Publishing Associates and Wiley-Interscie
nce )、ニューヨーク州、を参照されたい)。さらに、目的の断片の挿入のため
に線状化できる任意のベクターがクローニングに使用でき、これらは当業者に公
知である。ベクターの例には、高コピー数プラスミドファー
ジミド、単一のコピーベクター、発現ベクター、およびファージなどがあるが、
これらに限定されない。

0039

E.coli asdによる生成プラスミドを逆PCR増幅させ、E.col
i asd構造遺伝子の553bp(位置439〜991)を欠失させて、突然
変異体E.coli asd又は△asd(配列番号:2)を作製する。突然変
異を導入し、遺伝子又は遺伝子の一部を欠失させるための当業者に公知の他の方
法、例えば、Bal 31消化、多重制限酵素消化(multiple restriction dige
stion)又は組換えを用いることができる。

0040

△asdを作製した後に、商業的なプラスミドpUC4K−KIXX(Pha
rmacia)からのカナマイシン耐性(Kanr)カセットを精製して、隣接
△asd配列の間にクローン化して、△asd::Kanrを作製する。本発明
によると、抗生物質耐性のためであろうと、遺伝子療法若しくは抗原産生のため
であろうと、任意の遺伝子(単数又は複数種類)をasd欠失部に挿入すること
ができる。フラグメントライゲーションのための適当な末端形成方法は当業
者に公知である。さらに、遺伝子をasd欠失部に挿入することは不必要であり
、欠失部自体が突然変異表現型を与え、弱毒化Shigellaを生成するため
に充分である。

0041

△asd::Kanrを陽性選択自殺ベクターCVD442に挿入するため
に必要な制限部位を含有する前進プライマー逆プライマー(forward and rever
se primers)を用いると、PCR増幅は内部欠失を有するasd遺伝子と、適当
な制限部位を有するKanrカセットとを含有するPCRフラグメントを生じた
。この場合にも、適当な制限部位を挿入するため、又はライゲーションが生ずる
ようにライゲートされるフラグメント末端を生成するための任意の方法を用いる
ことができる。このような方法は当業者に熟知されており、Maniatis等
のMolecular Cloning:A Laboratory Manu
al,Cold Spring Harbor Laboratories,1
982に考察されている。ベクターpCVD442は、組換えのための陽性対向
選択系(positive counter selection system)としてsacBを含有する可動性
自殺ベクターである。Shingella中で
機能しない複製起点を有する任意のベクターが受容される自殺ベクターとして役
立つ。さらに、例えばsacB、EF−G、klaA、B若しくはC、λP遺伝
子、又はT7バクテリオファージ遺伝子1.2若しくは10のような対向選択遺
伝子が形質転換体の選択のために好ましいが、必要ではない。

0042

△asd::KanrのpCVD442へのライゲーションを用いる形質転換
のためにE.coli菌株SM10λpirを用いた。自殺ベクターの増殖を可
能にし、Shigellaにおける接合(conjugation)のために適当な菌株であ
る任意の菌株を用いることができる。ベクターと適当な細菌とは当業者の知識の
範囲内である。SM10λpir(pCVD422::△asd::Kanr)
をS.flexneri2a菌株2457T(pAB322[Tetr,Amps
])に接合して、Ampr/Tetr接合体(conjugant)を選択した。Shige
llaのコンジュゲーションは当業者に周知である。レシピエント菌株(recipie
nt strain)をタグする(tagging)ために任意の方法を用いることができる。栄養
要求性マーカ又は抗生物質マーカードナー菌株と比較した選択を可能にする。
同様に、自殺ベクターを形質転換又はエレクトロポレーションによってShig
ella中に直接導入することもできる。接合体をスクロース上で増殖させると
(これは、sacB含有プラスミドに関する標準的なプロトコールである)、第
2組換えイベントが生じて、ATCCaccession番号ATCC557
10が与えられた、単離体15Dが得られた。

0043

Kanrと、DAPの必要条件とをスクリーニングすることによって選択すべ
き単離体を得た。選択すべき単離体を、ASD遺伝子中に突然変異が存在する場
合にはDAPの必要条件に関して、又は欠失した遺伝子産物の必要条件に関して
、又は細菌中に挿入された遺伝子の存在に関してスクリーニングすることができ
る。他のスクリーニング方法は当業者に公知であり、菌株の特定の特性(specifi
cs)に依存する。例えば、組換えフラグメント間に維持される例えばxy1Eの
ようなマーカー遺伝子スコアリング(scoring)することによっても陽性選択を
おこなうことができる。

0044

1実施態様では、本発明は所望の遺伝子(単数又は複数種類)を細胞に供給す
る方法に関し、この方法は次の工程:

0045

(I)問題の遺伝子を弱毒Shigellaの菌株中に導入する工程と;

0046

(II)前記Shigellaを投与する工程と
を含む。本発明によると、任意の遺伝子(単数又は複数種類)を上記方法によっ
て、Shigella染色体中又はビルレンス(virulence)プラスミド中に導入
することができる、又は代替え的にShigellaによって複製又は非複製
ラスミド中に運ばれることができる。問題のベクターは形質転換、エレクトロ
レーション、トランスフェクション又は接合によって導入することができる。免
処置用の遺伝子は、例えばレトロウイルスのような下痢疾患を惹起する微生物
、例えばヒト免疫不全ウイルス、Neisseria gonorrhoeae
及びヒト乳頭腫ウイルスのような、性的伝染病を惹起する微生物、及び例えば潰
誘発性Helicobacter pyloriのような、胃腸病を惹起する
微生物からの異種抗原(foreign antigen)をコードする遺伝子を包含する。弱毒
化Shigellaは、細菌が生きているか不活化されているかに拘わらず、細
胞にDNAと抗原とを供給することが判明した。細菌の不活化は技術上公知であ
り、例えば30分間にわたって56℃に加熱することによって達成することがで
きる。不活化は、機能性核酸の供給が過度に損なわれないような程度にのみおこ
なうことができる。

0047

粘膜免疫系にShigellaによってDNAコード化抗原を供給することは
クラスI及び/又はクラスII提示、Th1若しくはTh2ヘルプ(help)の刺
激を目的とすることができ、IgAIgG抗体の産生のために適当な折り曲げ
コンフォーメーショナル(conformational)エピトープとを維持しながら分泌
れることができる多重抗原による同時粘膜免疫処置を可能にすると考えられる。

0048

同様な方法は、遺伝子療法と、先天性代謝欠陥修正とのためのDNA供給に
用いることができる。このような遺伝子は、例えば嚢胞性線維症のCFTR遺伝
子のような欠陥遺伝子の置換、又は例えば逆転写酵素、若しくはHIVの治療の
ためのプロテアーゼアンチセンス遺伝子、若しくは例えばインターロイキン−1
2(IL−12)のようなTh1免疫応答をアップレギュレートする遺伝子、若
しくは例えばコレステロールとコレステロール受容体インスリンとインスリン
受容体のような、ある一定の受容体、代謝産物及びホルモンアップ−若しくは
ダウンレギュレートする遺伝子、若しくは例えば腫瘍壊死因子(TNF)のよ
うな癌細胞殺すことができる生成物をコードする遺伝子、若しくは例えば成長
ホルモンの分泌、骨成長を促進するための骨細胞の刺激及び骨脱離を減ずるため
破骨細胞のダウンレギュレーションのような、エージングを包含する多様な理
由から低下した系をアップレギュレートするための遺伝子のような新しい遺伝子
の導入を包含する。

0049

同様な方法は、免疫系の調節不能に関与する自己免疫疾患及び他の疾患を防止
若しくは制御するため、又は移植を包含する特定の疾患若しくは状態を予防若し
くは治療するための抗原特異的又は一般的な方法で免疫系をダウンレギュレート
するための核酸の供給に用いることができる。例は自己免疫脳炎多発性硬化
症、エリテマトーデス真性糖尿病、Crohn病と他の炎症性腸疾患、及び慢
性関節リウマチと他の炎症性関節及び皮膚疾患の予防と治療を包含する。他の例
は、例えば癌と他の疾患に対する保護的及び治療的免疫応答から逸脱した免疫応
答のダウンレギュレーションのような、適当な保護的及び治療的免疫応答を阻害
する免疫応答のダウンレギュレーションを包含する。例えば、Th1応答が癌、
Leishmania、Mycobacterium結核及びHIVの予防と治
療のために適当である場合のTh2応答のダウンレギュレーション。これは、N
及びHIVを通してこの方法を用いて達成することができる。腸及び他の局所
疫系の特有免疫抑制特性を、適当なサイトカインの産生をコードする能力と組
み合わせたこの操作は、適当な免疫応答を誘導し、不適当な免疫応答を抑制する
環境である(milieu for)。

0050

他の実施態様では、本発明は問題の抗原を細胞に導入する方法に関する。この
ような方法は、所望のDNA又は抗原を弱毒Shigella又は弱毒/不活化
Shigella中に所望の抗原が産生されるように導入することと、前記Sh
igellaを個体(individual)に投与することを含む。前記抗原は前記細胞に
入る前にShigellaのライフサイクル中に産生されることができる。これ
らの抗原は原核プロモーターから発現され、構成的に発現されるか又は誘導され
ることができる。このような遺伝子は、それらからの免疫応答が望ましい寄生
生物からの遺伝子を包含する。

0051

他の実施態様では、本発明は問題の抗原を細胞にin vitroで導入する
方法に関する。このような方法は、所望のDNA又は抗原を弱毒Shigell
a又は弱毒/不活化Shigella中に所望の抗原が産生されるように導入す
ることと、前記Shigellaを細胞に投与することを含む。Shigell
aは数種類の異なる細胞、例えばBHK(ベビーハムスター腎細胞)、HeLa
(ヒト子宮上皮様癌)、CaCo−2(ヒト結腸腺癌)を感染させるので、所望
のDNA又は抗原を前記DNAが発現されることができる細胞中に供給すること
ができる。DNA供給後の細胞は治療目的のために、遺伝子療法のために、移植
することができる、又は診断分析試薬として用いることができる。

0052

さらに他の実施態様では、本発明は侵襲性細菌菌株の製造方法に関する。Sh
igellaが用いる侵襲性遺伝子(invasion gene)は例えばE.coliのよ
うな他の細菌に挿入することができる。今や侵襲性である、このような菌株は結
腸粘膜にDNAを供給するためのキャリヤーとして用いることができる。腸の天
フローラに見い出される細菌である、E.coliのような供給ビヒクルを用
いることの利点の1つは、身体がこの細菌に対する免疫応答を起こさず、多量(m
ultiple doses)の所望の抗原又はDNAを導入することができ、免疫応答を所望
の抗原に対して起こさせ、異種抗原を供給する細菌に対しては起こさせないこと
である。VirG遺伝子、又は他の染色体コード化因子(chromosomally encoded
factor)及びShigella中に見い出されるビルレンス遺伝子を含有するビ
レンスプラスミドを用いて、非侵襲性候補から侵襲性菌株をエンジニアリング
する(engineered)ことができる(Sansonetti等,Infect.Im
mun.(1983)39:1392を参照のこと)。

0053

さらに他の実施態様では、本発明はShigella感染に対するワクチンに
関する。本発明の弱毒S.flexneri菌株はS.flexneri感染に
対する免疫処置剤(immunizing)として用いることができる。この菌株はモルモッ
角結膜炎動物モデルにおいて保護的免疫応答を誘発することが判明している。
他のShigella菌株もS.flexneriと同様に、上述したようにS
higella遺伝子に突然変異を導入することによって、得られた
Shigellaが細胞に入った後に死ぬように、弱毒化することができる。こ
のような突然変異は例えばasd遺伝子中に存在することができ、得られた弱毒
化菌株は例えばS.boydii、S.dysenteriae、S.flex
neri及びS.sonneiのような、用いたShigella菌株の特定の
血清型による感染に対するワクチンとして用いられる。弱毒化Shigella
ワクチンは、弱毒化Shigellaの1種の菌株又は数種類の菌株を含有する
混合ワクチンとして形成されることができる。さらに、このワクチンは、加えた
抗原が弱毒化Shigellaワクチンの効果を妨げず、副作用及び不利な反応
があったとしても加算的に又は相乗的に上昇しないかぎり、少なくとも1種の他
の抗原を包含することができる。

0054

ワクチンは、液体溶液若しくは懸濁液として;投与前液体中に溶解又は懸濁
させるために適した固体形として製造される。この製剤は乳化することもできる
、又は成分はしばしば、例えば、薬品等級マンニトールラクトース澱粉
ステアリン酸マグネシウムナトリウムサッカリンセルロース炭酸マグネシ
ウム等のような賦形剤と混合される。これらの組成物溶液、懸濁液、錠剤、ピ
ル、カプセル徐放性製剤点鼻剤又は粉末の形態をとり、約10〜1012の弱
毒化及び/又は弱毒化/不活化Shigellaを含有する。

0055

ワクチンは注入可能薬品の形状であることもできる。適当な賦形剤は、例えば
生理的食塩水若しくは緩衝化生理的食塩水(pH約7〜約8)、又はデキス
ロースグリセロール等及びこれらの組合せを含有することもできる、他の生理
的、等張性溶液を包含する。しかし、例えば強い界面活性剤アルコール及び他
有機溶剤のような、液体膜を破壊又は溶解するような作用剤は避けるべきであ
る。さらに、必要な場合には、ワクチンは微量の例えば湿潤剤若しくは乳化剤
pH調節剤緩衝剤及び/又はワクチンの効果を補助するようなアジュバント
ような補助物質を含有することができる。有効であるアジュバントの例は、非限
定的に、水酸化アルミニウム、N−アセチルムラミル−L−トレオニル−D−
イソグルタミン(thr−MDP)、N−アセチルムラミル−L−アラニル−D
イソグルタミニル−L−アラニン−2−(1’−2’−ジパルミトイル−sn
グリセロ−3−ヒドロキシホスホリルオキシ)−エチルアミンCGP198
35
A,MTP−PEと呼ばれる)、及び2%スクアレン/Tween80エマル
ョン中に細菌から抽出された3種類の要素:モノホスホリル脂質Aとトレハロー
スジコレート細胞壁骨格と(MPLTDM+CWS)を含有するTIBI
を包含する。アジュバントの効果は、Shigella、運ばれる抗原、又は種
種なアジュバントからも構成されるワクチン中の弱毒化Shigellaの投与
から生じるDNAコード化抗原に対して誘導される所望の免疫応答のレベルを測
定することによって判定することができる。

0056

ワクチンは上述したように調製された液体又は懸濁液として投与されることが
できる。他の投与形式に適した他の製剤は座薬を包含する。さらに、ワクチンは
凍結乾燥することができる。座薬のために、慣用的結合剤とキャリヤーは、例
えば、ポリアルキレングリコール又はトリグリセリドを包含することができ;こ
のような座薬は所望の免疫応答を発生させる、即ち、好ましくない不利な副作用
を惹起させずに疾患発生率又は重症度を保護又は軽減するために充分に、一般に
一回量につき10〜1012コロニー形成単位の弱毒化Shigellaの範囲
内で弱毒化Shigellaを含有する混合物から形成することができる。

0057

一般に、ワクチンは所望の免疫応答の発生のために有効な投与量で経口、皮下
、皮内、又は筋肉内に投与することができる。ワクチンは投与製剤適合した方
法で、予防的及び/又は治療的に有効であるような量で投与される。一般には、
一回量につき10〜1012コロニー形成単位の弱毒化及び/又は弱毒化/不活化
Shigellaの範囲内である投与量は、これがShigellaに対するワ
クチン又は異種抗原若しくはDNAのキャリヤーのいずれとして作用するのかに
依存し、さらに治療されるべき対象(subject)、所望の免疫応答を発生させる対
象の免疫系の能力、及び所望の保護の程度に依存する。投与すべき正確なワク
ン量は医師(practitioner)の判断に依存し、各対象に、抗原に、又はShige
llaのワクチンとして若しくはキャリヤーとしての使用に特有である。

0058

ワクチンは単回量スケジュールで、又は好ましくは、第1回コース予防接種
を1〜10回の分離投与量でおこない、その後に免疫応答を維持及び/又は強化
するために必要な、時間間隔を置いた他の投与量、例えば1〜4か月目に第2回
投与量を、必要な場合には、数か月後に次の投与量(単数又は複数)を投与する
多数回投与スケジュール(multiple dose schedule)で投与される。投与計画(dos
age regimen)は、少なくとも一部は、個体(individual)の要求によっても決定さ
れ、医師の判断に依存する。適当な免疫処置スケジュールの例は、(i)0、1
か月及び6か月スケジュール;(ii)0、7日間及び1か月スケジュール;(ii
i)0及び1か月スケジュール;(iv)0及び6か月スケジュール;又は保護免
疫を与える若しくは疾患の症状を緩和する若しくは疾患の重症度を軽減するため
に充分な他のスケジュールを包含する。1〜3回接種から成る免疫処置の第1回
コース後に、弱毒化ShigellaワクチンによるShigellaに対する
保護免疫の発生を妥当予想することができる。これらを、保護免疫の充分なレ
ベルを維持するために設計された、間隔を置いた(例えば、2年毎)追加免疫
よって補助することができる。

0059

他の実施態様では、本発明はサンプル中のShigella抗原若しくはSh
igella(特に、Shigella flexneri)に対する免疫応答
の存在を検出する方法に関する。本発明の弱毒化Shigellaを用いること
の利点の1つは、高度に感染性天然Shigellaによって必要な厄介な安
全処置の削減であり;弱毒化Shigellaは宿主細胞中でこの細菌が生残
ることができないために操作者に対する危険性低下を示す。検出プロトコールは
例えば競合分析直接反応分析又はサンドイッチ型分析に基づくものであること
ができる。プロトコールは例えば固体サポートを用いることも、又は免疫沈降
によることもできる。大抵の分析はラベルの使用を含み;これらのラベルは例え
蛍光性分子化学発光性分子放射性分子又は染料分子であることができる。
プローブからのシグナルを増幅する分析も公知であり、その例は、ビオチン若し
くはアビジンを用いる分析と、酵素標識及び酵素仲介イムノアッセイ、例えばE
ISA又はELISPOTアッセイとである。技術上周知の標準方法を用いて
、例えば微量定量(microtitration)プレート又は膜(例えば、ニトロセルロース
膜)のような面(即ち、固体サポート)を上記弱毒化Shigella又は弱毒
化Shigellaからの精製細菌要素(bacterial component)、例えばLPS
及び膜又は細胞要素によって被覆し、これをShigella感染を有する
と疑われるヒトの血清と接触させることによって、診断分析を構成することがで
きる。弱毒化Shigellaと血清中のそれに対して特異的な抗体との間に形
成された生成複合体の存在を、例えば蛍光抗体分光法又は比色定量のような、当
該技術分野で一般的な公知方法のいずれかによって検出することができる。この
検出方法は例えば、Shigella感染の診断、免疫応答の検出、及び特異的
Shigella要素への先行暴露の判定に用いることができる。

0060

さらに、細菌要素、例えばLPS及び膜又は細胞要素は弱毒化Shigell
aから安全に精製して、サンプル中のShigellaの検出のためのモノクロ
ーナル又はポリクローナル抗体の産生のために用いることができる。これらの抗
体はShigellaに感染した個体の組織又は体液中のShigellaを確
認するために用いることができるので、このような感染症の迅速かつ正確な免疫
学的診断を可能にする。これらの抗体は、水、生物学的製剤(biologicals)、製
薬(pharmaceuticals)又は食品中に汚染物として存在するShigellaの免
疫学的検出のためにも有用である。検出は迅速、高感度及び高度に特異的である
診断用組成物はShigellaを検出するために有効な一定濃度の抗体を含
有することもできる。抗体は凍結乾燥された形又は診断用に受容される他の形で
パッケージされて、販売されることができる。これは如何なる免疫学的方法を用
いるかに依存して、適当なキャリヤーと混合する、適当な固相(例えば、ラテッ
クス粒子、又はプラスチック微量定量プレート)に付着させる、酵素若しくは染
料と接合する、又は放射能標識することができる。抗体がShigellaを中
和する又は感染を軽減することが判明したならば、この抗体を免疫防御のために
又はShigella感染症若しくはそれらの結果(consequence)の治療のため
に用いることができる。

0061

さらに他の実施態様では、本発明は弱毒化Shigellaと、技術上周知で
ある補助試薬とを含有し、食品、水、生物学的製剤及び製薬中の汚染物としての
Shigellaの存在の検出、又はサンプル中のShigellaに対する免
疫応答の検出に用いるために適した診断キットに関する。Shigellaに対
する免疫応答を検出するためのサンプルはヒト、サル又は他の哺乳動物からの血
清及び組織サンプルである。この分析の実施のために必要な、適当な試薬と材料
は、分析指示の適当なセットと共にパッケージされることができる。本発明を以
下の実施例によってさらに説明するが、これらの実施例は例示のためのみに提供
するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書の開示を考慮
するならば、請求の範囲に含まれる非常に多くの実施態様が当業者に自明であろ
う。
実施例1
弱毒化S.flexneri2a菌株の構築

0062

適当な菌株を構築する場合に、既に一般に知られた条件致死突然変異系を利用
した。細菌の細胞壁構成要素ジアミノピメリン酸(DAP)を合成するために必
要な必須酵素であるASDをコードする遺伝子中に欠失突然変異を起こさせた(
Nakayama等,Biotechnology(1988)6:693)。
図1は15D、Shigella flexneri 2a菌株2457TのD
asd単離体の構築を説明する。E.coli asdをコードする遺伝子(M
aziza等,EMBO J.(1982)1:379)をPCRを用いて増幅
させて、BglII制限部位を組み入れる。asdを既述したベクター中にクロ
ーン化して(Branstrom等,第33回ICAAC(New Orlea
ns,LA,1993年10月20日)において発表,Abstract#11
36)、E.coli x6097の使用に関して選択した(Nakayama
等,上記文献)。得られたpAB102プラスミドを逆PCR増幅して、E.c
oli asd構造遺伝子の553bp(位置439〜991)を欠失させた[
全てのプライマーは5から3への配向で供給、配列番号:3〜8]。突然変異体
E.coli asd又は△asd(配列番号:2)を作製する。商業的なプラ
スミドpUC4K−KIXX(Pharmacia)からのカナマイシン耐性カ
セットをSmaIフラグメントとして精製して、隣接asd配列の間にクローン
化した。それぞれ、制限部位SacIとSalIを含有する前進プライマーと逆
プライマーを用いると、PCR増幅は内部欠失を有するasd遺伝子と、Kan
rカセットとを含有する2kbPCRフラグメントを生成した。全Dasd:
:KanrPCRフラグメントを陽性選択自殺ベクターpCVD442のSac
I/SalI部位中にクローン化した
(DonnenbergとKaper,Infect.Immun.(1991
)59:4310)。ライゲーションをSM10λpir中に形質転換し(Si
mon等,BioTechnology(1983)1:784)、アンピシリ
ン耐性によって選択した。SM10λpir(pCVD442::asd)をS
.flexneri2a 2457T(pAB322[Tetr/Amps])と
接合させ、Ampr/Ter接合体を選択した。PCR分析は、染色体中に組み込
まれた生成単離体(isolates obtained)がpCVD442プラスミド上でasd
の下流部分と組換えられたことを確認した。スクロース上でこれらの単離体が成
長すると、第2組換えイベントを生じた(QuandtとHynes,Gene
(1993)127:15)。Kanrと、DAPの必要条件に関してスクリ
ニングして、単離体15Cを得た。ハイブリダイゼーションとPCR分析とは、
この菌株がasdに欠失を有することを立証した。この突然変異は、低コピー数
ベクターにクローン化されたE.coli asdによって補足されて、オリ
ナルの表現型を修復した。15CをそのTetrプラスミドからフサリン酸処理
によってキュアして(cured)(MaloyとNunn,J.Bacteriol
.(1981)145:1110)、単離体15Dを得た。
例2
単離15Dの特徴付け

0063

株15Dは抗生物質選別を行うことなく市販の真核細胞発現ベクターpCMV
βを維持することができた。pCMVβは哺乳動物細胞においてヒトサイトメガ
ロウイルスからの即時型初期プロモーターおよびエンハサーの制御下に、イー・
コリ(E.Coli)β−ガラクトシダーゼを発現し、これは放出後の哺乳動物
−仲介遺伝子発現の容易な分析を可能にした(MacGregor およびCa
skeyによるNucl.AcidsRes.(1989)17:2365)

0064

株15Dをスクリーニングして、哺乳動物細胞の細菌侵入に必須の大型プラス
ミドが遺伝子操作の期間中に失われないことを確実にした。株15Dはビルレン
付随ポリペプチド、IpaBおよびIpaCを発現することが見出されており
、これは免疫吸着法によって測定して(Mills等によるInfect.
Immun.(1988)56:2933)、侵入プラスミドが失われないこと
を示した。細胞壁合成に必要な遺伝子における変異を含むシゲラ(Shigel
la)は培養物中で依然として細胞に付着し、かつまた細胞に侵入することがで
きることを証明することは重要であった。株15Dおよび15D(pCMVβ)
をそれぞれ、90分間の侵入可能期間中、DAPを補給して、あるいはDAPを
補給することなく、培養したベビーハムスター腎臓(BHK)細胞に侵入する能
力について試験した(Oaks等によるInfect.Immun.(1985
)48:124)。この相互反応期間の後に、単層を徹底的に洗浄し、次いでゲ
ンタマイシン(50μg/ml)含有媒質で少なくとも30分間処理し、細胞外
細菌を除去した。これら両方の構築物は、BHK細胞に侵入することが見出され
た;しかしながら、細菌−細胞相互反応中にDAPを添加すると、記録された1
5Dおよび15D(pCMVβ)のコロニイ数は有意に増加した。感染したBH
K細胞単層の固定し、染色したチャンバースライド(chamber slid
es)を光顕微鏡によって検査し、生育可能所見を証明した。侵入段階中にDA
Pが存在していない場合には、15Dおよび15D(pCMVβ)はそれぞれ、
BHK細胞の丁度13%および10%に侵入した。これに反して、DAPが含有
されている場合には、BHK細胞の33%(15D)および29%[15D(p
CMVβ)]が細菌を含有していた。この試験の目的は、哺乳動物細胞へのプラ
スミドDNAの放出に細菌を使用できるか否かを測定することにあったことから
、下記の代表的データに従い、付着段階および侵入段階の期間中、濃縮した細菌
にDAPを添加した。

0065

細胞内細菌生育可能性およびβ−ガラクトシダーゼ活性を48時間にわたり追
跡した。感染したBHK細胞から回収された生育可能な細菌を評価するために、
次の試験方法を使用した。1×105BHK細胞を24凹部を有するプレートの
凹部でプレート形成した。この試験方法はシゲラプラーク検定について従来開示
されている方法を修正して適合させた(Mills等によるInfect.Im
mun.(1988)56:2933;Oaks等によるInfect.Imm
un.(1985)48:124)。株それぞれの単一のコンゴレッド結合陽性
コロニイ(これはプラスミドーコードされたシゲラビルレンス抗原決定基の発現
を表わす)を使用して、50μg/mlDAP[15D]またはDAP+250
μg/mlアンピシリン[15D(pCMVβ)]を含有するLBブロス培地
一夜かけて接種した。この一夜培養物を1:50に稀釈し、DAPの存在下にほ
ミッドログ(mid−log)相で増殖させた。50μg/mlDAPが添
加されているかまたは添加されていないHBSS中の10X細菌溶液200マイ
クロリットルを、準−密集BHK細胞の3つの凹部[これらはDMEM(Bio
Whittaker)で洗浄されている]に、約50:1で添加した。37℃、
5%CO2において90分間、細菌をこの最小容積のBHK細胞と相互反応させ
た。非付着細菌はHBSSにより徹底的に洗浄することにより除去した。細胞外
細菌を次いで、10%加熱不活性化したFBS
(BioWhittaker)および50μg/mlゲンタマイシン含有DME
Mの添加により殺した。指示時点で、細胞を0.2%トリトン(Triton)
−X−100溶液で溶解させ、相当する稀釈物をTSAコンゴレッドDAPプレ
ートでプレート形成し、ここで生育可能細菌数を測定した。

0066

固定し、染色したチャンバースライドを視覚的に検査するために、1×105
BHK細胞をナンク(Nunc)チャンバースライドでプレート形成し、上記の
とおりに15Dおよび15D(pCMVβ)で感染させた。相当する時点で、こ
れらのチャンバースライドを充分に洗浄し、固定し、次いでロイコスタインセッ
ト(Fisher)で染色した。データ分析用に、少なくとも450個の細胞を
光顕微鏡により目で見て検査した。インスタット(Instat)統計学プログ
ラム(Graphpad、San Diego、CA)を使用し、平均値および
標準誤差を計算した。
例3
株15Dにより細胞に放出されたDNAの発現

0067

細菌懸濁液を10−倍に濃縮し、各フラスコに2mlを添加したことを除いて
、例1に記載のとおりに細胞を増殖させた。この試験法において、準−密集BH
K細胞のフラスコに細菌懸濁液を添加する前に、この細菌懸濁液にDAP50μ
g/mlを添加した。細菌は約100:1の比で添加した。指示時点で、BHK
細胞をトリプシン処理(trypsinization)により分離し、次いで
PBS中で洗浄した。この細胞懸濁液の一部を0.2%トリトン−X−100溶
液により溶解させ、TSAコンゴレッドDAPプレート上でプレート形成し、生
育可能細菌数を測定した。残りの細胞はβ−ガラクトシダーゼ活性について評価
した。β−ガラクトシダーゼ活性は、残りの細胞において、o−ニトロフェニル
−β−D−ガラクトシド(ONPG)のガラクトースおよびクロモホールo−ニ
トロフェノールへの変換を使用する標準生化学試験法で測定し、活性を分光光度
測定によって定量分析した(Nolan等によるMethodsin Mol
ecular Biology,E.J.MurrayおよびJ.M.Walk
er編集(Humana Press Inc.,Clifton,N.J.,
1991)Vol.7:217〜235)。β−ガラクトシダーゼ単位=
380×OD420/時間(分)。細胞抽出物総蛋白質濃度は、BCA*蛋白
試験キット(Pierce)により測定した。

0068

株それぞれの初期1〜3×107生育可能細菌がBHK細胞の単層から回収さ
れたが、この細胞抽出物中でβ−ガラクトシダーゼ活性は検出できなかった。添
加された細菌の総数に等しい細胞抽出物中のβ−ガラクトシダーゼ活性の測定は
陰性であった。4時間後に、1 log〜1.5 logの生育可能な細胞の消
失が生じ、β−ガラクトシダーゼ活性は検出できなかった。追加のlog〜1.
5 logの生育可能な細胞の消失が24時間および48時間の両方の試験時点
で見出された。両時点で、15D(pCMVβ)が感染されたBHK細胞からの
細胞抽出物中で、β−ガラクトシダーゼ活性の増加が容易に検出できた。これら
最後の検出時点で検出されたβ−ガラクトシダーゼ活性は、細菌内からの発現に
よるものではない。この理由は、最初の両方の検出時点で、高レベルの生育可能
細胞が存在するにもかかわらずβ−ガラクトシダーゼ活性が検出されなかったこ
とにある。さらに、15D(pCMVβ)の非侵入性単離体(すなわち、Ipa
BおよびIpaC免疫吸着陰性)を、プラスミドDNA放出能力について試験し
た。24時間の試験時間時点で、β−ガラクトシダーゼ活性が検出されなかった

0069

この発見は、DNAを放出するためには、細胞が哺乳動物細胞に入り込むこと
ができ、かつまた食細胞液胞から脱出する(の現象は通常、この試験の最初の4
時間の間に生じる)ことができるものでなければならないという仮設補強して
いる。24時間および48時間の試験時点で、細菌の死滅およびプラスミドDN
Aの細胞細胞質中への放出に充分な時間が経過していた。引続いて、コードされ
リポーター遺伝子転写および翻訳が生じる。引続く真核細胞による取り込み
を伴うプラスミドDNAの放出を導く細菌の細胞外溶解は、これらの発見とは無
関係である。これは非侵入性単離体はβ−ガラクトシダーゼ活性を誘発させるこ
とができないからである。
例4
DNA放出媒体(vehicle)としての株15D

0070

BHK細胞へのpCMVβ DNAの放出を証明するために、感染させた単層
を免疫染色し(immunostain)、個別の細胞内における細胞内β−ガ
ラクトシダーゼ発現を視覚的に検出した。例1に記載されているように、4−凹
部チャンバースライドの3つの凹部において、15Dまたは15D(pCMVβ
)のどちらかを感染させたBHK細胞単層を免疫染色し、β−ガラクトシダーゼ
発現を検出した(Sander等によるJ.immunol.Methods(
1993)166:201)。各検出時点において、単層をリン酸塩緩衝4%パ
ホルムアルデヒド中で5分間、固定させ、次いでHBSS中の3%ヤギ血清
Gibco−BRL)で3分間ブロックした。BHK細胞を次いで、0.1%サ
ポニン(Sigma)溶液含有HBSSで1分間、透過性化した。モノクローナ
ル抗−β−ガラクトシダーゼ(Sigma)を0.1%サポイン/HBSS中で
1:2000に稀釈し、次いで含湿チャンバー内で30分間、37℃に保持した
。第二の抗−マウスIgG(Fc特異性FITC結合体(Sigma)を、1
:32に稀釈し、次いで30分間、室温に保持した。各工程の間で、チャンバー
スライドを0.1%サポイン/HBSS溶液で徹底的に洗浄した。最終洗浄工程
としてHBSSを単独で使用し、透過性化された細胞を封鎖した。蛍光部品を備
えたオリンパス(Olympus)−VAN04−SまたはEpi−蛍光部品を
備えたニコン(Nikon)マイクロホト(microphot)を用いて、視
覚的に評価した。結果を図3に示す。

0071

どちらかの株を感染させた単層では、30分の検出時点で明白な細胞内免疫染
色は見出されなかった(図3A、B)。15D(pCMVβ)を感染させた単層
では、4時間の検出時点で僅かのみの細胞内免疫染色が見出された(図3C、D
)。24時間および48時間の検出時点で、15D(pCMVβ)を感染させた
単層領域あたりで数個の細胞が陽性に染色された(図3E、F)。細胞細胞質全
体の染色は、哺乳動物細胞による引続く処理(すなわち、転写および翻訳)のた
めに、このプラスミドDNAが細菌から細胞細胞質中に放出されたことを示す。
陽性に染色される細胞はまた、多分、大量のβ−ガラクトシダーゼ蛋白質の存在
により球形に見えた。蛍光活性細胞選別FACS)分析(Nolan等による
上記刊行物)により測定して、5000個の細胞のうちの1〜2%が24時間の
検出時点でβ−ガラクトシダーゼ発現について染色陽性であった。15D(pC
MVβ)を感染させたBHK細胞のロイコスタット(Leukostat)染色
したチャンバースライドを視覚的に検査すると、細胞の28%が1〜5の完全細
菌を含有しており、1.7%が5の細菌を含有していることが見出された(表2
)。ゲンタマイシン処置後の4時間の時点で、細胞の26%が視覚的に完全な細
菌を含有しており、4細菌を含有する細胞は1%以下であった。従って、1〜5
細菌による侵入が外来遺伝子発現に必要であった。pCMVβは約500コピイ
細菌細胞の中程度ないし高程度のコピー数を有する7164塩基対プラスミド
であることから、各細菌は約3.93(10-9)mgのDNAを含有するものと
推定される。シゲラによる約4〜20×10-9mgのDNAの細胞質内放出は、
β−ガラクトシダーゼの発現に充分である。
感染したBHK細胞のパーセンテージおよび細菌数/感染したBHK細胞。チャ
バースライドおよび細菌は表1に記載のとおりに調製した。データは感染した
BHK細胞の平均パーセンテージおよび細菌/感染したBHK細胞の平均±標準
偏差値(SD)で表わされている。
例5
相違する種類の細胞へのシゲラによる遺伝子放出

0072

シゲラ細菌株はかなりの相違する細胞に侵入する。遺伝子放出がBHK細胞に
制限されないことを証明するために、P815細胞に15D(pCMVβ)を感
染させた。P815細胞の感染に使用された細菌は、例1に記載のとおりに増殖
させた。6−凹部プレートで培養した非付着性P815細胞にDAPとともに細
菌を添加した後に、このプレートを500Xgで5分間回転させた。細菌とP8
15細胞とを、90分間相互反応させた。これらの細胞を次いで、DMEMで徹
底的に洗浄し、次いで100μg/mlのゲンタマイシンを含有するDMEM中
再懸濁し、37℃、5%CO2で1時間インキュベートした。これらの細胞を
再度、徹底的に洗浄し、次いで20μg/mlのゲンタマイシンを含有するDM
EM中に再懸濁し、37℃、5%CO2で一夜にわたり培養した。24時間の時
点で、β−ガラクトシダーゼ活性および蛋白質濃度を上記のとおりに測定した(
Nolan等による上記刊行物)。

0073

表3に示されているように、24時間の時点で、基礎対照に比較して10倍高
いレベルのβ−ガラクトシダーゼが発現された。H−2dクラスIMHC分子
を発現するP815細胞は、15D(pCMVβ)で充分に感染されており、こ
の試験は、これらの細胞がクラスIの観点で、シゲラ放出DNAコードされた外
来抗原を提供することができるか否かを測定するために現在実施されている。
例6
15Dはインビボでシゲラによる感染に対する防御を提供する

0074

モルモット角結膜炎チャレンジモデルにおける試験は、2種の用量による免疫
感作計画に従う3週間の引続くシゲラ感染からの100%の防御を示す。動物
0日目と15日目に、眼1個あたり1〜4×108コロニイ形成単位により免疫
感作した。チャレンジは、最終免疫感作後の3週間目の時点で行った。動物には
、3.8×108ビルレント2457Tをチャレンジさせた。

0075

実験Cの動物からの眼をまた、β−ガラクトシダーゼ活性について染色した。
15D(pCMVβ)および加熱−殺菌した15D(pCMVβ)を接種した動
物からの眼は、染色を示した。加熱−殺菌した15D(pCMVβ)を接種した
動物の眼では、薄い染色が検出された。これらの結果は、DNAを放出すること
ができる、この高度にアテニュエーションされた株(attenuated s
train)がモルモット角結膜炎モデルにおいてインビボで機能すること、お
よび細菌が不活性化されている場合でも、シゲラによるチャレンジに対して防御
を提供することを証明している。
例7
モルモット増殖試験

0076

この試験の目的は、チャレンジの期間および回復期間中における動物の免疫応
答性を評価することにあった。

0077

2匹の動物の脾臓または深節を試験用に集めた。各群からの2匹のチャレン
ジした動物をチャレンジ後の3週間および4週間の時点で試験用に犠牲にした。
増殖応答は、防御について評価される動物において試験した。予備チャレンジ(
pre−challenge)動物に、前記のようにワクチン付与し、別の動物
がチャレンジされた時点で、その臓器を試験した。

0078

脾臓および深頚節から単細胞懸濁液を調製し、96個の凹部を有するプレート
で、100ml中1〜2×105細胞/凹部の濃度でプレート形成した。各刺激
剤10mlを相当する凹部に添加した。3日間培養した後に、生じた増殖量を非
放射性キットを用いて測定した。これらの応答を下記表5に示す。
N.P,:増殖が検出されない場合
*無経験(naive)動物は検出できる応答がないことを示した;従って実際
のO.D.値が示されている。
ConA:コンカナバリンA、5μg/ml
LPS:E.Coliからの市販調製物250pg/ml
H.K:加熱殺菌したシゲラフレキシネリ(Shigella flexne
ri)2a株2457T 5μg/ml

0079

全部の応答を平均し(すなわち、3〜4凹部)、平均基礎応答を減じ、O.D
.490値を決定した。刺激指数は、平均実験O.D.値を無経験対照の平均実
験O.D.値で割り算することによって計算した。

0080

これらの結果は、チャレンジの時点および数週間の後チャレンジ(post
challenge)期間中における、この高度にアテニュエーションされた株
に対する免疫応答(ミトゲン応答により、および加熱殺菌した抗原に対する特異
的応答により測定して、T細胞およびB細胞を包含する)への識別を与える。β
−ガラクトシダーゼ蛋白質までの増殖は検出されなかった。眼の正常な免疫学的
特性から、この結果は予想された(RochaおよびBainesによるCri
tical Rev. Immun.(1992)12:81〜100)。
例8
マウス鼻内チャレンジ増殖

0081

この実験の目的は、インビボにおけるDNA放出に対する15Dの能力を、別
のモデル(すなわち、マウス鼻内)で測定することにあった。さらに、キャリア
に対する免疫応答をまた測定した。

0082

一群5匹のマウスのそれぞれに、4週間の間隔で2回、鼻内に接種した。各接
各株または処置について、相違する3種の用量をまた投与した。これらの量は以
下に示されている。処置群の一つは、接種前の培養物に添加したDAP50μ
g/mlとともに、15D(pCMVβ)を与えたマウスからなる。2回目の接
種後の4週間の時点で、脾臓を取り出し、単一細胞懸濁液を調製し、次いで96
凹部プレートに、100ml中の2×105細胞/凹部でプレート形成した。相
当する凹部に、刺激剤10mlを添加した。これらのプレートを3日間インキュ
ベートし、生じた増殖の量を、非放射性キットを用いて測定した。これらの数値
を平均し、基礎値を減じ、O.D.490値を決定した。ConA、E.Col
iLPSおよび加熱殺菌した2457Tにかかわる刺激指数は、平均実験O.
D.値を無経験対照値により割り算することによって計算した。結果を下記の表
6に示す。b−galにかかわる刺激指数は、15DのO.D.値により割り算
した実験(pCMVβ)O.D.値である。
両接種のための大体の量
15D:3×106、1×106および3×105
DAPが添加されたまたは添加されていない15D(pCMVβ):1×106
、5×105および1×105
*ポリミキシンBをb−gal蛋白質に添加して、すべての夾雑LPSをキレ
ト形成した。

0083

これらの結果は、このモデルにおいて、15DがpCMVβ DNAを充分に
放出することを示している。さらに多い接種量において、DAPが添加されたま
たは添加されていない15D(pCMVβ)が接種されたマウスは、b−gal
蛋白質に応答して増殖することができる。さらにまた、指定の用量では、キャリ
アに対する有意の増殖応答は見出されなかった。
例9
マウス鼻内応答II

0084

プラスミド発現したβ−ガラクトシダーゼに対して向けられたリンパ増殖応答
(lymphoproliferative responses)および抗体
応答を、マウスの鼻組織へのプラスミドDNAの細菌性放出後に測定した。2回
の鼻内接種を、0日目および28日目に行った。最後の接種後の4週間の時点で
、15D(pCMVβ)を受けたマウスからの脾臓細胞は、β−ガラクトシダー

に対して向けられたリンパ増殖応答を示した。8〜10週齢の雌のBALB/c
マウス(Harlan Spregue Dawley、Indianapol
is、IN)を、塩類溶液50ml中の0.3mgのキシラジン塩酸塩ロン
ン(Rompun);Mobay Corp.,Shawnee,KA]および
1.0mgのケタミン塩酸塩[ケタセット(Ketaset);Aveco C
ompany,Fort Dodge,IA]の混合物の筋肉内注射によって鎮
静させた。濃縮した細菌懸濁液(15ml)を、各マウスの外鼻孔上に滴下した
。0日目および4週間の時点で、各群5〜10匹のマウスに、106または107
の生存している細菌を与えた。数群のマウスには、DAP50μg/mlを補
充した15D(pCMVβ)接種物を与えた。血清分析用血液を、最後の接種後
の4週間の時点で採取した。この時点で、脾臓をまた、ConA、E.Coli

0085

LPS、加熱殺菌した2457Tおよび精製したβ−ガラクトシダーゼ(Si
gma,St.Louis,MO)により誘発されたリンパ増殖応答のインビト
測定用に取り出した。脾臓細胞(1×105/凹部)を、ポリミキシン(Bu
rroughs Wellcome,Research Triangle P
ark,NC)10μg/mlを含有する精製したβ−ガラクトシダーゼ 2.
5μg/ml、ConA 50μg/ml、E.Coli LPS 2.5μg
/mlおよび加熱殺菌した2457T 5μg/mlの存在下に、3日間培養し
た。増殖の程度をセルタイター96(cell Titer96)(登録商標名
)AQueous非放射性細胞増殖キット(Promega,Madison,WI
)を使用して測定した。報告されているOD490値は、刺激された細胞の平均
値から無刺激細胞の平均値を減じることによって計算した。

0086

これらの結果は、DAPが添加されているか、または添加されていない15D
(pCMVβ)が接種されたマウスは、対照よりも5倍まで大きく、β−ガラク
トシダーゼに対して応答して増殖することができることを示している(図4D)

例10
鼻内接種したマウスのβ−ガラクトシダーゼに対する抗体応答

0087

15D、15D(pCMVβ)またはDAP50μg/ml含有15D(p
CMVβ)を接種したマウス群からの血清を、β−ガラクトシダーゼに対する反
応性について試験した。精製β−ガラクトシダーゼ 1マイクログラムを7.5
%SDS−ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動処理に付した。電気泳動の後に
、これらのゲルをニトロセルロースに電気吸着させた。これらのブロットをカゼ
インでブロックし、次いで区分に分け、その後に一夜かけて、集めた血清試料
カゼイン緩衝液中で1:50に稀釈した)にさらした。結合した抗体を、アル
リ性ホスファターゼ(BMB,Indianapolis,IN)に結合させた
第二のウサギ抗−マウスIgの1:500稀釈液を用いて検出した。アルカリ性
ホスファターゼ活性は、基質CIP/NBT(Sigma)によって検出した
。免疫吸着分析は、15D(pCMVβ)が感染されたマウスからの血清試料中
でβ−ガラクトシダーゼに対して特異性の抗体応答に現れた。

0088

血清試料をまた、ELISAにより分析し、標準法を用いて抗体イソタイプ
よびIgGサブクラスを測定した。β−ガラクトシダーゼに対して特異性の抗体
はIgGイソタイプの抗体であり、これはIgG1、IgG2aおよびIgG2
bで等しく表わされる(表7)。これはTh1細胞およびTh2細胞の両方を包
含することを示す。

0089

ここに示されているこれらの結果は、アテニュレーションされた細菌を使用し
て、粘膜表面にプラスミドDNAを放出することができ、これによりプラスミド
−コードされた外来遺伝子産物に対する免疫応答の刺激が得られることを示す最
初の証明である。ワクチン開発への手法は、DNAベースのワクチンの開発およ
び供給を単純にしなければならず、一方でしばしば望まれる粘膜免疫応答の刺激
を可能にする技術を拡大させなければならない。

0090

われわれは、機能的DNA内部細胞を放出させるための新規方法を発見した。
この方法は、シゲラに制限されるべきではない。この理由は、シゲラが利用する
侵入遺伝子は他の細菌、例えばE.Coliに挿入することができるからである
(Sansonetti等によるInfect.Immun.(1983)39
:1392)。同様に、他の細菌、例えばリステリア(Listeria)は、
細胞に侵入することができ、食細胞液胞から細胞質中に脱出することができる(
PortnoyおよびJonesによるAnn.N.Y.Acad.Sci.(
1994)730:15)。我々は、細菌による食細胞液胞から細胞質中への脱
出がDNA放出にとって必須であることを示す公式証拠を有していないが、細
胞質に到達するのが困難であるサルモネラチフィムリウム(Salmonel
la typhimurium)微生物を用いた初期実験は、この微生物が効果
的なDNA放出媒体ではないことを示唆している。

0091

その引続く反応原性を伴う細胞侵入と放出効率との間のバランスを達成するた
めには、いずれかの細菌ベクターDNA放出系が必要である。シゲラの場合に、
侵入に対する遺伝子応答はまた、マクロファージの侵入およびアポプトシス(a
poptosis)を引き起こし、次いで炎症を引き起こす(Zychlins
ky等によるNature(1992)358:167)。我々は、DAPの不
存在下に細胞の内部で生き残ることができないシゲラ株を構築した。この種の安
全性の測定は人体実験を待っている。

0092

我々が開示した細菌DNA放出系は、或る用途にいくつかの利点を有する。粘
膜免疫系へのDNAコードされた抗原の放出はクラスIおよび(または)II提
示、Th1またはTh2ヘルプの刺激、あるいはIgAおよびIgG抗体産生の
ための配座エピトープおよび適当な重畳の隠された維持に向けることができる多
数の抗原による同時的免疫感作を可能にしなければならない。2〜3の名前を挙
げれば、下痢性疾患、例えばレトロウイルス;性行為により伝染する疾患、例え
ばヒト免疫不全ウイルス、ナイゼリアゴノロエアエ(Neisseria g
onorrhoeae)、およびヒトパピローマウイルス;およびまた胃腸疾患
、例えば潰瘍を生じさせるヘリコバクターピロリ(Helicobacter

0093

pylori)は特に、この手法に応答することができる。腸管免疫寛容メカ
ニズムの手法による自己免疫の抑制は証明されており(Sun等によるProc
.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(1994)91:10795)
、この手法にまた受け入れることができるべきである。

0094

多分、ワクチン形成および強力な遺伝子治療/代替に対するDNAの細菌放出
の最大の利点は、経口形態および粘膜供給用のその他の形態の容易性および受容
効性にある。同様に、このタイプのDNAワクチン形成(これは真に生きてお
り、アテニュレーションされた細菌ベクターである)にDNA精製が不必要であ
ることから、ワクチンを発酵細胞溶解および包装の費用で生産することができ
る。従って、このタイプのワクチンは、現時点のワクチンおよび開発されつつあ
るワクチンの価格および問題点の解消に、少なくとも部分的に貢献することがで
きる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • 株式会社カネカの「 多能性幹細胞凝集抑制剤」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】この出願は、細胞周期停止剤を含むことを特徴とする多能性幹細胞の浮遊培養に用いるための多能性幹細胞凝集抑制剤、その凝集抑制剤を含む培地中で多能性幹細胞を浮遊培養する工程を含む、多能性幹... 詳細

  • 株式会社カネカの「 細胞凝集促進剤」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】本発明は、細胞凝集塊の大きさを機械学的/物理学的な手段に依らずに適切に制御するための手段を提供することを目的とし、具体的には、SRF阻害剤を含む、細胞の浮遊培養に用いるための細胞凝集... 詳細

  • 国立大学法人東北大学の「 相同組換え修復活性の定量法」が 公開されました。( 2020/12/17)

    【課題・解決手段】細胞における相同組換え修復活性の測定方法は、部位特異的ヌクレアーゼにより、細胞内の標的ゲノムDNA領域の二本鎖を特定部位で切断すること、細胞にタグ配列を含むドナーベクターを導入し、相... 詳細

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ