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技術 半導体膜の成長方法及び半導体装置の製造方法

出願人 パナソニック株式会社
発明者 高橋邦方北畠真内田正雄
出願日 2000年3月6日 (21年5ヶ月経過) 出願番号 2000-060210
公開日 2000年12月8日 (20年8ヶ月経過) 公開番号 2000-340512
状態 特許登録済
技術分野 結晶、結晶のための後処理 CVD 半導体の電極 気相成長(金属層を除く) 再結晶化技術 ダイオード 再結晶化技術
主要キーワード ガス排気システム 希釈ガス供給管 半絶縁性材料 水平位 パルスバルブ 各流量計 遷移部分 ドープト層
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (17)

課題

不純物濃度プロファイル急峻性や表面の平坦性を有する半導体膜成長方法及びこれを利用した半導体装置の製造方法を提供する。

解決手段

チャンバー1内で、サセプタ4の上に基板3を設置し、基板3を高温に加熱する。流量計10,11を介設した原料ガス供給管7,希釈ガス供給管9から原料ガス希釈ガスとをチャンバー1内に供給する一方、パルスバルブ20を介設した添加ガス供給管12とガス導入管13から、パルスバルブ20の開閉に応じてドーピングガスを供給して、基板3上にドープ層エピタキシャル成長させる。そのとき、パルスバルブ20を介してガスボンベ減圧器の二次側のドーピングガスを基板3の表面上にパルス状に直接供給することで、基板3からドープ層に遷移する領域における不純物濃度プロファイルが急峻になり、ドープ層の表面が平坦化される。

概要

背景

近年、高周波特性発光特性耐圧特性などの特殊な機能をもった半導体デバイスを実現するための新しい半導体材料又は半絶縁性材料の開発が活発に行なわれている。例えば、炭化珪素シリコンカーバイド、SiC)は珪素(Si)に比べて高硬度薬品にも犯されにくく、バンドギャップが大きい半導体であることから、次世代のパワーデバイス高周波デバイス高温動作デバイス等へ応用されることが期待される半導体材料である。ところが、炭化珪素は、立方晶系結晶構造を有する3C−SiCや、六方晶系の結晶構造を有する6H−SiC、4H−SiC等があり、同じ結晶構造を有するものでも結晶方位が異なる結晶粒だけでなく、これらの各種の結晶構造を有する結晶粒が混在した多結晶構造になりやすい。

そこで、このような多結晶構造の形成を回避して、結晶性の良好な炭化珪素の単結晶膜成長させる方法として、例えば特開昭62−36813号に記載された方法が知られている。

図16は、従来の炭化珪素の縦型結晶成長装置の概略的な構造を示す図である。同図に示すように、従来の結晶成長装置は、チャンバー100の中に、基板102を載置するためのカーボン製サセプタ101と、サセプタ101を支持するための支持軸114と、チャンバー100の石英管115と、石英管115の外側に巻き付けられ、サセプタ101を高周波電流により誘導加熱するためのコイル103とを備えている。石英管115は、冷却水を流せるように構成されている。また、チャンバー100に供給する各種ガスボンベ等を配置したガス供給システム107と、チャンバー100から各種ガスを排出するための真空ポンプ等を配置したガス排出ステム111とが設けられている。ガス供給システム107とチャンバー100とは、原料ガスを供給するための原料ガス供給管104と、水素等の希釈ガスを供給するための希釈ガス供給管105と、ドーピングガス等の添加ガスを供給するための添加ガス導入管106とによって接続されており、原料ガス供給管104と希釈ガス供給管105とは、途中で合流してチャンバー100に接続されている。そして、原料ガス供給管104及び希釈ガス供給管105の合流前の部位には、それぞれガス流量を調整するための流量計108,109が介設され、添加ガス導入管106にもガス流量を調整するための流量計110が介設されている。また、ガス排出システム111とチャンバー100との間には排気管112によって接続され、排気管112には排出されるガスの流量を調節するための流量計113が介設されている。

ここで、基板102がシリコン基板又は炭化珪素によって構成され、その上に炭化珪素の単結晶膜をエピタキシャル成長させる場合を例にとって、CVD法による単結晶膜の形成手順を説明する。

基板としてシリコン基板を用い、シリコン基板の上に炭化珪素の単結晶膜を形成する場合、チャンバー100の上部より炭化水素ガス(例えばプロパンガス)及び水素を導入して、チャンバー100内の圧力を大気圧または大気圧以下に調整する。そして、コイル103に高周波電力印加して基板102を加熱し、基板102の表面温度を1200℃程度にすることによって基板102の表面に炭化処理を施し、極薄炭化珪素膜を成長させる。その後、炭化水素ガスの供給量を減らして珪素を含むガス(例えばシランガス)を導入すると、基板102の表面に立方晶系の炭化珪素膜が成長する。

基板102として炭化珪素からなる基板(SiC基板)を用いる場合、しばしば(0001)面(C面)から[ 1 1 -2 0 ]方向に数度オフした面(いわゆる(0001)オフ面)を主面とする基板が用いられる。(0001)ジャスト面上には3C−SiC双晶が成長するが、(0001)オフ面を用いると6H−SiC単結晶が成長することから、一般的に、(0001)オフ面を主面とするSiC基板が用いられるのである。その場合には、チャンバー内の温度を1500℃以上とすることにより、炭化処理を施すことなく基板102上に炭化珪素膜(SiC膜)が成長する。また、炭化珪素膜にドーパントを導入する場合には、チャンバー100の上部に、添加ガス導入管106からドーピングガス(n型ドープ層の場合には、例えば窒素)を導入する。その際、ドーパント濃度を所望の濃度に調整するために、流量計110によってドーパントガスの流量が制御される。そして、炭化珪素膜の結晶成長が終了した後、各供給管104,105,106からの各種ガスの供給を止めて、コイル103への高周波電力の印加を停止して加熱を終了し、基板102を冷却する。

また、炭化珪素の結晶成長装置として、チャンバー100の石英管115の軸を水平位置になるように設置した横型の装置もある。その場合にも、主要部材の構造は図16に示す縦型の結晶成長装置と同様であるが、各種のガスを一方の側部から供給する点が異なる。

概要

不純物濃度プロファイル急峻性や表面の平坦性を有する半導体膜成長方法及びこれを利用した半導体装置の製造方法を提供する。

チャンバー1内で、サセプタ4の上に基板3を設置し、基板3を高温に加熱する。流量計10,11を介設した原料ガス供給管7,希釈ガス供給管9から原料ガスと希釈ガスとをチャンバー1内に供給する一方、パルスバルブ20を介設した添加ガス供給管12とガス導入管13から、パルスバルブ20の開閉に応じてドーピングガスを供給して、基板3上にドープ層をエピタキシャル成長させる。そのとき、パルスバルブ20を介してガスボンベ減圧器の二次側のドーピングガスを基板3の表面上にパルス状に直接供給することで、基板3からドープ層に遷移する領域における不純物濃度プロファイルが急峻になり、ドープ層の表面が平坦化される。

目的

第1に、上記従来の方法で形成された炭化珪素などの半絶縁性基板を用いて例えばMESFETを形成した場合、必ずしも期待した高周波特性やデバイス動作が得られないという不具合があった。例えば、従来の方法で形成されたGaAsエピタキシャル成長膜を用いて作成したMESFETにおいては、高周波化に伴いゲート長を短くするにしたがって、相互コンダクタンスが悪化するという不具合があった。その原因は、イオン注入等によって高濃度不純物がドープされた下地アンドープ層からチャネル層となる高濃度ドープ層への遷移領域におけるドーパント濃度のプロファイルがなだらかな結果、チャネル層から下地層への漏れ電流が増大することにあると考えられている。そこで、下地層に逆導電型のドーパントを注入して、チャネル層のドーパント濃度のプロファイルを急峻にして、漏れ電流を低減することにより、相互コンダクタンスの低下をくい止めようとする試みも行なわれている。

本発明の目的は、上記従来の2つの不具合がいずれも従来のガスの供給方法ではエピタキシャル成長中の薄膜表面状態原子レベルで制御できない点に原因していたことを解明し、エピタキシャル成長中の薄膜の表面状態を原子レベルで制御する手段を講ずることにより、急峻なドーパントの濃度分布を有するドープ結晶膜を成長するための方法を提供することにある。

また、本発明のもう1つの目的は、ノンドープのエピタキシャル成長の際にも、エピタキシャル成長中の薄膜の表面状態を原子レベルで制御する手段を講ずることにより、平坦性の良好な表面を有するノンドープ結晶膜を成長するための方法を提供することにある。

効果

実績

技術文献被引用数
5件
牽制数
16件

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請求項1

基板単結晶領域上に半導体膜エピタキシャル成長させる方法であって、上記基板をチャンバー内に設置するステップ(a)と、上記ステップ(a)の後で、上記チャンバー内に、上記半導体膜を構成する元素を含む原料ガスを供給するとともに、添加ガスを少なくとも1回パルス状に供給することにより上記半導体膜を形成するステップ(b)とを含むことを特徴とする半導体膜の成長方法

請求項2

請求項1記載の半導体膜の成長方法において、上記ステップ(b)では、添加ガスをパルス状に供給していない期間においても、上記添加ガスを上記パルス高さの所定値以下の流量で供給することを特徴とする半導体膜の成長方法。

請求項3

請求項1又は2記載の半導体膜の成長方法において、上記ステップ(b)では、上記添加ガスをパルス状に供給する期間よりも、パルス状に添加ガスを供給していない期間の方が長いことを特徴とする半導体膜の成長方法。

請求項4

請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の半導体膜の成長方法において、上記ステップ(b)では、上記添加ガスとして、ドーパント原子を含むガスを供給することを特徴とする半導体膜の成長方法。

請求項5

請求項4記載の半導体膜の成長方法において、上記ステップ(b)では、上記添加ガスをパルス状に供給する際のパルス幅によって上記膜中のドーパント濃度分布を調整することを特徴とする半導体膜の成長方法。

請求項6

請求項1〜3のうちいずれか1つに記載の半導体膜の成長方法において、上記ステップ(b)では、上記添加ガスとして、不活性ガス及びハロゲン元素を含むガスのうち少なくともいずれか1つのガスを供給することを特徴とする半導体膜の成長方法。

請求項7

請求項1〜6のうちいずれか1つに記載の半導体膜の成長方法において、上記基板は、(0001)面を傾けさせた(0001)オフ面を主面とするSiC基板であることを特徴とする半導体膜の成長方法。

請求項8

基板の単結晶領域上に複数の元素の化合物からなる半導体膜をCVD法によりエピタキシャル成長させる方法であって、上記基板をチャンバー内に設置するステップ(a)と、上記ステップ(a)の後で、上記チャンバー内に、上記複数の元素をそれぞれ含む複数の原料ガスを、少なくとも1つの原料ガスを少なくとも1回パルス状に供給するように供給することにより上記半導体膜を形成するステップ(b)とを含むことを特徴とする半導体膜の成長方法。

請求項9

請求項8記載の半導体膜の成長方法において、上記ステップ(b)では、上記複数の原料ガスのうち少なくとも2つの原料ガスをパルス状に供給し、少なくとも2つの原料ガスがパルス状に供給される期間が互いにオーバーラップしないように、交互に供給することを特徴とする半導体膜の成長方法。

請求項10

請求項8記載の半導体膜の成長方法において、上記ステップ(b)では、上記少なくとも1つの原料ガスがパルス状に供給される際のパルス幅によって上記化合物の半導体膜の組成を調整することを特徴とする半導体膜の成長方法。

請求項11

基板上に原料ガスを供給するとともに、ドーパントを含むガスを少なくとも1回パルス状に供給することにより、ドープ半導体層をエピタキシャル成長させる工程(a)と、上記ドープ半導体層の上に、上記ドープ半導体層とショットキー接触するゲート電極を形成する工程(b)と、上記ドープ半導体層の上記ゲート電極の両側に位置する領域の上に、上記ドープ半導体層とオーミック接触するソース電極及びドレイン電極を形成する工程(c)とを含む半導体装置の製造方法。

請求項12

請求項11記載の半導体装置の製造方法において、上記ステップ(a)の前に、基板上に上記ステップ(a)と同じ原料ガスを供給することにより、アンドープ半導体層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

請求項13

基板上に、第1の半導体層と該第1の半導体層との間にヘテロ障壁を形成する第2の半導体層とを有するヘテロ接合型半導体装置の製造方法であって、基板上に第1の半導体層を形成する工程(a)と、複数の原料ガスを、少なくともいずれか1つの原料ガスを少なくとも1回パルス状に供給するように供給することにより、上記第2の半導体層をヘテロエピタキシャル成長させる工程(b)とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、ガスを用いて基板上に膜を成長させるための半導体膜成長方法及びこれを利用した半導体装置の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

近年、高周波特性発光特性耐圧特性などの特殊な機能をもった半導体デバイスを実現するための新しい半導体材料又は半絶縁性材料の開発が活発に行なわれている。例えば、炭化珪素シリコンカーバイド、SiC)は珪素(Si)に比べて高硬度薬品にも犯されにくく、バンドギャップが大きい半導体であることから、次世代のパワーデバイス高周波デバイス高温動作デバイス等へ応用されることが期待される半導体材料である。ところが、炭化珪素は、立方晶系結晶構造を有する3C−SiCや、六方晶系の結晶構造を有する6H−SiC、4H−SiC等があり、同じ結晶構造を有するものでも結晶方位が異なる結晶粒だけでなく、これらの各種の結晶構造を有する結晶粒が混在した多結晶構造になりやすい。

0003

そこで、このような多結晶構造の形成を回避して、結晶性の良好な炭化珪素の単結晶膜を成長させる方法として、例えば特開昭62−36813号に記載された方法が知られている。

0004

図16は、従来の炭化珪素の縦型結晶成長装置の概略的な構造を示す図である。同図に示すように、従来の結晶成長装置は、チャンバー100の中に、基板102を載置するためのカーボン製サセプタ101と、サセプタ101を支持するための支持軸114と、チャンバー100の石英管115と、石英管115の外側に巻き付けられ、サセプタ101を高周波電流により誘導加熱するためのコイル103とを備えている。石英管115は、冷却水を流せるように構成されている。また、チャンバー100に供給する各種ガスボンベ等を配置したガス供給システム107と、チャンバー100から各種ガスを排出するための真空ポンプ等を配置したガス排出ステム111とが設けられている。ガス供給システム107とチャンバー100とは、原料ガスを供給するための原料ガス供給管104と、水素等の希釈ガスを供給するための希釈ガス供給管105と、ドーピングガス等の添加ガスを供給するための添加ガス導入管106とによって接続されており、原料ガス供給管104と希釈ガス供給管105とは、途中で合流してチャンバー100に接続されている。そして、原料ガス供給管104及び希釈ガス供給管105の合流前の部位には、それぞれガス流量を調整するための流量計108,109が介設され、添加ガス導入管106にもガス流量を調整するための流量計110が介設されている。また、ガス排出システム111とチャンバー100との間には排気管112によって接続され、排気管112には排出されるガスの流量を調節するための流量計113が介設されている。

0005

ここで、基板102がシリコン基板又は炭化珪素によって構成され、その上に炭化珪素の単結晶膜をエピタキシャル成長させる場合を例にとって、CVD法による単結晶膜の形成手順を説明する。

0006

基板としてシリコン基板を用い、シリコン基板の上に炭化珪素の単結晶膜を形成する場合、チャンバー100の上部より炭化水素ガス(例えばプロパンガス)及び水素を導入して、チャンバー100内の圧力を大気圧または大気圧以下に調整する。そして、コイル103に高周波電力印加して基板102を加熱し、基板102の表面温度を1200℃程度にすることによって基板102の表面に炭化処理を施し、極薄炭化珪素膜を成長させる。その後、炭化水素ガスの供給量を減らして珪素を含むガス(例えばシランガス)を導入すると、基板102の表面に立方晶系の炭化珪素膜が成長する。

0007

基板102として炭化珪素からなる基板(SiC基板)を用いる場合、しばしば(0001)面(C面)から[ 1 1 -2 0 ]方向に数度オフした面(いわゆる(0001)オフ面)を主面とする基板が用いられる。(0001)ジャスト面上には3C−SiC双晶が成長するが、(0001)オフ面を用いると6H−SiC単結晶が成長することから、一般的に、(0001)オフ面を主面とするSiC基板が用いられるのである。その場合には、チャンバー内の温度を1500℃以上とすることにより、炭化処理を施すことなく基板102上に炭化珪素膜(SiC膜)が成長する。また、炭化珪素膜にドーパントを導入する場合には、チャンバー100の上部に、添加ガス導入管106からドーピングガス(n型ドープ層の場合には、例えば窒素)を導入する。その際、ドーパント濃度を所望の濃度に調整するために、流量計110によってドーパントガスの流量が制御される。そして、炭化珪素膜の結晶成長が終了した後、各供給管104,105,106からの各種ガスの供給を止めて、コイル103への高周波電力の印加を停止して加熱を終了し、基板102を冷却する。

0008

また、炭化珪素の結晶成長装置として、チャンバー100の石英管115の軸を水平位置になるように設置した横型の装置もある。その場合にも、主要部材の構造は図16に示す縦型の結晶成長装置と同様であるが、各種のガスを一方の側部から供給する点が異なる。

発明が解決しようとする課題

0009

しかしながら、上記従来のCVDによる結晶膜形成方法においては、以下のような不具合があった。

0010

第1に、上記従来の方法で形成された炭化珪素などの半絶縁性基板を用いて例えばMESFETを形成した場合、必ずしも期待した高周波特性やデバイス動作が得られないという不具合があった。例えば、従来の方法で形成されたGaAsエピタキシャル成長膜を用いて作成したMESFETにおいては、高周波化に伴いゲート長を短くするにしたがって、相互コンダクタンスが悪化するという不具合があった。その原因は、イオン注入等によって高濃度不純物がドープされた下地アンドープ層からチャネル層となる高濃度ドープ層への遷移領域におけるドーパント濃度のプロファイルがなだらかな結果、チャネル層から下地層への漏れ電流が増大することにあると考えられている。そこで、下地層に逆導電型のドーパントを注入して、チャネル層のドーパント濃度のプロファイルを急峻にして、漏れ電流を低減することにより、相互コンダクタンスの低下をくい止めようとする試みも行なわれている。

0011

このような不純物濃度のプロファイルの急峻性が得られないことによる不具合は、SiC結晶膜においても顕著に現れている。また、SiCやGaAs以外の材料からなる結晶膜においても同様の不具合が生じていることがわかった。

0012

第2に、(0001)オフ面を主面とするSiC基板の上にSiC結晶膜をホモエピタキシャル成長させると、しばしば大きな段差が形成されることがあった。図6(a)は、従来の方法で形成されたSiC結晶膜の表面を示す図である。同図においては、段差の大きさを示すために、SiC基板によく現れるマイクロパイプ近辺における表面状態が示されている。同図に示されるように、SiC結晶膜の表面には、幅が数100nmで高さ数10nmの多くの段差が形成されており、表面の平坦性がよくないことがわかる。このような段差は、特にC面等の最密面からわずかにオフした面を主面とする基板上に、ホモエピタキシャル成長又はヘテロエピタキシャル成長した結晶膜において特に顕著にみられることがわかった。

0013

本発明の目的は、上記従来の2つの不具合がいずれも従来のガスの供給方法ではエピタキシャル成長中の薄膜の表面状態を原子レベルで制御できない点に原因していたことを解明し、エピタキシャル成長中の薄膜の表面状態を原子レベルで制御する手段を講ずることにより、急峻なドーパントの濃度分布を有するドープ結晶膜を成長するための方法を提供することにある。

0014

また、本発明のもう1つの目的は、ノンドープのエピタキシャル成長の際にも、エピタキシャル成長中の薄膜の表面状態を原子レベルで制御する手段を講ずることにより、平坦性の良好な表面を有するノンドープ結晶膜を成長するための方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

本発明の第1の半導体膜の成長方法は、基板の単結晶領域上に半導体膜をエピタキシャル成長させる方法であって、上記基板をチャンバー内に設置するステップ(a)と、上記ステップ(a)の後で、上記チャンバー内に、上記半導体膜を構成する元素を含む原料ガスを供給するとともに、添加ガスを少なくとも1回パルス状に供給することにより上記半導体膜を形成するステップ(b)とを含んでいる。

0016

この方法により、添加ガスがパルス状に多量に供給されることで、添加ガスがドーパント原子を含むガスである場合には、基板から半導体膜に遷移する領域におけるドーパントの濃度変化が急峻になる。また、添加ガスがドーパント原子を含むガスである場合又は添加ガスがドーパント原子を含まないガスである場合のいずれにおいても、エピタキシャル成長中の半導体膜の表面において、添加ガス原子原料ガス中の原子やそれらが結合して形成された分子の移動を抑制する機能を有する場合には、添加ガスが原料ガスの原子や分子が均一に堆積されていき、ドープ半導体膜ノンドープ半導体膜のいずれにおいても、最終的に平坦性が良好な半導体膜が形成されることになる。すなわち、エピタキシャル成長中の半導体膜の表面状態を原子レベルで制御することにより、上述のような不具合の解消が可能になる。

0017

上記第1の半導体膜の成長方法において、上記ステップ(b)では、添加ガスをパルス状に供給していない期間においても、上記添加ガスを上記パルス高さの所定値以下の流量で供給することにより、添加ガスの供給過剰に起因する原子や分子の移動抑制機能の低下を回避することができる。

0018

上記第1の半導体膜の成長方法において、上記ステップ(b)では、上記添加ガスをパルス状に供給する期間よりも、パルス状に添加ガスを供給していない期間の方を長くすることにより、添加ガスの供給過剰に起因する原子や分子の移動抑制機能の低下を回避することができる。

0019

上記第1の半導体膜の成長方法において、上記ステップ(b)では、上記添加ガスとして、ドーパント原子を含むガスを供給することにより、基板から半導体膜に遷移する際のドーパントの濃度プロファイルが急峻になるので、この急峻性を利用して、高周波特性の優れたMESFETなどの各種デバイスを得ることが可能となる。

0020

上記第1の半導体膜の成長方法において、上記ステップ(b)では、上記添加ガスをパルス状に供給する際のパルス幅によって上記膜中のドーパント濃度分布を調整することにより、添加ガスの濃度を所望の値に容易に調整することが可能になる。

0021

その場合、上記ステップ(b)では、上記添加ガスとして、不活性ガス及びハロゲン元素を含むガスのうち少なくともいずれか1つのガスを供給することにより、原料ガスの原子の移動を妨げて、半導体膜の表面を平坦化することができる。

0022

上記第1の半導体膜の成長方法において、上記基板を、(0001)面を傾けさせた(0001)オフ面を主面とするSiC基板とすることにより、バンドギャップの広いSiC単結晶膜を形成する際に一般的に用いられる(0001)オフ基板を利用することで発生しやすいSiC単結晶膜表面の段差をほとんど生じることがなく、平坦な表面を得ることができる。

0023

本発明の第2の半導体膜の成長方法は、基板の単結晶領域上に複数の元素の化合物からなる半導体膜をCVD法によりエピタキシャル成長させる方法であって、上記基板をチャンバー内に設置するステップ(a)と、上記ステップ(a)の後で、上記チャンバー内に、上記複数の元素をそれぞれ含む複数の原料ガスを、少なくとも1つの原料ガスを少なくとも1回パルス状に供給することにより上記半導体膜を形成するステップ(b)とを含んでいる。

0024

この方法により、エピタキシャル成長中の半導体膜の表面において、複数の原料ガスのうちパルス状に供給される原料ガス中の原子が他の原料ガスの原子の移動を妨げるので、基板の単結晶領域から半導体膜に遷移する領域における組成変化を急峻化できるとともに、平坦な表面を有する半導体膜が形成される。

0025

上記第2の半導体膜の成長方法において、上記ステップ(b)では、上記複数の原料ガスのうち少なくとも2つの原料ガスをパルス状に供給し、少なくとも2つの原料ガスがパルス状に供給される期間が互いにオーバーラップしないように、交互に供給することにより、少なくとも2つの原料ガスの原子が他のガスの原子の移動を抑制し合うので、形成される半導体膜の平坦性が向上する。

0026

上記第2の半導体膜の成長方法において、上記ステップ(b)では、上記少なくとも1つの原料ガスがパルス状に供給される際のパルス幅によって上記化合物の半導体膜の構成元素組成を調整することにより、化合物の半導体膜の組成を容易に所望の組成に調整することできる。

0027

本発明の第1の半導体装置の製造方法は、基板上に原料ガスを供給するとともに、ドーパントを含むガスを少なくとも1回パルス状に供給することにより、ドープ半導体層をエピタキシャル成長させる工程(a)と、上記ドープ半導体層の上に、上記ドープ半導体層とショットキー接触するゲート電極を形成する工程(b)と、上記ドープ半導体層の上記ゲート電極の両側に位置する領域の上に、上記ドープ半導体層とオーミック接触するソース電極及びドレイン電極を形成する工程(c)とを含んでいる。

0028

これにより、上述のように、基板とドープ半導体層との遷移領域におけるドーパント濃度のプロファイルが急峻なMESFETが得られる。したがって、ドープ半導体層から基板への漏れ電流の小さい,ピンチオフ特性が良好で相互コンダクタンスの大きい高周波デバイスとして機能する半導体装置が得られる。

0029

上記第1の半導体装置の製造方法において、上記ステップ(a)の前に、基板上に上記ステップ(a)と同じ原料ガスを供給することにより、アンドープ半導体層を形成する工程をさらに含むことが好ましい。

0030

本発明の第2の半導体装置の製造方法は、基板上に、第1の半導体層と該第1の半導体層との間にヘテロ障壁を形成する第2の半導体層とを有するヘテロ接合型半導体装置の製造方法であって、基板上に第1の半導体層を形成する工程(a)と、複数の原料ガスを、少なくともいずれか1つの原料ガスを少なくとも1回パルス状に供給するように供給することにより、上記第2の半導体層をヘテロエピタキシャル成長させる工程(b)とを含んでいる。

0031

この方法により、第1の半導体層から第2の半導体層に遷移する領域における第2の半導体層の組成変化が急峻となるので、急峻なヘテロ障壁を利用した高速動作が可能なヘテロMISFETなどとして機能する半導体装置が得られる。

発明を実施するための最良の形態

0032

図1は、本発明の各実施形態において用いられる薄膜形成用の結晶成長装置の構造を概略的に示す図である。

0033

同図に示すように、この縦型結晶成長装置は、チャンバー1の中に、基板3を載置するためのカーボン製サセプタ4と、サセプタ4を支持するための支持軸5と、チャンバー1の石英管2と、石英管2の外側に巻き付けられ、サセプタ4を高周波電流により誘導加熱するためのコイル6とを備えている。石英管2は、二重石英管などからなり冷却水を流せるように構成されている。また、チャンバー1に供給する各種ガスのボンベ等を配置したガス供給システム8と、チャンバー1から各種ガスを排出するための真空ポンプ等を配置したガス排出システム15とが設けられている。ガス供給システム8とチャンバー1とは、原料ガスを供給するための原料ガス供給管7と、水素等の希釈ガスを供給するための希釈ガス供給管9と、不活性ガスやドーピングガスなどの添加ガスを供給するための添加ガス供給管12とによって接続されており、原料ガス供給管7と希釈ガス供給管9とは、途中で合流してチャンバー1に接続されている。そして、原料ガス供給管7及び希釈ガス供給管9の合流前の部位には、それぞれガス流量を調整するための流量計10,11が介設されている。また、ガス排出システム15とチャンバー1とは排気管14によって接続され、排気管14には、排出されるガスの流量によってチャンバー1内の圧力を調節するための圧力調整バルブ16が介設されている。

0034

ここで、この結晶成長装置の特徴は、添加ガス供給管12にパルスバルブ20が介設されていることと、チャンバー1内には添加ガス供給管12の先端から直径が約2cmのガス導入管13が延び、このガス導入管13の先端が基板3の上面よりも約5cm上方に位置する部位で開口していることである。

0035

サセプタ4には、高温に加熱された時に脱ガスが起こらないように厚みが約100μmのSiC膜がコーティングされている。ただし、このSiC膜の厚みは脱ガスの発生を防止できる厚みよりも厚ければいくらでもよい。

0036

ガス供給システム8から原料ガス供給管7を通って供給される原料ガスと、希釈ガス供給管9を通って供給される希釈ガスとは合流した後、チャンバー1の上部からチャンバー1内に導入される。そのとき、原料ガス及び希釈ガスの流量は、各流量計10,11によって調整される。

0037

一方、添加ガス供給管12を経て供給されるドーピングガスや不活性ガスなどの添加ガスは、パルスバルブ20の周期的な開閉に応じてパルス状に基板3の表面に供給される。このパルスバルブ20が開いている期間(パルス幅)及び閉じている期間(パルスとパルスの間隔)は任意に設定することができ、例えばパルスバルブ20が開いている期間が100μs、閉じている期間が4msの場合には、1秒間におよそ240回の開閉が繰り返されることになる。ガス導入管13の先端と基板3との距離は接近している方が好ましいが、接近しすぎると狭い範囲にしかガスをパルス状で供給する効果が発揮できないので5cm程度の間隔をもっていることが好ましい。

0038

そして、原料ガス,希釈ガス及び添加ガスは、排気管14を通ってガス排気システム15により外部に排気される。

0039

(第1の実施形態)第1の実施形態として、図1に示す結晶成長装置を用い、図1中の基板3として(0001)面(C面)にオフ角度が設けられた主面を有する六方晶系の単結晶炭化珪素基板(6H−SiC基板)を用い、この基板3の上に六方晶炭化珪素(SiC)からなるn型ドープ層をホモエピタキシャル成長させる方法について説明する。図2(a)〜(c)は、本実施形態の半導体膜の成長方法を示す断面図である。

0040

図2(a)に示すように、基板3(6H−SiC基板)の主面は、(0001)面(C面)から[ 1 1 -2 0 ]方向に3.5°傾いた面((0001)オフ面)であり、かつ、表面にSi原子が並ぶn型Si面である。基板3の直径は25mmである。6H−SiC基板の表面には、若干のマイクロパイプが存在することが多く、本実施形態で用いた6H−SiC基板である基板3の主面にもマイクロパイプが観測された。まず、流量5(l/min)の酸素によってバブリングされた水蒸気雰囲気中で、基板3を1100℃で3時間ほど熱酸化し、表面に厚みが約40nmの熱酸化膜を形成した後、バッファード弗酸弗酸:フッ化アンモニウム水溶液=1:7)により、その熱酸化膜を除去する。サセプタ4に表面の熱酸化膜が除去された基板3を設置し、チャンバー1を10-6Pa程度(≒10-8Torr)の真空度になるまで減圧する。

0041

次に、ガス供給システム8から、希釈ガスとして流量2(l/min)の水素ガスと流量1(l/min)のアルゴンガスとを供給し、チャンバー1内の圧力を0.0933MPa(700Torr)とする。チャンバー1内の圧力は圧力調整バルブ16の開度により制御されている。この流量を維持しながら、誘導加熱装置を用いて、コイル6に、20.0kHz、20kWの高周波電力を印加して、サセプタ4を加熱する。基板3の温度は、一定温度である約1600℃に制御した。水素ガス及びアルゴンガスの流量は上述の一定値に保持しながら、原料ガスとして流量が2(ml/min)のプロパンガスと、流量が3(ml/min)のシランガスとをチャンバー1内に導入する。原料ガスは流量50(ml/min)の水素ガスで希釈されている。そして、プロパンガスとシランガスを誘導加熱されたサセプタ4上の基板3(6H−SiC基板)に供給することにより、図2(b)に示すように、基板3の(0001)オフ面である主面の上に、アンドープの6H−SiC単結晶からなるアンドープ層22をエピタキシャル成長させる。

0042

引き続いて、チャンバー1内で、原料ガス及び希釈ガスを供給しながら、n型ドーピングガスである窒素を添加ガスとして加えることにより、図2(c)に示すように、アンドープ層22の上にn型ドープ層23を形成する。このとき、原料ガス及び希釈ガスを供給しながら、パルスバルブ20を繰り返し開閉することによって、ドーピングガスである窒素を添加ガスとして、導入管13からチャンバー1内の基板3の直上に導入することができる。

0043

図3は、このときのパルスバルブ20の開閉によるガス供給量の時間変化を示す図である。パルスバルブ20が開いたときには、流量計に比べてガスの流れに対する抵抗が小さいので、ドーピングガス(窒素)を貯蔵しているガスボンベ(図示しないがガス供給システム8内に配置されている)の減圧器の二次側の圧力をほとんど低下させることなく、ほとんど直接的に多量のガスを供給できる。一方、パルスバルブが閉じたときには、ドーピングガスの供給が停止される。本実施形態においては、パルスバルブ20が開いている期間(パルス幅)を110μs、パルスバルブ20が閉じている期間(パルスとパルスの間隔)を4msとしている。そして、パルスバルブ20の開閉を繰り返してドーピングガスを供給しながらn型ドープ層23を形成することにより、以下のような効果が得られることが確認されている。

0044

図4は、本実施形態において形成されたn型ドープ層23,アンドープ層22及び基板3に亘る深さ方向のドーパント濃度分布を示す図である。つまり、n型ドープ層を形成する際のパルスバルブ20が開いている期間(パルス幅)を110μs、閉じている期間(パルスとパルスとの間隔)を4msとしている。同図の濃度プロファイルは、二次イオン質量分析装置SIMS)用いて測定した結果得られたものである。同図において、横軸は基板の最上面からの深さ(μm)を表し、縦軸はドーパントである窒素の濃度(atoms・cm-3)を表している。

0045

図5は、文献(Materials Science and Engineering B61-62(1999)121-154 )に記載されているSiC層中の窒素の濃度プロファイルを示す図である。同図において、横軸は基板表面からの深さ(μm)を表し、縦軸は窒素の濃度(atoms・cm-3)を表している。ここでは、流量計を閉じた状態から大きく開くことにより急峻な窒素の濃度プロファイルを得ようとしている。このとき、窒素の流量は0.15(ml/min)である。

0046

ここで、図4図5とを比較すると、本発明の方法によるアンドープ層からn型ドープ層に遷移する領域の窒素の濃度勾配が7×1018(atoms・cm-3)/0.03(μm)=2.3×1017(atoms・cm-3)/nmであるのに対し、上記文献における遷移部分の窒素の濃度勾配は4×1018(atoms・cm-3)/0.23(μm)=1.7×1016(atoms・cm-3)/nmであって、本実施形態の方法により、流量計を閉じた状態から開くことによる窒素の導入方法に比べて、1桁ほどドーピングガスの濃度勾配を大きくすることができる。これは、従来の方法(上記文献の方法)の場合、ドーピングガスである窒素ガスを流量計を通して供給する際に、添加してから窒素ガスが結晶表面に到達してドープするまでに時間差が生じたために、ドープ層の深さ方向に対して濃度分布の傾斜ができてしまったためと考えられる。これに対して、本発明の方法で形成したn型ドープ層23においては、ガスボンベの減圧器の二次側の窒素ガスを直接供給していることから、ドーピングガスの添加を開始した時点で極めて短時間に高濃度のドーパント原子を供給できるために、遷移領域でのドーパント濃度の分布が急峻になったものと思われる。

0047

また、図4に示すn型ドープ層23における窒素濃度の変動は、図5に示す窒素ドープ層における窒素濃度の変動に比べて小さいことから、窒素ドープの均一性も向上していることがわかる。

0048

これらの結果より、ガスボンベの減圧器の二次側のドーピングガスをパルスバルブを介して周期的に直接供給することによって、従来の方法とは異なり、均一でしかもアンドープ層から遷移する領域で極めて急峻な濃度分布をもつドープ層を形成しうることが示された。

0049

また、本発明の方法によって、オフセットされたC面を主面とするSiC基板の上にSiC層をエピタキシャル成長させる際の段差の形成を解消して、平坦な表面を有するSiC層を形成することができる。その点について、以下に説明する。

0050

図6(a),(b)は、流量計を介在させた供給管から原料ガス,希釈ガス及びドーピングガスを供給する従来の方法によって形成されたSiC層の表面と、ドーピングガスは流量計を介在させることなくパルスバルブのみを介在させた供給管から供給する本発明の第1の実施形態の方法によって形成されたSiC層の表面とをそれぞれ示す顕微鏡写真図である。この顕微鏡写真は、レーザー顕微鏡により観察した表面状態を示している。なお、図6(a),(b)には、平坦性や段差の幅等を理解しやすくするために、SiC基板にもともと存在していたマイクロパイプが観測されている箇所を示している。

0051

ここで、パルスバルブを用いずに上記従来の方法で形成したn型ドープ層をもつエピタキシャル膜の表面には、上述のように、ステップ高さ数10nm(約100原子層)、テラス幅数100nmの段差が形成されている(図6(a)参照)。一方、本発明の方法で形成したエピタキシャル膜の表面には、段差は全く見られず、非常に平坦であることが分かる(図6(b)参照)。

0052

従来より、SiC基板上へのSiC単結晶層をホモエピタキシャル成長させる場合、(0001)オフ面を用いる方法が採用されていることは上述の通りである。この方法によると、基板表面のステップ密度が増大するので、ステップフロー誘起される結果、低温でも基板の積層順序を引き継いで6H−SiC単結晶層がホモエピタキシャル成長すると説明されており、この方法はステップ制御エピタキシーオフアクシス法などと呼ばれている。ところが、本発明者達実験によると、図6(a)に示すように、表面に多くの段差が形成されやすいことが判明した。その原因はまだ解明されているわけではないが、本発明者達の見解では、Si原子,C原子がSiC基板の表面に付着した際に、あるいはSi原子とC原子とが結合してSiC分子が形成された後に、そのとき存在している部位よりもエネルギー的に有利な部位に移動(マイグレーション)することで、(0001)オフ面に存在する多くの段差のうちの特定の段差部にSiC層が優先的に成長することによるものと考えられる。

0053

一方、本実施形態の方法では、パルスバルブを開いたときに、瞬時に多量のドーパント原子がSiC基板の表面に供給されるので、ドーパント原子(N原子)がSi原子,C原子又はSiC分子の移動を妨害する結果、アンドープ層22及びn型ドープ層23がほぼ均一に下地の表面上に堆積せざるを得ず、その結果、下地である(0001)オフ面にほぼ忠実に6H−SiCエピタキシャル層が順次形成され、最終的に平坦な表面が得られるものと考えられる。

0054

本発明者達の実験によると、SiC層のエピタキシャル成長時にSi原子,C原子,SiC分子などの移動を妨害する作用効果は、Si原子,C原子等の移動の抵抗となりうる十分な質量を有する原子を含むガスを添加ガスとしてパルス状に供給することによって得られることがわかっている。

0055

すなわち、添加ガスとして、例えば、n型ドーパントとしての窒素(N)原子を含むガス,リン(P)原子を含むガス(フォスフィン)や、p型ドーパントとしてのアルミニウム(Al)原子を含むガス(TMAなど),ホウ素(B)原子を含むガス(ジボランなど)や、不活性ガス(Ne,Ar,Kr,Xeなど)、ハロゲン元素(F,Cl,Brなど)の原子などを含むガスをSiC層のエピタキシャル成長中にパルス状に供給することにより、平坦な表面を有するSiC単結晶層を形成することができる。ただし、これらの原子が、SiC単結晶層を用いて形成されるデバイスの動作に悪影響を及ぼさないことが好ましい。特に、添加ガスがドーパント原子を含むガスである場合には、すでに説明したように、急峻な濃度プロファイルを得ることができる。

0056

また、原料ガス,希釈ガスなどをパルス状に供給することによっても、互いに他の原子の移動を抑制しあう結果、エピタキシャル層の平坦性を改善する作用効果を期待することができる。

0057

なお、アンドープ層22を形成する際にも、添加ガス供給管12から例えばフッ素ガスなどの原子,分子の移動を妨害する機能を有する原子のガスをパルス状に供給することが好ましい。その場合、エピタキシャル成長時におけるSi原子,C原子,SiC分子等の移動をフッ素等の原子が妨げる効果が得られ、平坦な表面を有するアンドープ層22が形成される。したがって、アンドープ層22とn型ドープ層23との境界の平坦性が要求される場合には、この方法により、著効を発揮することができる。

0058

ただし、アンドープ層22に段差があっても、n型ドープ層23を形成する際にドーパントガス等をパルス状に供給することにより、最終的に段差が解消されてn型ドープ層23の表面はほぼ平坦になることが確認されている。

0059

また、本実施形態においては、(0001)オフ面を主面とするSiC基板上に単結晶膜をエピタキシャル成長させる場合について説明したが、このようないわゆるオフ面だけでなく、例えば(001)面を主面とする汎用Si基板に本発明を適用しても、より平坦性が向上するという利点がある。すなわち、本発明のCVD法によると、エピタキシャル成長させようとする結晶層の構成元素とは別に、これらの構成元素のエピタキシャル成長面上での移動を妨害する機能を有する原子をパルス状に供給することにより、平坦性を向上させることができる。したがって、本発明の方法は、SiC基板上へのエピタキシャル成長だけでなく、Si,GaAs,SiGe,SiGeC,GaN基板等の上にエピタキシャル成長を行なわせる方法全般に適用することができる。

0060

ただし、(0001)オフ面と同等の方法として、例えばSi基板の(111)面を2〜4°傾けた(111)オフ面上にSi単結晶層をエピタキシャル成長させる方法が知られている。Si結晶における(111)面は、六方晶における(0001)面と等価であり、最密面である。一般的に用いられる(001)面は(111)面に対して大きく傾いているので、(001)面にはステップが密に存在していて、均一なエピタキシャル成長が生じる。それに対し、最密面がジャスト面である場合には、ステップがほとんどないことから異常成長が生じやすいといわれ、これを回避すべく、(111)オフ面を主面とする基板が用いられる。その場合にも、エピタキシャル成長条件によっては、エピタキシャル成長層の表面に図6(a)に示すようなめだった段差が現れることがあるが、本発明の方法により、大きな段差がほとんどない平坦な表面を有するエピタキシャル層が得られる。すなわち、本発明の方法は、最密面を傾けたオフ面を主面とする基板を用いて、エピタキシャル成長を行なわせる方法に適用することにより、著効を発揮することができる。

0061

なお、パルスバルブが開いている期間(パルス幅)が長すぎると不具合を招くこともある。図7は、パルスバルブが開いている期間(パルス幅)を1000μsにしたときのn型ドープ層の表面状態を示す顕微鏡写真図である。同図に示すように、あまりに多量のドーピングガスを一度に供給すると、n型ドープ層(エピタキシャル層)の表面が荒れてしまうという不具合を招くことがある。

0062

次に、図8は、本実施形態におけるパルスバルブの開く期間であるオン期間(パルス幅)を変化させたときのn型ドープ層のピークキャリア濃度(atoms ・cm-3)と、キャリア移動度(cm2 /Vs)との変化を示す図である。このとき、ガス供給システム8内におけるガスボンベの減圧器の二次側圧力は78400Pa(0.8kgf/cm2 )で一定とした。そして、パルスバルブ20が開いているオン期間を変化させ、パルスバルブ20が閉じているオフ期間を一定の4msとしている。

0063

同図に示すように、n型ドープ層のピークキャリア濃度はパルスバルブ20が開いているオン期間を変化させることにより制御可能であることが分かる。また、この結果から、オフ期間を変化させても、ピークキャリア濃度を調整しうることがわかる。特に、オフ期間(パルスとパルスとの間隔)を一定とした場合、パルスバルブのオン期間(パルス幅)を95μsと110μsとの間で変化させるだけで、ピークキャリア濃度を5×1016(atoms ・cm-3)から約1×1019(atoms ・cm-3)まで大きく変化させることができる点が特徴的である。

0064

図9は、本実施形態におけるパルスバルブの制御方法の変形例を示す図である。同図に示すように、この変形例においては、パルスバルブを開いているオン期間とオン期間との間(パルスとパルスの間)におけるドーピングガス等の添加ガスの供給を全く停止させるのではなく、絶えず少しだけのドーピングガスを供給してもよい。この具体的な方法としては、例えば添加ガスとしての窒素ガスをキャリアガスとして供給する方法がある。このとき、パルスバルブを開いているオン期間とオン期間との間(パルスとパルスの間)における添加ガスの供給量はパルス高さの10%以下にすることが好ましい。

0065

なお、本実施形態においては窒素を用いてn型のドープ層を形成したが、n型の伝導性を示すドーパントとして他の元素を含むドーピングガスを用いても差し支えない。

0066

また、本実施形態においてはn型のドープ層を形成したが、p型の伝導性を示すドーピングガスを用いれば、下地層から遷移する領域で極めて急峻な濃度分布をもつp型のドープ層が形成されることはいうまでもない。

0067

また、本実施形態においてはアンドープ層の上にn型ドープ層を形成したが、アンドープ層は、必ずしも必要ではない。さらに、p型ドープ層上もしくは従来の方法で形成したn型ドープ層の上に、パルス状にドーパントガスを供給しながらn型ドープ層を形成してもよい。

0068

また、本実施形態においては、炭化珪素基板(SiC基板)の上へのドープ層のエピタキシャル成長を行なわせる方法について述べたが、本発明の薄膜成長方法をSiC以外のSi,GaAs,SiGe,SiGeC,GaNなど他の基板上へのドープト層のエピタキシャル成長に適用してもよく、その場合にも、基板,アンドープ層などからドープ層に遷移する領域で極めて急峻な濃度分布をもつドープ層を形成することができる。

0069

また、本実施形態においては、基材上の薄膜成長方法として誘導加熱を用いたCVD方法について述べたが、ガスを用いて基材上に薄膜を成長させるのであればプラズマCVD法光照射CVD法,電子照射CVD法のいずれかの作用によって上記基材上に薄膜を成長する場合にも本発明の薄膜成長方法が有効であることはいうまでもない。

0070

(第2の実施形態)次に、第2の実施形態として、第1の実施形態の薄膜成長方法によってドープ層を形成したSiC基板を用いたMESFETについて説明する。

0071

図10は、本実施形態において形成したMESFETの断面図である。同図に示すように、本実施形態のMESFETは、(0001)オフ面を主面とする6H−SiC基板である基板3と、基板3上にエピタキシャル成長したSiC単結晶からなるアンドープ層22と、アンドープ層22の上に窒素をパルス状にドープしながらエピタキシャル成長したSiC単結晶からなるn型ドープ層23と、n型ドープ層23の上に形成されたゲート電極26と、n型ドープ層23の上で、ゲート電極26の両側に位置する部位に設けられたソース電極27及びドレイン電極28とを備えている。そして、n型ドープ層23はチャネル層として機能する。

0072

本実施形態のMESFETの形成は、以下の手順による。第1の実施形態に記述したように、図1に示すガス供給システム8より流量が2(l/min)の水素ガスと、流量が1(l/min)のアルゴンガスとを供給して、誘導加熱によりサセプタ4を加熱する。その後、流量が2(ml/min)のプロパンガスと、流量が3(ml/min)のシランガスとを供給して、基板3の上にアンドープの6H−SiC単結晶からなるアンドープ層22を形成する。このとき、添加ガス供給管12からフッ素ガスをパルス状に供給することにより、エピタキシャル成長時におけるSi原子,C原子,SiC分子等の移動をフッ素原子が妨げる効果が得られ、平坦な表面を有するアンドープ層22が形成される。

0073

引き続きドーピングガスとして窒素を用いて、n型ドープ層をアンドープ層上に形成した。このn型ドープ層はMESFETのチャネル層となる。原料ガス及び希釈ガスを各供給管7,9から供給しながら、添加ガス供給管12のパルスバルブ20を繰り返し開閉させることによってドーピングを開始した。ガス供給システム8中のガスボンベの減圧器の二次側圧力は78400Pa(0.8kgf/cm2 )で一定とした。パルスバルブ20の開いている期間(パルス幅)を100μs、閉じている期間(パルスとパルスの間隔)を4msとすることによって、キャリア密度が4×1017atoms ・cm-3のn型ドープ層23を形成した。n型ドープ層23の厚みは、パルスバルブ20を開閉する期間を調節することにより約200nmとしている。

0074

続いて、真空蒸着法により、n型ドープ層23の上にニッケル(Ni)を蒸着し、ソース電極27と、ドレイン電極28とを形成した。そして、ソース電極27及びドレイン電極28と、n型ドープ層23とのオーミックコンタクトをそれぞれとるために、1000℃で3分間アニールを行った。続いて、n型ドープ層23の上に金(Au)を蒸着してゲート電極26を形成し、このゲート電極26をn型ドープ層23にショットキーコンタクトさせた。なお、n型ドープ層23のうちソース電極27とドレイン電極28とコンタクトする領域のみにn型不純物をイオン注入するなどにより、コンタクト抵抗シート抵抗をより小さくすることもできる。

0075

図11は、本実施形態のMESFETにおけるドレイン電流ゲート電圧との関係であるI−V特性を示す図である。同図において、横軸はドレイン電圧Vd(V)を表し、縦軸はドレイン電流Id(A)を表し、ゲート電圧Vgをパラメータとしている。このとき、上述のように、MESFETのチャネル層(n型ドープ層)の厚みは約200nmで、チャネル層におけるキャリア密度は4×1017atoms ・cm-3で、ゲート長は約0.5μmである。図11に示すように、絶対値が−4V以上の負のゲート電圧において、空乏層ピンチオフしてチャネルが閉じることによりドレイン電流Idがほぼ「0」になっていることから、ピンチオフ特性が良好であることがわかる。

0076

すなわち、本実施形態のMESFETにおいては、図4に示すように、チャネル層であるn型ドープ層23と下地層であるアンドープ層22からの遷移領域におけるn型ドーパントである窒素の濃度プロファイルが急峻であることから、ゲート電極26及びドレイン電極28に電圧が印加されてチャネル層に空乏層が広がっていったときに、急峻な濃度プロファイルがあることで、ほぼ完全にチャネル層が空乏層によって閉じられることになる。それに対し、図5に示すようなSiC基板のドープ層においては遷移領域におけるドーパントの濃度プロファイルがなだらかなので、空乏層が遷移領域に達した後チャネル層がほぼ完全に閉じられる時期が明確でないことになる。

0077

したがって、本発明のパルスドーピングを利用して形成されたMESFETにおいては、アンドープ層22とn型ドープ層23との遷移領域におけるドーパント(窒素N)の濃度プロファイルが急峻であることから、チャネル層(n型ドープ層23)から下地層(アンドープ層22)への漏れ電流が低減し、低消費電流特性が得られるとともに、MESFETの相互コンダクタンスの向上が期待することができる。また、ピンチオフ特性も良好であるので、低電圧駆動が可能になる。

0078

加えて、本実施形態においては、アンドープ層22をエピタキシャル成長させるときにはフッ素を、n型ドープ層23をエピタキシャル成長させるときには窒素をパルスバルブ20の開閉によって供給しているので、アンドープ層22とn型ドープ層23との境界領域が平坦になるので、ピンチオフ特性がより向上するという利点がある。

0079

これらの結果から、上記パルスバルブ20を用いてSiC結晶のn型チャネル層を形成することによって、低消費電流,低電圧駆動,高利得という特長をもったMESFETを形成することが可能となることが示された。

0080

なお、本実施の形態においてはn型のドープ層をチャネル層としてMESFETを作成したが、n型もしくはp型のドープ層を形成してショットキーダイオードを、n型及びp型のドープ層を形成してpnダイオードを作成するのにも有効である。

0081

また、本実施の形態においてはMESFETを作成したが、n型及びp型のドープ層を形成してMOSFETを作成するのにも有効である。

0082

(第3の実施形態)次に、パルスバルブのパルス幅の調整によってドーパントの濃度を制御する方法に関する第3の実施形態について説明する。

0083

図12は、本実施形態の半導体装置を示す断面図である。同図に示すように、本実施形態の半導体装置は、(0001)オフ面を主面とする6H−SiC基板である基板3と、基板3上にドーパント(窒素)をパルス状にドープしながらエピタキシャル成長したSiC単結晶からなる高濃度ドープ層31と、高濃度ドープ層31の上にドーパント(窒素)をパルス状にドープしながらエピタキシャル成長したSiC単結晶からなる低濃度型ドープ層32とを備えている。図12に示す構造は、各種デバイスの活性領域に応用することができる。

0084

以下、本実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。図13(a),(b)は、それぞれ本実施形態の半導体装置中の高濃度ドープ層,低濃度ドープ層を形成する際のパルスバルブの開閉制御方法を示す図である。

0085

ここで、本実施形態の半導体装置の製造方法の特徴は、高濃度ドープ層31を形成するときには、図13(a)に示すように、図1に示すパルスバルブ20が開いている期間を短くつまりパルス幅を広くし、低濃度ドープ層32を形成するときには、図13(b)に示すように、パルスバルブ20が開いている期間を短くするつまりパルス幅を狭くすることにある。図8に示すように、パルスバルブ20が開いている期間を変化させることで、ドーパントの濃度を調整することができるので、基板3の上に、所望のドーパント濃度を有するドープ層を極めて容易に形成することができる。

0086

本実施形態によると、図12に示す構造を利用して、その後第2の実施形態と同様の処理を行なうことにより、下方に高濃度ドープ層31からなるチャネル層を有し、上方に実効的なショットキー障壁の高い低濃度ドープ層32を有する高耐圧のMESFETを得ることができる。ただし、低濃度ドープ層32のうちソース電極及びドレイン電極の下方に位置する領域は、イオン注入などによって高濃度ドープ層にしておくことが好ましい。

0087

また、図12に示す構造を利用して、その後MISFETを形成することにより、レトログレードウエルを有するパンチスルーストッパー機能などの大きい高耐圧用MISFETなどを形成することも可能である。

0088

また、上記高濃度ドープ層31と低濃度ドープ層32とは、互いに逆の導電型のドーパントを含むものであってもよい。

0089

(第4の実施形態)次に、Si基板上にSiGeC膜をヘテロエピタキシャル成長させる場合の原料ガスの濃度調整に関する第4の実施形態について説明する。

0090

図14は、本実施形態のSi/SiGeCヘテロデバイスの活性領域となる部分の構造を示す断面図である。同図に示すように、(001)面を主面とするSi基板である基板34の上に、基板34に対してホモエピタキシャル成長したSiバッファ層35と、Siバッファ層35に対してヘテロエピタキシャル成長したSi1-x-y GeyCx層36とが順次堆積されている。

0091

以下、本実施形態のSi/SiGeCヘテロデバイスの製造方法について説明する。

0092

本実施形態においては、8インチのSi基板からなる基板34を用いた。そして、本実施形態においても、図1に示すチャンバー1とほぼ同じ構造のチャンバーを用いるが、本実施形態においては、各々パルスバルブが介設されたガス供給管から原料ガスを供給するように構成されたチャンバーを用いる点が、上述の各実施形態とは異なる。本実施形態では、Si用の原料ガスであるSi2 H6 を供給するための第1原料ガス供給管と、Ge用の原料ガスであるGeH4 を供給するための第2原料ガス供給管と、Cの原料ガスであるSiH3 CH3 を供給するための第3原料ガス供給管とが設けられている。そして、チャンバー内において、第1〜第3原料ガス供給管の先端から基板34の上面付近まで延びるガス導入管(図1に示すガス導入管13と同等のもの)がそれぞれ設けられている。また、希釈ガスである水素ガスを供給するための希釈ガス供給管には流量調整機能を有する流量計が介設されており、希釈ガス供給管は、上記原料ガスのガス供給管とは別にチャンバーに接続されている。

0093

以下、図15(a),(b)を参照しながら、本実施形態のSiGeCデバイスの製造工程について説明する。図15(a),(b)は、本実施形態の半導体装置の製造方法における各パルスバルブの開閉制御方法を示す図である。ここで、本実施形態においては、パルスバルブの開いている期間(パルス幅)と閉じている期間(パルスとパルスの間隔)との和を全て4msで一定としている。

0094

まず、図1に示すようなサセプタに基板34を設置し、チャンバーを10-6Pa程度(約10-8Torr)の真空度になるまで減圧する。次に、ガス供給システムより希釈ガスとして流量が50(ml/min)の水素ガスを供給し、チャンバー内の圧力を0.13Pa(1×10-3Torr)とする。チャンバー内の圧力は、図1に示すような排気管の圧力調整バルブの開度により制御されている。この流量を維持しながら、誘導加熱装置を用いて、コイルに、20.0kHz,20kWの高周波電力を印加して、サセプタを加熱する。基板34の温度は一定温度である約600℃に制御する。

0095

次に、水素ガスの流量は上述の一定値に保持しながら、第1原料ガス供給管のパルスバルブのみを開くことにより、原料ガスとしてSi2 H6 をチャンバー内に供給する。

0096

このとき、図15(a)に示すように、Si2 H6 を供給するための第1原料ガス供給管のパルスバルブが開いている期間(パルス幅)を100μsとし、GeH4 を供給するための第2原料ガス供給管と、SiH3 CH3 を供給するための第3原料ガス供給管は閉じられている。これにより、基板34の上に厚みが約10nmのSiバッファ層35をホモエピタキシャル成長させる。

0097

次に、水素ガスの流量を上述の一定値に保持した状態で、第1原料ガス供給管,第2原料ガス供給管及び第3原料ガス供給管の各パルスバルブを開閉制御することにより、チャンバー内に原料ガスとしてSi2 H6 ,GeH4 及びSiH3CH3 をそれぞれ供給することにより、Siバッファ層35の上に、厚みが約200nmのSi1-x-y GeyCx層36をヘテロエピタキシャル成長させる。

0098

このとき、図15(b)に示すように、Si2 H6 を供給する第1原料ガス供給管のパルスバルブが開いている期間(パルス幅)を70μsとし、GeH4 を供給する第2原料ガス供給管のパルスバルブが開いている期間(パルス幅)を20μsとし、SiH3 CH3 を供給する第3原料ガス供給管のパルスバルブが開いている期間(パルス幅)を10μsとする。また、各パルスバルブが開いている時期を互いにオーバーラップさせないようにずらせて、Si2 H6 ,GeH4,SiH3 CH3 を交互に供給する。これにより、Geの組成比yが約0.2(約20%)で、Cの組成比が約0.01(約1%)のSi1-x-y GeyCx膜をエピタキシャル成長させる。

0099

本実施形態においても、原料ガス供給管にパルスバルブを介設し、このパルスバルブが開いている期間(パルス幅)と、パルスバルブが閉じている期間(パルスとパルスとの間隔)とを適宜調整することにより、上記第1の実施形態と同様に、Siバッファ層35からSi1-x-y GeyCx層36に遷移する領域でGe及びCの含有比が急峻に変化するようなプロファイルを有するSi1-x-y GeyCx 層を形成することができる。

0100

そして、図14に示す構造を形成した後、ゲート絶縁膜ソースドレイン領域,ゲート電極などを形成することにより、Si1-x-y GeyCx層とSiバッファ層との境界に形成される急峻なヘテロ障壁を利用した動作速度の速いヘテロMISFETなどを得ることができる。

0101

また、本実施形態においても、原料ガスをパルス状に供給することにより、第1の実施形態と同様に、平坦な表面を有するSi1-x-y GeyCx層が得られる。ただし、(001)面を主面とするSi基板を用いているので、本実施形態を用いなくても、図6(a)に示すほどの目立った段差が形成されるわけではないが、従来の方法に比べると面荒れ等の小さい平坦な表面が得られる。なお、(111)オフ面を主面とするSi基板を用いる場合には、本実施形態を応用することにより、図6(a)に示すような大きな段差を生じることなく、平坦性の良好なSi1-x-y Gey Cx 層が得られることになる。

0102

また、本実施形態においては、第1〜第3原料ガス供給管のすべてにパルスバルブを介設したが、例えば、第1,第2原料ガス供給管にはパルスバルブを介設せずに流量計による流量調節を行なって、第3原料ガス供給管のみにパルスバルブを介設して、C用の原料ガスであるSiH3 CH3 のみをパルス状に供給してもよい。

0103

また、本実施形態においてはSiGeC層のエピタキシャル成長について述べたが、本発明の薄膜成長方法はSiGeC層以外のSiGe層や、GaAs層GaN層などのヘテロエピタキシャル成長にも適用することができ、それらの場合にも、組成の遷移領域で極めて急峻な組成プロファイルを有する単結晶膜を成長させることができる。

発明の効果

0104

本発明の第1の膜成長方法によると、単結晶の基板上に単結晶膜をエピタキシャル成長させる際に、膜を構成する元素を含む原料ガスを供給するとともに、添加ガスを少なくとも1回パルス状に供給するようにしたので、添加ガスをドーパント原子を含むガスとしてドープ単結晶膜を形成する場合には、基板から単結晶膜に遷移する領域における不純物の濃度プロファイルの急峻化や、単結晶膜表面の平坦化などを図ることができる。また、添加ガスを不活性ガス,ハロゲン元素を含むガスなどとしてノンドープ単結晶膜を形成する場合には、単結晶膜表面の平坦化などを図ることができる。

0105

本発明の第2の膜成長方法によると、単結晶の基板上に複数の元素を含む化合物の単結晶膜をCVD法によりエピタキシャル成長させる際に、複数の原料ガスのうち少なくとも1つの原料ガスを少なくとも1回パルス状に供給するようにしたので、第1の半導体層と第2の半導体層との間に形成されるヘテロ障壁の急峻化を図ることができる。

0106

また、本発明の第1,第2の半導体装置の製造方法によると、上記第1,第2の膜成長方法を利用して、高周波特性の優れたMESFETや、高速動作が可能なヘテロMISFETなどを形成することが可能になる。

図面の簡単な説明

0107

図1本発明の各実施形態において用いられる薄膜形成用の結晶成長装置の構造を概略的に示す図である。
図2(a)〜(c)は、本発明の第1の実施形態の薄膜成長方法を示す断面図である。
図3第1の実施形態におけるパルスバルブの開閉によるガス供給量の時間変化を示す図である。
図4第1の実施形態において形成されたn型ドープ層,アンドープ層及び基板に亘る深さ方向のドーパント濃度分布を示す図である。
図5文献に記載されている従来のSiC層中の窒素の濃度プロファイルを示す図である。
図6(a),(b)は、従来の方法によって形成されたSiC層の表面と、第1の実施形態の方法によって形成されたSiC層の表面とをそれぞれ示す顕微鏡写真図である。
図7パルスバルブが開いている期間(パルス幅)を過剰に長く設定したときのn型ドープ層の表面状態を示す顕微鏡写真図である。
図8第1の実施形態におけるパルスバルブの開く期間を変化させたときのn型ドープ層のピークキャリア濃度とキャリア移動度との変化を示す図である。
図9第1の実施形態におけるパルスバルブの制御方法の変形例を示す図である。
図10本発明の第2の実施形態のMESFETの断面図である。
図11第2の実施形態のMESFETにおけるドレイン電流とゲート電圧との関係であるI−V特性を示す図である。
図12本発明の第3の実施形態の半導体装置を示す断面図である。
図13(a),(b)は、それぞれ第3の実施形態の半導体装置中の高濃度ドープ層,低濃度ドープ層を形成する際のパルスバルブの開閉制御方法を示す図である。
図14本発明の第4の実施形態のSi/SiGeCヘテロデバイスの活性領域となる部分の構造を示す断面図である。
図15(a),(b)は、第4の実施形態の半導体装置の製造方法における各パルスバルブの開閉制御方法を示す図である。
図16従来のSiCの縦型結晶成長装置の概略的な構造を示す図である。

--

0108

1パルスバルブ
2チャンバー
3基板
4サセプタ
5支持軸
6コイル
7原料ガス供給管
8ガス供給システム
9希釈ガス供給管
10流量計
11 流量計
12添加ガス供給管
13ガス導入管
14排気管
15ガス排気システム
16圧力調整用バルブ
20 パルスバルブ
22アンドープ層
23 n型ドープ層
26ゲート電極
27ソース電極
28ドレイン電極
31高濃度ドープ層
32低濃度ドープ層
34 基板
35Siバッファ層
36 Si1-x-y GeyCx層

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